JP3979825B2 - 磁気回路を利用した除振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気回路を利用した除振装置に関し、例えば、自動車、電車、船舶などの乗物のシートに用いられるサスペンションユニットやエンジンマウント等における除振構造に組み込むことができるの磁気回路を利用した除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
剛性を確保するために、内部減衰の少ない材料で構成されることが多い機械や構造物の振動・騒音対策として、様々な制振材、制振器、制御方法が提案されている。
【0003】
特に、乗物については高速化が進み、人体の振動暴露による肉体や神経系の損傷が問題とされている。これらは、疲労、頭痛、肩こり、腰痛、視力低下などの症状として表れる。通常、振動絶縁については、金属バネ、空気バネ、ゴム、粘弾性材料、ダンパといったバネと減衰材を最適に組み合わせて用いるが、この組合せは、動倍率と損失係数のように背反関係にあることが多い。すなわち、低周波特性を改善するために動倍率を小さくすれば、損失係数の小さい硬いバネになり高周波特性が悪くなる。高周波特性を改善するために損失係数を上げれば、減衰材に近く動倍率の大きい柔らかいバネになり、低周波特性が悪くなる。そのため、動吸振器を含めた受動制振装置や準能動・能動制御により振動を抑制する試みが数多くなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような中で、近年、減衰装置として磁気バネ構造を使用し、これに、金属バネやゴム等の弾性部材や緩衝部材を組み合わせることにより、全体のバネ定数を擬似的に略0に設定できる除振機構が知られている。本出願人も種々の磁気バネ構造を利用した除振機構を提案しており、磁気バネ構造とショックアブソーバを共通のリンク機構に併設し、磁気バネ構造で除振する一方で、大きな入力振動に伴う大変位に対しては、ショックアブソーバの減衰力により底付きを防止する機構も提案している。
しかしながら、磁気バネ構造とショックアブソーバを併設した場合には、全体的に大型化し、構造が複雑となる。従って、磁気バネ構造による除振機能とショックアブソーバによる減衰機能との両方を、簡易な構成で実現し、小型化に資する除振装置の開発が望まれている。
一方、従来提案されている除振機構は、上下方向の振動を制御する1自由度系か、あるいはこれに前後左右の振動を制御可能に設計された3自由度系のものしか提案されていない。上記のようにショックアブソーバを併設したものにあっては1自由度系のみであり、コンパクトな設計でありながら、3次元におけるX、Y、Z軸方向の振動と各軸回りの回転も加えた6自由度の振動を制御可能でかつ粘性減衰機能を備えた除振機構は未だ提案されていない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易な構成で小型化が可能な粘性減衰機能を備えた除振装置を提供することを課題とする。また、本発明は、6自由度の振動を制御可能であると共に、大きな振動が入力された場合には粘性減衰機能を発揮することができ、しかもコンパクトな構造とすることができる磁気回路を利用した除振装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は、まず、軸方向における所定の変位量範囲において負のバネ定数を生じさせる磁気回路を利用して1自由度系の磁気バネ構造を形成すると共に、この磁気バネ構造のケーシングを利用して粘性液体を用いたダッシュポット系を構成することに着目した。また、X軸、Y軸方向への可動部材の位置ずれ、すなわち回転方向を含む他の方向への変位を復元する復元機構と、正のバネ定数をもち、前記磁気バネ構造とによって所定の変位量範囲における重畳したバネ定数を擬似的に略0に設定できる弾性部材を設置することで、コンパクトな構造でありながら6自由度の振動を制御可能であることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、請求項1記載の本発明では、ケーシングに対して軸方向に沿って相対的に移動可能に配設された可動部材と、
前記可動部材に固定される可動側磁石と、
前記ケーシング内に固定配置され、前記可動側磁石とにより、前記可動部材の軸方向における所定の変位量範囲のバネ定数が負となる磁界を形成する固定側磁石と、
前記可動部材をケーシングの底壁に対して離間する方向に付勢し、前記可動側磁石と固定側磁石とにより形成される磁界の磁力と弾性力との重畳されたバネ定数が、軸方向における所定の変位量範囲において略0となるように設定する弾性部材と、
前記可動部材の軸方向への変位量が所定以上に至ると、可動部材に押圧されて移動し、前記ケーシング内に充填された粘性液体を押圧して流体抵抗を生じさせるピストンとを備えてなり、
前記ピストンは、外周面がケーシングの内周面に摺接可能な外径を有する所定の厚みの環状のネット部材と、このネット部材の上面及び下面に積層される円形プレートとを具備して構成され、前記可動部材のケーシングに対する軸方向への所定以上の変位に伴ういずれかの円形プレートが受ける流体圧力によって、前記ネット部材が変形して網目が小さくなり、この網目が流体抵抗を生じさせるオリフィスとして機能するものであって、かつ、前記ネット部材が、所定間隔をおいて配置された表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、表面メッシュ層と裏面メッシュ層との間に、対向方向に多数のパイルが配置されるようにして該メッシュ層同士を結合した三次元構造であることを特徴とする磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記可動部材の、軸方向を除いた回転方向を含む他の方向への変位を復元させる復元機構を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記復元機構が、前記可動部材の周囲に当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位する連動部材と、この連動部材と前記ケーシングとの間に介在配設され、弾性復元力により原位置に復元させるゴム部材とを具備して構成されることを特徴とする請求項2記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記復元機構が、前記可動部材の周囲に当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位する連動部材と、この連動部材に取り付けられる第1の復元用磁石と、前記ケーシングに取り付けられる第2の復元用磁石とを備えて構成され、第1の復元用磁石と第2の復元用磁石とがその磁力により常時正対する位置に付勢されるように着磁されていることを特徴とする請求項2記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記固定側磁石が、前記ケーシング内で可動側磁石の外側と内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、前記弾性部材が金属バネから構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記可動部材を構成する可動シャフト回りに固定される可動蓋部材に連結され、この可動蓋部材を、ケーシング又は復元機構を構成する部材のいずれかに対して所定間隔をおいて支持可能であり、ケーシング又は復元機構を構成する部材のいずれかに当接することにより、前記可動部材の下方向への移動範囲を規制する機能と、ケーシング内に充填される粘性液体の漏れを防止する機能とを兼ね備えた環状シール部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて更に詳しく説明する。図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る除振装置10を示し、図1はその断面図、図2は分解斜視図である。
【0009】
この除振装置10は、ケーシング20と、可動部材30とを有して構成される。ケーシング20は、略円筒形状の外筒部21と、該外筒部21の底部開口を閉塞する環状の底壁部材22とを有している。外筒部21の底部開口を形成する部位は内方に突出する内向きフランジ部21aからなり、底壁部材22は、この内向きフランジ部21a上に、シール部材としてのゴム等からなるパッキン21bを介して配設されている。環状の底壁部材22の孔部には、後述する金属バネ50を支持する底部側突出軸23が突設されている。また、外筒部21の上端縁には、内方に突出すると共に、略中央部に可動シャフト31の直径よりも大きな径で形成されたシャフト突出孔24bを有する環状上蓋部24が設けられている。
【0010】
さらに、本実施形態では、外筒部21の内側に積層され、底壁部材22の下端縁を当接させて配設される筒状のヨーク25を備えていると共に、このヨーク25と同径で形成され、該ヨーク25の上端縁と環状上蓋部24との間に配設される内筒部26を備えている。内筒部26の内面は、後述のピストン35が摺接する摺接面として機能する。
【0011】
ヨーク25の内側には、固定側磁石27が固定配設される。固定側磁石27は環状に形成され、かついずれも径方向に着磁された2枚の永久磁石27a,27bの積層体からなり、異極同士が積層方向に隣接するように設けられている。なお、固定側磁石27は、可動側磁石37を可動部材30の動作方向に付勢する磁界を形成できればよく、使用する永久磁石の形状、積層数、着磁方向等はこれに限定されるものではない。
【0012】
可動部材30は、ケーシング20に対し、その軸方向に沿って相対的に移動可能に配設される。可動部材30は、環状上蓋部24のシャフト突出孔24bからケーシング20の外方に突出する可動シャフト31を有しており、この可動シャフト31における外方に突出している部位が負荷質量を支持するフレーム等に連結される。
【0013】
可動シャフト31の中途には、外周面が断面円弧状に加工された金属製のリング部材31aが装着されている。一方、上記の環状上蓋部24の下面には、環状のゴム部材24aが固着されていると共に、このゴム部材24aの下面には、図1において断面略L字型に加工された金属製の連動部材28が固着されている。連動部材28の端面には、摩擦抵抗を小さくする加工が施された当接板28aが固着されており、該当接板28aを介してリング部材31aの外周面に当接している。これにより、可動シャフト31が、図1において軸心から横方向(X軸、Y軸方向)、回転方向あるいはねじれ方向に変位した場合には、ゴム部材24aのせん断応力により、変位した位置から軸心位置(原位置)に可動シャフト31を復帰させることができる。
【0014】
可動シャフト31の先端には、ケーシング20の直径よりも外径の小さな円板部材32が設けられていると共に、先端に可動側磁石37を備えた磁石保持用筒部材33が設けられている。磁石保持用筒部材33は、その軸方向中途に、外周に突出させたフランジ部33aを有しており、このフランジ部33aが上記円板部材32に対して所定の間隙を有して対峙するように配置されている。なお、フランジ部33aの外径は、円板部材32とほぼ同径で、ケーシング20の直径よりも小さく形成されている。
【0015】
円板部材32とフランジ部33aとにより形成される間隙には、ピストン35が配置される。このピストン35は、ケーシング20内に充填された粘性液体を押圧して流体抵抗を生じさせるものであり、かかる機能を果たすものであればよいが、ピストン35がケーシング20に対し、相対的に僅かでも動くと減衰作用が機能するように設定すると、例えば、1mm以下の小振幅の振動を除振することが困難となる。従って、ピストン35は、振動の大きさが所定以上となった場合に、減衰作用が機能する構成とすることが好ましい。
【0016】
このため、本実施形態では、ピストン35として、上記の円板部材32とフランジ部33aとにより形成される間隙に挿入可能な所定の厚みを有すると共に、外周面がケーシング20の内周面に摺接可能な外径を有する環状のネット部材351と、このネット部材351の上面と円板部材32との間に配設される第1の円形プレート352と、ネット部材351の下面とフランジ部33aとの間に配設される第2の円形プレート353とを有する構造のものを用いている。なお、第1及び第2の円形プレート352,353は、外径が円板部材32及びフランジ部33aの外径よりも大きい一方で、ネット部材351の外径よりも小さく形成されている。
【0017】
この結果、振動が小さい場合には、ピストン35がケーシング20に対して相対的に移動しても、ネット部材351はほとんど変形せず、その網目を通じて粘性液体が流動することになるため、流体抵抗が発揮されないが、所定以上の振動となった場合には、第1及び第2の円形プレート352,353にかかる圧力によってネット部材351が変形して網目が小さくなりオリフィスとして機能し、減衰性能を発揮するものである。
【0018】
ネット部材351の外径は、上記のように、各円形プレート352,353よりも大きく、ケーシング20の内周面に摺接し得る大きさを有している。これにより、可動シャフト31が、例えば、ねじれ方向に動作したとしても、ケーシング20の内周面との摺接状態が損なわれることがなく、ケーシング20の内周面との間に隙間が生じて減衰性能が減殺してしまうことを防止することができる。また、ネット部材351及び各円形プレート352,353のいずれも、その内径が、フランジ部33aを備えた磁石保持用筒部材33の外周面との間に、所定の間隙を形成し得る程度に形成されており、可動シャフト31の横方向への動きを許容している。
【0019】
ピストン35を構成するネット部材351は、所定の厚みを有する立体メッシュ構造であることが好ましく、例えば、所定間隔をおいて配置された表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、表面メッシュ層と裏面メッシュ層との間に、対向方向に多数のパイルが配置されるようにして該メッシュ層同士を結合した三次元構造のものを用いることができる。
【0020】
図3は、このネット部材351の構造を示すものである。このうち、表面メッシュ層351aは、例えば、図4に示したように、単繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する構造に形成されている。裏面メッシュ層351bは、例えば、図5に示したように、単繊維を撚った糸をゴム編みにして形成され、表面メッシュ層351aのハニカム状のメッシュよりも小さなメッシュ(細目)を有する構造に形成されている。パイル351cは、単繊維又は糸で形成し、表面メッシュ層351aと裏面メッシュ層351bとが所定の間隔を保持するように、該表面メッシュ層351aと裏面メッシュ層351bとの間に編み込んだもので、この立体メッシュニットとなっているネット部材351に所定の剛性を付与している。なお、本明細書中、単に「繊維」と述べた場合には、単繊維(モノフィラメント)と糸(マルチフィラメント)の両者のほか、紡績糸等をも含む意味である。
【0021】
表面メッシュ層351a、裏面メッシュ層351b又はパイル351cを構成する繊維の材料としては、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂などを用いることができる。
【0022】
パイル351cを構成する繊維の太さは、例えば、380d以上で、好ましくは600d以上がよい。これにより、小振幅の範囲でのパイル351cの倒れによるつぶれを防止できる一方、振幅範囲が所定以上になった場合には、パイル351cの倒れによって、網目を小さくしてオリフィスとして機能させることができる。
【0023】
表1に、ピストン35に用いることができる三次元構造のネット部材351の諸特性を例示する。
【0024】
【表1】
Figure 0003979825
【0025】
表1において、「d」はデニールを表し、1dは1グラムの繊維を9,000m引っ張ったときの太さの単位であり、例えば、220dは1グラムの繊維を9,000/220=40.9m引っ張ったときの太さの繊維である。「f」はフィラメントを表し、単繊維の数を示す単位で、例えば、70fは70本の単繊維で1本の糸を構成していることを意味する。引張強度の「kg/5cm」は、5cm幅のものを引っ張ったときの強度である。パイル組織の「パラレル」は表面メッシュ層351aと裏面メッシュ層351bとを連結するパイル351cが側面から見て交差していない状態をいい、「クロス」とは側面から見て交差している状態をいう。
【0026】
磁石保持用筒部材33の下端には、可動側磁石37が接着などにより固定されて支持される。可動側磁石37は、磁石保持用筒部材33とほぼ同径の環状の永久磁石から構成され、厚み方向に着磁されていると共に、固定側磁石27を構成する積層された永久磁石27a,27bの内面の磁極配置に対応させて、上側にN極を、下側にS極を位置させている。これにより、固定側磁石27と可動側磁石37との相対位置の変化に伴い、吸引力の作用が大きくなったり、反発力の作用が大きくなったりして、固定側磁石27と可動側磁石37との相対的な位置関係によって両者により構成される磁気バネの動的バネ定数が変化する。
【0027】
図6は、図1及び図2に示したものと同様の構成の固定側磁石27に対して、上方向から下方向に向かって可動側磁石37をストローク40mmで変位させた際の荷重−変位特性を示す図である。この図において、荷重の正の値は、固定側磁石27及び可動側磁石37間の反発力を示し、負の値は、固定側磁石27及び可動側磁石37間の吸引力を示している。また、変位量20mmの位置が、図1に示したように、固定側磁石27の軸方向ほぼ中央で可動側磁石37が対峙する位置である。
【0028】
この図から明らかなように、可動側磁石37が固定側磁石27に接近するに従って徐々に反発力が大きくなり、反発力が最大となる変位量約15mmのa点に至るまでは、変化曲線の傾きとして現れるバネ定数が正の値を示す一方で、このa点から吸引力が最大となる変位量約25mmのb点に至るまでは、バネ定数が負の値を示す。一方、弾性部材である後述の金属バネ50は、図6に示したように、線形のバネ定数を示す。従って、固定側磁石27と可動側磁石37とにより構成される磁気バネ構造において、バネ定数負の値を示す範囲を利用可能な位置に、可動側磁石37を位置させると共に、絶対値がほぼ同じバネ定数を正の値でもつ金属バネ50を用いることにより、図6に示したように、両者の重畳したバネ定数が変位量約15mm〜約25mmの範囲において略0となる。なお、バネ定数略0の範囲を有効に活用するため、可動シャフト31に負荷質量を連結支持させた状態で、図6に示した変位量約20mmの位置に相当する、固定側磁石27の軸方向ほぼ中央で可動側磁石37が対峙するように初期設定することが好ましい。
【0029】
ここで、ケーシング20の環状上蓋部24と内筒部26との境界付近には、連動部材28の取付位置よりも、下面が下方に突出する大きさで形成された上方向ストッパ部材29が配設されている。上方向ストッパ部材29は、ゴム、合成樹脂等から形成され、可動部材30がケーシング20に対して相対的に上方向に大きく振動した際に、円板部材32がこの上方向ストッパ部材29に当接することで、可動部材30の上方向への動作範囲が規制されるものである。
【0030】
また、可動シャフト31におけるリング部材31aよりも上部位置には、該可動シャフト31の外周面に溶接等により可動蓋部材40が固着されている。また、内周部がこの可動蓋部材40の下面に固着され、外周部がケーシング20の外筒部21の外周面に固着される、ゴム等からなる環状シール部材41が配設されている。この環状シール部材41は、ケーシング20内に充填される粘性液体の漏れを防止するものであるが、内周部付近には、他の部位よりも厚い肉厚部41aが形成されている。可動シャフト31に固着された可動蓋部材40は、ゴム等からなる環状シール部材41を介してケーシング20に連結されているため、可動シャフト31と共に上下動する。従って、可動シャフト31がケーシング20に対して相対的に下方向に大きく振動した場合には、環状シール部材41の肉厚部41aがケーシング20の環状上蓋部24の上面に当接することになり、可動部材30の下方向への動作範囲を規制して底付きを防止する機能も果たす。また、可動シャフト31が回転方向(ねじれ方向)に変位した際には、可動蓋部材40を介して連結されたこの環状シール部材41は、その弾性力により、変位位置から原位置へ復帰させる機能を果たす。
【0031】
金属バネ50は、本実施形態では、可動部材30をケーシング20の底壁部材22から離間する方向に付勢するコイルスプリングからなり、底壁部材22に支持させた底部側突出軸23と磁石保持用筒部材33の上端面から図において下方に突出させた支持軸33bとの間に配設している。金属バネ50の配設位置は、もちろんこれに限定されるものではなく、後述する第2の実施形態のようにケーシング20の外周部に配設する構成とすることも可能である。
【0032】
なお、本実施形態では、図1及び図2に示したように、ケーシング20の底壁部材22の下面に環状の補助用ゴム部材60を積層した上で、車体フレーム等に固定するための取付ボルト61を突出配置した取付板62を有している。これは、取付の際の便宜のためであるが、底壁部材22と取付板62間の補助用ゴム部材60は、上記の可動シャフト31の軸回りに位置するゴム部材24aと共に、可動部材30が図1において横方向やねじれ方向等に動作した際に、せん断応力によって軸心位置に復帰させる機能を果たす。特に、可動部材30の横方向等への位置ずれが大きい場合でも、可動部材30を迅速に原位置に復帰させるために、補助的に設けたものである。
【0033】
本実施形態の除振装置10によれば、入力振動が所定以下の振幅の範囲内の場合には、図6に示したように、固定側磁石27と可動側磁石37とにより構成される磁気バネ構造と、弾性部材である金属バネ50との重畳したバネ定数が略0であるため、入力振動の伝達を遮断することができる。この際、ピストン35を構成するネット部材351はその網目がほとんとつぶれないことから、オリフィスとしては機能せず、粘性液体が圧縮されない。微振動範囲において、ピストン35、ケーシング20及び粘性液体から構成されるダッシュポット系が作用すると、入力振動に伴う固定側磁石27及び可動側磁石37の相対変位と金属バネ50の弾性力を利用したバネ定数を略0にする除振メカニズムの機能が損なわれることになる。しかしながら、本実施形態によれば、ネット部材351の網目は流体圧力を受けて所定以上変形しないとオリフィスとして機能しないため、磁気バネ構造による除振機能を有効に活用できる。
【0034】
その一方、振幅の大きい大入力が加わった場合には、ピストン35を構成するネット部材351がつぶれ、網目が小さくなるため、この網目がオリフィスとして機能して流体抵抗を発生させ、衝撃を吸収し、底付きを抑制する。
【0035】
また、可動シャフト31を含む可動部材30が軸心から横方向やねじれ方向等に位置ずれした場合には、可動シャフト31に装着されたリング部材31aによって、連動部材28を介してケーシング20の上部付近に配設されたゴム部材24aがせん断方向に変形するため、そのせん断応力により、ずれた位置から軸心位置(原位置)に可動シャフト31を速やかに復帰させる。また、可動部材30の軸心からの横方向やねじれ方向の位置ずれに伴って、環状シール部材41及び金属バネ50も変形すると共に、可動部材30の横方向等への位置ずれが大きい場合には、上記の補助用ゴム部材60も変形し、その弾性復元力によって可動シャフト31を含む可動部材30を原位置に復帰させるように機能する。
【0036】
この結果、可動部材30とケーシング20との相対位置の変化が上下方向の場合だけでなく、軸心から横方向やねじれ方向等に相対変位しても、復元機構として機能する上記のゴム部材24a、環状シール部材41、金属バネ50及び補助用ゴム部材60により、可動部材30に保持された可動側磁石37とケーシング20に保持された固定側磁石27との相対位置が、速やかに設計位置に復帰する。このため、可動部材30が回転方向を含むいずれの方向に変化しても、入力振動に伴う固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変位と金属バネ50の弾性力を利用したバネ定数を略0にする除振メカニズムにより、振動を絶縁することができる。
【0037】
図7及び図8は、本発明の第2の実施形態に係る除振装置10を示す。これらの図において、図1及び図2に示したものと同一符号の部材は同じ機能を果たす部材を示す。本実施形態においては、まず、固定側磁石270が、外側磁石271と内側磁石272とから構成される点で、上記第1の実施形態の固定側磁石27と相違する。外側磁石271は、第1の実施形態の固定側磁石27と同様であり、環状に形成されてケーシング20の内周面に固定配設される。また、2つの環状の永久磁石271a,271bが積層されて構成され、その磁極の向きについても第1の実施形態の固定側磁石27と同様に構成されている。内側磁石272は、底壁部材22の略中央部に配設された底部側突出軸23の外周に固定される。内側磁石272は、環状の2つの永久磁石272a,272bが底部側突出軸23の外周に上下に2段積層されて固定されている。この永久磁石272a,272bは、厚み方向に着磁され、上段の永久磁石と下段の永久磁石とが互いに吸引し合う方向に積層されていると共に、可動側磁石37の磁極配置に対応させて、上段の永久磁石はN極が、下段の永久磁石はS極がそれぞれ可動側磁石37に対峙するように配設されている。
【0038】
本実施形態においては、このように、固定側磁石270が、可動側磁石37の外側に配置される外側磁石271と、可動側磁石37の内側に配置される内側磁石272とを有して構成される。可動側磁石37からは、磁力線が外方と内方に出るが、上記した第1の実施形態では、固定側磁石27が可動側磁石37の外側にしか配置されていないため、可動側磁石37から内方に出る磁力線の利用効率が悪い。これに対し、本実施形態によれば、可動側磁石37の内側にも固定側磁石270を構成する内側磁石272が配置されているため、可動側磁石37から出る磁力線の利用効率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、可動シャフト31の中途に装着されるリング部材31aの周面に当接する断面略L字型の連動部材28が、ケーシング20の環状上蓋部24の上方に位置するように配設される。そして、連動部材28とケーシング20の環状上蓋部24との間にゴム部材240が配設されており、このゴム部材240によって可動シャフト31の軸心からの横方向やねじれ方向等への位置ずれをせん断応力により修正することができる。ゴム部材240は、環状上蓋部24の上面に積層可能な環状に形成されていると共に、連動部材28と環状上蓋部24とを連結してせん断応力を発揮する連結部241と、連結部241から環状上蓋部24の内周縁を通過し、該環状上蓋部24の下面に回り込んで固着され、円板部材32が上方向に大きく振動した際に当接する上方向ストッパ部242とを有している。また、連結部241の外周には、上方に立ち上がる外周壁部243を有し、さらに、その上部から内方に屈曲された内側突出部244は、可動シャフト31の外周面に溶接等により取り付けられた可動蓋部材40の下面に固着されている。本実施形態のゴム部材240は、このように外周壁部243と内側突出部244とを有しているため、上記第1の実施形態における環状シール部材としての機能、すなわち、粘性液体の漏れ防止機能と、可動部材30の下方向への動作範囲の規制部材としての機能を果たす。
【0040】
なお、本実施形態の可動蓋部材40は、ケーシング20の筒状部の直径よりも外径が大きく形成されている。また、ケーシング20の底壁部材22及び取付板62の外径もケーシング20の筒状部の直径より大きく、該筒状部の下部を底壁部材22及び取付板62の外周縁に沿わせて抱持させ、下部フランジ201を形成している。そして、ケーシング20の外周であって、可動蓋部材40と下部フランジ201との間に、弾性部材として、コイルスプリングからなる金属バネ70を配設している。
【0041】
本実施形態の除振装置10の場合も、上記第1の実施形態と同様に、固定側磁石270と可動側磁石37とにより構成される磁気バネ構造と、金属バネ70との重畳したバネ定数を略0に設定できるため、入力振動が所定以下の振幅の範囲内の場合には、ピストン35、ケーシング20及び粘性液体から構成されるダッシュポット系が作用せずに、この磁気バネ構造により、入力振動の伝達を遮断する。その一方、振幅の大きい大入力が加わった場合には、ピストン35を構成するネット部材351がつぶれ、網目が小さくなるため、この網目がオリフィスとして機能して流体抵抗により、衝撃を吸収し、底付きを抑制する。
【0042】
可動シャフト31を含む可動部材30が、軸方向を除いた他の方向、例えば、軸心から横方向やねじれ方向等に位置ずれした場合には、可動シャフト31に装着されたリング部材31aによって、連動部材28を介してゴム部材240の連結部241がせん断方向に変形すると共に、金属バネ70も変形するため、これらの弾性復元力によって可動シャフト31を含む可動部材30を原位置に復帰させることができる。この結果、可動部材30がケーシング20に対して軸心から横方向やねじれ方向等へ相対変位しても、これを速やかに復元させ、入力振動に伴う固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変位と金属バネ70の弾性力を利用したバネ定数を略0にする除振メカニズムにより除振することができる。
【0043】
なお、ケーシング20と可動蓋部材40との間には、ゴム部材240の外周壁部243が形成されているが、この外周壁部243は、その肉厚を、固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変位と金属バネ70の弾性力とを重畳したバネ定数が略0となる変位量範囲において座屈するように設定されている。この結果、ゴム部材240の外周壁部243のバネ力を考慮せずに、固定側磁石27及び可動側磁石37の上下方向の相対変位と、金属バネ70の弾性力とにより、バネ定数略0となる変位量範囲を設定することができる。但し、この外周壁部243をこのように所定の変位量範囲において座屈するように設計するのではなく、正のバネ定数を発揮し得るように設計することもできる。この場合には、金属バネ70とこの外周壁部243とを合わせた弾性力による正のバネ定数に対して、固定側磁石27及び可動側磁石37により発揮される負のバネ定数の大きさを調整し、両者を重畳したバネ定数が略0となるように設定する。
【0044】
また、可動部材30が上方向へ大きく振動した場合には、円形部材32がゴム部材240の上方向ストッパ部242に当接し、上方向への動作範囲が規制される。一方、可動部材30が下方向へ大きく振動した場合には、可動蓋部材40に固着されたゴム部材240の内側突出部244が連動部材28に当接することにより、下方向への動作範囲が規制される。
【0045】
図9〜図11は、本発明の第3の実施形態に係る除振装置10を説明するための図である。本実施形態の除振装置10は、第1の実施形態のものとほぼ同様の構造であるが、可動部材30の復元機構を、第1の実施形態のゴム部材24aに代えて、磁石を用いた構成した点で相違する。
【0046】
すなわち、可動部材30の横方向等への位置ずれに伴って変位する連動部材28の上面に固着される第1の復元用磁石250と、ケーシング20の環状上蓋部24の下面に固着される第2の復元用磁石251とを備えて構成されている。いずれかの復元用磁石、本実施形態では第2の復元用磁石251における第1の復元用磁石250との対向面には、摩擦抵抗を低減する非磁性材料からなる摺動板252が積層されており、可動部材30の横方向等への変位に伴って、第1の復元用磁石250が摺動板252に対して相対的に摺動する。
【0047】
第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石251は、いずれも環状に形成され、常態において異極同士が対面するように着磁されており、さらには、可動部材30とケーシング20とが相対変位した場合に、第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石251とが正対する方向に常時付勢されるように着磁されている。本実施形態の第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石251は、図10に示したように、いずれも環状に形成されている一方で、N極とS極とが円周方向に沿って交互に多数着磁され、かつ異極同士が対面するように配置されている。両者が常時正対する方向に付勢される構成である限り、着磁手段は限定されるものではないが、図10に示したように着磁して磁極を多数形成することにより、可動部材30が横方向に位置ずれした場合はもちろんのこと、可動シャフト31が所定量回転方向に変位した場合でも、吸引力と反発力により原位置に復帰させることができるため好ましい。
【0048】
本実施形態の除振装置10における磁気バネ構造のバネ定数略0による除振メカニズム及びピストン35による衝撃吸収メカニズムの作用は上記した各実施形態と全く同様である。但し、本実施形態においては、可動部材30の横方向やねじれ方向等への位置ずれは、第1の実施形態や第2の実施形態のようにゴム部材24a,240のせん断応力ではなく、主として上記したように第1の復元用磁石250と第2の復元用磁石251とにより形成される磁界の作用によって復元する。なお、環状シール部材41は、上記第1の実施形態と同様に、ねじれ方向等への位置ずれを復元させるように機能する。
【0049】
図12は、振動伝達特性を示す図である。試験例は図1及び図2に示した除振装置10を用いたデータであり、可動シャフト31に負荷質量を支持した状態で、可動側磁石37の位置が図6のa−b間におけるほぼ中立となるように初期設定した上で、ケーシング20の取付ボルト61を用いて加振装置のテーブルに固定して加振し、周波数に対する負荷質量の振動伝達率を測定したものである。また、比較のため、従来、エンジンマウントに使用しているゴムマウント中に液を封入した減衰機構である「液封エンジンマウント」について所定の質量を支持させて振動伝達率を測定した。図において、「0.5mm」及び「1.0mm」は振幅量である。なお、この範囲では、ピストン35を構成するネット部材351はその網目がほとんとつぶれないことから、オリフィスとしては機能せず、粘性液体を押圧することによるダッシュポット系の減衰機能は作用しない。
【0050】
図12から明らかなように、試験例の除振装置によれば、比較例である液封エンジンマウントの振動伝達率より、いずれの周波数領域においも遙かに低かった。特に、試験例の場合には、比較例と比較して共振峰が低周波域に移行し、人体が敏感に感ずる3Hz以上から高周波領域までの広い範囲の振動を低減している。
【0051】
なお、上記した各実施形態にかかる除振装置を組み立てるに当たって、例えば、図1のケーシング20内に固定側磁石27を配設する作業などは手間がかかる。また、これらの各磁石の取り付け作業と、粘性液体の充填や金属バネその他の部材の組み付け作業とが全く別の工場(施設)で行われることも多い。例えば、ある一つの工場では、ケーシングと可動部材のそれぞれに各磁石の取り付け作業を行うだけで、他の工場(施設)でその他の組み付け作業を行うこともある。しかしながら、この場合、固定側磁石が固着されたケーシングと、可動側磁石が固着された可動部材とを別々にして他の工場に出荷したのでは、出荷先の他の工場においてこれらを組み合わせる作業が必要となる。
【0052】
そこで、図13(a)に示したように、固定側磁石500を底壁部材510上に固着しておき、その周囲にヨークとなる筒部材520を配設すると共に、可動部材530にも可動側磁石540を固着し、その上で、ビス550によって底壁部材510と可動部材530とを一体化した状態をサブアッセンブリ状態として出荷できる構成とすることが好ましい。このような構成とすれば、図13(b)に示したように、出荷先の他の工場(施設)においては、ビス550を取り外して、ケーシング560内に固定側磁石500を保持した筒部材520を配置し、可動部材530に可動シャフト570を連結するなどするだけで、容易に本発明の除振装置を組み立てることができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の磁気回路を利用した除振装置によれば、可動側磁石と固定側磁石との軸方向に沿った相対変位と金属バネの弾性力とを利用したバネ定数を略0にする除振メカニズムにより、振動伝達を絶縁することができる。しかも、ピストンが粘性液体を押圧することにより、大きな振動が入力された場合には粘性減衰機能を発揮することができ、底付きを防止できる。従って、ショックアブソーバ機構を別途に設けることなく、粘性減衰機能を発揮可能であり、簡易な構造の小型な除振装置を提供できる。また、ピストンは、可動部材とケーシングとの相対変位が所定量以上に至らないと、流体抵抗を生じさせない構成であるため、所定量以下の大きさの入力振動に対する上記の磁気バネ構造による除振メカニズムを阻害することがない。なお、ピストンを、所定の厚みを有するネット部材を用いた構成とすることにより、可動部材とケーシングとの相対変位が所定量以上となるまで粘性減衰機能を発揮させない機構を簡易な構成で作製することができる。
【0054】
また、復元機構を備えた構成とすることにより、軸方向(Z軸方向)の振動だけでなく、横方向(X軸方向、Y軸方向)や各軸回りの回転方向、あるいはこれらが重なり合ったねじれ方向への変位を復元機構によって速やかに原位置に復帰させ、軸方向の振動として除振できるため、簡易な構造でありながら6自由度の振動を制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る除振装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、上記第1の実施形態に係る除振装置の分解斜視図である。
【図3】図3は、ピストンに用いられるネット部材を示す断面図である。
【図4】図4は、ネット部材を構成する表面メッシュ層を示す図である。
【図5】図5は、ネット部材を構成する裏面メッシュ層を示す図である。
【図6】図6は、上記第1の実施形態に係る除振装置の荷重−変位特性を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係る除振装置を示す概略断面図である。
【図8】図8は、上記第2の実施形態に係る除振装置の分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施形態に係る除振装置を示す概略断面図である。
【図10】図10は、上記第3の実施形態で用いた復元用磁石の構成を示す平面図である。
【図11】図11は、上記第3の実施形態に係る除振装置の分解斜視図である。
【図12】図12は、本発明の第1の実施形態に係る除振装置と従来の液封エンジンマウントの振動伝達特性を比較した試験結果を示す図である。
【図13】図13(a)は、固定側磁石を保持する筒部材と可動側磁石を保持する可動部材とをサブアッセンブリした状態を示す図であり、図13(b)は、サブアッセンブリしたものからビスを取り外して本発明の除振装置とした状態を示す図である。
【符号の説明】
10 除振装置
20 ケーシング
24 環状上蓋部
24a ゴム部材
240 ゴム部材
27 固定側磁石
270 固定側磁石
271 外側磁石
272 内側磁石
250 第1の復元用磁石
251 第2の復元用磁石
28 連動部材
30 可動部材
31 可動シャフト
35 ピストン
351 ネット部材
37 可動側磁石
40 可動蓋部材
41 環状シール部材
50,70 金属バネ

Claims (7)

  1. ケーシングに対して軸方向に沿って相対的に移動可能に配設された可動部材と、
    前記可動部材に固定される可動側磁石と、
    前記ケーシング内に固定配置され、前記可動側磁石とにより、前記可動部材の軸方向における所定の変位量範囲のバネ定数が負となる磁界を形成する固定側磁石と、
    前記可動部材をケーシングの底壁に対して離間する方向に付勢し、前記可動側磁石と固定側磁石とにより形成される磁界の磁力と弾性力との重畳されたバネ定数が、軸方向における所定の変位量範囲において略0となるように設定する弾性部材と、
    前記可動部材の軸方向への変位量が所定以上に至ると、可動部材に押圧されて移動し、前記ケーシング内に充填された粘性液体を押圧して流体抵抗を生じさせるピストンとを備えてなり、
    前記ピストンは、外周面がケーシングの内周面に摺接可能な外径を有する所定の厚みの環状のネット部材と、このネット部材の上面及び下面に積層される円形プレートとを具備して構成され、前記可動部材のケーシングに対する軸方向への所定以上の変位に伴ういずれかの円形プレートが受ける流体圧力によって、前記ネット部材が変形して網目が小さくなり、この網目が流体抵抗を生じさせるオリフィスとして機能するものであって、かつ、前記ネット部材が、所定間隔をおいて配置された表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、表面メッシュ層と裏面メッシュ層との間に、対向方向に多数のパイルが配置されるようにして該メッシュ層同士を結合した三次元構造であることを特徴とする磁気回路を利用した除振装置。
  2. 前記可動部材の、軸方向を除いた回転方向を含む他の方向への変位を復元させる復元機構を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気回路を利用した除振装置。
  3. 前記復元機構が、前記可動部材の周囲に当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位する連動部材と、この連動部材と前記ケーシングとの間に介在配設され、弾性復元力により原位置に復元させるゴム部材とを具備して構成されることを特徴とする請求項2記載の磁気回路を利用した除振装置。
  4. 前記復元機構が、前記可動部材の周囲に当接し、可動部材の前記他の方向への変位に伴って変位する連動部材と、この連動部材に取り付けられる第1の復元用磁石と、前記ケーシングに取り付けられる第2の復元用磁石とを備えて構成され、第1の復元用磁石と第2の復元用磁石とがその磁力により常時正対する位置に付勢されるように着磁されていることを特徴とする請求項2記載の磁気回路を利用した除振装置。
  5. 前記固定側磁石が、前記ケーシング内で可動側磁石の外側と内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置。
  6. 前記弾性部材が金属バネから構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置。
  7. 前記可動部材を構成する可動シャフト回りに固定される可動蓋部材に連結され、この可動蓋部材を、ケーシング又は復元機構を構成する部材のいずれかに対して所定間隔をおいて支持可能であり、ケーシング又は復元機構を構成する部材のいずれかに当接することにより、前記可動部材の下方向への移動範囲を規制する機能と、ケーシング内に充填される粘性液体の漏れを防止する機能とを兼ね備えた環状シール部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の磁気回路を利用した除振装置。
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