JP7150406B2 - 耐熱焼結合金材 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結合金材に係り、とくに内燃機関に付設されるターボチャージャー用部品などに好適な、耐熱焼結合金材に関する。
近年、排ガス規制が強化され、とくに自動車の燃費向上が強く要望されている。このような状況のなかで、内燃機関(エンジン)の排気ガスを利用して、タービンを回転させ、タービンと同軸上に設けられたコンプレッサーを駆動して、エンジンに高圧空気を供給するターボチャージャーは、内燃機関(エンジン)の燃費向上に大きな効果があり、内燃機関(エンジン)にとって、重要な装置となっている。
最近では、内燃機関の高速化、高出力化が指向され、ターボチャージャーの信頼性、耐久性の更なる向上が強く求められている。このため、とくに高温ガス環境下に晒されるターボチャージャー用部品の耐熱性、高温耐摩耗性等の高温特性の向上が要望されている。
このような要望に対し、例えば、DIN規格でEN10295として規定されている耐熱鋳物や、各種耐熱焼結合金が使用されている。耐熱焼結合金を用いた例として、特許文献1には、「ターボチャージャー用ターボ部品」が提案されている。特許文献1に記載されたターボ部品は、質量比で、Cr:23.8~44.3%、Mo:1.0~3.0%、Si:1.0~3.0%、P:0.1~1.0%、C:1.0~3.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、密度比が95%以上で基地中に炭化物が分散することを特徴とするターボチャージャー用ターボ部品である。これにより、耐食性が大幅に向上し、ターボ部品の耐摩耗性と耐酸化性を向上させることができる、としている。
また、特許文献2には、「金属粉末から部品を製造する方法」が提案されている。特許文献2に記載された技術は、重量%で、0~0.6%の炭素、0.5~5.0%のシリコン、0.5~6.0%のニッケル、0.5~1.5%のモリブデン、0~0.7%のマンガン、および12~20%のクロムを含む金属粉末を提供する工程と、35~65tsiの圧力で金属粉末を圧縮して未焼結の圧粉体を得る工程と、圧粉体の微細組織が、フェライトおよびオーステナイト相からなる2相の組織、またはフェライト相のみからなる単一相の組織を得るように、2100~2400°Fの温度で20~90分間、圧粉体を加熱する工程と、を備えた部品の製造方法である。これにより、耐熱性および耐腐食性に優れた部品を得ることができるとしている。
また、特許文献3には、「焼結機械部品の製造方法」が提案されている。特許文献3に記載された技術は、質量比で、Cr:25~45%、Ni:8~16.0%、Mo:0.8~2.8%、Si:0.8~2.8%、C:0.5~3.0%、残部Feおよび不可避的不純物よりなる組成のFe合金粉末に、P:10~30質量%のFe-P粉末を1.0~5.0質量%、黒鉛粉末を0.5~3.0質量%添加して混合した混合粉末を用い、この混合粉末を成形した後に焼結する焼結機械部品の製造方法である。これにより、オーステナイト基地中に微細な粒状の炭化物が分散する金属組織を呈する焼結機械部品が得られ、耐熱性、耐食性および耐摩耗性と共に高温強度を向上させることができ、さらにオーステナイト系耐熱鋼と同等の熱膨張係数を示す部品を得ることができるとしている。
また、特許文献4には、「焼結合金」が提案されている。特許文献4に記載された焼結合金は、質量%で、Cr:11.75~39.98%、Ni:5.58~24.98%、Si:0.16~2.54%、P:0.1~1.5%、C:0.58~3.62%、および残部がFeおよび不可避的不純物からなり、平均粒子径が10~50μmの金属炭化物が析出する相Aと、平均粒子径が10μm以下の金属炭化物が析出する相Bが斑状に分布するとともに、前記相Aに析出する金属炭化物の平均粒子径DAと前記相Bに析出する金属炭化物の平均粒子径DBが、DA > DBとなる金属組織を示すこと、を特徴とする焼結合金である。なお、特許文献4に記載された焼結合金では、Mo、V、W、Nb、およびTiからなる群より選ばれた少なくとも1種をさらに5%以下含んでも良いとしている。これにより、高温における優れた耐熱性、耐食性および耐摩耗性を有すると共に、優れた被削性を有し、オーステナイト系耐熱鋼と同等の熱膨張係数を示し、部品設計を容易にするとしている。
特開2002-226955号公報 特開2005-171382号公報 特開2009-263710号公報 特開2013-57094号公報
しかしながら、DIN規格で規定された耐熱鋳物は、高合金化されており、加工性が劣るうえに高価であり、近年の低価格化の要求に応じられないという問題があった。一方、特許文献1、2に記載された技術は、フェライト系の材料についての技術であり、ターボチャージャー用部品などの耐熱性が要求される部材用としては、周囲のオーステナイト系材料と熱膨張係数が異なり、部品設計が難しくなるという問題があった。
また、特許文献3、4に記載された技術によれば、オーステナイト基地を有する材料が得られ、オーステナイト系耐熱鋼と同等の熱膨張係数を示し、部品設計を容易にすることができる、としている。しかし、特許文献3、4に記載された技術では、最近の更なる排気ガス温度の上昇に伴い、高温時の耐摩耗性が不足するという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みて成されたものであり、内燃機関に付設されるターボチャージャー用部品などに好適な、耐摩耗性に優れた耐熱焼結合金材を提供することを目的としている。最近では、自動車への燃費向上要求は高く、そのため、ターボチャージャー用部品では、排気ガス温度が高くなることにより、従来の部品材料ではとくに、高温における耐摩耗性が不足することになる。そこで、本発明は、とくに高温における耐摩耗性が向上した耐熱焼結合金材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、耐熱焼結合金材における高温耐摩耗性に影響する各種要因について、鋭意検討した。その結果、Cr、Ni等の合金元素を適正量含有し、基地組織をオーステナイト相として耐熱性を向上させたうえで、高温における耐摩耗性を向上させるためには、空孔を低減して、所定値以上の密度を有する焼結体とすることが、まず、肝要であることに思い至った。
そのため、P、Cの含有量(添加量)を適正量に調整して液相焼結を生じさせること、さらには、オーステナイト基地相中に、Cr炭化物を、さらにNb、Wの炭化物を微細に分散させること、が必要であることに思い至った。また、Moを含有させ、あるいはさらにCuを含有させて、硬さの上昇を介して優れた高温強度を兼備させることにも思い至った。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、C:1.0~3.5%、Si:2.0~3.5%、P:0.3~1.0%、Cr:15~32%、Ni:14~25%、Mo:1.5~4.9%、Nb:0.5~4.0%、W:0.5~6.1%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、基地相がオーステナイト相で、炭化物が析出した組織と、を有し、硬さがHRAで55~75で、密度が7.2g/cm3以上であることを特徴とする耐熱焼結合金材。
(2)(1)において、前記組織を、基地相がオーステナイト相で、炭化物が析出し、さらに固体潤滑剤粒子が分散した組織とすることを特徴とする耐熱焼結合金材。
(3)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Mn:3.2%以下およびS:2.0%以下を含有する組成とすることを特徴とする耐熱焼結合金材。
(4)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、S:2.0%以下を含有する組成とすることを特徴とする耐熱焼結合金材。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0~3.5%を含有する組成とすることを特徴とする耐熱焼結合金材。
(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載された耐熱焼結合金材製のターボチャージャー部品。
本発明によれば、耐熱性、高温における耐摩耗性、さらには耐酸化性に優れ、ノズルボディやブッシュ等のターボチャージャー用部品として好適な、耐熱性、耐摩耗性、さらには耐酸化性に優れた耐熱焼結合金材を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
実施例で行った高温摩耗試験の概要を模式的に示す説明図である。
本発明耐熱焼結合金材は、質量%で、C:1.0~3.5%、Si:2.0~3.5%、P:0.3~1.0%、Cr:15~32%、Ni:14~25%、Mo:1.5~4.9%、Nb:0.5~4.0%、W:0.5~6.1%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
まず、組成の限定理由について、説明する。以下、「質量%」は、単に「%」で記す。
C:1.0~3.5%
Cは、Pとともに液相(Fe-P-C)を形成して、焼結体の密度向上に寄与する元素である。また、Cは、Cr、Mo等の炭化物形成元素と結合し炭化物を形成して耐摩耗性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Cは1.0%以上の含有を必要とする。一方、Cを3.5%を超えて含有すると、析出する炭化物量が多くなりすぎて、相手攻撃性が増大する。このようなことから、Cは1.0~3.5%の範囲に限定した。
Si:2.0~3.5%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、焼結性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、本発明では、Siは2.0%以上の含有を必要とする。一方、Siを3.5%を超えて含有すると、粉末の硬さが高くなり、成形性が低下する。このため、Siは2.0~3.5%の範囲に限定した。
P:0.3~1.0%
Pは、本発明では、Cと共に焼結時に液相(Fe-P-C)を形成して、焼結体の密度向上に寄与する。このような効果を得るためには、Pは0.3%以上の含有を必要とする。Pが0.3%未満では、充分な液相が生成せず、所望の密度を確保できなくなる。一方、1.0%を超えてPを含有すると、液相の生成量が多くなりすぎて、焼結時の形状維持が難しくなる。このため、Pは0.3~1.0%の範囲に限定した。
Cr:15~32%
Crは、固溶して基地の耐熱性、耐食性を向上させる元素である。また、CrはCと結合して炭化物として析出し、耐摩耗性の向上に寄与する。このような効果を得るためには、Crは15%以上の含有を必要とする。Crが15%未満では、炭化物の析出量が少なくなり、所望の耐摩耗性を確保できなくなる。一方、32%を超えて多量にCrを含有すると、粉末の硬さが高くなり、成形性が低下する。このようなことから、Crは15~32%の範囲に限定した。
Ni:14~25%
Niは、固溶して基地を強化するとともに、基地をオーステナイト化して高温強度の増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、14%以上のNi含有を必要とする。Niが14%未満では、高温強度が不足する。一方、25%を超えてNiを含有しても、高温強度の著しい増加は望めないため、経済的に不利となる。このようなことから、Niは14~25%の範囲に限定した。
Mo:1.5~4.9%
Moは、固溶して基地の耐熱性および耐食性を向上させるとともに、Cと結合して炭化物として析出し、耐摩耗性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Moは1.5%以上の含有を必要とする。Moが1.5%未満では、耐熱性および耐食性の向上効果が不足する。一方、4.9%を超えて多量に含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このようなことから、Moは1.5~4.9%の範囲に限定した。なお、Moは、固体潤滑剤粒子MoS2として潤滑性向上の目的で、必要に応じて、添加される場合を含むものとする。
Nb:0.5~4.0%
Nbは、微細炭化物を生成し、耐摩耗性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.5%以上の含有を必要とする。一方、4.0%を超えて含有すると、粉末の硬さが高くなり、成形性が低下する。なお、Nbは、Cとの親和性がCrよりも強く、Cr炭化物の生成前にNbの炭化物が析出する。これにより、基地相中のCrの消費が回避され、基地の耐食性低下を防止することができる。このようなことから、Nbは0.5~4.0%の範囲に限定した。
W:0.5~6.1%
Wは、Nbと同様に、微細炭化物を生成し、耐摩耗性を向上させる元素である。なお、Wも、Nbと同様に、Cとの親和性がCrよりも強く、Cr炭化物の生成前にWの炭化物が析出する。これにより、基地相中のCrの消費が回避され、基地の耐食性低下を防止することができる。このような効果を得るためには、Wは0.5%以上の含有を必要とする。一方、6.1%を超えて含有すると、粉末の硬さが高くなり、成形性が低下する。このようなことから、Wは0.5%以上6.1%以下の範囲に限定した。なお、Wは、固体潤滑剤粒子WS2として潤滑性向上の目的で必要に応じて、添加される場合を含むものとする。
上記した成分が、基本成分であるが、この基本組成に加えてさらに、選択元素として、Mn:3.2%以下およびS:2.0%以下、またはS:2.0%以下、Cu:1.0~3.5%を含有してもよい。
Mn:3.2%以下
Mnは、主として固体潤滑剤粒子MnSとして、潤滑性、さらには被削性向上のために、必要に応じて、好ましくは0.19%以上添加される。一方、Mnとして3.2%を超えて多量に、固体潤滑剤粒子を含有させると、焼結合金材の強度低下を招く。このようなことから、Mnは3.2%以下の範囲に限定した。なお、好ましくはMnは0.6~1.9%である。
S:2.0%以下
Sは、主として固体潤滑剤粒子MnS、MoS2、WS2として、潤滑性、さらには被削性向上のために、必要に応じて、Sとして好ましくは0.11%以上添加される。Sとして2.0%を超えて多量に、固体潤滑剤粒子を含有させると、焼結合金材の強度低下を招く。このようなことから、Sは2.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくはSは0.4~1.1%である。
Cu:1.0~3.5%
Cuの含有は、固溶による基地強化が図れ、耐摩耗性の向上に寄与する。このため、必要に応じ、所定量のCuを含有することが好ましい。このような効果を得るためには、1.0%以上の含有を必要とする。一方、3.5%を超えて含有すると、遊離Cuが析出し、耐摩耗性が低下する。このようなことから、Cuは1.0~3.5%の範囲に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明耐熱焼結合金材は、上記した組成に加えて、基地がオーステナイト相で、基地中に炭化物が析出し、あるいはさらに固体潤滑剤粒子が分散した組織を有し、硬さがロックウェル硬さHRAで55~75で、密度が7.2g/cm3以上である焼結合金材である。
上記したCr、Ni等の組成範囲内であれば、焼結後に、基地はオーステナイト相となり、基地中にCr炭化物等の炭化物が微細分散した組織を呈する。なお、基地中に分散する炭化物の粒径は、1μm以上40μm以下の微細な炭化物とする。これにより、硬さがHRAで55~75となり、硬さが向上し、耐摩耗性の向上が期待できる。
また、本発明耐熱焼結合金材では、焼結時に液相を形成し、空孔量を適正範囲として、密度を向上させ、更なる耐摩耗性の向上を図る。なお、空孔率は面積率で7%以下とすることが好ましい。空孔率が面積率で7%超えると、所望の耐摩耗性を確保できなくなる。空孔率の減少により、密度は7.2g/cm3以上、好ましくは7.4g/cm3以上となる。
つぎに、本発明耐熱焼結合金材の好ましい製造方法について、説明する。
本発明耐熱焼結合金材は、少ない加工量で高い精度で、所望の寸法形状を有する部品を確保できるといる利点がある、圧粉成形-焼結によって製造される圧粉成形製焼結体とする。
具体的には、原料粉に、あるいはさらに固体潤滑剤粉、被削性改善粒子粉等の添加材粉を加えて混合、混錬して、混合粉とする。そして、得られた混合粉を、金型に装入し、プレス成形等により圧粉成形し、所定の寸法形状の圧粉体とする。ついで、得られた圧粉体に、焼結処理を施し、焼結体(焼結合金材)とする。なお、原料粉は、混合粉全量に対する質量%で上記した所望の組成となるように、鉄合金粉あるいはさらに鉄粉からなる鉄系粉に、黒鉛粉、必要に応じて合金元素粉、Fe-P合金粉等を配合したものとする。
なお、Cr、Mo、P等の合金元素を単体の合金元素粉として鉄粉と混合した場合には、合金元素の均一化が不十分となるため、予め、鉄粉に合金化して鉄合金粉としておくことが、組織均一化のためにも有効である。Ni等の一部の合金元素は合金元素粉として混合しても問題はない。なお、Cは、鉄合金粉に合金化すると、鉄合金粉が著しく硬化するため、予め合金化することなく、所定量を黒鉛粉末として、混合することが好ましい。
なお、固体潤滑剤粉は、硫化マンガン(MnS)、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化タングステン(WS2)等の常用の潤滑剤粒子粉がいずれも適用できる。なお、固体潤滑剤粉を配合する場合には、2種以上混合してもよく、固体潤滑剤粉の配合量は合計で、混合粉全量に対する質量%で、0.3~5%とすることが好ましい。なお、より好ましくは1~3%である。
ついで、混合粉は、金型に装入され、プレス成形により、所定形状の圧粉体とされる。なお、圧粉体の密度は6.0g/cm3以上とすることが好ましい。
得られた圧粉体はついで、焼結炉に装入され、焼結体とされる。焼結処理は、一部液相が生成する液相焼結とする。液相焼結とすることにより、一部の空孔に液相が浸漬し、空孔を減少し、密度を7.2g/cm3以上とすることができる。
焼結温度は、1100~1200℃とすることが好ましい。焼結温度が、1100℃未満では、液相焼結が不十分で、所望の密度を確保できなくなる。一方、1200℃を超えて高温となると、炭化物が粗大化する。
なお、焼結処理の雰囲気は、真空雰囲気、水素と窒素の混合ガス雰囲気あるいはアンモニア分解ガス(AX)雰囲気等の非酸化性雰囲気中とすることが好ましい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
原料粉として、鉄系粉、黒鉛粉、あるいはさらに合金元素粉に、あるいはさらに固体潤滑剤粉を、表1に示す配合量で配合し、混合、混錬して混合粉とした。なお、使用した鉄系粉の組成は表2にそれぞれ示す。なお、ここでは、Pは、鉄合金粉に予め合金し、Fe-P合金粉は使用しなかった。
得られた混合粉を、金型に装入し、プレス成形して、円筒状成形体(大きさ:φ20mm×φ13mm×高さ13mm)および円盤状成形体(大きさ:φ31mm×厚さ7mm)とした。
得られた成形体に、非酸化性雰囲気中で、焼結処理(焼結温度:1160℃、時間:20min)を施し、上記した形状の焼結体を得た。なお、従来技術(DIN EN 10295)で示された代表的な組成を有する耐熱鋳造品(大きさ:φ80mm×200mm)を従来例とし、基準とした。
得られた焼結体および耐熱鋳造品から、試験片を採取し、組織観察、密度測定試験、硬さ測定試験、摩耗試験を実施した。試験条件は次のとおりとした。
(1)組織観察
採取した試験片の断面を、鏡面研磨したのち、マーブル液で腐蝕し、その組織を、分析装置付き走査型電子顕微鏡(倍率:800倍)により、基地相の種類、及び、炭化物の大きさを調査した。析出した炭化物については、炭化物であることを確認しながら、析出した各炭化物の大きさ(各炭化物粒の長径)を100×100μmまたは400×600μmの範囲で測定し、その大きさの範囲を、当該焼結体の炭化物粒径と定義した。
(2)密度測定試験
採取した試験片について、JIS Z 2501-2000の規定に準拠し、焼結体の密度を測定した。
(3)硬さ測定試験
採取した試験片について、JIS Z 2245の規定に準拠し、外周3点の位置でロックウェル硬さHRAを測定し、当該焼結体の硬さ範囲とした。
(4)摩耗試験
図1に示す高温摩耗試験方法により、各焼結合金材の耐摩耗性を評価した。
円盤状焼結体から、寸法:20mm×20mm×厚さ6mmの摩耗試験片を採取した。採取した摩耗試験片1を高温摩耗試験装置にセットし、高温摩耗試験を実施した。高温摩耗試験は、図1に示すように、所定の試験温度に加熱され、回転する摩耗試験片1に、相手材2(固定)を接触させ、所定の荷重を負荷して所定時間保持する試験を行った。なお、摩耗試験中の回転数は1000rpm、所定の試験温度は、T:400℃、700℃、900℃とし、所定の負荷荷重:490Nとし、所定の試験時間:1hとした。相手材はインコネル713Cとした。
試験後、摩耗試験片1の重量を測定し、試験前後の重量変化量を測定した。従来例(鋳造品)の重量変化量を1.00(基準)として、それに対する各焼結体の重量変化量の比を算出し、耐高温摩耗性を評価した。
得られた結果を焼結体組成とともに表3に示す。
Figure 0007150406000001
Figure 0007150406000002
Figure 0007150406000003
Figure 0007150406000004
本発明例はいずれも、基地相がオーステナイト相であり、硬さがHRAで55~75で、密度が7.2g/cm3以上の密度を有し、従来例(鋳造品)に比べて、摩耗量が少なく、摺動傷が軽度で耐摩耗性(高温耐摩耗性)に優れた耐熱焼結合金材となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例(焼結体No.1)は、基地相がオーステナイト(γ)相であるが、硬さも低く、HRAで55~75を満足せず、従来例(鋳造品)に比べて、摩耗量が多く、耐摩耗性(高温耐摩耗性)が低下している。また、比較例である焼結体No.11は、基地相がオーステナイト相であるが、硬さも低く、HRAで55~75を満足せず、密度も7.2g/cm3未満であり、従来例(鋳造品)に比べても、摩耗量が多く、耐摩耗性(高温耐摩耗性)が低下している。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:1.0~3.5%、 Si:2.0~3.5%、
    P:0.3~1.0%、 Cr:15~32%、
    Ni:14~25%、 Mo:1.5~4.9%、
    Nb:0.5~4.0%、 W:0.5~6.1%
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
    基地相がオーステナイト相で、炭化物が析出した組織と、
    を有し、外周3点の位置で測定した硬さの範囲がHRAで55~75で、密度が7.2g/cm3以上であることを特徴とする耐熱焼結合金材。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Mn:3.2%以下およびS:2.0%以下を含有する組成とし、前記組織を、基地相がオーステナイト相で、炭化物が析出し、さらに固体潤滑剤粒子が分散した組織とすることを特徴とする請求項1に記載の耐熱焼結合金材。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、S:2.0%以下を含有する組成とし、前記組織を、基地相がオーステナイト相で、炭化物が析出し、さらに固体潤滑剤粒子が分散した組織とすることを特徴とする請求項に記載の耐熱焼結合金材。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0~3.5%を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の耐熱焼結合金材。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の耐熱焼結合金材製のターボチャージャー部品。

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