JP2002238367A - 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム - Google Patents

農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム

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JP2002238367A
JP2002238367A JP2001045676A JP2001045676A JP2002238367A JP 2002238367 A JP2002238367 A JP 2002238367A JP 2001045676 A JP2001045676 A JP 2001045676A JP 2001045676 A JP2001045676 A JP 2001045676A JP 2002238367 A JP2002238367 A JP 2002238367A
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resin
acrylic
acid
polyolefin
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Hirotaka Arai
博孝 荒井
Hiroshi Yamagishi
宏 山岸
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Mitsubishi Chemical MKV Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻き上げられたフィルムの融着がフィルム透
明性を損なうことなく改善され、かつ、被膜の密着性が
良く、耐候性、防曇性に優れ、長期間にわたって展張し
ておくことができる農業用ポリオレフィン系樹脂フィル
ムを提供する。 【解決手段】 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムで
あって、展張時ハウス外面に、アクリル系樹脂及びアク
リル変性ポリオレフィン系樹脂の混合物よりなる被膜が
形成されてなることを特徴とする農業用ポリオレフィン
系樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農業用ポリオレフィ
ン系フィルムに関し、さらに詳しくは、フィルム同士が
重なりあった際に融着することが少なく、かつ耐候性に
優れた農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培
して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビ
ニルフィルムやポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フ
ィルムなどの農業用被覆材による被覆下に有用植物を栽
培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行
われている。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体と
した農業用ポリオレフィンフィルムは、軽量であり、ま
た焼却しても有毒ガスの発生が少なく、安価であること
などから盛んに利用されるようになってきている。な
お、農業用塩化ビニルフィルムは汚れやすい為、その表
面にアクリル系樹脂等の防塵性の被膜を設けることを要
するのに対し、ポリオレフィン系樹脂は比較的汚れにく
い性質を有するのと、他の樹脂との相性が悪いため、通
常、ポリオレフィン系樹脂だけの単層又は多層のフィル
ムから構成されている。
【0003】さて、農業用ハウスでは、気温が高い夏期
に換気をするため、側面フィルムを金属パイプに巻き付
けたまま数ヶ月間放置されることもあり、この時フィル
ムは高温度・高湿度の雰囲気にさらされ、またフィルム
は互いに圧着されているため、接触面同士が融着するこ
とがある。そして、秋〜冬に気温が低下した時、ハウス
内が低温になるのを避けるために巻き上げていたフィル
ムを巻きおろすが、フィルムが融着した場合巻きおろす
ことができず、また、無理に巻きおろすとフィルムが破
れてしまい大きな問題であった。
【0004】この問題を解決する方法として、農業用ポ
リオレフィン系フィルムの片面に、特定のアクリル系樹
脂からなる被膜を形成することにより、フィルム透明性
を損なうことなく、高温高湿度における巻き上げ時の融
着を防止することを、先に提案している。(特願10−
364505及び11−198601)しかしながら、
かかる特定のアクリル系樹脂をポリオレフィン系樹脂か
らなるフィルムの片面に形成して長期展張を行っていた
場合に、ポリオレフィン系樹脂フィルムとの相性の問題
からか、該フィルムに対するアクリル系樹脂塗膜の密着
性が劣り、長期間外気にさらされている内に、だんだん
とアクリル系樹脂層が剥がれてきて、耐久性に劣るとい
う問題が見いだされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかして本発明は、上
記問題を解決した、巻き上げられたフィルムの融着がフ
ィルム透明性を損なうことなく改善され、かつ、被膜の
密着性が良く、耐候性、防曇性に優れ、長期間にわたっ
て展張しておくことができる農業用ポリオレフィン系樹
脂フィルムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とす
るところは、農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムであ
って、展張時ハウス外面に、アクリル系樹脂及びアクリ
ル変性ポリオレフィン系樹脂との混合物よりなる被膜が
形成されてなることを特徴とする農業用ポリオレフィン
系樹脂フィルムにある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 1)基体ポリオレフィン系樹脂フィルム 本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、α−オ
レフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とす
る異種単量体との共重合体であり、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1
−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これら
のうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエ
チレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸
ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル
共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用
フィルムとして好ましい。また、本発明において、ポリ
オレフィン系樹脂の一成分としてメタロセン触媒で共重
合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を
使用することができる。
【0008】これは、通常、メタロセンポリエチレンと
いわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキ
セン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα
−オレフィンとの共重合体であり、この共重合体は、
(A法)特開昭58−19309号、特開昭59−95
292号、特開昭60−35005号、特開昭60−3
5006号、特開昭60−35007号、特開昭60−
35008号、特開昭60−35009号、特開昭61
−130314号、特開平3−163088号の各公開
公報、ヨーロッパ特許出願公開第420436号明細
書、米国特許第5055438号明細書及び国際公報W
O91/04247号明細書などに記載されている方
法、即ちメタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサ
ン触媒、又は、例えば、国際公開公報WO92/017
23号明細書等に開示されているような、メタロセン化
合物と、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとな
る化合物からなる触媒、又は、更には、特開平5−29
5020号、特開平5−295022号などに記載され
ているような、メタロセン化合物を無機化合物に担持さ
せた触媒などを使用して、主成分のエチレンと従成分の
炭素数4〜20のα−オレフィンとを、得られる共重合
体の密度が0.880〜0.930g/cm3 となるよ
うに共重合させる方法である。この重合方法としては、
高圧イオン重合法、溶液法、スラリー法、気相法などを
挙げることができる。これらの中では高圧イオン重合法
で製造するのが好ましい。
【0009】なお、この高圧イオン重合法とは、特開昭
56−18607号、特開昭58−25106号の各公
報に記載されているが、圧力が100kg/cm2
上、好ましくは300〜1500kg/cm2 で、温度
が125℃以上、好ましくは150〜200℃の反応条
件下に高圧イオン重合法により製造されるものである。
他方、メタロセンポリエチレンといわれるエチレン−α
−オレフィン共重合体の製造方法として、例えば、(B
法)特開平6−9724号、特開平6−136195
号、特開平6−136196号、特開平6−20705
7号の各公開公報に記載されているメタロセン触媒成
分、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分、微粒子状
担体、および必要に応じて有機アルミニウム化合物触媒
成分、イオン化イオン性化合物触媒成分を含む、オレフ
ィン重合用触媒の存在下に、気相、またはスラリー状あ
るいは溶液状の液相で種々の条件でエチレンとα−オレ
フィン、具体的には炭素原子数3〜20のα−オレフィ
ンとを、得られる共重合体の密度が0.900〜0.9
30g/cm3 となるように共重合させることによって
も調製することができるが、フィルムの良好な初期透明
性及び透明持続性が得られる点で上記(A)法によりメ
タロセンポリエチレンの製造がより好ましい。
【0010】(A)法によるメタロセンポリエチレン
は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperatu
re Rising Elution Fractio
nation)による測定によって得られる微分溶出曲
線で特定される。即ち、温度上昇溶離分別によって得ら
れる溶出曲線のピークが1つ存在するもので、そのピー
ク温度が20〜100℃、好ましくは40〜80℃の範
囲内にあるものである。また、該ピーク温度の溶出温度
以外の温度において溶出するものが実質的に該溶出曲線
に存在することがある。
【0011】温度上昇溶離分別(TREF)による溶出
曲線の測定 上記温度上昇溶離分別(Temperature Ri
sing Elution Fractionatio
n:TREF)による溶出曲線の測定は、「Journ
al of Applied Polymer Sci
ence.Vol 126,4,217−4,231
(1981)」、「高分子討論会予稿集2P1C09
(昭和63年)」等の文献に記載されている原理に基づ
いて実施される。すなわち、先ず対象とするポリエチレ
ンを溶媒中で一度完全に溶解させる。その後、冷却し、
不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させる。かかる
ポリマー層は結晶し易いものが内側(不活性担体表面に
近い側)に形成され、結晶し難いものが外側に形成され
てなるものである。次に、温度を連続又は段階的に昇温
することにより、先ず、低温度では対象ポリマー中の非
晶部分から、すなわち、ポリマーの持つ短鎖分岐の分岐
度の多いものから溶出する。溶出温度が上昇すると共
に、徐々に分岐度の少ないものが溶出し、ついには分岐
の無い直鎖状の部分が溶出して測定は終了する。この各
温度での溶出成分の濃度を連続的に検出して、その溶出
量と溶出温度によって描かれるグラフ(溶出曲線)のピ
ークによって、ポリマーの組成分布を測定することがで
きるものである。
【0012】本発明のポリオレフィン系樹脂の一成分と
して使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、
以下の物性を示すものである。メルトフローレート(MFR) JIS−K7210により測定されたMFRが0.01
〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の
値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと
成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFR
がこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大
し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧
力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。密度 JIS−K7112により測定された密度が0.880
〜0.930g/cm 3 、好ましくは0.880〜0.
920g/cm3 の値を示すものである。該密度がこの
範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの
範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロ
ッキングが生じ実用性に乏しくなる。分子量分布 ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)
によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平
均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.
0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より
大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分
布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安
定しない。
【0013】また本発明における農業用ポリオレフィン
系樹脂フィルムには、必要に応じて、防塵塗膜、防曇塗
膜の密着性を阻害しない範囲で可塑剤、防曇剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔
料、染料等の着色剤、蛍光剤、防霧剤、帯電防止剤、無
機微粒子等を配合することができる。可塑剤としては、
例えば、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、アジピ
ン酸誘導体、マレイン酸誘導体、クエン酸誘導体、イタ
コン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導
体、その他トリクレジルホスフェート、エポキシ化大豆
油、エポキシ樹脂系可塑剤等が挙げられる。
【0014】防曇剤としては、公知の種々の非イオン系
界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活
性剤等が挙げられる。例えばソルビタンモノステアレー
ト、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノベヘ
ネート等のソルビタン系脂肪酸エステル、グリセリンモ
ノラウレート、グリセリンモノステアレート、グリセリ
ンモノパルミテート、ジグリセリンジラウレート、ジグ
リセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテー
ト、トリグリセリンモノステアレート等のグリセリン系
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアレ
ート等のポリエチレングリコール系活性剤等の多価アル
コール系界面活性剤、及びそれらのアルキレンオキサイ
ド付加物、ポリオキシアルキレンエーテル、ソルビタン
類やグリセリン類等の有機酸とのエステル類等を挙げる
ことができる。
【0015】紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリ
アゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、シア
ノアクリレート系、フェニルサリシレート系、トリアジ
ン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、ベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒド
ロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒ
ドロキシ−3′−tert−アミル−5′−イソブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′−イソブチル−5′−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′−イソブチル−5′−プロピ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−[2′−ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾールが挙げ
られ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,
2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノン、4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−オクトキシベンゾフェノンが挙げられ、サリチル
酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、パ
ラオクチルフェニルサリシレートが挙げられ、トリアジ
ン系としては2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−
トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]
−フェノール等が挙げられる。光安定剤としては、農業
用に通常配合される種々の化合物を使用することができ
る。具体的には、特公昭62−59745号公報第5欄
第37行〜第16欄第18行目、特開平2−30529
号明細書第20頁第15行〜第38頁第3行目に記載さ
れているヒンダードアミン系化合物である。
【0016】本発明で使用可能な市販のヒンダードアミ
ン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TI
NUVIN780、TINUVIN144、TINUV
IN622LD、CHIMASSORB119FL、C
HIMASSORB944(以上、チバガイギー社
製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MAR
KLA−63、MARK LA−68、MARK LA
−62、MARK LA−67、MARK LA−57
(以上、アデカ・アーガス社製)等が挙げられる。ま
た、ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合
体を使用することもできる。
【0017】酸化防止剤としては、2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−メチレ
ンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノー
ル)、ジラウリルチオジプロピオネート等を挙げること
ができる。滑剤ないし熱安定剤としては、例えばポリエ
チレンワックス、流動パラフィン、ビスアマイド、ステ
アリン酸、ステアリン酸亜鉛、脂肪族アルコール、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、リシノー
ル酸バリウム、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ
マレート、有機リン酸金属塩、有機ホスファイト化合
物、フェノール類、β−ジケトン化合物等が挙げられ
る。
【0018】着色剤としては例えば、フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリ
ザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネン
トレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げる
ことができる。防霧剤としては、フッ素系界面活性剤や
シリコーン系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性
剤の具体例としては、通常の界面活性剤の疎水基のCに
結合したHの代わりにその一部または全部をFで置換し
た界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパ
ーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。
以上の各種添加剤は、それぞれ1種または2種以上を組
み合わせて使用することができる。上記各種添加剤の配
合量は、フィルムの性能、特に防塵塗膜、防曇塗膜の密
着性を悪化させない範囲で選ぶことができる。
【0019】無機微粒子としては、保温剤として有効な
Mg、Ca、Al、SiおよびLiの少なくとも1つの
原子を含有する無機酸化物、無機水酸化物、ハイドロタ
ルサイト類などである。具体的には、SiO2 、Al2
3 、MgO、CaOなどの無機酸化物;Al(OH)
3 、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 などの無機水酸化
物;式M2+ 1-xAlx (OH)2 (An-x/n・mH2
[式中、M2+は、Mg、CaまたはZnの二価金属イオ
ンであり、An-はCl- 、Br- 、I- 、NO 3 2- 、C
lO4-、SO4 2- 、CO2 2- 、SiO3 2- 、HP
4 2-、HBO3 2- 、PO4 2- 等のアニオンであり、x
は、0<x<0.5の条件を満足する数値であり、m
は、0≦m≦2の条件を満足する数値である]で表され
る無機複合化合物、その焼成物等のハイドロタルサイト
類などが挙げられる。これら無機微粒子は、それぞれ1
種または2種以上を組み合わせて使用することができ
る。上記各種添加剤の配合量は、フィルムの性能を悪化
させない範囲、通常は基体のオレフィン系樹脂100重
量部当り30重量部以下の範囲で選ぶことができる。
【0020】基材ポリオレフィン系樹脂に、各種添加剤
を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダ
ー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他従来
から知られている配合機、混合機を使用すればよい。こ
のようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するに
は、それ自体公知の方法、例えば溶融押出し成形法(T
ダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー成形
法等の従来から知られている方法によればよい。
【0021】本発明に係るフィルムは、透明でも、梨地
でも、半梨地でもよく、その用途は農業用ハウス(温
室)、トンネル等の被覆用に使用できるほか、マルチン
グ用、袋掛用等にも使用できる。また、フィルム厚みに
ついては強度やコストの点で0.03〜0.3mmの範
囲のものが好ましく、0.05〜0.2mmのものがよ
り好ましい。本発明における基材となるフィルムの構成
は、2層以上の多層であることが好ましく、好ましく
は、3層以上の構成とする。
【0022】そして、ハウス展張時に外面側となる外層
としては、前述のメタロセン触媒で共重合して得られる
エチレン−α−オレフィン共重合樹脂を30重量%以
上、好ましくは45重量%以上、更に好ましくは60重
量%以上含有する層とし、中間層は、エチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体を45重量%以上含有する層とし、ハウ
ス展張時に内面側となる内層は、エチレン−酢酸ビニル
系樹脂を45重量%以上含有するか、及び/又は、メタ
ロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフ
ィン共重合樹脂を30重量%以上含有する層とする層構
成とすることが好ましい。
【0023】2)ハウス外面被膜 本発明においては、上記基体ポリオレフィン系樹脂フィ
ルムの展張時ハウス外面に、アクリル系樹脂及びアクリ
ル変性ポリオレフィン系樹脂の混合物よりなる被膜を形
成してなることを特徴とする。アクリル変性ポリオレフ
ィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂とアクリル
系樹脂の共重合体が種々適用でき、中でも以下に記載の
重合生成物(A)が好ましい。ポリオレフィン系樹脂成
分とアクリル系樹脂成分の比率としては、被膜密着性、
及び農業用フィルムとしての非汚染性、耐久性といった
点から、樹脂中に含有されるアクリル成分の量が全体の
30〜95重量%のものが良く、好ましくは、60〜9
0重量%のものが良い。
【0024】重合物生成物(A):一分子中に少なくと
も1個の官能基を有するオレフィン樹脂(a)と、該官
能基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性単
量体(b)とを反応させて得られるラジカル重合性オレ
フィン樹脂(c)にアルキル(メタ)アクリレートを必
須成分として含有する共重合体可能な単量体(d)を共
重合して得られる重合生成物
【0025】アクリル系樹脂とアクリル変性ポリオレフ
ィン系樹脂との混合比率は、アクリル変性ポリオレフィ
ン系樹脂中のアクリル成分量に併せて適宜選択すればよ
い。例えば、重合生成物(A)の場合、重合生成物
(A)中の(d)成分量が多い場合は重合生成物(A)
の量を多くし、(d)成分量が少ない場合は重合生成物
(A)の量を少なくすることが密着性、融着防止をバラ
ンスさせる点で好ましい。通常、アクリル系樹脂:アク
リル変性ポリオレフィン系樹脂の重量比で、1:99〜
99:1、好ましくは10:90〜90:10、更に好
ましくは30:70〜70:30、更に好ましくは5
0:50〜70:30の混合比を採用する。
【0026】展張時ハウス外面に形成される被膜にアク
リル系樹脂として好ましく用いられる例としては、ヒド
ロキシルアルキル(メタ)アクリレート5〜40重量
%、分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基を
含むα,β−不飽和カルボン酸0〜20重量%、および
残部がこれら化合物と共重合可能な他のビニル系化合物
からなるモノマー成分を共重合して得られる共重合体を
挙げることができる。
【0027】ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
モノマーとしては、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒ
ドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアク
リレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチ
ルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレー
ト、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルメ
タクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、
6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート等が挙げられ
る。 分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基
を含むα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、アコニット酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げ
られ、20重量%以下で用いるのが好ましい。前記化合
物と共重合可能な他のビニル系化合物としては、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアク
リレート、イソプロピルアクリレート等のアルキル基の
測鎖が1〜5のアルキルアクリレート;メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート等のアルキル基の
測鎖が1〜5のアルキルメタクリレート;エチレンスル
ホン酸のようなα,β−エチレン性不飽和ホスホン酸
類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等
の水酸基含有ビニル単量体:アクリロニトリル類;アク
リルアマイド類;(メタ)アクリル酸のグリシジルエス
テル類等がある。これら単量体は単独で用いても、又は
2種以上の併用でもよい。
【0028】アクリル系樹脂の重合は、単量体を所定量
配合して、有機溶剤とともに重合缶に仕込み、重合開始
剤、必要に応じて分子量調節剤を加えて、攪拌しつつ加
熱し、重合する。重合は、通常公知の方法、例えば懸濁
重合法、溶液重合法などが採用される。この際、使用し
うる重合開始剤としては、α,α−アゾビスイソブチロ
ニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロ
パーオキサイド等のラジカル生成触媒が挙げられ、分子
量調節剤としては、ブチルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、β−
メルカプトエタノール等が挙げられる。重合に用いる有
機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−
ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコ
ール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコ
ール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキサノール等
のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エス
テル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−
プロピルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジ
−n−プロピルケトン、ジ−n−アミルケトンシクロヘ
キサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン等があり、
これらは、1種もしくは2種以上混合して使用すること
ができる。
【0029】上記ハウス外面の被膜を形成するアクリル
系樹脂のガラス転移温度は50〜82℃の範囲のものが
良く、好ましくは55〜80℃の範囲のものである。該
アクリル系樹脂被膜のガラス転移温度が低すぎる場合、
防塵性の低下や被膜と基体フィルムに融着が起こりやす
くなり、また高すぎる場合、被膜の可撓性が不十分なた
めに、巻き上げによるフィルム変形や、展張中の風によ
るフィルムはためき変形に、被膜が追随できず剥離や亀
裂を< 生じ、フィルム透明性を損なうことが多くなり、
実用性に乏しい。
【0030】本発明に使用される重合生成物(A)の原
料として用いられる、一分子中に少なくとも1個の官能
基を有するオレフィン樹脂(a)は、その重量平均分子
量が1000〜200000であるものが好ましく、特
に10000〜100000のものが好ましい。分子量
が低すぎるとポリオレフィン系樹脂基材との接着性が悪
くなり、高すぎると単量体(d)を共重合する際にゲル
化しやすくなるので好ましくない。一分子中に少なくと
も1個の官能基を有するオレフィン樹脂(a)は、既存
のポリオレフィンに目的とする官能基を有する不飽和化
合物を反応させることにより得られる。その前駆体のポ
リオレフィンとして、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン,ポリブテン−1,エチレン−プロピレン共重合
体,エチレン−ブテン共重合体等のα−オレフィンまた
はこれらの共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体,イソブテン−イソプレン共重合体等のα−オレ
フィンと共役ジエンの共重合体、ポリブタジエン,ポリ
イソプレン等のポリ共役ジエン、スチレン−ブタジエン
共重合体,スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体またはその水添物,スチレン−イソプレン共重合
体,スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
またはその水添物等の芳香族ビニル化合物と共役ジエン
の共重合体等が挙げられる。
【0031】ポリオレフィンと反応させる官能基を有す
る不飽和化合物としては、これら前駆体のポリオレフィ
ンにカルボン酸またはその無水物基を導入する場合、
(メタ)アクリル酸,フマル酸,マレイン酸及びその無
水物,イタコン酸及びその無水物,クロトン酸およびそ
の無水物,シトラコン酸およびその無水物等の不飽和カ
ルボン酸またはその無水物等が、エポキシ基を導入する
場合、グリシジル(メタ)アクリレート,マレイン酸の
モノ及びジグリシジルエステル,イタコン酸のモノ及び
ジグリシジルエステル,アリルコハク酸のモノ及びジグ
リシジルエステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエス
テル、p−スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、
アリルグリシジルエーテル,2−メチルアリルグリシジ
ルエーテル,スチレン−p−グリシジルエーテル等のグ
リシジルエーテル、p−グリシジルスチレン,3,4−
エポキシ−1−ブテン,3,4−エポキシ−3−メチル
−1−ブテン等のエポキシオレフィン、ビニルシクロヘ
キセンモノオキシド等が、水酸基を導入する場合、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート,N−メチロ―ル(メタ)アクリルア
ミド,2−ヒドロキシエチルアクリレート−6−ヘキサ
ノリド付加重合物、2−プロペン−1−オール等のアル
ケニルアルコール、2−プロピン−1−オール等のアル
キニルアルコール、ヒドロキシビニルエーテル等が、ま
た、イソシアネート基を導入する場合、2−イソシアネ
ートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソ
シアネート等が挙げられる。ポリオレフィンと官能基を
有する不飽和化合物との反応は、通常の方法でラジカル
開始剤を用いて行われる。
【0032】本発明に使用される重合生成物(A)の製
造に用いられるラジカル重合性オレフィン樹脂(c)は
オレフィン樹脂(a)の官能基に該官能基と反応性を有
する官能基を有するラジカル重合性単量体(b)を反応
させることにより得られる。オレフィン樹脂(a)のカ
ルボン酸またはその無水物基と反応性を有する官能基に
は水酸基、エポキシ基、及びイソシアネート基がある。
水酸基を有するラジカル重合性単量体としては、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレート,N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミ
ド,2−ヒドロキシエチルアクリレート−6−ヘキサノ
リド付加重合物、2−プロペン−1−オール等のアルケ
ニルアルコール、2−プロピン−1−オール等のアルキ
ニルアルコール、ヒドロキシビニルエーテル等があり、
エポキシ基を有するラジカル重合性単量体としては、グ
リシジル(メタ)アクリレート,マレイン酸のモノ及び
ジグリシジルエステル,イタコン酸のモノ及びジグリシ
ジルエステル,アリルコハク酸のモノ及びジグリシジル
エステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル、p
−スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグ
リシジルエーテル,2−メチルアリルグリシジルエーテ
ル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジル
エーテル、p−グリシジルスチレン,3,4−エポキシ
−1−ブテン,3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブ
テン等のエポキシオレフィン、ビニルシクロヘキセンモ
ノオキシド等があり、イソシアネート基を有するラジカ
ル重合性単量体としては、2−イソシアネートエチル
(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート
等が挙げられる。
【0033】オレフィン樹脂(a)のエポキシ基と反応
性を有する官能基にはカルボキシル基、エポキシ基、及
び水酸基がある。カルボキシル基を有するラジカル重合
性単量体としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸、
カルボキシエチルビニルエーテル,カルボキシプロピル
ビニルエーテル等のカルボキシアルキルビニルエーテル
等があり、水酸基を有するラジカル重合性単量体として
は、前記、オレフィン樹脂(a)のカルボン酸またはそ
の無水物と反応性を有する水酸基を有するラジカル重合
性単量体(b)として例示された単量体が挙げられる。
オレフィン樹脂(a)の水酸基と反応性を有する官能基
にはイソシアネート基、カルボキシル基、およびエポキ
シ基がある。イソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体およびエポキシ基を有するラジカル重合性単量体
としては、前記、オレフィン樹脂(a)のカルボン酸ま
たはその無水物と反応性を有する該単量体(b)として
例示された夫々の単量体が、又、カルボキシル基を有す
るラジカル重合性単量体としては、前記、オレフィン樹
脂(a)のエポキシ基と反応性を有する該単量体(b)
として例示された単量体が挙げられる。
【0034】オレフィン樹脂(a)のイソシアネート基
と反応性を有する官能基には水酸基、およびカルボキシ
ル基がある。これら官能基を有するラジカル重合性単量
体としては、夫々、当該単量体(b)として前記により
例示された単量体が挙げられる。オレフィン樹脂(a)
とラジカル重合性単量体(b)は、オレフィン樹脂
(a)中の官能基1当量に対し、ラジカル重合性単量体
(b)中の官能基が0.1〜10当量になるように配合
し反応させるのが好ましい。0.1当量未満ではラジカ
ル重合性オレフィン樹脂(c)に共重合可能な単量体
(d)を共重合する際に成分(d)のホモポリマーの含
有量が多くなり、10当量を越えるとゲル化しやすくな
る傾向がある。
【0035】本発明に使用される重合生成物(A)の製
造に用いられるラジカル重合性オレフィン樹脂(c)と
共重合可能な単量体(d)としては、(メタ)アクリレ
ートを必須成分として含有する単量体である。必須成分
であるアルキル(メタ)アクリレートには、モノマーと
しては、メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)
アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、メチル
メタクリレートが最も好ましい。他の共重合可能な単量
体としては、例えば、(メタ)アクリル酸,マレイン酸
モノアルキルエステル等のα,β−不飽和カルボン酸、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシ
ブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト等のオキシラン基を有する重合性単量体、(メタ)ア
クリルアミド等の不飽和アミド、(メタ)アクリロニト
リル、エポキシアクリレート、アルキレンオキサイド付
加体の(メタ)アクリレート、エチレングリコール・ジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ジ(メ
タ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。 必須成分の配合割合は、全単
量体成分(d)に対して30重量%以上、好ましくは5
0重量%以上必要である。30重量%以下では被膜の防
塵性、及び耐候性が低下し被膜形成効果が得られにくく
なる。
【0036】本発明に使用される重合生成物(A)は、
前記ラジカル重合性オレフィン樹脂(c)と上記特定の
単量体成分(d)とを共重合させて得られる。オレフィ
ン樹脂(c)に対する単量体成分(d)の配合割合は、
ハウス外面被膜を形成するアクリル系樹脂との混合比に
より適宜選択すれば良く、重合生成物(A)の配合量が
多い場合は(d)成分量を多くし、配合量が少ない場合
は(d)成分量を少なくすることにより、密着性、融着
防止効果のバランスが得られ易くなる。成分(c)と成
分(d)との共重合反応は、トルエン、キシレン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチ
ル、セロソルブアセテート、エタノール、ブタノール、
プロパノ―ル等の有機溶剤を反応溶媒とし、重合触媒と
して過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、クメン
ハイドロパーオキシド等の過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾビス化合物等を成分(d)に対して
0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%用い、5
0〜200℃で1〜20時間加熱反応させることにより
行うことができる。この場合、共重合成分(c)、およ
び(d)は、反応物中に合計で5〜50重量%となるよ
うに反応溶媒の量を調整し、反応は窒素ガス等の不活性
ガスの雰囲気下で行うのが好ましい。残存モノマーを少
なくするために、重合開始剤としてアゾビス系化合物と
過酸化物を併用してもよい。
【0037】本発明に使用される重合生成物(A)を溶
解する有機溶剤としては、アセトン,メチルエチルケト
ン,メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジオキサ
ン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル,
酢酸ブチル,セロソルブアセテート等のエステル類、ト
ルエン,キシレン等の芳香族炭化水素、テトラリン、ミ
ネラルスピリッツやこれらの混合溶媒が挙げられ、上記
溶媒は重合反応に用いた溶液をそのまま使用することも
できる。
【0038】3)ハウス内面被膜 本発明においては、更に好ましい態様として、上記基体
ポリオレフィン系樹脂フィルムの展張時ハウス内面に、
アクリル系樹脂及び無機質コロイドゾルを主成分とする
防曇被膜を形成されてなることを特徴とする。アクリル
系樹脂は、疎水性であることが好ましく、該疎水性アク
リル系樹脂のガラス転移温度は、35〜80℃の範囲に
あることが好ましく、低すぎる場合、無機質コロイド粒
子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、また
無機質コロイド粒子の塗布基材に対する固着が十分でな
いため、時間の経過とともに無機質コロイド粒子が基材
表面から脱落・流失して防曇性能を損なうことがあり、
また高すぎる場合、透明性のある均一な被膜を得るのが
困難になり、実用性に乏しい。
【0039】本発明において、形成される被膜の疎水性
アクリル系樹脂として好ましく用いられる1つの例とし
ては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメ
タクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、また
はアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類
とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40
重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体
とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下
に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重
合体または共重合体を挙げることができる。 疎水性ア
クリル系樹脂の製造に用いるアクリル酸またはメタクリ
ル酸のアルキルエステル類としては、アクリル酸メチル
エステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n
−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステ
ル、アクリル酸−n−ブチルエステル、アクリル酸−2
−エチルヘキシルエステル、アクリル酸デシルエステ
ル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチル
エステル、メタクリル酸−n−プロピルエステル、メタ
クリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸−n−ブ
チルエステル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルエス
テル、メタクリル酸デシルエステル等が挙げられ、一般
には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸ア
ルキルエステル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜2
0個のメタクリル酸アルキルエステルが使用される。ア
ルケニルベンゼン類としては、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0040】本発明で用いる疎水性アクリル系樹脂は、
上記のようなアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエ
ステル類、又は、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキ
ルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物
を、少なくとも計60重量%を含有することが好まし
い。60重量%に満たないときは、形成被膜の耐水性が
十分でないために、防曇持続性能を発揮しえないことが
あり好ましくない。疎水性アクリル系樹脂を得るために
用いるα、β−エチレン性不飽和単量体としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸等のα、
β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパン酸;α、β−エチレン性不飽和
ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキ
シエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリ
ル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル
酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。これら単量
体は、単独で用いても、または2種以上の併用でもよ
く、0〜40重量%の範囲で使用するのが好ましい。使
用量が多すぎると、防曇性能を低下させることがあり、
好ましくない。疎水性アクリル系樹脂は、公知の乳化
剤、例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性
剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしく
は2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方
法、反応性乳化剤を用いて重合させる方法、乳化剤を含
有せずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等に
よって得ることができる。乳化剤の存在下での重合方法
の場合、これら乳化剤は、単量体の仕込み合計量に対し
0.1〜10重量%の範囲で使用するのが、重合速度の
調整、合成される樹脂の分散安定性の点から好ましい。
【0041】本発明の疎水性アクリル系樹脂の製造に好
ましく用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アセチルパーオキ
サイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げら
れる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1
〜10重量%の範囲で使用することができる。本発明で
用いる無機質コロイドゾルは、疎水性のポリオレフィン
系樹脂フィルム表面に塗布することにより、フィルム表
面に親水性を付与する機能を果たすものである。無機質
コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リ
チウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタ
ン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々
の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾル
が挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカ
ゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用
しても良い。無機質コロイドゾルとしては、その平均粒
子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、ま
た、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上の
コロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径
が大きすぎると、被膜が白く失透することがあり、ま
た、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの
安定性に欠けることがあるため好ましくない。無機質コ
ロイドゾルは、その配合量をアクリル系樹脂の固形分重
量に対して、固形分として50〜400重量%にするの
が好ましい。すなわち、配合量が少なすぎる場合は、十
分な防曇効果が発揮できないことがあり、一方、配合量
が多すぎる場合は、防曇効果が配合量に比例して向上し
ないばかりでなく、塗布後に形成される被膜が白濁化し
てフィルムの光線透過率を低下させる現象があらわれ、
また、被膜が粗雑で脆弱になることがあり、好ましくな
い。
【0042】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イ
オン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面
活性剤等の界面活性剤を添加することができる。陰イオ
ン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、オレ
イン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸
エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキル
ベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン
酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアル
キルスルホコハク酸塩;ジアルキルホスフェート塩;ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリ
ウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が挙げら
れる。陽イオン系界面活性剤としては、エタノールアミ
ン類;ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミ
ンモノステアレートギ酸塩;ステアラミドエチルジエチ
ルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルアン
モニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の
第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0043】非イオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル
等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポ
リオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチ
レンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル類;ポリエチレングリコールモノステ
アレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポ
リプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ソ
ルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタンモノベンゾエート等のソルビタン脂肪酸
エステル類;ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセ
リンモノステアレート等のジグリセリン脂肪酸エステル
類;グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸
エステル類;ペンタエリスリトールモノステアレート等
のペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ジペンタエ
リスリトールモノパルミテート等のジペンタエリスリト
ール脂肪酸エステル類;ソルビタンモノパルミテート・
ハーフアジペート、ジグリセリンモノステアレート・ハ
ーフグルタミン酸エステル等のソルビタン及びジグリセ
リン脂肪酸・2塩基酸エステル類;またはこれらとアル
キレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピ
レンオンオキサイド等の縮合物、例えばポリオキシエチ
レンソルビタンモノラウレート、ポリオキシプロピレン
ソルビタンモノステアレート等;ポリオキシエチレンス
テアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、
ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシ
エチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類;シュガーエ
ステル類等が挙げられる。高分子界面活性剤としては、
ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、セルロースエ
ーテル類等が挙げられる。
【0044】これら界面活性剤の添加は、疎水性アクリ
ル系樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに
均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと
併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フ
ィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。界面活性
剤の添加量は、疎水性アクリル系樹脂の固形分100重
量部に対し0.1〜50重量部の範囲で選ぶと良い。界
面活性剤の添加量が少なすぎると、疎水性アクリル系樹
脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間が
かかり、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効
果を十分に発揮しえず、一方界面活性剤の添加量が多す
ぎると塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト
現象により被膜の透明性が低下し、顕著な場合は被膜の
耐ブロッキング性の悪化や被膜の耐水性低下を引き起こ
す場合がある。
【0045】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができ
る。架橋剤は、アクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の
耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェ
ノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリ
ジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物
類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられる
が、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキ
シ化合物類が好ましく使用できる。アミン化合物類とし
ては、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミ
ン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン;
3,3' −ジメチル−4,4'−ジアミノジシクロヘキ
シルメタン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン;4
−4' −ジアミノジヘニルメタン、m−フェニレンジア
ミン等の芳香族アミンが使用される。アジリジン化合物
類としては、トリス−2,4,6−(1−アジリジニ
ル)−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパ
ン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス
[1−(2−メチル)−アジリジニル]ホスフィンオキ
シド、ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]ト
リホスファトリアジン等が使用される。エポキシ化合物
類としては、ビスフェノールA又はビスフェノールFと
エピクロルヒドリンとの反応生成物、フェノール(又は
置換フェノール)とホルムアルデヒドとの樹脂反応生成
物とエピクロルヒドリンの反応により生成されるエポキ
シ化ノボラック樹脂、エピクロルヒドリン及び脂肪族多
価アルコール例えばグリセロール、1,4−ブタンジオ
ール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール又は類似の
多価アルコール成分から生成される樹脂状反応生成物及
び過酢酸を用いるエポキシ化により得られる樹脂等が使
用される。エポキシ化合物類では、さらに三級アミン類
や四級アンモニウム塩類を触媒として併用することがで
きる。これら架橋剤は、その添加量がアクリル系樹脂固
形分に対して0.1〜30重量%の範囲で使用すること
ができる。本発明に使用される防曇剤組成物には、必要
に応じて、液状分散媒を配合することができる。かかる
液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性溶
媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式
アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が
挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併用し
ても良い。防曇剤組成物は、疎水性アクリル系樹脂、無
機質コロイドの固形分として一般に0.5〜50重量%
の濃度で調製し、これを希釈して使用することが多い。
本発明で調製される防曇剤組成物には、更に必要に応じ
て、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、顔料、顔料分
散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。なお、
本発明でいう、アクリル系樹脂被膜のガラス転移温度
は、次式により算出した。
【0046】
【数1】1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+
Wn/Tgn
【0047】ただし、Tgはアクリル系樹脂のガラス転
移温度(絶対温度)、Tg1、Tg2、…、Tgnは各
成分1、2、…、nのホモポリマーのガラス転移温度
(絶対温度)、W1、W2、…、Wnは各成分1、2、
…、nの重量分率をそれぞれ示す。基体フィルムの表面
にアクリル系樹脂及びアクリル変性ポリオレフィン系樹
脂の混合物よりなる被膜及び防曇性被膜をそれぞれ形成
するには、前述の重合にて得られたアクリル系樹脂及び
重合生成物(A)の混合溶液及び防曇剤組成物をそれぞ
れドクターブレードコート法、ロールコート法、ディッ
プコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バー
コート法、ナイフコート法、ハケ塗り法等それ自体公知
の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の
乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採
用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50
〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾
燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥
法、遠赤外線乾燥法等適宜方法を採用すればよく、乾燥
速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有
利である。
【0048】本発明において、基体フィルムの表面に形
成させる被膜の厚さは、基体フィルムの1/10以下を
目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定され
るものではない。被膜の厚さが基体フィルムの1/10
より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈曲性に差
があるため、被膜が基体フィルムから剥離する等の現象
がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基体フィル
ムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくな
い。また、基体フィルムと被膜組成物に由来する被膜と
の接着性が充分でない場合には、基体フィルムの表面を
予めアルコールまたは水で洗浄したり、プラズマ放電処
理、あるいはコロナ放電処理を施しておいてもよい。本
発明に係る農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムを、実
際に使用するにあたっては、アクリル系樹脂及びアクリ
ル変性ポリオレフィン系樹脂の混合物による被膜の設け
られた側をハウス又はトンネルの外側となるようにして
展張するのがよい。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例
に限定されるものではない。 (1)ポリオレフィン系基体フィルムの調製 三層インフレーション成形装置として三層ダイに100
mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機は外内層を
30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40m
mφ((株)プラ技研製)として成形温度160℃、ブ
ロー比2.0、引取速度5m/分にて、表−1に記載の
ポリオレフィン系基材フィルム(A、B)を得た。
【0050】(2)ハウス外面の被膜の形成 表−2及び表−3に記載の組成よりなる重合組成物
(A)及びアクリル系樹脂をトルエンに溶解し、固形分
濃度が20%になるように調製した。得られたトルエン
溶液を表−4に記載の混合比なるように混合、攪拌し被
膜形成用塗布液を得た。尚、比較例としてアクリル系樹
脂単品も被膜形成用塗布液とした。得られた塗布液を前
記、基材フィルムの表面にグラビアコート法によって塗
布した後、150℃に温度調節した温風乾燥炉内に2分
間滞留させ、溶剤を飛散させ外面被膜を形成させた。
尚、被膜の厚みは全て2μmであった。
【0051】(3)ハウス内面の防曇被膜の形成 表−5に記載のモノマー組成よりなるアクリル系樹脂の
水分散液を調製し、得られたアクリル系水分散液に表−
6に記載の無機質コロイドゾル、その他の成分を配合
し、2種類の防曇剤組成物を調整した。得られた防曇剤
組成物を、前記、基材フィルムのハウス外面のアクリル
系樹脂被膜を形成した面と別の面にグラビアコート法に
よって塗布した後、80℃に温度調節した温風乾燥炉内
に2分間滞留させ、液状分散媒を飛散させて被膜を形成
させた。
【0052】(4)フィルムの評価 得られた各フィルムについて、次のような評価試験を行
い、その結果を表−7に示した。 a)融着性試験 幅30cm、長さ150cmに切断したフィルムを、名
古屋市の水道水に2日間浸し、これを、直径2cm幅3
5cmの亜鉛メッキをした鉄製のパイプに巻き付け、6
5℃のオーブン内で1週間放置し、乾燥させた。このフ
ィルムを鉄パイプから巻き戻した時のフィルム接触部分
の融着が発生した面積の、フィルム全体の面積に対する
割合を示した。 b)塗膜密着性 幅20cm、長さ30cmに切断したフィルムを名古屋
市の水道水に浸漬し、5℃雰囲気下に一昼夜放置した。
このフィルムにスコッチブライト(3M製工業用パッド
8448、サイズ;8cm×10cm)をのせ、以下の
条件で塗膜剥離試験を行った。 試験温度:5℃雰囲気下、荷重:4kg、 試験回数:長さ方向へ20cm×10往復 試験後のサンプルを乾燥させ、塗膜密着性を以下の基準
にて目視評価した。 ○; 剥離面積 0〜20% △; 剥離面積 20〜50% × ; 剥離面積 >50% c)屋外曝露試験−1)光線透過率残率試験 三重県一志郡の捕縄に、間口5.4m、棟高3m、奥行
き15mのパイプハウス13棟を構築し、表−5に記載
の構成よりなる13種類のフィルムを各棟に1種類ずつ
防塵被膜が形成された面がハウスの外側になるように展
張した。評価は、次式により算出した光線透過率残率を
以下の評価基準により行った。
【0053】
【数2】
【0054】*:波長555nm における平行光線透過率
(U−2000型日立ダブルビーム分光光度計にて測
定) ◎ : 光線透過率残率 ≧90% ○ : 光線透過率残率 70〜89% △ : 光線透過率残率 50〜69% × : 光線透過率残率 <50% d)屋外曝露試験−2)防曇性試験 評価c)にて展張したフィルムについて、ハウス内面の
防曇性を目視にて評価した。尚、評価基準は、次の通り
である。 ◎・・・フィルム表面(ハウス内側に面した方、以下同
じ)に付着した水滴同士が合体して薄膜状に広がり、こ
の薄膜状部分の面積がフィルム表面の2/3以上にわた
るもの。 ○・・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体は認め
られるが、この薄膜状部分の面積がフィルム表面の2/
3未満、1/2以上のもの。 △・・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体は認め
られるが、この薄膜状部分の面積がフィルム表面の1/
2未満のもの。 X・・・フィルム表面に付着した水滴同士の合体は認め
られるが、薄膜状部分が認められないもの、または、フ
ィルム表面に付着した水滴同士の合体が認められないも
の。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、フィルム同士が重なり
あった際にも融着することが少なく、かつ重なり合った
後の透明性に優れ、また外面塗膜の密着性が良いため長
期間にわたり融着性防止、防曇性を持続できる耐久性農
業用ポリオレフィン系樹脂フィルムを得ることできる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2B024 DB01 EA01 2B029 EB03 EC02 EC06 EC09 EC15 EC16 EC17 EC19 EC20 4F006 AA12 AA13 AB24 BA10 BA13 CA06 DA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムで
    あって、展張時ハウス外面に、アクリル系樹脂及びアク
    リル変性ポリオレフィン系樹脂の混合物よりなる被膜が
    形成されてなることを特徴とする農業用ポリオレフィン
    系樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 該アクリル変性ポリオレフィン系樹脂が
    下記重合生成物(A)よりなることを特徴とする請求項
    1記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。 重合物生成物(A):一分子中に少なくとも1個の官能
    基を有するオレフィン樹脂(a)と、該官能基と反応性
    を有する官能基を有するラジカル重合性単量体(b)と
    を反応させて得られるラジカル重合性オレフィン樹脂
    (c)にアルキル(メタ)アクリレートを必須成分とし
    て含有する共重合体可能な単量体(d)を共重合して得
    られる重合生成物
  3. 【請求項3】 フィルムのハウス外面の被膜を形成する
    アクリル系樹脂のガラス転移温度が50〜82℃の範囲
    であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに
    記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムのハウス外面の被膜を形成する
    アクリル系樹脂が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
    レート5〜40重量%、分子内に1個もしくは2個以上
    のカルボキシル基を含むα、β−不飽和カルボン酸0〜
    20重量%、および残部がこれら化合物と共重合可能な
    他のビニル系化合物からなるモノマー成分を共重合して
    得られる共重合体であることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれかに記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 展張時ハウス内面に、アクリル系樹脂及
    び無機質コロイドゾルを主成分とする防曇被膜を形成し
    てなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
    記載の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂の一成分として、
    メタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オ
    レフィン共重合樹脂が使用される事を特徴とする請求項
    1ないし5のいずれかに記載の農業用ポリオレフィン系
    樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 フィルムのハウス内面の防曇被膜を形成
    するアクリル系樹脂が、アクリル酸またはメタクリル酸
    のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル
    酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニ
    ルベンゼン類との単量体混合物を主要成分として製造さ
    れた重合体または共重合体であることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれかに記載の農業用ポリオレフィン
    系樹脂フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015231718A (ja) * 2014-06-10 2015-12-24 出光ユニテック株式会社 防曇性ポリオレフィン系シート、その製造方法、その成形体および食品包装用成形体

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JP2015231718A (ja) * 2014-06-10 2015-12-24 出光ユニテック株式会社 防曇性ポリオレフィン系シート、その製造方法、その成形体および食品包装用成形体

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