JP2002240698A - 車両の運動制御装置 - Google Patents

車両の運動制御装置

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JP2002240698A
JP2002240698A JP2001041489A JP2001041489A JP2002240698A JP 2002240698 A JP2002240698 A JP 2002240698A JP 2001041489 A JP2001041489 A JP 2001041489A JP 2001041489 A JP2001041489 A JP 2001041489A JP 2002240698 A JP2002240698 A JP 2002240698A
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control
wheel
pressure
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auxiliary reservoir
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JP2001041489A
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Tetsuya Kuno
哲也 久野
Masanobu Fukami
昌伸 深見
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Aisin Corp
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動加圧制御を行なう車両の運動制御装置に
おいて、バキュームブースタ等を適切に制御することに
より、バキュームブースタの負圧が小さいときにも適切
に車両の運動制御を行う。 【解決手段】 補助リザーバ(RS1)内のブレーキ液
の量が所定量以上であるときに、ブースタ駆動装置(B
D)を駆動位置から保持位置(変圧室を定圧室及び大気
に対して遮断)に切換え、保持位置に維持した状態で、
液圧ポンプ(HP1)を駆動し補助リザーバ内のブレー
キ液をマスタシリンダ(MC)に供給する。また、自動
加圧制御中に所定のタイミングで液圧制御弁装置(PC
1乃至PC8)を駆動して非制御輪のホイールシリンダ
に対し連通モード(ホイールシリンダをマスタシリンダ
と補助リザーバの両者に連通)を設定し、非制御輪のス
リップを検出したときには連通モードの設定を解除す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクション制
御、制動操舵制御等の種々の制御を行なう車両の運動制
御装置に関し、特に、ブレーキペダルの操作とは無関係
にバキュームブースタを駆動してブレーキ液圧を発生す
る自動液圧発生装置とホイールシリンダの各々との間に
液圧制御弁を介装し、車両の運動状態に応じて自動液圧
発生装置を駆動制御すると共に液圧制御弁を駆動制御
し、ホイールシリンダに対し自動加圧制御を行ない得る
車両の運動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】車両の運動制御装置における制御用のブ
レーキ力を得る手段としては、種々の手段が知られてい
るが、このうち、真空倍力装置、即ちバキュームブース
タを利用したものが、例えば特表平10−508552
号公報に開示されている。同公報には、ドライバの意思
に関係なく作動可能な空圧ブレーキ力ブースタと、その
下流に接続され、液圧装置を介して個々のホイールブレ
ーキに接続する圧力チャンバを有するマスタブレーキシ
リンダを具備し、液圧装置が、リターンポンプ、定圧ア
キュムレータ、マスタブレーキシリンダとホイールブレ
ーキ間に挿置された第1バルブ、及びマスタブレーキシ
リンダとリターンポンプ間に挿置された第2バルブを有
し、安定制御駆動及び/又はトラクションスリップ制御
するためのアンチロック付き自動車ブレーキ装置の操作
方法が開示されている。そして、ブレーキ力ブースタに
よって供給する圧力が不充分な場合には第1バルブを閉
位置に切り換えると共に、リターンポンプによってホイ
ールブレーキを増圧することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の公報に開示され
た自動車ブレーキ装置の操作方法においては、ブレーキ
力ブースタ(バキュームブースタ)によって供給する圧
力が不充分な場合にはリターンポンプによってホイール
ブレーキを増圧することとされているが、これを行なう
には第1バルブ及び第2バルブが必須である。即ち、安
定制御駆動及び/又はトラクションスリップ制御を行な
うために必要な液圧制御弁装置を構成するバルブに加え
て、第1バルブ及び第2バルブが必要となり、コストア
ップは不可避である。
【0004】そこで、本発明は、ブレーキペダルの非操
作時にバキュームブースタを駆動しホイールシリンダに
対し自動加圧制御を行なう車両の運動制御装置におい
て、バキュームブースタ等を適切に制御することによ
り、簡単な構成でバキュームブースタの負圧が小さいと
きにも適切に車両の運動制御を行うことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の車両の運動制御装置は、請求項1に記載の
ように、車両の各車輪に装着するホイールシリンダと、
ブレーキペダルの操作とは無関係にブレーキ液圧を発生
する自動液圧発生装置と、該自動液圧発生装置と前記ホ
イールシリンダの各々との間に介装し、前記ホイールシ
リンダの各々のブレーキ液圧を制御する液圧制御弁装置
と、前記車両の運動状態に応じて前記自動液圧発生装置
を駆動制御すると共に、前記液圧制御弁装置を駆動制御
し、少くとも前記ブレーキペダルの非操作時に前記ホイ
ールシリンダに対し自動加圧制御を行ない前記車両の運
動制御を行なう制御手段とを備えている。更に、前記液
圧制御弁装置を介して前記ホイールシリンダに接続しブ
レーキ液を貯蔵する補助リザーバと、該補助リザーバに
吸入側を接続し、前記液圧制御弁装置の上流側に吐出側
を接続する液圧ポンプと、非制御対象車輪のスリップを
検出するスリップ検出手段を備え、前記自動液圧発生装
置は、前記ホイールシリンダにブレーキ液圧を供給する
マスタシリンダと、負圧を導入する定圧室、及び該定圧
室又は大気に連通する変圧室を有し、該変圧室と大気と
の連通、及び前記変圧室と前記定圧室との連通を制御
し、前記変圧室と前記定圧室との間の差圧に応じて前記
マスタシリンダを倍力駆動するバキュームブースタと、
前記変圧室を前記定圧室に対して遮断した状態で前記変
圧室を大気に連通する駆動位置、前記変圧室を前記定圧
室及び大気に対して遮断した状態に保持する保持位置、
並びに前記駆動位置及び前記保持位置を解除する解除位
置を、前記ブレーキペダル操作とは無関係に切換えるブ
ースタ駆動装置を具備している。そして、前記液圧制御
弁装置は、前記液圧制御弁装置は、前記ホイールシリン
ダを前記マスタシリンダのみに連通する増圧モード、前
記ホイールシリンダを前記補助リザーバのみに連通する
減圧モード、前記ホイールシリンダと前記マスタシリン
ダ及び前記補助リザーバの両者との連通を遮断する保持
モード、並びに前記ホイールシリンダを前記マスタシリ
ンダ及び前記補助リザーバの両者に連通する連通モード
を設定し、前記制御手段は、自動加圧制御中に所定のタ
イミングで前記液圧制御弁装置を駆動して非制御対象車
輪のホイールシリンダに対し前記連通モードを設定し、
その結果、前記補助リザーバ内のブレーキ液の量が所定
量以上になったときに、前記ブースタ駆動装置を前記駆
動位置から前記保持位置に切換えて前記保持位置に維持
した状態で、前記液圧ポンプを駆動し前記補助リザーバ
内のブレーキ液を前記マスタシリンダに供給し、前記ス
リップ検出手段が前記非制御対象車輪のスリップを検出
した場合に、前記連通モードの設定を解除するように構
成したものである。
【0006】前記制御手段は、請求項2に記載のよう
に、前記ブースタ駆動装置を前記保持位置とする場合に
おいて、前記スリップ検出手段が前記非制御対象車輪の
スリップを検出したときには、前記液圧制御弁装置を駆
動して前記非制御対象車輪のホイールシリンダに対し前
記減圧モードを設定するように構成することが望まし
い。
【0007】尚、前記制御手段は、前記液圧ポンプ及び
前記液圧制御弁装置の作動状況等を監視することによっ
て、前記補助リザーバ内のブレーキ液が所定量以上か否
かを判定することができるが、例えば、請求項3に記載
のように、前記ブースタ駆動装置を前記駆動位置とした
後の経過時間に基づき、前記補助リザーバ内のブレーキ
液の量が所定量以上であるか否かを判定するように構成
することができる。
【0008】前記スリップ検出手段は、請求項4に記載
のように、前記非制御対象車輪の車輪加速度及び前記非
制御対象車輪のスリップ率の少くとも一方の変化に基づ
き、前記非制御対象車輪のスリップを検出するように構
成することができる。
【0009】そして、前記液圧制御弁装置は、請求項5
に記載のように、前記ホイールシリンダと前記マスタシ
リンダとの間に介装する常開の第1の開閉弁と、前記ホ
イールシリンダと前記補助リザーバとの間に介装する常
閉の第2の開閉弁を備え、前記増圧モードでは前記第1
の開閉弁を開位置とすると共に前記第2の開閉弁を閉位
置とし、前記減圧モードでは前記第1の開閉弁を閉位置
とすると共に前記第2の開閉弁を開位置とし、前記保持
モードでは前記第1及び第2の開閉弁を閉位置とし、前
記連通モードでは前記第1及び第2の開閉弁を開位置と
するように構成することができる。
【0010】また、前記制御手段は、請求項6に記載の
ように、自動加圧制御中に制御対象車輪のホイールシリ
ンダに対し前記増圧モードが設定されていないときに、
前記制御対象車輪と同一の液圧系統に属する非制御対象
車輪のホイールシリンダに対し前記連通モードを設定す
る構成としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の望ましい実施形態
を図面を参照して説明する。先ず、図1を参照して本発
明の一実施形態を含む車両の全体構成を説明する。エン
ジンEGはスロットル制御装置TH及び燃料噴射装置F
Iを備えた内燃機関で、スロットル制御装置THにおい
てはアクセルペダルAPの操作に応じてメインスロット
ルバルブMTのメインスロットル開度が制御される。ま
た、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットル制
御装置THのサブスロットルバルブSTが駆動されサブ
スロットル開度が制御されると共に、燃料噴射装置FI
が駆動され燃料噴射量が制御されるように構成されてい
る。本実施形態のエンジンEGは変速制御装置GSを介
して車両前方の車輪FL,FRに連結されており、所謂
前輪駆動方式が構成されているが、本発明における駆動
方式をこれに限定するものではない。
【0012】制動系については、車輪FL,FR,R
L,RRに夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wr
l,Wrrが装着されており、これらのホイールシリン
ダWfl等にブレーキ液圧制御装置BCが接続されてい
る。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示
し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車
輪RRは後方右側の車輪を示している。尚、ブレーキ液
圧制御装置BCについては図2を参照して後述する。
【0013】車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度
センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御
装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち
車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装
置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブ
レーキペダルBPが踏み込まれたときオンとなるブレー
キスイッチBS、車両前方の車輪FL,FRの舵角δf
を検出する前輪舵角センサSSf、車両の横加速度を検
出する横加速度センサYG、車両のヨーレイトを検出す
るヨーレイトセンサYS、並びにメインスロットルバル
ブMT及びサブスロットルバルブSTの開度を検出する
スロットルセンサSS等が電子制御装置ECUに接続さ
れている。尚、ヨーレイトセンサYSにおいては、車両
重心を通る鉛直軸回りの車両回転角(ヨー角)の変化速
度即ちヨー角速度(ヨーレイト)が検出され実ヨーレイ
トγa として電子制御装置ECUに出力される。
【0014】本実施形態の電子制御装置ECUは、図1
に示すように、バスを介して相互に接続されたプロセシ
ングユニットCPU、メモリROM,RAM、入力ポー
トIPT及び出力ポートOPT等から成るマイクロコン
ピュータCMPを備えている。上記車輪速度センサWS
1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、前輪舵角センサ
SSf、ヨーレイトセンサYS、横加速度センサYG、
スロットルセンサSS等の出力信号は増幅回路AMPを
介して夫々入力ポートIPTからプロセシングユニット
CPUに入力されるように構成されている。また、出力
ポートOPTからは駆動回路ACTを介してスロットル
制御装置TH及びブレーキ液圧制御装置BCに夫々制御
信号が出力されるように構成されている。
【0015】マイクロコンピュータCMPにおいては、
メモリROMは図4乃至図9に示したフローチャートを
含む種々の処理に供するプログラムを記憶し、プロセシ
ングユニットCPUは図示しないイグニッションスイッ
チが閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリ
RAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを一
時的に記憶する。尚、スロットル制御等の各制御毎に、
もしくは関連する制御を適宜組合せて複数のマイクロコ
ンピュータを構成し、相互間を電気的に接続することと
してもよい。
【0016】上記のブレーキ液圧制御装置BCを含む制
動系は、図2に示すように、ブレーキペダルBPの操作
に応じてバキュームブースタVBを介してマスタシリン
ダMCが倍力駆動され、マスタリザーバLRS内のブレ
ーキ液が昇圧されて車輪FR,RL側及び車輪FL,R
R側の二つのブレーキ液圧系統にマスタシリンダ液圧が
出力されるように構成されており、所謂X配管が構成さ
れている。マスタシリンダMCは二つの圧力室を有する
タンデム型のマスタシリンダで、一方の圧力室は車輪F
R,RL側のブレーキ液圧系統に連通接続され、他方の
圧力室は車輪FL,RR側のブレーキ液圧系統に連通接
続されている。尚、バキュームブースタVBについては
図3を参照して後述する。
【0017】本実施形態の車輪FR,RL側のブレーキ
液圧系統においては、一方の圧力室は主液圧路MF及び
その分岐液圧路MFr,MFlを介して夫々ホイールシ
リンダWfr,Wrlに接続されている。分岐液圧路M
Fr,MFlには夫々、常開型の2ポート2位置電磁開
閉弁PC1及びPC2(以下、単に電磁弁PC1,PC
2という)が介装されている。また、ホイールシリンダ
Wfr,Wrlに連通接続される排出側の分岐液圧路R
Fr,RFlに、夫々常閉型の2ポート2位置電磁開閉
弁PC5,PC6(以下、単に電磁弁PC5,PC6と
いう)が介装されており、分岐液圧路RFr,RFlが
合流した排出液圧路RFは補助リザーバRS1に接続さ
れている。
【0018】更に、電磁弁PC1,PC2と並列に夫々
逆止弁CV1,CV2が介装されている。逆止弁CV
1,CV2は、マスタシリンダMC方向へのブレーキ液
の流れを許容しホイールシリンダWfr,Wrl方向へ
のブレーキ液の流れを制限するもので、これらの逆止弁
CV1,CV2を介してホイールシリンダWfr,Wr
l内のブレーキ液がマスタシリンダMCひいてはマスタ
リザーバLRSに戻されるように構成されている。而し
て、ブレーキペダルBPが解放されたときに、ホイール
シリンダWfr,Wrl内の液圧はマスタシリンダMC
側の液圧低下に迅速に追従し得る。
【0019】車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統にお
いては、電磁弁PC1,PC2の上流側で分岐液圧路M
Fr,MFlに連通接続する液圧路MFpに、液圧ポン
プHP1が介装され、その吸込側には逆止弁CV5を介
して補助リザーバRS1が接続されている。液圧ポンプ
HP1は、液圧ポンプHP2と共に一つの電動モータM
によって駆動され、吸込側からブレーキ液を導入し所定
の圧力に昇圧して吐出側から出力するように構成されて
いる。補助リザーバRS1は、マスタシリンダMCのマ
スタリザーバLRSとは独立して設けられるもので、ア
キュムレータということもでき、ピストンとスプリング
を備え、後述する種々の制御に必要な容量のブレーキ液
を貯蔵し得るように構成されている。
【0020】液圧ポンプHP1の吐出側は、逆止弁CV
6及びダンパDP1を介して夫々電磁弁PC1,PC2
に接続されている。逆止弁CV5は補助リザーバRS1
へのブレーキ液の流れを阻止し、逆方向の流れを許容す
るものである。また、逆止弁CV6は液圧ポンプHP1
を介して吐出されるブレーキ液の流れを一定方向に規制
するもので、通常は液圧ポンプHP1内に一体的に構成
されている。尚、液圧ポンプHP1の吐出側にダンパD
P1が配設され、後輪側のホイールシリンダWrlに至
る液圧路にプロポーショニングバルブPV1が介装され
ている。
【0021】車輪FL,RR側のブレーキ液圧系統にお
いても同様に、常開型の2ポート2位置電磁開閉弁PC
3,PC4、常閉型の2ポート2位置電磁開閉弁PC
7,PC8、逆止弁CV3,CV4,CV7,CV8、
補助リザーバRS2、ダンパDP2及びプロポーショニ
ングバルブPV2が設けられており、液圧ポンプHP2
は電動モータMによって液圧ポンプHP1と共に駆動さ
れる。
【0022】而して、上記の電磁弁PC1乃至PC8に
よって本発明にいう液圧制御弁装置が構成され、これら
の電磁弁PC1乃至PC8が前述の電子制御装置ECU
によって駆動制御され、制動操舵制御を初めとする各種
制御が行なわれる。例えば、車輪FRのホイールシリン
ダWfrの液圧制御に関し、増圧モード(及び、通常のブ
レーキ作動時)では開閉弁PC1が開位置とされると共
に開閉弁PC5が閉位置とされ、減圧モードでは開閉弁
PC1が閉位置とされると共に開閉弁PC5が開位置と
され、保持モードでは開閉弁PC1及びPC5が共に閉
位置とされ、連通モードでは開閉弁PC1及びPC5が
共に開位置とされる。
【0023】次に、バキュームブースタVBは図3に示
すように構成され、その内部には、少くともブレーキペ
ダル非操作時にバキュームブースタVBを自動的に駆動
するブースタ駆動装置BDが設けられている。バキュー
ムブースタVBの基本構成は従来同様であり、可動壁B
1により定圧室B2と変圧室B3が形成されており、可
動壁B1はパワーピストンB4と一体的に連結されてい
る。定圧室B2は常時エンジンEGの吸気管(図示せ
ず)に連通し負圧が導入されるように構成されている。
パワーピストンB4は、後述する固定コアD2及びリア
クションディスクB9を介して出力ロッドB10に力伝
達可能に連結され、出力ロッドB10はマスタシリンダ
MCに連結されている。
【0024】パワーピストンB4内には、定圧室B2と
変圧室B3との間の連通を断続するバキュームバルブV
1と、変圧室B3と大気との間の連通を断続するエアバ
ルブV2とから成る弁機構B5が設けられている。バキ
ュームバルブV1は、パワーピストンB4に形成された
環状弁座V11と、この環状弁座V11に着脱可能な弾
性弁体V12とを備える。エアーバルブV2は、弾性弁
体V12に装着された弾性弁座V21と、この弾性弁座
V21に着脱可能な弁体V22とを備える。弁体V22
は、ブレーキペダルBPに連動可能な入力ロッドB6に
連結され、スプリングB7の付勢力により弾性弁座V2
1に着座する方向に付勢される。また、スプリングB8
の付勢力により、バキュームバルブV1の弾性弁体V1
2は環状弁座V11に着座する方向に付勢されると共
に、エアバルブV2の弾性弁座V21は弁体22に着座
する方向に付勢されている。
【0025】而して、ブレーキペダルBP(図2)の操
作に応じて弁機構B5のバキュームバルブV1及びエア
バルブV2が開閉し、定圧室B2と変圧室B3との間に
ブレーキペダルBPの操作力に応じた差圧が生じ、その
結果、ブレーキペダルBPの操作に応じて増幅された出
力がマスタシリンダMCに伝達される。
【0026】ブースタ駆動装置BDはソレノイドD1、
固定コアD2及び可動コアD3を有し、ソレノイドD1
は、通電時に可動コアD3を固定コアD2に向けて吸引
するもので、図1に示す電子制御装置ECUに電気的に
接続されている。固定コアD2は、パワーピストンB4
とリアクションディスクB9の間に配設され、パワーピ
ストンB4からリアクションディスクB9へ力伝達可能
となっている。可動コアD3は、ソレノイドD1内で固
定コアD2と対向するように配置され、固定コアD2と
の間に磁気ギャップD4が形成されている。可動コアD
3は、エアバルブV2の弁体V22に係合しており、可
動コアD3が固定コアD2に対し磁気ギャップD4を減
少させる方向に相対移動すると、エアバルブV2の弁体
V22が一体的に移動するように構成されている。
【0027】而して、ブースタ駆動装置BDは、変圧室
B3を大気に連通する駆動位置、変圧室B3を定圧室B
2及び大気に対して連通を遮断した状態に保持する保持
位置、並びに駆動位置及び保持位置を解除する解除位置
を、ブレーキペダルBPの操作とは無関係に切換えるよ
うに構成されている。尚、解除位置では、バキュームブ
ースタVBはブレーキペダル操作に応じて弁機構B5に
よって駆動される。
【0028】入力ロッドB6は、第1入力ロッドB61
と第2入力ロッドB62とから構成されている。第1入
力ロッドB61は、ブレーキペダルBPに一体的に連結
されている。第2入力ロッドB62は、第1入力ロッド
B61に対し相対移動可能で、パワーピストンB4によ
ってキー部材B11を介して出力ロッドB10側に力伝
達可能に構成されている。従って、第2入力ロッドB6
2のみが前進駆動されると第1入力ロッドB61は残置
され、これらの第1及び第2入力ロッドB61,B62
によって所謂ペダル残置機構が構成されている。
【0029】而して、バキュームブースタVB(ブース
タ駆動装置BDを含む)及びマスタシリンダMCによっ
て自動液圧発生装置が構成されており、この自動液圧発
生装置によって、少なくともブレーキペダル非操作時に
制御対象車輪に対し自動加圧制御(例えば制動操舵制御
やトラクション制御)を行なう際の、バキュームブース
タVB等の作動について、以下に説明する。
【0030】電子制御装置ECUにより自動加圧制御が
開始されると、ソレノイドD1が通電され、可動コアD
3が磁気ギャップD4側に移動し、エアバルブV2の弁
体V22がスプリングB7の付勢力に抗して可動コアD
3と一体的に移動する。その結果、スプリングB8によ
りバキュームバルブV1の弾性弁体V12が環状弁座V
11に着座し、変圧室B3と定圧室B2との連通状態が
遮断される。その後、エアバルブV2の弁体V22が更
に移動するため、弁体V22が弾性弁座V21から離脱
し、変圧室B3に大気が導入される。これにより、変圧
室B3及び定圧室B2間に差圧が発生し、パワーピスト
ンB4、固定コアD2、リアクションディスクB9及び
出力ロッドB10がマスタシリンダMC(図2)側に前
進し、その結果、マスタシリンダMCから自動的にブレ
ーキ液圧が出力される。
【0031】そして、パワーピストンB4がキー部材B
11に係合した後、キー部材B11に係合する第2入力
ロッドB62がパワーピストンB4と一体的に前進す
る。このとき、第1入力ロッドB61にはパワーピスト
ンB4の前進力が伝達されないため、初期位置に維持さ
れる。つまり、ブースタ駆動装置BDによりバキューム
ブースタVBが自動的に駆動されている間に、ブレーキ
ペダルBPは初期位置に維持される。
【0032】上記のブースタ駆動装置BD、開閉弁PC
1乃至PC8及び電動モータMは電子制御装置ECUに
よって駆動制御され、制動操舵制御(オーバーステア抑
制制御又はアンダーステア抑制制御)等の運動制御が行
われる。イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成さ
れると、6msの演算周期で図4のフローチャートに対
応した運動制御のプログラムが実行される。
【0033】先ずステップ101にてマイクロコンピュ
ータCMPが初期化され、各種の演算値がクリアされ
る。次にステップ102において、車輪速度センサWS
1乃至WS4の検出信号が読み込まれると共に、前輪舵
角センサSSfの検出信号(舵角δf )、ヨーレイトセ
ンサYSの検出信号(実ヨーレイトγa )、横加速度セ
ンサYGの検出信号(実横加速度であり、Gyaで表す)
及びスロットルセンサSSの検出信号等が読み込まれ
る。
【0034】次に、ステップ103に進み、各車輪の車
輪速度Vw** (**は各車輪FR等を表す)が演算されると
共に、これらが微分され各車輪の車輪加速度DVw** が
求められる。続いて、ステップ104において各車輪の
車輪速度Vw** の最大値が車両重心位置での推定車体速
度Vsoとして演算される(Vso=MAX( Vw**))。ま
た、各車輪の車輪速度Vw** に基づき各車輪毎に推定車
体速度Vso**が求められ、必要に応じ、車両旋回時の内
外輪差等に基づく誤差を低減するため正規化が行われ
る。更に、推定車体速度Vsoが微分され、車両重心位置
での推定車体加速度(符号が逆の推定車体減速度を含
む)DVsoが演算される。
【0035】そして、ステップ105において、上記ス
テップ103及び104で求められた各車輪の車輪速度
Vw** と推定車体速度Vso**(あるいは、正規化推定車
体速度)に基づき各車輪の実スリップ率Sa** がSa**
=(Vso**−Vw** )/Vso**として求められる。次
に、ステップ106おいて、車両重心位置での推定車体
加速度DVsoと横加速度センサYGの検出信号の実横加
速度Gyaに基づき、路面摩擦係数μが近似的に(DVso
2 +Gya2)1/2 として求められる。更に、路面摩擦係数
を検出する手段として、直接路面摩擦係数を検出するセ
ンサ等、種々の手段を用いることができる。
【0036】続いて、ステップ107,108にて車体
横すべり角速度Dβが演算されると共に、車体横すべり
角βが演算される。この車体横すべり角βは、車両の進
行方向に対する車体のすべりを角度で表したもので、次
のように演算し推定することができる。即ち、車体横す
べり角速度Dβは車体横すべり角βの微分値dβ/dt
であり、ステップ107にてDβ=Gya/Vso−γa と
して求めることができ、これをステップ108にて積分
しβ=∫(Gya/Vso−γa )dtとして車体横すべり
角βを求めることができる。
【0037】続いて、ステップ109に進み制動操舵制
御モードとされ、制動操舵制御に供する目標スリップ率
が設定され、ステップ118の液圧サーボ制御により、
車両の運転状態に応じて各車輪に対する制動トルクが制
御される。この制動操舵制御は、後述する全ての制御モ
ードにおける制御に対し重畳される。この後ステップ1
10に進み、アンチスキッド制御開始条件を充足してい
るか否かが判定され、開始条件を充足し制動操舵時にア
ンチスキッド制御開始と判定されると、初期特定制御は
直ちに終了しステップ111にて制動操舵制御及びアン
チスキッド制御の両制御を行なうための制御モードに設
定される。
【0038】ステップ110にてアンチスキッド制御開
始条件を充足していないと判定されたときには、ステッ
プ112に進み前後制動力配分制御開始条件を充足して
いるか否かが判定され、制動操舵制御時に前後制動力配
分制御開始と判定されるとステップ113に進み、制動
操舵制御及び前後制動力配分制御の両制御を行なうため
の制御モードに設定され、充足していなければステップ
114に進みトラクション制御開始条件を充足している
か否かが判定される。制動操舵制御時にトラクション制
御開始と判定されるとステップ115にて制動操舵制御
及びトラクション制御の両制御を行なうための制御モー
ドに設定され、制動操舵制御時に何れの制御も開始と判
定されていないときには、ステップ116にて制動操舵
制御開始条件を充足しているか否かが判定される。
【0039】ステップ116において制動操舵制御開始
と判定されるとステップ117に進み制動操舵制御のみ
を行なう制御モードに設定される。そして、これらの制
御モードに基づきステップ118にて液圧サーボ制御が
行なわれた後ステップ102に戻る。尚、前後制動力配
分制御モードにおいては、車両の制動時に車両の安定性
を維持するように、後輪に付与する制動力の前輪に付与
する制動力に対する配分が制御される。ステップ116
において制動操舵制御開始条件も充足していないと判定
されると、ステップ119にて全ての電磁弁のソレノイ
ドがオフとされ図2に示す定常状態とされた後ステップ
102に戻る。尚、ステップ111,113,115,
117に基づき、必要に応じ、車両の運転状態に応じて
スロットル制御装置THのサブスロットル開度が調整さ
れエンジンEGの出力が低減され、駆動力が制限され
る。
【0040】図5は図4のステップ109における制動
操舵制御に供する目標スリップ率の設定の具体的処理内
容を示すもので、制動操舵制御にはオーバーステア抑制
制御及びアンダーステア抑制制御が含まれ、各車輪に関
しオーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア抑
制制御に応じた目標スリップ率が設定される。先ず、ス
テップ201,202においてオーバーステア抑制制御
及びアンダーステア抑制制御の開始・終了判定が行なわ
れる。
【0041】ステップ201で行なわれるオーバーステ
ア抑制制御の開始・終了判定は、図10のマップに斜線
で示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即
ち、判定時における車体横すべり角βと車体横すべり角
速度Dβの値に応じて制御領域に入ればオーバーステア
抑制制御が開始され、制御領域を脱すればオーバーステ
ア抑制制御が終了とされ、図10に矢印の曲線で示した
ように制御される。また、図10に二点鎖線で示し制御
開始判定のしきい値を表す境界から、制御領域側に外れ
るに従って制御量が大となるように各車輪の制動力が制
御される。
【0042】一方、ステップ202で行なわれるアンダ
ーステア抑制制御の開始・終了判定は、図11に斜線で
示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即
ち、判定時において目標横加速度Gytに対する実横加速
度Gyaの変化に応じて、一点鎖線で示す理想状態から外
れて制御領域に入ればアンダーステア抑制制御が開始さ
れ、制御領域を脱すればアンダーステア抑制制御が終了
とされ、図11に矢印の曲線で示したように制御され
る。
【0043】続いて、ステップ203にてオーバーステ
ア抑制制御が制御中か否かが判定され、制御中でなけれ
ばステップ204にてアンダーステア抑制制御が制御中
か否かが判定され、これも制御中でなければそのままメ
インルーチンに戻る。ステップ204にてアンダーステ
ア抑制制御と判定されたときにはステップ205に進
み、各車輪の目標スリップ率が後述するアンダーステア
抑制制御用に設定される。ステップ203にてオーバー
ステア抑制制御と判定されると、ステップ206に進み
アンダーステア抑制制御か否かが判定され、アンダース
テア抑制制御でなければステップ207において各車輪
の目標スリップ率は後述するオーバーステア抑制制御用
に設定される。また、ステップ206でアンダーステア
抑制制御が制御中と判定されると、オーバーステア抑制
制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれること
になり、ステップ208にて同時制御用の目標スリップ
率が設定される。
【0044】ステップ207におけるオーバーステア抑
制制御用の目標スリップ率の設定には、車体横すべり角
βと車体横すべり角速度Dβが用いられる。また、アン
ダーステア抑制制御における目標スリップ率の設定に
は、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaとの差が用いら
れる。この目標横加速度GytはGyt=γ(θf)・Vso
に基づいて求められる。ここで、γ(θf)はγ(θ
f)={θf/( N・L)}・Vso/(1+Kh ・Vso
2 )として求められ、Kh はスタビリティファクタ、N
はステアリングギヤレシオ、Lはホイールベースを表
す。
【0045】ステップ205における各車輪の目標スリ
ップ率は、旋回外側の前輪がStufoに設定され、旋回内
側の前輪がStufiに設定され、旋回内側の後輪がSturi
に設定される。ここで示したスリップ率(S)の符号に
ついては "t"は「目標」を表し、後述の「実測」を表す
"a"と対比される。 "u"は「アンダーステア抑制制御」
を表し、 "r"は「後輪」を表し、 "o"は「外側」を、 "
i"は「内側」を夫々表す。
【0046】ステップ207における各車輪の目標スリ
ップ率は、旋回外側の前輪がStefoに設定され、旋回内
側の後輪がSteriに設定される。ここで、 "e"は「オー
バーステア抑制制御」を表す。そして、ステップ208
における各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪が
Stefoに設定され、旋回内側の前輪がStufiに設定さ
れ、旋回内側の後輪がSturiに夫々設定される。即ち、
オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同
時に行なわれるときには、旋回外側の前輪はオーバース
テア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定され、旋回
内側の車輪は何れもアンダーステア抑制制御の目標スリ
ップ率と同様に設定される。尚、何れの場合も旋回外側
の後輪(即ち、前輪駆動車における従動輪)は推定車体
速度設定用のため非制御とされている。
【0047】オーバーステア抑制制御に供する旋回外側
の前輪の目標スリップ率Stefoは、Stefo=K1 ・β+
K2 ・Dβとして設定され、旋回内側の後輪の目標スリ
ップ率Steriは”0”とされる。ここで、K1 ,K2は
定数で、加圧方向(制動力を増大する方向)の制御を行
なう値に設定される。一方、アンダーステア抑制制御に
供する目標スリップ率は、目標横加速度Gytと実横加速
度Gyaの偏差ΔGy に基づいて以下のように設定され
る。即ち、旋回外側の前輪に対する目標スリップ率Stu
foはK3 ・ΔGy と設定され、定数K3 は加圧方向(も
しくは減圧方向)の制御を行なう値に設定される。ま
た、旋回内側の後輪に対する目標スリップ率SturiはK
4 ・ΔGy に設定され、定数K4 は加圧方向の制御を行
なう値に設定される。
【0048】図6は図3のステップ118で行なわれる
液圧サーボ制御の処理内容を示すもので、各車輪につい
てホイールシリンダ液圧のスリップ率サーボ制御が行な
われる。先ず、前述のステップ205,207又は20
8にて設定された目標スリップ率St** がステップ30
1にて読み出され、これらがそのまま各車輪の目標スリ
ップ率St** として読み出される。
【0049】続いてステップ302において、各車輪毎
にスリップ率偏差ΔSt** が演算されると共に、ステッ
プ303にて車体加速度偏差ΔDVso**が演算される。
ステップ302においては、各車輪の目標スリップ率S
t** と実スリップ率Sa** の差が演算されスリップ率偏
差ΔSt** が求められる(ΔSt** =St** −Sa*
*)。また、ステップ303においては車両重心位置で
の推定車体加速度DVsoと制御対象の車輪における車輪
加速度DVw** の差が演算され、車体加速度偏差ΔDV
so**が求められる。このときの各車輪の実スリップ率S
a** 及び車体加速度偏差ΔDVso**はアンチスキッド制
御、トラクション制御等の制御モードに応じて演算が異
なるが、これらについては説明を省略する。
【0050】次に、ステップ304に進み、各制御モー
ドにおけるブレーキ液圧制御に供する一つのパラメータ
Y**がGs** ・ΔSt** として演算される。ここでGs*
* はゲインであり、車体横すべり角βに応じて設定され
る。また、ステップ305において、ブレーキ液圧制御
に供する別のパラメータX**がGd** ・ΔDVso**とし
て演算される。このときのゲインGd** は一定の値であ
る。この後、ステップ306に進み、各車輪毎に液圧モ
ードが設定されるが、これについては図7を参照して後
述する。続いて、ステップ307において、ブースタ駆
動処理、即ちブースタ駆動装置BDの駆動制御が行われ
るが、これについては図8を参照して後述する。
【0051】上記の液圧モードに応じて、ステップ30
8にて液圧制御ソレノイドの駆動処理が行なわれ、開閉
弁PC1乃至PC8のソレノイドが駆動され、各車輪の
制動力が制御される。そして、ステップ309にてモー
タMの駆動処理が行なわれるが、これについては図9を
参照して後述する。尚、上記の実施形態ではスリップ率
によって制御することとしているが、オーバーステア抑
制制御及びアンダーステア抑制制御の制御目標としては
スリップ率のほか、各車輪のホイールシリンダのブレー
キ液圧等、各車輪に付与される制動力に対応する目標値
であればどのような値を用いてもよい。尚、上記の図5
は制動操舵制御特有の処理に関するものであり、図6に
も制動操舵制御特有の処理が含まれているが、図6のス
テップ306以降、並びに後述する図7乃至図9は制動
操舵制御及びトラクション制御の両者に適用される。
【0052】図7は、図6のステップ306の液圧モー
ド設定の処理を示すもので、先ずステップ401におい
て、制動制御中か否かが判定される。即ち、図4に記載
の各制御モードによる制動制御中か否かが判定される。
ステップ401において制動制御中と判定された場合に
は、ステップ402に進み、判定対象の当該車輪が制動
制御中か否か、即ち、制御対象車輪(制御輪)か否かが
判定され、そうであればステップ403に進む。ステッ
プ403においては、前述のステップ305及び304
で求められたパラメータX**及びパラメータY**に基づ
き、図12に示す制御マップに従って液圧モードが設定
される。この制御マップには予め急減圧モード領域、パ
ルス減圧モード領域、保持モード領域、パルス増圧モー
ド領域及び急増圧モード領域の各領域が設定されてお
り、ステップ403にてパラメータX**及びパラメータ
Y**の値に応じて、何れの領域に該当するかが判定され
る(尚、図7のステップ403内には簡略して増圧、減
圧及び保持としている)。
【0053】一方、ステップ402において当該車輪が
制動制御中でないと判定された場合、即ち非制御対象車
輪(非制御輪)である場合には、ステップ405に進
み、ブースタ保持フラグFbの状態が判定される。この
ブースタ保持フラグFbは、全ての連通モードが完了
し、後述するようにブースタ駆動装置BDを保持位置に
設定する準備が完了したときにセット(1)されるもの
である。従って、このフラグは連通モード完了フラグと
いうこともできる。尚、前述のステップ403の後のス
テップ404ではブースタ保持フラグFbがリセット
(0)される。
【0054】而して、ステップ405においてブースタ
保持フラグFbがセットされていると判定された場合に
は、ステップ406に進み保持モードとされ、ブースタ
保持フラグFbがセットされていないと判定された場合
には、ステップ407に進む。ステップ407において
は、同一の液圧系統の制御輪(例えば車輪FRが非制御
輪であるときの車輪RL)が増圧制御中か否かが判定さ
れ、そうであればステップ406に進み、非制御輪であ
る車輪(車輪FR)は保持モードとされる。
【0055】ステップ407において同一の液圧系統の
制御輪(車輪RL)が増圧モードでないと判定される
と、ステップ408に進み、連通モードの合計時間Tt
(以下、連通時間Ttという)が所定時間Ktを経過し
たか否かが判定される。ステップ408において連通時
間Ttが所定時間Ktを経過していないと判定された場
合には、ステップ409に進み、非制御輪(車輪FR)
のスリップ状態が判定される。具体的には、非制御輪の
車輪加速度が正の値から負の値に転じたとき、及び/又
はスリップ率が変化したときに、非制御輪に微小スリッ
プが発生したと判定することができる。
【0056】ステップ409において非制御輪(車輪F
R)に微小スリップが発生していないと判定されると、
ステップ410に進み、非制御輪(車輪FR)に関する
液圧モードが連通モードとされ、開閉弁PC1及びPC
5が開位置とされる。このとき、ステップ410が初回
であればここで連通時間Ttのタイマのカウントが開始
する。この連通モードは、できるだけ早く補助リザーバ
内の液量を増加させるために設定されるモードであり、
補助リザーバRS1は、開位置の開閉弁PC1及びPC
5を介して、マスタシリンダMC(及び液圧ポンプの吐
出側)に連通する。
【0057】一方、ステップ408において連通時間T
tが所定時間Ktを経過したと判定された場合、及び所
定時間Ktを経過していないがステップ409において
非制御輪(車輪FR)に微小スリップが発生していると
判定された場合には、補助リザーバRS1内のブレーキ
液が満杯になったと推定される。特に、後者の場合は補
助リザーバRS1からブレーキ液が溢れ、これが非制御
輪(車輪FR)のホイールシリンダに供給されて微小ス
リップが発生したものと推定することができるので、補
助リザーバRS1に液量検出手段を設ける必要はなく、
安価に構成することができる。尚、上記のステップ40
8において、本実施形態では連通時間Ttが所定時間K
tを経過したか否かを判定することとしているが、ブー
スタ駆動装置BDが駆動位置とされた時から所定時間経
過したか否かを判定することとしてもよい。
【0058】而して、ステップ408において連通時間
Ttが所定時間Ktを経過したと判定された場合、及び
ステップ409において非制御輪に微小スリップが発生
していると判定された場合には、ステップ411に進
み、続くステップ412にて非制御輪(車輪FR)が減
圧モードとされた後の合計時間Td(以下、減圧時間T
dという)が、所定時間Kdを経過したか否かが判定さ
れる。即ち、ステップ411において非制御輪(車輪F
R)の減圧時間Tdが所定時間Kd以下である場合に
は、先ずステップ412に進み非制御輪(車輪FR)が
減圧モードとされ、ステップ413にてブースタ保持フ
ラグFbがセット(1)される。このとき、ステップ4
12が初回であればここで減圧時間Tdのタイマのカウ
ントが開始する。そして、ステップ411において減圧
時間Tdが所定時間Kdを経過したと判定されると、ス
テップ414にて非制御輪(車輪FR)は保持モードと
され、ステップ413に進む。
【0059】一方、ステップ401において制動制御中
でないと判定された場合には、ステップ415に進み、
全車輪が増圧モードとされ、通常のブレーキ作動が行な
われる。そして、ステップ416においてブースタ保持
フラグFbがリセット(0)される。
【0060】図8は、図6のステップ307のブースタ
駆動処理を示すもので、先ずステップ501において、
トラクション制御中又は制動操舵制御中の何れか、即ち
自動加圧制御中であるか否かが判定される。自動加圧制
御中であれば、ステップ502に進み、ブースタ保持フ
ラグFbの状態が判定される。このブースタ保持フラグ
Fbがセットされておれば、ブースタ駆動装置BDが保
持位置とされ、変圧室B3は定圧室B2及び大気に対し
て連通を遮断した状態に保持される。ブースタ保持フラ
グFbがセットされていなければ、ステップ504に進
み、ブースタ駆動装置BDは駆動位置とされ、変圧室B
3が大気に連通される。ステップ501において、トラ
クション制御中及び制動操舵制御中の何れでもないと判
定されたときには、ステップ505に進み、ブースタ駆
動装置BDは解除位置とされ、バキュームブースタVB
は弁機構B5によって駆動され得る状態となる。
【0061】図9は、図6のステップ309のモータ駆
動処理を示すもので、先ずステップ601において、ア
ンチスキッド制御中か否かが判定され、アンチスキッド
制御中であれば、ステップ602に進み、液圧ポンプH
P1,HP2駆動用の電動モータMがオンとされる。ス
テップ601において、アンチスキッド制御中でないと
判定され場合には、ステップ603に進み、更にトラク
ション制御中又は制動操舵制御中か否かが判定される。
トラクション制御中又は制動操舵制御中であれば、ステ
ップ604に進み、ブースタ保持フラグFbの状態が判
定される。そして、ブースタ保持フラグFbがセットさ
れておれば、ステップ605に進み電動モータMがオン
とされ、ブースタ保持フラグFbがセットされていなけ
れば、ステップ606に進み電動モータMがオフとされ
る。尚、ステップ603においてトラクション制御中及
び制動操舵制御中の何れでもないと判定された場合に
も、ステップ606に進み電動モータMがオフとされ
る。
【0062】次に、上記の構成に成る運動制御装置によ
って行なわれる制動制御の一例としてトラクション制御
(TRC)の作動例を、図13のタイミングチャートを
参照して説明する。図13において、先ずa点でトラク
ション制御が開始し、非制御輪(例えば車輪FR)が保
持モードとされ、ブースタ駆動装置BDが駆動位置とさ
れ、バキュームブースタVBが倍力作動を開始する。こ
れにより、マスタシリンダ液圧はf点近傍の上限値とな
るまで増圧され、増圧モードにある(具体的には、非制
動状態のトラクション制御中で図2の状態にある)制御
輪(例えば車輪RL)のホイールシリンダ液圧は、若干
の時間遅れを経て増圧が開始する。次に、b点で制御輪
が保持モードとされると、非制御輪は連通モードとされ
る。これにより、マスタシリンダMCから開位置の開閉
弁(例えばPC1,PC5)を介して補助リザーバ(例
えばRS1)内にブレーキ液が導入される。
【0063】このように、制御輪が増圧制御中でないと
きに非制御輪が連通モードとされ(図13のb−c間、
d−e間、及びf−i間)、その間に補助リザーバ(例
えばRS1)内にブレーキ液が導入され、補助リザーバ
内の液量が急増する。これに対し、制御輪が増圧制御中
であるときには、所謂回り込みが生じ、制御輪の制動力
制御に悪影響を及ぼすおそれがあるので、これを回避す
るため、制御輪が増圧制御中でないときに非制御輪が連
通モードとされる。
【0064】そして、i点で連通時間Ttが所定時間K
tを経過した場合(これらの時間は図13には示してい
ない)、あるいは所定時間Ktを経過していないが、図
13の最下段に示した非制御輪の車輪速度に表れている
ように、非制御輪に微小スリップが発生した場合には、
補助リザーバ(例えばRS1)内のブレーキ液が満杯に
なったと推定される。従って、例えば非制御輪のスリッ
プ率の変化に基づき、非制御輪に微小スリップが発生し
ていると判定された場合には、非制御輪のホイールシリ
ンダが減圧モードとされ、補助リザーバRS1から溢れ
たブレーキ液は以下の液圧ポンプ(例えばHP1)の作
動によってマスタシリンダMCに戻される。
【0065】同時に(i点で)、ブースタ駆動装置BD
が保持位置とされ、バキュームブースタVBは(制御が
終了するk点まで)、変圧室B3が大気及び負圧と遮断
された状態に保持され、定圧室B2に負圧が供給されて
いる状態に保持される。また、電動モータMが駆動され
て液圧ポンプHP1及びHP2が起動され、ブレーキ液
がマスタシリンダMCに供給される。而して、液圧ポン
プ(例えばHP1)の出力ブレーキ液圧によりバキュー
ムブースタVBの可動壁B1が後退し、変圧室Bが密閉
された状態でその容積が減少する。その結果、変圧室B
3内の圧力は、その容積減少分だけ増加して大気圧より
も高くなり、その倍力作動によりマスタシリンダ液圧が
i点での液圧から更に増圧されることになる。
【0066】このように、ブースタ駆動装置BDが保持
位置とされると共に、液圧ポンプ(例えばHP1)が起
動された後は、補助リザーバ(例えばRS1)からブレ
ーキ液が汲み上げられることになるので、それまでに十
分なブレーキ液を補助リザーバ内に収容しておく必要が
ある。このため、上記の所定時間Ktは、これ以前に補
助リザーバRS1内のブレーキ液が所定量Kf以上とな
るように設定される。また、補助リザーバ(例えばRS
1)内のブレーキ液が満杯と推定された場合には、非制
御輪は減圧モードとされるので、非制御輪に過剰なブレ
ーキ液が供給されることが回避される。尚、図13の下
から2段目は、非制御輪のホイールシリンダ液圧の変化
を示すもので、i点で微小変化が見られるが、以後は加
圧されることはなく0となる。
【0067】而して、j点で、制御輪に関し増圧モード
が選択されると(この間、非制御輪は保持モード)、増
圧したマスタシリンダ液圧が制御輪のホイールシリンダ
に付与され、ホイールシリンダ液圧は、図13の下から
3段目に示すように通常のホイールシリンダ液圧の最大
値P1より大の値P2に上昇する。尚、図13の下から
3段目の破線はマスタシリンダ液圧を示し、バキューム
ブースタVBの変圧室B3内の圧力もマスタシリンダ液
圧と同様の特性である。そして、k点でトラクション制
御が終了すると、制御輪及び非制御輪が減圧モードとさ
れると共に、ブースタ駆動装置BDは解除位置とされ、
マスタシリンダ液圧及びホイールシリンダ液圧は急激に
低下する。尚、液圧ポンプ(電動モータM)は制御輪及
び非制御輪が通常の状態(増圧モード)となった時点で
オフとされる。
【0068】以上のように、本実施形態によれば、ブー
スタ駆動装置BDを保持位置とした状態で、液圧ポンプ
(例えばHP1)を駆動して補助リザーバ(例えばRS
1)内のブレーキ液をマスタシリンダMCに供給するよ
うに構成されているので、液圧ポンプの出力ブレーキ液
圧により、バキュームブースタVBの変圧室B3の容積
が密閉された状態で減少し、変圧室B3内の圧力は、そ
の容積減少分だけ増加して大気圧よりも高くなる。その
結果、単に変圧室B3に大気を導入するだけのものに比
べ、マスタシリンダ液圧、ひいてはホイールシリンダの
ブレーキ液圧が大きくなり、制御輪に対し大きな制動力
を付与することができる。
【0069】而して、従前のような第1バルブ及び第2
バルブを用いることなく、制御輪に対し大きな制動力を
付与することができ、バキュームブースタの負圧が小さ
いときにも適切に車両の運動制御を行なうことができ
る。更に、非制御輪のスリップ状態を監視するという簡
単な手段で、補助リザーバ内のブレーキ液が満杯となっ
たことを推定することができ、しかも、満杯となったこ
とが推定された場合には、非制御輪のホイールシリンダ
は減圧モードとされるので、非制御輪のホイールシリン
ダに過剰なブレーキ液が供給されることを回避すること
ができる。
【0070】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載の車両の
運動制御装置においては、補助リザーバ内のブレーキ液
の量が所定量以上であるときに、ブースタ駆動装置を駆
動位置から保持位置に切換えて保持位置に維持した状態
で、液圧ポンプを駆動し補助リザーバ内のブレーキ液を
マスタシリンダに供給するように構成されているので、
液圧ポンプの出力ブレーキ液圧により、バキュームブー
スタの変圧室の容積が密閉状態で減少し、変圧室内の圧
力はその容積減少分だけ増加して大気圧よりも高くな
る。その結果、マスタシリンダ液圧ひいてはホイールシ
リンダのブレーキ液圧も確保される。従って、従前のよ
うな第1バルブ及び第2バルブを用いることなく、簡単
な構成で、バキュームブースタの負圧が小さいときにも
適切に車両の運動制御を行なうことができる。特に、自
動加圧制御中に所定のタイミングで液圧制御弁装置を駆
動して非制御対象車輪のホイールシリンダに対し連通モ
ードを設定し、その結果、補助リザーバ内のブレーキ液
の量が所定量以上になったときに、ブースタ駆動装置を
駆動位置から保持位置に切換えて保持位置に維持した状
態で、液圧ポンプを駆動し補助リザーバ内のブレーキ液
をマスタシリンダに供給し、非制御対象車輪のスリップ
を検出した場合に連通モードの設定を解除することとし
ているので、非制御対象車輪のホイールシリンダに過剰
なブレーキ液を供給することなく、補助リザーバ内に適
切な量のブレーキ液を導入することができ、自動加圧制
御時に確実にバキュームブースタの倍力作動を確保する
ことができる。
【0071】更に、請求項2に記載のように構成すれ
ば、非制御輪のスリップが検出されたときには非制御輪
のホイールシリンダが減圧モードとされるので、非制御
輪のホイールシリンダに過剰なブレーキ液が供給される
ことを確実に回避することができる。
【0072】また、請求項3に記載のように構成すれ
ば、補助リザーバ内のブレーキ液の量が所定量以上であ
ることを適切に判定することができるので、適切なタイ
ミングで液圧ポンプを駆動することができる。
【0073】スリップ検出手段は、請求項4に記載のよ
うに構成することができ、従って、安価な手段で、補助
リザーバ内のブレーキ液が満杯となったことを容易に推
定することができる。
【0074】また、液圧制御弁装置は、請求項5に記載
のように構成すれば、電磁弁の数は従前のままで、容易
に連通モードを設定することができるので、安価な装置
を構成することができる。
【0075】特に、制御手段を、請求項6に記載のよう
に構成すれば、X配管のブレーキ液圧系においても、補
助リザーバ内に適切な量のブレーキ液を導入することが
でき、自動加圧制御時に確実にバキュームブースタの倍
力作動を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両の運動制御装
置を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるブレーキ液圧系を
示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に供するバキュームブース
タの一部を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における運動制御処理を示
すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における制動操舵制御に供
する目標スリップ率設定の処理を示すフローチャートで
ある。
【図6】本発明の一実施形態における液圧サーボ制御の
処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態における液圧モード設定の
処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態におけるブースタ駆動処理
を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態におけるモータ駆動処理を
示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態におけるオーバステア抑
制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態におけるアンダーステア
抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態に供する制動操舵制御マ
ップを示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態におけるトラクション制
御の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル, MC マスタシリンダ,VB
バキュームブースタ, BD ブースタ駆動装置,M
電動モータ, HP1,HP2 液圧ポンプ,LRS
マスタリザーバ, RS1,RS2 補助リザーバ,
Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ, ECU
電子制御装置,FR,FL,RR,RL 車輪, P
C1〜PC8 電磁弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB21 BB28 BB29 HH02 HH05 HH08 HH21 HH23 HH25 HH36 HH39 HH46 JJ06 KK03 KK07 LL10 LL22 LL23 LL47 LL50 3D048 BB35 BB52 CC26 EE14 HH14 HH15 HH26 HH66 HH75 HH77 RR01 RR02 RR35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の各車輪に装着するホイールシリン
    ダと、ブレーキペダルの操作とは無関係にブレーキ液圧
    を発生する自動液圧発生装置と、該自動液圧発生装置と
    前記ホイールシリンダの各々との間に介装し、前記ホイ
    ールシリンダの各々のブレーキ液圧を制御する液圧制御
    弁装置と、前記車両の運動状態に応じて前記自動液圧発
    生装置を駆動制御すると共に、前記液圧制御弁装置を駆
    動制御し、少くとも前記ブレーキペダルの非操作時に前
    記ホイールシリンダに対し自動加圧制御を行ない前記車
    両の運動制御を行なう制御手段とを備えた車両の運動制
    御装置において、前記液圧制御弁装置を介して前記ホイ
    ールシリンダに接続しブレーキ液を貯蔵する補助リザー
    バと、該補助リザーバに吸入側を接続し、前記液圧制御
    弁装置の上流側に吐出側を接続する液圧ポンプと、非制
    御対象車輪のスリップを検出するスリップ検出手段を備
    え、前記自動液圧発生装置は、前記ホイールシリンダに
    ブレーキ液圧を供給するマスタシリンダと、負圧を導入
    する定圧室、及び該定圧室又は大気に連通する変圧室を
    有し、該変圧室と大気との連通、及び前記変圧室と前記
    定圧室との連通を制御し、前記変圧室と前記定圧室との
    間の差圧に応じて前記マスタシリンダを倍力駆動するバ
    キュームブースタと、前記変圧室を前記定圧室に対して
    遮断した状態で前記変圧室を大気に連通する駆動位置、
    前記変圧室を前記定圧室及び大気に対して遮断した状態
    に保持する保持位置、並びに前記駆動位置及び前記保持
    位置を解除する解除位置を、前記ブレーキペダル操作と
    は無関係に切換えるブースタ駆動装置を具備して成り、
    前記液圧制御弁装置は、前記ホイールシリンダを前記マ
    スタシリンダのみに連通する増圧モード、前記ホイール
    シリンダを前記補助リザーバのみに連通する減圧モー
    ド、前記ホイールシリンダと前記マスタシリンダ及び前
    記補助リザーバの両者との連通を遮断する保持モード、
    並びに前記ホイールシリンダを前記マスタシリンダ及び
    前記補助リザーバの両者に連通する連通モードを設定
    し、前記制御手段は、自動加圧制御中に所定のタイミン
    グで前記液圧制御弁装置を駆動して非制御対象車輪のホ
    イールシリンダに対し前記連通モードを設定し、その結
    果、前記補助リザーバ内のブレーキ液の量が所定量以上
    になったときに、前記ブースタ駆動装置を前記駆動位置
    から前記保持位置に切換えて前記保持位置に維持した状
    態で、前記液圧ポンプを駆動し前記補助リザーバ内のブ
    レーキ液を前記マスタシリンダに供給し、前記スリップ
    検出手段が前記非制御対象車輪のスリップを検出した場
    合に、前記連通モードの設定を解除するように構成した
    ことを特徴とする車両の運動制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記ブースタ駆動装置
    を前記保持位置とする場合において、前記スリップ検出
    手段が前記非制御対象車輪のスリップを検出したときに
    は、前記液圧制御弁装置を駆動して前記非制御対象車輪
    のホイールシリンダに対し前記減圧モードを設定するよ
    うに構成したことを特徴とする請求項1記載の車両の運
    動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記ブースタ駆動装置
    を前記駆動位置とした後の経過時間に基づき、前記補助
    リザーバ内のブレーキ液の量が所定量以上であるか否か
    を判定するように構成したことを特徴とする請求項1又
    は2記載の車両の運動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記スリップ検出手段は、前記非制御対
    象車輪の車輪加速度及び前記非制御対象車輪のスリップ
    率の少くとも一方の変化に基づき、前記非制御対象車輪
    のスリップを検出するように構成したことを特徴とする
    請求項1又は2記載の車両の運動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記液圧制御弁装置は、前記ホイールシ
    リンダと前記マスタシリンダとの間に介装する常開の第
    1の開閉弁と、前記ホイールシリンダと前記補助リザー
    バとの間に介装する常閉の第2の開閉弁を備え、前記増
    圧モードでは前記第1の開閉弁を開位置とすると共に前
    記第2の開閉弁を閉位置とし、前記減圧モードでは前記
    第1の開閉弁を閉位置とすると共に前記第2の開閉弁を
    開位置とし、前記保持モードでは前記第1及び第2の開
    閉弁を閉位置とし、前記連通モードでは前記第1及び第
    2の開閉弁を開位置とするように構成したことを特徴と
    する請求項1又は2記載の車両の運動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、自動加圧制御中に制御
    対象車輪のホイールシリンダに対し前記増圧モードが設
    定されていないときに、前記制御対象車輪と同一の液圧
    系統に属する非制御対象車輪のホイールシリンダに対し
    前記連通モードを設定することを特徴とする請求項1記
    載の車両の運動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006176046A (ja) * 2004-12-24 2006-07-06 Honda Motor Co Ltd 車両用ブレーキ装置
JP2016068736A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 株式会社アドヴィックス 液圧制動装置

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