JP2002241599A - 高精密転写性ポリカーボネート樹脂光学用成形材料、およびそれより形成された光ディスク基板 - Google Patents

高精密転写性ポリカーボネート樹脂光学用成形材料、およびそれより形成された光ディスク基板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性に優れ、かつ高精密転写性を有する
ポリカーボネート樹脂光学用成形材料およびそれからの
光ディスク基板を提供する。 【解決手段】 2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンを二価フェノール成分として得られた芳香
族ポリカーボネート樹脂(PC−A)60〜99重量%
と下記式(1) 【化1】 (但し、式中R1〜R4は、それぞれ独立して水素原子ま
たは炭素原子数1〜4の炭化水素基を示す)で表される
化合物を二価フェノール成分として得られた芳香族ポリ
カーボネート樹脂(PC−M)1〜40重量%とを含有
してなる混合樹脂組成物からなり、且つ、総塩素含有量
が20ppm以下であることを特徴とする高精密転写性
ポリカーボネート樹脂光学用成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性を改善した
芳香族ポリカーボネート樹脂光学用成形材料に関する。
さらに詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂光学用成
形材料を成形してなる光記録媒体、とりわけ高密度記録
媒体に関して、スタンパー形状に対する精密転写性に優
れ、ハイサイクル成形で使用される高温成形において、
極めて熱安定性に優れ、且つ、長期に渡って高い信頼性
を維持できるポリカーボネート樹脂光学用成形材料に関
する。さらに本発明は高精密転写性ポリカーボネート樹
脂光学用成形材料、それより成形された光ディスク基板
および光学記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂は、透明
性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性等が優れているこ
とから、エンジニアリングプラスチックとして多くの分
野に広く使用されている。特にビスフェノールAを二価
フェノール成分として得られたポリカーボネート樹脂
は、透明性に優れることから光学材料、なかでも光ディ
スク基板の材料として好適に使用されている。しかし、
近年、光ディスクは、高記録密度、薄肉化が急激に進行
しており、高記録密度化の手法としては、グルーブもし
くはピットの間隔、すなわちトラックピッチを狭めてト
ラック方向の記録密度を高めるものである。具体的には
コンパクトディスク(CD)からデジタル・バーサタイ
ル・ディスク(DVD)への高記録密度化にあってはト
ラックピッチを1.6μmから0.74μmへと狭めるこ
とによりトラック方向の記録密度を約2倍に高めてい
る。一方、その成形においても高速サイクル化されてい
ることもあいまって、高記録密度化された光ディスクで
は従来のポリカーボネート樹脂はその成形性、なかでも
転写精度について必ずしも充分満足すべきものではなか
った。
【0003】そこで、転写精度を向上させるため、成形
機のシリンダー温度を380℃程度、金型温度を120
℃程度まで高くする必要があった。しかしながら、成形
温度を高くし、かつ成形サイクルを高速化すると金型か
ら取り出す際、離型不良が生じ、ピットやグルーブの形
状の変形が生じ、転写精度が低下するという問題が発生
する。
【0004】また、高流動性を付与するためにポリカー
ボネート樹脂中に低分子量体を多く含有させる方法(特
開平9−208684号公報、特開平11−1551号
公報など)、あるいは特定の長鎖アルキルフェノールを
末端停止剤として使用する方法(特開平11−2692
60号公報など)が提案されている。しかし、この低分
子量体の含有量を増加する方法、あるいは、長鎖アルキ
ルフェノールによる末端基の改変方法は、一般に熱安定
性の低下が大きく、したがって、成形時に熱分解を促進
する結果、ディスク基板の機械的強度が著しく低下し
て、金型からの突出し力により基板の割れを生じたり、
また光ディスク基板の取り扱い時にも基板の破損が起こ
ることになる。
【0005】そこで本発明者らは、従来の2,2−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノー
ルA]を二価フェノール成分として得られた芳香族ポリ
カーボネート樹脂(以下、“PC−A”と略称すること
がある)と比較して、下記式[I]
【0006】
【化2】
【0007】(但し、式中R1〜R4は、それぞれ独立し
て水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基を示
す)で表される化合物(以下、“ビスフェノールM”と
略称することがある)を二価フェノール成分として得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂は、非常に流動性が高
いことを利用して、ディスク成形の過程で発生する表面
層に高流動性を付与してスタンパー形状に対する高精密
転写を実現することを試みた。
【0008】ビスフェノールMの利用については、ビス
フェノールAとビスフェノールMとを二価フェノール成
分として得られた共重合ポリカーボネート樹脂が提案さ
れている(特許第2552121号明細書参照)。この
共重合ポリカーボネート樹脂は、樹脂自体により流動性
を制御することにならざるを得ないためか、適当な流動
性を付与するためには非常に多くの割合のビスフェノー
ルMを共重合することが必要であり、その結果ガラス転
移温度の低下が著しくなり光学用成形材料としては全く
不適当なものとなる。また、ポリカーボネート樹脂は、
長期間にわたり高温、高湿下に放置すると基板に微小な
白点が発生し、長期信頼性が損なわれるという欠点があ
った。さらに、ポリカーボネート内含有不純物により、
上記光ディスクや磁気ディスクなどのディスク基板上に
形成された記録膜が腐食されることによっても、長期信
頼性が損なわれるという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光記
録媒体、とりわけ高密度記録媒体の成形において、スタ
ンパー形状に対する高精密転写性に好適であり、またハ
イサイクル成形で使用される高温成形に対しても、極め
て熱安定性に優れ、且つ、長期に渡って高い信頼性を維
持できる光学用ディスクが得られる、ポリカーボネート
樹脂光学用成形材料を提供することにある。本発明者ら
は、上記目的を達成せんと鋭意研究を重ねた結果、熱安
定性を損なう事なく、流動性を向上させるためにビスフ
ェノールMを二価フェノール成分として得られた芳香族
ポリカーボネート樹脂(PC−M)の利用が有効である
ことを見出した。
【0010】すなわち、従来から光ディスク基板として
一般的に使用されているビスフェノールAを二価フェノ
ール成分として得られた芳香族ポリカーボネート樹脂
(PC−A)に、前記PC−Mを特定割合配合して得ら
れた混合樹脂組成物は、スタンパー形状に対する精密転
写性に優れ、且つハイサイクル成形で使用される高温成
形において極めて熱安定性に優れたポリカーボネート樹
脂光学用成形材料が得られることを見出した。また、ポ
リカーボネート樹脂内の総塩素含有量を低減することに
より、ポリカーボネート樹脂よりなる基板の劣化や基板
上に形成された記録膜の腐食を極めて有効に制御し、長
期に渡って高い信頼性を維持できる光学用ディスクが得
られることを見出した。本発明はこの知見に基づき完成
したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ビスフ
ェノールAを二価フェノール成分として得られた芳香族
ポリカーボネート樹脂(PC−A)60〜99重量%と
下記式[I]
【0012】
【化3】
【0013】(R1〜R4は、それぞれ独立して水素原子
または炭素原子数1〜4の炭化水素基を示す。R1〜R4
は、好ましくは水素原子またはメチル基、特に好ましく
は水素原子である。)を二価フェノール成分として得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−M)1〜40
重量%とを含有してなる混合樹脂組成物からなり、且つ
総塩素含有量が20ppm以下である高精密転写性ポリ
カーボネート樹脂光学用成形材料が提供される。
【0014】本発明における「高精密転写性」とは、透
明熱可塑性樹脂成形材料を用いて射出成形により光ディ
スク基板を製造した場合に、スタンパーに刻印された微
細な凹凸形状を通常の成形条件で忠実に転写することが
できる性質のことである。また、本発明における「総塩
素」とは、重合時に使用してポリカーボネート樹脂中に
残存している塩化メチレンなどの塩素化炭化水素、ホス
ゲンに由来するようなポリカーボネート樹脂原料と反応
してできた塩素化物などの、無機性および有機性に関わ
らず塩素を含む全ての化合物および遊離塩素の総量を示
す。
【0015】総塩素含有量が20ppm以下に抑えられ
た場合、基板の微小な白点の発生や基板上の膜腐食を最
小限に押さえられる。総塩素含有量が20ppmを超え
る材料を用いた場合、これらの十分な信頼性と基板生産
性が得られない。なお、総塩素含有量は20ppm以
下、好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10
ppm以下であることがより確実な効果を得ることがで
きる。最も好ましいのは6ppm以下である。さらに好
ましくは、1ppm以下である。
【0016】本発明におけるPC−AとPC−Mとの混
合樹脂組成物において、全樹脂組成物中のPC−Aは6
0〜99重量%、好ましくは70〜98重量%の範囲で
あり、さらに好ましくは75〜97重量%である。一
方、PC−Mは1〜40重量%であり、好ましくは2〜
30重量%、さらに好ましくは3〜25重量%の範囲で
ある。かかる樹脂組成物よりなる光学用成形材料を提供
することによって、ディスク成形に際して、高記録密度
ディスクに対応する、より精密な転写性が、ディスク強
度を損ねることなく、達成可能となる。
【0017】本発明の混合樹脂組成物を構成するPC−
AおよびPC−Mは、いずれも通常の二価フェノール成
分とカーボネート前駆体とを溶液重合法または溶融重合
法によって反応させることによって製造することができ
る。本発明において、PC−AおよびPC−Mは、それ
ぞれ二価フェノール成分としてビスフェノールAおよび
ビスフェノールMの他に他の二価フェノールを目的およ
び特性を損なわない割合で、例えば10モル%以下、好
ましくは5モル%以下の割合で共重合させてもよい。
【0018】ここで、他の二価フェノールの代表的な例
としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’
−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)、
2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5
−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、
2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブ
タン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−
メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−
ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、1,
1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−オルト−ジ
イソプロピルベンゼン、1,1’−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−メタ−ジイソプロピルベンゼン(ビス
フェノール−M)、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシ
フェニル)−パラ−ジイソプロピルベンゼン、1,3−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルア
ダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルエステル等が挙げられる。
【0019】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られるが、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートが好
ましい。上記二価フェノールとカーボネート前駆体を溶
液重合法または溶融重合法によって反応させてポリカー
ボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触
媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用
してもよい。
【0020】溶液重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有
機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進
のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチル
アンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニ
ウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム
化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いるこ
ともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応
時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保
つのが好ましい。
【0021】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(1)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0022】
【化4】
【0023】[式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル置換ア
ルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数
である。] 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0024】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基と
して有するフェノール類または安息香酸クロライド類、
もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用
することができ、これらを用いてポリカーボネート重合
体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子
量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性
が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、基板
としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があ
り、また基板の複屈折率が低減される効果もあり、好ま
しく使用される。なかでも、下記一般式(2)および
(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有す
るフェノール類が好ましく使用される。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】[式中、Xは−R−CO−O−または−R
−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1
〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を
示し、nは10〜50の整数を示す。] 前記式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜3
0、特に10〜26のものが好ましく、その具体例とし
ては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テ
トラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オク
タデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシル
フェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げる
ことができる。
【0028】また、前記式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。これらの末端停止剤は、得られ
たポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モ
ル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入される
ことが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種
以上混合して使用してもよい。
【0029】溶融重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネー
トエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコ
ールまたはフェノールを留出させる方法により行われ
る。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの
沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲で
ある。反応後期には反応系を10〜0.1Torr(1.
3〜0.13×103Pa)程度に減圧して生成するアル
コールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時
間は通常1〜4時間程度である。
【0030】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0031】また、重合速度を高めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物;アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類;アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類;その他に亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニ
ウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、
有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、
アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物
類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、
エステル交換反応に使用される触媒を用いることができ
る。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わ
せ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料
の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10 -8
〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×1
-4当量の範囲で選ばれる。
【0032】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重合反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0033】本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂
光学用成形材料としての混合樹脂組成物の粘度平均分子
量に関しては、特に規定しないが、過剰に低い分子量で
は、成形後の基板としての強度に問題が生じ、また逆に
過剰に高いと成形時の溶融流動性が悪く、基板に好まし
くない光学歪みが増大する。このことを考え合わせると
粘度平均分子量は12,000〜20,000の範囲に制
御されることが好ましく、13,000〜18,000が
特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカー
ボネート樹脂光学用成形材料は、光学用材料として十分
な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であ
り成形歪みが発生せず好ましい。また、上述のポリカー
ボネート樹脂光学用成形材料としての好ましい粘度平均
分子量の範囲内に制御され、かつ熱安定性を維持するた
めに、各々のポリカーボネート樹脂成分の好ましい粘度
平均分子量の範囲が存在する。すなわちPC−Aにおい
ては、粘度平均分子量が12,000〜20,000の範
囲に制御されることが好ましく、13,000〜18,0
00が特に好ましい。一方、PC−Mにおいては、5,
000〜25,000の範囲であることが好ましく、1
0,000〜20,000がさらに好ましく、13,00
0〜18,000が特に好ましい。
【0034】本発明の混合樹脂組成物は、PC−Aおよ
びPC−Mの前記割合より構成されるが、さらに特性を
損なわない範囲で少割合の他の樹脂が混合されていても
よい。上記の2種類のポリカーボネート樹脂を混合する
方法としては、各樹脂を塩化メチレンなどのポリカーボ
ネート樹脂の良溶媒へ溶解させた溶液を作成し、これら
をあらかじめ混合した後に造粒、ペレット化してかかる
樹脂組成物を得る方法が、均一性の保持の観点から特に
望ましい方法としてあげられるが特に限定されるもので
はない。
【0035】原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の
方法(溶液重合法、溶融重合法など)により製造した
後、溶液状態において濾過処理を行ない未反応成分等の
不純物や異物を除去することが好ましい。さらに射出成
形に供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得
る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過
精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物
を除去することが好ましい。必要により、例えばリン系
等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。
いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、
溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要であ
る。
【0036】総塩素含有量を低減する方法として、例え
ば、単官能フェノール類の添加後、触媒を加えて十分に
反応を行ったり、従来公知の方法(溶液重合法、溶融重
合法など)により製造した後、溶液状態においてアルカ
リ抽出をしたり、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えば
アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水
素、キシレンなどの芳香族炭化水素などのポリカーボネ
ート貧溶媒および非溶媒で洗浄したり、粉末状態にした
ときに十分な乾燥をしたり、ペレタイズ時に十分脱気し
たりして除去することが好ましい。これらの方法および
手段は、総塩素含有量が、目標とする値に低減されるま
で、適当に組合せたり、また繰返して実施することが望
ましい。その一例を示すと、アセトン抽出において、そ
の使用量をポリカーボネート樹脂に対して従来より多
量、例えば約10重量倍またはそれ以上使用したり、抽
出温度を従来より上げたり、また抽出時に攪拌を従来よ
り強力に行うなどの方法、あるいは粉末状態での乾燥時
間の延長などの方法が挙げられる。
【0037】上記ポリカーボネート樹脂光学用成形材料
より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機(射
出圧縮成形機を含む)を用いる。この射出成形機として
は一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生
を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリン
ダーやスクリューと樹脂との付着性が低く、かつ耐食
性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるの
が好ましい。射出成形の条件としてはシリンダー温度3
00〜400℃、金型温度50〜140℃が好ましく、
これらにより光学的に優れた光ディスク基板を得ること
ができる。成形工程での環境は、本発明の目的から考え
て、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、
成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去すること
や、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないよう
に配慮することも重要となる。
【0038】このように成形された光ディスク基板は、
コンパクトディスク(以下、CDと称することがあ
る)、CD−R、MO、MD−MO等や、さらにはデジ
タル・バーサタイル・ディスク(以下 DVDと称す
る)、DVD−ROM、DVD−video、DVD−
R、DVD−RAM等で代表される高密度光ディスク用
基板として、使用される。
【0039】本発明のポリカーボネート樹脂光学用成形
材料は、高精密転写性に優れているので、グルーブ列も
しくはビット列の間隔が0.1μm〜0.8μm、好まし
くは0.1〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3
5μmである光ディスク基板を成形によって容易に得る
ことが可能となる。またグルーブもしくはビットの光学
的深さが、記録再生に使用されるレーザ光の波長λと基
板の屈折率nに対してλ/8n〜λ/2n、好ましくは
λ/6n〜λ/2n、さらに好ましくはλ/4n〜λ/
2nの範囲にある光ディスク基板を得ることができる。
かくして記録密度が10Gbit/inch2以上であ
る高密度光学ディスク記録媒体の基材を容易に提供する
ことができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本
発明は何らこれに限定されるものではない。実施例中
「部」は重量部である。なお評価は下記の方法に従っ
た。
【0041】(1)粘度平均分子量 すべてのポリマー種について、塩化メチレン100mL
にポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した20℃溶液
を用いて求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求め
た。
【0042】ηsp/c=[η]+0.45×[η]2
(但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7 (2)熱安定性;TAインスツルメント社製 熱分析シ
ステム TGA 2950を使用して、5%重量減少温
度を測定した。 昇温速度;20℃/min.、窒素雰囲気下(窒素流
量;40ml/min.)
【0043】(3)総塩素量 三菱化成工業製 塩素分析装置 TSX-10を使用して、塩
素量を測定した。 (4)転写性 射出成形機(名機製作所 M35B−D−DM)とキャ
ビティ厚0.6mmt直径120mmの金型および深さ
145nm、間隔0.5μm、幅0.2μmの溝が刻まれ
たスタンパーを用いて、シリンダー設定温度360℃、
金型温度125℃、充填時間0.2秒、冷却時間15
秒、型締力35トンでディスク基板を成形した。次に原
子間力顕微鏡(セイコー電子工業 SPI3700)に
てr=55mmにおけるディスク基板の溝部の深さを測
定し、溝形状の再現率(=100×ディスクの溝深さ/
スタンパーの溝深さ(%))を求めた。また成形した基
板を1000枚目視観察し、割れの有無を確認した。
【0044】(5)光線透過率 射出成形機(名機製作所 M35B−D−DM)とキャ
ビティ厚0.6mmt直径120mmの金型および平坦
な表面を持つ鏡面スタンパーを用いて、シリンダー設定
温度360℃、金型温度125℃、充填時間0.2秒、
冷却時間15秒、型締力35トンで溝なしのディスク基
板を成形した。このディスク基板について、日立製作所
(株)製分光光度計U−3400を用いて、波長650
nmにおける光線透過率を測定した。 (6)長期信頼性試験 ディスク用成形機[住友重機(株)製DISK 3M
III]により成形された光ディスク用基板(直径120
mm、厚さ1.2mm)を、温度80℃、相対湿度85
%に制御した恒温恒湿槽に1000時間放置した後、基
板中の大きさ20μm以上の白点発生数を数えた。これ
を25枚の光学式ディスク基板についておこない、その
平均値を求め、これを白点個数とした。また、ディスク
用成形機[住友重機(株)製DISK 3M III]に
より成形された光ディスク用基板(直径120mm、厚
さ1.2mm)に厚み80nmのAl膜およびその上に
光硬化型アクリル系樹脂をそれぞれ膜付けした基板を、
温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に1
000時間放置した後、Al膜に発生したピンホールの
数を数えた。これを25枚の光学式ディスク基板につい
ておこない、その平均値を求め、これを記録膜欠陥数と
した。
【0045】製造例 (A) 2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパンを二価フェノール成分として得られる芳香族ポリ
カーボネート樹脂(ポリマーA)の製造;温度計、撹拌
機および還流冷却器付き反応器にイオン交換水636.
3部、48%水酸化ナトリウム水溶液116.6部を仕
込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン166.8部およびハイドロサルファイト0.3
5部を溶解した後、塩化メチレン524.9部を加え、
撹拌下15〜25℃でホスゲン82.1部を40分要し
て吹込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナ
トリウム水溶液24.9部およびp−tert−ブチル
フェノール6.76部を加え、撹拌を始め、乳化後トリ
エチルアミン0.17部を加え、さらに28〜33℃で
1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩
化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗
し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで
水洗を繰り返して、粘度平均分子量15,200である
ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。 (B) 下記化学式
【0046】
【化7】
【0047】で表される化合物を二価フェノール成分と
して得られる芳香族ポリカーボネート樹脂(ポリマー
B)の製造;温度計、撹拌機および還流冷却器付き反応
器にイオン交換水1590.0部、48%水酸化ナトリ
ウム水溶液102.1部を仕込み、これに下記化学式
【0048】
【化8】
【0049】で表される化合物203.9部およびハイ
ドロサルファイト0.42部を溶解した後、塩化メチレ
ン876.5部を加え、撹拌下15〜25℃でホスゲン
70.0部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み
終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液58.3部およ
びp−tert−ブチルフェノール3.85部を加え、
撹拌を始め、乳化後トリエチルアミン0.15部を加
え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了し
た。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗し
た後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換
水と殆ど同じになるまで水洗を繰り返して、粘度平均分
子量15,300であるポリカーボネートの塩化メチレ
ン溶液を得た。
【0050】実施例1 製造例(A)で製造したポリマーAの塩化メチレン溶液
と(B)で製造したポリマーBの塩化メチレン溶液とを
溶液中のポリマー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が
80:20となるようにそれぞれ攪拌機付容器に投入し
た後、攪拌して混合した。混合後、目開き0.3μmの
フィルターを通過させた後、軸受け部に異物取出口を有
する隔離室を設けたニーダー中の温水にポリカーボネー
ト樹脂溶液を滴下し、塩化メチレンを留去しながらポリ
カーボネート樹脂をフレーク化した。次にこの含液ポリ
カーボネート樹脂を粉砕、乾燥してパウダーを得た。こ
のパウダーにトリス(2,4−di−tert−ブチル
フェニル)ホスファイトを0.0025重量%、ステア
リン酸モノグリセリドを0.05重量%加えた。次に、
かかるパウダーをベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)
製KTX−46]によりシリンダー温度240℃で脱気
しながら溶融混練し、粘度平均分子量15,100、総
塩素量17ppmのペレットを得た。この時の、粘度平
均分子量、熱安定性、総塩素量、転写性、長期信頼性試
験をおこなった結果について、表1に掲載した。
【0051】実施例2 製造例(A)で製造したポリマーAの塩化メチレン溶液
と(B)で製造したポリマーBの塩化メチレン溶液とを
溶液中のポリマー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が
90:10となるようにそれぞれ攪拌機付容器に投入し
た以外は、実施例1と同様におこない度平均分子量1
5,200、総塩素量17ppmのペレットを得た。こ
の時の、粘度平均分子量、熱安定性、総塩素量、転写
性、長期信頼性試験をおこなった結果について、表1に
掲載した。
【0052】実施例3 製造例(A)で製造したポリマーAの塩化メチレン溶液
と(B)で製造したポリマーBの塩化メチレン溶液とを
溶液中のポリマー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が
70:30となるようにそれぞれ攪拌機付容器に投入し
た以外は、実施例1と同様におこない粘度平均分子量1
5,200、総塩素量17ppmのペレットを得た。こ
の時の、粘度平均分子量、熱安定性、総塩素量、転写
性、長期信頼性試験をおこなった結果について、表1に
掲載した。
【0053】実施例4 パウダー状態にした時に強く乾燥した以外は、実施例1
と同様におこない粘度平均分子量15,100、総塩素
量10ppmのペレットを得た。この時の、粘度平均分
子量、熱安定性、総塩素量、転写性、長期信頼性試験を
おこなった結果について、表1に掲載した。
【0054】実施例5 パウダー状態にした時に強く乾燥し、ペレタイズした時
に強く脱機した以外は、実施例1と同様におこない粘度
平均分子量15,100、総塩素量5ppmのペレット
を得た。この時の、粘度平均分子量、熱安定性、総塩素
量、転写性、長期信頼性試験をおこなった結果につい
て、表1に掲載した。
【0055】比較例1(モノマー−A/モノマーB共重
合) 温度計、撹拌機および還流冷却器付き反応器にイオン交
換水1454.5部、48%水酸化ナトリウム水溶液2
16.6部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン198.1部、下記化学式
【0056】
【化9】
【0057】で表される化合物48.9部およびハイド
ロサルファイト0.52部を溶解した後、塩化メチレン
901.5部を加え、撹拌下15〜25℃でホスゲン1
30.0部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み
終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液129.9部お
よびp−tert−ブチルフェノール9.1部を加え、
撹拌を始め、乳化後トリエチルアミン0.35部を加
え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了し
た。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗し
た後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換
水と殆ど同じになるまで水洗を繰り返して、この共重合
体ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。こ
の溶液を目開き0.3μmのフィルターを通過させた
後、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けたニー
ダー中の温水にポリカーボネート樹脂溶液を滴下し、塩
化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレ
ーク化した。次にこの含液ポリカーボネート樹脂を粉
砕、乾燥してパウダーを得た。このパウダーにトリス
(2,4−di−tert−ブチルフェニル)ホスファ
イトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリ
ドを0.05重量%加えた。次に、かかるパウダーをベ
ント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]に
よりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練
し、粘度平均分子量14,700、総塩素量17ppm
のペレットを得た。この時の、粘度平均分子量、熱安定
性、総塩素量、転写性、長期信頼性試験をおこなった結
果について、表2に掲載した。
【0058】比較例2 製造例(A)で製造したポリマーAの塩化メチレン溶液
について、目開き0.3μmのフィルターを通過させた
後、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けたニー
ダー中の温水にポリカーボネート樹脂溶液を滴下し、塩
化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレ
ーク化した。次にこの含液ポリカーボネート樹脂を粉
砕、乾燥してパウダーを得た。このパウダーにトリス
(2,4−di−tert−ブチルフェニル)ホスファ
イトを0.0025重量%、ステアリン酸モノグリセリ
ドを0.05重量%加えた。次に、かかるパウダーをベ
ント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]に
よりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練
し、粘度平均分子量15,200、総塩素量17ppm
のペレットを得た。この時の、粘度平均分子量、熱安定
性、総塩素量、転写性、長期信頼性試験をおこなった結
果について、表2に掲載した。
【0059】比較例3 製造例(A)で製造したポリマーAの塩化メチレン溶液
と(B)で製造したポリマーBの塩化メチレン溶液とを
溶液中のポリマー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が
50:50となるようにそれぞれ攪拌機付容器に投入し
た以外は、実施例1と同様におこない粘度平均分子量1
5,200、総塩素量17ppmのペレットを得た。し
かし、ガラス転移温度が低いため、ディスク成形する事
ができなかった。
【0060】比較例4 パウダー状態にした時に弱く乾燥した以外は、実施例1
と同様におこない粘度平均分子量15,100、総塩素
量72ppmのペレットを得た。この時の、粘度平均分
子量、熱安定性、総塩素量、転写性、長期信頼性試験を
おこなった結果について、表2に掲載した。
【0061】実施例6 前記実施例1〜5で得られた基板を用いて公知の方法に
より追記型光学記録媒体をそれぞれ製造した。いずれも
十分な特性の記録媒体が得られた。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【発明の効果】本発明の高精密転写性ポリカーボネート
樹脂光学用成形材料は、ポリカーボネート樹脂を成形し
てなる光記録媒体、とりわけ高密度記録媒体の製造に関
して、スタンパー形状に対する精密転写性に好適であ
り、ハイサイクル成形で使用される高温成形に対して、
極めて熱安定性に優れ、且つ、長期に渡って高い信頼性
を維持できる光学用ディスクが得られる高精密転写性ポ
リカーボネート樹脂光学用成形材料として好適に用いら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 邦維 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 (72)発明者 藤丸 滋樹 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CG011 CG012 GS02 4J029 AA10 AB07 AC01 AD01 AD10 AE05 BB16A BB16B BB16C HC01 HC02 HC03 HC05A KE05 KE09 5D029 KA16 KA30 WB11 WB17 WC01 WD01 WD10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
    ル)プロパンを二価フェノール成分として得られた芳香
    族ポリカーボネート樹脂(PC−A)60〜99重量%
    と下記式[I] 【化1】 (但し、式中R1〜R4は、それぞれ独立して水素原子ま
    たは炭素原子数1〜4の炭化水素基を示す)で表される
    化合物を二価フェノール成分として得られた芳香族ポリ
    カーボネート樹脂(PC−M)1〜40重量%とを含有
    してなる混合樹脂組成物からなり、且つ、総塩素含有量
    が20ppm以下であることを特徴とする高精密転写性
    ポリカーボネート樹脂光学用成形材料。
  2. 【請求項2】 前記芳香族ポリカーボネート樹脂(PC
    −A)はその粘度平均分子量が12,000〜20,00
    0の範囲である請求項1記載の高精密転写性ポリカーボ
    ネート樹脂光学用成形材料。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリカーボネート樹脂(PC
    −M)はその粘度平均分子量が、5,000〜25,00
    0の範囲である請求項1または2記載のいずれかの高精
    密転写性ポリカーボネート樹脂光学用成形材料。
  4. 【請求項4】 総塩素含有量が、15ppm以下であ
    る、高精密転写性ポリカーボネート樹脂光学用成形材
    料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載のいずれかのポリカー
    ボネート樹脂光学用成形材料により成形された光ディス
    ク基板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4記載のいずれかのポリカー
    ボネート樹脂光学用成形材料により成形されたグルーブ
    列もしくはピット列の間隔が0.1μm〜0.8μmであ
    る光ディスク基板。
  7. 【請求項7】 グルーブもしくはピットの光学的深さ
    が、記録再生に使われるレーザー光の波長λと基板の屈
    折率nに対してλ/8n〜λ/2nの範囲である請求項
    6記載の光ディスク基板。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7記載のいずれかの光ディス
    ク基板を用いた光学記録媒体。
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