JP2002222491A - 自動車位置情報による自動車の制御方法 - Google Patents

自動車位置情報による自動車の制御方法

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JP2002222491A
JP2002222491A JP2001016220A JP2001016220A JP2002222491A JP 2002222491 A JP2002222491 A JP 2002222491A JP 2001016220 A JP2001016220 A JP 2001016220A JP 2001016220 A JP2001016220 A JP 2001016220A JP 2002222491 A JP2002222491 A JP 2002222491A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 先行する自動車の情報を個別的に後続自動車
に伝えて、渋滞や事故の知得、交通の流れに乗った速度
制御、適正な車間距離制御を行なう。 【解決手段】 各自動車2.3.4.5は自車のID情
報、GPS位置情報、自車内のセンサ情報、および、機
器の作動情報を無線通信機で基地局8に通報する。基地
局の演算装置14は、複数の自動車に対するお互いの先
行後続自動車関係を特定し、制御を行なう特定の後続自
動車の走行に関係する特定の先行自動車を決定する。そ
の特定先行自動車の個別情報を、基地局側の演算装置1
4から制御信号として特定の後続自動車に無線で伝送
し、それを受信した特定の後続自動車では、その制御信
号に基づいて、または、制御信号を更に他の情報と演算
して、特定後続自動車の制御を行なう。この制御は、ア
クセル系ブレーキ系の自動制御、運転者に対する警告指
示制御、後続自動車内自動車機器の自動制御等からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行中の複数の自
動車の位置を含む情報を中央の演算装置が無線で把握し
て、後続自動車に対して特定の先行自動車の情報を伝達
する自動車位置情報による自動車の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車前方の先行自動車を検出し
て車間距離を確保するような自動車の走行速度制御は行
なわれてきた。また、乗員が任意に、自らの意志で設定
した車速を維持する様に自動走行し、ブレーキやアクセ
ルを踏むと一次的に自動制御がキャンセルされる定速走
行装置やオートクルーズと呼ばれる制御も、例えば、特
開平8−253057で知られている。更に、自動車内
に備えられる電話装置の発達によりパケット通信等を利
用して時々刻々、基地局側と情報交換することも可能と
なっている。
【0003】また、自動車内にはナビゲータが設けら
れ、目的地を入力するだけで走行予定経路の自動設定が
可能であり、自車位置の表示も行なわれる。更に、GP
S測位装置の発達により、センチ単位での測位も可能に
なってきている。更に、無線通信機からの電波を複数の
基地局で捕捉して、自動車の位置を測位することも可能
である。また、カーナビゲーションシステムを通じて、
運転者に情報提供を行う道路交通情報通信システムセン
タ(VICSセンタ)が知られており、これは、FM多
重放送と電波ビーコン、光ビーコンの三つの手段を用
い、事故・工事情報や渋滞、速度規制などの交通情報を
カーナビゲーションシステムで提供するものであるが、
この提供情報は、交通関係に加え天気情報、観光情報、
イベント情報などへ広げられつつ有る。
【0004】また、全国八地域の移動無線センター(M
RC)が提供するデジタルMCA陸上移動通信システム
があり、これは制御局経由で事業所と移動局の間で通信
するもので、一つの制御局の電波を複数ユーザーで共同
利用する。このようなシステムは中央の、つまり、基地
局側の演算装置が入手した情報を、走行中の自動車に送
信し、自動車内での表示制御などを行なうものである
が、次の問題が有る。
【0005】第1に、中央の演算装置が入手する情報
は、監視カメラなどの自動車外部から発せられた情報で
あり、限られたものである。すなわち、監視カメラ等が
設けられている部分以外での交通情報を把握し得ない。
また、直接的に自分が走行している道路前方の道路状況
や自車に関係する先行自動車の情報を個別に伝えてくれ
るとは限らなかった。第2に、運転者は、直前の自動車
の姿を目視して自動車の速度を制御している。これで
は、最先の自動車が急減速した場合、次の自動車も目視
後に減速し、更に次の自動車も目視後に減速するので、
減速までに時間がかかり、車間距離は極端に短くなって
走行する。この様な状況で、突発的事故が発生すると玉
突き事故が発生する可能性が考えられる。第3に、レー
ザーレーダー等を用いた車間距離制御でも、カーブや坂
道で先行自動車が認識できなくなると、停止している先
行自動車に思わず接近しすぎてしまうことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の先行
自動車の少なくとも位置情報から得られた情報を基地局
を介して後続自動車に伝達して、後続自動車を制御する
位置情報による自動車の制御方法を得ることにより、前
述の問題点を軽減することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、走行中の複数の自動車
が、少なくとも人工衛星より取得した位置情報と、自車
を特定する車両特定信号とを含む走行中自動車情報を各
自動車内の無線通信機を介して基地局に送信し、前記基
地局側の演算装置に複数の前記走行中自動車情報を入力
する。そして、前記演算装置にて前記複数の走行中自動
車情報から前記複数の自動車の位置を追跡し、前記各自
動車間において、どの自動車が先行自動車であり、どの
自動車が後続自動車であるかの先行後続関係を特定す
る。
【0008】更に、前記後続自動車に対して前記先行自
動車のうち特定の先行自動車に関する情報を含む制御信
号を前記基地局から発信して前記後続自動車の無線通信
機を介して受信させ、前記後続自動車内で、受信した前
記制御信号に基づき、前記後続自動車のアクセル系また
はブレーキ系による加速または減速の自動制御、およ
び、前記後続自動車の運転操作に関する操作指示制御、
および、前記後続自動車前方の道路状況を報知する道路
状況報知制御、および、前記後続自動車に搭載された自
動車部品の制御機器の自動制御、および、前記先行自動
車の状況を後続自動車に報知する先行自動車状況報知制
御のうち少なくとも何れかの制御を実行するものであ
る。これにより、後続自動車は、少なくとも、自車に関
係する個別の先行自動車の情報、すなわち、制御信号を
逐次入手できるので、この制御信号を基に安全運転に寄
与する種々の制御を行なうことが出来る。
【0009】請求項2の発明では、前記後続自動車のア
クセル系またはブレーキ系による加速または減速の自動
制御は、少なくとも、前記特定の先行自動車が所定車速
以下に急減速した場合に、前記制御信号を前記後続自動
車が受信して、前記後続自動車にて自動的に制動をかけ
るものからなる。これにより、先行自動車が急に速度を
減じた時に、時間遅れを少なくして後続自動車の自動制
動できるので、先行自動車が直前の先行自動車の場合は
追突防止効果が有り、先行自動車が少し前のものである
時も、目視で確認するよりも早く操作が出来るので、車
間距離が極端に短くなるのを抑止できる。
【0010】請求項3の発明では、前記後続自動車の運
転操作に関する操作指示制御は、前記後続自動車のアク
セル系の操作またはブレーキ系の操作の操作量を増加ま
たは減少させるように、指示を前記後続自動車の運転者
に表示または告知することからなる。これにより、先行
自動車の状況によって後続自動車側で操作をした方が良
い場合には、無線で後続自動車のアクセル系の操作また
はブレーキ系の操作の操作量を増加または減少させるよ
うに指示を出すことが出来る。よって、先行自動車の走
行速度に乗った速度制御が後続自動車でなされ易く、一
連の自動車群が連係しあって速度制御することが出来、
車間距離が極端に短くなるなどの弊害を防止できる。
【0011】請求項4の発明では、前記後続自動車のア
クセル系またはブレーキ系による加速または減速の自動
制御、あるいは、前記後続自動車の運転操作に関する操
作指示制御は、前記後続自動車内の演算装置または前記
基地局側の前記演算装置にて前記特定の先行自動車と前
記後続車両との間の距離が所定距離以下に減少したと判
断された場合に、前記後続自動車に自動的にブレーキを
かけるか、あるいは、前記後続自動車のブレーキ操作の
操作量を増加させるように、前記後続自動車の運転者に
指示を表示または告知するものからなる。これにより、
先行自動車と後続自動車との車間距離を維持しようとす
るので、車間距離が急に短くなるのを少なく出来る。ま
た、車間距離をレーダーなどを用いても後続自動車で確
認しにくいカーブや坂道などを走行中の場合にも、後続
自動車の車間距離制御を補足できる。
【0012】請求項5記載の発明では、前記後続自動車
のアクセル系またはブレーキ系による加速または減速の
自動制御、あるいは、前記後続自動車の運転操作に関す
る操作指示制御は、前記後続自動車内の演算装置または
前記基地局側の前記演算装置にて前記特定の先行自動車
と前記後続自動車との間の距離が所定距離以上に増加し
たと判断された場合に、前記後続自動車に自動的にアク
セル系の操作量を増加させるか、あるいは、前記後続自
動車のアクセル系の操作の操作量を増加させるように前
記後続自動車の運転者に指示を表示または告知するもの
からなる。これにより、先行自動車と後続自動車との位
置を演算装置にて監視でき、車間距離が必要以上に空い
てしまうことが少なくなるので、後続自動車が、先行自
動車の流れに乗り易い。
【0013】請求項6記載の発明では、前記後続自動車
前方の道路状況を報知する道路状況報知制御は、複数の
前記先行自動車の走行速度から、前記基地局側の前記演
算装置が判断した渋滞に関する交通状況を報知すること
からなる。これにより、複数の先行自動車が渋滞などに
巻き込まれて低速走行した場合には、これらの先行自動
車の位置を追跡している基地局側の演算装置にて、道路
の渋滞が発生していると察知できるため、この情報を制
御信号に入れて後続自動車に知らせ、後続自動車内に
て、その道路の先の渋滞状況を報知することができる。
【0014】請求項7記載の発明では、前記後続自動車
に搭載された自動車部品の制御機器の自動制御は、前記
特定の先行自動車が走行する道路での、少なくとも走行
速度の情報に基づいて、前記後続自動車のタイヤ圧力制
御機器の自動制御、または、前記後続自動車のシートの
姿勢制御機器の自動制御からなる。これにより、制御信
号を介してもたらされた、先行自動車の走行速度の情報
に基づいて、今後、高速走行が続くときに、後続自動車
の方でタイヤ圧力を走行中に制御できる機器が設けられ
ている場合には、事前に、タイヤ圧力を高めに設定する
自動制御、または、前記後続自動車のシートを少し傾け
て高速走行に適した姿勢制御ができる。
【0015】請求項8記載の発明では、前記特定の先行
自動車の状況を後続自動車に報知する先行自動車状況報
知制御は、制御信号の中に含まれた、前記特定の先行自
動車が走行する道路での少なくとも走行位置と走行速度
の情報に基づいて、前記後続自動車に、少なくとも道路
途中での停止を含む前記特定の先行自動車の状況を報知
することからなる。これにより、特定の先行自動車の位
置と走行速度とを把握できるため、特定の先行自動車が
異常を起こして停止したような場合に、それを後続自動
車の運転者に知らせることができる。
【0016】請求項9記載の発明では、前記複数の走行
中自動車情報の中に、前記自動車の運転者による操作情
報と、前記自動車センサの検出情報と、前記自動車内装
置の作動情報とのうち少なくとも何れかの情報が更に含
まれている。これにより、基地局側の演算装置に入力さ
れる情報には、自動車の位置や速度の情報だけでなく、
自動車運転者の操作情報と、自動車センサの検出情報
と、前記自動車内装置の作動情報との何れかが含まれて
いるので、自動車の異常操作や、センサにて検出した異
常や、自動車内で発生し後続自動車に影響を及ぼす可能
性の有る自動車内装置の作動情報に基づいた、更に有用
な後続自動車の為の制御が実行できる。
【0017】請求項10記載の発明では、前記走行中自
動車情報の中に、前記自動車の運転者による操作情報が
含まれており、該運転者による操作情報は、自動車のス
テアリングの回動操作情報、警報器の操作情報、およ
び、急ブレーキの操作情報のうち少なくとも何れかから
なる。これにより、特定の先行自動車のステアリングの
回動操作情報から例えば急カーブの存在を報知したり、
警報器の操作情報からは注意を喚起させたり、急ブレー
キの操作情報からは減速やステアリング操作の注意を喚
起させることができる。
【0018】請求項11記載の発明では、前記走行中自
動車情報の中に、前記自動車センサの検出情報が含まれ
ており、該自動車内センサの検出情報は、前記自動車の
浸水検出センサ、横風検出センサ、タイヤのバースト検
出センサ、衝突検出センサ、車両の回転に伴うヨーレイ
ト検出センサのうち少なくとも何れかからなる。これに
より、浸水検出センサからは道路冠水等による浸水予報
が可能となり、横風検出センサからはハンドル操作を誤
る原因になる強い横風を予測できる。また、タイヤのバ
ースト検出センサや衝突検出センサによって先行自動車
の異常を知り、後続自動車の安全運転が可能となる。ま
た、車両の回転に伴うヨーレイト検出センサから先行自
動車の急旋回を後続自動車側で検知できる。
【0019】請求項12記載の発明では、前記走行中自
動車情報の中に、前記自動車内装置の作動情報が含まれ
ており、該自動車内装置の作動情報は、前記自動車のア
ンチスキッド制御装置の作動情報、エンジン制御装置の
作動情報、走行用モータ制御装置の作動情報、機器の故
障診断装置の作動情報、計器盤内の警告表示装置の作動
情報、ガスバッグ制御装置の作動情報、および、緊急通
報装置の作動情報のうち少なくとも何れかからなる。こ
れにより、特定の先行自動車のアンチスキッド制御装置
の作動情報からは路面の凍結などの情報が得られ、エン
ジン制御装置の作動情報からはエンジン停止による緊急
停止情報が得られ、走行用モータ制御装置の作動情報か
らは先行自動車が電気自動車またはハイブリッド自動車
の場合のバッテリを含むモータ系の異常を後続自動車に
報知できる。
【0020】更に、機器の故障診断装置の作動情報から
は後続自動車に影響する様々な故障の有無を知ることが
でき、例えば、フラッシャーランプの断線、ブレーキラ
ンプの故障などで正確な方向指示や制動警告が、特定の
先行自動車において出来ていないことを後続自動車が知
ることができる。また、計器盤内の警告表示装置の作動
情報からはブレーキやエンジン温度の異常等を知ること
ができ、特定の先行自動車が低速度運転でも後続自動車
運転者の感情を害することが無い。ガスバッグ制御装置
の作動情報、緊急通報装置の作動情報からは、特定の先
行自動車での衝突や病気の発生を離れた後続自動車から
でも知ることができ、後続自動車乗員による早期救援の
可能性が拡大する。
【0021】請求項13記載の発明では、前記特定の先
行自動車は、前記後続自動車までの距離が所定距離以下
のものであると基地局側の演算装置で判断されたものか
らなる。これにより、後続自動車の運転に直接的に影響
が有る先行自動車の情報での制御が可能となる。
【0022】請求項14記載の発明では、前記後続自動
車に搭載された車間距離測定装置によって、該後続自動
車から前記特定の先行自動車までの車間距離が測定され
て前記基地局側の演算装置に送信され、一方、前記基地
局側の前記演算装置内にて前記後続自動車から前記先行
自動車までの距離が前記位置情報を基に演算され、この
演算された距離と前記車間距離測定装置よって測定され
た前記車間距離とが実質一致する直前の先行自動車に相
当するものを前記特定の先行自動車とする。これによ
り、直前の先行自動車が特定し易く、この直前の先行自
動車からの情報に基づく制御信号によって、後続自動車
の制御が的確に行なえる。
【0023】請求項15記載の発明では、基地局側の演
算装置にて前記複数の走行中自動車情報から前記複数の
自動車の中の各自動車の位置を追跡している。そして、
前記各自動車間においてどの自動車が先行自動車であ
り、どの自動車が後続自動車であるのかの先行後続関係
を特定する。更に、前記各自動車のうち特定の後続自動
車に対して前記先行自動車の区別を前記基地局側の演算
装置で行なう。この区別は、前記特定の後続自動車から
の車間距離が所定範囲内の近接先行自動車であるのか、
または、所定範囲を超える連係先行自動車であるのかの
区別である。そして前記近接先行自動車または前記連係
先行自動車の区別と共に、この特定の先行自動車に関す
る情報を含む制御信号を前記基地局から発信して前記後
続自動車の無線通信機を介して受信させ、前記後続自動
車内で、受信した前記制御信号に基づき、前記後続自動
車のアクセル系またはブレーキ系による加速または減速
の自動制御、および、前記後続自動車の運転操作に関す
る操作指示制御、および、前記後続自動車前方の道路状
況を報知する道路状況報知制御、および、前記後続自動
車に搭載された自動車部品の制御機器の自動制御、およ
び、前記先行自動車の状況を後続自動車に報知する先行
自動車状況報知制御のうち少なくとも何れかの制御を実
行する。これにより、制御を行なう後続自動車までの先
行自動車の距離に応じて適切な制御が出来る。
【0024】請求項16記載の発明では、前記走行中自
動車情報の中の前記自動車内装置の作動情報は緊急通報
装置の作動情報を含み、該緊急通報装置の作動情報を入
力された前記基地局側の演算装置は、前記車両特定信号
に対応するナンバープレート情報を検索し、この検索さ
れたナンバープレート情報を前記制御信号中に含ませて
前記後続自動車に報知するから、後続自動車の運転者が
事故で停車した先行自動車を捜し易く、事故時の救援な
どを行ない易い。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を、図面
に基づき説明する。第1実施例は、走行中の複数の自動
車が、少なくとも人工衛星より取得した位置情報と、自
車を特定する車両特定信号とを含む走行中自動車情報を
無線通信機を介して基地局に送信し、前記基地局側の演
算装置に複数の前記走行中自動車情報を入力している。
【0026】また、前記演算装置にて前記複数の走行中
自動車情報から前記複数の自動車の中の各自動車の位置
を追跡し、前記各自動車間においてどの自動車が先行自
動車であり、どの自動車が後続自動車であるのかの先行
後続関係を特定し、前記後続自動車に対して特定の先行
自動車に関する情報を含む制御信号を前記無線通信機を
介して受信させている。そして、前記制御信号の中に
は、連係先行自動車データ、近接自動車データ、直前自
動車データ、目視不可データ、および、停止データの何
れかが含まれている。
【0027】図1において、道路1を走行中の複数の自
動車2.3.4.5には、人工衛星6からのGPS電波
7を受信すると共に、内部の無線通信機となる自動車電
話で基地局8と電波信号9、13で交信している。図2
に自動車の一例を示す。この自動車にはGPS受信装置
10からの位置情報による現在位置の表示と経路自動探
索機能とを持ったナビゲーションシステム11と、基地
局8と音声及びパケット通信でのデータ通信が可能な自
動車電話12とが搭載されている。図1の14は基地局
8のサーバと有線網で接続された演算装置である。ま
た、ナビゲーションシステム11と自動車電話12とが
一体化されており、基地局8を介してのナビゲーション
システム11への地図情報のダウンロードが可能であ
る。
【0028】また、GPS受信装置10から取得した位
置情報となるGPS位置情報と、自動車電話の無線通信
機本体12aまたは自動車を特定する車両特定信号とな
るID信号とからなる走行中自動車情報13を、自動車
のアンテナ12bを介して基地局8側の演算装置14に
通報できるようになっている。また、自動車内に前方自
動車との車間距離を超音波やレーザーレーダーで測定す
る車間距離測定装置(車間距離制御装置ともいう)15
が搭載されており、測定した車間距離データも前記走行
中自動車情報13の中に図3のように含ませている。
【0029】自動車の運転者は、この発明の機能を有す
るサービスを受ける時は、ナビゲーションシステム11
に備えられているキーを操作し、自動車電話12の基地
局8内のサーバを介して中央交通監視センター20に置
かれた演算装置14と連絡を取りつづける。この演算装
置14には、図示しないが地図データベースを持ったコ
ンピュータやディスプレイや送信用記憶装置や受信用記
憶装置等が設けられている。なお、本発明では、これら
のサーバやコンピュータなどを含めて基地局側の演算装
置14と称する。
【0030】そして各自動車内に(ここでは特に自動車
2内に)前記基地局側の演算装置14と通信するナビゲ
ーションシステム11を備える。このナビゲーションシ
ステム11は、GPS(Global Positio
ning System)およびマップマッチングを利
用したシステムであり、地球周回軌道上にあるGPS用
の人工衛星6(実際は複数個)から送信される信号7を
受信すると共に受信した信号7に基づいて演算される車
両の走行位置,高度、走行方向および車速を求めるGP
S受信装置10を備える。
【0031】図4は、自動車電話12とGPS受信装置
10とナビゲーションシステム11とを表わしたもので
ある。ディスプレイ25は、運転席近傍のインストルメ
ントパネル内に設けられており、運転者はマップ(区間
図)を見ることにより自車の現在位置を確認し、またこ
れからの経路についての情報を得ることができる。ま
た、ディスプレイ25に機能パレットの表示に対応して
タッチスイッチが設けられており、パレットをタッチす
ることにより入力される信号に基づいて上記の操作が実
行されるように構成される。このパレットとタッチスイ
ッチなどから構成される入力信号発生手段は入力部を構
成するものであるが、ここではその詳細な説明を省略す
る。
【0032】現在位置検出装置26は、車両の現在位置
に関する情報を検出、あるいは、受信する装置であり、
地磁気センサなどで構成される絶対方位センサ27、ス
テアリングセンサやジャイロなどで構成される相対方位
センサ28、車輪の回転数から走行距離を検出する距離
センサ29および無線通信機30.12を備えている。
この無線通信機30.12は、交通情報取得手段である
VICS(道路交通情報システム;Vehicle I
nformation & Communicatio
n System)受信装置30及びデータ送受信を行
なう自動車電話12から構成され、VICS受信装置3
0は、道路交通情報をリアルタイムでFM多重(文字放
送)、電波ビーコン、光ビーコンによって車両に伝送す
るものであって、VICS送信データは、各道路毎に付
けられたリンク番号に対して、渋滞度、渋滞先頭位置、
渋滞長、通行規制、旅行時間(所定速度での所要時間)
から構成されている。また自動車電話12は、運転者の
要求により中央交通監視センター20との間でナビゲー
ションシステムに必要な情報のやりとりを行うものであ
る。
【0033】情報記憶装置31は、ナビゲーション用の
プログラムおよびデータを記憶した外部記憶装置で、例
えばCD−ROMやDVD−ROM等の光学的な記録媒
体、フロッピィディスク等の記録媒体である。プログラ
ム31aは、地図描画部、経路探索部、経路案内部、現
在位置計算部、目的地設定操作制御部等からなりナビゲ
ーションの信号出力処理を行うアプリケーション部及び
OS部等で構成され、ここに、経路探索などの処理を行
うためのプログラムや経路案内に必要な表示出力制御、
音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム
及びそれに必要なデータ、さらには経路案内及び地図表
示に必要な表示情報データが格納されている。
【0034】また、データ31bは、経路案内に必要な
地図データ(道路地図、住宅地図、建造物形状地図
等)、交差点データ、ノードデータ、道路データ、写真
データ、登録地点データ、目的地点データ、案内道路デ
ータ、詳細目的地データ、電話番号データ、住所デー
タ、その他のデータのファイルからなりナビゲーション
装置に必要なすべてのデータが記憶されている。
【0035】自動車側の演算装置となる中央処理装置3
5は、種々の演算処理を実行するCPU36を中心とし
て以下の構成を備えている。重要な情報(例えば経路探
索や経路案内を実行するプログラムや条件設定を行うデ
ータ、各種パラメータのデータなど)を不揮発的に記憶
するための書き換え可能なROM(書き換え可能な不揮
発性記憶手段)であるフラッシュメモリ37を備えてい
る。また、フラッシュメモリ37のプログラムチェッ
ク、更新処理を行うためのプログラム、さらには、フラ
ッシュメモリ37及びRAM38のデータチェックを行
いこれらに記憶された情報を相互に書き換え可能に制御
するためのプログラムを格納した不揮発性記憶手段であ
るROM39を備えている。更に、運転者の操作により
任意の地点の情報を登録するメモリ地点や、学習機能に
より蓄積される頻度情報や、各種検出手段の誤差修正情
報などの個人別に記憶される情報を、一時的(揮発的)
に格納するとともに、電源がOFFされても格納した情
報を保持することができる読み書き自在な揮発性記憶手
段であるRAM38を備えている。
【0036】更に、ディスプレイ25への画面表示に使
用する画像データが記憶された画像メモリ40と、CP
U36からの表示出力制御信号に基づいて画像メモリ4
0から画像データを取り出し、画像処理を施してディス
プレイ25に出力する画像プロセッサ41と、CPU3
6からの音声出力制御信号に基づいて情報記憶装置31
から読み出した音声や、フレーズや、1つにまとまった
文章や、音等を合成してアナログ信号に変換してスピー
カ42に出力する音声プロセッサ43と、通信による入
出力データのやり取りを行う通信インタフェース44
と、現在位置検出装置26のセンサ信号を取り込むため
のセンサ入力インタフェース45と、内部ダイアグ情報
に日付や時間を記入するための時計46とを備えてい
る。
【0037】この中央処理装置35において、現在位置
検出装置26の各センサにより取得されたデータを入力
インタフェース45より取り込むと、そのデータに基づ
きCPU36は、一定時間毎に現在位置座標を算出し、
一時的にRAM38に書き込む。この現在位置座標は、
各種データの検出誤差を考慮してマップマッチング処理
を行ったものである。また、各種センサによる出力値
は、常に補正が行われる。ここで、経路案内は運転者が
画面表示、音声出力のいずれでも選択できるように構成
されている。
【0038】なお、ナビゲーション用のプログラム及び
データは、自動車電話12を介して外部から読み込むよ
うなシステムとしている。このように自動車電話12を
介して必要なナビゲーション用のプログラム及びデータ
を外部から読み込むようにすることにより、必要なプロ
グラムや最新のデータを適宜更新して格納できるように
することができる。
【0039】GPS受信装置10は、地球周回軌道上に
ある人工衛星6から送信される信号を受信する図示せぬ
GPSアンテナと、GPSアンテナににより受信した信
号を増幅する増幅器と、増幅された信号に基づいて車両
の走行位置,走行方向および車速を演算すると共にこの
情報を通信インターフェース44に出力する。
【0040】タッチパネル式のディスプレイ25には、
目的地や走行経路を設定するための各種情報を入力する
入力部が設けられており、運転者は、この入力部からデ
ィスプレイ25に表示された地図を参照して目的地や経
由地等を入力すると共にその走行経路を入力することが
できる。なお、運転者が目的地や経由地を入力すると、
画像プロセッサ41は現在位置から目的地や経由地まで
の最短経路や高速道路を使用する場合の経路等を選択的
に検索してディスプレイ25に表示するから、運転者
は、表示された経路を参照してその変更を指示すること
により走行経路が設定できるようになっている。
【0041】画像プロセッサ41は、情報記憶装置31
のデータ31bから送られる地図情報に基づいてディス
プレイ25に地図を表示すると共に、GPS受信装置1
0から得られる車両の走行位置とデータ31bから得ら
れる地図情報とを照合し、さらにそれらの誤差を排除し
た上で、ディスプレイ25上に車両の走行位置を表示す
る。なお、建物、植木、山岳等によりブロッキングされ
て人工衛星6からのGPS信号が受信できないときで
も、車両の走行位置等を正確に表示するために、絶対方
位センサ27や相対方位センサ28を備える。即ち、人
工衛星6からのGPS信号が受信できないときには、画
像プロセッサ41は、これらのセンサ27、28から出
力される信号と、距離センサ29からの走行距離等のパ
ラメータとに基づいて車両の走行位置や走行方向等を求
めるのである。
【0042】また、画像プロセッサ41は、CPU36
の入力処理回路および出力処理回路と信号ラインによっ
て接続されており、CPU36の要求に応じて車両の走
行位置や走行方向等の走行データや走行経路の各位置の
標高(高度)や走行経路の各位置の道路の勾配等の走行
経路データを出力する。
【0043】次に、動作について説明する。ディスプレ
イ25に設けられたジョグダイヤル50等の入力部を用
いて、運転者によって目的地が入力されると共に(図5
のステップS51)、走行経路が設定される(ステップ
S52)のを待って、自動車電話12を介して走行中自
動車情報13を逐次基地局8に送信し始め(ステップS
53)、本発明のシステムが作動し始める。
【0044】基地局側の演算装置14は道路の地図情報
を持ったデータベースとも接続されているので、複数の
自動車2.3.4.5の無線通信機を介して入手した各
自動車のGPS位置情報と、それらの自動車の無線通信
機又は車両を特定する車両特定信号(ID信号)とを含
む走行中自動車情報13を受信用記憶装置に格納して走
行位置と走行速度を把握する(スッテプS54)。
【0045】そして、前記演算装置14は、複数の自動
車からのGPS位置情報と、その自動車の車両特定信号
とから、どの後続自動車に対してどれが、特定の、つま
り、後続自動車の運転に影響する、先行自動車であるか
の先行後続関係を特定する演算を行ない(ステップS5
5)、先行自動車データ等を作り上げる(ステップS5
6)。なお、このステップS56については、図9で後
述される。そして作られた特定の先行自動車に関する情
報は、制御信号として、関係する後続自動車に送信され
る前に、演算装置の送信用記憶装置のメモリ内に、各後
続自動車毎の制御信号データとして、メモリアドレスを
分けて格納される。この制御信号データ内の先行自動車
データには、速度制御や車間距離制御等の対象となる特
定の先行自動車が存在する場合に、その特定の先行自動
車の位置と走行速度等の情報が記録され、逐次的に更新
される。
【0046】なお、特定の先行自動車データには3つの
種別が有る。まず、図1において自動車2.4.5が、
このシステムで動いており、自動車3がシステムの適用
を受けない一般自動車の場合、後続自動車2の位置から
見て、演算装置が認識した800メートル以内(約1分
くらいで通過)に存在する最も後続自動車に近い自動車
4が有るとき、これは、連係先行自動車として定義さ
れ、この連係先行自動車の位置と走行速度等の情報が連
係先行自動車データとして記録され更新されている。
【0047】また、後続自動車の位置から見て、基地局
側の演算装置14が認識した150メートル以内に存在
する最も後続自動車に近い自動車がある場合、これは、
近接先行自動車として定義され、この近接先行自動車の
位置と走行速度等の情報が近接先行自動車データとして
記録され更新されている。図1の場合は自動車4が連係
先行自動車であり、かつ、近接先行自動車である。この
ような場合は、後続自動車2に対しては近接先行自動車
として自動車4が登録され連係先行自動車と、後述する
直前先行自動車は登録されない。
【0048】次に、図1において、自動車3が一般自動
車でなく、このシステムの適用を受けるために、GPS
位置情報を走行中自動車情報として発信している場合を
想定して説明する。後続自動車2の位置から見て、基地
局側の演算装置14が認識した150メートル以内に存
在する最も後続自動車2に近い先行自動車3があり、か
つ、この演算装置14が認識した先行自動車3が、後続
自動車2に装備された図2のレーザーレーダーや超音波
を利用した車間距離測定装置15が測定した実測車間距
離位置に存在する先行自動車と実質一致するものである
と、前記基地局側の演算装置14が、走行中自動車情報
13の中に含まれる車間距離測定装置15からの車間距
離データで判断した場合は、この先行自動車3は直前先
行自動車として演算装置14で定義され、この直前先行
自動車3の位置と走行速度等の情報が直前先行自動車デ
ータとして、基地局側の演算装置14に記録され、逐次
的に更新されている。図6に、今後、制御信号として選
択的に送信される基地局側の演算装置14の送信用記憶
装置に格納される制御信号データを図示する。同様にし
て、自動車3.4.5に対しても、このようなデータが
作られる。
【0049】このように、特定の先行自動車には、連係
先行自動車と、GPS位置情報のみから判断した近接先
行自動車と、GPS位置情報と車間距離測定装置15か
らの情報との両方から判断した直前先行自動車とがあ
り、夫々に対応してデータが存在する。また、これら先
行自動車データ以外にも、その他のデータとして、渋滞
データが記録され、この渋滞データには、800メート
ル以内までの先行自動車の渋滞情報が蓄積される。ま
た、極端なアップダウンのある道路や曲がり角など後続
自動車から目視できない場所に前記直前先行自動車が存
在するか否かも判断され、存在する場合には、目視不可
データが演算装置14内で作られ、制御信号の中にフォ
ーマットされて基地局側の演算装置14から後続自動車
に送信される様に、その他のデータとして記録されてい
る。そして、これらのデータは、制御信号として基地局
から後続自動車に送信される(図5のステップS5
7)。
【0050】つまり、制御信号の中には、目視不可デー
タ、渋滞データ、直前先行自動車データ、近接先行自動
車データ、連係先行自動車データの何れかが含まれてい
る。そして、直前先行自動車データと近接自動車データ
との両方が存在するときは、直前先行自動車データの方
が優先的に制御に利用される。そして、制御信号を自動
車電話12のパケット通信で受信した後続自動車2にお
いて、連係速度制御や車間距離制御(車間距離測定装置
を後続自動車が搭載している場合に限られる)を選択し
ている時に、制御信号に基づいて後続自動車の速度制御
や速度指示制御が行なわれる。
【0051】まず、後続自動車から800メートル以内
の位置での渋滞で、今後、後続自動車が、その渋滞位置
で停止または徐行運転しなければならない場合の道路状
況報知制御について説明する。この場合は、渋滞データ
が制御信号の中に含まれているので、図4のように制御
信号9を自動車電話12で受信し、これを通信インタフ
ェース44を介してCPU36に取り込み、前方の渋滞
データに関する先行自動車の位置を演算し、ディスプレ
イ25上に渋滞地点として表示し、音声プロセッサ43
を介してスピーカ42から音声で「前方、何メートルに
渋滞発生」を告知し、これにより、後続自動車前方の道
路(交通)状況を報知する。このようにして、自動車電
話12を介して、前記走行中の自動車に、定期的に演算
装置14の出力である制御信号9に基づいた通報を行な
っている。
【0052】従って、後続自動車側では前方のどのくら
いの位置に渋滞が有るか知ることができる。また、この
制御信号9を受けたCPU36は速度センサ29aから
の情報により自車の走行速度も把握している。従って、
後続自動車は、このままの走行速度で渋滞地点に進入す
るのでなく、事前に減速していくように、速度制御プロ
グラムを構築し、該速度制御プログラムに基づいた目標
走行速度を逐次的に通信インターフェース60から速度
制御装置61に出力することにより、急ブレーキを避け
ることができる。
【0053】次に、後続自動車が連係先行自動車データ
を送信された場合について説明する。これは、後続自動
車から150メートルを越え800メートル先以内に、
GPS位置情報を基地局側の演算装置14に送っている
先行自動車が有ることを示している。勿論、この800
メートル以内に、本発明システムに関係の無い一般自動
車が存在している場合が実際に存在し、基地局側の演算
装置14はこれを検知し得ない。
【0054】そして、連係先行自動車のGPS位置情報
から割り出した速度情報が連係先行自動車データの中に
有るので、制御信号9を受信したCPU36は、その連
係先行自動車の速度に追従した連係速度制御を行なうよ
うに目標走行速度を演算し、通信インターフェース60
から速度制御装置61に目標走行速度信号を出力する。
これにより、連係先行自動車が加速されれば、後続自動
車のアクセルペダルまたはスロットルバルブなどのアク
セル系62がアクチュエータによって、アクセル開度を
開くように速度制御装置61によって制御されて、後続
自動車が加速される。一方、連係先行自動車が減速され
れば後続自動車のアクセル系62も減速するように制御
される。
【0055】なお、本発明においてアクセル系またはブ
レーキ系の自動制御とは、直接アクセルペダルやブレー
キペダルを駆動する必要の無いことは勿論であり、アク
セルペダルを動かさないで、スロットルバルブの開度だ
けを変えても良い。同様に、ブレーキペダルを動かさな
いで、ブレーキの油圧系を駆動させる等して、実質的に
制動をかけても良い。
【0056】また、連係先行自動車に急減速が有った場
合には、それを制御信号9で知ったCPU36は通信イ
ンタフェース60を介して速度制御装置61に入力する
目標走行速度を急に低下させるので、現在の走行速度と
の偏差が所定量以上の時は後続自動車のブレーキ系63
がアクチュエータで自動制御され、後続自動車も減速す
る。
【0057】これにより、後続自動車は、連係先行自動
車の流れに乗るようになる。よって、後続自動車の運転
者の目視によって、連係先行自動車との車間距離が縮ま
ったり、広がったことを認識してからアクセルやブレー
キを操作する場合に比べ、時間的遅れが少ないので、適
切な車間距離が維持されやすい。
【0058】また、連係先行自動車データの中に、連係
先行自動車が走行する道路位置と車速情報が含まれてい
るので、後続自動車のCPU36は、連係先行自動車が
高速道路に入ったり、高速走行できる状況に入ったにこ
とを検知できるので、この検知情報を自動車部品制御装
置64に通信インターフェース60を介して送信し、こ
れによって信号Z7を介して、道路の適当な位置で、前
記後続自動車に搭載された自動車部品となるタイヤ圧力
制御機器65(図7)によってタイヤの空気圧力を高め
に設定して高速走行に適合させたり、後続自動車のシー
ト制御装置66の姿勢を寝かせ気味に倒して、高速走行
に備えるなどの制御機器の自動制御を行なうことも出来
る。
【0059】また、複数の走行中自動車情報の中に図3
に示すように、自動車部品制御装置からの操作情報およ
びセンサ情報として、先行自動車の位置や速度の情報だ
けでなく、先行自動車に関する運転者による操作情報
と、先行自動車のセンサの検出情報と、先行自動車に関
する自動車内装置の作動情報との何れかが含まれてい
る。そして、自動車部品制御装置からの操作情報の1つ
に、図7に示すように先行自動車のパワーステアリング
装置のステアリング回転センサ67からのステアリング
回動操作情報がある。また、操作情報の中に、ワイパ制
御装置68からの操作情報、前照灯などのライト制御装
置69からの操作情報、警報器70の操作情報、急ブレ
ーキ検出装置71からの操作情報の何れかが含まれる。
【0060】これにより、先行自動車のステアリングの
回動操作情報からは、例えば、急カーブの存在を示す急
カーブ情報を先行自動車の自動車部品制御装置64、通
信インターフェース60、CPU36、および、自動車
電話12を介して走行中自動車情報13として基地局の
演算装置14に送信出来る。そして、この急カーブ情報
を受け取った基地局側の演算装置14は、関係する後続
自動車の制御信号データの中に急カーブ情報を図6のよ
うに入れる。
【0061】この時、後続自動車の、受信された制御信
号の中に目視不可データも入っているとCPU36が判
断した時は、この後続自動車に関係する直前先行自動車
が、カーブや急勾配等で自車から見て目視不可能な道路
を走行中であり、かつ、急カーブに対応したステアリン
グ操作を行なったと判明するので、後続自動車内のCP
U36は音声プロセッサ43とスピーカ42とを介して
「前方急旋回」を音声で報知する様にしている。
【0062】また、図7のワイパ制御装置68の操作情
報を走行中自動車情報13の中に含ませることにより、
雨水の発生を通報出来るので、局地的な天候を800メ
ートル先くらいまで基地局側の演算装置14内で把握で
きる。また、ライト制御装置69の操作情報を走行中自
動車情報13の中で受け取った基地局側の演算装置14
は、図6のように制御信号データの中にライト点灯情報
を入れることにより後続自動車にトンネルの入り口等の
予報を行なう事も出来る。
【0063】更に、警報器70の操作情報を走行中自動
車情報13の中で受け取った基地局側の演算装置14
は、制御信号の中に警報器作動情報を入れることにより
後続自動車のディスプレイに「先行車、警報器作動」等
の音声アナウンスや表示を出し、後続自動車にも注意を
喚起させる事が出来る。
【0064】次に、走行中自動車情報13の中に、各種
自動車センサの検出情報が含まれており、該自動車内セ
ンサの検出情報は、図7に示す先行自動車の浸水検出セ
ンサ72、横風検出センサ73、タイヤのバースト検出
センサ74、衝突検出センサ75、車両の回転に伴うヨ
ーレイト検出センサ76のうち少なくとも何れかからな
る。
【0065】このうち、先行自動車の浸水検出センサ7
2は、車両が走行できなくなる限界程度の浸水を検知す
るもので車室内又はエンジンルーム内に置かれた液面計
からなる。この浸水検出センサ72からは、道路冠水等
による浸水予報が可能となり、基地局側で大雨時などに
浸水個所の地図データを集積することが出来、後続自動
車に浸水個所を制御信号データ内の浸水情報で知らせて
経路の変更を促すことが出来る。
【0066】また、横風検出センサ73からはハンドル
操作を誤る原因になる強い横風を予報できるので、先行
自動車が強い横風に遭遇した時に、制御信号データ内に
横風情報を入れて後続自動車に警告を発してステアリン
グを強く握る等の対策を取らせることが出来る。
【0067】また、タイヤのバースト検出センサ74や
衝突検出センサ75によって、バースト情報や衝突情報
を制御信号データの中に入れて先行自動車の異常を知
り、後続自動車内で音声アナウンスを行なうことにより
安全運転が可能となる。また、車両の回転に伴うヨーレ
イト検出センサ76から急旋回情報を制御信号データの
中に入れて先行自動車の急旋回を、後続自動車が検知で
き、これを音声アナウンスしてスピードダウンなどの対
策が取れる。
【0068】また、走行中自動車情報13の中に、図3
の自動車内装置の作動情報が含まれており、該自動車内
装置の作動情報は、図7の先行自動車のアンチスキッド
制御装置80の作動情報、エンジン制御装置81の作動
情報、走行用モータ制御装置82の作動情報(電気自動
車の場合)、機器の故障診断装置83の作動情報、計器
盤内の警告表示装置84の作動情報、緊急通報装置85
の作動情報の何れかからなる。
【0069】そして、先行自動車のアンチスキッド制御
装置80の作動情報を走行中自動車情報13の中で受け
取った基地局側の演算装置14は、制御信号データの中
に路面凍結情報を入れることにより、後続自動車に路面
の凍結などの音声アナウンスを発することが出来、後続
自動車に事前警告することが可能になる。
【0070】また、エンジン制御装置81またはバッテ
リで走行する先行電気自動車の走行用モータ制御装置8
2からは、エンジン停止等による緊急停止情報が得られ
るので、この情報を走行中自動車情報13の中に入れて
基地局側の演算装置14に入力すると、基地局側の演算
装置14は、前記緊急停止情報を発した先行自動車のG
PS位置情報から、走行位置、つまり、停止位置を確認
して、制御信号データの中に緊急停止情報を格納し、つ
いで制御信号9として無線で後続自動車に送信する。そ
して、この制御信号を受け取った後続自動車では、先行
自動車状況報知制御が行なわれ、道路途中での停止を含
む特定の先行自動車の状況「何メート先に緊急停止車有
り」を報知する。
【0071】更に、機器の故障診断(ダイアグノーシ
ス)装置83の作動情報からは後続自動車に影響する様
々な故障の有無を知ることができ、例えば、フラッシャ
ーランプの断線、ブレーキランプの故障などで正確な方
向指示や制動警告ができていない時には、この故障情報
を走行中自動車情報13の中で受け取った基地局側の演
算装置14は、制御信号データの中に方向指示器異常情
報およびブレーキランプ異常情報を入れることにより後
続自動車に「先行車、方向指示、異常発生」のように音
声アナウンスで知らせることができる。
【0072】また、計器盤内の警告表示装置84の作動
情報からは先行自動車のエンジン加熱、油圧低下などを
知ることができ、走行中自動車情報13の中で、これら
の情報を受け取った基地局側の演算装置14は、制御信
号データの中にエンジン不調情報を入れることにより後
続自動車に知らせることが出来、先行自動車が低速度運
転を続けていても、後続自動車運転者の感情を害するこ
とが無い。
【0073】更に、緊急通報装置85は、自動車電話あ
るいは専用電話を介して基地局8に緊急通報装置85の
作動情報となる緊急異常情報を走行中自動車情報13内
に入れて送信するものであり、ガスバッグの作動に連動
して自動的に、あるいは、スイッチの操作で意図的に、
緊急異常情報を送信でき、基地局側のオペレータと会話
することも可能である。また、選択スイッチを押すこと
により、事故の種類、例えば、衝突、病気、犯罪の種別
をスイッチ操作一つで基地局側の演算装置14に伝える
ことも可能である。
【0074】そして、この緊急異常情報を走行中自動車
情報13の中で受け取った基地局側の演算装置14は自
動的に、あるいは、オペレータによって意図的に、制御
信号データの中に緊急通報情報を入れることにより後続
自動車に知らせることができる。例えば、緊急通報装置
85で病人の発生、事故の発生、犯罪の発生を知った基
地局側の制御装置14は、通告された緊急異常情報の内
容に応じて、関係する後続自動車に送信する制御信号の
緊急通報情報内に、基地局側の演算装置14が指定した
音声メッセージを入れて、この音声メッセージを自動車
電話12を介して受け取った後続自動車の中央処理装置
内CPU36の信号で音声プロセッサ43とスピーカ4
2とを介して、「前方、何メートル停止車に病人(犯
罪、事故)発生、ナンバーは×の×××」の様に報知で
きる。
【0075】この車両のナンバープレートの番号は、緊
急異常情報を発生した先行自動車の車両特定信号から割
り出すことが出来る。これにより、専門的な救援自動車
が駆けつける前に、800メートル以内の後続自動車に
乗っている救援能力の有る人によって、救援される可能
性が高まる。
【0076】次に、後続自動車に近接先行自動車データ
が送信された場合について説明する。これは、特定の後
続自動車前方150メートル以内の近くに近接先行自動
車が有ることを示しており、この近接先行自動車の加速
減速は直接的に後続自動車に影響する。従って、単に速
度を追従させ流れに乗らせるだけでなく、先行自動車と
後続自動車の互いの位置の間の距離を、後続自動車に搭
載された自動車側の演算装置となるナビゲーションシス
テムのCPU36中で演算し、この演算された車間距離
(GPS位置情報に基づいて測定されているので、GP
S車間距離と言う)が一定に維持されるように、後続自
動車の通信インターフェース60(図4)、速度制御装
置61を介して、アクチュエータでブレーキ系63やア
クセル系62が駆動される。
【0077】あるいは、基地局側の演算装置14内でG
PS車間距離を演算し、この演算されたGPS車間距離
を制御信号データに入れて後続自動車の自動車電話12
に送信し、この制御信号を受信した後続自動車のCPU
36、通信インターフェース60、および、速度制御装
置61を介して、後続自動車のアクチュエータでブレー
キ系63やアクセル系62が駆動され、GPS車間距離
が一定に維持されるように制御される。
【0078】何れの場合も、自動車内または基地局側の
演算装置にて、近接先行自動車と前記後続車両との間の
GPS車間距離が所定距離以下に減少したと判断された
場合に、前記後続自動車に自動的にブレーキをかける。
あるいは、前記後続自動車のブレーキ操作の操作量を増
加させるべく、前記後続自動車の運転者に指示を表示ま
たは告知する。このように表示または告知する場合は、
CPU36、音声プロセッサ43、および、スピーカ4
2を介して、後続自動車内に音声アナウンス「減速して
ください」等がなされる。
【0079】また、自動車内または基地局側の演算装置
にて、前記近接先行自動車と前記後続車両との間のGP
S車間距離が所定距離以上に増加した場合に、前記後続
自動車に自動的にアクセル操作量を増加させるか、ある
いは、前記後続自動車のアクセル操作の操作量を増加さ
せるべく前記後続自動車の運転者に指示を表示または告
知する。
【0080】なお、近接先行自動車データが送信されて
来た時は、それを受信した後続自動車から見て、前方1
50メートルの間に、GPS位置情報を基地局に送信し
ない普通の自動車が潜伏していたり、割り込んでくるこ
とが有るが、このような緊急時には、後続自動車の運転
者は、自らの意志でアクセルやブレーキを踏みこむ。こ
の場合は、このマニュアル操作が優先され、所定時間、
速度制御装置61による自動制御は解除されるので問題
はない。
【0081】また、自動制御の解除はステアリングから
運転者が手を放したことをステアリング周りのタッチス
イッチで検出している間も行なわれる。更に、近接先行
自動車のブレーキ操作に敏感に後続自動車が反応するよ
うに、近接先行自動車の急ブレーキ操作情報が制御信号
データの中に盛りこまれ、これに基づいて、近接先行自
動車が急ブレーキをかけた時に連動して後続自動車にも
ブレーキがかかるようにしている。
【0082】具体的には、近接先行自動車がブレーキを
急激に踏んだ場合を、近接先行自動車のブレーキペダル
の変位量を検出するブレーキセンサ63a(図4)の信
号の微分値で検出するか、速度センサ29aの出力値が
急に低下したことにより検出する急ブレーキ検出装置7
1(図7)を備えている。
【0083】そして、近接先行自動車が走行中自動車情
報のセンサ情報の中に、この急ブレーキ操作情報を入
れ、これを入力された基地局側の演算装置14が後続自
動車の制御信号データの中に、急ブレーキ操作情報を入
れるので、この制御信号を後続自動車が受信して、後続
自動車の速度制御装置61にてブレーキ系63の自動的
制動が行なわれる。
【0084】次に、後続自動車にレーザーレーダー等か
らなる車間距離測定装置(図2の15)が搭載され、周
知の車間距離制御が、この車間距離測定装置15が測定
した実測車間距離に基づいて行なわれている場合につい
て説明する。この場合、制御信号の中に、直前先行自動
車データが送られてくることがある。つまり、後続自動
車に車間距離測定装置15が装備されて、実測車間距離
制御が実行されている時に、実測された車間距離と、G
PS車間距離とが一致する車間位置に存在する先行自動
車の情報が、基地局8からの制御信号の中に直前先行自
動車データとして含まれている場合がある。
【0085】この場合は、制御レスポンスの敏感な車間
距離測定装置15が測定した実測車間距離に基づいた車
間距離制御が、GPS車間距離による車間距離制御より
も優先されるが、実測車間距離を後続自動車が把握する
と共に、基地局8から送信されてきている制御信号内の
GPS車間距離も把握しているので、実測車間距離が信
用できない状況下においては、GPS車間距離に基づい
て車間距離制御を行なう。この信用できない状況下と
は、制御信号の中に目視不可データが含まれている場合
である。これはカーブや坂道によって、直前先行自動車
の存在が直線的な目視またはレーダー計測では認識でき
ない道路エリヤで発せられたものである。
【0086】また、直前先行自動車のステアリング回動
センサ67からの信号を自動車部品制御装置64、通信
インターフェース60を介して入力されるCPU36
は、例えば、急カーブの存在を示す急カーブ情報を通信
インターフェース44、自動車電話12を介して走行中
自動車情報13として基地局の演算装置14に送信出来
る。そして、この急カーブ情報を受け取った基地局側の
演算装置14は、関係する後続自動車の制御信号データ
の中に急カーブ情報を入れる。この時、後続自動車が受
信した制御信号の中に目視不可データも同時に入ってい
ると、後続自動車のCPU36が判断した時は、この後
続自動車に関係する直前先行自動車が、カーブや急勾配
等で後続自動車から見て目視不可能な道路を走行中であ
り、かつ、急カーブに対応したステアリング操作を直前
先行自動車が行なったと後続自動車のCPU36で判明
するので、後続自動車内のCPU36は、音声プロセッ
サ43とスピーカ42とを介して「前方急旋回」を音声
で報知する様にしている。
【0087】また、直前先行自動車のワイパ制御装置6
8のワイパ操作情報からは、突発的な雨水の発生を後続
自動車に警告したり、直前先行自動車のライト制御装置
69のライトの操作情報からトンネルの入り口等の予報
を後続自動車に行なったり、直前先行自動車の警報器7
0の操作情報からは後続自動車内に「先行車、警報」等
の音声アナウンスを行なって、注意を喚起させることが
できる。
【0088】なお、この直前先行自動車においても、直
前先行自動車がブレーキを急激に踏んだ場合を、直前先
行自動車のブレーキペダルの変位量を検出するブレーキ
センサ63a(図4)の信号の微分値で検出するか、速
度センサ29aの出力値が急に低下したことにより検出
する急ブレーキ検出装置71(図7)を備えている。そ
して、直前先行自動車が走行中自動車情報13のセンサ
情報の中に、この急ブレーキ操作情報を入れ、これを入
力された基地局側の演算装置14が後続自動車の制御信
号の中に、急ブレーキ操作情報を入れるので、この制御
信号を後続自動車が受信して、後続自動車の速度制御装
置61にてブレーキ系63の自動的制動が行なわれる。
【0089】また、直前先行自動車の横風検出センサ7
3からはハンドル操作を誤る原因になる強い横風を予測
できるので、直前先行自動車が遭遇する天候による運転
への重要な情報を後続自動車が事前に入手でき、「横風
注意」等の音声アナウンスで後続自動車内に緊急警告で
きる。また、タイヤのバースト検出センサ74や衝突検
出センサ75によって、直前先行自動車の異常を知り安
全運転が可能となる。
【0090】更に、直前先行自動車のアンチスキッド制
御装置80は路面の摩擦係数を検出しているので、この
装置の作動情報からは、路面の凍結などの情報が得られ
る。よって凍結が発生していることを走行中自動車情報
13によって知った基地局側の演算装置14は、直前先
行自動車内のアンチスキッド制御装置80からの作動情
報による路面凍結情報を後続自動車に送信する制御信号
の中に入れることにより「スリップ注意」等の音声アナ
ウンスで後続自動車内に所定時間だけ警告できる。
【0091】また、エンジン制御装置の作動情報、また
は、バッテリで走行する先行自動車の走行用モータ制御
装置からは、エンジン停止等による緊急停止情報が得ら
れるので、この作動情報が走行中自動車情報として直前
先行自動車から基地局の演算装置14に入力される。そ
して、この演算装置14は、直前先行自動車の停止状況
を制御信号の緊急停止情報にて後続自動車内に「直前先
行車、故障停止」のように音声報知する。これにより、
先行自動車状況報知制御を音声警告で行ない、直前先行
自動車の後ろで、後続自動車が、分けが分からぬまま停
車してしまうのでなく、故障で停車している直前先行自
動車を、直ぐに迂回して走行出来る。
【0092】また、機器の故障診断装置83の作動情報
からは、後続自動車に影響する様々な直前先行自動車の
故障の有無を知ることができ、例えば、フラッシャーラ
ンプの断線、ブレーキランプの故障などで直前先行自動
車が正確な方向指示や制動警告ができていないことを後
続自動車が知ることができる。また、計器盤内の警告表
示装置84の作動情報からはエンジンオイルの不備やエ
ンジン加熱、および、ブレーキの故障を知ることがで
き、直前先行自動車が低速度運転を続けた場合でも、後
続自動車運転者の感情を害することが無いので安全運転
につながる。また、緊急通報装置85の作動情報から
は、病気や犯罪の発生、事故などの緊急異常情報を走行
中自動車情報13の中で受け取った基地局側の演算装置
14は、制御信号の中に緊急通報情報を入れることによ
り、直前先行自動車の病気や犯罪の発生、事故などの状
況を後続自動車に知らせることができる。
【0093】次に、GPS位置情報の基地局側の演算装
置14内での処理について説明する。この演算装置は、
コンピュータ本体、ディスプレイ、各自動車からの受信
データを記憶する受信用記憶装置、送信データを記憶す
る送信用記憶装置を持つものである。各自動車から走行
中自動車情報13(図3)として送られてきたGPS位
置情報、車両特定信号、車間距離データ、自動車部品制
御装置からの操作情報およびセンサ情報、自動車内装置
の作動情報、自動キャンセル情報を受信し、過渡的に記
憶される(図8のステップS81)。
【0094】そして、GPS位置情報は演算装置14内
のコンピュータ本体内にて緯度、経度、高度の情報に変
換され(ステップS82)、更に演算装置14に入力さ
れた地図データベース上の点として一台一台の自動車が
記録され、道路地図を表示した演算装置14のディスプ
レイ100(図3)の道路上に表示される(ステップS
83)。このディスプレイ100の各画素に対応して、
画像表示用メモリのアドレスが割り振られており、前記
各自動車位置に対応する画素と、この画素を中心とした
周囲の画素が黒い点としてマーキングされ、一台の自動
車に略相当する大きさの点として、道路マップのディス
プレイ100上に表示され、オペレータが観察できる。
【0095】また前記各自動車位置に対応する画素のメ
モリアドレスには、その位置の一台の自動車に関連する
受信用記憶装置の対応アドレス領域が記憶され、この対
応アドレス領域に、その自動車に関するGPS位置情
報、車両特定信号、車間距離データ等の走行中自動車情
報13を記憶する(ステップS84)。この処理を繰り
返しすことで、上記点は、ディスプレイ100上を時々
刻々進行方向に移動し、単位時間当たりの移動量が、そ
の自動車の速度情報として算出され、算出されたGPS
速度情報は対応アドレス領域に記憶される(ステップS
85)。また対応アドレス領域には、ディスプレイ10
0に表示されているマップの番号と、後述する順位情報
等が書きこまれている。このうち、GPS速度情報はベ
クトルで示され、一定時間前の点の座標と現座標との推
移を角度Θと、その間の移動距離で示される。この角度
で、同じ道路の上り車線を走行する自動車か下り車線を
走行する自動車か区別しても良いし、各自動車の走行中
自動車情報13の中に含まれている図4の絶対方位セン
サ27、相対方位センサ28、距離センサ29のセンサ
情報から、前記自動車の進行方向の特定を行なっても良
い。
【0096】次に、各マップに表示された道路の進行方
向に沿って、順に画素の走査を行ない、前述の黒い点と
してマーキングされた自動車1台くらいが入る大きさの
画素群毎にサーチ範囲を移動させ、前記画素群のメモリ
アドレス内に対応アドレス領域が有るかどうかをサーチ
していく。対応アドレス領域を検出すると、検出された
対応アドレス領域に相当する自動車の順位情報を付加し
て記録していく。順位情報は、そのサーチで検出された
順に1.2.3.4のように順位を書き込んでいく。
【0097】これにより、後続の自動車から先行の自動
車に向けて順位が付与され、先行後続関係が特定される
(ステップS86)。このように、このシステムの適用
を受ける自動車道路を、所定の方向に沿って複数の区間
図となるマップでカバーし、各自動車の位置に関連する
メモリのアドレスに受信用記憶装置の対応アドレス領域
を関連付け、この対応アドレス領域に、順位情報と、マ
ップ番号と、GPS速度情報と、その自動車の走行中自
動車情報13となるGPS位置情報と車両特定信号等が
書きこまれている。
【0098】このように、自動車一台一台の位置に相当
するメモリアドレスに、その自動車から基地局側に送ら
れてくる情報を記憶する受信用記憶装置の対応アドレス
領域が対応づけられているが、この自動車の情報を制御
信号として特定の後続自動車に送信するための制御信号
データを記憶する送信用記憶装置の参照アドレス領域も
前記自動車一台一台の位置に相当するメモリアドレスに
対応づけられている。このようにして、各マップ毎に、
かつ、システムが適用される主要道路の毎に、進行方向
に沿って後続自動車側から先行自動車側に向って走行順
位と走行速度と各自動車の位置とが判明する。
【0099】次に、基地局側の演算装置14は、車の前
方の進行予想道路の地図情報を把握しておく必要があ
る。このために、予め、このシステムで運転する自動車
の運転者は、ナビゲーションシステムと自動車電話12
を介して基地局側の演算装置14と連絡を取り、行き先
を入力しておいても良いし、走行予定経路を入力してお
いても良い。これらが入力されていない時は、その自動
車の走行速度と進行方向から見て今後の進路を演算装置
14で予測する事になる。このような技術は既にナビゲ
ーションの分野で経路予測として知られている。
【0100】次に、図5の特定の先行自動車データ等を
作成し送信用記憶装置の参照アドレス領域に格納するス
テップS56について図3と図6と図9とを用いて更に
説明する。これらのデータ等は、後に取り出されて、特
定の後続自動車の自動車電話12に向けて基地局8から
の制御信号9として送信される制御信号データ(図6)
である。
【0101】この制御信号データを作るために、先ず、
このシステムの制御信号9の受信を希望している後続自
動車(図3の2)を特定する。そして、この特定後続自
動車の進路方向に沿って800メートル、150メート
ルに相当する範囲内の特定の先行自動車(連係先行自動
車または近接先行自動車または直前先行自動車)を特定
する。次に、この特定された特定先行自動車(図3の
4)の位置を示す画素のメモリアドレス110に記憶さ
れた送信用記憶装置の参照アドレス領域111と受信用
記憶装置の対応アドレス領域112とを特定する。(図
9のステップS91)。
【0102】そして、この受信用記憶装置内の対応アド
レス領域112に格納されている走行中自動車情報13
やGPS速度情報(図3)を読みこみ、前記特定後続自
動車(図3の2)の為の制御信号データ(図6)を演算
し、これを前記特定先行自動車に対応する参照アドレス
領域111に記憶する(ステップS92)。
【0103】また、交通監視カメラや交通監視速度セン
サが無い道路においても、上記のように、基地局側の演
算装置14で複数の自動車の位置を追跡することによ
り、先行自動車の位置とその走行速度とから、道路前方
の渋滞の情報を推定することができる。すなわち、複数
の自動車が信号前などで停止もしくはスロー走行してい
る時は、渋滞であると演算装置14が判定できるので、
その他のデータとなる渋滞データを作成し参照アドレス
領域111に記録する(ステップ93)。
【0104】更に、山道の道路の急カーブや急勾配など
で、ステップS91で特定した特定後続自動車から見て
直前先行自動車が目視出来ない可能性の有る道路エリヤ
(予め、このエリヤは道路データベースに設定されてい
る)に、特定後続自動車がまもなく入り、かつ、この特
定後続自動車にデータや情報を送る直前先行自動車が、
目視できないと演算装置14が判断される位置に存在す
る時には、演算装置14内で目視不可データを作成し
て、この特定先行自動車の参照アドレス領域111に記
憶する(ステップ94)。
【0105】また、上記先行自動車の図6に示した急カ
ーブ情報から急ブレーキ操作情報までの、その他のデー
タを作成し参照アドレス領域111に記憶する(ステッ
プ95)。このその他のデータは、例えば図3の4の先
行自動車の対応アドレス領域112に格納された走行中
自動車情報13等からデータを入手し演算されたもので
ある。こうして、前記その他のデータは、特定後続自動
車2の制御信号用として割り当てられた送信用記憶装置
の参照アドレス領域111に格納された後、逐次、制御
信号9として、前記後続自動車の自動車電話12に、基
地局側の演算装置14、基地局8内のサーバを介して送
信される。なお、特定後続自動車(図3の2)の位置を
示す画素のメモリアドレス113にも、この特定後続自
動車から基地局側に送られてきた情報を記憶する対応ア
ドレス領域114と、更に後続の自動車に向けて送る制
御信号データを格納する参照アドレス領域115が存在
することは勿論である。
【0106】このようにして、走行中の特定後続自動車
は、自動車内に搭載された自動車電話12のパケット通
信を用いて基地局側の演算装置14と連絡をとり、時々
刻々、ステップS93の渋滞データ等を取り込む。そし
て、これらのデータを考慮して自動車の目標走行速度プ
ログラム、つまり、現在の走行速度から渋滞地点までの
時間経過に伴う速度のスローダウン計画が自動車内のナ
ビゲーションシステムに付属したCPU36からなる演
算装置内で演算される。それにより、渋滞前の無駄な急
ブレーキ操作を無くして、走行できる。
【0107】そして、目標走行速度作成プログラムから
指示され、時々刻々変化する目標走行速度は、速度制御
装置61内でアクセルペダルの変位量に変換され、モー
タでアクセルペダルが踏みこまれ加速される。自動車内
の速度センサ29aの出力、あるいは距離センサ29の
出力から演算された実測走行速度は、速度制御装置61
にフィードバックされて、この実測走行速度が目標走行
速度に近づくように、アクセルペダルの変位量がフィー
ドバック制御される。なお、運転者がアクセルをモータ
の動きに反して意図的に踏みこんだ場合は、自動制御は
所定時間解除(キャンセル)され、運転者のマニュアル
操作が優先される。
【0108】この様な機構は既にオートクルーズ(定速
走行装置)で周知である。なお、自動制御が所定時間解
除(キャンセル)された場合には、その自動車から基地
局8に送信される走行中自動車情報13内に自動キャン
セル情報が付与される。また、レーザーレーダーなどに
よる車間制御装置15から衝突回避の為の減速指令が入
った時も、それが優先的に取り入れられて、減速がなさ
れるよう目標走行速度が修正される。この目標走行速度
の修正は自動車内コンピュータとなるCPU36で行な
われ、修正された目標走行速度になるようにアクセルの
変位量が速度制御装置61内のコンピュータで演算され
る。
【0109】なお、特定後続自動車のCPU36は、交
通監視装置の一例となるVICS(Vehicle I
nformation and Communicat
ion System:道路交通情報通信システム)の
コンピュータからのイベント情報(渋滞報告、区間通過
所要時間報告、交通障害報告、交通規制報告)をVIC
S受信装置30で受信している。よって、基地局から送
信された制御信号9に基づいて、目標走行速度を自動車
内で演算し終わっても、この交通監視装置の一例となる
VICSからの交通規制報告等を優先して、目標走行速
度を修正することもでき、このようにすれば、全体の交
通の流れを考慮した制御ができる。
【0110】次に、第2実施例について説明する。この
第2実施例は、図4の速度制御装置61の機能を無くし
たものであり、GPS位置情報の精度が好ましくない場
合や、走行中自動車情報を基地局側に送信する先行自動
車が少ない場合を考慮している。すなわち、GPS位置
情報の精度が良い場合は道路が複数車線である場合も、
一つ一つの車線を、一つの道路とみなして先行後続自動
車の特定が可能であるが、GPS位置精度が悪化した場
合は、走行車線の区別まで出来ず、隣の車線を走ってい
る先行自動車を近接先行自動車や直前先行自動車として
しまうことも考えられる。
【0111】この様な場合は、アクチュエータによるア
クセルやブレーキの駆動よりも、運転者に運転操作の指
示を音声アナウンスや画面文字表示で出す操作指示制御
を行い、流れに乗った速度での運転操作や、前方の道路
状況の把握による運転操作を可能とした方が適切と考え
られる。この後続自動車のアクセル系またはブレーキ系
による加速または減速の自動制御と、後続自動車のアク
セル系の操作またはブレーキ系の操作の操作量を増加ま
たは減少させるように指示を前記後続自動車の運転者に
表示または告知する操作指示制御との切り替えは、基地
局側の演算装置14によって自動的に、あるいは、後続
自動車内で運転者の選択操作により行なわれる。
【0112】また、このシステムの適用を受ける先行自
動車が少なく、一般の自動車が多い場合は、先行自動車
からの適切な制御信号によるメリットが無くなる。この
為、この実施例では、特定の後続自動車が先行自動車か
らの制御信号による速度制御などが出来ない場合でも、
特定の後続自動車自身から基地局側の演算装置14に送
信している走行中自動車情報の中に、その特定後続自動
車の運転者による操作情報と、その特定後続自動車の自
動車センサの検出情報とが入っていることを利用してい
る。
【0113】以下第1実施例と同様の部分は省略して説
明する。図1を援用すれば、走行中の複数の自動車2.
3.4.5が、少なくとも人工衛星6より取得した位置
情報と、自車を特定する車両特定信号とを含む走行中自
動車情報13を各自動車内の無線通信機となる自動車電
話12を介して基地局8に送信し、基地局側の演算装置
14の受信用記憶装置の各対応アドレス領域に複数の前
記走行中自動車情報を入力する。そして、演算装置14
にて複数の走行中自動車情報から複数の自動車の位置を
追跡し、各自動車間においてどの自動車が先行自動車で
あり、どの自動車が後続自動車であるのかの先行後続関
係を特定し、後続自動車に対して前記先行自動車のうち
特定の先行自動車に関する情報を含む制御信号データを
送信用記憶装置の参照アドレス領域から取り出して、基
地局から制御信号として無線送信して後続自動車の無線
通信機に受信させる。ここまでは第1実施例と同様であ
る。
【0114】図4を援用すれば、ナビゲーションシステ
ム11のディスプレイ25に設けられたジョグダイヤル
50等の入力部を用いて、運転者によって目的地が入力
されると共に、加速または減速の自動制御と、指示を表
示または告知する操作指示制御との制御選択画面におい
て(ステップS51)、操作指示制御が選択されると、
後続自動車の速度制御装置61によるアクセル系または
ブレーキ系による加速または減速のアクチュエータによ
る自動制御は行なわず、代わりに、後続自動車の運転操
作に関する操作指示制御を行なう。そして、走行経路が
設定される(ステップS52)のを待って、自動車電話
12を介して走行中自動車情報13を逐次的に基地局8
に送信し始め(ステップS53)、本発明のシステムが
作動し始める。
【0115】自動車電話12で受信した制御信号に基づ
き、特定後続自動車のCPU36は、音声プロセッサ4
3とスピーカ42とを用いて、特定後続自動車の運転操
作に関する操作指示制御を行なう。これは、ブレーキの
操作およびアクセルの操作を運転者に指示するものであ
り、制御信号9の内容をCPU36が信号処理し、後続
自動車を減速したい場合には、「減速してください」、
「アクセルを緩めてください」「ブレーキを踏んでくだ
さい」の様に音声案内を自動車内に行なう。または、C
PU36から画像プロセッサ41を介してディスプレイ
25に文字表示を出す。
【0116】なお、後続自動車前方の道路状況を報知す
る道路状況報知制御、および、後続自動車に搭載された
自動車部品の制御機器の自動制御、および、先行自動車
の状況を後続自動車に報知する先行自動車状況報知制御
等は、第1実施例と同様に行なわれる。また運転者が、
加速または減速の自動制御と、指示を表示または告知す
る操作指示制御との制御選択画面において(ステップS
51)、加速または減速の自動制御を選択して、その自
動制御を実行している場合において、その特定後続自動
車の運転者のマニュアル操作により、速度の自動制御を
解除(キャンセル)した場合には、図3のように、特定
後続自動車から基地局に送信する走行中自動車情報の中
に自動キャンセル情報が入っている。
【0117】このような解除は先にも述べたように、自
動速度制御中にアクセルやブレーキを運転者が所定量以
上踏みこむことでなされる。よって基地局側の演算装置
14が、道路交通事情や他車の割り込みの多発などによ
って、頻繁に、その自動車から自動キャンセル情報が送
られてきたり、GPS位置情報の精度が悪化したと判断
した場合には、制御信号の中に、図6のごとく制御切替
情報を所定時間入れる。この制御信号内の制御切替情報
を自動車電話12で受信したCPU36は、制御が切り
替わることを、運転者に向けてスピーカ42で音声アナ
ウンスさせた上で、速度制御装置61による制御を行な
わず、スピーカ42もしくはディスプレイ25を用いた
操作指示制御を行なう。
【0118】また、近接先行自動車や直前先行自動車な
どの特定の先行自動車が所定車速以下に急減速した場合
に、図7の急ブレーキ検出装置71が走行自動車情報1
3の中に急ブレーキの存在を示す情報をいれるので、先
行自動車のブレーキ操作に敏感に後続自動車が反応する
ように、先行自動車の急ブレーキ操作情報が制御信号の
中に盛りこまれ、この制御信号を演算したCPU36
は、音声プロセッサ43とスピーカ42とを用いて、先
行自動車が急ブレーキをかけた時に連動して、「急ブレ
ーキ」の音声アナウンスを、操作がなされるか所定時間
経過するまで、後続自動車内で繰り返す。
【0119】また、後続自動車内の演算装置となるCP
U36または基地局側の演算装置14にて、特定の先行
自動車と後続自動車との間のGPS車間距離が所定距離
以下に減少したと判断された場合に、特定後続自動車の
ブレーキ操作の操作量を増加させるべく、前述のように
音声アナウンスまたはディスプレイにて、後続自動車の
運転者に指示を表示または告知する。
【0120】更に、特定の先行自動車と後続自動車との
間の車間距離制御が、後続自動車に搭載された車間距離
制御装置15で行なわれている場合は、この車間距離制
御装置15の作動が優先され、車間距離制御装置15か
らの信号を受信する速度制御装置61の指示によるアク
チュエータ動作によってアクセル系62やブレーキ系6
3が自動操作され、車間距離制御装置15による車間距
離制御が行なわれるが、第1実施例に述べたように、制
御信号の中に、目視不可信号が入っている場合で、か
つ、後続自動車内の演算装置となるCPU36または前
記基地局側の前記演算装置14にて、前記特定の先行自
動車と前記後続自動車との間のGPS車間距離が所定距
離以下に減少したと判断された場合には、前記車間距離
制御装置15による車間距離制御よりもGPS車間距離
による車間距離制御の方を優先して、前記後続自動車の
アクセル操作の操作量を減少させるか、またはブレーキ
操作を促す音声アナウンスと表示、例えば、「減速して
ください」「急ブレーキ」などの告知を行なう。
【0121】また、連係先行自動車が高速道路などに入
った場合には、少なくとも、その連係先行自動車の走行
速度の情報に基づいて、特定後続自動車のタイヤ圧力制
御機器65によってタイヤ圧力を高めに設定するような
操作を音声または文字表示で指示しても良い。同様に、
後続自動車のシート制御装置66のシートの姿勢を倒す
ように指示を出しても良い。
【0122】また、図3に示したように、複数の走行中
自動車情報13の中に、自動車の運転者による操作情報
と、自動車センサの検出情報と、自動車内装置の作動情
報とのうち少なくとも何れかの情報が含まれている。具
体的には、自動車の運転者による操作情報は、先行自動
車のステアリング回転センサ67からのステアリングの
回動操作情報、および、急ブレーキ検出装置71からの
急ブレーキ操作情報からなり、基地局側の演算装置14
から見て、道路の状況に反して異常なステアリング操作
が行なわれたり、急ブレーキの回数が異常であった場合
には、基地局側の演算装置14が、そのステアリングを
操作した運転者の居眠り等であると判断し、その運転者
の自動車に自動車電話12と、CPU36と、音声プロ
セッサ43を介してスピーカ42でで警告を行ない、か
つ、付近のパトロールカーと連絡を取る。
【0123】また、自動車の浸水検出センサ72やタイ
ヤのバースト検出センサ74や衝突検出センサ75から
の異常信号が有った場合にも、救援に向うことが出来
る。更に、エンジン制御装置81の作動情報、走行用モ
ータ制御装置82の作動情報、機器の故障診断装置83
の作動情報、計器盤内の警告表示装置84の作動情報か
らも、必要な警告や救援を行なうことが出来る。
【0124】なお、上記各実施例の無線通信機は、自動
車電話を使用したが、自動車電話のパケット通信のみで
なく、ディジタル地上波放送受信装置を使って共通の情
報の中から後続自動車が、自分に関係する情報となる制
御信号だけを選択的に取得して制御する事も出来る。こ
の場合、下りの制御信号等の送信はディジタル地上波放
送を使うが、上りの走行中自動車情報13の送信は、自
動車電話又は車載された携帯電話のパケット通信を使用
することにより双方向通信を行なえば良い。
【0125】また、上記各実施例では、説明を簡単にす
るために、GPS位置情報のみから、基地局側の演算装
置14で各自動車の位置を把握したが、走行中自動車情
報の中のセンサ情報として、図4の絶対方位センサ2
7、相対方位センサ28、距離センサ29の情報をを送
信し、基地局の演算装置14において、これら絶対方位
センサ27等の出力で現在位置の推定を行なっても良
い。これにより、GPS位置情報を取得できないトンネ
ル内などにおいても位置を推定することが出来、この推
定位置によって制御することも出来る。
【0126】なお、上記各実施例においては、直前先行
自動車であると基地局側で認定するに当り、GPS位置
情報のみで特定すると、例えGPS車間距離が40メー
トルのように小さくても、この間に、GPS位置情報を
送信していない一般自動車が潜伏していることが考えら
れるが、基地局側でGPS位置情報から確認した先行自
動車の位置と、後続自動車の車間距離測定装置で確認し
た自動車の位置とが一致する自動車を直前先行自動車と
認定することで、正確に直前先行自動車を基地局側で識
別できる。
【0127】また、先行後続関係を特定するに当り、各
自動車の位置をディスプレイ上に表示し、その位置の画
素メモリを検索して、後続自動車と先行自動車との順位
を付与するようにしたから、基地局側で自動車の動きを
ディスプレイで確認しながら、画像メモリの検索と言う
高速処理によって自動車の位置を認識できる。この場
合、画像メモリの中に、対応アドレス領域が関連付けら
れているか否かで、自動車位置を特定する画素かどうか
を判断したが、自動車の位置を示す画素を中心として、
四角い2重の枠などのパターンで、自動車の位置を表示
し、このパターンを画像認識することで、自動車位置を
特定するようにしても良い。この様なパタ−ンによる画
像上の高速位置認識は、二次元コードの特許第2938
338等で公知である。
【0128】また、先行自動車を車間距離に応じてラン
ク分けし、遠い距離に在る連係先行自動車と、近い距離
に在る近接先行自動車とに分けて、先行自動車の情報が
何れのランクの先行自動車であるのかを後続自動車に知
らせているから、これらのランクに対応した制御が可能
である。例えば、150メートル以内の近い先行自動車
が急カーブ情報を発した時には後続自動車で、間近の急
カーブに対応できるよう「急カーブ注意」の音声アナウ
ンスのようにハンドル操作を確実にすると共に急減速を
促す制御が妥当であるが、500メートル先の先行自動
車からの情報の場合は、比較的緩やかな対応が可能であ
り、「先行車急カーブ」の文字表示だけにしても良い。
【0129】このように、先行自動車と後続自動車との
間の距離に対応して制御内容を変更することは、警報器
作動情報、横風情報、バースト情報、衝突情報、急旋回
情報、路面凍結情報、緊急停止情報、方向指示器異常情
報、ブレーキランプ異常情報、緊急通報情報、急ブレー
キ操作情報でも同様のことが言える。
【0130】また、予め基地局側の演算装置の道路マッ
プ上に、直線的な目による確認や直線的な電波やレーザ
ーや超音波で検出できないところの、本発明で言う目視
不可となる可能性のあるエリヤを特定し、後続自動車が
先行自動車を目で見たりレーダーで検出したり出来ない
場合に、基地局側から目視不可データを制御信号に入れ
て送信したから、これに対応した制御が可能である。
【0131】つまり、制御信号の中に、目視不可信号が
入っている場合で、かつ、後続自動車内の演算装置とな
るCPU36または前記基地局側の前記演算装置14に
て、前記特定の先行自動車と前記後続自動車との間のG
PS車間距離が所定距離以下に減少したと判断された場
合には、前記車間距離制御装置15による車間距離制御
よりもGPS車間距離による車間距離制御の方を優先し
て、前記後続自動車のアクセル操作の操作量を減少させ
るか、またはブレーキ操作を促す音声アナウンスと表
示、例えば、「減速してください」「急ブレーキ」など
の告知を行なう事が出来る。
【0132】また、情報を発した先行自動車のナンバー
プレート情報を後続自動車に報知して、先行自動車の情
報を伝えたから、後続自動車の運転者が事故で停車した
先行自動車を捜し易く、事故時の救援などを行ない易
い。この場合、基地局側の演算装置内に、車両特定信号
とナンバープレートとの対照データが記憶されており、
車両特定信号から、これに対応するナンバープレート情
報を検索する。
【0133】また、自動走行が解除されたことを、自動
キャンセル情報として基地局側の演算装置に走行中の自
動車から報告したから、基地局側で自動走行が適切か、
そうで無いか判断でき、適切でない時に、後続自動車に
対する基地局側からの制御内容を、アクセル系などを自
動制御する直接制御から、操作を運転者に指示する間接
制御に変更しているから、その時々の道路交通状況に合
わせた制御が可能となる。更に、自動車から基地局に送
信する走行中自動車情報および基地局から各自動車に送
信する制御信号の中に、夫々、送信時刻に関する情報を
入れれば、パケット通信での通信遅れがあっても、制御
し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態となる自動車位置情報によ
る自動車の制御方法を表す概略構成図である。
【図2】図1中の自動車の装備を示す概略構成図であ
る。
【図3】図2の自動車が無線通信機で基地局に送信して
きた走行中自動車情報等の内容を示す概略構成図であ
る。
【図4】図2の自動車内の装備を示すブロック構成図で
ある。
【図5】図2の自動車内の演算装置と基地局側の演算装
置とで行なわれる制御信号送信までのフローチャート図
である。
【図6】図1の基地局から送信される制御信号データの
内容を示す図である。
【図7】図4の自動車部品制御装置に電気的に接続され
た自動車のセンサおよび自動車内装置の概略接続図であ
る。
【図8】図1の基地局側の演算装置内で処理される複数
自動車の位置および速度の特定と各自動車の先行後続関
係を特定するまでのフローチャート図である。
【図9】図5の特定先行自動車データ等を作成し格納す
るステップを更に詳しくしたフローチャート図である。
【符号の説明】
2.3.4.5 走行中の複数の自動車 6 人工衛星 13 走行中自動車情報 12 無線通信機 8 基地局 14 基地局側の演算装置 9 制御信号 62.63 アクセル系またはブレーキ系 25.42 運転者に指示を表示または告知するディス
プレイとスピーカ 65 タイヤ圧力制御機器 66 シート制御装置 67 ステアリング回転センサ 70 警報器 71 急ブレーキ検出装置 72 浸水検出センサ 73 横風検出センサ 74 バースト検出センサ 75 衝突検出センサ 76 ヨーレイト検出センサ 80 アンチスキッド制御装置 81 エンジン制御装置 82 走行用モータ制御装置 83 故障診断装置 84 警告表示装置 85 緊急通報装置 15 車間距離測定(制御)装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60R 21/00 626 B60R 21/00 626E 627 627 628 628B 628C 628F F02D 29/02 301 F02D 29/02 301D G01C 21/00 G01C 21/00 A G08G 1/16 G08G 1/16 E Fターム(参考) 2F029 AA02 AB01 AB07 AB13 AC02 AC08 AC09 AC13 AC16 AC18 3G093 BA00 BA23 BA24 BA26 CB06 CB07 CB14 DB00 DB05 DB16 DB18 EA09 EB04 EC01 FA10 FA11 FB01 FB02 5H180 AA01 BB05 CC03 CC11 CC12 CC14 FF04 FF05 FF13 LL01 LL04 LL06 LL09

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行中の複数の自動車が、少なくとも人
    工衛星より取得した位置情報と、自車を特定する車両特
    定信号とを含む走行中自動車情報を各自動車内の無線通
    信機を介して基地局に送信し、前記基地局側の演算装置
    に複数の前記走行中自動車情報を入力し、 前記演算装置にて前記複数の走行中自動車情報から前記
    複数の自動車の中の各自動車の位置を追跡し、前記各自
    動車間においてどの自動車が先行自動車であり、どの自
    動車が後続自動車であるのかの先行後続関係を特定し、
    前記後続自動車に対して前記先行自動車のうち特定の先
    行自動車に関する情報を含む制御信号を前記基地局から
    発信して前記後続自動車の無線通信機を介して受信さ
    せ、 前記後続自動車内で、受信した前記制御信号に基づき、
    前記後続自動車のアクセル系またはブレーキ系による加
    速または減速の自動制御、および、前記後続自動車の運
    転操作に関する操作指示制御、および、前記後続自動車
    前方の道路状況を報知する道路状況報知制御、および、
    前記後続自動車に搭載された自動車部品の制御機器の自
    動制御、および、前記先行自動車の状況を後続自動車に
    報知する先行自動車状況報知制御のうち少なくとも何れ
    かの制御を実行することを特徴とする自動車位置情報に
    よる自動車の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記後続自動車のアクセル系またはブレ
    ーキ系による加速または減速の自動制御は、少なくと
    も、前記特定の先行自動車が所定車速以下に急減速した
    場合に、前記制御信号を前記後続自動車が受信して、前
    記後続自動車にて自動的に制動をかけるものからなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の自動車位置情報による
    自動車の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記後続自動車の運転操作に関する操作
    指示制御は、前記後続自動車のアクセル系の操作または
    ブレーキ系の操作の操作量を増加または減少させるよう
    に指示を前記後続自動車の運転者に表示または告知する
    ことからなる請求項1に記載の自動車位置情報による自
    動車の制御方法。
  4. 【請求項4】 前記後続自動車のアクセル系またはブレ
    ーキ系による加速または減速の自動制御、あるいは、前
    記後続自動車の運転操作に関する操作指示制御は、前記
    後続自動車内の演算装置または前記基地局側の前記演算
    装置にて前記特定の先行自動車と前記後続車両との間の
    距離が所定距離以下に減少したと判断された場合に、前
    記後続自動車に自動的にブレーキをかけるか、あるい
    は、前記後続自動車のブレーキ操作の操作量を増加させ
    るように前記後続自動車の運転者に指示を表示または告
    知するものからなることを特徴とする請求項1に記載の
    自動車位置情報による自動車の制御方法。
  5. 【請求項5】 前記後続自動車のアクセル系またはブレ
    ーキ系による加速または減速の自動制御、あるいは、前
    記後続自動車の運転操作に関する操作指示制御は、前記
    後続自動車内の演算装置または前記基地局側の前記演算
    装置にて、前記特定の先行自動車と前記後続車両との間
    の距離が所定距離以上に増加した場合に、前記後続自動
    車にアクセル系の操作量を自動的に増加させるか、ある
    いは、前記後続自動車のアクセル系の運転者による操作
    の操作量を増加させるように前記後続自動車の運転者に
    指示を表示または告知するものからなることを特徴とす
    る請求項1に記載の自動車位置情報による自動車の制御
    方法。
  6. 【請求項6】 前記後続自動車前方の道路状況を報知す
    る道路状況報知制御は、複数の前記先行自動車の走行速
    度から前記基地局側の前記演算装置が判断した渋滞に関
    する交通状況を報知するものであることを特徴とする請
    求項1に記載の自動車位置情報による自動車の制御方
    法。
  7. 【請求項7】 前記後続自動車に搭載された自動車部品
    の制御機器の自動制御は、前記特定の先行自動車の少な
    くとも走行速度の情報に基づいて、前記後続自動車のタ
    イヤ圧力制御機器の自動制御、または、前記後続自動車
    のシートの姿勢制御機器の自動制御からなることを特徴
    とする請求項1に記載の自動車位置情報による自動車の
    制御方法。
  8. 【請求項8】 前記特定の先行自動車の状況を後続自動
    車に報知する先行自動車状況報知制御は、前記特定の先
    行自動車が走行する道路での、少なくとも走行位置と走
    行速度の情報に基づいて、前記後続自動車に、少なくと
    も道路途中での停止を含む前記特定の先行自動車の状況
    を報知することからなることを特徴とする請求項1に記
    載の自動車位置情報による自動車の制御方法。
  9. 【請求項9】 前記複数の走行中自動車情報の中に、前
    記自動車の運転者による操作情報と、前記自動車のセン
    サの検出情報と、前記自動車内装置の作動情報とのうち
    少なくとも何れかの情報が更に含まれていることを特徴
    とする請求項1ないし8のうち何れかに記載の自動車位
    置情報による自動車の制御方法。
  10. 【請求項10】 前記自動車の運転者による操作情報
    は、前記自動車のステアリングの回動操作情報、警報器
    の操作情報、および、急ブレーキの操作情報のうち少な
    くとも何れかからなることを特徴とする請求項9に記載
    の自動車位置情報による自動車の制御方法。
  11. 【請求項11】 前記自動車センサの検出情報は、前記
    自動車の浸水検出センサ、横風検出センサ、タイヤのバ
    ースト検出センサ、衝突検出センサ、車両の回転に伴う
    ヨーレイト検出センサのうち少なくとも何れかからなる
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の自動車位
    置情報による自動車の制御方法。
  12. 【請求項12】 前記自動車内装置の作動情報は、前記
    自動車のアンチスキッド制御装置の作動情報、エンジン
    制御装置の作動情報、走行用モータ制御装置の作動情
    報、機器の故障診断装置の作動情報、計器盤内の警告表
    示装置の作動情報、ガスバッグ制御装置の作動情報、お
    よび、緊急通報装置の作動情報のうち少なくとも何れか
    からなることを特徴とする請求項9ないし11の何れか
    に記載の自動車位置情報による自動車の制御方法。
  13. 【請求項13】 前記特定の先行自動車は、前記後続自
    動車までの距離が所定距離以下のものに相当すると前記
    基地局側の演算装置で判断されたものであることを特徴
    とする請求項1ないし12のうち何れかに記載の自動車
    位置情報による自動車の制御方法。
  14. 【請求項14】 前記後続自動車に搭載された車間距離
    測定装置よって、該後続自動車から前記特定の先行自動
    車までの車間距離が測定されて前記基地局側の演算装置
    に送信され、一方、前記基地局側の前記演算装置内にて
    前記後続自動車から前記先行自動車までの距離が前記位
    置情報を基に演算され、この演算された距離と前記車間
    距離測定装置よって測定された前記車間距離とが実質一
    致する直前の先行自動車に前記特定の先行自動車が相当
    することを特徴とする請求項1ないし13のうち何れか
    に記載の自動車位置情報による自動車の制御方法。
  15. 【請求項15】 走行中の複数の自動車が、少なくとも
    人工衛星より取得した位置情報と、自車を特定する車両
    特定信号とを含む走行中自動車情報を各自動車内の無線
    通信機を介して基地局に送信し、前記基地局側の演算装
    置に複数の前記走行中自動車情報を入力し、 前記演算装置にて前記複数の走行中自動車情報から前記
    複数の自動車の中の各自動車の位置を追跡し、前記各自
    動車間においてどの自動車が先行自動車であり、どの自
    動車が後続自動車であるのかの先行後続関係を特定し、
    前記各自動車のうち特定の後続自動車に対して前記先行
    自動車が、その後続自動車からの距離が所定範囲内の近
    接先行自動車であるのか、または、所定範囲を超える連
    係先行自動車であるのかを判定し、前記近接先行自動車
    または前記連係先行自動車の区別と共に、この特定の先
    行自動車に関する情報を含む制御信号を前記基地局から
    発信して前記後続自動車の無線通信機を介して受信さ
    せ、 前記後続自動車内で、受信した前記制御信号に基づき、
    前記後続自動車のアクセル系またはブレーキ系による加
    速または減速の自動制御、および、前記後続自動車の運
    転操作に関する操作指示制御、および、前記後続自動車
    前方の道路状況を報知する道路状況報知制御、および、
    前記後続自動車に搭載された自動車部品の制御機器の自
    動制御、および、前記先行自動車の状況を後続自動車に
    報知する先行自動車状況報知制御のうち少なくとも何れ
    かの制御を実行することを特徴とする自動車位置情報に
    よる自動車の制御方法。
  16. 【請求項16】 前記走行中自動車情報の中の前記自動
    車内装置の作動情報は緊急通報装置の作動情報を含み、
    該緊急通報装置の作動情報を入力された前記基地局側の
    演算装置は、前記車両特定信号に対応するナンバープレ
    ート情報を検索し、この検索されたナンバープレート情
    報を前記制御信号中に含ませて前記後続自動車に報知す
    ることを特徴とする請求項12記載の自動車位置情報に
    よる自動車の制御方法。
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