JP3074599B2 - ハーフプレキャスト床版及びこれを用いた床構造 - Google Patents

ハーフプレキャスト床版及びこれを用いた床構造

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JP3074599B2 JP09165739A JP16573997A JP3074599B2 JP 3074599 B2 JP3074599 B2 JP 3074599B2 JP 09165739 A JP09165739 A JP 09165739A JP 16573997 A JP16573997 A JP 16573997A JP 3074599 B2 JP3074599 B2 JP 3074599B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレキャストコン
クリート工法のみならず在来工法や鉄骨構造などと組み
合わせて使用されるプレキャスト版に関し、詳しくは、
一般的な床,バルコニー床,廊下床等の施工に使用され
る型枠兼用のハーフプレキャスト床版に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築現場においては、一定品質の
確保、工期短縮、コストダウン等を目的とした現場作業
の合理化・システム化を進める様々な工法が導入されて
おり、その一つの工法としてプレキャスト工法がある。
かかるプレキャスト工法の最も大きな特徴は構造部材を
予め工場生産することであり、量産化による省力化やコ
スト面において大きなメリットがある。
【0003】プレキャスト工法では特に床及び壁のプレ
キャスト化が進んでおり、中でも床は躯体工事の中で最
も広い作業範囲を有しており、非常に多くの種類の無支
保工・無型枠のプレキャスト床版が開発実用化されてい
る。
【0004】プレキャスト床版を構造断面とする場合に
は、プレキャスト接合面における一体化確保のための接
合方法が品質確保のための重要なポイントとなる。例え
ば、床版全体をプレキャスト化したフルプレキャスト床
版を用いる場合には、床版相互の接合部がルーズである
と床剛性や強度が十分に確保できないとともに、遮音・
防水・耐火などに対する十分な性能を確保することが難
しくなる。このため、近年、特に集合住宅等ではハーフ
プレキャスト床板が盛んに用いられるようになった。
【0005】ハーフプレキャスト床版とは部材断面の一
部をプレキャスト化した床版であり、プレキャストコン
クリート版に部分的に打込材を打ち込んだ構造を有する
ものである。かかるハーフプレキャスト床版は、現場に
おいて梁間等に据付けた後、残りの断面に配筋し、コン
クリートを打設してスラブとして一体化されるもので、
大重量且つ構造的な一体性の確保が難しいというフルプ
レキャスト床版の短所を補うとともに、施工的な納まり
に関しても優れるものである。
【0006】図25に従来から一般的に用いられている
ハーフプレキャスト床版を示す。なお、図25(a)は
斜視図、図25(b)は図25(a)中のA−A’面に
おける断面図、図25(c)は図25(a)中のB−
B’面における断面図である。
【0007】図25に示した従来のハーフプレキャスト
床版は、トラス筋102に上端筋103と下端筋104
を溶接したものを、プレキャストコンクリート版101
内に部分的に打ち込んで構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のハーフプレキャスト床版に打込材として用いられて
いる鉄筋トラスは、多数の鉄筋を複雑に折り曲げ加工
し、これらを溶接してトラス状に組み上げて作製するた
め、加工工数が非常に多く、量産化による省力化やコス
ト面におけるメリットには限界があった。
【0009】また、従来のハーフプレキャスト床版で
は、型枠サポートをある程度設置したとしても現場での
コンクリートの打設によって、隣接する床版同士の突当
て部分に段差が発生し易く、特に床版の支点間距離が大
きい場合にはこの段差は顕著であった。このような段差
は、天井構造を浮き天井とする場合には特に問題にはな
らないが、直張天井若しくは打ち放しとする場合には後
処理が必要となる。このため、従来のハーフプレキャス
ト床版は型枠兼用の床版ではあるものの、型枠サポート
の合理化は充分に達成されておらず、施工の合理化・省
力化にも限界があった。
【0010】本発明の主たる目的は、上記事情に鑑み、
部材加工の省力化や低コスト化を可能にする新規なハー
フプレキャスト床版を提供することである。
【0011】また、本発明の目的は、型枠サポートの更
なる合理化を可能にし、施工の合理化・省力化を実現す
る新規なハーフプレキャスト床版を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく成
された本発明の構成は以下の通りである。
【0013】即ち、本発明第1は、鉄筋コンクリート部
材断面の一部をプレキャスト化したハーフプレキャスト
床版であって、鋼板を主要素とする打込材が、プレキャ
ストコンクリート版に部分的に打ち込まれており、且
つ、該プレキャストコンクリート版の少なくとも1側面
が、凹状若しくは凸状に形成されていることを特徴とす
るハーフプレキャスト床版に関する。
【0014】また、本発明第2は、鉄筋コンクリート部
材断面の一部をプレキャスト化したハーフプレキャスト
床版であって、鋼板を主要素とする打込材が、プレキャ
ストコンクリート版に部分的に打ち込まれており、且
つ、該プレキャストコンクリート版は、高さの異なる複
数の領域からなることを特徴とするハーフプレキャスト
床版に関する。
【0015】さらに、本発明第3は、上記本発明第1若
しくは本発明第2のハーフプレキャスト床版を用いて施
工された床構造に関する。
【0016】本発明のハーフプレキャスト床版では、打
込材の主要素として、従来の鉄筋に代えて鋼板を用いた
ことにより、打込材の加工を単純化できるとともに、組
立工数を削減でき、量産化による更なる省力化や低コス
ト化を実現し得るものである。
【0017】また、本発明第1のハーフプレキャスト床
版では、床版同士を互いに突き合わせて敷設する際にそ
の突き合わせ部分となるプレキャストコンクリート版の
側面を、凹状若しくは凸状に形成したことにより、床版
同士を嵌合させて敷設することができる。このため、現
場でのコンクリート打設による前述のような段差の発生
を防止することができ、型枠サポートの更なる合理化、
若しくはノンサポート化も可能であり、より一層施工の
合理化・省力化を図ることができる。
【0018】また、本発明第2のハーフプレキャスト床
版は、プレキャストコンクリート版を従来のような平板
状のものではなく、高さの異なる複数の領域を有する
(段差部分を有する)形状としたことにより、例えば集
合住宅等における居室及び廊下部分とこれよりも低い浴
室部分に跨がる床版として好適に用いることができる。
すなわち、高さの異なる床面部分を連続して施工する場
合であっても一般にスラブ厚は同じ厚さに設計するた
め、下型枠の高さを異ならせて型枠自体で段差を形成す
ることになる。このため、従来のような平板状のハーフ
プレキャスト床版では対応することができず、また、段
差部分における型枠サポートは煩雑な構成とならざるを
えなかった。しかしながら、上記のような段差部分を有
する床構造の施工に本発明第2のハーフプレキャスト床
版を用いることにより、段差部分における型枠サポート
の単純化・合理化を図ることができ、施工の合理化・省
力化が実現される。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例を図
面を参照して説明するが、言うまでもなく本発明はこれ
らの形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨の
範囲内で設計変更を行ったものも含まれる。
【0020】まず、本発明第1のハーフプレキャスト床
版について説明する。
【0021】図1は、本発明第1のハーフプレキャスト
床版(以下、「ハーフ床版」と記す。)の代表的な例を
示す斜視図である。本ハーフ床版Aは、プレキャストコ
ンクリート版10に、鋼板21を主要素とする打込材2
0が部分的(その一部が外部に突出した状態を意味す
る。)に打ち込まれている。また、本ハーフ床版Aの所
定の側面には凹状部11及び凸状部12が形成されてい
る。かかる凹状部11及び凸状部12は、詳しくは後述
するものの、ハーフ床版同士を嵌合させて敷設するため
に設けられたものである。
【0022】打込材20の主要素である鋼板21は、単
にハーフ床版Aと現場打ちコンクリートとの一体性を確
保するための部材として設計する場合には、さほど高い
強度は要求されるものではなく、通常は、現場に据え付
けられた後のこの上での配筋組みやコンクリート打ちの
際に作業員の歩行によって変形しない程度の剛性を有し
ていれば良い。一方、鋼板21をハーフ床版Aの構造部
材としても活用する場合には、床版の支点間距離や荷重
条件に基づき、その板厚、曲げ及び穴開け等の加工形
状、配列ピッチ等を設計することができる。
【0023】図1のハーフ床版Aでは、図2に示される
ように山型に折り曲げた鋼板21の各頂点の内側に鉄筋
22a,22b,22cが溶接されており、かかる構成
のものを一単位とし、これを複数並列に配置した状態
で、下端に複数の鉄筋22dを溶接した打込材20が用
いられている。ここで上記構成単位の寸法及び配列ピッ
チは、床強度に見合った寸法及びピッチに適宜設計され
るものである。なお、図2中にはプレキャストコンクリ
ート版10を2点鎖線で示してある。
【0024】前述のように、ハーフ床版の上面には現場
においてコンクリートが打設される。この際、図1及び
図2に示した例のように打込材20の主要素である鋼板
21によって特に長い半閉空間が形成される場合には、
かかる空間部分にコンクリートを充填することが困難に
なることもある。
【0025】このため、鋼板21には、開口部23若し
くは切欠部24を設けておくことが好ましく、具体的に
は、少なくともその一部がプレキャストコンクリート版
10から露出するような位置に開口部23等を設けてお
くことにより、かかる開口部等がコンクリートの流路と
なり、コンクリートの充填をスムーズに行うことができ
る。また、ハーフ床版を製造する際のコンクリートの流
動性も考慮すると、開口部等はプレキャストコンクリー
ト版10内から外部に跨がって、若しくはプレキャスト
コンクリート版10の内外に独立して形成することが好
ましい。
【0026】また、上記のように鋼板21に開口部23
若しくは切欠部24を設けることにより、ハーフ床板を
軽量化することもでき、運搬や現場における据付工事が
容易になるメリットもある。
【0027】本発明のハーフ床版に用いられる打込材2
0の構成単位の別の例を図3乃至図15を用いて説明す
る。なお、これらの図においてもプレキャストコンクリ
ート版10を2点鎖線で示してある。
【0028】図3乃至図7に示した打込材20は、図2
に示したものと同様に、いずれも鋼板21の上下端に鉄
筋を溶接したものを一構成単位としている。かかる構成
において、上部の鉄筋22aはスラブの一方向の上端筋
となるものであり、下部の鉄筋22b,22c,22d
はスラブの下端筋となるものである。
【0029】なお、図3は、山型に折り曲げた鋼板21
の各頂点の外側に鉄筋を溶接したもの、図4は、2枚の
鋼板21を組み合わせて山型に組んだもの、図5は、2
枚の鋼板21を組み合わせてI型に組んだもの、図6
は、折り曲げ加工を施した2枚の鋼板21を組み合わせ
たものである。
【0030】本発明のハーフ床版において、スラブの上
端筋となる鉄筋22aは必ずしも打込材20に予め一体
化しておく必要は無く、施工現場の要求に応じて適宜設
計される。すなわち、上端筋の付加に伴うハーフ床版の
重量増加による運搬・据付工事の困難性等によるデメリ
ットと、現場における上端筋の配筋工事の簡略化等によ
るメリットを比較検討して決めることができる。また、
施工現場の要求に応じて上端筋となる2方向の鉄筋を予
め打込材20に一体化しておくこともできる。
【0031】また、鋼板21の板厚やその曲げ形状によ
っては、鋼板21の長手方向の上部を、構造上、スラブ
の一方向の上端筋と見なすこともでき、一方向の上端筋
を省略することも可能である。
【0032】図7乃至図9は、上端筋を省略した打込材
20の例であり、いずれも図2に示したものと同様に鋼
板21を長手方向に沿って折り曲げ加工し、その下端に
のみ鉄筋を溶接したものを一構成単位としているもので
ある。なお、図7は鋼板21の1回曲げ、図8は2回曲
げ、図9は3回曲げによって曲げ加工を行っている。
【0033】また、本発明のハーフ床版において、スラ
ブの下端筋として鋼板21の下端にその長手方向に沿っ
て溶接した鉄筋22b,22cについても、鋼板21の
板厚やその加工形状によっては、鋼板21の長手方向の
下部を、構造上、スラブの一方向の下端筋と見なすこと
もでき、一方向の下端筋を省略することも可能である。
【0034】図10及び図11は、一方向の下端筋を省
略した打込材20の例であり、いずれも図2に示したも
のと同様に鋼板21を長手方向に沿って折り曲げ加工
し、その上端にのみ鉄筋を溶接したものを一構成単位と
しているものである。なお、図10は、図2における切
欠部24に代えて、鋼板21の下端部に所定の高さ
(h)を残して開口部23’を設けることにより、かか
る部分を鉄筋22b,22cに代用している。また、図
11は、鋼板21の剛性を高めるために、更に鋼板21
の下端部に曲げ加工を行ったものである。
【0035】図12は、上端筋及び一方向の下端筋を省
略した打込材20の例であり、鋼板21の加工形状等に
よって異なるが、鋼板21の板厚を例えば2.4mm以
上にすることにより、このような構成も可能となる。
【0036】以上例示した打込材20において、鋼板2
1の曲げ加工はその長手方向に沿って行っているが、例
えば図13及び図14に示すように鋼板21を短尺方向
に沿って折り曲げ加工したものを用いることもできる。
図13に示したような構成によれば、鋼板21の曲げ加
工の工数が多くなるが、鋼板21への穴開け加工の工数
を減らせるメリットがある。また、図14に示したよう
な構成によれば、曲げ形状自体が前記の開口部23と同
様の機能を果たし、曲げ加工の工数が増えるものの、鋼
板21への穴開け加工が不要となるメリットがある。
【0037】また、以上例示した打込材20において、
鋼板21には開口部23(及び切欠部24)が形成され
ているが、図15に示すように切欠部24のみを形成し
たものを用いることもできる。
【0038】打込材20を構成する鋼板21は、前述の
ように作業員の歩行によって変形しない程度の剛性を有
していれば、以上例示した以外にも様々な形状のものを
適用することができるものである。
【0039】また、鋼板21を構造部材としても活用す
る場合には、鋼板21のプレキャストコンクリート版1
0からの高さや、鋼板21の板厚,曲げ形状,配列ピッ
チ、更には鋼板21に形成する開口部23(及び切欠部
24)の形状,大きさ,ピッチ等は、床版の支点間距離
や荷重条件に基づき適宜設計することができる。
【0040】鋼板21の一設計例を、図16及び図17
を用いて簡単に説明する。図16(a)〜(c)は、鋼
板21の曲げ加工前の平面図であり、図17(a)〜
(c)は、かかる鋼板21を用いたハーフ床版の部分断
面図である。なお、図17中にはプレキャストコンクリ
ート版10を2点鎖線で示してある。
【0041】本例では、床版の支点間距離に応じて、鋼
板21の板厚を変化させると共に、鋼板21の幅Wを変
化させてプレキャストコンクリート版10からの高さH
を変化させている。
【0042】具体的な数値を挙げて説明すると、L=
7,500mm(図16(a))の場合には、板厚3.
2mm、W=286mm、H=100mmとし、L=
6,500mm(図16(b))の場合には、板厚2.
3mm、W=247mm、H=80mmとし、L=5,
400mm(図16(c))の場合には、板厚2.3m
m、W=201mm、H=70mmとし、L=4,50
0mm(図16(d))の場合には、板厚2.3mm、
W=139mm、H=40mmとした。
【0043】また、開口部23は、直径100mmの円
若しくはこれを引き伸ばした長円形を有しており、鋼板
21の幅方向に1つだけ形成し、その幅wは鋼板21の
幅Wに応じて決められている。さらに、開口部23のピ
ッチPは、床版の支点間距離に応じて決められている。
【0044】具体的な数値を挙げて説明すると、L=
7,500mm(図16(a))の場合には、w=21
3mm、P=140mmとし、L=6,500mm(図
16(b))の場合には、w=213mm、P=140
mmとし、L=5,400mm(図16(c))の場合
には、w=166mm、P=125mmとし、L=4,
500mm(図16(c))の場合には、w=100m
m、P=125mmとした。
【0045】上記の鋼板21は中央部分(図16中の一
点鎖線)で山型に折り曲げられ、図17に示すように鉄
筋を溶接してプレキャストコンクリート版10から所定
の高さ(H)突出した状態で打ち込まれる。
【0046】図16に示したような鋼板21を用いたの
別の設計例を、図18に示した。図18(a)〜(d)
は、夫々図16(a)〜(d)の鋼板21を用いたハー
フ床版の部分断面図である。なお、図18中においても
プレキャストコンクリート版10を2点鎖線で示してあ
る。
【0047】本例では、山型に折り曲げた鋼板21の下
端をさらに曲げ加工し、下端筋の一方向の鉄筋のみを鋼
板21に溶接して、プレキャストコンクリート版10に
打ち込んだものである。なお、詳細な設計は、鋼板21
の幅Wを若干広く設定する以外は、前述の例に準じて行
うことができる。
【0048】また、本発明第1のハーフプレキャスト床
版では、図1に示したように所定の側面に凹状部11及
び/又は凸状部12が形成される。かかる凹状部11及
び凸状部12は、ハーフ床版同士を嵌合させて敷設する
ために設けられたものであり、様々な形態をとることが
できる。
【0049】図19は、凹状部11及び凸状部12の他
の形態例を示したものである。また、かかる凹状部11
及び凸状部12の欠けを防止するため、図19(c)に
示されるように、これを保護する保護材31を一体化し
ておくことができる。かかる保護材31としては、その
目的を達成することができるものであれば特に限定され
ないが、例えば鉄板等の鋼材若しくはプラスチック等用
いることができる。なお、複数のハーフ床版同士を敷設
する際に、その両端に敷設される床版については、凹状
部11若しくは凸状部12の一方のみを設けたものであ
ってもよい。
【0050】次に、本発明第2のハーフプレキャスト床
版について説明する。
【0051】図20及び図21は、本発明第2のハーフ
床版の代表的な例を示す斜視図である。これらのハーフ
床版B,Cは、前述の本発明第1のハーフ床版A(図1
参照)と同様、プレキャストコンクリート版10に、鋼
板21を主要素とする打込材20が部分的(その一部が
外部に突出した状態を意味する。)に打ち込まれてい
る。なお、図20及び図21においては、鋼板21の長
手方向と直交する方向の下端筋は示していない。また、
本ハーフ床版B,Cにおいては、プレキャストコンクリ
ート版10は互いに高さの異なる領域10a及び領域1
0bを有する。
【0052】本ハーフ床版B,Cにおいても、基本的に
は前述のハーフ床版Aと同様の打込材20を用いること
ができるが、特にその高さの異なる領域10a,10b
に跨がる段差部分における強度上の問題が発生し易いた
め、かかる部分において打込材20を補強しておくこと
が好ましい。かかる補強方法としては、図20及び図2
1に示すように鋼板からなる補強材25を用いる方法が
簡便である。このため、本ハーフ床版B,Cにおいて
は、例えば図5に示したようなI型状の打込材20を好
適に用いることができる。
【0053】また、本ハーフ床版B,Cにおいても、前
述のハーフ床版Aと同様に、プレキャストコンクリート
版10の所定の側面に凹状部11及び/又は凸状部12
を形成しておくことが好ましい。
【0054】以上説明した本発明のハーフ床版は、一般
的な床部分に施工されるものに限らず、集合住宅等にお
ける廊下部分に施工される廊下床版やバルコニー部分に
施工されるバルコニー床版としても用いることができる
ものである。また、廊下部分やバルコニー部分は現場で
の作業効率が特に悪い部位であるため、本発明のハーフ
床版に手摺となる立ち上がり部を予め一体化しておくこ
とにより、外部足場等の仮設資材を削減できるととも
に、全体の生産性の向上を図ることもできる。また、本
発明のハーフ床版には、必要に応じて小梁を一体化して
形成しておくこともできる。
【0055】次に、本発明第1のハーフ床版A(図1参
照)を用いて施工される床構造の一例について図22を
用いて説明する。
【0056】本発明の床構造の施工に際しては、先ずハ
ーフ床版Aを梁(ハーフプレキャスト梁,プレキャスト
梁,鉄骨梁であっても構わない)51間に据付け、必要
に応じて適宜サポート等(不図示)を設置する。この
際、図22中のC−C’断面図に示されるように、相隣
接する床版の側面に設けた凹状部11と凸状部12を嵌
合させて敷設する。これにより、後のコンクリート打設
によってスラブ下面に段差が発生するのを防止すること
ができる。
【0057】次に、上端筋52(上端筋22aを一体化
していないハーフ床版を用いる場合には上端筋22a及
び52)を配筋し、さらに梁及び隣接するハーフ床版等
の鉄筋と連結する連結筋53等を配筋した後、床の残り
の断面にコンクリート54を打設する。
【0058】以上のようにして施工される本発明の床構
造は、プレキャストコンクリート版10と現場打ちコン
クリート54の一体構造であり、更には現場打ちコンク
リート54によって柱及び梁等とも一体的に施工するこ
とができるため、十分な剛性と耐力や遮音性能の確保が
可能となる。
【0059】また、本発明第2のハーフ床版B,C(図
20及び図21参照)を用いた床構造の施工も上記と同
様に行うことができる。なお、この場合には、例えば図
23(a),(b)に示すように先に低い部分のコンク
リート54aを打設した後、じゃま板55を設置して高
い部分のコンクリート54bを打設することができる。
【0060】また、本発明第2のハーフ床版は、図20
及び図21に示したように下面に段差を有するものに限
らず、段差の無いものとすることもできる。このような
ハーフ床版D,Eを用いた本発明の床構造の一例を図2
4(a),(b)に示した。
【0061】上記のように本発明第2のハーフ床版を用
いることにより、高さの異なる床面部分を施工する際に
も、型枠サポートの単純化・合理化を図ることができ
る。また、これによって施工される床構造は、プレキャ
ストコンクリート版10と現場打ちコンクリート54
a,54bの一体構造であり、更には現場打ちコンクリ
ートによって柱及び梁等とも一体的に施工することがで
きるため、十分な剛性と耐力や遮音性能の確保が可能と
なる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を奏する。 (1)ハーフプレキャスト床版の打込材の主要素として
鋼板を用いたことにより、打込材の形状設計の自由度が
増し、打込材の加工を単純化できるとともに、組立工数
を削減でき、低コスト化が実現される。 (2)床版同士の突き合わせ部分を嵌合可能な構造とし
たことにより、コンクリート打設後のスラブ下面におけ
る段差の発生を防止することができ、スラブ下面の後処
理が不要となると共に、型枠サポートの合理化、若しく
はノンサポート化も可能であるため、施工の合理化・省
力化が図れる。 (3)プレキャストコンクリート版に高さの異なる複数
の領域を設けることにより、高さの異なる床面部分を施
工する際に、段差部分における型枠サポートの単純化・
合理化を図ることができ、施工の合理化・省力化が実現
される。 (4)本発明のハーフプレキャスト床版を用いた床構造
では、容易に且つ確実に柱及び梁と一体的に施工するこ
とができ、十分な剛性と耐力や遮音性能を有する床構造
が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1のハーフプレキャスト床版の一例を
示す斜視図である。
【図2】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の一構成例を説明するための図である。
【図3】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図4】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図5】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図6】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図7】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図8】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図9】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられる
打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図10】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図11】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図12】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図13】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図14】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図15】本発明のハーフプレキャスト床版に用いられ
る打込材の別の構成例を説明するための図である。
【図16】本発明のハーフプレキャスト床版に用いる鋼
板の設計例を説明するための図である。
【図17】図16に示した鋼板を用いたハーフプレキャ
スト床版の一例を示す図である。
【図18】図16に示した鋼板を用いたハーフプレキャ
スト床版の別の例を示す図である。
【図19】本発明第1のハーフプレキャスト床版の別の
例を示す図である。
【図20】本発明第2のハーフプレキャスト床版の一例
を示す斜視図である。
【図21】本発明第2のハーフプレキャスト床版の別の
例を示す斜視図である。
【図22】本発明第1のハーフプレキャスト床版を用い
て施工される床構造の一例を説明するための図である。
【図23】本発明第2のハーフプレキャスト床版を用い
て施工される床構造の一例を説明するための図である。
【図24】本発明第2のハーフプレキャスト床版を用い
て施工される床構造の別の例を説明するための図であ
る。
【図25】従来のハーフプレキャスト床版を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
10 プレキャストコンクリート版 11 凹状部 12 凸状部 20 打込材 21 鉄板 22a 上端筋 22b,22c,22d 下端筋 23,23’ 開口部 24 切欠部 25 補強材 31 保護材 51 梁 52 上端筋 53 連結筋 54,54a,54b 現場打ちコンクリート 55 じゃま板 A〜E ハーフ床版
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−47850(JP,A) 特開 平2−120445(JP,A) 特開 昭63−103146(JP,A) 実開 昭58−68519(JP,U) 実開 昭63−111513(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 5/38 E04B 1/16

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋コンクリート部材断面の一部をプレ
    キャスト化したハーフプレキャスト床版であって、 鋼板を主要素とする打込材が、プレキャストコンクリー
    ト版に部分的に打ち込まれており、且つ、該プレキャス
    トコンクリート版の少なくとも1側面が、凹状若しくは
    凸状に形成されていることを特徴とするハーフプレキャ
    スト床版。
  2. 【請求項2】 鉄筋コンクリート部材断面の一部をプレ
    キャスト化したハーフプレキャスト床版であって、 鋼板を主要素とする打込材が、プレキャストコンクリー
    ト版に部分的に打ち込まれており、且つ、該プレキャス
    トコンクリート版は、高さの異なる複数の領域からなる
    ことを特徴とするハーフプレキャスト床版。
  3. 【請求項3】 前記打込材には、前記プレキャストコン
    クリート版の複数の領域に跨がる部分に補強材を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のハーフプレキャスト
    床版。
  4. 【請求項4】 前記プレキャストコンクリート版の少な
    くとも1側面が、凹状若しくは凸状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項2又は3に記載のハーフプレキャ
    スト床版。
  5. 【請求項5】 前記鋼板に開口部若しくは切欠部が形成
    されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のハーフプレキャスト床版。
  6. 【請求項6】 前記鋼板に設けられている開口部若しく
    は切欠部の少なくとも一部が、前記プレキャストコンク
    リート版から露出していることを特徴とする請求項5に
    記載のハーフプレキャスト床版。
  7. 【請求項7】 前記鋼板の下端部に、鉄筋が溶接されて
    いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    ハーフプレキャスト床版。
  8. 【請求項8】 前記鋼板の上端部に、鉄筋が溶接されて
    いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    ハーフプレキャスト床版。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のハーフ
    プレキャスト床版を用いて施工された床構造。
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