JPH09141347A - アルミニウム製構造材の締結部の製造方法 - Google Patents
アルミニウム製構造材の締結部の製造方法Info
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- JPH09141347A JPH09141347A JP7321058A JP32105895A JPH09141347A JP H09141347 A JPH09141347 A JP H09141347A JP 7321058 A JP7321058 A JP 7321058A JP 32105895 A JP32105895 A JP 32105895A JP H09141347 A JPH09141347 A JP H09141347A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミニウム製の構造材をネジやボルトおよ
びリベット等の機械的結合法で結合する際の板に設ける
穴加工において穴の強度を向上させ、また穴周辺の板厚
を増大させる。 【解決手段】 穴に近似した形状の圧子および圧子の全
周を囲むように設けた板押さえによりアルミニウム製構
造材を圧縮して穴形状の窪みを形成し、ついで穴を貫通
させる加工を施す。
びリベット等の機械的結合法で結合する際の板に設ける
穴加工において穴の強度を向上させ、また穴周辺の板厚
を増大させる。 【解決手段】 穴に近似した形状の圧子および圧子の全
周を囲むように設けた板押さえによりアルミニウム製構
造材を圧縮して穴形状の窪みを形成し、ついで穴を貫通
させる加工を施す。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム製の構
造材をネジやボルトおよびリベット等の機械的結合法で
結合する際の板に設ける穴加工に関する。
造材をネジやボルトおよびリベット等の機械的結合法で
結合する際の板に設ける穴加工に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム製厚板な
どからなるアルミニウム製構造材は船舶の船体構造材、
化学プラントやタンクローリーのタンクやフレーム、ト
ラックやバス等の自動車や二輪車のフレームや補強材あ
るいは部品、電車の車台や構造材などに広く使われてい
る。
どからなるアルミニウム製構造材は船舶の船体構造材、
化学プラントやタンクローリーのタンクやフレーム、ト
ラックやバス等の自動車や二輪車のフレームや補強材あ
るいは部品、電車の車台や構造材などに広く使われてい
る。
【0003】これらの構造材の結合は溶接による場合と
ネジやボルト、リベット等で機械的に結合する場合があ
り、特にネジ等の機械的結合法で結合する場合には、あ
らかじめ構造材に結合用の穴を打ち抜き加工や切削加工
あるいは溶断加工で形成する方法が採られている。
ネジやボルト、リベット等で機械的に結合する場合があ
り、特にネジ等の機械的結合法で結合する場合には、あ
らかじめ構造材に結合用の穴を打ち抜き加工や切削加工
あるいは溶断加工で形成する方法が採られている。
【0004】しかし、アルミニウム構造材の締結では、
特に安価な鋼製ボルトと組み合わせた時、鋼と比べてア
ルミニウムは弾性係数が低く、機械的性質、特に強度が
低く熱膨張率が大きいといった差があり、このため (1)座面の陥没(圧縮塑性変形)またはへたりと締結
材同士のへたり (2)熱履歴を受けた時の被締結材とボルトの熱膨張差 (3)アルミニウムに雌ネジを切る際のネジ山の剪断強
さの鋼に対する低さ (4)ボルトと被締結材との間の摩擦力 等によりネジやボルト等の締め付けが弱くなるという問
題点がある。
特に安価な鋼製ボルトと組み合わせた時、鋼と比べてア
ルミニウムは弾性係数が低く、機械的性質、特に強度が
低く熱膨張率が大きいといった差があり、このため (1)座面の陥没(圧縮塑性変形)またはへたりと締結
材同士のへたり (2)熱履歴を受けた時の被締結材とボルトの熱膨張差 (3)アルミニウムに雌ネジを切る際のネジ山の剪断強
さの鋼に対する低さ (4)ボルトと被締結材との間の摩擦力 等によりネジやボルト等の締め付けが弱くなるという問
題点がある。
【0005】このため、一般に結合部にかかる力に応じ
てネジ、ボルトやリベットの大きさや数、あるいは配置
を決定する必要があり、特にアルミニウム構造材におい
ては鋼板の構造材に比べて結合点数を増加する必要があ
り、あるいはデザインや使用上の制限により結合点数が
限られる場合には、アルミニウム構造材の板厚を厚くし
て板・ボルトにかかる応力を低下させる方法を採る必要
があった。
てネジ、ボルトやリベットの大きさや数、あるいは配置
を決定する必要があり、特にアルミニウム構造材におい
ては鋼板の構造材に比べて結合点数を増加する必要があ
り、あるいはデザインや使用上の制限により結合点数が
限られる場合には、アルミニウム構造材の板厚を厚くし
て板・ボルトにかかる応力を低下させる方法を採る必要
があった。
【0006】また、機械的締結に耐えられるよう構造材
の強度を増加させるために、ショットピーニングやラッ
ビング等の方法を採ることもある。しかし、アルミニウ
ム構造材ではこれらの処理を施しても表面のみの硬度が
増すだけであって、材料内部へは影響が少なく、強度向
上に充分な効果が得られないのが実状である。
の強度を増加させるために、ショットピーニングやラッ
ビング等の方法を採ることもある。しかし、アルミニウ
ム構造材ではこれらの処理を施しても表面のみの硬度が
増すだけであって、材料内部へは影響が少なく、強度向
上に充分な効果が得られないのが実状である。
【0007】本発明はアルミニウム構造材のネジやボル
トおよびリベット等の機械的結合法において、アルミニ
ウムの強度の弱くなる穴周辺部の強度を改善し、さらに
穴周辺の板厚を厚くし、これにより結合点数の減少と母
材板厚の薄肉化を可能とする穴加工方法を提供すること
を目的とする。
トおよびリベット等の機械的結合法において、アルミニ
ウムの強度の弱くなる穴周辺部の強度を改善し、さらに
穴周辺の板厚を厚くし、これにより結合点数の減少と母
材板厚の薄肉化を可能とする穴加工方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以下に本発明の課題を解
決するための手段を説明する。
決するための手段を説明する。
【0009】本第1発明は、アルミニウム製構造材の機
械的結合用の穴加工において、穴に近似した形状の圧子
によりアルミニウム製構造材を圧縮して穴形状の窪みを
形成し、ついで穴を貫通させる加工を施すことを特徴と
するアルミニウム製構造材の締結部の製造方法である。
械的結合用の穴加工において、穴に近似した形状の圧子
によりアルミニウム製構造材を圧縮して穴形状の窪みを
形成し、ついで穴を貫通させる加工を施すことを特徴と
するアルミニウム製構造材の締結部の製造方法である。
【0010】本第2発明は、圧子の外周に圧子の全周を
囲むように板押さえを設けることを特徴とする請求項1
記載のアルミニウム製構造材の締結部の製造方法であ
る。
囲むように板押さえを設けることを特徴とする請求項1
記載のアルミニウム製構造材の締結部の製造方法であ
る。
【0011】また上記の発明の改良・実施態様として次
の発明があげられる。
の発明があげられる。
【0012】ダイスまたは板押さえの板面側に粗面、ビ
ード、段、ハッチングのいずれかを施すことを特徴とす
る請求項1または2記載のアルミニウム製構造材の締結
部の製造方法。
ード、段、ハッチングのいずれかを施すことを特徴とす
る請求項1または2記載のアルミニウム製構造材の締結
部の製造方法。
【0013】150〜400℃の温度で加工することを
特徴とする請求項1〜3記載のアルミニウム製構造材の
締結部の製造方法。
特徴とする請求項1〜3記載のアルミニウム製構造材の
締結部の製造方法。
【0014】−196〜−50℃の温度で加工すること
を特徴とする請求項1〜3記載のアルミニウム製構造材
の締結部の製造方法。
を特徴とする請求項1〜3記載のアルミニウム製構造材
の締結部の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態ならび
にその作用について説明する。
にその作用について説明する。
【0016】本発明は、まずアルミニウム構造材に圧子
を押し込み、押圧して構造材に圧縮加工を施し、圧子先
端部分のアルミニウム構造材を圧子の側方に押し出し
て、ほぼ貫通するまでの窪みを作り、次いで圧子先端に
残ったアルミニウム構造材を打ち抜き等により除去して
貫通穴を設けるものである。
を押し込み、押圧して構造材に圧縮加工を施し、圧子先
端部分のアルミニウム構造材を圧子の側方に押し出し
て、ほぼ貫通するまでの窪みを作り、次いで圧子先端に
残ったアルミニウム構造材を打ち抜き等により除去して
貫通穴を設けるものである。
【0017】圧子での加工においては、アルミニウム構
造材は図3に示すように圧子と平面ダイスで挟んでも良
く、あるいは図2に示すよう上下の圧子で挟んでも良
い。
造材は図3に示すように圧子と平面ダイスで挟んでも良
く、あるいは図2に示すよう上下の圧子で挟んでも良
い。
【0018】[穴の貫通]本法の圧子による加工では凹
部ができるが完全な貫通穴にはならず薄片が残ってしま
い貫通していない。そこで、圧子による凹部形成後、プ
レス等により打ち抜き、切削あるいは溶断などによって
薄片の除去を行い穴を貫通させる必要がある。このよう
に圧子による加工のみでは貫通穴が形成できないが、圧
子による凹部を元板厚の90%以上に深くすることが可
能であり、圧縮率が大きいことから圧縮加工による効果
も充分大きなものとなる。また圧子先端の残存板厚も極
く薄いものとなることから切削・切断屑、溶断屑を大幅
に減少させることができ、工程の簡略化、省資源等の効
果がある。なお、穴の貫通とともに穴内面にネジ切り加
工を施しても良い。
部ができるが完全な貫通穴にはならず薄片が残ってしま
い貫通していない。そこで、圧子による凹部形成後、プ
レス等により打ち抜き、切削あるいは溶断などによって
薄片の除去を行い穴を貫通させる必要がある。このよう
に圧子による加工のみでは貫通穴が形成できないが、圧
子による凹部を元板厚の90%以上に深くすることが可
能であり、圧縮率が大きいことから圧縮加工による効果
も充分大きなものとなる。また圧子先端の残存板厚も極
く薄いものとなることから切削・切断屑、溶断屑を大幅
に減少させることができ、工程の簡略化、省資源等の効
果がある。なお、穴の貫通とともに穴内面にネジ切り加
工を施しても良い。
【0019】[板押さえ]さらには、図1に示すように
板押さえを圧子の周囲を囲むようにして設け、この板押
さえでアルミニウム構造材を押さえながら圧縮加工を施
す。この板押さえは、アルミニウム構造材の曲がりを押
さえるとともに、材料の自由な流れを制御して穴の周囲
に盛り上がりを形成させるためのものであり、例えば5
454合金−O材の板厚5mmのアルミニウム構造材に
直径15mmの圧子で圧縮し、肉盛り上がりは元板厚の
1.3倍となる。板押さえはアルミニウム構造材の両面
に設けても良く、圧子と同じ面側のみに設けても良い。
また、充分な量の盛り上がりを形成させるためには圧子
と板押さえとの隙間(クリアランス)は板厚の4倍以下
とすることが望ましい。
板押さえを圧子の周囲を囲むようにして設け、この板押
さえでアルミニウム構造材を押さえながら圧縮加工を施
す。この板押さえは、アルミニウム構造材の曲がりを押
さえるとともに、材料の自由な流れを制御して穴の周囲
に盛り上がりを形成させるためのものであり、例えば5
454合金−O材の板厚5mmのアルミニウム構造材に
直径15mmの圧子で圧縮し、肉盛り上がりは元板厚の
1.3倍となる。板押さえはアルミニウム構造材の両面
に設けても良く、圧子と同じ面側のみに設けても良い。
また、充分な量の盛り上がりを形成させるためには圧子
と板押さえとの隙間(クリアランス)は板厚の4倍以下
とすることが望ましい。
【0020】[粗面など]ダイスまたは板押さえの板面
側に粗面化を施す、ビード円周方向ビード(凹凸)や段
付けをする、ハッチングを施すことにより板押さえと同
様の効果があり、板押さえと併用することにより板押さ
えの面圧が小さい場合でも外周方向への材料流動を制御
でき、充分な盛り上げを得ることができる。
側に粗面化を施す、ビード円周方向ビード(凹凸)や段
付けをする、ハッチングを施すことにより板押さえと同
様の効果があり、板押さえと併用することにより板押さ
えの面圧が小さい場合でも外周方向への材料流動を制御
でき、充分な盛り上げを得ることができる。
【0021】[硬度増加の効果]前述したように、材料
の強度を部分的に増加させる方法としてはショットピー
ニングやラビング等が実施されているが、いずれも表皮
のみの硬度を増加させる方法で、表皮0.2mm以上の
深さの部分の硬度増加は困難である。本法によってアル
ミニウム構造材に圧縮加工を施すと、圧子の押し込み部
の周囲に押し出されるように材料が流動し、圧子の圧縮
方向だけでなく側方にも圧縮作用が働き、側方に押し出
された材料は加工硬化して、板厚全体にわたり硬度を増
加させることができる。例えば5454−Oの5mmt
で、圧子径15mmの場合、元板ではビッカース硬度
(Hv 10g)が60〜65であるが、本法では約1
10の範囲が半径方向5mmの全板厚に及んでいる。こ
のように本法は、穴の周囲の全板厚について広い範囲の
硬度を大幅に増加させることが可能であるので、従来の
剪断や切削および溶断による穴あけ方法に比べて大いに
弾性限界が増加し、締結部の座面の陥没またはへたり、
締結材同士のへたりの発生限界を大幅に向上させること
ができる。
の強度を部分的に増加させる方法としてはショットピー
ニングやラビング等が実施されているが、いずれも表皮
のみの硬度を増加させる方法で、表皮0.2mm以上の
深さの部分の硬度増加は困難である。本法によってアル
ミニウム構造材に圧縮加工を施すと、圧子の押し込み部
の周囲に押し出されるように材料が流動し、圧子の圧縮
方向だけでなく側方にも圧縮作用が働き、側方に押し出
された材料は加工硬化して、板厚全体にわたり硬度を増
加させることができる。例えば5454−Oの5mmt
で、圧子径15mmの場合、元板ではビッカース硬度
(Hv 10g)が60〜65であるが、本法では約1
10の範囲が半径方向5mmの全板厚に及んでいる。こ
のように本法は、穴の周囲の全板厚について広い範囲の
硬度を大幅に増加させることが可能であるので、従来の
剪断や切削および溶断による穴あけ方法に比べて大いに
弾性限界が増加し、締結部の座面の陥没またはへたり、
締結材同士のへたりの発生限界を大幅に向上させること
ができる。
【0022】[穴粗度の効果]本法は穴の加工が圧縮変
形が主であることから、打ち抜きのような剪断、破断が
なく、そのため穴の内周壁は圧子の表面粗さが転写され
る。すなわち圧子の表面粗さを研磨仕上げ3sとするこ
とにより、穴内壁の表面粗さもほぼ圧子と同様の滑らか
な表面が得られる。このため、疲労破壊の起点となるよ
うな凹凸が無く、穴内面の材料硬度の向上と相俟って疲
労強度を大幅に向上させることが可能となり、安定した
材料寿命を期待することができる。
形が主であることから、打ち抜きのような剪断、破断が
なく、そのため穴の内周壁は圧子の表面粗さが転写され
る。すなわち圧子の表面粗さを研磨仕上げ3sとするこ
とにより、穴内壁の表面粗さもほぼ圧子と同様の滑らか
な表面が得られる。このため、疲労破壊の起点となるよ
うな凹凸が無く、穴内面の材料硬度の向上と相俟って疲
労強度を大幅に向上させることが可能となり、安定した
材料寿命を期待することができる。
【0023】[盛り上がりの効果]構造材をボルト、ナ
ットやリベット等で締結する場合において、均一な板厚
の構造材に穴をあけて締結すると、穴の切欠効果により
穴縁に応力が集中しここから破断が始まる。また繰り返
し応力が加わった時の疲労破壊も同様に穴縁から発生す
る。しかし、本法によれば穴の周囲の硬度が高まるとと
もに穴の周囲に盛り上がりを形成させることができる。
このため穴の周辺が厚くなり切欠効果が減少するととも
に圧子の押入による加工のため穴の外周部の形状は滑ら
かな断面形状となり、また穴縁の表面粗度も平滑となる
ことから、盛り上がりの外側の応力集中も少ない。これ
らの効果により破断強度が向上し、また疲れ強さも向上
する。
ットやリベット等で締結する場合において、均一な板厚
の構造材に穴をあけて締結すると、穴の切欠効果により
穴縁に応力が集中しここから破断が始まる。また繰り返
し応力が加わった時の疲労破壊も同様に穴縁から発生す
る。しかし、本法によれば穴の周囲の硬度が高まるとと
もに穴の周囲に盛り上がりを形成させることができる。
このため穴の周辺が厚くなり切欠効果が減少するととも
に圧子の押入による加工のため穴の外周部の形状は滑ら
かな断面形状となり、また穴縁の表面粗度も平滑となる
ことから、盛り上がりの外側の応力集中も少ない。これ
らの効果により破断強度が向上し、また疲れ強さも向上
する。
【0024】[雌ネジ切りに対する効果]アルミニウム
構造材に雌ネジを切る際のネジ山の剪断強さに関して
も、本法によれば穴の周囲の全板厚について広い範囲の
硬度を大幅に増加させることができるため剪断強さを大
幅に向上させることができる。さらに本法では、穴の周
囲の板厚を盛り上げて厚くすることが可能であるので、
雌ネジを切る際のネジ山の加工長さが長くなり、雌ネジ
の一山に働く剪断応力を低くできる。この二つの効果が
相乗して、本法によれば構造材の穴に雌ネジを切って締
結する際に、大幅にネジの締結能力を向上させることが
できる。
構造材に雌ネジを切る際のネジ山の剪断強さに関して
も、本法によれば穴の周囲の全板厚について広い範囲の
硬度を大幅に増加させることができるため剪断強さを大
幅に向上させることができる。さらに本法では、穴の周
囲の板厚を盛り上げて厚くすることが可能であるので、
雌ネジを切る際のネジ山の加工長さが長くなり、雌ネジ
の一山に働く剪断応力を低くできる。この二つの効果が
相乗して、本法によれば構造材の穴に雌ネジを切って締
結する際に、大幅にネジの締結能力を向上させることが
できる。
【0025】[高温成形]本発明は常温での加工におい
てもその効果を発揮するが、構造材を高温に加熱するこ
とにより、材料の圧縮強度を低下させて必要な圧縮力
(加工力)を少なくして容易に加工できるようになる。
例えばアルミニウム材料5183−Oの圧縮強度は30
0℃では室温の1/3と減少する。そこで本発明におい
ても圧子による穴加工を施す際の温度を150〜400
℃とすることで上記の効果が得られる。400℃以下と
する理由はMgを含む5083−O等の材料では熱間脆
性が発生するためであり、一方150℃以上とする理由
はこの温度未満では充分な効果が得られないからであ
る。構造材を高温にする方法としては (1)構造材全体を加熱炉等の中に入れ、予熱する。 (2)高温にした熱板で構造材を挟み加熱する。この場
合には穴を穿つ箇所のみを加熱することができるため、
加熱による材質の変化が局所に限定することができる。 (3)ポンチ・ダイスを支える上型・下型にヒーターを
設けて装置全体で構造材を加熱する。 等の方法があげられる。なお、加熱して加工した場合に
は穴加工時の加工硬化による材料強度の向上は期待でき
ない。従って穴周辺の強度向上をそれほど必要とせず加
工速度を重視する場合に適するものである。
てもその効果を発揮するが、構造材を高温に加熱するこ
とにより、材料の圧縮強度を低下させて必要な圧縮力
(加工力)を少なくして容易に加工できるようになる。
例えばアルミニウム材料5183−Oの圧縮強度は30
0℃では室温の1/3と減少する。そこで本発明におい
ても圧子による穴加工を施す際の温度を150〜400
℃とすることで上記の効果が得られる。400℃以下と
する理由はMgを含む5083−O等の材料では熱間脆
性が発生するためであり、一方150℃以上とする理由
はこの温度未満では充分な効果が得られないからであ
る。構造材を高温にする方法としては (1)構造材全体を加熱炉等の中に入れ、予熱する。 (2)高温にした熱板で構造材を挟み加熱する。この場
合には穴を穿つ箇所のみを加熱することができるため、
加熱による材質の変化が局所に限定することができる。 (3)ポンチ・ダイスを支える上型・下型にヒーターを
設けて装置全体で構造材を加熱する。 等の方法があげられる。なお、加熱して加工した場合に
は穴加工時の加工硬化による材料強度の向上は期待でき
ない。従って穴周辺の強度向上をそれほど必要とせず加
工速度を重視する場合に適するものである。
【0026】[低温成形]厚板材料を圧縮加工すると、
圧縮部の大きさと加工速度によるが一般的には圧縮部は
断熱状態となり、加工力はその部分で熱となり材料温度
を上昇させ、加工率から期待される硬度に達しない場合
がある。これは温度上昇による回復現象が発生している
ものと考えられる。本法では圧縮部の周囲に連続して材
料があるため熱は周囲にも伝達され拡散するので回復現
象は大きくはないが、条件によっては軟化するに充分な
熱が発生することがある。このため充分な硬度増加が必
要な場合は材料を−196〜−50℃の低温として加工
する。なお−196℃とする理由は液体窒素により温度
を得易いためである。約−50℃より高い温度では充分
な効果は期待できない。構造材を低温にする方法として
は (1)構造材全体を液体窒素等に投入する。 (2)構造材の加工部分に液体窒素等を載せる、あるい
は噴霧する。 等の方法があげられる。
圧縮部の大きさと加工速度によるが一般的には圧縮部は
断熱状態となり、加工力はその部分で熱となり材料温度
を上昇させ、加工率から期待される硬度に達しない場合
がある。これは温度上昇による回復現象が発生している
ものと考えられる。本法では圧縮部の周囲に連続して材
料があるため熱は周囲にも伝達され拡散するので回復現
象は大きくはないが、条件によっては軟化するに充分な
熱が発生することがある。このため充分な硬度増加が必
要な場合は材料を−196〜−50℃の低温として加工
する。なお−196℃とする理由は液体窒素により温度
を得易いためである。約−50℃より高い温度では充分
な効果は期待できない。構造材を低温にする方法として
は (1)構造材全体を液体窒素等に投入する。 (2)構造材の加工部分に液体窒素等を載せる、あるい
は噴霧する。 等の方法があげられる。
【0027】
【実施例】アルミニウム板材5454合金O材、板厚
5.0mmのものについて圧子・ダイスにより穴加工を
施した。また加工後の板を切断して穴の形状を観察し、
また断面を切断後に研磨してビッカース硬度計により硬
度分布を測定した。その結果を図1〜3の各々の(b)
図に示す。
5.0mmのものについて圧子・ダイスにより穴加工を
施した。また加工後の板を切断して穴の形状を観察し、
また断面を切断後に研磨してビッカース硬度計により硬
度分布を測定した。その結果を図1〜3の各々の(b)
図に示す。
【0028】図1は圧子と平面ダイス、ならびに板押さ
えを用いて穴加工を行ったもので、図1(a)は加工装
置を示し、図1(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。穴の形成な
らびに板厚中心部まで充分な硬化が起こっており、さら
に板押さえにより穴の周囲に肉盛りが形成され穴周囲の
み板厚が増大している。
えを用いて穴加工を行ったもので、図1(a)は加工装
置を示し、図1(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。穴の形成な
らびに板厚中心部まで充分な硬化が起こっており、さら
に板押さえにより穴の周囲に肉盛りが形成され穴周囲の
み板厚が増大している。
【0029】図2は圧子と平面ダイス、ならびに板押さ
えを用いて穴加工を行ったもので、図2(a)は加工装
置を示し、図2(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。上下とも圧
子による圧縮加工でも同様に穴の形成ならびに穴内面の
硬化が生じている。
えを用いて穴加工を行ったもので、図2(a)は加工装
置を示し、図2(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。上下とも圧
子による圧縮加工でも同様に穴の形成ならびに穴内面の
硬化が生じている。
【0030】図3は圧子と平面ダイス、ならびに板押さ
えを用いて穴加工を行ったもので、図3(a)は加工装
置を示し、図3(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。圧子による
圧縮加工によりほとんど貫通に近い穴が形成されてお
り、また穴の内面は板厚中心まで硬化している様子が明
確に現れている。
えを用いて穴加工を行ったもので、図3(a)は加工装
置を示し、図3(b)はできあがった板の断面形状を示
したもので、硬度分布曲線も記入してある。圧子による
圧縮加工によりほとんど貫通に近い穴が形成されてお
り、また穴の内面は板厚中心まで硬化している様子が明
確に現れている。
【0031】[高温成形の実施例]5454−O材の板
厚5.0mm×50φの供試材を図1(a)に示す装置
を用いて直径15mmφの円柱形状で角に0.5Cの面
取りを施した圧子を用いて、圧子および平坦ダイスはヒ
ーターを内蔵し、予め300℃に加熱しておき、供試材
を1分間挟んで供試材の温度を上げた後、穴加工を施し
た。その結果、室温では23.9ton必要だった加工
力は300℃での加工では8.4tonと約1/3に減
少した。加工後の肉厚変化は両者に違いは無く、300
℃加工では硬度の増加は見られなかった。
厚5.0mm×50φの供試材を図1(a)に示す装置
を用いて直径15mmφの円柱形状で角に0.5Cの面
取りを施した圧子を用いて、圧子および平坦ダイスはヒ
ーターを内蔵し、予め300℃に加熱しておき、供試材
を1分間挟んで供試材の温度を上げた後、穴加工を施し
た。その結果、室温では23.9ton必要だった加工
力は300℃での加工では8.4tonと約1/3に減
少した。加工後の肉厚変化は両者に違いは無く、300
℃加工では硬度の増加は見られなかった。
【0032】[低温成形の実施例]5052−O材の板
厚5.0mm×50φの供試材を液体窒素中にいれて、
10分後に取り出し図1と同様の装置により直径15m
mφの円柱形状で角に0.5Cの面取りを施した圧子を
用いて、圧縮速度900mm/minで穴加工を行っ
た。その結果、硬度分布は常温で行った図1とほぼ同様
となったが、全体的に硬度の値は高くなり、最高硬度は
130と高い値となった。
厚5.0mm×50φの供試材を液体窒素中にいれて、
10分後に取り出し図1と同様の装置により直径15m
mφの円柱形状で角に0.5Cの面取りを施した圧子を
用いて、圧縮速度900mm/minで穴加工を行っ
た。その結果、硬度分布は常温で行った図1とほぼ同様
となったが、全体的に硬度の値は高くなり、最高硬度は
130と高い値となった。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本法を適用すること
により高強度の穴を容易に形成することが可能となる。
また穴周辺の板厚を盛り上げ、さらには穴内面の粗度を
平滑なものとすることも容易に行うことができる。従っ
て締結性を確保するために板厚を増加しなければならな
かった構造体では材料の薄肉化が可能となり、省資源と
経済性が向上する。また構造材の板厚が同じならば、締
結部のネジやボルトおよびリベット等の機械的結合部の
数を減少可能となり、加工時間の減少や締結治具の減少
が計れ、経済性が向上する。
により高強度の穴を容易に形成することが可能となる。
また穴周辺の板厚を盛り上げ、さらには穴内面の粗度を
平滑なものとすることも容易に行うことができる。従っ
て締結性を確保するために板厚を増加しなければならな
かった構造体では材料の薄肉化が可能となり、省資源と
経済性が向上する。また構造材の板厚が同じならば、締
結部のネジやボルトおよびリベット等の機械的結合部の
数を減少可能となり、加工時間の減少や締結治具の減少
が計れ、経済性が向上する。
【図1】(a)は圧子と平坦ダイスおよび板押さえを用
いた本発明例の装置構成を示す断面図であり、(b)は
圧子による押圧後の板断面ならびに硬度分布を示した図
である。
いた本発明例の装置構成を示す断面図であり、(b)は
圧子による押圧後の板断面ならびに硬度分布を示した図
である。
【図2】(a)は上下の圧子を用いた本発明例の装置構
成を示す断面図であり、(b)は圧子による押圧後の板
断面ならびに硬度分布を示した図である。
成を示す断面図であり、(b)は圧子による押圧後の板
断面ならびに硬度分布を示した図である。
【図3】(a)は圧子と平坦ダイスを用いた本発明例の
装置構成を示す断面図であり、(b)は圧子による押圧
後の板断面ならびに硬度分布を示した図である。
装置構成を示す断面図であり、(b)は圧子による押圧
後の板断面ならびに硬度分布を示した図である。
1‥‥‥圧子 2‥‥‥ダイス 3‥‥‥板押さえ 4‥‥‥アルミニウム構造材 5‥‥‥上型 6‥‥‥下型
Claims (2)
- 【請求項1】 アルミニウム製構造材の機械的結合用の
穴加工において、穴に近似した形状の圧子によりアルミ
ニウム製構造材を圧縮して穴形状の窪みを形成し、つい
で穴を貫通させる加工を施すことを特徴とするアルミニ
ウム製構造材の締結部の製造方法。 - 【請求項2】 圧子の外周に圧子の全周を囲むように板
押さえを設けることを特徴とする請求項1記載のアルミ
ニウム製構造材の締結部の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7321058A JPH09141347A (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | アルミニウム製構造材の締結部の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7321058A JPH09141347A (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | アルミニウム製構造材の締結部の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09141347A true JPH09141347A (ja) | 1997-06-03 |
Family
ID=18128338
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7321058A Pending JPH09141347A (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | アルミニウム製構造材の締結部の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09141347A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002240574A (ja) * | 2001-02-21 | 2002-08-28 | Unipres Corp | エンジンマウント用ブラケット |
JP2010051994A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Toyota Motor Corp | はんだ供給装置およびはんだ供給方法 |
JP2014200876A (ja) * | 2013-04-03 | 2014-10-27 | 株式会社稲葉製作所 | 板材の雌ねじ形成方法およびねじ孔付き板材 |
-
1995
- 1995-11-15 JP JP7321058A patent/JPH09141347A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002240574A (ja) * | 2001-02-21 | 2002-08-28 | Unipres Corp | エンジンマウント用ブラケット |
JP2010051994A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Toyota Motor Corp | はんだ供給装置およびはんだ供給方法 |
JP2014200876A (ja) * | 2013-04-03 | 2014-10-27 | 株式会社稲葉製作所 | 板材の雌ねじ形成方法およびねじ孔付き板材 |
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