JP2002227295A - 薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及び梁構築方法 - Google Patents

薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及び梁構築方法

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JP2002227295A
JP2002227295A JP2001020101A JP2001020101A JP2002227295A JP 2002227295 A JP2002227295 A JP 2002227295A JP 2001020101 A JP2001020101 A JP 2001020101A JP 2001020101 A JP2001020101 A JP 2001020101A JP 2002227295 A JP2002227295 A JP 2002227295A
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reinforcing bar
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precast beam
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Tomiaki Cho
富明 張
Takeshi Sato
武 佐藤
Takeshi Kuroshima
毅 黒島
Nobuyuki Matsunaga
信幸 松永
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Original Assignee
Matsumura Gumi Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 建築現場における梁構築のための工数を低減
し、梁構築を簡単、安価になし得る、また、梁主筋位置
の変更、梁の剪断補強筋量の変更等に簡単に対応できる
薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及び梁構築方法の提
供。 【解決手段】 上部開口111を有する断面U字形状の
薄肉外殻状コンクリート枠体11と、長手方向に所定間
隔で配列され、一部を残して枠体11内に埋設された複
数個の内蔵鉄筋12とを有し、内蔵鉄筋12は、枠体両
上端面から上部開口111に覆い被さらないように一部
突出し枠体内に埋設され、一部突出部分は、剪断補強筋
として機能する複合補強筋を内蔵鉄筋12とともに形成
する挿し鉄筋の挿し鉄筋係合部121を有しており、別
途組み立てた主筋組立体2を、枠体11の上部開口11
1から該枠体内に挿入配置できる薄肉外殻状構造体プレ
キャスト梁1A。かかるプレキャスト梁を利用する梁構
築方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレキャスト梁、特
に構造体の一部として機能する構造体プレキャスト梁に
関する。
【0002】
【従来の技術】プレキャスト工法は構造部材である梁、
柱、壁等を予め工場等で製作し、建設現場で組み立てる
工業化工法である。プレキャスト工法は工期の短縮、現
場作業の低減、型枠材の削減等多くのメリットを有して
おり、建設工事に多く採用されている。
【0003】梁構築に関する従来のプレキャスト工法を
みると、大別して薄肉形枠プレキャスト工法、薄肉構造
体プレキャスト工法及び構造体プレキャスト工法があ
る。
【0004】薄肉型枠プレキャスト工法は、梁における
あばら筋(剪断補強筋)の外側のかぶりコンクリート部
分を、その中に梁主筋やあばら筋を設置し、コンクリー
トを打設する薄肉型枠として形成し、これを建設現場へ
搬入し、梁構築に利用する工法である。
【0005】薄肉構造体プレキャスト工法は、梁におけ
るあばら筋(剪断補強筋)を含む外殻コンクリート部分
を形成し、これを建設現場へ搬入し、構造体の一部とし
て梁構築に利用する工法である。
【0006】構造体プレキャスト工法は、梁の大部分を
製作し、これを建設現場へ搬入し、最終的な梁に仕上げ
る工法である。
【0007】いずれも一長一短があるが、薄肉構造体プ
レキャスト梁は、構造体として機能するので建設現場で
の支保工類が少なくすみ、軽量で扱い易く、各種の鉄筋
継ぎ手工法を採用できる等の点で利用されている。
【0008】かかる薄肉構造体プレキャスト梁の最も一
般的なものとして図4に示すものを挙げることができ
る。
【0009】図4に示すプレキャスト梁9Aは、上部開
口911を有する断面U字形状の薄肉外殻状コンクリー
ト枠体91と、コンクリート枠体91の長手方向に沿っ
て所定の間隔で配列され、それぞれが、頂部を残して枠
体91内に埋設された複数個の剪断補強筋92とを有す
るものである。各剪断補強筋92は矩形状に形成されて
おり、頂部921を残して他の部分が枠体91内に該枠
体に沿ってU字状に埋設されている。
【0010】この他、図5に示すように、同様の薄肉外
殻状コンクリート枠体91と、コンクリート枠体91の
長手方向に沿って所定の間隔で配列され、それぞれが、
上端部931を残して枠体91内に埋設された複数個の
U字形状の内蔵鉄筋93とを有するプレキャスト梁9B
も知られている。内蔵鉄筋93の露出上端部931は、
梁構築にあたり、該内蔵鉄筋とともに剪断補強筋を形成
するための、枠体91を横切る方向の挿し鉄筋を係合す
るためにフック形状に形成されており、且つ、そのフッ
ク形状上端部931は枠体91の上部開口911に覆い
被さるように形成されている。
【0011】この他、図4や図5のプレキャスト梁9
A、9Bにおいて、枠体91の底部の両角部分に枠体長
手方向に下端主筋94を内蔵したものも知られている。
下端主筋94と剪断補強筋92を内蔵したプレキャスト
梁は高層建物等に多く採用されている。
【0012】但し、このように下端主筋を採用したプレ
キャスト梁ではプレキャスト梁同士を接合するにあた
り、下端主筋同士の接合に機械式継手を採用する必要が
あり、コストの増加を招くのに対し、下端主筋を採用し
ないものでは、設計への対応も簡単であり、梁主筋の継
手位置及び継手方式をより広い範囲から選択することが
でき、その点でコストを削減することが可能であること
も知られている。
【0013】いずれにしてもこれらプレキャスト梁は、
建設現場でコンクリート枠体91内に梁主筋等が所定の
状態に配置され、組み立てられ、さらに挿し鉄筋が配置
されてコンクリートが打設される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に
示すように、剪断補強筋92がコンクリート枠体91に
沿って埋め込まれる閉鎖型(環状型)のものであるプレ
キャスト梁9Aの場合、コンクリート枠体91内に設置
すべき梁主筋を含む主筋組立体を別途作っておいて、こ
の主筋組立体をコンクリート枠体91内に挿入設置する
ということは、該閉鎖型の剪断補強筋が邪魔するので不
可能である。従って、梁主筋を一本又は数本ずつ枠体9
1内に挿入し、枠体91内で主筋組立体を形成しなけれ
ばならず、その作業は困難であり、非常に手間取る。主
筋位置を変更すべき状態が生じたとき、その変更作業も
極めて困難である。また、梁における剪断補強筋量はプ
レキャスト梁のコンクリート枠体91に埋め込まれた鉄
筋を含む剪断補強筋の量と、主筋組立体の一部を構成す
る剪断補強筋の量との合計量であり、従って梁における
剪断補強筋量は主筋組立体における剪断補強筋量で調整
することが可能であるが、該主筋組立体の構築はコンク
リート枠体91内で行わなければならないため、主筋組
立体を一旦形成したあとで、その剪断補強筋量を変更す
べき事態が生じたときには、該変更は極めて困難であ
り、場合によっては、主筋組立体の取壊しが必要になっ
てしまうこともある。
【0015】図5に示すタイプのプレキャスト梁の場
合、コンクリート枠体91内に埋設された内蔵鉄筋93
は閉鎖型のものではないが、そのフック形状上端部93
1が枠体91の上部開口911に覆い被さっているの
で、主筋組立体を別途作っておいて、これを枠体91内
に挿入設置するということは該覆い被さった上端部93
1が邪魔するので殆ど不可能に近い。従って、梁主筋を
一本又は数本ずつ枠体91内に挿入し、枠体91内で主
筋組立体を形成しなければならず、その作業は、図4に
示すタイプのプレキャスト梁の場合よりは容易であると
はいえ、やはり、困難であり、手間取る。また、主筋位
置を変更すべき状態が生じたとき、その変更作業も困難
である。主筋組立体における剪断補強筋量の変更も困難
である。
【0016】そこで本発明は、建築構造物における梁構
築に用いる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁であって、
従来の同種のプレキャスト梁と比べると、建築現場にお
ける梁構築のための工数を低減して、梁構築をより簡
単、安価になし得る薄肉外殻状構造体プレキャスト梁を
提供することを課題とする。
【0017】また本発明は、建築構造物における梁構築
に用いる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁であって、梁
主筋位置の変更、梁の剪断補強筋量の変更等に簡単に対
応できる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁を提供するこ
とを課題とする。
【0018】また本発明は、薄肉外殻状構造体プレキャ
スト梁を用いる建築構造物における梁構築方法であっ
て、従来の同種のプレキャスト梁を用いる梁構築方法と
比べると、建築現場における梁構築のための工数を低減
して、梁構築をより簡単、安価になし得る梁構築方法を
提供することを課題とする。
【0019】また本発明は、薄肉外殻状構造体プレキャ
スト梁を用いる建築構造物における梁構築方法であっ
て、梁主筋位置の変更、梁の剪断補強筋量の変更等に簡
単に対応できる梁構築方法を提供することを課題とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は次のプレキャス
ト梁及び梁構築方法を提供する。 (1)プレキャスト梁 上部開口を有する断面U字形状の薄肉外殻状コンクリー
ト枠体と、該コンクリート枠体の長手方向に沿って所定
の間隔で配列され、それぞれが、一部を残して該コンク
リート枠体内に埋設された複数個の内蔵鉄筋を有してお
り、該内蔵鉄筋は、前記コンクリート枠体の上部開口に
沿ってその両側に延びる該枠体の両上端面から該上部開
口に覆い被さらないように一部突出するごとく該枠体内
に該枠体に沿ってU字状に埋設されており、該一部突出
部分は、梁構築にあたり剪断補強筋として機能する複合
補強筋を該内蔵鉄筋とともに形成するための挿し鉄筋を
挿通係合できる挿し鉄筋係合部を有しており、梁構築に
あたり、別途組み立てた梁主筋を含む主筋組立体を、前
記コンクリート枠体の上部開口から該枠体内に挿入配置
できる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁。 (2)梁構築方法 前記(1)記載の薄肉外殻状構造体プレキャスト梁を形
成する工程と、該薄肉外殻状構造体プレキャスト梁の前
記コンクリート枠体内に設置する、梁主筋を含む主筋組
立体を形成する工程と、前記薄肉外殻状構造体プレキャ
スト梁及び前記主筋組立体のうち一方を梁構築のための
所定の位置に設置する工程と、前記薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁及び前記主筋組立体のうち他方を前記所定
位置に設置された薄肉外殻状構造体プレキャスト梁又は
主筋組立体へ移動させて該主筋組立体を該薄肉外殻状構
造体プレキャスト梁のコンクリート枠体内にその上部開
口から挿入配置する工程と、剪断補強筋として機能する
複合補強筋を前記薄肉外殻状構造体プレキャスト梁の内
蔵鉄筋とともに形成するための挿し鉄筋を該内蔵鉄筋の
前記挿し鉄筋係合部に挿通係合させる工程と、前記薄肉
外殻状構造体プレキャスト梁のコンクリート枠内にコン
クリートを打設する工程と、を含む梁構築方法。
【0021】本発明に係る薄肉外殻状構造体プレキャス
ト梁によると、プレキャスト梁における剪断補強筋が、
コンクリート枠体に埋設する内蔵鉄筋とこれに後で組み
合わされる挿し鉄筋とに分けてこれらによる複合補強筋
とする考え方がとられている。
【0022】そして内蔵鉄筋は、コンクリート枠体の上
部開口に沿ってその両側に延びる該枠体の両上端面から
該上部開口に覆い被さらないように一部突出するごとく
該枠体内に該枠体に沿ってU字状に埋設されている。
【0023】従って、本発明に係るプレキャスト梁は、
そのコンクリート枠体の、内蔵鉄筋に邪魔されることな
く開放された上部開口を通して、プレキャスト梁とは別
途に広い作業場等の良好な作業環境で簡単、容易に組み
立てられた主筋組立体を該枠体内に簡単、容易に挿入設
置することができる。さらにその後、梁構築にあたり剪
断補強筋として機能する複合補強筋を該内蔵鉄筋ととも
に形成するための挿し鉄筋を内蔵鉄筋の挿し鉄筋係合部
に容易に挿通係合することができる。かくして、それだ
け梁構築を作業工数少なく、簡単、安価になし得る。
【0024】一旦コンクリート枠体内に設置した主筋組
立体を再び取り出し、その構成を簡単に変更することも
可能であり、従って、梁主筋位置の変更、梁の剪断補強
筋量の変更等に簡単に対応できる。
【0025】また、本発明に係る梁構築方法によると、
このような本発明に係る薄肉外殻状構造体プレキャスト
梁を利用するので、主筋組立体を該プレキャスト梁とは
別途に形成でき、該薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及
び該主筋組立体のうち一方を梁構築のための所定の位置
に設置し、これに向けて他方を移動させて主筋組立体を
薄肉外殻状構造体プレキャスト梁のコンクリート枠体内
にその開放された上部開口から挿入配置することができ
る。さらに剪断補強筋として機能する複合補強筋をプレ
キャスト梁の内蔵鉄筋とともに形成するための挿し鉄筋
を該内蔵鉄筋の挿し鉄筋係合部に挿通係合させ、コンク
リート枠体内にコンクリートを打設して梁を構築するこ
とができる。
【0026】このように本発明に係る梁構築方法は本発
明に係る薄肉外殻状構造体プレキャスト梁を利用するこ
とで、建築現場における梁構築のための工数を低減し
て、梁構築をより簡単、安価になし得る。また、プレキ
ャスト梁に関連して説明したと同様に、梁主筋位置の変
更、梁の剪断補強筋量の変更等に簡単に対応することも
できる。
【0027】以上説明した本発明に係るプレキャスト
梁、梁構築方法に関連して述べた「挿し鉄筋」はスラブ
形成のための鉄筋の一部であってもよい。
【0028】本発明に係るプレキャスト梁における内蔵
鉄筋は、コンクリート枠体の上部開口を塞いだり、それ
に覆い被さったりしないものであればよいが、代表例と
して次のものを挙げることができる。前記複数個の内蔵
鉄筋のうち一部又は全部を次のような内蔵鉄筋とするこ
とができる。 a)それぞれU字状に曲折形成された二つのU字状部分
を有し、該U字状部分底部が互いに隔てられるとともに
U字状部分頂部が互いに繋げられて前記挿し鉄筋係合部
が提供され、全体として側面視倒立V字形状を呈するよ
うに形成されている内蔵鉄筋。 b)それぞれU字状に曲折形成された二つのU字状部分
を有し、該U字状部分底部が互いに隔てられるとともに
U字状部分頂部が互いに繋げられて前記挿し鉄筋係合部
が提供され、全体として側面視門形状を呈するように形
成されている内蔵鉄筋。 c)それぞれU字状に曲折形成されて二つの頂部が前記
コンクリート枠体の上部開口に被さらないようにフック
状に曲げられて前記挿し鉄筋係合部に形成されている内
蔵鉄筋。
【0029】これら内蔵鉄筋は複数種類を組み合わせて
用いることも可能である。
【0030】本発明に係るプレキャスト梁は、コンクリ
ート枠体内に予め梁主筋を設けておく必要はないが、状
況に応じて埋設しておいてもよい。例えばコンクリート
枠体の底部の両角部分内に、いわゆる下端主筋として埋
設することができる。この場合、隣合う梁との接合等の
ために該主筋は両端部をコンクリート枠体から該枠体長
手方向に突出させておいてもよい。
【0031】前記の挿し鉄筋としては、例えば、梁両側
にスラブが形成される梁の構築においては、直線状挿し
鉄筋を用いることができ、梁片側にはスラブを形成しな
い梁の構築においては、一端部が前記挿し鉄筋係合部の
うちスラブを形成しない側に位置する挿し鉄筋係合部に
引っ掛けるフック形状に形成された挿し鉄筋を用いるこ
とができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。
【0033】図1(A)は本発明に係る薄肉外殻状構造
体プレキャスト梁の1例を示している。
【0034】図1(A)に示すプレキャスト梁1Aは、
上部開口111を有する断面U字形状の薄肉外殻状コン
クリート枠体11と、コンクリート枠体11の長手方向
に沿って所定の間隔で配列され、それぞれが、頂部を残
して枠体11内に埋設された複数個の内蔵鉄筋12とを
有するものである。
【0035】各内蔵鉄筋12は、U字状に曲折形成され
た二つのU字状部分121を有し、該U字状部分底部が
互いに隔てられるとともにU字状部分頂部が互いに繋げ
られて挿し鉄筋係合部122が提供され、全体として側
面視倒立V字形状を呈するように形成されている。
【0036】各内蔵鉄筋12は、頂部の挿し鉄筋係合部
122を残して他の部分が枠体11内に該枠体に沿って
U字状に埋設されている。
【0037】かくしてコンクリート枠体11の上部開口
111は内蔵鉄筋12に邪魔されることなく開放されて
いる。
【0038】なお図1(A)に鎖線で示す鉄筋15につ
いては後ほど説明する。
【0039】このプレキャスト梁1Aを利用して次のよ
うに梁を構築することができる。
【0040】プレキャスト梁1Aとは別途に、図1
(B)に例示するような主筋組立体2を形成する。
【0041】主筋組立体2は、ここでは梁長手方向に所
定の間隔を置いて配置されるべき複数の主筋組立体用あ
ばら筋(剪断補強筋)22の内側天井部に梁長手方向に
配置されるべき複数本の梁主筋21を所定間隔をおいて
平行に並べるとともにあばら筋内側底部にも梁長手方向
に配置されるべき複数本の梁主筋21を所定間隔をおい
て平行に並べ、これら梁主筋21をあばら筋22に図示
省略の結束線で結束してなるものである。
【0042】この主筋組立体2はプレキャスト梁1Aと
は別途に、例えば広い作業場等の良好な作業環境におい
て簡単、容易に製作することができる。梁主筋21の位
置、本数、最終的に梁の剪断補強筋量を決定するあばら
筋22の量等を容易に調整することができ、また、それ
らを容易に変更することもできる。
【0043】このようにプレキャスト梁1A及び主筋組
立体2を準備し、これらのうち一方、例えばプレキャス
ト梁1Aを建築現場の所定位置に設置する。次いで該プ
レキャスト梁1Aのコンクリート枠体11内に、その開
放された上部開口111から主筋組立体2を挿入設置す
る。この作業はプレキャスト梁の内蔵鉄筋12に邪魔さ
れることなく簡単に行える。
【0044】なお、主筋組立体2を先に建築現場の所定
位置に設置し、その後に下方からプレキャスト梁1Aの
コンクリート枠体11をこれに嵌め入れることも可能で
ある。いずれにしても主筋組立体2を簡単に枠体11内
に挿入設置できる。
【0045】主筋組立体2の端部は隣合う梁の主筋組立
体等との接合のために、必要に応じ、コンクリート枠体
11の長手方向端部から突出させておくことができる。
【0046】さらにその後、図1(C)に例示するよう
に、梁構築にあたり剪断補強筋として機能する複合補強
筋を該内蔵鉄筋とともに形成するための挿し鉄筋3を所
定位置、所定数の内蔵鉄筋12の頂部の挿し鉄筋係合部
122に挿通係合し、図示省略の結束線にて結束する。
この作業は挿し鉄筋係合部122が露出しているので簡
単容易に行える。
【0047】図1(C)に示す例は、構築しようとする
梁の両側にスラブを構築する場合であり、従って挿し鉄
筋3は直線状のものであり、ここではスラブ鉄筋の一部
が用いられている。
【0048】構築しようとする梁の片側にスラブを設け
ないときには、挿し鉄筋として、例えば図1(D)に示
すように一端部301が挿し鉄筋係合部122のうちス
ラブを形成しない側に位置する挿し鉄筋係合部122に
引っ掛けるフック形状に形成された挿し鉄筋30を用い
ればよい。この場合も挿し鉄筋30はスラブ鉄筋の一部
であってもよい。なお、本明細書において「スラブ」と
は通常のスラブ(床板)の他、ベランダ等も含む概念で
ある。
【0049】このようにしてプレキャスト梁、主筋組立
体、挿し鉄筋を設置し、コンクリート枠体11内にコン
クリートを打設して梁を構築する。さらにはスラブ部分
やプレキャスト梁1Aを設置した図示省略の柱頭部分に
もコンクリートを打設してスラブも構築できる。
【0050】なお、コンクリート打設前に隣合うプレキ
ャスト梁同士において主筋組立体2同士を接合すること
ができ、その場合には、広い範囲から選択可能な方法、
例えば鉄筋端を突き合わせて電流を流して接合する圧接
法などにより接合すればよい。
【0051】以上説明したプレキャスト梁1Aはコンク
リート枠体11に予め梁主筋を設けていないが、状況次
第で、例えば図1(A)に鎖線で示すような下端主筋1
5を設けておくこともできる。
【0052】次に、図2(A)は本発明に係る薄肉外殻
状構造体プレキャスト梁の他の例を示している。
【0053】図2(A)に示すプレキャスト梁1Bは、
前記のプレキャスト梁1Aにおけると同様のコンクリー
ト枠体11と、コンクリート枠体11の長手方向に沿っ
て所定の間隔で配列され、それぞれが、頂部を残して枠
体11内に埋設された複数個の内蔵鉄筋13とを有する
ものである。
【0054】各内蔵鉄筋13は、U字状に曲折形成され
た二つのU字状部分131を有し、該U字状部分底部が
互いに隔てられるとともにU字状部分頂部が互いに繋げ
られて挿し鉄筋係合部132が提供され、全体として側
面視門形状を呈するように形成されている。
【0055】各内蔵鉄筋13は、頂部の挿し鉄筋係合部
132を残して他の部分が枠体11内に該枠体に沿って
U字状に埋設されている。
【0056】かくしてコンクリート枠体11の上部開口
111は内蔵鉄筋13に邪魔されることなく開放されて
いる。
【0057】プレキャスト梁1Aの場合と同様に、この
プレキャスト梁1Bを利用しても梁を構築することがで
きる。
【0058】すなわち、図1(B)に例示するような主
筋組立体2を準備し、プレキャスト梁1B及び主筋組立
体2のうち一方を建築現場の所定位置に設置する。次い
で他方をそれに向け移動させ、プレキャスト梁1Bのコ
ンクリート枠体11内に、その開放された上部開口11
1から主筋組立体2を挿入設置する。この作業はプレキ
ャスト梁の内蔵鉄筋13に邪魔されることなく簡単に行
える。
【0059】さらにその後、図2(B)又は図2(C)
に例示するように、梁構築にあたり剪断補強筋として機
能する複合補強筋を該内蔵鉄筋とともに形成するための
挿し鉄筋3又は30を所定位置、所定数の内蔵鉄筋13
の頂部の挿し鉄筋係合部132に挿通係合し、図示省略
の結束線にて結束する。
【0060】この場合、挿し鉄筋は内蔵鉄筋13の挿し
鉄筋係合部132のうち角部分132a及び(又は)1
32bに挿通し、係合させるとよい。
【0061】このようにしてプレキャスト梁、主筋組立
体、挿し鉄筋を設置し、コンクリート枠体11内にコン
クリートを打設して梁を構築する。さらにはスラブ部分
やプレキャスト梁1Bを設置した図示省略の柱頭部分に
もコンクリートを打設してスラブも構築できる。
【0062】プレキャスト梁1Bにおいても、状況次第
で、例えば図1(A)に鎖線で示すような下端主筋15
を設けておくことができる。
【0063】次に、図3(A)は本発明に係る薄肉外殻
状構造体プレキャスト梁のさらに他の例を示している。
【0064】図3(A)に示すプレキャスト梁1Cは、
前記のプレキャスト梁1Aにおけると同様のコンクリー
ト枠体11と、コンクリート枠体11の長手方向に沿っ
て所定の間隔で配列され、それぞれが、頂部を残して枠
体11内に埋設された複数個の内蔵鉄筋14とを有する
ものである。
【0065】各内蔵鉄筋14は、U字状に曲折形成され
て二つの頂部141がコンクリート枠体11の上部開口
111に被さらないようにフック状に曲げられて挿し鉄
筋係合部とされる。
【0066】各内蔵鉄筋14は、頂部の挿し鉄筋係合部
141を残して他の部分が枠体11内に該枠体に沿って
U字状に埋設されている。
【0067】かくしてコンクリート枠体11の上部開口
111は内蔵鉄筋14に邪魔されることなく開放されて
いる。
【0068】プレキャスト梁1Aの場合と同様に、この
プレキャスト梁1Cを利用して梁を構築することができ
る。
【0069】すなわち、図1(B)に例示するような主
筋組立体2を準備し、プレキャスト梁1C及び主筋組立
体2のうち一方を建築現場の所定位置に設置する。次い
で他方をそれに向け移動させ、プレキャスト梁1Cのコ
ンクリート枠体11内に、その開放された上部開口11
1から主筋組立体2を挿入設置する。この作業はプレキ
ャスト梁の内蔵鉄筋14に邪魔されることなく簡単に行
える。
【0070】さらにその後、図3(B)又は図3(C)
に例示するように、梁構築にあたり剪断補強筋として機
能する複合補強筋を該内蔵鉄筋とともに形成するための
挿し鉄筋3又は30を所定位置、所定数の内蔵鉄筋14
の頂部のフック状の挿し鉄筋係合部141に挿通係合
し、図示省略の結束線にて結束する。
【0071】このようにしてプレキャスト梁、主筋組立
体、挿し鉄筋を設置し、コンクリート枠体11内にコン
クリートを打設して梁を構築する。さらにはスラブ部分
やプレキャスト梁1Cを設置した図示省略の柱頭部分に
もコンクリートを打設してスラブも構築できる。
【0072】プレキャスト梁1Cにおいても、状況次第
で、例えば図1(A)に鎖線で示すような下端主筋15
を設けておくことができる。
【0073】以上説明したプレキャスト梁1A、1B、
1C並びにかかるプレキャスト梁を用いる梁構築のいず
れにおいても、建築現場における梁構築のための工数を
低減して、梁構築をより簡単、安価になし得る。
【0074】また、主筋組立体2における梁主筋21の
位置や数、剪断補強筋22の量を簡単、容易に変更等す
ることができ、それにより、梁全体としてみた場合の梁
主筋の位置や数、梁の剪断補強筋量の変更等に簡単に対
応できる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、建
築構造物における梁構築に用いる薄肉外殻状構造体プレ
キャスト梁であって、従来の同種のプレキャスト梁と比
べると、建築現場における梁構築のための工数を低減し
て、梁構築をより簡単、安価になし得る薄肉外殻状構造
体プレキャスト梁を提供することができる。
【0076】また本発明によると、建築構造物における
梁構築に用いる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁であっ
て、梁主筋位置の変更、梁の剪断補強筋量の変更等に簡
単に対応できる薄肉外殻状構造体プレキャスト梁を提供
することができる。
【0077】また本発明によると、薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁を用いる建築構造物における梁構築方法で
あって、従来の同種のプレキャスト梁を用いる梁構築方
法と比べると、建築現場における梁構築のための工数を
低減して、梁構築をより簡単、安価になし得る梁構築方
法を提供することができる。
【0078】また本発明によると、薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁を用いる建築構造物における梁構築方法で
あって、梁主筋位置の変更、梁の剪断補強筋量の変更等
に簡単に対応できる梁構築方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁の1例の斜視図、図1(B)は主筋組立体
の1例の側面図、図1(C)及び図1(D)はプレキャ
スト梁、主筋組立体及び挿し鉄筋を組み合わせ配置した
状態例をコンクリート枠体長手方向端部から見た図であ
る。
【図2】図2(A)は本発明に係る薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁の他の例の斜視図、図2(B)及び図2
(C)はプレキャスト梁、主筋組立体及び挿し鉄筋を組
み合わせ配置した状態例をコンクリート枠体長手方向端
部から見た図である。
【図3】図3(A)は本発明に係る薄肉外殻状構造体プ
レキャスト梁のさらに他の例の斜視図、図3(B)及び
図3(C)はプレキャスト梁、主筋組立体及び挿し鉄筋
を組み合わせ配置した状態例をコンクリート枠体長手方
向端部から見た図である。
【図4】従来の薄肉外殻状構造体プレキャスト梁の1例
の斜視図である。
【図5】従来の薄肉外殻状構造体プレキャスト梁の他の
例の斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C 薄肉外殻状構造体プレキャスト梁 11 薄肉外殻状コンクリート枠体 111 枠体11の上部開口 12 内蔵鉄筋 121 内蔵鉄筋12のU字状部分 122 内蔵鉄筋12の挿し鉄筋係合部 13 内蔵鉄筋 131 内蔵鉄筋13のU字状部分 132 内蔵鉄筋13の挿し鉄筋係合部 132a、132b 挿し鉄筋係合部132の角部分 14 内蔵鉄筋 141 内蔵鉄筋14の頂部の挿し鉄筋係合部 2 主筋組立体 21 梁主筋 22 主筋組立体のあばら筋(剪断補強筋) 3、30 挿し鉄筋 301 挿し鉄筋30のフック状端部 15 下端主筋 9A、9B 従来例のプレキャスト梁 91 薄肉外殻状コンクリート枠体 911 上部開口 92 剪断補強筋 921 剪断補強筋92の頂部 93 内蔵鉄筋 931 内蔵鉄筋93の上端部 94 下端主筋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒島 毅 大阪府大阪市北区東天満1丁目10番20号 株式会社松村組内 (72)発明者 松永 信幸 大阪府大阪市北区東天満1丁目10番20号 株式会社松村組内 Fターム(参考) 2E163 FA12 FD02 FD12 FD23 FD43 FD54 FF51 2E164 CA02 CA15 CA21

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部開口を有する断面U字形状の薄肉外殻
    状コンクリート枠体と、該コンクリート枠体の長手方向
    に沿って所定の間隔で配列され、それぞれが、一部を残
    して該コンクリート枠体内に埋設された複数個の内蔵鉄
    筋を有しており、 該内蔵鉄筋は、前記コンクリート枠体の上部開口に沿っ
    てその両側に延びる該枠体の両上端面から該上部開口に
    覆い被さらないように一部突出するごとく該枠体内に該
    枠体に沿ってU字状に埋設されており、該一部突出部分
    は、梁構築にあたり剪断補強筋として機能する複合補強
    筋を該内蔵鉄筋とともに形成するための挿し鉄筋を挿通
    係合できる挿し鉄筋係合部を有しており、 梁構築にあたり、別途組み立てた梁主筋を含む主筋組立
    体を、前記コンクリート枠体の上部開口から該枠体内に
    挿入配置できることを特徴とする薄肉外殻状構造体プレ
    キャスト梁。
  2. 【請求項2】前記複数個の内蔵鉄筋のうち一部又は全部
    は、それぞれU字状に曲折形成された二つのU字状部分
    を有し、該U字状部分底部が互いに隔てられるとともに
    U字状部分頂部が互いに繋げられて前記挿し鉄筋係合部
    が提供され、全体として側面視倒立V字形状を呈するよ
    うに形成されている請求項1記載の薄肉外殻状構造体プ
    レキャスト梁。
  3. 【請求項3】前記複数個の内蔵鉄筋のうち一部又は全部
    は、それぞれU字状に曲折形成された二つのU字状部分
    を有し、該U字状部分底部が互いに隔てられるとともに
    U字状部分頂部が互いに繋げられて前記挿し鉄筋係合部
    が提供され、全体として側面視門形状を呈するように形
    成されている請求項1記載の薄肉外殻状構造体プレキャ
    スト梁。
  4. 【請求項4】前記複数個の内蔵鉄筋のうち一部又は全部
    は、それぞれU字状に曲折形成されて二つの頂部が前記
    コンクリート枠体の上部開口に被さらないようにフック
    状に曲げられて前記挿し鉄筋係合部とされている請求項
    1記載の薄肉外殻状構造体プレキャスト梁。
  5. 【請求項5】前記コンクリート枠体内に梁主筋が埋設さ
    れている請求項1から4のいずれかに記載の薄肉外殻状
    構造体プレキャスト梁。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の薄肉外
    殻状構造体プレキャスト梁を形成する工程と、 該薄肉外殻状構造体プレキャスト梁の前記コンクリート
    枠体内に設置する、梁主筋を含む主筋組立体を形成する
    工程と、 前記薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及び前記主筋組立
    体のうち一方を梁構築のための所定の位置に設置する工
    程と、 前記薄肉外殻状構造体プレキャスト梁及び前記主筋組立
    体のうち他方を前記所定位置に設置された薄肉外殻状構
    造体プレキャスト梁又は主筋組立体へ移動させて該主筋
    組立体を該薄肉外殻状構造体プレキャスト梁のコンクリ
    ート枠体内にその上部開口から挿入配置する工程と、 剪断補強筋として機能する複合補強筋を前記薄肉外殻状
    構造体プレキャスト梁の内蔵鉄筋とともに形成するため
    の挿し鉄筋を該内蔵鉄筋の前記挿し鉄筋係合部に挿通係
    合させる工程と、 前記薄肉外殻状構造体プレキャスト梁のコンクリート枠
    内にコンクリートを打設する工程と、 を含むことを特徴とする梁構築方法。
  7. 【請求項7】梁両側にスラブが形成される梁の構築方法
    であり、前記挿し鉄筋として直線状挿し鉄筋を用いる請
    求項6記載の梁構築方法。
  8. 【請求項8】梁片側にはスラブを形成しない梁の構築方
    法であり、前記挿し鉄筋として一端部が前記挿し鉄筋係
    合部のうちスラブを形成しない側に位置する挿し鉄筋係
    合部に引っ掛けるフック形状に形成された挿し鉄筋を用
    いる請求項6記載の梁構築方法。
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