JP2002240574A - エンジンマウント用ブラケット - Google Patents

エンジンマウント用ブラケット

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JP2002240574A
JP2002240574A JP2001044937A JP2001044937A JP2002240574A JP 2002240574 A JP2002240574 A JP 2002240574A JP 2001044937 A JP2001044937 A JP 2001044937A JP 2001044937 A JP2001044937 A JP 2001044937A JP 2002240574 A JP2002240574 A JP 2002240574A
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bracket
bolt
engine
mounting seat
nut
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JP2001044937A
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Takahide Maejima
崇秀 前嶋
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Unipres Corp
Original Assignee
Unipres Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造が容易で十分な取付座面強度をもつ軽量な
エンジンマウント用ブラケットの提供。 【解決手段】エンジン11側とのボルトナット締結部2
6または車体14側とのボルトナット締結部22を有
し、エンジン11と車体14との間に介装されるエンジ
ンマウント用のAl製ブラケット20Aにおいて、ブラ
ケット20Aを、Al板材のプレス加工による成形体ま
たはAl材の押し出し加工による成形体であって、ボル
ト挿通孔23,27周縁部を含む位置にボルトナット取
付座面24a,28aを構成する板厚方向に圧縮加工硬
化された凹部24,28を設けた。熱処理工程を用いる
ことなく、プレス工程だけでブラケット20Aを製造で
きるので、十分な取付座面強度をもつ軽量なブラケット
を安価に提供できる。また、凹部24,28の圧縮代
(圧縮量)を代えることで取付座面強度を調整できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンおよびミ
ッションを車体に搭載するエンジンマウントに係わり、
特にエンジンマウントを構成するエンジンマウント用ブ
ラケットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図11に示すように、自動車用のエンジ
ン1は、エンジンマウントMを介して車体4に搭載され
ており、エンジン1と車体4との間には、例えば、フロ
ント側2個所、リヤ側2個所の計4個所にエンジンマウ
ントMが介装されている。
【0003】そして、エンジンマウントMは、エンジン
1に固定される枠形状のブラケット2と、ブラケット2
と車体4側のフレーム5との間に介装される振動低減用
のインシュレータ6とから構成されている。
【0004】そして、ブラケット2は、軽量化を図るた
めに、アルミニウムダイキャストで構成することが知ら
れている。図12は、アルミニウムダイキャスト製のエ
ンジンマウント用ブラケットを示し、ブラケット2に
は、エンジン1側に固定されるボルトナット締結部2a
と、インシュレータ6側に固定されるボルトナット締結
部2bとが形成されている。符号2cは、ボルト挿通孔
を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のアルミニウムダ
イキャスト製ブラケットを製造するには、素材(AC4
CH等の鋳物用アルミニウム合金地金)を鋳造した後、
熱処理工程(例えば、525℃で8時間の溶体化処理
後、160℃で6時間の人工時効硬化処理)を行い、洗
浄した後、切削により後工程(孔あけやボルトナット取
付座面の形成)を行うようになっているが、ボルトナッ
ト取付座面の座面強度を確保する上で熱処理工程は不可
欠であり、これがため種々の問題があった。
【0006】第1に、熱処理工程に長時間費やすため、
製造に時間がかかる。第2に、熱変形を避けるべく板厚
tを厚くするため、ブラケットが大型となる。第3に、
熱変形を避けるべく取付座面を広く(寸法Dを大きく)
するため、取付座面として機能しない領域まで面精度が
要求される。
【0007】また、図12に示すように、エンジン側の
取付座面とインシュレータ側の取付座面がほぼ直交する
ような場合には、ボルト挿通孔や取付座面を形成するた
めの後加工が必要で、それだけ製造ラインを複雑にして
いる。
【0008】そこで発明者は、プレス加工によりアルミ
ニウム板材からブラケットを成形し、または押し出し加
工によりアルミニウム材からブラケットを成形し、成形
体の所定個所をプレスで板厚方向に圧縮して加工硬化さ
せれば、その圧縮された部位の表面硬度が高くなると考
えて、実際に試したところ、エンジンマウント用ブラケ
ットのボルトナット締結部における取付座面としての必
要十分な硬度(座面強度)となることが確認されたの
で、本発明を提案するに至ったものである。
【0009】本発明は、前記した従来技術の問題点およ
び前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、そ
の目的は、製造が容易で十分なボルトナット取付座面強
度をもつ軽量なエンジンマウント用ブラケットを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】前記目的を達
成するために、請求項1に係るエンジンマウント用ブラ
ケットにおいては、エンジン側とのボルトナット締結部
または車体側とのボルトナット締結部を有し、自動車用
エンジンと車体との間に介装されるエンジンマウント構
成用のアルミニウム製ブラケットにおいて、前記ブラケ
ットを、アルミニウム板材をプレス加工した成形体また
はアルミニウム材を押し出し加工した成形体で構成し、
前記ボルトナット締結部の少なくともボルト挿通孔周縁
部を含む領域に、プレスによる板厚方向への圧縮加工硬
化処理を施した、ボルトナット取付座面構成用の凹部を
設けるようにした。 (作用)ボルトナット締結部のボルト挿通孔周縁部を含
む領域に設けられた凹部は、アルミニウム板材のプレス
成形体またはアルミニウム材の押し出し成形体のボルト
挿通孔周縁部を含む領域がプレスによって板厚方向に圧
縮加工硬化処理されて、例えば、HRB硬度47.5以
上の座面強度をもつことから、エンジンマウント用ブラ
ケットに要求されるボルトナット取付座面強度を満足す
る。
【0011】熱処理工程を用いることなく、打ち抜き,
曲げ,潰し,孔開けを含むプレス工程だけで、または押
し出し成形後のプレス工程だけで、必要な取付座面強度
をもつアルミニウム製ブラケットを製造できる。
【0012】請求項2においては、請求項1に記載のエ
ンジンマウント用ブラケットにおいて、前記凹部を、そ
の周辺の段差部が締結ボルトナットの頭部形状に略倣う
形状に形成するようにした。 (作用)ボルトナット締結部の所定領域をプレスにより
板厚方向に圧縮して凹部を形成する際に、例えば、凹部
を締結ボルトナットの頭部形状に略倣う円形や楕円形等
の角張らない形状にする方が他の形状(矩形状や歪な形
状)にするよりも圧縮側へのアルミニウム材料の流動が
スムーズかつ均一であるので、プレスし易く(圧縮加工
が容易で)、凹部底面の平滑性に優れるとともに、凹部
を例えばボルトナットの頭部形状に対応する形状や大き
さとすることで、プレスによる圧縮力の無駄も少ない。
【0013】請求項3においては、請求項1または2に
記載のエンジンマウント用ブラケットにおいて、前記凹
部の裏面側にも板厚方向に圧縮加工硬化された凹部を設
けるように構成した。 (作用)表裏両側からプレスした方が圧縮加工し易い
し、ボルト挿通孔周縁部が表裏両側から圧縮されて、ボ
ルト挿通孔周縁の金属組織が孔の軸方向に均一に圧縮さ
れた形態となって、それだけ座面強度に優れたものとな
る。
【0014】また、裏面側の凹部は、エンジン側または
車体側等の締結相手に突設したボス部が係合する位置決
め部として利用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。
【0016】図1〜図5は、本発明に係るエンジンマウ
ント用ブラケットの第1の実施例を示し、図1は本発明
の第1の実施例であるブラケットを用いたエンジンマウ
ントの側面図、図2は同ブラケットの斜視図、図3は同
ブラケットにおけるボルトナット締結部の取付座面位置
における断面図(図2に示す線III-IIIに沿う断面
図)、図4および図5はボルトナット取付座面の潰し代
とHRB硬度の関係を示す図である。
【0017】図1における符号10Aは、自動車用のエ
ンジン11を車体14に対し支持するエンジンマウント
で、エンジン11に固定される枠形状のアルミニウム製
ブラケット20Aと、ブラケット20Aと車体14側の
フレーム15との間に介装されたインシュレータ16と
から構成されている。インシュレータ16は、ブラケッ
ト20Aにボルトナット締結されるエンジン側ラバー保
持体16aと、車体14側のフレーム15にボルトナッ
ト締結される車体側ラバー保持体16bと、両保持体1
6a,16b間に接着などによって固定されたインシュ
レータ本体であるラバー17によって構成されている。
【0018】一方、ブラケット20Aは、アルミニウム
板材のプレス成形体で、図2に示すように、断面コ字型
に形成された車体14側(インシュレータ16側)との
ボルトナット締結部22と、その左右にフランジ状に延
出する一対のエンジン11側とのボルトナット締結部2
6とを備えている。締結部26は、エンジン11のシリ
ンダブロックに設けた雌ねじ部11aにボルト29を螺
着させることで固定され、締結部22は、ボルトナット
25によってインシュレータ16のエンジン側ラバー保
持体16aに固定されている。
【0019】即ち、締結部22には1個のボルト挿通孔
23が、締結部26には4個のボルト挿通孔27がそれ
ぞれ設けられるとともに、ボルト挿通孔23,27の周
縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して形成した円
形凹部24,28によって構成されたリング状のボルト
ナット取付座面24a,28aが設けられている。ま
た、ブラケット20Aは、アルミニウム板材(A505
8P-O)をプレス(打ち抜き、曲げ、圧縮、切断)加
工した成形体であって、締結部22,26の所定位置が
プレスにより板厚方向に圧縮されて円形凹部24,28
が形成され、最後に孔開け加工によりボルト挿通孔2
3,27が形成されたものである。そして、円形凹部2
4,28以外の部位のHRB硬度が平均29.7である
のに対し、円形凹部24,28の底面におけるHRB硬
度は平均49という大きな値となっている。
【0020】即ち、アルミニウム板材(A5058P-
O)のプレス成形体のボルト挿通孔23,27に対応す
る位置に、プレスによる板厚方向への圧縮加工硬化処理
が施されて、凹部24,28の底面(ボルトナット取付
座面24a,28a)の座面硬度が、インシュレータ1
6と締結部22とを締結するボルトナット25を介して
作用する面圧,エンジン11と締結部26を締結するボ
ルト29を介して作用する面圧にそれぞれ充分耐え得
る、例えばHRB硬度49に設定されている。
【0021】さらに詳しく説明する。図4および図5
は、ブラケット20Aの素材として2種類のアルミニウ
ム板材(A5058P-OとA5154P-O)を用いた
場合の凹部28(ボルトナット取付座面28a)の潰し
代とその表面のHRB硬度の関係を示す図で、A505
8P-Oでは元板厚が異なる(8.09mmと9.09
mm)ものに対して、A5154P-Oでは元板厚が同
一(7.03mm)のものに対して、それぞれプレスに
より板厚方向に圧縮して行った実験データである。ま
た、凹部のHRB硬度は、いずれの場合も、異なる3箇
所を測定し、その平均値を求めた。
【0022】その結果は図5のグラフに示すように、A
5058P-Oの場合は、潰し代(圧縮量)0.29m
mでHRB硬度49、潰し代(圧縮量)2.09mmで
HRB硬度56となり、ボルトナット取付座面強度とし
て要求される、例えばHRB硬度47.5以上を満足す
る。また、潰し代(圧縮量)0.29mmから2.09
mm間では、HRB硬度が49から56にほぼリニアに
増加することがわかっているので、潰し代(圧縮量)に
対するHRB硬度を対応させて予め求めておくことがで
きる。したがって、前記実施例では、潰し代(圧縮量)
を0.29mmとすることで取付座面24a,28aの
座面強度がHRB硬度49に設定されているが、HRB
硬度49〜56の範囲内の任意のHRB硬度に対応する
潰し代(圧縮量)だけプレスを用いた圧縮を行うこと
で、取付座面24a,28aの座面強度を任意のHRB
硬度にすることができる。
【0023】一方、A5154P-Oでは、潰し代(圧
縮量)0.53mmでHRB硬度38.7、潰し代(圧
縮量)1.03mmでHRB硬度45.5で、ボルトナ
ット取付座面強度として要求される、例えばHRB硬度
47.5以上を満足することができない。しかし、潰し
代(圧縮量)が1.03mmを超えた場合には、HRB
硬度が47.5以上にほぼリニアに増加することが明ら
かに予測できるので、潰し代(圧縮量)に対するHRB
硬度を対応させて予め求めておくことができる。そし
て、前記実施例で用いたアルミニウム板材をA5154
P-Oとし、HRB硬度47.5以上の任意のHRB硬
度に対応する潰し代(圧縮量)だけプレスを用いた圧縮
を行うことで、取付座面24a,28aの座面強度を任
意のHRB硬度にすることができる。
【0024】また、凹部24,28はそれぞれ円形に形
成されているため,板厚方向にプレス加工して凹部を形
成する際に、圧縮される凹部への周辺領域からのアルミ
ニウム材料の流動が均一かつスムーズであるので、プレ
スし易く(圧縮加工が容易で)、凹部底面の平滑性に優
れるとともに、凹部24,28はボルトナットの頭部形
状に対応する大きさであるため、圧縮力の無駄も少な
い。
【0025】図6は、本発明に係るエンジンマウント用
ブラケットの第2の実施例の要部断面図である。
【0026】この第2の実施例では、ブラケット20B
のエンジン11側との締結部26における凹部28の裏
側(エンジン11に臨む側)にも、板厚方向に圧縮加工
硬化された、凹部28と同一の大きさの凹部28Aが設
けられている。締結部26の表裏両側に対応する凹部2
8,28Aが設けられているので、凹部28,28Aを
形成する際のプレスによる加圧力が小さくてすむし、圧
縮される部位が表裏両側から圧縮されて、ボルト挿通孔
周縁の金属組織がボルト挿通孔27の軸方向に均一に圧
縮された形態となって、それだけボルトナット取付座面
強度に優れたものとなっている。
【0027】また、裏面側の凹部28Aは、エンジン1
1側から突出形成されたボス30が係合して、ブラケッ
ト10Aとエンジン11との取り付け位置を決める位置
決め部として機能する。
【0028】図7および図7(a)は、本発明の第3の
実施例を示し,図7は本発明の第3の実施例であるメン
バーエンジンマウント用ブラケットの斜視図、図7
(a)は要部拡大断面図である。
【0029】メンバーエンジンマウント10Cは、エン
ジン11に取り付けられたトランスミッションのリア側
11bを車体に対し支持するブラケット20Cと、ブラ
ケット20Cとトランスミッションのリア側11bとの
間に介装されたインシュレータ16とから構成されてい
る。即ち、メンバーエンジンマウント用ブラケット20
Cは、長手方向両端部が車体側のフレーム(図示せず)
にボルトナット締結されて、車体前後軸を横切るように
配設され、ブラケット20Cの長手方向略中央部には、
一端側をトランスミッションのリア側11bに固定した
インシュレータ16の他端側がボルトナット締結されて
いる。符号16a,16bはラバー保持体、符号17は
ラバーである。符号32,36は、ブラケット20Cの
平坦なボルトナット締結部31,35に設けられたボル
ト挿通孔、符号37a,37bは締結ボルト,ナットで
ある。また、締結ボルト33aは、車体側のフレームに
溶接固定されたウェルドナットに螺着される。
【0030】また、ブラケット20C裏側のボルト挿通
孔32,36の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧
縮して形成した円形凹部34,38によって構成された
リング状のボルトナット取付座面34a,38aが設け
られている。また、ブラケット20Cは、アルミニウム
板材(A5058P-O)をプレス加工した成形体であ
って、円形凹部34,38は、締結部31,35がプレ
スにより板厚方向に圧縮されて、凹部34,38底面
(取付座面34a,38a)の硬度が締結部として適切
な座面硬度(例えば、HRB硬度49)に設定されてい
る。
【0031】図8〜図10は、本発明の第4の実施例で
あるエンジンマウント用ブラケットを示し、図8は同ブ
ラケットを用いたエンジンマウントの斜視図、図9は同
マウントを構成するエンジン側ブラケットの斜視図、図
10は同マウントを構成する車体側ブラケットの斜視図
である。エンジンマウント10Dは、エンジン側の第1
のブラケット20Dと、車体側の第2のブラケット20
Eと、両ブラケット20D,20E間に介装されたイン
シュレータ16とから構成されている。
【0032】第1のブラケット20Dは、エンジン11
とのボルトナット締結部である背面壁41に対し直交し
て延びる車体側ボルトナット締結部である左右一対の側
面壁45を有する断面コ字型に形成されている。背面壁
41には、ボルト挿通孔42が設けられ、側面壁45に
は、インシュレータ16締結用の孔46が設けられてい
る。符号43はブラケット20D(側面壁45)をエン
ジン11に締結する締結ボルト、符号47a,47b
は、左右の側面壁45,45間にインシュレータ16を
締結する締結ボルト,ナットである。
【0033】また、ブラケット20D(背面壁41)内
側のボルト挿通孔42の周縁部には、プレスにより板厚
方向に圧縮して形成した円形凹部44によって構成され
たリング状のボルトナット取付座面44aが設けられて
いる。同様に、ブラケット20D(側面壁45)外側の
孔46の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して
形成した円形凹部48によって構成されたリング状のボ
ルトナット取付座面48aが設けられている。
【0034】また、ブラケット20Dは、アルミニウム
板材(A5058P-O)をプレス加工した成形体であ
って、円形凹部44,48は、締結部である壁41,4
5がプレスにより板厚方向に圧縮されて、凹部44,4
8底面(取付座面44a,48a)の硬度が締結部とし
て適切な座面硬度(例えば、HRB硬度49)に設定さ
れている。
【0035】一方、第2のブラケット20Eは、インシ
ュレータ16を内装一体化した円筒部52に、車体との
ボルトナット締結部である一対のフランジ部53が設け
られ、インシュレータ16の中央部には、締結ボルト4
7aを挿通するための挿通孔16cが設けられている。
符号54はボルト挿通孔、符号55は締結ボルトであ
る。また、締結ボルト47a,ナット47bを用いて、
図8に示すように、第2のブラケット20Eと第1のブ
ラケット20Dとが一体化されている。
【0036】また、フランジ部53上側のボルト挿通孔
54の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して形
成した円形凹部56によって構成されたリング状のボル
トナット取付座面56aが設けられている。
【0037】また、ブラケット20Eは、アルミニウム
材を押し出し加工した成形体であって、円形凹部54
は、締結部であるフランジ部53がプレスにより板厚方
向に圧縮されて、凹部54底面(取付座面54a)の硬
度が締結部として適切な座面硬度(例えば、HRB硬度
49)に設定されている。
【0038】また、前記実施例では、ボルトナット取付
座面を構成する凹部が円形に形成されているが、複数の
ボルト挿通孔が比較的接近して設けられている場合に
は、これらの複数のボルト挿通孔全てを含む例えば楕円
形状の凹部を形成し、一つの凹部の底面に複数のボルト
ナット取付座面を設けた構造であってもよい。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1によれば、打ち抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを含む
プレス工程だけで、または押し出し成形後の打ち抜き,
曲げ,潰しおよび孔開けを含むプレス工程だけで、ブラ
ケットを製造できるので、従来必要であった熱処理と切
削後加工とがなくなり、製造ラインの装置構成が簡潔
で、製造工程時間も短くなって、十分な取付座面強度を
もつ軽量なアルミニウム製ブラケットを安価に提供でき
る。
【0040】また、凹部の圧縮代(圧縮量)を代えるこ
とで座面強度を調整できるので、任意の強さ(ボルトナ
ット締結部に作用する面圧に対応した強さ)の取付座面
強度をもつアルミニウム製ブラケットを提供できる。
【0041】また、熱処理工程を用いることなく、打ち
抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを含むプレス工程または
押し出し成形後の打ち抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを
含むプレス工程だけで、必要な取付座面強度をもつブラ
ケットを製造できるので、前記した従来技術の熱処理に
伴う種々の問題点が解消される。
【0042】請求項2によれば、大きなプレス力を必要
とすることなく寸法精度のよい取付座面のスムーズな形
成が可能となる。
【0043】請求項3によれば、取付座面強度に優れて
いるので、それだけブラケット全体の板厚を薄くでき、
材料費を節約できるとともに、エンジンと車体間におけ
るブラケットの取付スペースも小さくできる。
【0044】また、裏面側凹部を締結相手側との位置決
め部として利用することで、ブラケットの締結作業を正
確かつスムーズに遂行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるブラケットを用い
たエンジンマウントの側面図である。
【図2】同ブラケットの斜視図である。
【図3】ブラケットにおけるボルトナット締結部の取付
座面位置における断面図(図2に示す線III-IIIに沿う
断面図)である。
【図4】ボルトナット取付座面の潰し代とHRB硬度の
関係(実験データ)を示す図である。
【図5】ボルトナット取付座面の潰し代とHRB硬度の
関係をグラフで示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の要部断面図で、図3に
対応する図ある。
【図7】本発明の第3の実施例であるメンバーエンジン
マウント用ブラケットの斜視図である。
【図7】(a)同ブラケットの要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例であるブラケットを用い
たエンジンマウントの斜視図である。
【図9】同エンジンマウントを構成するエンジン側ブラ
ケットの斜視図である。
【図10】同エンジンマウントを構成する車体側ブラケ
ットの斜視図である。
【図11】従来技術であるブラケットを用いたエンジン
マウントの側面図である。
【図12】同ブラケットの斜視図である。
【符号の説明】
11 エンジン 14 車体 16 インシュレータ 17 ラバー 20A、20B、20C、20D、20E エンジンマ
ウント用ブラケット 22、31、45、53 車体側ボルトナット締結部 23、27、32、36、42、46、54 ボルト挿
通孔 24、28、34、38、44、48、56 凹部 24a、28a、34a、38a、44a、56a ボ
ルトナット取付座面 25 ボルトナット 26、35、41 エンジン側ボルトナット締結部 28A 裏側凹部 29、33a、37a、43a、47a、55 締結ボ
ルト 37b、47b ナット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月17日(2001.8.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 エンジンマウント用ブラケット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンおよびミ
ッションを車体に搭載するエンジンマウントに係わり、
特にエンジンマウントを構成するエンジンマウント用ブ
ラケットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図11に示すように、自動車用のエンジ
ン1は、エンジンマウントMを介して車体4に搭載され
ており、エンジン1と車体4との間には、例えば、フロ
ント側2個所、リヤ側2個所の計4個所にエンジンマウ
ントMが介装されている。
【0003】そして、エンジンマウントMは、エンジン
1に固定される枠形状のブラケット2と、ブラケット2
と車体4側のフレーム5との間に介装される振動低減用
のインシュレータ6とから構成されている。
【0004】そして、ブラケット2は、軽量化を図るた
めに、アルミニウムダイキャストで構成することが知ら
れている。図12は、アルミニウムダイキャスト製のエ
ンジンマウント用ブラケットを示し、ブラケット2に
は、エンジン1側に固定されるボルトナット締結部2a
と、インシュレータ6側に固定されるボルトナット締結
部2bとが形成されている。符号2cは、ボルト挿通孔
を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のアルミニウムダ
イキャスト製ブラケットを製造するには、素材(AC4
CH等の鋳物用アルミニウム合金地金)を鋳造した後、
熱処理工程(例えば、525℃で8時間の溶体化処理
後、160℃で6時間の人工時効硬化処理)を行い、洗
浄した後、切削により後工程(孔あけやボルトナット取
付座面の形成)を行うようになっているが、ボルトナッ
ト取付座面の座面強度を確保する上で熱処理工程は不可
欠であり、これがため種々の問題があった。
【0006】第1に、熱処理工程に長時間費やすため、
製造に時間がかかる。第2に、熱変形を避けるべく板厚
tを厚くするため、ブラケットが大型となる。第3に、
熱変形を避けるべく取付座面を広く(寸法Dを大きく)
するため、取付座面として機能しない領域まで面精度が
要求される。
【0007】また、図12に示すように、エンジン側の
取付座面とインシュレータ側の取付座面がほぼ直交する
ような場合には、ボルト挿通孔や取付座面を形成するた
めの後加工が必要で、それだけ製造ラインを複雑にして
いる。
【0008】そこで発明者は、プレス加工によりアルミ
ニウム板材からブラケットを成形し、または押し出し加
工によりアルミニウム材からブラケットを成形し、成形
体の所定個所をプレスで板厚方向に圧縮して加工硬化さ
せれば、その圧縮された部位の表面硬度が高くなると考
えて、実際に試したところ、エンジンマウント用ブラケ
ットのボルトナット締結部における取付座面としての必
要十分な硬度(座面強度)となることが確認されたの
で、本発明を提案するに至ったものである。
【0009】本発明は、前記した従来技術の問題点およ
び前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、そ
の目的は、製造が容易で十分なボルトナット取付座面強
度をもつ軽量なエンジンマウント用ブラケットを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】前記目的を達
成するために、請求項1に係るエンジンマウント用ブラ
ケットにおいては、エンジン側とのボルトナット締結部
または車体側とのボルトナット締結部を有し、自動車用
エンジンと車体との間に介装されるエンジンマウント構
成用のアルミニウム製ブラケットにおいて、前記ブラケ
ットを、アルミニウム板材をプレス加工した成形体また
はアルミニウム材を押し出し加工した成形体で構成し、
前記ボルトナット締結部の少なくともボルト挿通孔周縁
部を含む領域に、プレスによる板厚方向への圧縮加工硬
化処理を施した、ボルトナット取付座面構成用の凹部を
設けるようにした。 (作用)ボルトナット締結部のボルト挿通孔周縁部を含
む領域に設けられた凹部は、アルミニウム板材のプレス
成形体またはアルミニウム材の押し出し成形体のボルト
挿通孔周縁部を含む領域がプレスによって板厚方向に圧
縮加工硬化処理されて、例えば、HRB硬度47.5以
上の座面強度をもつことから、エンジンマウント用ブラ
ケットに要求されるボルトナット取付座面強度を満足す
る。
【0011】熱処理工程を用いることなく、打ち抜き,
曲げ,潰し,孔開けを含むプレス工程だけで、または押
し出し成形後のプレス工程だけで、必要な取付座面強度
をもつアルミニウム製ブラケットを製造できる。
【0012】請求項2においては、請求項1に記載のエ
ンジンマウント用ブラケットにおいて、前記凹部を、そ
の周辺の段差部が締結ボルトナットの頭部形状に略倣う
形状に形成するようにした。 (作用)ボルトナット締結部の所定領域をプレスにより
板厚方向に圧縮して凹部を形成する際に、例えば、凹部
を締結ボルトナットの頭部形状に略倣う円形や楕円形等
の角張らない形状にする方が他の形状(矩形状や歪な形
状)にするよりも圧縮側へのアルミニウム材料の流動が
スムーズかつ均一であるので、プレスし易く(圧縮加工
が容易で)、凹部底面の平滑性に優れるとともに、凹部
を例えばボルトナットの頭部形状に対応する形状や大き
さとすることで、プレスによる圧縮力の無駄も少ない。
【0013】請求項3においては、請求項1または2に
記載のエンジンマウント用ブラケットにおいて、前記凹
部の裏面側にも板厚方向に圧縮加工硬化された凹部を設
けるように構成した。 (作用)表裏両側からプレスした方が圧縮加工し易い
し、ボルト挿通孔周縁部が表裏両側から圧縮されて、ボ
ルト挿通孔周縁の金属組織が孔の軸方向に均一に圧縮さ
れた形態となって、それだけ座面強度に優れたものとな
る。
【0014】また、裏面側の凹部は、エンジン側または
車体側等の締結相手に突設したボス部が係合する位置決
め部として利用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。
【0016】図1〜図5は、本発明に係るエンジンマウ
ント用ブラケットの第1の実施例を示し、図1は本発明
の第1の実施例であるブラケットを用いたエンジンマウ
ントの側面図、図2は同ブラケットの斜視図、図3は同
ブラケットにおけるボルトナット締結部の取付座面位置
における断面図(図2に示す線III-IIIに沿う断面
図)、図4および図5はボルトナット取付座面の潰し代
とHRB硬度の関係を示す図である。
【0017】図1における符号10Aは、自動車用のエ
ンジン11を車体14に対し支持するエンジンマウント
で、エンジン11に固定される枠形状のアルミニウム製
ブラケット20Aと、ブラケット20Aと車体14側の
フレーム15との間に介装されたインシュレータ16と
から構成されている。インシュレータ16は、ブラケッ
ト20Aにボルトナット締結されるエンジン側ラバー保
持体16aと、車体14側のフレーム15にボルトナッ
ト締結される車体側ラバー保持体16bと、両保持体1
6a,16b間に接着などによって固定されたインシュ
レータ本体であるラバー17によって構成されている。
【0018】一方、ブラケット20Aは、アルミニウム
板材のプレス成形体で、図2に示すように、断面コ字型
に形成された車体14側(インシュレータ16側)との
ボルトナット締結部22と、その左右にフランジ状に延
出する一対のエンジン11側とのボルトナット締結部2
6とを備えている。締結部26は、エンジン11のシリ
ンダブロックに設けた雌ねじ部11aにボルト29を螺
着させることで固定され、締結部22は、ボルトナット
25によってインシュレータ16のエンジン側ラバー保
持体16aに固定されている。
【0019】即ち、締結部22には1個のボルト挿通孔
23が、締結部26には4個のボルト挿通孔27がそれ
ぞれ設けられるとともに、ボルト挿通孔23,27の周
縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して形成した円
形凹部24,28によって構成されたリング状のボルト
ナット取付座面24a,28aが設けられている。ま
た、ブラケット20Aは、アルミニウム板材(A505
8P-O)をプレス(打ち抜き、曲げ、圧縮、切断)加
工した成形体であって、締結部22,26の所定位置が
プレスにより板厚方向に圧縮されて円形凹部24,28
が形成され、最後に孔開け加工によりボルト挿通孔2
3,27が形成されたものである。そして、円形凹部2
4,28以外の部位のHRB硬度が平均29.7である
のに対し、円形凹部24,28の底面におけるHRB硬
度は平均49という大きな値となっている。
【0020】即ち、アルミニウム板材(A5058P-
O)のプレス成形体のボルト挿通孔23,27に対応す
る位置に、プレスによる板厚方向への圧縮加工硬化処理
が施されて、凹部24,28の底面(ボルトナット取付
座面24a,28a)の座面硬度が、インシュレータ1
6と締結部22とを締結するボルトナット25を介して
作用する面圧,エンジン11と締結部26を締結するボ
ルト29を介して作用する面圧にそれぞれ充分耐え得
る、例えばHRB硬度49に設定されている。
【0021】さらに詳しく説明する。図4および図5
は、ブラケット20Aの素材として2種類のアルミニウ
ム板材(A5058P-OとA5154P-O)を用いた
場合の凹部28(ボルトナット取付座面28a)の潰し
代とその表面のHRB硬度の関係を示す図で、A505
8P-Oでは元板厚が異なる(8.09mmと9.09
mm)ものに対して、A5154P-Oでは元板厚が同
一(7.03mm)のものに対して、それぞれプレスに
より板厚方向に圧縮して行った実験データである。ま
た、凹部のHRB硬度は、いずれの場合も、異なる3箇
所を測定し、その平均値を求めた。
【0022】その結果は図5のグラフに示すように、A
5058P-Oの場合は、潰し代(圧縮量)0.29m
mでHRB硬度49、潰し代(圧縮量)2.09mmで
HRB硬度56となり、ボルトナット取付座面強度とし
て要求される、例えばHRB硬度47.5以上を満足す
る。また、潰し代(圧縮量)0.29mmから2.09
mm間では、HRB硬度が49から56にほぼリニアに
増加することがわかっているので、潰し代(圧縮量)に
対するHRB硬度を対応させて予め求めておくことがで
きる。したがって、前記実施例では、潰し代(圧縮量)
を0.29mmとすることで取付座面24a,28aの
座面強度がHRB硬度49に設定されているが、HRB
硬度49〜56の範囲内の任意のHRB硬度に対応する
潰し代(圧縮量)だけプレスを用いた圧縮を行うこと
で、取付座面24a,28aの座面強度を任意のHRB
硬度にすることができる。
【0023】一方、A5154P-Oでは、潰し代(圧
縮量)0.53mmでHRB硬度38.7、潰し代(圧
縮量)1.03mmでHRB硬度45.5で、ボルトナ
ット取付座面強度として要求される、例えばHRB硬度
47.5以上を満足することができない。しかし、潰し
代(圧縮量)が1.03mmを超えた場合には、HRB
硬度が47.5以上にほぼリニアに増加することが明ら
かに予測できるので、潰し代(圧縮量)に対するHRB
硬度を対応させて予め求めておくことができる。そし
て、前記実施例で用いたアルミニウム板材をA5154
P-Oとし、HRB硬度47.5以上の任意のHRB硬
度に対応する潰し代(圧縮量)だけプレスを用いた圧縮
を行うことで、取付座面24a,28aの座面強度を任
意のHRB硬度にすることができる。
【0024】また、凹部24,28はそれぞれ円形に形
成されているため,板厚方向にプレス加工して凹部を形
成する際に、圧縮される凹部への周辺領域からのアルミ
ニウム材料の流動が均一かつスムーズであるので、プレ
スし易く(圧縮加工が容易で)、凹部底面の平滑性に優
れるとともに、凹部24,28はボルトナットの頭部形
状に対応する大きさであるため、圧縮力の無駄も少な
い。
【0025】図6は、本発明に係るエンジンマウント用
ブラケットの第2の実施例の要部断面図である。
【0026】この第2の実施例では、ブラケット20B
のエンジン11側との締結部26における凹部28の裏
側(エンジン11に臨む側)にも、板厚方向に圧縮加工
硬化された、凹部28と同一の大きさの凹部28Aが設
けられている。締結部26の表裏両側に対応する凹部2
8,28Aが設けられているので、凹部28,28Aを
形成する際のプレスによる加圧力が小さくてすむし、圧
縮される部位が表裏両側から圧縮されて、ボルト挿通孔
周縁の金属組織がボルト挿通孔27の軸方向に均一に圧
縮された形態となって、それだけボルトナット取付座面
強度に優れたものとなっている。
【0027】また、裏面側の凹部28Aは、エンジン1
1側から突出形成されたボス30が係合して、ブラケッ
ト10Aとエンジン11との取り付け位置を決める位置
決め部として機能する。
【0028】図7(a),(b)は、本発明の第3の実
施例を示し,(a)は本発明の第3の実施例であるメン
バーエンジンマウント用ブラケットの斜視図、(b)
要部拡大断面図である。
【0029】メンバーエンジンマウント10Cは、エン
ジン11に取り付けられたトランスミッションのリア側
11bを車体に対し支持するブラケット20Cと、ブラ
ケット20Cとトランスミッションのリア側11bとの
間に介装されたインシュレータ16とから構成されてい
る。即ち、メンバーエンジンマウント用ブラケット20
Cは、長手方向両端部が車体側のフレーム(図示せず)
にボルトナット締結されて、車体前後軸を横切るように
配設され、ブラケット20Cの長手方向略中央部には、
一端側をトランスミッションのリア側11bに固定した
インシュレータ16の他端側がボルトナット締結されて
いる。符号16a,16bはラバー保持体、符号17は
ラバーである。符号32,36は、ブラケット20Cの
平坦なボルトナット締結部31,35に設けられたボル
ト挿通孔、符号37a,37bは締結ボルト,ナットで
ある。また、締結ボルト33aは、車体側のフレームに
溶接固定されたウェルドナットに螺着される。
【0030】また、ブラケット20C裏側のボルト挿通
孔32,36の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧
縮して形成した円形凹部34,38によって構成された
リング状のボルトナット取付座面34a,38aが設け
られている。また、ブラケット20Cは、アルミニウム
板材(A5058P-O)をプレス加工した成形体であ
って、円形凹部34,38は、締結部31,35がプレ
スにより板厚方向に圧縮されて、凹部34,38底面
(取付座面34a,38a)の硬度が締結部として適切
な座面硬度(例えば、HRB硬度49)に設定されてい
る。
【0031】図8〜図10は、本発明の第4の実施例で
あるエンジンマウント用ブラケットを示し、図8は同ブ
ラケットを用いたエンジンマウントの斜視図、図9は同
マウントを構成するエンジン側ブラケットの斜視図、図
10は同マウントを構成する車体側ブラケットの斜視図
である。エンジンマウント10Dは、エンジン側の第1
のブラケット20Dと、車体側の第2のブラケット20
Eと、両ブラケット20D,20E間に介装されたイン
シュレータ16とから構成されている。
【0032】第1のブラケット20Dは、エンジン11
とのボルトナット締結部である背面壁41に対し直交し
て延びる車体側ボルトナット締結部である左右一対の側
面壁45を有する断面コ字型に形成されている。背面壁
41には、ボルト挿通孔42が設けられ、側面壁45に
は、インシュレータ16締結用の孔46が設けられてい
る。符号43はブラケット20D(側面壁45)をエン
ジン11に締結する締結ボルト、符号47a,47b
は、左右の側面壁45,45間にインシュレータ16を
締結する締結ボルト,ナットである。
【0033】また、ブラケット20D(背面壁41)内
側のボルト挿通孔42の周縁部には、プレスにより板厚
方向に圧縮して形成した円形凹部44によって構成され
たリング状のボルトナット取付座面44aが設けられて
いる。同様に、ブラケット20D(側面壁45)外側の
孔46の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して
形成した円形凹部48によって構成されたリング状のボ
ルトナット取付座面48aが設けられている。
【0034】また、ブラケット20Dは、アルミニウム
板材(A5058P-O)をプレス加工した成形体であ
って、円形凹部44,48は、締結部である壁41,4
5がプレスにより板厚方向に圧縮されて、凹部44,4
8底面(取付座面44a,48a)の硬度が締結部とし
て適切な座面硬度(例えば、HRB硬度49)に設定さ
れている。
【0035】一方、第2のブラケット20Eは、インシ
ュレータ16を内装一体化した円筒部52に、車体との
ボルトナット締結部である一対のフランジ部53が設け
られ、インシュレータ16の中央部には、締結ボルト4
7aを挿通するための挿通孔16cが設けられている。
符号54はボルト挿通孔、符号55は締結ボルトであ
る。また、締結ボルト47a,ナット47bを用いて、
図8に示すように、第2のブラケット20Eと第1のブ
ラケット20Dとが一体化されている。
【0036】また、フランジ部53上側のボルト挿通孔
54の周縁部には、プレスにより板厚方向に圧縮して形
成した円形凹部56によって構成されたリング状のボル
トナット取付座面56aが設けられている。
【0037】また、ブラケット20Eは、アルミニウム
材を押し出し加工した成形体であって、円形凹部54
は、締結部であるフランジ部53がプレスにより板厚方
向に圧縮されて、凹部54底面(取付座面54a)の硬
度が締結部として適切な座面硬度(例えば、HRB硬度
49)に設定されている。
【0038】また、前記実施例では、ボルトナット取付
座面を構成する凹部が円形に形成されているが、複数の
ボルト挿通孔が比較的接近して設けられている場合に
は、これらの複数のボルト挿通孔全てを含む例えば楕円
形状の凹部を形成し、一つの凹部の底面に複数のボルト
ナット取付座面を設けた構造であってもよい。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1によれば、打ち抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを含む
プレス工程だけで、または押し出し成形後の打ち抜き,
曲げ,潰しおよび孔開けを含むプレス工程だけで、ブラ
ケットを製造できるので、従来必要であった熱処理と切
削後加工とがなくなり、製造ラインの装置構成が簡潔
で、製造工程時間も短くなって、十分な取付座面強度を
もつ軽量なアルミニウム製ブラケットを安価に提供でき
る。
【0040】また、凹部の圧縮代(圧縮量)を代えるこ
とで座面強度を調整できるので、任意の強さ(ボルトナ
ット締結部に作用する面圧に対応した強さ)の取付座面
強度をもつアルミニウム製ブラケットを提供できる。
【0041】また、熱処理工程を用いることなく、打ち
抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを含むプレス工程または
押し出し成形後の打ち抜き,曲げ,潰しおよび孔開けを
含むプレス工程だけで、必要な取付座面強度をもつブラ
ケットを製造できるので、前記した従来技術の熱処理に
伴う種々の問題点が解消される。
【0042】請求項2によれば、大きなプレス力を必要
とすることなく寸法精度のよい取付座面のスムーズな形
成が可能となる。
【0043】請求項3によれば、取付座面強度に優れて
いるので、それだけブラケット全体の板厚を薄くでき、
材料費を節約できるとともに、エンジンと車体間におけ
るブラケットの取付スペースも小さくできる。
【0044】また、裏面側凹部を締結相手側との位置決
め部として利用することで、ブラケットの締結作業を正
確かつスムーズに遂行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるブラケットを用い
たエンジンマウントの側面図である。
【図2】同ブラケットの斜視図である。
【図3】ブラケットにおけるボルトナット締結部の取付
座面位置における断面図(図2に示す線III-IIIに沿う
断面図)である。
【図4】ボルトナット取付座面の潰し代とHRB硬度の
関係(実験データ)を示す図である。
【図5】ボルトナット取付座面の潰し代とHRB硬度の
関係をグラフで示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の要部断面図で、図3に
対応する図ある。
【図7】(a)本発明の第3の実施例であるメンバーエ
ンジンマウント用ブラケットの斜視図である。(b)
ブラケットの要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例であるブラケットを用い
たエンジンマウントの斜視図である。
【図9】同エンジンマウントを構成するエンジン側ブラ
ケットの斜視図である。
【図10】同エンジンマウントを構成する車体側ブラケ
ットの斜視図である。
【図11】従来技術であるブラケットを用いたエンジン
マウントの側面図である。
【図12】同ブラケットの斜視図である。
【符号の説明】 11 エンジン 14 車体 16 インシュレータ 17 ラバー 20A、20B、20C、20D、20E エンジンマ
ウント用ブラケット 22、31、45、53 車体側ボルトナット締結部 23、27、32、36、42、46、54 ボルト挿
通孔 24、28、34、38、44、48、56 凹部 24a、28a、34a、38a、44a、56a ボ
ルトナット取付座面 25 ボルトナット 26、35、41 エンジン側ボルトナット締結部 28A 裏側凹部 29、33a、37a、43a、47a、55 締結ボ
ルト 37b、47b ナット ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月17日(2001.8.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図7】
【図11】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン側とのボルトナット締結部また
    は車体側とのボルトナット締結部を有し、自動車用エン
    ジンと車体との間に介装されるエンジンマウント構成用
    のアルミニウム製ブラケットにおいて、前記ブラケット
    は、アルミニウム板材をプレス加工した成形体またはア
    ルミニウム材を押し出し加工した成形体であって、前記
    ボルトナット締結部の少なくともボルト挿通孔周縁部を
    含む領域に、プレスによる板厚方向への圧縮加工硬化処
    理が施されたボルトナット取付座面構成用の凹部が設け
    られたことを特徴とするエンジンマウント用ブラケッ
    ト。
  2. 【請求項2】 前記凹部は、その周辺の段差部が締結ボ
    ルトナットの頭部の形状に略倣った形状に形成されたこ
    とを特徴とする請求項1に記載のエンジンマウント用ブ
    ラケット。
  3. 【請求項3】 前記凹部の裏面側にも板厚方向に圧縮加
    工硬化された凹部が設けられたことを特徴とする請求項
    1に記載のエンジンマウント用ブラケット。
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