JP2002213539A - Cvtベルト用エレメントとその製造方法 - Google Patents
Cvtベルト用エレメントとその製造方法Info
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Abstract
面を設定した場合に、全ての相互接触基準面を隣のエレ
メントに確実に圧接させてベルト直線部での安定性を高
める。 【解決手段】 サドル部2とイヤー部3およびネック部
4とからなるエレメント1について、一般面よりも数μ
m程度高い相互接触基準面8,9,10を設定する。各
相互接触基準面8,9,10の間には、一般面よりの数
μm程度低いイヤー凹状部11やネック凹状部12等を
形成して、各相互接触基準面8,9,10を独立化させ
る。エレメント1が曲げモーメントを受けた際に相対的
に薄肉状のイヤー凹状部11やネック凹状部等にて撓み
変形させて、各相互接触基準面8,9,10を隣のエレ
メント1に確実に密着させる。
Description
レメントとその製造方法に関し、特にベルト式CVT
(Continuously Variable Tr
ansmission=連続無断変速機)におけるCV
Tベルトの金属製ベルト本体(スチールバンド)と組み
合わせて多数個同時に用いられるいわゆる駒状のエレメ
ントとその製造方法に関する。
け伝達要素として用いられる金属製のCVTベルトは、
略駒状をなす数百個の金属製のエレメントを無端状の金
属製ベルト本体(スチールベルト、なお、ベルト本体は
リングやフープとも称する)にて連結したものが主流を
占めている。そして、本発明の実施の形態を示している
図1をかりて上記エレメントの基本構造を説明すると、
エレメント1は、左右一対の傾斜したトルク伝達面2a
が形成されたサドル部2とその上方のイヤー部3および
そのサドル部2とイヤー部3とを幅方向中央部にて相互
に接続するネック部4とを備え、そのネック部4の両側
に上記三者によって取り囲まれるようにしてベルト本体
受容溝5が形成された板状のものであって、各ベルト本
体受容溝5に薄板を幾重にも積層してなる図示外の無端
状のベルト本体をはめ合わせることにより、数百個のエ
レメント1,1…がつながれて金属ベルトとして機能す
ることになる。したがって、各エレメント1のうちサド
ル部2がCVTベルトの内周側となり、イヤー部3がC
VTベルトの外周側となる。なお、各ベルト本体受容溝
5の部位をサドルと称するが、便宜上、図示するその下
側の部位全体を含めて、サドル部と称することとする。
造として、例えば特開昭63−199943号公報に記
載されているように、エレメントの表裏両面のうちいず
れか一方の面に、相互に分離しつつ基準統一化された少
なくとも三つの面が同一平面上に位置するように突出形
成し、それら各面がCVTベルトとして駆動されて走行
する時の直進方向に対し直角となるように形成したもの
が知られている。
との間には機械的な固定手段はなく、例えば特定のエレ
メントがプーリとの摩擦力で押されると、そのエレメン
トが隣のエレメントを押すことの繰り返しで一方のプー
リから他方のプーリへとトルクが伝達されることから、
上記のように基準統一化された三つの面が形成されてい
ると、CVTベルトが巻き掛けられているプーリの曲率
の影響を受けない直線走行領域(ベルト直線部)ではそ
の三つの面が隣のエレメントに密着するようになり、も
って直線走行領域でのベルト直進性が安定化してベルト
振動を大幅に低減することができるとされている。
レメントでは、基準統一化された少なくとも三つの面の
境界が相互に接近していると、その面同士が互いに拘束
し合うかたちとなるために個々の面の変形自由度が小さ
く、かえって三つの面の全てを隣のエレメントに密着さ
せることが困難となる。
って形成されるのが一般的であるから、加工誤差等のた
めにいずれかの面が例えば数μm程度傾斜して形成され
たり、あるいは数μm程度の板厚差をもって形成される
ことがあり、いずれにしてもエレメントの量産過程にお
いて、基準統一化された少なくとも三つの面を常に同一
平面上に位置するように加工することはきわめて困難で
ある。このような場合には、上記と同様に三つの面の全
てを隣のエレメントに密着させることが困難となり、結
果としてエレメント同士が相互に接触する部位が二箇所
以下となって、ベルト直線部の走行安定性が図れないと
いう問題があった。
れたもので、エレメント同士が少なくとも三箇所以上で
確実に密着するようにして、ベルト直線部での走行安定
性の向上を図ったエレメントの構造とその製造方法を提
供しようとするものである。
は、無端状のベルト本体にこれを包み込むようにして多
数の板状のエレメントを相互接触状態となるように整列
して組み付けることによりCVTベルトを構成すること
になる上記エレメントの構造であって、両側端面にテー
パ状のトルク伝達面が形成されてCVTベルトの内周側
となるサドル部と、同じくCVTベルトの外周側となる
イヤー部、上記サドル部とイヤー部とを幅方向中央部に
て相互に連結するネック部、およびそのネック部の両側
に該ネック部とサドル部およびイヤー部とによって囲繞
されるようにして左右対称に形成されて上記ベルト本体
を受容することになるベルト本体受容溝とを備えてい
る。
て、ネック部のうちサドル部に近い部分およびイヤー部
の左右対称位置の少なくとも合計三箇所に、互いに独立
した相互接触基準面が形成されているとともに、上記相
互接触基準面以外の一般面について、少なくともネック
部のうちイヤー部に近い部分にはそのネック部における
相互接触基準面よりも微小量だけ薄肉化されたネック部
逃げ面が形成されていることを特徴としている。つま
り、ネック部のうちサドル部に近い部分に比べてイヤー
部に近い部分の方が局部的に薄肉化されていることを特
徴としている。
記ネック部逃げ面としては、ネック部における相互接触
基準面よりも2〜10μm程度薄肉化されていることが
望ましい。
は、エレメントの加工時に少なくとも三つの相互接触基
準面間に加工誤差等による板厚差もしくは傾斜が生じた
場合には、局部的に薄肉化されたネック部逃げ面相当部
が弾性変形することでスプリングの如き機能を発揮し、
上記加工誤差による板厚差等を許容しつつも少なくとも
三つの相互接触基準面が確実に相手側のエレメントに密
着するようになる。特に、イヤー部に形成された相互接
触基準面と、ネック部のうちサドル部に近い部分に形成
された相互接触基準面との間に板厚差等が生じた場合に
は、上記ネック部逃げ面相当部が撓み変形することでイ
ヤー部側の相互接触基準面とネック部側の相互接触基準
面との板厚差を吸収するようなはたらきをする。これに
より、ベルト直線部では必ずしも完全なる直線状のもの
とはならず比較的曲率の大きな円弧状のものとなるもの
の、CVTベルトを形成しているエレメント同士は少な
くとも三つの相互接触基準面が確実に密着するかたちと
なるため、そのCVTベルトの走行安定性が良好なもの
となる。
記載の発明を前提とした上で、イヤー部に左右対称に形
成された相互接触基準面同士の厚み寸法が共に等しいも
のとなっていて、そのイヤー部の相互接触基準面同士の
間にはネック部逃げ面と同等に薄肉化されたイヤー部逃
げ面が形成されていることを特徴としている。
項2に記載の発明を前提とした上で、上記ネック部逃げ
面の高さ寸法(n)が1〜3mm、イヤー部逃げ面の幅
寸法(e)が5〜8mm、ネック部のうちサドル部に近
い部分に形成された相互接触基準面の高さ寸法(h)が
少なくとも0.5mmに設定されていることを特徴とし
ている。
発明では、イヤー部に左右対称に形成された相互接触基
準面同士の間にイヤー部逃げ面が形成されていることに
より、そのイヤー部の相互接触基準面間に板厚差等が生
じた場合に、上記イヤー部逃げ面相当部が撓み変形する
ことでイヤー部の相互接触基準面間の板厚差を吸収する
ようなはたらきをする。これにより、上記と同様にCV
Tベルトを形成しているエレメント同士は少なくとも三
つの相互接触基準面が確実に密着するかたちとなるた
め、そのCVTベルトの走行安定性が良好なものとな
る。特に請求項3に記載の発明のように、各部の寸法を
特定の値に限定すると少なくとも三つの相互接触基準面
によるエレメント同士の密着度合いが最適化される。
たは3に記載の発明を前提とした上で、上記ネック部お
よびイヤー部の合計三箇所の相互接触基準面に加えて、
サドル部にも厚み寸法が共に等しく且つ互いに独立した
相互接触基準面が左右対称に形成されていることを特徴
としている。
は、サドル部にも相互接触基準面が形成されていること
により、エレメント同士の有効接触面積の拡大化が図れ
るようになる。
記載の発明を前提とした上で、上記ネック部のうちサド
ル部に近い部分に形成された相互接触基準面とサドル部
に形成された各相互接触基準面との間には局部的に薄肉
化されたサドル部逃げ面が形成されていることを特徴と
している。
は、サドル部での相互接触基準面の設定によって上記の
ように単にエレメント同士の有効接触面積が増加するば
かりでなく、サドル部逃げ面の存在によって、ネック部
のうちサドル部に近い部分に形成された相互接触基準面
とサドル部側の相互接触基準面との間でも変形しやすく
なることから、相互接触基準面間の板厚差等を効果的に
吸収しつつそのCVTベルトの走行安定性が一段と良好
なものとなる 請求項7に記載の発明は、上記請求項1〜5のいずれか
に記載のCVTベルト用エレメントを順送りプレス型に
より打ち抜き形成する方法であることを前提とした上
で、母材となるコイル材のうちエレメントとなる部位の
一部にコイニング加工を施し、このコイニング加工に続
くファインブランキング工程にてサドル部とイヤー部お
よびネック部を含む輪郭形状をもってコイル材からエレ
メント形状に打ち抜き、前記コイニング加工またはそれ
に続くファインブランキング工程にて逃げ面を形成する
ことを特徴としている。
は、逃げ面の加工までもが順送りプレス型内での加工と
して連続的に行われ、上記逃げ面の加工のみのための後
加工を一切必要としないことになる。
とも三つの相互接触基準面間に加工誤差等による板厚差
もしくは傾斜が生じたとしても、局部的に薄肉化された
ネック部逃げ面相当部が弾性変形することで少なくとも
三つの相互接触基準面が確実に相手側のエレメントに密
着することから、CVTベルトを形成しているエレメン
ト同士は少なくとも三つの相互接触基準面が確実に密着
するかたちとなるため、そのCVTベルトの走行安定性
がきわめて良好なものとなる効果がある。
ヤー部に形成された相互接触基準面同士の間にネック部
逃げ面とは別にイヤー部逃げ面が形成されていることか
ら、そのイヤー部の相互接触基準面間に板厚差等が生じ
た場合にも上記イヤー部逃げ面が撓み変形することでイ
ヤー部の相互接触基準面間の板厚差を吸収することがで
き、そのCVTベルトの走行安定性がより一層良好なも
のとなるほか、特に請求項3に記載の発明のように、各
部の寸法を特定の値に限定すると少なくとも三つの相互
接触基準面によるエレメント同士の密着度合いが最適化
される効果がある。
およびイヤー部の合計三箇所の相互接触基準面に加え
て、サドル部にも相互接触基準面が左右対称に形成され
ていることから、エレメント同士の有効接触面積の拡大
化が図れるようになり、請求項2または3に記載の発明
と同様の効果に加えて、CVTベルトの走行安定性がな
お一層良好なものとなる効果がある。
側の相互接触基準面とサドル部に形成された各相互接触
基準面との間には局部的に薄肉化されたサドル部逃げ面
が形成されていることから、エレメント同士の有効接触
面積が増加するばかりでなく、サドル部逃げ面の存在に
よってネック部側の相互接触基準面とサドル部側の相互
接触基準面との間でもエレメントが変形しやすくなるこ
とから、CVTベルトの走行安定性が一段と良好なもの
となる効果がある。
トに加工誤差による板厚差が生じたとしてもこれを十分
許容し、またエレメントの強度を確保でき、成形性も良
好である。
〜5のいずれかに記載のエレメントを製造するにあたっ
て、逃げ面の加工までもが順送りプレス型内での加工と
して連続的に行われ、上記逃げ面の加工のみのための後
加工を一切必要としないことから、生産性に優れるとと
もに加工工程数を少なくしてエレメントの製造コストを
低減できる効果がある。
用エレメント(以下、単にエレメントという)の好まし
い実施の形態を示す図であって、同図(A)はエレメン
トの正面説明図を、(B)は同図(A)の右側面図をそ
れぞれ示している。
ように左右一対の傾斜したトルク伝達面2aが形成され
たサドル部2とその上方のイヤー部3、およびそのサド
ル部2とイヤー部3とを幅方向中央部にて相互に接続す
るネック部4とを備え、そのネック部4の両側に上記三
者によって取り囲まれるようにしてベルト本体受容溝5
が形成された板状のものとして形成されている。そし
て、上記ネック部4の直近位置においてサドル部2とイ
ヤー部3とのなすベルト本体受容溝5の溝幅寸法をそれ
ぞれサドル部2側およびイヤー部3側に広げるべく略円
弧状の逃げ溝5aが形成されていて、これらの逃げ溝5
aはネック部4の両側端面を含むかたちで略長円形をな
している。
2cとを比較した場合に両者はその裏面側では面一状の
ものとなっているものの、下半部2cは表面側からの有
段成形により上半部2bよりもわずかに薄肉に形成され
ているとともに、上半部2bの表面側は下半部2c側に
向かって漸次その板厚が小さくなる傾斜面状のものとし
て形成されている。また、イヤー部3の表面側中央部に
はエンボス部6が、また裏面には隣接するエレメント1
のエンボス部6を受容するための凹部7がそれぞれ形成
されている。
ー部3の左右対称位置には略三角形状をなす相互接触基
準面8が形成されているほか、ネック部4のうちサドル
部2寄りの位置には矩形状の相互接触基準面9が、また
サドル部2の上縁部の左右対称位置には同じく略矩形状
の相互接触基準面10がそれぞれに形成されている。な
お、図1では各相互接触基準面8,9,10の領域をわ
かりやすくするために該当部分にハッチングを施してあ
る。
は、エレメント1自体が多数整列した状態でCVTベル
トとして機能する際に、その五つの相互接触基準面8,
9,10をもって隣接するエレメント1の裏面に確実に
密着させるために全て同じ高さ(厚み寸法)となるよう
に形成されているもので、エレメント1自体の一般面に
対して数μm程度厚くなるように形成されている。
て、イヤー部3のうちエンボス部6の周囲にはこれを取
り囲むようにしてイヤー部逃げ面としてのイヤー凹状部
11が形成されているほか、ネック部4のうちイヤー部
3寄りの位置にはネック部逃げ面として矩形状のネック
凹状部12が、またサドル部2のうち相互接触基準面9
を挟んでその両側にはサドル部逃げ面として同じく矩形
状のサドル凹状部13が左右対称にそれぞれ形成されて
いる。これらのイヤー凹状部11やネック凹状部12お
よびサドル凹状部13は、五つの相互接触基準面8,
9,10のうち隣接する相互接触基準面同士の間に介在
して各相互接触基準面8,9,10を積極的に独立化さ
せるために設けられているもので、エレメント1の一般
面に対して少なくとも2μm以上薄くなるようにして加
工誤差による板厚差等を許容し、また大きな段差となら
ないようにして強度を確保し成形性も良好にすることを
考慮し、望ましくは2μm〜10μm程度薄くなるよう
に形成されている。
は5〜8mm程度に、ネック凹状部12の高さ寸法nは
1〜3mm程度に、サドル凹状部13の幅寸法sは最大
でも3mm程度にそれぞれ設定されているとともに、ネ
ック部4の下部の相互接触基準面9の高さ寸法hは最低
でも0.5mm程度確保するように設定してある。な
お、上記サドル凹状部13の幅寸法sを最大でも3mm
程度に設定してあるのは、エレメント1が後述する入力
側もしくは出力側のプーリに巻き付いた時のサドル部2
での接触面積を可及的に大きく確保してトルク伝達性能
を高めるためである。
ント1によれば、図2,3に示すよう多数のエレメント
1,1…を整列させつつ無端状のスチールバンドを幾重
にも積層してなる一対のベルト本体14と組み合わせて
CVTベルトとして機能させた場合、CVTベルトその
もののトルク容量と、図4に示す入出力プーリ15,1
6間のベルト直線部Pでの伝達状態におけるエレメント
1の変形量とは、反比例の関係にある。また、エレメン
ト1の変形量は、エレメント1における各相互接触基準
面8,9,10の面一性(板厚均一性)に比例し、かつ
エレメント1,1同士の相互接触面積に反比例して少な
くなる。したがって、各相互接触基準面8,9,10に
おける板厚の均一性すなわち各相互接触基準面8,9,
10間の面一性がCVTベルト性能に直接影響してくる
ことになる。
レメント1,1…の姿勢は上記五つの相互接触基準面
8,9,10が均一に当たることで安定化するため、各
相互接触基準面8,9,10の面一性が重要な要素とな
る一方、各相互接触基準面8,9,10の面一性精度を
高めるにも自ずと限界があることは先に述べた通りであ
る。
準面8,9,10の面一性に関する精度誤差を容認しつ
つも、エレメント1の五つの相互接触基準面8,9,1
0を隣接するエレメント1に確実に密着させようとする
ものであり、例えば合計五つの相互接触基準面8,9,
10のうちいずれか一つもしくは複数の相互接触基準面
が隣のエレメント1に接触しなかった場合に、一つ以上
の相互接触基準面が伝達力を受けたことにより生ずるモ
ーメントMをもってエレメント1のうち相対的に薄肉に
形成されているイヤー凹状部11、ネック凹状部12も
しくはサドル凹状部13を積極的に弾性変形させ、それ
により相互接触基準面8,9,10の全てを隣のエレメ
ント1に圧接させることができる。
互接触基準面8とネック部4の相互接触基準面9との関
係について着目し、両者の板厚tがともに等しいのが理
想であるにもかかわらずその両者の間にΔt(例えば3
μm程度)なる面段差(板厚差)が生じた場合に、イヤ
ー部3側の相互接触基準面8が伝達力を受けるとモーメ
ントMが生じ、隣接するエレメント1,1同士が次々と
隣りのエレメント1を押すかたちとなる。そして、図3
に示すようにモーメントMを受けるとエレメント1のう
ち相対的に薄肉のネック凹状部12が弾性変形領域Bと
して撓み変形して、イヤー部3側の相互接触基準面8の
みならずネック部4側の相互接触基準面9も相手側のエ
レメント1に圧接するようになる。
一対の相互接触基準面8,8同士の間およびサドル部2
に形成された一対の相互接触基準面10,10同士の間
についても全く同様であり、左右の相互接触基準面8,
8同士もしくは10,10同士の間に面段差が生じた場
合には、相対的に薄肉のイヤー凹状部11もしくはサド
ル凹状部13が撓み変形することで、互いに対となった
相互接触基準面8,8同士もしくは相互接触基準面1
0,10同士を確実に隣のエレメント1に密着させるこ
とができるようになる。なお、上記五つの相互接触基準
面8,9,10の全てが隣のエレメント1に圧接するこ
とが理想ではあるが、少なくともイヤー部3側の二つの
相互接触基準面8,8とネック部4下部の相互接触基準
面9との三つの相互接触基準面が隣のエレメント1に圧
接すれば所期の目的を達成することが可能である。
的な撓み変形により少なくとも上記三つの相互接触基準
面8,8,9、望ましくは五つの相互接触基準面8,
9,10の全てをもって隣接するエレメント1,1同士
が接触するようになると、各エレメント1が図3に示す
ようなΔθの曲率をもつようになり、結果として図4の
ベルト直線部Pにおいても直線状ではなく所定の曲率R
をもつようになるものの、これは隣接するエレメント
1,1同士の接触状態がきわめて良好であることの結果
にほかならず、ベルト直線部Pでの走行性がきわめて安
定したものとなる。なお、上記の曲率Rは、図3に示す
ようにΔθ=Δt/Lで、かつR・Δθ=tとすると、
R=(t・L)/Δtで表され、例えば上記Δtを3μ
m程度とするとベルト直線部Pでの曲率Rはおよそ6m
程度となる。
み変形可能なネック凹状部12を形成してあると、図5
に示すように、ベルト直線部Pにおける動力伝達の中心
P1がネック凹状部12を形成しない場合の中心P11
に比べてmだけエレメント1の重心Gに近付くかたちと
なり、結果としてエレメント1に作用するモーメントM
を可及的に軽減できるようになる。
0は、必ずしもエレメント1の一般面よりもわずかに厚
肉化させることにより形成されている必要はなく、例え
ば一般面と面一状態のものであってもよい。この場合に
は、イヤー凹状部(イヤー部逃げ面)11やネック凹状
部(ネック部逃げ面)12およびサドル凹状部(サドル
部逃げ面)13は一般面よりも窪んでいることが条件と
される。逆に、上記各相互接触基準面8,9,10を一
般面よりもわずかに厚肉化させることにより形成してい
る場合には、イヤー凹状部(イヤー部逃げ面)11やネ
ック凹状部(ネック部逃げ面)12およびサドル凹状部
(サドル部逃げ面)13は一般面と面一状態のものであ
ってもよい。
対の相互接触基準面10,10がともにネック部4下部
の相互接触基準面9と同じ厚み寸法をもって形成されて
いる場合には、サドル部逃げ面であるサドル凹状部13
は必ずしも必要としない。ただし、サドル部2における
一対の相互接触基準面10,10での板厚寸法をイヤー
部3側の相互接触基準面8,8での板厚寸法よりも小さ
くした場合には、上記サドル凹状部13は必須となる。
これは、エレメント1が図4の入力側プーリ15もしく
は出力側プーリ16に巻き付いた時に、サドル部2側の
相互接触基準面10よりも厚肉のネック部4下部側の相
互接触基準面9を逃がして、そのサドル部2での接触面
積を可及的に大きく確保してトルク伝達性能を高めるた
めである。
い第2の実施の形態を示す図で、図1と比較すると明ら
かなようにサドル部2側の一対の相互接触基準面10,
10間に単一のサドル部逃げ面としてサドル凹状部23
を形成した点で第1の実施の形態のものと異なってい
る。本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の
効果が得られることは言うまでもない。
造するための順送りプレス型の説明図で、この順送りプ
レス型30は、母材である特殊鋼板等のコイル材31に
2個のパイロット穴32を打ち抜き形成すると共にサド
ル部2周囲の逃がし穴33を形成する工程と、前記両パ
イロット穴32を基準としてコイル材31を順送りして
位置決めしながら、イヤー凹状部11やネック凹状部1
2およびサドル凹状部13を先行して形成するために該
当する部分をコイニング方式にて印圧して相対的に薄肉
化すると共に、相互接触基準面10を除くサドル部2を
印圧して薄肉化する工程と、上記エレメント1の輪郭形
状をもってコイル材31からそのエレメント1をファイ
ンブランキング方式にて打ち抜く工程とを含んでいる。
可動側となるいわゆるアンダードライブタイプのもので
ある。
のピアスポンチ36と下型側のボタンダイ37との噛み
合いに基づく剪断作用によってなされ、同時に逃がし穴
33の加工は同様に上型側のピアスポンチ34と下型側
のボタンダイ35との噛み合いに基づく剪断作用によっ
てなされる。なお、図7に示す説明図では、図8に示す
コイル材31の幅方向中心部を基準とした断面を示す
が、上型側のピアスポンチ36と下型側のボタンダイ3
7は、便宜上図8に示す一方のパイロット穴32の中心
を基準にした断面を示す。
部12、サドル凹状部13および相互接触基準面10を
除くサドル部2のコイニング加工は、上型側のコイニン
グダイ38と下型側のコイニングポンチ39とでコイル
材31のうちの該当部分を印圧し、その部分を相対的に
薄肉化させることにより形成される。ここで、相互接触
基準面10を除くサドル部2を印圧して薄肉化させた際
に、余肉がその周囲に流れるが、その余肉は逃がし穴3
3に流れて吸収することから、コイル材31の特にエレ
メント1となる部位を歪ませることがない。なお、上記
ピアスポンチ34,36やコイニングダイ38等は上型
リテーナ40に支持されているとともに、ボタンダイ3
5,37やコイニングポンチ39等は下型リテーナ41
に支持されている。
イル材31は上型側のストリッパ42と下型リテーナ4
1とで加圧拘束されている状態で、エレメント1となる
べき部分が同じく上型側の打ち抜きポンチ43と下型側
のセクショナルパッド44とで加圧拘束されながら、ボ
タンダイ45との間の剪断作用により、イヤー部3とサ
ドル部2およびネック部4とを含む輪郭形状をもって、
表面側を下側としていわゆるファインブランキング方式
にてエレメント1が打ち抜かれる。同時に、エレメント
1の表面の各相互接触基準面8,9,10のほかエンボ
ス部6が印圧成形される。なお、46はバックプレート
である。
ると、下型の下降動作とともにセクショナルパッド44
がそのエレメント1をコイル材31側に押し戻すように
突き上げ、最終的にコイル材31から分離されたエレメ
ント1はエアブロー等の手段により吹き飛ばされて回収
される。
となる部位の一部として、イヤー凹状部11とネック凹
状部12およびサドル凹状部13、更には相互接触基準
面10を除くサドル部2をコイニング加工した例を示し
たが、これに限らず、逃げ面としてのイヤー凹状部11
とネック凹状部12およびサドル凹状部13をコイニン
グ加工せずに相互接触基準面10を除くサドル部2のみ
の加工とし、このコイニング加工に続くファインブラン
キング工程で前記逃げ面としてのイヤー凹状部11とネ
ック凹状部12およびサドル凹状部13を形成するよう
にしてもよい。その際には、図8において鎖線で示すイ
ヤー凹状部11とネック凹状部12およびサドル凹状部
13を上型側の打ち抜きポンチ43と下型側のセクショ
ナルパッド44との加圧により薄肉化させながら、ボタ
ンダイ45との剪断作用によりエレメント1を打ち抜く
ようにする。このとき同時にエレメント1の表面の各相
互接触基準面8,9,10のほかエンボス6を同時に印
圧成形するのは前記したのと同様である。
しい実施の形態を示す図で、(A)はその正面説明図、
(B)は同図(A)の右側面図。
ベルトとして機能する際の説明図。
ベルトとして機能する際の説明図。
を示す説明図。
ベルトとして機能する際の伝達中心の変化を示す説明
図。
の実施の形態を示す図で、(A)はその正面説明図、
(B)は同図(A)の右側面図。
順送りプレス型の要部断面説明図。
Claims (7)
- 【請求項1】 無端状のベルト本体にこれを包み込むよ
うにして多数の板状のエレメントを相互接触状態となる
ように整列して組み付けることによりCVTベルトを構
成することになる上記エレメントの構造であって、 両側端面にテーパ状のトルク伝達面が形成されてCVT
ベルトの内周側となるサドル部と、同じくCVTベルト
の外周側となるイヤー部、上記サドル部とイヤー部とを
幅方向中央部にて相互に連結するネック部、およびその
ネック部の両側に該ネック部とサドル部およびイヤー部
とによって囲繞されるようにして左右対称に形成されて
上記ベルト本体を受容することになるベルト本体受容溝
とを備えていて、 表裏両面のいずれか一方について、ネック部のうちサド
ル部に近い部分およびイヤー部の左右対称位置の少なく
とも合計三箇所に、互いに独立した相互接触基準面が形
成されているとともに、 上記相互接触基準面以外の一般面について、少なくとも
ネック部のうちイヤー部に近い部分にはそのネック部に
おける相互接触基準面よりも薄肉化されたネック部逃げ
面が形成されていることを特徴とするCVTベルト用エ
レメント。 - 【請求項2】 上記イヤー部に左右対称に形成された相
互接触基準面同士の厚み寸法が共に等しいものとなって
いて、そのイヤー部の相互接触基準面同士の間にはネッ
ク部逃げ面と同等に薄肉化されたイヤー部逃げ面が形成
されていることを特徴とする請求項1に記載のCVTベ
ルト用エレメント。 - 【請求項3】 上記ネック部逃げ面の高さ寸法(n)が
1〜3mm、イヤー部逃げ面の幅寸法(e)が5〜8m
m、ネック部のうちサドル部に近い部分に形成された相
互接触基準面の高さ寸法(h)が少なくとも0.5mm
に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のC
VTベルト用エレメント。 - 【請求項4】 上記ネック部およびイヤー部の合計三箇
所の相互接触基準面に加えて、サドル部にも厚み寸法が
共に等しく且つ互いに独立した相互接触基準面が左右対
称に形成されていることを特徴とする請求項2または3
に記載のCVTベルト用エレメント。 - 【請求項5】 上記ネック部のうちサドル部に近い部分
に形成された相互接触基準面とサドル部に形成された各
相互接触基準面との間には局部的に薄肉化されたサドル
部逃げ面が形成されていることを特徴とする請求項4に
記載のCVTベルト用エレメント。 - 【請求項6】 上記ネック部逃げ面は、ネック部におけ
る相互接触基準面よりも2μm〜10μm薄肉化されて
いることを特徴とする請求項1に記載のCVTベルト用
エレメント。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のCVT
ベルト用エレメントを順送りプレス型により打ち抜き形
成する方法であって、 母材となるコイル材のうちエレメントとなる部位の一部
にコイニング加工を施し、 このコイニング加工に続くファインブランキング工程に
てサドル部とイヤー部およびネック部を含む輪郭形状を
もってコイル材からエレメント形状に打ち抜き、前記コ
イニング加工またはそれに続くファインブランキング工
程にて逃げ面を形成することを特徴とするCVTベルト
用エレメントの製造方法。
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