JP2002213529A - 磁気回路を利用した除振装置 - Google Patents

磁気回路を利用した除振装置

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JP2002213529A
JP2002213529A JP2001347951A JP2001347951A JP2002213529A JP 2002213529 A JP2002213529 A JP 2002213529A JP 2001347951 A JP2001347951 A JP 2001347951A JP 2001347951 A JP2001347951 A JP 2001347951A JP 2002213529 A JP2002213529 A JP 2002213529A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】6自由度の磁気回路を利用した除振装置を提供
する。 【解決手段】可動側磁石37と固定側磁石27との軸方
向に沿った相対変位と金属バネ50の弾性力とを利用し
たバネ定数を略0にする除振メカニズムにより、振動伝
達を絶縁する。軸方向(Z軸方向)の振動だけでなく、
横方向(X軸方向、Y軸方向)や各軸回りの回転方向、
あるいはこれらが重なり合ったねじれ方向への変位を復
元機構を構成する、ゴム部材24a及び金属バネ50に
よって速やかに原位置に復帰させ、軸方向の振動として
除振できる。このため、簡易な構造でありながら6自由
度の振動を制御可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気回路を利用し
た除振装置に関し、例えば、自動車、電車、船舶などの
乗物のシートに用いられるサスペンションユニットやエ
ンジンマウント等における除振構造に組み込むことがで
きるの磁気回路を利用した除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】剛性を確保するために、内部減衰の少な
い材料で構成されることが多い機械や構造物の振動・騒
音対策として、様々な制振材、制振器、制御方法が提案
されている。
【0003】特に、乗物については高速化が進み、人体
の振動暴露による肉体や神経系の損傷が問題とされてい
る。これらは、疲労、頭痛、肩こり、腰痛、視力低下な
どの症状として表れる。通常、振動絶縁については、金
属バネ、空気バネ、ゴム、粘弾性材料、ダンパといった
バネと減衰材を最適に組み合わせて用いるが、この組合
せは、動倍率と損失係数のように背反関係にあることが
多い。すなわち、低周波特性を改善するために動倍率を
小さくすれば、損失係数の小さい硬いバネになり高周波
特性が悪くなる。高周波特性を改善するために損失係数
を上げれば、減衰材に近く動倍率の大きい柔らかいバネ
になり、低周波特性が悪くなる。そのため、動吸振器を
含めた受動制振装置や準能動・能動制御により振動を抑
制する試みが数多くなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような中で、近
年、減衰装置として磁気バネ構造を使用し、これに、金
属バネやゴム等の弾性部材や緩衝部材を組み合わせるこ
とにより、全体のバネ定数を擬似的に略0に設定できる
除振機構が知られている。本出願人も種々の磁気バネ構
造を利用した除振機構を提案しており、磁気バネ構造と
ショックアブソーバを共通のリンク機構に併設し、磁気
バネ構造で除振する一方で、大きな入力振動に伴う大変
位に対しては、ショックアブソーバの減衰力により底付
きを防止する機構も提案している。しかしながら、磁気
バネ構造とショックアブソーバを併設した場合には、全
体的に大型化し、構造が複雑となる。従って、磁気バネ
構造による除振機能とショックアブソーバによる減衰機
能との両方を、簡易な構成で実現し、小型化に資する除
振装置の開発が望まれている。一方、従来提案されてい
る除振機構は、上下方向の振動を制御する1自由度系
か、あるいはこれに前後左右の振動を制御可能に設計さ
れた3自由度系のものしか提案されていない。上記のよ
うにショックアブソーバを併設したものにあっては1自
由度系のみであり、コンパクトな設計でありながら、3
次元におけるX、Y、Z軸方向の振動と各軸回りの回転
も加えた6自由度の振動を制御可能でかつ粘性減衰機能
を備えた除振機構は未だ提案されていない。
【0005】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、簡易な構成で小型化が可能な粘性減衰機能を備えた
除振装置を提供することを課題とする。また、本発明
は、6自由度の振動を制御可能であると共に、大きな振
動が入力された場合には粘性減衰機能を発揮することが
でき、しかもコンパクトな構造とすることができる磁気
回路を利用した除振装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は、まず、軸方向における所定の変位量範
囲において負のバネ定数を生じさせる磁気回路を利用し
て1自由度系の磁気バネ構造を形成すると共に、この磁
気バネ構造のケーシングを利用して粘性液体を用いたダ
ッシュポット系を構成することに着目した。また、X
軸、Y軸方向への可動部材の位置ずれ、すなわち回転方
向を含む他の方向への変位を復元する復元機構と、正の
バネ定数をもち、前記磁気バネ構造とによって所定の変
位量範囲における重畳したバネ定数を擬似的に略0に設
定できる弾性部材を設置することで、コンパクトな構造
でありながら6自由度の振動を制御可能であることに着
目し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、請求項1記載の本発明では、ケ
ーシングに対して軸方向に沿って相対的に移動可能に配
設された可動部材と、前記可動部材に固定される可動側
磁石と、前記ケーシング内に固定配置され、前記可動側
磁石とにより、前記可動部材の軸方向における所定の変
位量範囲のバネ定数が負となる磁界を形成する固定側磁
石と、前記可動部材をケーシングの底壁に対して離間す
る方向に付勢し、前記可動側磁石と固定側磁石とにより
形成される磁界の磁力と弾性力との重畳されたバネ定数
が、軸方向における所定の変位量範囲において略0とな
るように設定する弾性部材と、前記可動部材の軸方向へ
の変位量が所定以上に至ると、可動部材に押圧されて移
動し、前記ケーシング内に充填された粘性液体を押圧し
て流体抵抗を生じさせるピストンとを具備することを特
徴とする磁気回路を利用した除振装置を提供する。請求
項2記載の本発明では、前記可動部材の、軸方向を除い
た回転方向を含む他の方向への変位を復元させる復元機
構を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気回路
を利用した除振装置を提供する。請求項3記載の本発明
では、前記ピストンは、外周面がケーシングの内周面に
摺接可能な外径を有する所定の厚みの環状のネット部材
と、このネット部材の上面及び下面に積層される円形プ
レートとを具備して構成され、前記可動部材のケーシン
グに対する軸方向への所定以上の変位に伴ういずれかの
円形プレートが受ける流体圧力によって、前記ネット部
材が変形して網目が小さくなり、この網目が流体抵抗を
生じさせるオリフィスとして機能することを特徴とする
請求項1又は2記載の磁気回路を利用した除振装置を提
供する。請求項4記載の本発明では、前記ネット部材
が、所定間隔をおいて配置された表面メッシュ層と裏面
メッシュ層とを有すると共に、表面メッシュ層と裏面メ
ッシュ層との間に、対向方向に多数のパイルが配置され
るようにして該メッシュ層同士を結合した三次元構造で
あることを特徴とする請求項3記載の磁気回路を利用し
た除振装置を提供する。請求項5記載の本発明では、前
記復元機構が、前記可動部材の周囲に当接し、可動部材
の前記他の方向への変位に伴って変位する連動部材と、
この連動部材と前記ケーシングとの間に介在配設され、
弾性復元力により原位置に復元させるゴム部材とを具備
して構成されることを特徴とする請求項2〜4のいずれ
か1に記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、前記復元機構が、前記可動
部材の周囲に当接し、可動部材の前記他の方向への変位
に伴って変位する連動部材と、この連動部材に取り付け
られる第1の復元用磁石と、前記ケーシングに取り付け
られる第2の復元用磁石とを備えて構成され、第1の復
元用磁石と第2の復元用磁石とがその磁力により常時正
対する位置に付勢されるように着磁されていることを特
徴とする請求項2〜4のいずれか1に記載の磁気回路を
利用した除振装置を提供する。請求項7記載の本発明で
は、前記固定側磁石が、前記ケーシング内で可動側磁石
の外側と内側に配置されていることを特徴とする請求項
1〜6のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装
置を提供する。請求項8記載の本発明では、前記弾性部
材が金属バネから構成されていることを特徴とする請求
項1〜7のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振
装置を提供する。請求項9記載の本発明では、前記可動
部材を構成する可動シャフト回りに固定される可動蓋部
材に連結され、この可動蓋部材を、ケーシング又は復元
機構を構成する部材のいずれかに対して所定間隔をおい
て支持可能であり、ケーシング又は復元機構を構成する
部材のいずれかに当接することにより、前記可動部材の
下方向への移動範囲を規制する機能と、ケーシング内に
充填される粘性液体の漏れを防止する機能とを兼ね備え
た環状シール部材を有することを特徴とする請求項1〜
8のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置を
提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて更に詳しく説明する。図1及び図2は本発明の
第1の実施形態に係る除振装置10を示し、図1はその
断面図、図2は分解斜視図である。
【0009】この除振装置10は、ケーシング20と、
可動部材30とを有して構成される。ケーシング20
は、略円筒形状の外筒部21と、該外筒部21の底部開
口を閉塞する環状の底壁部材22とを有している。外筒
部21の底部開口を形成する部位は内方に突出する内向
きフランジ部21aからなり、底壁部材22は、この内
向きフランジ部21a上に、シール部材としてのゴム等
からなるパッキン21bを介して配設されている。環状
の底壁部材22の孔部には、後述する金属バネ50を支
持する底部側突出軸23が突設されている。また、外筒
部21の上端縁には、内方に突出すると共に、略中央部
に可動シャフト31の直径よりも大きな径で形成された
シャフト突出孔24bを有する環状上蓋部24が設けら
れている。
【0010】さらに、本実施形態では、外筒部21の内
側に積層され、底壁部材22の下端縁を当接させて配設
される筒状のヨーク25を備えていると共に、このヨー
ク25と同径で形成され、該ヨーク25の上端縁と環状
上蓋部24との間に配設される内筒部26を備えてい
る。内筒部26の内面は、後述のピストン35が摺接す
る摺接面として機能する。
【0011】ヨーク25の内側には、固定側磁石27が
固定配設される。固定側磁石27は環状に形成され、か
ついずれも径方向に着磁された2枚の永久磁石27a,
27bの積層体からなり、異極同士が積層方向に隣接す
るように設けられている。なお、固定側磁石27は、可
動側磁石37を可動部材30の動作方向に付勢する磁界
を形成できればよく、使用する永久磁石の形状、積層
数、着磁方向等はこれに限定されるものではない。
【0012】可動部材30は、ケーシング20に対し、
その軸方向に沿って相対的に移動可能に配設される。可
動部材30は、環状上蓋部24のシャフト突出孔24b
からケーシング20の外方に突出する可動シャフト31
を有しており、この可動シャフト31における外方に突
出している部位が負荷質量を支持するフレーム等に連結
される。
【0013】可動シャフト31の中途には、外周面が断
面円弧状に加工された金属製のリング部材31aが装着
されている。一方、上記の環状上蓋部24の下面には、
環状のゴム部材24aが固着されていると共に、このゴ
ム部材24aの下面には、図1において断面略L字型に
加工された金属製の連動部材28が固着されている。連
動部材28の端面には、摩擦抵抗を小さくする加工が施
された当接板28aが固着されており、該当接板28a
を介してリング部材31aの外周面に当接している。こ
れにより、可動シャフト31が、図1において軸心から
横方向(X軸、Y軸方向)、回転方向あるいはねじれ方
向に変位した場合には、ゴム部材24aのせん断応力に
より、変位した位置から軸心位置(原位置)に可動シャ
フト31を復帰させることができる。
【0014】可動シャフト31の先端には、ケーシング
20の直径よりも外径の小さな円板部材32が設けられ
ていると共に、先端に可動側磁石37を備えた磁石保持
用筒部材33が設けられている。磁石保持用筒部材33
は、その軸方向中途に、外周に突出させたフランジ部3
3aを有しており、このフランジ部33aが上記円板部
材32に対して所定の間隙を有して対峙するように配置
されている。なお、フランジ部33aの外径は、円板部
材32とほぼ同径で、ケーシング20の直径よりも小さ
く形成されている。
【0015】円板部材32とフランジ部33aとにより
形成される間隙には、ピストン35が配置される。この
ピストン35は、ケーシング20内に充填された粘性液
体を押圧して流体抵抗を生じさせるものであり、かかる
機能を果たすものであればよいが、ピストン35がケー
シング20に対し、相対的に僅かでも動くと減衰作用が
機能するように設定すると、例えば、1mm以下の小振
幅の振動を除振することが困難となる。従って、ピスト
ン35は、振動の大きさが所定以上となった場合に、減
衰作用が機能する構成とすることが好ましい。
【0016】このため、本実施形態では、ピストン35
として、上記の円板部材32とフランジ部33aとによ
り形成される間隙に挿入可能な所定の厚みを有すると共
に、外周面がケーシング20の内周面に摺接可能な外径
を有する環状のネット部材351と、このネット部材3
51の上面と円板部材32との間に配設される第1の円
形プレート352と、ネット部材351の下面とフラン
ジ部33aとの間に配設される第2の円形プレート35
3とを有する構造のものを用いている。なお、第1及び
第2の円形プレート352,353は、外径が円板部材
32及びフランジ部33aの外径よりも大きい一方で、
ネット部材351の外径よりも小さく形成されている。
【0017】この結果、振動が小さい場合には、ピスト
ン35がケーシング20に対して相対的に移動しても、
ネット部材351はほとんど変形せず、その網目を通じ
て粘性液体が流動することになるため、流体抵抗が発揮
されないが、所定以上の振動となった場合には、第1及
び第2の円形プレート352,353にかかる圧力によ
ってネット部材351が変形して網目が小さくなりオリ
フィスとして機能し、減衰性能を発揮するものである。
【0018】ネット部材351の外径は、上記のよう
に、各円形プレート352,353よりも大きく、ケー
シング20の内周面に摺接し得る大きさを有している。
これにより、可動シャフト31が、例えば、ねじれ方向
に動作したとしても、ケーシング20の内周面との摺接
状態が損なわれることがなく、ケーシング20の内周面
との間に隙間が生じて減衰性能が減殺してしまうことを
防止することができる。また、ネット部材351及び各
円形プレート352,353のいずれも、その内径が、
フランジ部33aを備えた磁石保持用筒部材33の外周
面との間に、所定の間隙を形成し得る程度に形成されて
おり、可動シャフト31の横方向への動きを許容してい
る。
【0019】ピストン35を構成するネット部材351
は、所定の厚みを有する立体メッシュ構造であることが
好ましく、例えば、所定間隔をおいて配置された表面メ
ッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、表面メッ
シュ層と裏面メッシュ層との間に、対向方向に多数のパ
イルが配置されるようにして該メッシュ層同士を結合し
た三次元構造のものを用いることができる。
【0020】図3は、このネット部材351の構造を示
すものである。このうち、表面メッシュ層351aは、
例えば、図4に示したように、単繊維を撚った糸から、
ハニカム状(六角形)のメッシュを有する構造に形成さ
れている。裏面メッシュ層351bは、例えば、図5に
示したように、単繊維を撚った糸をゴム編みにして形成
され、表面メッシュ層351aのハニカム状のメッシュ
よりも小さなメッシュ(細目)を有する構造に形成され
ている。パイル351cは、単繊維又は糸で形成し、表
面メッシュ層351aと裏面メッシュ層351bとが所
定の間隔を保持するように、該表面メッシュ層351a
と裏面メッシュ層351bとの間に編み込んだもので、
この立体メッシュニットとなっているネット部材351
に所定の剛性を付与している。なお、本明細書中、単に
「繊維」と述べた場合には、単繊維(モノフィラメン
ト)と糸(マルチフィラメント)の両者のほか、紡績糸
等をも含む意味である。
【0021】表面メッシュ層351a、裏面メッシュ層
351b又はパイル351cを構成する繊維の材料とし
ては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹
脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリ
アミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代
表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂
を2種類以上混合した樹脂などを用いることができる。
【0022】パイル351cを構成する繊維の太さは、
例えば、380d以上で、好ましくは600d以上がよ
い。これにより、小振幅の範囲でのパイル351cの倒
れによるつぶれを防止できる一方、振幅範囲が所定以上
になった場合には、パイル351cの倒れによって、網
目を小さくしてオリフィスとして機能させることができ
る。
【0023】表1に、ピストン35に用いることができ
る三次元構造のネット部材351の諸特性を例示する。
【0024】
【表1】
【0025】表1において、「d」はデニールを表し、
1dは1グラムの繊維を9,000m引っ張ったときの
太さの単位であり、例えば、220dは1グラムの繊維
を9,000/220=40.9m引っ張ったときの太
さの繊維である。「f」はフィラメントを表し、単繊維
の数を示す単位で、例えば、70fは70本の単繊維で
1本の糸を構成していることを意味する。引張強度の
「kg/5cm」は、5cm幅のものを引っ張ったとき
の強度である。パイル組織の「パラレル」は表面メッシ
ュ層351aと裏面メッシュ層351bとを連結するパ
イル351cが側面から見て交差していない状態をい
い、「クロス」とは側面から見て交差している状態をい
う。
【0026】磁石保持用筒部材33の下端には、可動側
磁石37が接着などにより固定されて支持される。可動
側磁石37は、磁石保持用筒部材33とほぼ同径の環状
の永久磁石から構成され、厚み方向に着磁されていると
共に、固定側磁石27を構成する積層された永久磁石2
7a,27bの内面の磁極配置に対応させて、上側にN
極を、下側にS極を位置させている。これにより、固定
側磁石27と可動側磁石37との相対位置の変化に伴
い、吸引力の作用が大きくなったり、反発力の作用が大
きくなったりして、固定側磁石27と可動側磁石37と
の相対的な位置関係によって両者により構成される磁気
バネの動的バネ定数が変化する。
【0027】図6は、図1及び図2に示したものと同様
の構成の固定側磁石27に対して、上方向から下方向に
向かって可動側磁石37をストローク40mmで変位さ
せた際の荷重−変位特性を示す図である。この図におい
て、荷重の正の値は、固定側磁石27及び可動側磁石3
7間の反発力を示し、負の値は、固定側磁石27及び可
動側磁石37間の吸引力を示している。また、変位量2
0mmの位置が、図1に示したように、固定側磁石27
の軸方向ほぼ中央で可動側磁石37が対峙する位置であ
る。
【0028】この図から明らかなように、可動側磁石3
7が固定側磁石27に接近するに従って徐々に反発力が
大きくなり、反発力が最大となる変位量約15mmのa
点に至るまでは、変化曲線の傾きとして現れるバネ定数
が正の値を示す一方で、このa点から吸引力が最大とな
る変位量約25mmのb点に至るまでは、バネ定数が負
の値を示す。一方、弾性部材である後述の金属バネ50
は、図6に示したように、線形のバネ定数を示す。従っ
て、固定側磁石27と可動側磁石37とにより構成され
る磁気バネ構造において、バネ定数負の値を示す範囲を
利用可能な位置に、可動側磁石37を位置させると共
に、絶対値がほぼ同じバネ定数を正の値でもつ金属バネ
50を用いることにより、図6に示したように、両者の
重畳したバネ定数が変位量約15mm〜約25mmの範
囲において略0となる。なお、バネ定数略0の範囲を有
効に活用するため、可動シャフト31に負荷質量を連結
支持させた状態で、図6に示した変位量約20mmの位
置に相当する、固定側磁石27の軸方向ほぼ中央で可動
側磁石37が対峙するように初期設定することが好まし
い。
【0029】ここで、ケーシング20の環状上蓋部24
と内筒部26との境界付近には、連動部材28の取付位
置よりも、下面が下方に突出する大きさで形成された上
方向ストッパ部材29が配設されている。上方向ストッ
パ部材29は、ゴム、合成樹脂等から形成され、可動部
材30がケーシング20に対して相対的に上方向に大き
く振動した際に、円板部材32がこの上方向ストッパ部
材29に当接することで、可動部材30の上方向への動
作範囲が規制されるものである。
【0030】また、可動シャフト31におけるリング部
材31aよりも上部位置には、該可動シャフト31の外
周面に溶接等により可動蓋部材40が固着されている。
また、内周部がこの可動蓋部材40の下面に固着され、
外周部がケーシング20の外筒部21の外周面に固着さ
れる、ゴム等からなる環状シール部材41が配設されて
いる。この環状シール部材41は、ケーシング20内に
充填される粘性液体の漏れを防止するものであるが、内
周部付近には、他の部位よりも厚い肉厚部41aが形成
されている。可動シャフト31に固着された可動蓋部材
40は、ゴム等からなる環状シール部材41を介してケ
ーシング20に連結されているため、可動シャフト31
と共に上下動する。従って、可動シャフト31がケーシ
ング20に対して相対的に下方向に大きく振動した場合
には、環状シール部材41の肉厚部41aがケーシング
20の環状上蓋部24の上面に当接することになり、可
動部材30の下方向への動作範囲を規制して底付きを防
止する機能も果たす。また、可動シャフト31が回転方
向(ねじれ方向)に変位した際には、可動蓋部材40を
介して連結されたこの環状シール部材41は、その弾性
力により、変位位置から原位置へ復帰させる機能を果た
す。
【0031】金属バネ50は、本実施形態では、可動部
材30をケーシング20の底壁部材22から離間する方
向に付勢するコイルスプリングからなり、底壁部材22
に支持させた底部側突出軸23と磁石保持用筒部材33
の上端面から図において下方に突出させた支持軸33b
との間に配設している。金属バネ50の配設位置は、も
ちろんこれに限定されるものではなく、後述する第2の
実施形態のようにケーシング20の外周部に配設する構
成とすることも可能である。
【0032】なお、本実施形態では、図1及び図2に示
したように、ケーシング20の底壁部材22の下面に環
状の補助用ゴム部材60を積層した上で、車体フレーム
等に固定するための取付ボルト61を突出配置した取付
板62を有している。これは、取付の際の便宜のためで
あるが、底壁部材22と取付板62間の補助用ゴム部材
60は、上記の可動シャフト31の軸回りに位置するゴ
ム部材24aと共に、可動部材30が図1において横方
向やねじれ方向等に動作した際に、せん断応力によって
軸心位置に復帰させる機能を果たす。特に、可動部材3
0の横方向等への位置ずれが大きい場合でも、可動部材
30を迅速に原位置に復帰させるために、補助的に設け
たものである。
【0033】本実施形態の除振装置10によれば、入力
振動が所定以下の振幅の範囲内の場合には、図6に示し
たように、固定側磁石27と可動側磁石37とにより構
成される磁気バネ構造と、弾性部材である金属バネ50
との重畳したバネ定数が略0であるため、入力振動の伝
達を遮断することができる。この際、ピストン35を構
成するネット部材351はその網目がほとんとつぶれな
いことから、オリフィスとしては機能せず、粘性液体が
圧縮されない。微振動範囲において、ピストン35、ケ
ーシング20及び粘性液体から構成されるダッシュポッ
ト系が作用すると、入力振動に伴う固定側磁石27及び
可動側磁石37の相対変位と金属バネ50の弾性力を利
用したバネ定数を略0にする除振メカニズムの機能が損
なわれることになる。しかしながら、本実施形態によれ
ば、ネット部材351の網目は流体圧力を受けて所定以
上変形しないとオリフィスとして機能しないため、磁気
バネ構造による除振機能を有効に活用できる。
【0034】その一方、振幅の大きい大入力が加わった
場合には、ピストン35を構成するネット部材351が
つぶれ、網目が小さくなるため、この網目がオリフィス
として機能して流体抵抗を発生させ、衝撃を吸収し、底
付きを抑制する。
【0035】また、可動シャフト31を含む可動部材3
0が軸心から横方向やねじれ方向等に位置ずれした場合
には、可動シャフト31に装着されたリング部材31a
によって、連動部材28を介してケーシング20の上部
付近に配設されたゴム部材24aがせん断方向に変形す
るため、そのせん断応力により、ずれた位置から軸心位
置(原位置)に可動シャフト31を速やかに復帰させ
る。また、可動部材30の軸心からの横方向やねじれ方
向の位置ずれに伴って、環状シール部材41及び金属バ
ネ50も変形すると共に、可動部材30の横方向等への
位置ずれが大きい場合には、上記の補助用ゴム部材60
も変形し、その弾性復元力によって可動シャフト31を
含む可動部材30を原位置に復帰させるように機能す
る。
【0036】この結果、可動部材30とケーシング20
との相対位置の変化が上下方向の場合だけでなく、軸心
から横方向やねじれ方向等に相対変位しても、復元機構
として機能する上記のゴム部材24a、環状シール部材
41、金属バネ50及び補助用ゴム部材60により、可
動部材30に保持された可動側磁石37とケーシング2
0に保持された固定側磁石27との相対位置が、速やか
に設計位置に復帰する。このため、可動部材30が回転
方向を含むいずれの方向に変化しても、入力振動に伴う
固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変
位と金属バネ50の弾性力を利用したバネ定数を略0に
する除振メカニズムにより、振動を絶縁することができ
る。
【0037】図7及び図8は、本発明の第2の実施形態
に係る除振装置10を示す。これらの図において、図1
及び図2に示したものと同一符号の部材は同じ機能を果
たす部材を示す。本実施形態においては、まず、固定側
磁石270が、外側磁石271と内側磁石272とから
構成される点で、上記第1の実施形態の固定側磁石27
と相違する。外側磁石271は、第1の実施形態の固定
側磁石27と同様であり、環状に形成されてケーシング
20の内周面に固定配設される。また、2つの環状の永
久磁石271a,271bが積層されて構成され、その
磁極の向きについても第1の実施形態の固定側磁石27
と同様に構成されている。内側磁石272は、底壁部材
22の略中央部に配設された底部側突出軸23の外周に
固定される。内側磁石272は、環状の2つの永久磁石
272a,272bが底部側突出軸23の外周に上下に
2段積層されて固定されている。この永久磁石272
a,272bは、厚み方向に着磁され、上段の永久磁石
と下段の永久磁石とが互いに吸引し合う方向に積層され
ていると共に、可動側磁石37の磁極配置に対応させ
て、上段の永久磁石はN極が、下段の永久磁石はS極が
それぞれ可動側磁石37に対峙するように配設されてい
る。
【0038】本実施形態においては、このように、固定
側磁石270が、可動側磁石37の外側に配置される外
側磁石271と、可動側磁石37の内側に配置される内
側磁石272とを有して構成される。可動側磁石37か
らは、磁力線が外方と内方に出るが、上記した第1の実
施形態では、固定側磁石27が可動側磁石37の外側に
しか配置されていないため、可動側磁石37から内方に
出る磁力線の利用効率が悪い。これに対し、本実施形態
によれば、可動側磁石37の内側にも固定側磁石270
を構成する内側磁石272が配置されているため、可動
側磁石37から出る磁力線の利用効率を向上させること
ができる。
【0039】また、本実施形態では、可動シャフト31
の中途に装着されるリング部材31aの周面に当接する
断面略L字型の連動部材28が、ケーシング20の環状
上蓋部24の上方に位置するように配設される。そし
て、連動部材28とケーシング20の環状上蓋部24と
の間にゴム部材240が配設されており、このゴム部材
240によって可動シャフト31の軸心からの横方向や
ねじれ方向等への位置ずれをせん断応力により修正する
ことができる。ゴム部材240は、環状上蓋部24の上
面に積層可能な環状に形成されていると共に、連動部材
28と環状上蓋部24とを連結してせん断応力を発揮す
る連結部241と、連結部241から環状上蓋部24の
内周縁を通過し、該環状上蓋部24の下面に回り込んで
固着され、円板部材32が上方向に大きく振動した際に
当接する上方向ストッパ部242とを有している。ま
た、連結部241の外周には、上方に立ち上がる外周壁
部243を有し、さらに、その上部から内方に屈曲され
た内側突出部244は、可動シャフト31の外周面に溶
接等により取り付けられた可動蓋部材40の下面に固着
されている。本実施形態のゴム部材240は、このよう
に外周壁部243と内側突出部244とを有しているた
め、上記第1の実施形態における環状シール部材として
の機能、すなわち、粘性液体の漏れ防止機能と、可動部
材30の下方向への動作範囲の規制部材としての機能を
果たす。
【0040】なお、本実施形態の可動蓋部材40は、ケ
ーシング20の筒状部の直径よりも外径が大きく形成さ
れている。また、ケーシング20の底壁部材22及び取
付板62の外径もケーシング20の筒状部の直径より大
きく、該筒状部の下部を底壁部材22及び取付板62の
外周縁に沿わせて抱持させ、下部フランジ201を形成
している。そして、ケーシング20の外周であって、可
動蓋部材40と下部フランジ201との間に、弾性部材
として、コイルスプリングからなる金属バネ70を配設
している。
【0041】本実施形態の除振装置10の場合も、上記
第1の実施形態と同様に、固定側磁石270と可動側磁
石37とにより構成される磁気バネ構造と、金属バネ7
0との重畳したバネ定数を略0に設定できるため、入力
振動が所定以下の振幅の範囲内の場合には、ピストン3
5、ケーシング20及び粘性液体から構成されるダッシ
ュポット系が作用せずに、この磁気バネ構造により、入
力振動の伝達を遮断する。その一方、振幅の大きい大入
力が加わった場合には、ピストン35を構成するネット
部材351がつぶれ、網目が小さくなるため、この網目
がオリフィスとして機能して流体抵抗により、衝撃を吸
収し、底付きを抑制する。
【0042】可動シャフト31を含む可動部材30が、
軸方向を除いた他の方向、例えば、軸心から横方向やね
じれ方向等に位置ずれした場合には、可動シャフト31
に装着されたリング部材31aによって、連動部材28
を介してゴム部材240の連結部241がせん断方向に
変形すると共に、金属バネ70も変形するため、これら
の弾性復元力によって可動シャフト31を含む可動部材
30を原位置に復帰させることができる。この結果、可
動部材30がケーシング20に対して軸心から横方向や
ねじれ方向等へ相対変位しても、これを速やかに復元さ
せ、入力振動に伴う固定側磁石27及び可動側磁石37
の上下方向の相対変位と金属バネ70の弾性力を利用し
たバネ定数を略0にする除振メカニズムにより除振する
ことができる。
【0043】なお、ケーシング20と可動蓋部材40と
の間には、ゴム部材240の外周壁部243が形成され
ているが、この外周壁部243は、その肉厚を、固定側
磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変位と金
属バネ70の弾性力とを重畳したバネ定数が略0となる
変位量範囲において座屈するように設定されている。こ
の結果、ゴム部材240の外周壁部243のバネ力を考
慮せずに、固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方
向の相対変位と、金属バネ70の弾性力とにより、バネ
定数略0となる変位量範囲を設定することができる。但
し、この外周壁部243をこのように所定の変位量範囲
において座屈するように設計するのではなく、正のバネ
定数を発揮し得るように設計することもできる。この場
合には、金属バネ70とこの外周壁部243とを合わせ
た弾性力による正のバネ定数に対して、固定側磁石27
及び可動側磁石37により発揮される負のバネ定数の大
きさを調整し、両者を重畳したバネ定数が略0となるよ
うに設定する。
【0044】また、可動部材30が上方向へ大きく振動
した場合には、円形部材32がゴム部材240の上方向
ストッパ部242に当接し、上方向への動作範囲が規制
される。一方、可動部材30が下方向へ大きく振動した
場合には、可動蓋部材40に固着されたゴム部材240
の内側突出部244が連動部材28に当接することによ
り、下方向への動作範囲が規制される。
【0045】図9〜図11は、本発明の第3の実施形態
に係る除振装置10を説明するための図である。本実施
形態の除振装置10は、第1の実施形態のものとほぼ同
様の構造であるが、可動部材30の復元機構を、第1の
実施形態のゴム部材24aに代えて、磁石を用いた構成
した点で相違する。
【0046】すなわち、可動部材30の横方向等への位
置ずれに伴って変位する連動部材28の上面に固着され
る第1の復元用磁石250と、ケーシング20の環状上
蓋部24の下面に固着される第2の復元用磁石251と
を備えて構成されている。いずれかの復元用磁石、本実
施形態では第2の復元用磁石251における第1の復元
用磁石250との対向面には、摩擦抵抗を低減する非磁
性材料からなる摺動板252が積層されており、可動部
材30の横方向等への変位に伴って、第1の復元用磁石
250が摺動板252に対して相対的に摺動する。
【0047】第1の復元用磁石250と第2の復元用磁
石251は、いずれも環状に形成され、常態において異
極同士が対面するように着磁されており、さらには、可
動部材30とケーシング20とが相対変位した場合に、
第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石251とが
正対する方向に常時付勢されるように着磁されている。
本実施形態の第1の復元用磁石250と第2の復元用磁
石251は、図10に示したように、いずれも環状に形
成されている一方で、N極とS極とが円周方向に沿って
交互に多数着磁され、かつ異極同士が対面するように配
置されている。両者が常時正対する方向に付勢される構
成である限り、着磁手段は限定されるものではないが、
図10に示したように着磁して磁極を多数形成すること
により、可動部材30が横方向に位置ずれした場合はも
ちろんのこと、可動シャフト31が所定量回転方向に変
位した場合でも、吸引力と反発力により原位置に復帰さ
せることができるため好ましい。
【0048】本実施形態の除振装置10における磁気バ
ネ構造のバネ定数略0による除振メカニズム及びピスト
ン35による衝撃吸収メカニズムの作用は上記した各実
施形態と全く同様である。但し、本実施形態において
は、可動部材30の横方向やねじれ方向等への位置ずれ
は、第1の実施形態や第2の実施形態のようにゴム部材
24a,240のせん断応力ではなく、主として上記し
たように第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石2
51とにより形成される磁界の作用によって復元する。
なお、環状シール部材41は、上記第1の実施形態と同
様に、ねじれ方向等への位置ずれを復元させるように機
能する。
【0049】図12は、振動伝達特性を示す図である。
試験例は図1及び図2に示した除振装置10を用いたデ
ータであり、可動シャフト31に負荷質量を支持した状
態で、可動側磁石37の位置が図6のa−b間における
ほぼ中立となるように初期設定した上で、ケーシング2
0の取付ボルト61を用いて加振装置のテーブルに固定
して加振し、周波数に対する負荷質量の振動伝達率を測
定したものである。また、比較のため、従来、エンジン
マウントに使用しているゴムマウント中に液を封入した
減衰機構である「液封エンジンマウント」について所定
の質量を支持させて振動伝達率を測定した。図におい
て、「0.5mm」及び「1.0mm」は振幅量であ
る。なお、この範囲では、ピストン35を構成するネッ
ト部材351はその網目がほとんとつぶれないことか
ら、オリフィスとしては機能せず、粘性液体を押圧する
ことによるダッシュポット系の減衰機能は作用しない。
【0050】図12から明らかなように、試験例の除振
装置によれば、比較例である液封エンジンマウントの振
動伝達率より、いずれの周波数領域においも遙かに低か
った。特に、試験例の場合には、比較例と比較して共振
峰が低周波域に移行し、人体が敏感に感ずる3Hz以上
から高周波領域までの広い範囲の振動を低減している。
【0051】なお、上記した各実施形態にかかる除振装
置を組み立てるに当たって、例えば、図1のケーシング
20内に固定側磁石27を配設する作業などは手間がか
かる。また、これらの各磁石の取り付け作業と、粘性液
体の充填や金属バネその他の部材の組み付け作業とが全
く別の工場(施設)で行われることも多い。例えば、あ
る一つの工場では、ケーシングと可動部材のそれぞれに
各磁石の取り付け作業を行うだけで、他の工場(施設)
でその他の組み付け作業を行うこともある。しかしなが
ら、この場合、固定側磁石が固着されたケーシングと、
可動側磁石が固着された可動部材とを別々にして他の工
場に出荷したのでは、出荷先の他の工場においてこれら
を組み合わせる作業が必要となる。
【0052】そこで、図13(a)に示したように、固
定側磁石500を底壁部材510上に固着しておき、そ
の周囲にヨークとなる筒部材520を配設すると共に、
可動部材530にも可動側磁石540を固着し、その上
で、ビス550によって底壁部材510と可動部材53
0とを一体化した状態をサブアッセンブリ状態として出
荷できる構成とすることが好ましい。このような構成と
すれば、図13(b)に示したように、出荷先の他の工
場(施設)においては、ビス550を取り外して、ケー
シング560内に固定側磁石500を保持した筒部材5
20を配置し、可動部材530に可動シャフト570を
連結するなどするだけで、容易に本発明の除振装置を組
み立てることができる。
【0053】
【発明の効果】本発明の磁気回路を利用した除振装置に
よれば、可動側磁石と固定側磁石との軸方向に沿った相
対変位と金属バネの弾性力とを利用したバネ定数を略0
にする除振メカニズムにより、振動伝達を絶縁すること
ができる。しかも、ピストンが粘性液体を押圧すること
により、大きな振動が入力された場合には粘性減衰機能
を発揮することができ、底付きを防止できる。従って、
ショックアブソーバ機構を別途に設けることなく、粘性
減衰機能を発揮可能であり、簡易な構造の小型な除振装
置を提供できる。また、ピストンは、可動部材とケーシ
ングとの相対変位が所定量以上に至らないと、流体抵抗
を生じさせない構成であるため、所定量以下の大きさの
入力振動に対する上記の磁気バネ構造による除振メカニ
ズムを阻害することがない。なお、ピストンを、所定の
厚みを有するネット部材を用いた構成とすることによ
り、可動部材とケーシングとの相対変位が所定量以上と
なるまで粘性減衰機能を発揮させない機構を簡易な構成
で作製することができる。
【0054】また、復元機構を備えた構成とすることに
より、軸方向(Z軸方向)の振動だけでなく、横方向
(X軸方向、Y軸方向)や各軸回りの回転方向、あるい
はこれらが重なり合ったねじれ方向への変位を復元機構
によって速やかに原位置に復帰させ、軸方向の振動とし
て除振できるため、簡易な構造でありながら6自由度の
振動を制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る除振装
置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、上記第1の実施形態に係る除振装置の
分解斜視図である。
【図3】図3は、ピストンに用いられるネット部材を示
す断面図である。
【図4】図4は、ネット部材を構成する表面メッシュ層
を示す図である。
【図5】図5は、ネット部材を構成する裏面メッシュ層
を示す図である。
【図6】図6は、上記第1の実施形態に係る除振装置の
荷重−変位特性を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係る除振装
置を示す概略断面図である。
【図8】図8は、上記第2の実施形態に係る除振装置の
分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施形態に係る除振装
置を示す概略断面図である。
【図10】図10は、上記第3の実施形態で用いた復元
用磁石の構成を示す平面図である。
【図11】図11は、上記第3の実施形態に係る除振装
置の分解斜視図である。
【図12】図12は、本発明の第1の実施形態に係る除
振装置と従来の液封エンジンマウントの振動伝達特性を
比較した試験結果を示す図である。
【図13】図13(a)は、固定側磁石を保持する筒部
材と可動側磁石を保持する可動部材とをサブアッセンブ
リした状態を示す図であり、図13(b)は、サブアッ
センブリしたものからビスを取り外して本発明の除振装
置とした状態を示す図である。
【符号の説明】
10 除振装置 20 ケーシング 24 環状上蓋部 24a ゴム部材 240 ゴム部材 27 固定側磁石 270 固定側磁石 271 外側磁石 272 内側磁石 250 第1の復元用磁石 251 第2の復元用磁石 28 連動部材 30 可動部材 31 可動シャフト 35 ピストン 351 ネット部材 37 可動側磁石 40 可動蓋部材 41 環状シール部材 50,70 金属バネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大下 裕樹 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 Fターム(参考) 3J047 AA12 AB04 CA20 CD03 FA02 FA04 3J048 AA02 AC04 AC08 BC02 BE03 BE09 DA03 EA01 EA36 EA37

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングに対して軸方向に沿って相対
    的に移動可能に配設された可動部材と、 前記可動部材に固定される可動側磁石と、 前記ケーシング内に固定配置され、前記可動側磁石とに
    より、前記可動部材の軸方向における所定の変位量範囲
    のバネ定数が負となる磁界を形成する固定側磁石と、 前記可動部材をケーシングの底壁に対して離間する方向
    に付勢し、前記可動側磁石と固定側磁石とにより形成さ
    れる磁界の磁力と弾性力との重畳されたバネ定数が、軸
    方向における所定の変位量範囲において略0となるよう
    に設定する弾性部材と、 前記可動部材の軸方向への変位量が所定以上に至ると、
    可動部材に押圧されて移動し、前記ケーシング内に充填
    された粘性液体を押圧して流体抵抗を生じさせるピスト
    ンとを具備することを特徴とする磁気回路を利用した除
    振装置。
  2. 【請求項2】 前記可動部材の、軸方向を除いた回転方
    向を含む他の方向への変位を復元させる復元機構を具備
    することを特徴とする請求項1記載の磁気回路を利用し
    た除振装置。
  3. 【請求項3】 前記ピストンは、外周面がケーシングの
    内周面に摺接可能な外径を有する所定の厚みの環状のネ
    ット部材と、このネット部材の上面及び下面に積層され
    る円形プレートとを具備して構成され、前記可動部材の
    ケーシングに対する軸方向への所定以上の変位に伴うい
    ずれかの円形プレートが受ける流体圧力によって、前記
    ネット部材が変形して網目が小さくなり、この網目が流
    体抵抗を生じさせるオリフィスとして機能することを特
    徴とする請求項1又は2記載の磁気回路を利用した除振
    装置。
  4. 【請求項4】 前記ネット部材が、所定間隔をおいて配
    置された表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると
    共に、表面メッシュ層と裏面メッシュ層との間に、対向
    方向に多数のパイルが配置されるようにして該メッシュ
    層同士を結合した三次元構造であることを特徴とする請
    求項3記載の磁気回路を利用した除振装置。
  5. 【請求項5】 前記復元機構が、前記可動部材の周囲に
    当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位
    する連動部材と、この連動部材と前記ケーシングとの間
    に介在配設され、弾性復元力により原位置に復元させる
    ゴム部材とを具備して構成されることを特徴とする請求
    項2〜4のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振
    装置。
  6. 【請求項6】 前記復元機構が、前記可動部材の周囲に
    当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位
    する連動部材と、この連動部材に取り付けられる第1の
    復元用磁石と、前記ケーシングに取り付けられる第2の
    復元用磁石とを備えて構成され、第1の復元用磁石と第
    2の復元用磁石とがその磁力により常時正対する位置に
    付勢されるように着磁されていることを特徴とする請求
    項2〜4のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振
    装置。
  7. 【請求項7】 前記固定側磁石が、前記ケーシング内で
    可動側磁石の外側と内側に配置されていることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1に記載の磁気回路を利用
    した除振装置。
  8. 【請求項8】 前記弾性部材が金属バネから構成されて
    いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載
    の磁気回路を利用した除振装置。
  9. 【請求項9】 前記可動部材を構成する可動シャフト回
    りに固定される可動蓋部材に連結され、この可動蓋部材
    を、ケーシング又は復元機構を構成する部材のいずれか
    に対して所定間隔をおいて支持可能であり、ケーシング
    又は復元機構を構成する部材のいずれかに当接すること
    により、前記可動部材の下方向への移動範囲を規制する
    機能と、ケーシング内に充填される粘性液体の漏れを防
    止する機能とを兼ね備えた環状シール部材を有すること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の磁気回
    路を利用した除振装置。
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