JP2002226955A - ターボチャージャー用ターボ部品およびその製造方法 - Google Patents
ターボチャージャー用ターボ部品およびその製造方法Info
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Abstract
も価格が低廉なターボチャージャー用ターボ部品を提供
する。 【解決手段】 質量比でCr:23.8〜44.3%、
Mo:1.0〜3.0%、Si:1.0〜3.0%、
P:0.1〜1.0%、C:1.0〜3.0%、残部F
eおよび不可避不純物からなる全体組成を有し、密度比
が95%以上で基地中に炭化物が分散する。
Description
ターボ部品に関し、特に耐熱性とともに耐食性および耐
摩耗性が要求されるノズルボディに好適な部品とその製
造方法に関する。
ャージャーでは、内燃機関のエキゾーストマニホールド
に接続されたタービンハウジングに、タービンが回転自
在に支持され、タービンの外周側を囲うように複数のノ
ズルベーンが回動可能に支持されている。タービンハウ
ジングに流入した排気ガスは、外周側からタービンに流
れ込んで軸方向へ排出され、その際にタービンを回転さ
せる。そして、タービンの反対側で同じ軸に設けられた
コンプレッサが回転することにより、内燃機関へ供給す
る空気を圧縮する。
マウントノズルといった名称で呼ばれるリング状の部品
に回動可能に支持されている。ノズルベーンの軸はノズ
ルボディを貫通し、そこでリンク機構に接続されてい
る。そして、リンク機構が駆動されることによりノズル
ベーンが回動し、排気ガスがタービンに流れ込む流路の
開度が調整される。本発明が問題とするのは、ノズルボ
ディ(マウントノズル)あるいはこれに装着されるプレ
ートノズルといった、タービンハウジング内に設けられ
るターボ部品である。すなわち、本発明は、排気ガスと
接触し、かつ、ノズルベーン等の駆動部材と接触するタ
ーボ部品に関するものである。
部品は、高温の腐食性ガスである排気ガスと接触するこ
とから耐熱性と耐食性が要求されるとともに、ノズルベ
ーンと摺接するために耐摩耗性も要求される。このた
め、従来においては、例えば高Cr鋳鋼や、JIS規格
で規定されているSCH22種に耐食性向上の目的でC
r表面処理を施した材料等が使用されている。
ような材料は加工性が悪いばかりでなく高価であり、タ
ーボ部品の製造コストが割高になり、このため、近年の
低価格化の要求に応えられないという問題があった。し
たがって、本発明は、耐熱性とともに耐食性および耐摩
耗性に優れ、しかも価格が低廉なターボチャージャー用
ターボ部品(以下、単に「ターボ部品」と称する)およ
びその製造方法を提供することを目的としている。
でCr:23.8〜44.3%、Mo:1.0〜3.0
%、Si:1.0〜3.0%、P:0.1〜1.0%、
C:1.0〜3.0%、残部Feおよび不可避不純物か
らなる全体組成を有し、密度比が95%以上で基地中に
炭化物が分散することを特徴としている。
あって、質量比でCr:25〜45%、Mo:1〜3
%、Si:1〜3%、C:0.5〜1.5%、残部Fe
および不可避不純物よりなる組成のFe合金粉末に、
P:10〜30質量%のFe−P粉末を1.0〜3.3
質量%、黒鉛粉末を0.5〜1.5質量%を添加して混
合した混合粉末を用い、この混合粉末を成形した後に焼
結することを特徴としている。
て焼結時に液相を発生させ、これによって焼結体を緻密
化させるために、PとCについてはFe−P粉末と黒鉛
粉末の形態とし、他のCr,Mo,SiについてはFe
合金粉末の形態とし、これらを混合して混合粉末として
用いる。以下、上記数値限定の根拠を本発明の作用とと
もに説明する。なお、以下の説明において「%」は「質
量%」を意味するものとする。
の向上に寄与するとともに、Cと結合して炭化物を形成
し耐摩耗性を向上させる。本発明とCr含有量が同程度
の高Cr鋳鉄では、Cr炭化物が粒界に析出して耐摩耗
性の向上にあまり寄与しないが、本発明では、CrをF
e合金粉末の形態で添加しているので、微細な粒状のC
r炭化物が基地中に分散した金属組織を得ることがで
き、充分な耐摩耗性と耐酸化性を得ることができる。上
記Crの効果を基地中に均一に作用させるためCrはF
e合金粉末の形態で付与する。ここで、Fe合金粉末中
のCrの含有量が25質量%に満たないと、Cr炭化物
の析出量が少なく耐摩耗性が不充分になるとともに、基
地の耐熱性および耐食性が低下する。一方、Crの含有
量が45%を超えると粉末の圧縮性を著しく損なう。よ
って、Fe合金粉末中のCrの含有量は25〜45%と
した。
上に寄与するとともに、Cと結合して炭化物を形成し耐
摩耗性を向上させる。MoもCrと同様、その効果を基
地全体に均一に作用させるためFe合金粉末の形態で付
与する。Fe合金粉末中のMoの含有量が1質量%に満
たないと、基地の耐熱性および耐食性向上の効果が乏し
く、一方、3%を超えてもその効果はさほど顕著には現
れない。よって、Fe合金粉末中のMoの含有量は1〜
3%とした。
いCrを多量に含むため、Fe合金粉末を製造する際に
Siを脱酸剤として添加することが有効である。また、
Siは焼結性も向上させる。Fe合金粉末中のSiの含
有量が1%未満ではその効果が乏しく、一方、3%を超
えるとFe合金粉末が硬くなり過ぎて圧縮性を著しく損
なう。よって、Fe合金粉末中のSiの含有量は1〜3
%とした。
C液相を発生させて焼結体の緻密化を促進し、95%以
上の密度比を達成可能となる。また、焼結時の液相化を
促進して緻密化を図るために、PはFe−P粉末、つま
りFe−P合金粉末の形態で添加する。Fe−P粉末中
のPの含有量は、10%未満では十分な液相が発生せず
焼結体の緻密化に寄与しない。一方、30%を超えると
Fe−P粉末が硬くなりすぎ圧縮性を著しく損なう。
は、1.0%未満では液相発生量が乏しく、十分な緻密
化が達成できず密度比が95%を下回るようになり、一
方、全体組成中のPの含有量が1.0%を超えると基地
が脆化し耐食性も劣化するため、上記組成のFe−P粉
末の混合粉末への添加量は3.3%が上限となる。以上
より、全体組成中のPの含有量は0.1〜1.0%であ
り、Pの含有量が10〜30%のFe−P粉末を用いる
とともに、混合粉末中のFe−P粉末の添加量は、1.
0〜3.3%とした。
Fe−P−C液相を発生させ、焼結体の緻密化を促進す
るとともに、Cr,Moと炭化物を形成して耐摩耗性に
寄与する。全体組成中のCの含有量が1%未満ではこれ
らの効果が乏しく、一方、3%を超えると基地が脆化す
るとともに、炭化物の析出量が増大することによりベー
ン等の相手材を摩耗させたり、基地中のCr量を低減さ
せて耐熱性および耐食性の低下を招く。よって、全体組
成中のCの含有量は1.0〜3.0%とした。
すると、Fe合金粉末はCr,MoがFe基地中に固溶
された状態の粉末となり、Fe合金粉末の硬さが硬くな
り過ぎて圧縮性が損なわれる。また、多量の黒鉛粉末の
使用も混合粉末の圧縮性を損なう。そのため、Cの一部
をFe合金粉末の形態で付与し、残りのCを黒鉛粉末の
形態で付与することとする。Cの一部をFe合金粉末の
形態で付与すると、Fe合金粉末中のCr,Moが炭化
物としてFe合金粉末中に析出し、Fe合金粉末の基地
中に固溶されるCr,Moの量が低減することにより、
Fe合金粉末の圧縮性を改善できる。さらに、残りのC
を黒鉛粉末の形態で与えることにより混合粉末自体の圧
縮性も改善できる。このとき、Fe合金粉末中のCの含
有量量が0.5質量%未満であると、Fe基地中に固溶
するCr,Moの量が多くなってFe合金粉末が硬く圧
縮性を損ない、一方、1.5%を超えるとFe合金粉末
中に析出する炭化物の量が多くなりすぎ、逆にFe合金
粉末の硬さが高くなるため、Fe合金粉末中のCの含有
量は0.5〜1.5%とした。残部の0.5〜1.5%
は黒鉛粉末として混合粉末に添加する。
25〜45%、Mo:1〜3%、Si:1〜3%、C:
0.5〜1.0%、残部:Feおよび不可避不純物と
し、Fe−P合金粉末の組成は、P:10〜30%、残
部:Feおよび不可避不純物とし、前記Fe合金粉末に
前記Fe−P粉末を1.0〜3.3%と黒鉛粉末を0.
5〜1.5%を添加して混合粉末となすこととした。
金法の手法で成形−焼結することにより、質量比でC
r:23.8〜44.3%、Mo:1.0〜3.0%、
Si:1.0〜3.0%、P:0.1〜1.0%、C:
1.0〜3.0%、残部Feおよび不可避不純物からな
る全体組成を有し、密度比が95%以上で基地中に炭化
物が分散するターボ部品を容易に得ることができる。
95%以上としているので、気孔内での酸化や孔食腐蝕
の進行を抑制することができ、耐食性を大幅に向上させ
ることができる。また、微細な粒状のCr炭化物を基地
中に分散させることにより、耐摩耗性と耐酸化性を向上
させることができる。
形態を示す図である。図1は内燃機関用ターボチャージ
ャーの一部を示す側断面図であり、図中符号2ノズルボ
ディ2である。ノズルボディ2の中央には、タービン3
が図示しない軸受によって回転自在に支持される。ター
ビン3の反対側の端部には、図示しないコンプレッサが
接続されている。
実施形態のターボ部品である。図2に示すように、ノズ
ルボディ2はリング状をなし、その周縁には複数の軸受
孔aが形成されている。この軸受孔2aには、ノズルベ
ーン4の軸5が回動可能に支持されている。軸5のノズ
ルベーン4と反対側の端部には、リンク6が固定されて
いる(図2では1個のみ示す)。そして、各リンク6を
一様に駆動することによりノズルベーン4が回動し、外
周側からタービン3に流れ込む排気ガスの流量を調整す
るようになっている。なお、本発明のターボ部品には、
上記のようなノズルボディ2の他に、これに適宜装着さ
れるプレートノズル等の部品も含まれており、前述した
焼結合金により構成される。
1に示す組成のFe合金粉末、Fe−20%P粉末およ
び黒煙粉末を用意し、表1に示す割合でそれら粉末を混
合した。得られた混合粉末の全体組成を表1に併記し
た。これら混合粉末を用いて成形圧力6ton/cm2
で外径30mm、内径15mmおよび高さ10mmのリ
ング形状に成形した後、真空雰囲気中1200℃で60
分焼結してNo.1〜13の試料を作成した。また、従
来材として表1に示す組成の高Cr鋳鋼の溶製材を上記
リング形状に加工して用意した。各試料を大気中で10
0時間、750〜900℃の温度範囲で加熱し、加熱後
の重量の増加量を測定した。その結果を図3〜6に示
す。
加熱後の酸化による重量増加量との関係を示したもので
ある。図3から判るように、Pの含有量が0.1%にな
ると重量増加量が急減し、耐酸化性が著しく向上する。
これは、Pの含有量が0.1%のときに焼結時の液相化
が促進され、気孔が減少して内部酸化が抑制されたため
である。また、Pの含有量が1.0%を超えると、基地
が脆化して耐食性が低下したために重量増加量が増えて
いる。
試料の黒鉛粉末の添加量と加熱後の酸化による重量増加
量との関係を示したものである。図4から判るように、
黒鉛粉末の添加量が0.5〜1.5%であると重量増加
量が低減される。これは、黒鉛粉末により焼結時の液相
化が促進され、気孔が減少して内部酸化が抑制されたた
めである。
試料のCrの含有量と加熱後の酸化による重量増加量と
の関係を示したものである。図5から判るように、Fe
合金粉末中のCrの含有量が25%以上のときに重量増
加量が大幅に低減される。こでは、Crにより基地の耐
熱性および耐食性が向上されたためである。
中で100時間、750〜900℃の温度範囲で加熱
し、加熱後の重量の増加量を測定した結果を示す図であ
る。図6に示すように、本発明材では密度比が100%
の従来材よりも酸化による重量増加が少ない。両者の金
属組織を調べたところ、本発明材では微細なCr炭化物
が基地中に分散しているのに対して、従来材ではCr炭
化物が結晶粒界に析出しているのが確認された。本発明
材では、Cr炭化物が基地中に微細に分散することによ
り、従来材よりも優れた高温耐熱性が得られるものと考
えられる。
価な高Cr鋳鉄と同等以上の耐熱性を備えるとともに耐
食性および耐摩耗性に優れ、しかも価格が低廉なターボ
部品を提供することができる。
面図である。
図である。
量増加量との関係を示す線図である。
化による重量増加量との関係を示す線図である。
よる重量増加量との関係を示す線図である。
Cr鋳鋼の試験温度と酸化による重量増加量との関係を
示す線図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量比でCr:23.8〜44.3%、
Mo:1.0〜3.0%、Si:1.0〜3.0%、
P:0.1〜1.0%、C:1.0〜3.0%、残部F
eおよび不可避不純物からなる全体組成を有し、密度比
が95%以上で基地中に炭化物が分散することを特徴と
するターボチャージャー用ターボ部品。 - 【請求項2】 質量比でCr:25〜45%、Mo:1
〜3%、Si:1〜3%、C:0.5〜1.5%、残部
Feおよび不可避不純物よりなる組成のFe合金粉末
に、P:10〜30質量%のFe−P粉末を1.0〜
3.3質量%、黒鉛粉末を0.5〜1.5質量%を添加
して混合した混合粉末を用い、この混合粉末を成形した
後に焼結することを特徴とするターボチャージャー用タ
ーボ部品の製造方法。
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