JP2002235396A - 垂壁パネルの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】垂壁パネルを簡単確実に取り付けるとともに、
垂壁パネルの取付部材を利用して軒裏材を簡単に取り付
ける。 【解決手段】 鉄骨梁Ｈに取付部材３を固定し、そのチ
ャンネル材３２のリップ部３２ａに垂壁パネル１に固定
された係合金具２の係合部２ｂを係合させてボルトＢを
締め付けることにより、垂壁パネル１を鉄骨梁Ｈに固定
する。一方、取付部材３の接続板３３に軒裏支持プレー
ト４を固定するとともに、軒裏支持プレート４に懸吊部
材８を固定し、懸吊部材８を介して軒裏材５の野縁５２
を支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨系住宅におけ
る垂壁パネルの取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、複数個の中空部が上下方向に貫通
して形成されるとともに、裏面側の所定位置にナット金
具が予め配設された押出成形セメント板からなる外壁パ
ネルが知られている。このような外壁パネルを用いて鉄
骨系住宅の外壁を形成する場合、下階の鉄骨梁に下部取
付部材を固定するとともに、上階の鉄骨梁に上部取付部
材を固定し、外壁パネルを下部取付部材および上部取付
部材にわたって固定するようにしている。

【０００３】このような外壁パネルの取付構造におい
て、バルコニーなどを形成する場合、バルコニーなどの
床下地を支持する鉄骨梁の外側面が露出するとともに、
バルコニーなどの床下地裏面が露出することになる。こ
のため、鉄骨梁の外側面を覆う小さな外壁パネルである
垂壁パネルを鉄骨梁に固定する一方、床下地裏面を覆う
軒裏材を垂壁パネルと本体側外壁パネルとの間に配設す
る必要がある。

【０００４】この場合、垂壁パネルは、鉄骨梁の室外側
に配設される関係上、鉄骨梁に阻止されて作業者の手を
入れることができず、作業が複雑になるという問題があ
った。

【０００５】このような問題に対応して、出願人は、先
に垂壁パネルを簡単確実に取り付けることのできる垂壁
パネルの取付構造を提案している（例えば、特開２００
０−４５４３５号公報参照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな垂壁パネルの取付構造においては、垂壁パネルを簡
単確実に取り付けることができるものの、軒裏材を別途
吊り下げるための懸吊部材を垂壁パネルを設けた鉄骨梁
に固定しなければならず、同一の鉄骨梁に複数の部品が
輻輳するとともに、鉄骨梁下方の作業となって作業がや
りにくいという欠点があった。

【０００７】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、垂壁パネルを簡単確実に取り付けると
ともに、垂壁パネルを取り付ける取付部材を利用して軒
裏材などを容易に取り付けることのできる垂壁パネルの
取付構造を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、垂壁パネル
と、垂壁パネルの裏面側下隅部近傍にそれぞれ固定され
た係合部を有する係合金具と、リップ部を有するチャン
ネル材が取付板に溶接されるとともに、支持板が接続板
を介して取付板に溶接されて形成された取付部材と、取
付部材の接続板に固定された軒裏吊りプレートと、軒裏
材と、から構成され、前記取付部材は、隣接する垂壁パ
ネルの下部にそれぞれ固定された係合金具のうちの近接
する係合金具間にわたる長さに形成されるとともに、取
付板が隣接する垂壁パネルの突き合わせ部に対応して鉄
骨梁に固定されてなり、垂壁パネルの下端左右端縁部が
左右の取付部材の支持板にそれぞれ載置されるととも
に、垂壁パネルの下部に固定された左右の係合金具が左
右の取付部材のチャンネル材のリップ部にそれぞれ係合
され、また、軒裏材が軒裏吊りプレートに設けられた懸
吊部材を介して支持されていることを特徴とするもので
ある。

【０００９】本発明によれば、鉄骨梁に固定された取付
部材に、垂壁パネルに固定された係合金具を係合させて
ボルトを締め付けるだけの簡単な作業により、垂壁パネ
ルを鉄骨梁に確実に固定することができる。また、取付
部材に固定された軒裏吊りプレートに懸吊部材を設けて
鉄骨梁から離れた位置で軒裏材を取り付けることができ
ることから、容易に作業を行うことができる。

【００１０】本発明において、前記取付部材の支持板に
支持板を越える長さの補強材が固定され、補強材に垂壁
パネルの下端面を化粧する軒下化粧回り縁が固定されて
いると、補強材に軒下回り縁を簡単に固定して垂壁パネ
ルの下端面を化粧することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の垂壁パネルの取付
構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【００１２】図１には、本発明の垂壁パネルの取付構造
の一実施形態が示されている。

【００１３】この垂壁パネルの取付構造は、垂壁パネル
１と、垂壁パネル１の裏面側下隅部近傍にそれぞれボル
トＢによって固定された係合金具２と、鉄骨梁Ｈの下フ
ランジｈ２の下面に設定間隔をおいてボルトナットを介
して固定された取付部材３と、取付部材３に連結された
軒裏吊りプレート４と、軒裏材５と、垂壁パネル１の下
端面を化粧する軒下化粧回り縁６と、から構成されてい
る。

【００１４】ここで、鉄骨梁Ｈとしては、断面Ｈ字状の
型鋼が採用され、上下のフランジｈ１，ｈ２には、その
室内側および室外側において、それぞれ設定間隔をおい
て複数個の取付穴ｈａが予め形成されており、この取付
穴ｈａを利用して前述した取付部材３などをボルトナッ
トを介して固定することができる。

【００１５】垂壁パネル１は、押出成形セメント板であ
って、図３に示すように、上下方向に貫通する複数個の
中空部１ａを有するとともに、その裏面側下隅部近傍に
一の中空部１ａに連通する下穴１ｂが形成されており、
各下穴１ｂには、一の中空部１ａの下端部からそれぞれ
挿入されたナット金具７が配設されている。また、外壁
パネル１の表面には、詳細には図示しないが、加飾模
様、例えば、縦方向および横方向にそれぞれ設定間隔を
おいた複数本の横溝および縦溝からなる目地パターンが
形成されている。

【００１６】係合金具２は、鋼板を折曲して断面略Ｐ字
状に形成されており、長穴２ａを有するとともに、その
一端部に断面略Ｖ字状の係合部２ｂを有している（図３
参照）。そして、係合金具２は、その長穴２ａを通して
外壁パネル１の下穴１ｂに配設されたナット金具７にボ
ルトＢをねじ込むことにより、垂壁パネル１に固定する
ことができる。この際、係合金具２を垂壁パネル１に固
定する場合は、その係合部２ｂが上方を向くように配置
される。

【００１７】取付部材３は、図２に示すように、複数個
のボルト用取付穴（図示せず）がそれぞれ形成された取
付板３１と、取付板３１に溶接された断面略Ｌ字状のチ
ャンネル材３２、例えば、リップ山形鋼と、取付板３１
の下面に直交するように上端面が溶接された接続板３３
と、接続板３３の下端面に溶接された断面略Ｚ字状の支
持板３４と、からなり、チャンネル材３２の垂直片３２
１の先端にはリップ部３２ａが形成されている。そし
て、チャンネル材３２は、垂直片３２１の外面が取付板
３１の先端面よりもわずかに外方に位置するように、取
付板３１に溶接されている。また、支持板３４の室外側
コーナーには、断面略Ｌ字状の補強材３５、例えば、リ
ップ山形鋼が溶接されおり、支持板３４を補強するとと
もに、後述するように、垂壁パネル１の裏面を取付部材
３のチャンネル材３２の垂直片３２１とともに支持する
ことができる。

【００１８】ここで、取付部材３は、隣接する垂壁パネ
ル１，１において、近接する係合金具２，２、すなわ
ち、図２の左方の垂壁パネル１の右側に固定された係合
金具２と、取付部材３に隠されているが、右方の垂壁パ
ネル１の左側に固定された係合金具２とにわたる長さを
若干越える短小な長さに形成されている。

【００１９】軒裏吊りプレート４は、取付プレート４１
と、取付プレート４１の一側端面に側面が溶接された断
面Ｌ字状に折曲された支持プレート４２と、からなり、
取付プレート４１が前述した取付部材３の接続板３３に
ボルトナットを介して締結されている。そして、軒裏吊
りプレート４の支持プレート４２には、後述するよう
に、軒裏材５を懸吊する懸吊部材８が設けられている。

【００２０】軒裏材５は、サイディング５１と、サイデ
ィング５１の裏面に設定間隔をおいてビス止めされた長
手方向に延びる断面ロ字状の野縁５２と、から形成され
ている。

【００２１】軒下化粧回り縁６は、断面略ロ字状のアル
ミ押出製品であって、その室内側上面に適宜な間隔をお
いて断面Ｚ字状に折曲された複数個の取付片６１がビス
固定されている。そして、軒下化粧回り縁６は、取付片
６１を前述した取付部材３の補強材３５にビスを介して
固定されている。

【００２２】ところで、軒裏材５の懸吊部材８は、図４
に示すように、軒裏吊りプレート４の支持プレート４２
にナットを介して締結された吊りボルト８１と、吊りボ
ルト８の下端部にナットを介して締結された長手方向に
延びる断面コ字状の野縁受け８２と、野縁受け８２の下
フランジに係止可能な係止金具８３とからなり、係止金
具８３は、軒裏材５の野縁５２に装着されている。

【００２３】次に、垂壁パネル１を取り付ける手順につ
いて説明する。

【００２４】まず、図３に示すように、垂壁パネル１の
裏面側下隅部近傍に係合部２ｂが垂壁パネル１の上端部
側にそれぞれ位置するように、係合金具２の長穴２ａを
通してナット金具７にボルトＢをねじ込み、係合金具２
を垂壁パネル１に固定する。この場合、ボルトＢはナッ
ト金具７から脱落しない程度に仮止めする。

【００２５】一方、予め割り付けられた垂壁パネル１の
取付位置から求められる隣接する垂壁パネル１，１の突
き合わせ部に対応する位置において、鉄骨梁Ｈの下フラ
ンジｈ２の下面に取付部材３の取付板３１を配置し、取
付板３１のボルト用取付穴および鉄骨梁Ｈの下フランジ
ｈ２の取付穴ｈａにボルトを挿通し、ナットを用いて固
定する（図２参照）。また、取付部材３の接続板３３に
軒裏吊りプレート４の取付プレート４１をボルトナット
を介して固定しておく。

【００２６】次いで、クレーンなどを利用して垂壁パネ
ル１を吊り上げ、その下端左右端縁部を左右の取付部材
３の支持板３４にわたって載置するとともに、その裏面
を左右の取付部材３のチャンネル材３２の垂直片３２１
の外面および補強材３５に当接させた後、各係合金具２
の係合部２ｂを左右の取付部材３のチャンネル材３２の
リップ部３２ａにそれぞれ係合させ、ボルトＢを締め付
けて係合金具２を垂壁パネル１のナット金具７に締結
し、垂壁パネル１を鉄骨梁Ｈに固定された左右の取付部
材３にわたって固定する。

【００２７】この結果、鉄骨梁Ｈに固定された左右の取
付部材３のチャンネル材３２のリップ部３２ａに係合金
具２の係合部２ｂをそれぞれ係合させてボルトＢを締め
付けるだけの簡単な作業により、垂壁パネル１を鉄骨梁
Ｈに確実に固定することができる。また、取付部材３
は、隣接する垂壁パネル１，１に固定された係合金具２
のうちの近接する係合金具２，２間にわたる長さを若干
越える短小な長さに形成されているため、重量を軽減し
て取扱性を向上させることができる。

【００２８】垂壁パネル１を固定したならば、軒下化粧
回り縁６を持ち込み、取付片６１を取付部材３の補強材
３５に一次的に懸吊させて位置決めした後、補強材３５
に向けてビスを打ち込み、軒下化粧回り縁６を固定す
る。また、垂壁パネル１の下端面と軒下化粧回り縁６と
の間に水密材Ｓを充填し、密封する。

【００２９】この後、軒裏材５の一端縁部を軒下化粧回
り縁６に仮載置するとともに、詳細には図示しないが、
本体側外壁パネルに固定された軒裏見切りに軒裏材５の
他端縁部を装着した後、軒裏吊りプレート４の支持プレ
ート４２に吊りボルト８１を締結し、吊りボルト８１に
野縁受け８２を固定する。次いで、野縁受け８２の下フ
ランジに設定間隔をおいて係止金具８３を差し込んで取
り付け、さらに、係止金具８３に野縁５２を装着した
後、軒裏材５を野縁５２に沿わせて野縁５２とビス固定
する。

【００３０】なお、軒裏材５のスパンが大きいときに
は、間に位置する他の鉄骨梁Ｈの下フランジｈ２に図示
しない吊り金具を固定し、吊り金具に取り付けた懸吊部
材８によって軒裏材５の野縁５２の適宜な位置を支持す
ればよい。

【００３１】このように、取付部材３に軒裏吊りプレー
ト４を固定し、軒裏吊りプレート４に懸吊部材８を設け
て鉄骨梁Ｈから離れた位置で軒裏材５を取り付けること
ができることから、容易に作業を行うことができる。

【００３２】なお、前述した実施形態においては、取付
部材３のチャンネル材３２として、リップ山形鋼を使用
した場合を例示したが、リップ山形鋼に限定されるもの
ではない。すなわち、係合金具２の係合部２ｂが係合可
能なリップ部を有すればよいことから、リップ山形鋼に
代えてリップ溝形鋼を採用することもでき、断面コ字状
や断面Ｃ字状などの形状を限定するものではない。

【００３３】また、軒裏材５として、サイディング５１
を利用した場合を説明したが、サイディングに限定する
ものではない。

【００３４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、鉄骨梁に
固定された取付部材に、垂壁パネルに固定された係合金
具を係合させてボルトを締め付けるだけの簡単な作業に
より、垂壁パネルを鉄骨梁に確実に固定することができ
る。また、取付部材に固定された軒裏吊りプレートに懸
吊部材を設けて鉄骨梁から離れた位置で軒裏材を取り付
けることができることから、容易に作業を行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の垂壁パネルの取付構造の一実施形態を
一部省略して示す縦断面図である。

【図２】図１の垂壁パネルの取付構造における垂壁パネ
ル、取付部材および軒下化粧回り縁との関係を示す斜視
図である。

【図３】垂壁パネルに配設されるナット金具と係合金具
の関係を示す分解斜視図である。

【図４】取付部材に固定される軒裏吊りプレート、懸吊
部材および野縁の関係を示す分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 垂壁パネル ２ 係合金具 ２ｂ 係合部 ３ 取付部材 ３１ 取付板 ３２ チャンネル材 ３２ａ リップ部 ３３ 接続板 ３４ 支持板 ３５ 補強材 ４ 軒裏吊りプレート ５ 軒裏材 ６ 軒下化粧回り縁 ７ ナット金具 ８ 懸吊部材 Ｈ 鉄骨梁 ｈ２ 下フランジ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 垂壁パネルと、垂壁パネルの裏面側下隅
   部近傍にそれぞれ固定された係合部を有する係合金具
   と、リップ部を有するチャンネル材が取付板に溶接され
   るとともに、支持板が接続板を介して取付板に溶接され
   て形成された取付部材と、取付部材の接続板に固定され
   た軒裏吊りプレートと、軒裏材と、から構成され、前記
   取付部材は、隣接する垂壁パネルの下部にそれぞれ固定
   された係合金具のうちの近接する係合金具間にわたる長
   さに形成されるとともに、取付板が隣接する垂壁パネル
   の突き合わせ部に対応して鉄骨梁に固定されてなり、垂
   壁パネルの下端左右端縁部が左右の取付部材の支持板に
   それぞれ載置されるとともに、垂壁パネルの下部に固定
   された左右の係合金具が左右の取付部材のチャンネル材
   のリップ部にそれぞれ係合され、また、軒裏材が軒裏吊
   りプレートに設けられた懸吊部材を介して支持されてい
   ることを特徴とする垂壁パネルの取付構造。
2. 【請求項２】 前記取付部材の支持板に支持板を越える
   長さの補強材が固定され、補強材に垂壁パネルの下端面
   を化粧する軒下化粧回り縁が固定されていることを特徴
   とする請求項１記載の垂壁パネルの取付構造。