JP2002233257A - 灌水マット及びその製造方法 - Google Patents

灌水マット及びその製造方法

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JP2002233257A
JP2002233257A JP2001033344A JP2001033344A JP2002233257A JP 2002233257 A JP2002233257 A JP 2002233257A JP 2001033344 A JP2001033344 A JP 2001033344A JP 2001033344 A JP2001033344 A JP 2001033344A JP 2002233257 A JP2002233257 A JP 2002233257A
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plant
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irrigation
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Hisayuki Takigawa
久幸 瀧川
Yutaka Kawahara
豊 河原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 栽培期間の安定化と短縮化を可能にし、また
繰返し使用を可能にし、さらに炭酸ガスを生じることな
く安価に製造可能にすると共に、使用済後土中で自然に
分解可能にすること。 【解決手段】 低融点生分解性の繊維又は樹脂の溶融に
よって固着したマットを構成した植物繊維の表面部を、
ペクチン及びヘミセルロースが熱分解された多孔質構造
にして成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物工場の養液栽
培の培地や家庭用植栽コンテナの人工土壌として用いる
灌水マット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物工場の養液栽培において、窒素N、
リンP、カリK等の肥料成分を水に溶かした培養液を培
地に循環して、野菜、花、果樹等を栽培するベット型栽
培方式が行なわれている。養液栽培の培地としては、
砂、礫の天然土壌、顆粒状の人工土壌、ロックウール等
が使用されている。
【0003】これらの培地のうち、天然土壌は培養液を
汚染する。また、天然土壌と顆粒状の人工土壌培地は、
育苗ポットへの装填に手間がかかって、作業性が悪い。
また、育苗時において吸水による移動が生じて植物の生
育(発根、発芽、生長を意味し、以下単に生育とい
う。)が阻害され、育苗期間が長期化する。さらに、育
苗ポットからの定植時に脱落して根が損傷され、定植期
間が長期化するという問題がある。
【0004】これに対して、ロックウール培地は、マッ
ト状で、取扱い作業が容易であり、吸水性、保水性及び
形態安定性(培地としての形状安定性と吸水時の寸法安
定性を含む。以下同じ。)を有し、植物の生育媒体とな
る灌水マットとしての適性を備えている。しかし、近
年、自然環境の破壊防止という点に鑑みて、ロックウー
ル培地の使用が見直されるようになってきた。というの
は、ロックウール培地は、岩綿(玄武岩)を溶解するの
に1,500℃以上の熱量を消費して大量の炭酸ガスを
発生し、また使用済後廃棄しても分解されずに残るから
である。
【0005】そこで、最近、一部の植物工場において
は、顆粒状の人工土壌やオガクズ、ピートモス等天然素
材のものが培地として再び使用されているが、前記問題
が未解決のままであり、生産性向上の妨げの一因になっ
ている。
【0006】また、環境破壊の問題を考慮して、例え
ば、椰子殻繊維を樹脂成形した培地、ジュート繊維とコ
イヤ繊維を混合した不織布シート(特開平6−1816
29号公報)、生分解性繊維を使用して主体繊維を結合
するバインダーとした布帛(特開平6−248511号
公報)等植物繊維を用いたものが提案されている。
【0007】しかし、これら従来の植物繊維を用いたも
のは、ロックウール培地に比べて、取扱い作業性、形態
安定性、保水性、吸水性又は成形性のいずれかの点にお
いて劣り、灌水マットとして満足できるものではなかっ
た。その上、植物繊維の種類によって、植物の生育が遅
れたり、栽培期間(育苗〜定植〜収穫)が大きく変動
(ばらつき)する場合があり、安定生産が要求される植
物工場の培地としては好適ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】よって、現在、植物工
場において、ロックウール培地と同等又はそれ以上の特
性を有すると共に、栽培期間の安定化と短縮化が図れ
て、生産性向上に寄与する培地として使用できる灌水マ
ットが求められている。
【0009】本発明は、これらの要求に応えるためにな
したものである。すなわち、本発明は、栽培期間の安定
化と短縮化を可能にし、また繰返し使用を可能にし、さ
らに炭酸ガスを生じることなく安価に製造可能にすると
共に、使用済後土中で自然に分解可能にした、植物工場
における養液栽培の培地として、また家庭用植栽コンテ
ナの人工土壌としても利用できる灌水マット及びその製
造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、栽培期間
の変動要因について、種々の植物繊維からなる不織布マ
ットを培地として用いて試験研究を重ねた。その結果、
本発明者らは、植物繊維が播種された植物の生育を阻害
する成分を含有していることを知見して、本発明を完成
したものである。さらに、植物繊維に固着する植物炭化
粉末を改良して、栽培期間の大幅な短縮化とマットの再
使用化を可能にしたものである。
【0011】本発明の灌水マットは、マットを構成する
植物繊維の繊維間を、混合した低融点生分解性繊維の溶
融によって固着し、かつ上記植物繊維の表面部を、ペク
チン及びヘミセルロースが熱分解された多孔質構造にし
て成る(請求項1)。
【0012】この場合において、マットを構成する植物
繊維の繊維間は、低融点生分解性繊維に代えて、含浸し
た低融点生分解性樹脂(例えば、脂肪族ポリエステル樹
脂等)を溶融して固着することもできる(請求項2)。
【0013】この手段によれば、植物繊維の繊維間が生
分解性の繊維又は樹脂によって固着されているから、形
態安定性、吸水性、保水性、生分解性及び成形性が十分
に確保される。また、植物繊維の表面部が改質された多
孔質構造であるから、植物繊維の種類によって生じてい
た生育の遅延や変動が解消されると共に、当該繊維固有
の植物生育有効成分(ミネラル成分、有機成分等)が活
用され、酸素供給機能、水分保持機能、養分供給機能と
相まって、播種された植物の生育が促進される。したが
って、栽培期間の安定化と短縮化が図れる。
【0014】本発明において、マットの引張強度は、上
記種々の機能を発現し、形態保持性、成形性等を考慮す
ると、最大引張強度の30%〜60%の範囲の構成(請
求項3)にするのが好適である。ここで、最大引張強度
とは、マット作製の際、熱処理によって一旦上昇して最
大となる破断時の強さ(N)を意味する。
【0015】また、マットを構成した植物繊維には、植
物固有のミネラル成分及び有機成分を活用するため、植
物由来の加熱分解多孔質粉末を固着した構成(請求項
4)にするのが好適である。ここで、植物由来の加熱分
解多孔質粉末とは、育苗時において必要なミネラル成分
(カリK、マンガンMn等)を含有する植物を所定の処
理方法で熱処理した炭化物の粉末を意味し、上記ミネラ
ル成分を含有しない紙、不織布等の加工品の炭化物を意
味するものではない。
【0016】上記加熱分解多孔質粉末としては、ペクチ
ン及びヘミセルロースのみが除去された植物の低温炭化
物が好適であって、具体的には、植物を、180℃〜3
00℃の温度条件で熱処理するか、酸化性、好ましくは
強酸化性の高温水蒸気で処理した後上記熱処理を行なう
ことによっても得ることができる。ここで、低温炭化物
とは、上記温度条件で加熱処理した炭化物を意味する。
【0017】このようにすると、植物由来の加熱分解多
孔質粉末には、植物生育阻害要因がなく、植物生育有効
成分が保有されているから、マットを構成した植物繊維
の表面部との相乗作用によって、栽培期間の安定化と大
幅な短縮化が図れると共に、栽培植物の生育低下を起こ
すことなくマットの再使用化(2〜5年)が図れる。
【0018】本発明の灌水マットの製造方法は、イ.植
物繊維と融点180℃以下の低融点生分解性繊維との混
合繊維から繊維ウェブを形成する第一工程と、ロ.上記
繊維ウェブの繊維間を交絡して不織布を形成する第二工
程と、ハ.上記不織布を巻回又は積層して一定の形状の
マット状に成形する第三工程と、ニ.上記マット状不織
布を180℃〜300℃で熱処理する第四工程とから成
る(請求項6)。
【0019】この場合、上記ハの工程を、植物由来の加
熱分解多孔質粉末を散布しながら行なうか(請求項
7)、ロとハの工程の間に、不織布に植物由来の加熱分
解多孔質粉末を散布する工程を加える(請求項8)か、
ロとハの工程又はハとニの工程の間に、不織布又は不織
布マットを植物由来の加熱分解多孔質粉末混合液に含浸
加工する工程を加える(請求項9)と好適である。
【0020】ところで、本発明の方法において、熱処理
条件は、植物繊維の表面部を改質された微細な多孔質構
造を形成するのに重要である。よって、熱処理条件とし
ては、温度条件180℃〜300℃で、植物繊維が最大
引張強度の30%〜60%の引張強度を維持している段
階において、植物繊維の表面部にペクチン及びヘミセル
ロースの分解による微細な多孔質構造が形成されるよう
に、熱処理時間を設定するものである。
【0021】本発明の方法によるときは、低融点生分解
性繊維が植物繊維の繊維分散性に寄与し、また植物繊維
の繊維間の固着と植物由来の加熱分解多孔質粉末の固着
に寄与して、略均一な不織布マットを構成した植物繊維
の表面部に、植物生育有害成分が存在せず、植物生育有
効成分を保持した所望の灌水マットを、炭酸ガスを生ず
ることなく、安価に製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の灌水マットは、植物繊維
と融点180℃以下の低融点生分解性繊維とを所定の混
合割合で混合した繊維ウェッブを、ニードルパンチ法、
ウォータジェットパンチ法、スパンレース法等から適宜
選択した交絡手段によって交絡して不織布を形成した
後、上記不織布上に植物由来の加熱分解多孔質粉末を散
布しながら渦巻き状に巻き、続いて温度条件180℃〜
300℃で所定時間熱処理して、上記低融点生分解性繊
維の溶融によって植物繊維の繊維間と植物加熱分解多孔
質粉末を固着すると共に、植物繊維の表面部を、ペクチ
ン及びヘミセルロースが熱分解された微細な多孔質構造
にしたものである。
【0023】上記灌水マットの見掛け密度としては、
0.05g/cm3 〜0.30g/cm3 の範囲が好ま
しい。というのは、0.05g/cm3 未満であると保
水性が低下し、0.30g/cm3 を越えると空隙率が
低下し、根の成育が悪くなり、また酸素供給不足による
成育障害が発生し易くなるからである。
【0024】本発明に係る灌水マットは、そのまま培地
としたり、所定の大きさ・形状に打ち抜き又は裁断加工
をして育苗ポット用の人工培地としたり、一般家庭で使
用するガーデニング用の人工土壌としても使用するもの
である。
【0025】この場合において、上記植物繊維として
は、ジュート、ケナフ、綿、バナナ、パーム等からなる
繊維を用いることができ、植物固有の植物生育有効成分
の活用の点を考慮して、特にジュート繊維を用いること
が好ましい。
【0026】また、低融点生分解性繊維としては、脂肪
族ポリエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳
酸、ポリブチレンサクシネート等を用いることができ、
カーディング性が比較的悪い植物繊維の繊維分散性の向
上の点を考慮して、特に脂肪族ポリエステルを用いるこ
とが好ましい。
【0027】繊維ウェブを構成する植物繊維と低融点生
分解性繊維の混合割合としては、植物繊維を50重量%
〜70重量%の範囲で用いるのが実用的である。植物繊
維の割合が50重量%未満になると、低融点生分解性繊
維の増量による繊維間接着力及び形態安定性は向上す
る。しかし、マット構成繊維本数が減少して、吸水性、
保水性が低下して、栽培期間が長くなる傾向になる。一
方、70重量%を越えると、吸水性、保水性は向上す
る。しかし、低融点生分解性繊維による繊維間接着力が
低下して、成形性が悪くなって高密度培地の成形が困難
になったり、吸水による寸法変化が生じたり、植物由来
の熱分解多孔質粉末が培地外へ流出し易くなり、培地と
しての形態安定性が低下して、栽培期間が長くなる傾向
になる。
【0028】ところで、本発明の製造方法において、熱
処理条件は、植物繊維が有する植物生育有害成分の除去
と植物生育有効成分の活用を図り、成形性、形態安定性
を確保し、さらに植物の生育に必要な機能(酸素供給機
能、水分保持機能、養分供給機能)を発現するのに重要
である。よって、熱処理条件としては、温度条件180
℃〜300℃で、不織布マットが最大引張強度の30%
〜60%の引張強度を維持している段階において、植物
繊維の表面部が熱分解されて、表面部にペクチン及びヘ
ミセルロースの分解による多孔質構造が形成されるよう
に、熱処理時間を設定するものである。
【0029】熱処理時間としては、例えば、ジュート繊
維と脂肪族ポリエステル繊維とから成る重量300g/
2 、厚さ3mmの不織布マットの場合、60分間〜1
30分間の範囲が好適であり、成形体の体積、植物繊維
及び低融点生分解性繊維又は樹脂の種類、混合割合等に
よって適宜決定する.
【0030】図1は、上記不織布マットについて、熱処
理温度200℃で熱処理したときの熱処理時間と引張強
度との関係図である。不織布マットの熱処理前の引張強
度は50Nであった。この引張強度は、巾5cmの試験
片をつかみ間隔10cm、引張速度300mm/min
の条件で試験を行い、破断時の強さ(荷重)を巾で除し
た数値(JIS−L−1096の一般織物試験方法に準
拠)で、3回の平均値である。
【0031】図1から明らかなように、不織布マット
は、引張強度が脂肪族ポリエステル繊維の融着によって
一旦上昇して最大引張強度に達した後、時間の経過にし
たがってジュート繊維の劣化が始まって徐々に低下し
て、最終的に強度がなくなり粉末状態になる。よって、
この不織布マットの熱処理時間としては、引張強度が最
大引張強度の60%である45Nから30%である2
2.5Nを維持している段階において、植物繊維の表面
部の熱分解が完了する60分間〜130分間の範囲に設
定するのが好適である。
【0032】次に、上記不織布マットに固着する、植物
由来の熱分解多孔質粉末の素材としては、植物固有の有
効成分を含んでいる植物であれば特に限定されるもので
はないが、コカナダ藻、葦、水草等の水生植物が好まし
く、植物固有の有効成分の活用の点を考慮すると、特
に、発根性に優れ、水及び土壌の種々の成分を吸収して
無機物等のミネラル成分や植物活性の有機成分を多く含
有しているコカナダ藻を用いることが好ましい。
【0033】上記加熱分解多孔質粉末は、植物を、18
0℃〜300℃の温度条件で熱処理した低温炭化物か、
好ましくは、酸化性又は強酸化性の高温水蒸気で処理し
た後上記熱処理した低温炭化物が好適である。300℃
を越える高温で熱処理したものは、多孔質構造が形成さ
れるが、植物固有の有機成分が全て炭化、消失してしま
って、植物栽培の生育に有効に寄与しないから好ましく
ない。酸化性又は強酸化性の高温水蒸気処理したもの
は、植物生育阻害成分のみが分解除去され、栽培に重要
なミネラル成分を保持された低温炭化物が得られ、灌水
マットに優れた性能をより一層発現させることができ
る。
【0034】また、上記加熱分解多孔質粉末は、低温炭
化物を粉砕したものであって、そのの大きさは特に限定
されるものではないが、分散又は含浸加工にて不織布マ
ットに均一に付着する点を考慮すると、微粉末であるこ
とが好ましい。
【0035】さらに、加熱分解多孔質粉末の付着量は、
植物活性効果、脱落等を考慮して、灌水マットの構成繊
維100重量部に対して1重量部〜10重量部程度が好
適である。
【0036】上記加熱分解多孔質粉末は、低融点生分解
性繊維の溶融によってマットを構成する植物繊維の表面
に固着されるが、さらにポリビニルアルコールやフェノ
ール等の安価で、組成的に環境に優しい樹脂によってさ
らに強固に固着することもできる。このようにすると、
培地としての保形性・剛性をより一層向上することがで
きる共に、2〜5年間にわたって製品の再使用化をより
一層確実にすることができる。ところで、製品の再使用
化を図る場合には、分解期間の長い生分解性樹脂(例え
ば、生分解性脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコー
ル、にかわ等)を用いて、植物繊維及び低融点生分解性
繊維又は樹脂の溶融箇所を被覆して、生分解作用を抑制
することも可能である。
【0037】
【実施例】(実施例1) 1.繊維ウェブ形成加工 ジュート繊維50%と脂肪族ポリエステル繊維50%の
混合繊維をウェッブ形成装置(カード)にかけて、重量
300g/m2 の繊維ウェッブを形成した。 2.不織布形成加工 次に、上記繊維ウェブをニードルパンチ装置にかけて、
両面に各々パンチ数50p/m2 ,打ち込み深さ15m
mの加工を施して、厚さ3mmに調整して繊維間を交絡
した不織布を形成した。 3.マット成形加工 上記不織布を水に含浸した後、加熱分解多孔質粉末(コ
カナダ藻)を散布しながら渦巻き状に巻き直径10cm
に成形加工した後、所定の熱処理条件(200℃×90
分間)にて熱処理して所望の灌水マットを作製した。
【0038】(実施例2) 1.繊維ウェブ形成加工 ジュート繊維70%と脂肪族ポリエステル繊維30%の
混合繊維をウェッブ形成装置(ランド)にかけて、重量
300g/m2 の繊維ウェッブを形成した。 2.不織布形成加工 次に、上記繊維ウェブをスパンレース装置にかけて、片
面からウォータジェットパンチ加工を施して、目付30
0g/m2 、厚さ3mmに調整して繊維間を交絡した不
織布を形成した。 3.油剤洗浄及び混合液含浸加工 上記不織布を下記配合条件の混合液に含浸加工し、付着
量を30g/m2 になるようにマングルを調整した。 配合条件 重量部 ポリビニールアルコール 100部 界面活性剤 1部 加熱分解多孔質粉末(コカナダ藻) 1部 水 濃度 5% 4.マット成形加工 上記不織布を1m角に裁断後、厚さ10cmになるよう
に複数枚積層して成形加工し、所定の熱処理条件(20
0℃×90分間)にて熱処理して所望の灌水マットを作
製した。
【0039】次に、実施例1,2の灌水マット(本発明
品)と、下記の比較品1,2,3及び従来品1,2とを
用いて、水耕栽培に使用する育苗ポット(直径3.0c
m×深さ2.0cm)に装填できる円柱状に成形し、下
記の保水性試験と吸水性試験を行ったところ、表1の結
果を得た。
【0040】比較品1:ジュート繊維をフェノール系発
泡樹脂で接着したもの 比較品2:ジュート繊維に加熱分解多孔質粉末をフェノ
ール樹脂で以て190℃以下の条件で熱融着したもの 比較品3:ジュート繊維を低融点生分解性繊維で以て1
90℃以下の条件で熱融着したもの 従来品1:ロックウール培地(フェノール樹脂成型) 従来品2:椰子殻繊維培地(樹脂圧縮成型)
【0041】吸水性試験:各試料を培養液に下端一部を
浸漬して、10分間放置後の液の吸い上げ高さを測定し
た。 保水性試験:各試料に十分に吸水させて1分間吊るし
て、水を切った前後の重量を測定して、保水率(%)=
(吸水後の重量/吸水前の重量)×100により求め
た。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、本発明品は、低
密度品であり、吸水性及び保水性が比較品2〜3及び従
来品1,2に比較して優れていることが判明した。
【0044】次に、本発明品と比較例品1〜3と従来品
1,2とを用いて、水耕栽培試験を行ったところ、表2
の結果を得た。なお、評価方法は、従来品1の生育状態
を標準(3)にして、5段階評価によって行った。水耕
栽培試験:育苗ポットに装填された各種培地に播種(サ
ラダナ、コマツナ)し20日間育苗後、育苗ポットから
引抜き、水耕栽培の定植場所に移植し20日間経過後の
成育状態を比較した。
【0045】
【表2】
【0046】表2の結果から明らかなように、本発明品
は、比較品や従来品に比較して、成長が早く、苗が良く
成育することが判明した。
【0047】
【発明の効果】請求項1、3に記載の灌水マットによれ
ば、植物繊維が生分解性の繊維又は樹脂の溶融によって
固着されており、かつ植物繊維の表面部が植物生育阻害
成分の存在せず当該繊維固有の植物生育有効成分を保持
した多孔質構造であるから、成形性を向上することがで
き、また植物繊維の種類によって生じていた生育の遅延
や変動を解消することができて栽培期間の安定化を図る
ことができると共に、ロックウール培地と比較して優れ
た吸水性、保水性及び生分解性の機能を発揮して、酸素
供給機能、水分保持機能、養分供給機能と相まって、播
種された植物の生育が促進されて栽培期間の短縮化を図
ることができ、植物工場の生産性の向上に寄与すること
ができる。。また、軽量で、任意の大きさ・形状に加工
できるから、家庭植栽用コンテナポットの人工土壌とし
ては勿論のこと、植物工場の養液栽培の培地として利用
することができる。さらに、使用後は、廃棄処理しても
土中で自然に分解し、また容易に粉砕することができる
から、天然土壌に混入して再利用することができ、製品
の完全リサクル化を図ることができる。
【0048】請求項2に記載の灌水マットによれば、灌
水マットとしての特性、機能を発現できると共に、形態
保持性、成形性等ををより一層向上することができる。
【0049】請求項4、5に記載の灌水マットによれ
ば、加熱分解多孔質粉末には植物生育阻害要因がなく、
植物生育有効成分が保持されているから、マットを構成
した植物繊維の表面部との相乗作用によって、栽培期間
のより一層の安定化と大幅な短縮化が図ることができる
共に、栽培植物の生育低下を生じることなくマットの再
使用化(2〜5年)を図ることができる。
【0050】請求項6〜9に記載の灌水マットの製造方
法によれば、混合した低融点生分解性繊維によって、カ
ード工程において植物繊維の繊維分散性が向上し、植物
繊維が均一に分散した不織布を形成することができる。
また、植物繊維の繊維間と加熱分解多孔質粉末とを強固
に固着することができると共に、植物繊維の表面部が改
質されて優れた特性を有する灌水マットを、炭酸ガスを
生ずることなく安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理時間と引張強度との関係図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/54 ZAB D06M 15/03 D06M 15/03 101:04 // D06M 101:04 A01G 27/00 502H Fターム(参考) 2B022 AA05 BA07 BA12 BB02 DA19 2B027 UA17 VA01 2B314 MA35 NC24 NC49 NC56 PC11 PC12 PC16 PC22 PC24 PC35 4L033 AA02 AB07 AC15 CA02 CA03 4L047 AA08 AA28 BA03 BA07 CA02 CB10 DA00 EA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マットを構成する植物繊維の繊維間を、
    混合した低融点生分解性繊維の溶融によって固着し、か
    つ上記植物繊維の表面部を、ペクチン及びヘミセルロー
    スが熱分解された多孔質構造にしたことを特徴とする灌
    水マット。
  2. 【請求項2】 マットを構成する植物繊維の繊維間を、
    含浸した低融点生分解性樹脂の溶融によって固着した請
    求項1に記載の灌水マット。
  3. 【請求項3】 マットの引張強度が、最大引張強度の3
    0%〜60%である請求項1又は2に記載の灌水マッ
    ト。
  4. 【請求項4】 マットを構成した植物繊維に、植物由来
    の加熱分解多孔質粉末を固着した請求項1、2又は3に
    記載の灌水マット。
  5. 【請求項5】 加熱分解多孔質粉末が、ペクチン及びヘ
    ミセルロースのみが除去された植物の低温炭化物である
    請求項4に記載の灌水マット。
  6. 【請求項6】 次の工程からなる灌水マットの製造方
    法。 イ.植物繊維と融点180℃以下の低融点生分解性繊維
    との混合繊維から繊維ウェブを形成する第一工程。 ロ.繊維ウェブの繊維間を交絡して不織布を形成する第
    二工程。 ハ.不織布を巻回又は積層してマット状に成形する第三
    工程。 ニ.不織布マットを180℃〜300℃で熱処理する第
    四工程。
  7. 【請求項7】 ハの工程を、植物由来の加熱分解多孔質
    粉末を散布しながら行なう請求項6に記載の灌水マット
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 ロとハの工程の間に、不織布に植物由来
    の加熱分解多孔質粉末を散布する工程を加える請求項6
    に記載の灌水マットの製造方法。
  9. 【請求項9】 ロとハの工程又はハとニの工程の間に、
    不織布又は不織布マットを植物由来の加熱分解多孔質粉
    末混合液に含浸加工する工程を加える請求項6に記載の
    灌水マットの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007020508A (ja) * 2005-07-20 2007-02-01 Toray Ind Inc 水耕栽培資材
JP2013116084A (ja) * 2011-12-05 2013-06-13 Kyushu Institute Of Technology 育種育苗ポット
CN107736239A (zh) * 2017-05-19 2018-02-27 连云港樊荡河农产品贸易有限公司 低成本、标准化的蔬菜生产方法及其组织方法

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