JP2002212623A - 転炉吹錬方法及び転炉吹錬用上吹きランス - Google Patents

転炉吹錬方法及び転炉吹錬用上吹きランス

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JP2002212623A JP2001302590A JP2001302590A JP2002212623A JP 2002212623 A JP2002212623 A JP 2002212623A JP 2001302590 A JP2001302590 A JP 2001302590A JP 2001302590 A JP2001302590 A JP 2001302590A JP 2002212623 A JP2002212623 A JP 2002212623A
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健三 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転炉精錬において、高炭素域での高送酸速度
時の鉄飛散やダスト発生を低減し、且つ、吹錬末期での
低送酸速度時の鉄酸化を抑制する。 【解決手段】 ラバールノズル4が設置された上吹きラ
ンス1を用いて炭素濃度に応じて異なる送酸速度で吹錬
する際に、吹錬末期の送酸速度Fから定まるラバールノ
ズル1孔当たりの送酸速度Fhと、ラバールノズルのス
ロート径Dtとから、(1)式により定まるノズル背圧
Pに対し、その比(Po/P)が0.85〜1.15の
範囲で且つ490kPa 以下となる設計ノズル背圧Po
と、雰囲気圧Peと、前記スロート径Dtとから、
(2)式により定まる出口径Deを有するラバールノズ
ルを用いて吹錬する。 P =Fh/(0.00465×Dt2) …(1) (De/Dt)2 = 0.259/[(Pe/Po)5/7×[1-(Pe/Po)2/7]1/2]
…(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素を用いて溶銑
を酸化精錬する転炉の吹錬方法及びそれに用いる転炉吹
錬用上吹きランスに関し、詳しくは、高炭素域でのダス
トや鉄飛散の発生量の低減と、低炭素域での鉄酸化の低
減とを同時に達成することのできる転炉吹錬方法及び転
炉吹錬用上吹きランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶銑を用いた転炉吹錬においては、上吹
き酸素又は底吹き酸素により、主として脱炭を目的とし
た酸化精錬が行われている。近年、大量の溶銑をより短
時間に精錬し、高い生産性を得ようとするニーズが従来
にも増して高まっているばかりでなく、大量の鉄鉱石及
びMn鉱石等を添加した炉内直接還元や、大量の鉄スク
ラップの炉内溶解等のために、より多くの酸素源が必要
となり、大量の酸素を短時間に安定して吹き込みつつ、
高精度の成分制御を可能とする技術が必要になってい
る。又、溶銑の脱燐や脱硫を目的とする溶銑予備処理プ
ロセスの発達により、転炉吹錬で発生するスラグ量は大
幅に減少し、従来プロセスとは異なった要素が多く発生
する等、これらの状況に対処するために早急な転炉吹錬
方法の最適化が急務となっている。
【0003】上吹きランスによる酸化精錬では、酸素
は、上吹きランス先端に設置された、ラバールノズルと
呼ばれる末広がりのノズルから超音速又は亜音速のジェ
ットとして転炉内に供給される。この場合、脱炭反応等
の反応効率を低下させないようにするため、通常、酸素
の供給量(以下「送酸速度」という)が比較的多い、吹
錬の初期から中期までの高炭素域(およそC>0.6ma
ss%)における精錬条件に基づいてラバールノズルの形
状が設計されている。換言すれば、送酸速度が大きい場
合に、吹き付けられる酸素はラバールノズルにより適正
に膨張して超音速化されるようになっており、逆に、吹
錬末期の低炭素域(およそC≦0.6mass%)に相当す
る送酸速度が小さい場合には、酸素はラバールノズル内
で過剰に膨張して、超音速化が阻害されるようになって
いる。
【0004】高生産性を目的として送酸速度を更に増大
させた転炉吹錬に、このような設計思想に基づくラバー
ルノズルを用いた場合には、上吹きランスから供給され
る酸素ジェットの噴出流速は更に増加し、転炉内の溶湯
表面に到達するジェット流速が増大して溶湯湯面の乱れ
は一層激しくなる。従来のようなスラグ量の多い(およ
そ溶鋼トン当たり50kg以上)吹錬においては、酸素ジ
ェットのスラグ層の貫通を確実にさせるためには、この
設計思想が必須であった。
【0005】しかしながら、近年のようなスラグ量の少
ない吹錬においては、このような設計思想の必要性は低
くなってきており、却って、ジェット流速の増大に伴う
湯面の乱れは、スラグ量の少ない吹錬下ではスピッティ
ングやスプラッシュ等の激しい溶湯飛散をもたらし、炉
口やフード、上吹きランス、更には排ガス設備といった
部位への地金付きを増加させ、操業に悪影響を与えると
共に、鉄歩留まりの低下による生産性の悪化をもたら
す。又、飛散に伴う鉄ダストの発生も著しく増加し、ダ
スト発生の観点からも鉄歩留まりの低下をもたらす。
【0006】こうした操業状況の悪化を抑制するため
に、ラバールノズルの孔径や傾角等の上吹きランス形状
のハード面を適正化しつつ、上吹きランスの先端と浴面
との距離(以下「ランス高さ」と記す)や送酸速度等の
操業条件を制御した対策が多数提案されている。例えば
特開平6−228624号公報には、上吹きランスの形
状を適正化すると共に、送酸速度及びランス高さをラバ
ールノズルの形状に合わせて適正範囲内に制御した吹錬
方法が開示されている。しかし、同号公報のように高流
量化した際の鉄飛散やダストを抑制する目的で、ラバー
ルノズルの構造やランス高さの変更を行う場合には、上
吹きランスから噴出される酸素ジェットの軌跡及び幾何
学的形状が大きく変化するので、不必要な2次燃焼が生
じたり、反応界面積の変動に起因して反応効率が悪化す
るという2次的な悪影響が発生する。又、物理的若しく
は操業的にランス高さの変更等が困難な場合には、この
方法では対処することができない。
【0007】一方、吹錬末期の低炭素域においては、供
給された酸素は脱炭反応だけでなく鉄の酸化にも消費さ
れるため、鉄の酸化を抑えて脱炭酸素効率を高める目的
で送酸速度を低減させている。この場合、送酸速度はラ
バールノズルの適正流量値から大きく外れるために、ラ
バールノズルの最大の効果が得られず、不必要に酸素ジ
ェットが減衰し、主にスラグ中のT.Feの増加に見ら
れるように、脱炭反応効率の低下が生じる。又、酸素ジ
ェットの非定常な乱れも大きくなり、精錬反応の安定化
並びに定常化が得られず、吹錬終了時の成分ばらつきも
大きくなる。尚、T.Feとはスラグ中の全ての鉄酸化
物(FeOやFe23 )の鉄分の合計値である。
【0008】これらの現象を抑制する目的で、吹錬末期
における反応効率の向上及び安定化を指向してランス高
さを更に低下させ、溶湯湯面での酸素ジェットの動圧を
高めた吹錬方法が採られることがあるが、この場合、吹
錬末期には送酸速度も大きく低下しているため、ランス
高さを相当な低位に維持する必要が生じ、鉄飛散による
上吹きランスへの鉄付着等の悪影響が無視できず、歩留
まりの低下及び操業性の悪化をもたらす。又、ランス高
さの低下により、酸素ジェットの浴面への衝突面積が小
さくなるため、反応界面積が減少してしまい、T.Fe
の低減に関して大きな効果を得ることは困難となる。
【0009】この問題を改善するために、特開平10−
30110号公報には、ラバールノズルのスロート径と
送酸速度とで決定されるラバールノズルの適正膨張出口
径Dに対し、高炭素域では0.85D〜0.94Dの出
口径を有する上吹きランスを用い、低炭素域では0.9
6D〜1.15Dの出口径を有する上吹きランスを用い
た転炉吹錬方法が開示されている。又、同一のラバール
ノズルを使用しても、送酸速度とラバールノズルのノズ
ル背圧Pとを変更することにより、適正膨張出口径Dに
対して出口径を上記の範囲に変更できるとしている。
【0010】しかしながら、この吹錬方法では、精錬の
制御を確実に行うためには形状の異なる2種類以上の上
吹きランスを使用しなければならず、設備上並びに操業
上の煩雑さが無視できない。又、同一の上吹きランスを
使用した場合には、高炭素域及び低炭素域の双方で最適
範囲にとどめることが必要であり、ラバールノズルの設
計が複雑になると共に、特に、吹錬初期から中期の高炭
素域においては吹錬時間の短縮や高生産性を目的として
高い送酸速度を確保し、且つ、吹錬末期においては送酸
速度を低く保持したい場合には、上記範囲を逸脱してし
まう。即ち、送酸速度の調整幅が限定されてしまい、炉
内状況に応じて送酸速度を自由に変更できない等の問題
点が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、送酸速度
の調整幅が広く、炉内状況に応じて送酸速度を自由に変
更することが可能であり、且つ、高炭素域での高送酸速
度時の鉄飛散やダスト発生を低減し、更に、吹錬末期で
の低送酸速度時の鉄酸化を抑制すると共に反応の安定化
を向上させることができる転炉吹錬方法、並びに、それ
に用いる転炉吹錬用上吹きランスを提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、ラバールノズルの設計条件、特にラ
バールノズルのノズル背圧Pに着目して鋭意研究を行っ
た。その結果、吹錬末期における低い送酸速度の条件に
基づいて低いノズル背圧Pでラバールノズルを設計する
こと、即ち吹錬末期の低い送酸速度及び低いノズル背圧
Pの条件でラバールノズルを最適化することにより、上
記課題を解決することができるとの知見を得た。以下、
検討結果を説明する。
【0013】酸素吹錬中の転炉内挙動は、その反応挙動
の違いから高炭素域(C>0.6mass%)と低炭素域
(C≦0.6mass%)とに大別される。高炭素域では、
供給される酸素はほぼ全量脱炭に費やされ、反応は酸素
の供給律速であり、高い送酸速度で吹錬が行われる。一
方、低炭素域では、酸素の供給律速から炭素の移動律速
に変わり、酸素の一部が鉄の酸化にも費やされるので、
鉄の酸化を抑制して脱炭酸素効率を高めるために送酸速
度を低減させている。
【0014】このとき、高炭素域での吹錬では、鉄飛散
やダスト発生を低減させるために、高い送酸速度を維持
したまま、溶湯湯面での酸素ジェットの動圧は低くする
必要がある。但し、不必要な2次燃焼の回避並びに脱炭
酸素効率の高位維持のため、幾何学的な酸素ジェットの
形状及び軌跡はできるだけ同条件に保持する必要があ
る。一方、低炭素域では、脱炭酸素効率を高めるために
送酸速度を低減させるが、これに伴って酸素ジェットの
動圧も大幅に低下するため、そのままでは脱炭酸素効率
の低下、即ち鉄の酸化増大をもたらす。又、その悪化度
合いは送酸速度を低くするほど大きくなる。そのため、
浴面での酸素ジェットの動圧を可能な限り高く維持した
いが、ランス高さを低下させて酸素ジェットの動圧を増
大させることは、浴面からの輻射による上吹きランス先
端の損耗や浴面からの鉄飛散に起因する上吹きランスへ
の地金付きを著しく増大させるために限界がある。この
ように高炭素域と低炭素域とでは相反する要求があり、
しかも、ランス高さ等の操業条件の変更は可能な限り避
けて対処する必要がある。
【0015】そこで、形状の異なる種々のラバールノズ
ルについて、酸素ジェットの噴出流速とノズル背圧Pと
の関係を調査した。その結果、理論的に求められる最適
なノズル背圧Pにおいて、理論値に近い噴出流速が得ら
れることが分かった。酸素ジェットの噴出流速とノズル
背圧Pとの関係を調査した結果の一例を図1に示す。図
1において、破線は理論値を示し、●印は、ノズル背圧
Pが382kPa (3.9kgf /cm2 )の時に吹き付けら
れる酸素が最も適正に膨張して超音速化されるように設
計された、即ち、設計ノズル背圧Poが382kPa であ
るラバールノズルAでの測定値であり、又、○印は、設
計ノズル背圧Poが598kPa (6.1kgf /cm2 )で
あるラバールノズルBでの測定値である。
【0016】尚、ラバールノズルにおいて、ノズル背圧
P(kPa )は、ラバールノズル1孔当たりの送酸速度F
h(Nm3 /hr)及びラバールのスロート径Dt(mm)と
下記の(1)式に示す関係があり、(1)式に示すよう
にノズル背圧Pは送酸速度に比例する。ここで、ラバー
ルノズル1孔当たりの送酸速度Fhは、ラバールノズル
のスロート径Dtの総断面積に対する個々のラバールノ
ズルスロート径Dtの断面積の比と、送酸速度Fとを乗
算することにより求めることができ、通常、複数個のラ
バールノズルを設置する場合には、各ラバールノズルの
スロート径Dtを実質的に同一とするので、送酸速度F
をラバールノズルの設置個数で除算することにより求め
ることができる。又、本発明におけるノズル背圧P,P
oは絶対圧(真空の状態を圧力0とし、それを基準とし
て表示される圧力)で表示した圧力である。
【0017】
【数6】
【0018】図1に示すように、ラバールノズルの形状
に拘わらず、噴出流速は、ノズル背圧Pの増加に伴って
増大するが、ラバールノズルBで例示するように、設計
ノズル背圧Poに達するまでは理論値と比較して減衰し
ており、この減衰量はノズル背圧Pと設計ノズル背圧P
oとの差が大きいほど大きくなる。そして、ノズル背圧
Pが設計ノズル背圧Poに近づくにつれて理論値からの
減衰は低減し、設計ノズル背圧Poではほぼ理論値どお
りの超音速が得られる。ノズル背圧Pを設計ノズル背圧
Poを越えて更に増大していくと、噴出流速は増大する
が、ラバールノズルAで例示するように、理論値に対す
る減衰量がノズル背圧Pの増加と共に大きくなり、噴出
流速は緩やかに増加する。この現象、即ち設計ノズル背
圧Poを越えた領域での噴出流速の減衰度合いが大きく
なる現象は、設計ノズル背圧Poが低いラバールノズル
ほど大きく、特に、設計ノズル背圧Poが490kPa
(5kgf /cm2 )近傍以下のラバールノズルで大きくな
ることが分かった。
【0019】更に、ノズルAで観察されるように、設計
ノズル背圧Poが低いラバールノズルでは、設計ノズル
背圧Po(この場合382kPa )以下のノズル背圧Pに
おいては噴出流速の理論値との差が小さいことが分かっ
た。この傾向は設計ノズル背圧Poが低いほど顕著であ
り、種々検討の結果、設計ノズル背圧Poを490kPa
以下とすれば、理論値からの減衰が抑制されることが判
明した。即ち、設計ノズル背圧Poを490kPa 以下と
してラバールノズルを設計することにより、設計ノズル
背圧Po以下のノズル背圧Pにおける噴出流速の理論値
からの減衰を抑えることが可能であることが分かった。
【0020】即ち、吹錬末期における酸素ジェットの動
圧を増大させるためには、吹錬末期の低炭素域における
低い送酸速度及び低いノズル背圧P、特に490kPa 以
下のノズル背圧Pに基づいて設計すれば、理論値に近
い、高い酸素ジェット動圧が吹錬末期に得られるとの知
見を得た。
【0021】又、吹錬末期の低炭素域での送酸速度に基
づいて設計したラバールノズルを用いて高炭素域を高送
酸速度で吹錬する場合には、前述した図1に示すラバー
ルノズルAに例示するように、噴出流速の増加が抑えら
れ、高送酸速度に基づいて設計されたラバールノズルに
比べて噴出流速が低下し、酸素ジェットのエネルギーが
低位に維持される。そして、高送酸速度域における噴出
流速の理論値からの低減度合いは、図1に示すラバール
ノズルAに例示するように、操業時のノズル背圧Pを4
90kPa 以下と低くして設計したラバールノズルを用い
た場合に大きいとの知見が得られた。更に、このラバー
ルノズルにおいては、ノズル背圧Pが設計ノズル背圧P
oよりも極めて高い領域(高送酸速度域)に至っても減
衰効果を持続しつつ送酸することができるので、送酸速
度の上限を設定する必要はなく、従って、幅広い送酸速
度での吹錬が可能であるとの知見も得られた。
【0022】この場合に、吹錬の初期から中期の高炭素
域における送酸速度を、吹錬末期の低炭素域における送
酸速度の1.8倍以上とすることで、噴出流速の減衰効
果が大きくなり、高炭素域でのダスト発生の抑制効果が
大きくなることが分かった。但し、図1に示すノズルB
のように、設計ノズル背圧Poが490kPa を越えるラ
バールノズルでは減衰効果は小さく、ダスト発生の抑制
効果はさほど期待できない。即ち、設計ノズル背圧Po
を490kPa 以下としたラバールノズルを使用する必要
があることが分かった。
【0023】これらの調査結果から、吹錬の初期から中
期の高炭素域における溶湯湯面での酸素ジェットの動圧
を低減し、且つ、吹錬末期の低炭素域における酸素ジェ
ットの動圧を増大させるためには、高炭素域の送酸速度
に基づいてラバールノズルを設計するのではなく、吹錬
末期の低炭素域における低い送酸速度及び低いノズル背
圧P、特に490kPa 以下のノズル背圧Pに基づいて設
計すれば、吹錬の初期から中期においてはダスト発生が
抑制され、吹錬末期においては理論値に近い、高い酸素
ジェット動圧が得られるとの知見を得た。但し、ラバー
ルノズルの設計に当たっては、設計の際に用いる設計ノ
ズル背圧Poは、実際の操業時のノズル背圧Pに等しい
ことが理想的であるが、実操業では両者を常に一致させ
ることは困難な場合が多い。しかしながら、鋭意研究の
結果、操業時の実際のノズル背圧Pに対する設計ノズル
背圧Poの比(Po/P)が0.85〜1.15の範囲
であれば、噴出流速の制御が可能であり、十分低位に
T.Feを制御可能であることが分かった。
【0024】ここで、転炉吹錬用ランスのラバールノズ
ルにおいては、設計上、設計ノズル背圧Po(kPa )
と、雰囲気圧Pe(kPa )と、ラバールノズルのスロー
ト径Dt(mm)と、ラバールノズルの出口径De(mm)
とは、下記の(2)式の関係を満足している。ここで、
雰囲気圧Peとは、ラバールノズルの外部の雰囲気圧、
換言すれば、転炉内のガス雰囲気圧力であり、絶対圧で
表示した圧力である。
【0025】
【数7】
【0026】従って、設計ノズル背圧Poを490kPa
以下としたラバールノズルにおいては、設計ノズル背圧
Po=490kPa 、雰囲気圧Pe=101kPa (大気
圧)を上記の(2)式に代入することにより、ラバール
ノズルの出口径Deとスロート径Dtとの比(De/D
t)は、一義的に下記の(3)式により定まることにな
る。
【0027】
【数8】
【0028】ここで、通常の転炉脱炭吹錬、即ち溶鋼量
が50トン以上の商業用転炉吹錬においては、高炭素域
におけるノズル背圧Pは980kPa 近傍以上であること
が多く、吹錬末期の低炭素域においても490kPa を越
えるノズル背圧Pで操業している。これは、従来のよう
なスラグ量が多い場合(およそ溶鋼トン当たり50kg以
上)においては、酸素ジェットがスラグを貫通するに十
分なノズル背圧Pが必要であったためである。換言すれ
ば、設計ノズル背圧Poが490kPa 以下のラバールノ
ズルは、スラグ量が溶鋼トン当たり50kg未満の転炉吹
錬において、その効果を如何なく発揮する。尚、小型の
試験転炉においては、このような問題は考慮する必要は
なく、設備上も低圧設計になっており、本発明の対象と
するところではない。
【0029】図2は、設計ノズル背圧Poと、高炭素域
における同一送酸速度での1吹錬当たりのダスト発生量
との関係を示す図であり、図2からも明らかなように、
設計ノズル背圧Poを490kPa 以下としたラバールノ
ズルを用いることにより、高送酸速度域における噴出流
速の増加が抑制され、ダスト発生量は低位安定している
ことが分かる。一方、設計ノズル背圧Poが490kPa
を越えるラバールノズルを用いた吹錬では、ダスト発生
の抑制が不十分であることが分かる。尚、図2は後述す
る実施例に示す転炉を用い、設計ノズル背圧Poが28
5〜765kPaである種々のラバールノズルを用い、送
酸速度等の操業条件を同一条件として高炭素域で溶銑を
吹錬した試験から得られた結果である。
【0030】この試験において、どのラバールノズルに
おいても高送酸速度側の上限は確認されず、如何なる送
酸速度であっても吹錬可能であった。従って、490kP
a 以下の設計ノズル背圧Poで設計すれば、高炭素域で
の送酸速度に拘わらず、ダストの低減効果が得られ、高
酸素域及び低酸素域での送酸速度を自由に採ることが可
能であることが分かった。
【0031】このように、低いノズル背圧Pに基づきラ
バールノズルを設計することで、ダスト低減効果が得ら
れ、更に、高いノズル背圧Pで設計していた従来のラバ
ールノズルと比較して、吹錬末期の低送酸速度域でのノ
ズル背圧Pが設計ノズル背圧Poに近づくため、吹錬末
期での酸素ジェットの最適化が達成される。当然ではあ
るが、吹錬末期のノズル背圧Pを設計ノズル背圧Poに
合致させれば、酸素ジェットの最適化は最大となる。
【0032】本発明は上記検討結果に基づきなされたも
ので、第1の発明に係る転炉吹錬方法は、その先端にラ
バールノズルが設置された上吹きランスを用い、溶湯の
炭素濃度に応じて異なる送酸速度で吹錬する転炉吹錬方
法において、吹錬末期の低炭素域での送酸速度F(Nm3
/hr)から定まるラバールノズル1孔当たりの送酸速度
Fh(Nm3 /hr)と、ラバールノズルのスロート径Dt
(mm)とから、上記の(1)式により定まるノズル背圧
P(kPa )に対し、その比(Po/P)が0.85〜
1.15の範囲で且つ490kPa 以下となる設計ノズル
背圧Po(kPa )と、雰囲気圧Pe(kPa )と、前記ス
ロート径Dt(mm)とから、上記の(2)式により定ま
る出口径De(mm)を有するラバールノズルを備えた上
吹きランスを用いて吹錬することを特徴とするものであ
る。
【0033】第2の発明に係る転炉吹錬方法は、第1の
発明において、前記上吹きランスが複数個のラバールノ
ズルを有し、その内の一部のラバールノズルが前記
(1)式並びに(2)式により定まる出口径De(mm)
を有していることを特徴とするものである。
【0034】第3の発明に係る転炉吹錬方法は、その先
端にラバールノズルが設置された上吹きランスを用い、
溶湯の炭素濃度に応じて異なる送酸速度で吹錬する転炉
吹錬方法において、その出口径Deとスロート径Dtと
の比(De/Dt)が上記の(3)式により定まるラバ
ールノズルを備えた上吹きランスを用いて吹錬すること
を特徴とするものである。
【0035】第4の発明に係る転炉吹錬方法は、第3の
発明において、前記ラバールノズルのスロート径Dt
は、吹錬末期の低炭素域での送酸速度F(Nm3 /hr)か
ら定まるラバールノズル1孔当たりの送酸速度Fh(Nm
3 /hr)と、490kPa 以下の条件下のノズル背圧Pと
から、上記の(1)式により定まることを特徴とするも
のである。
【0036】第5の発明に係る転炉吹錬方法は、第3の
発明又は第4の発明において、前記上吹きランスが複数
個のラバールノズルを有し、その内の一部のラバールノ
ズルが前記(3)式により定まる、出口径Deとスロー
ト径Dtとの比(De/Dt)を有していることを特徴
とするものである。
【0037】第6の発明に係る転炉吹錬方法は、第1の
発明ないし第5の発明の何れかにおいて、吹錬末期の低
炭素域ではノズル背圧Pを490kPa 以下として吹錬す
ることを特徴とするものである。
【0038】第7の発明に係る転炉吹錬方法は、第1の
発明ないし第6の発明の何れかにおいて、吹錬の初期か
ら中期における高炭素域での送酸速度を吹錬末期の低炭
素域での送酸速度の1.8倍以上とすることを特徴とす
るものである。
【0039】第8の発明に係る転炉吹錬方法は、第1の
発明ないし第7の発明の何れかにおいて、転炉内のスラ
グ量が溶鋼トン当たり50kg未満であることを特徴とす
るものである。
【0040】第9の発明に係る転炉吹錬用上吹きランス
は、その先端にラバールノズルが設置された転炉吹錬用
上吹きランスにおいて、前記ラバールノズルの出口径D
eとスロート径Dtとの比(De/Dt)が上記の
(3)式の範囲内であることを特徴とするものである。
【0041】第10の発明に係る転炉吹錬用上吹きラン
スは、第9の発明において、転炉内のスラグ量が溶鋼ト
ン当たり50kg未満の吹錬に用いられることを特徴とす
るものである。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面を参照して説明する。図3は、本発明の一実施形態
に係る上吹きランスの概略断面図、図4は、図3に示す
ラバールノズルの概略拡大断面図である。
【0043】図3に示すように、上吹きランス1は、円
筒状のランス本体2と、このランス本体2の下端に溶接
等により接続されたランスノズル3とで構成されてお
り、そして、ランス本体2は、外管8、中管9、内管1
0の同心円状の3種の鋼管、即ち三重管で構成され、銅
製のランスノズル3には、鉛直下向き方向又は鉛直斜め
下向き方向にラバールノズル4が設置されている。
【0044】外管8と中管9との間隙、及び、中管9と
内管10との間隙は、上吹きランス1を冷却するための
冷却水の流路となっており、上吹きランス1の上部に設
けられた給水継手(図示せず)から供給された冷却水は
中管9と内管10との間隙を通ってランスノズル3の部
位まで至り、ランスノズル3の部位で反転して外管8と
中管9との間隙を通って上吹きランス1の上部に設けら
れた排水継手(図示せず)から排出される。給排水の経
路を逆としても良い。又、内管10の内部はラバールノ
ズル4への酸素の供給流路となっており、上吹きランス
1の上端部から内管10内に供給された酸素は、内管1
0を通り、ラバールノズル4から転炉(図示せず)内に
噴出される。
【0045】ラバールノズル4は、図4に示すように、
その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体
で構成され、縮小部分を絞り部5、拡大部分をスカート
部7、絞り部5からスカート部7に遷移する部位であ
る、最も狭くなった部位をスロート6と呼び、1個ない
し複数個のラバールノズル4がランスノズル3に設けら
れている。ランス本体2の内部を通ってきた酸素は、絞
り部5、スロート6、スカート部7を順に通って、超音
速又は亜音速のジェットとして転炉内に供給される。図
4中のDtはスロート径、Deは出口径であり、スカー
ト部7の広がり角度θは通常10度以下である。
【0046】尚、図4に示すラバールノズル4では絞り
部5及びスカート部7が円錐体であるが、ラバールノズ
ルとしては絞り部5及びスカート部7は円錐体である必
要はなく、内径が曲線的に変化する曲面で構成しても良
く、又、絞り部5はスロート6と同一の内径であるスト
レート状の円筒形としても良い。絞り部5及びスカート
部7を、内径が曲線的に変化する曲面で構成する場合に
は、ラバールノズルとして理想的な流速分布が得られる
が、ノズルの加工が極めて困難であり、一方、絞り部5
をストレート状の円筒形とした場合には、理想的な流速
分布とは若干解離するが、転炉吹錬で使用には全く問題
とならず、且つ、ノズルの加工が極めて容易となる。本
発明ではこれら全ての末広がりのノズルをラバールノズ
ルと称する。
【0047】本発明においては、このように構成される
ラバールノズル4の形状を吹錬に先立ち、以下に示す2
つの手順によって決定する。
【0048】第1のラバールノズル4の形状を決める方
法は、以下のように行う。先ず、吹錬末期の低炭素域に
おける上吹きランス1からの送酸速度F(Nm3 /hr)か
ら、1つのラバールノズル4での送酸速度Fh(Nm3
hr)を求める。ここで、吹錬末期の低炭素域とは溶湯中
の炭素濃度が0.6mass%以下の範囲であり、送酸速度
Fとは炭素域がこの範囲における送酸速度であり、炭素
濃度が0.6mass%以下の範囲において送酸速度を変化
させる場合には、その内の任意の送酸速度とする。但
し、溶湯中の炭素濃度が0.6mass%以下の範囲におい
て送酸速度を様々に変える場合には、その内の送酸速度
の代表値や加重平均値等としても良い。
【0049】送酸速度Fh(Nm3 /hr)とラバールノズ
ル4のスロート径Dt(mm)とから、前述した(1)式
によりノズル背圧P(kPa )を定める。ここで、ノズル
背圧Pとは、ランス本体2内、即ちラバールノズル4の
入側の酸素の圧力である。
【0050】そして、このようにして定めたノズル背圧
Pに対する比(Po/P)が0.85〜1.15の範囲
となり、且つ、その値が490kPa 以下となる設計ノズ
ル背圧Poを決定し、この設計ノズル背圧Po(kPa )
と、雰囲気圧Pe(kPa )と、スロート径Dt(mm)と
を用いて、前述した(2)式により出口径De(mm)を
求める。このとき、設計ノズル背圧Poが490kPa を
越えてしまう場合には、設計ノズル背圧Poが490kP
a 以下となるように、送酸速度Fh又はスロート径Dt
若しくは両者を変更する。ここで、雰囲気圧Peは、通
常の転炉吹錬では大気圧である。
【0051】又、第2のラバールノズル4の形状を決め
る方法は、以下のように行う。即ち、設計ノズル背圧P
oが490kPa 以下のラバールノズル4では、ラバール
ノズル4の出口径Deとスロート径Dtとの比(De/
Dt)は、一義的に前述の(3)式を満足する。従っ
て、出口径Deとスロート径Dtとの比(De/Dt)
を(3)式を満足する任意の値に設定し、そして、吹錬
末期の低炭素域における上吹きランス1からの送酸速度
F(Nm3 /hr)から、1つのラバールノズル4での送酸
速度Fh(Nm3 /hr)を求め、求めた送酸速度Fh(Nm
3 /hr)と、490kPa 以下の条件下のノズル背圧Pと
を用いて、前述した(1)式によりラバールノズル4の
スロート径Dtを定める。スロート径Dtを定めること
により、出口径Deも自ずと定まる。
【0052】このようにして形状を決定したラバールノ
ズル4を有するランスノズル3を製作し、ランス本体2
の下端に接続して上吹きランス1を構成する。ランスノ
ズル3が複数個のラバールノズル4を有している場合に
は、その内の一部のラバールノズル4のみを上記のよう
にして決定した形状としても良い。但し、この場合に
は、目的とする効果は若干低下する。
【0053】そして、この上吹きランス1を用いて、高
炉等で製造された溶銑を転炉内で吹錬する。この吹錬に
おいて、吹錬末期の低炭素域では、酸素ジェットの動圧
低下を抑えるために、ノズル背圧Pを490kPa 以下と
して吹錬することが好ましい。この場合、溶湯の炭素濃
度が0.6mass%になったならば、直ちにノズル背圧P
を490kPa 以下にする必要はなく、上記の送酸速度F
hを求めた送酸速度に変更する時期に合わせて実施すれ
ば良い。但し、吹錬末期の低炭素域においてノズル背圧
Pを490kPa を越える値としても、従来ランスに比較
して酸素ジェットの動圧低下を抑えることができる。こ
れは、本発明のラバールノズル4では設計ノズル背圧P
oが490kPa 以下と低いため、吹錬末期に送酸速度を
下げた場合には、ノズル背圧Pが設計ノズル背圧Poに
近づくためである。
【0054】一方、吹錬の初期から中期における高炭素
域(C>0.6mass%)では、送酸速度及びノズル背圧
Pに拘わることなく、この上吹きランス1を用い、高送
酸速度及び高ノズル背圧P等の精錬反応に見合った任意
の条件で吹錬することが可能である。但し、酸素ジェッ
トの噴出流速を効率良く減衰させるために、高炭素域で
の送酸速度を、低炭素域での送酸速度の1.8倍以上と
することが好ましい。
【0055】転炉吹錬の際の炉内スラグ量が少ない場合
には、スラグに覆われる溶湯の比率が低下し、高炭素域
におけるダストや鉄飛散の発生量が増大する。本発明の
ラバールノズル4は高炭素域でのダストや鉄飛散の発生
を抑制する効果が強く、従って、炉内スラグ量が溶鋼ト
ン当たり50kg未満、望ましくは30kg以下の吹錬に本
発明を適用することにより、その効果をより一層発揮さ
せることができる。
【0056】転炉内の溶銑をこのようにして吹錬するこ
とにより、吹錬末期における酸素ジェットの噴出流速を
最適化すること、即ち、吹錬末期の酸素ジェットの動圧
を理論値に近い値まで増大させることが可能となり、鉄
の酸化を抑制することができると共に、高炭素域の高送
酸速度領域での噴出流速を低下することができ、酸素ジ
ェットエネルギーの低位維持がもたらされ、鉄飛散やダ
スト発生を軽減することができる。そのため、吹錬全体
での鉄歩留まりを向上することができ、操業の安定化が
達成される。
【0057】又、本発明では、低炭素域での送酸速度に
対して高炭素域での送酸速度を任意に設定することが可
能であり、即ち、幅広い送酸速度の調整幅で吹錬するこ
とが可能であり、そのため、炉内状況に応じて送酸速度
を自由に変更することができるという利点も有してい
る。
【0058】
【実施例】[実施例]容量が250トンで、酸素を上吹
きし、攪拌用ガスを底吹きする上底吹き複合吹錬用転炉
内に約250トンの溶銑を装入し、主として脱炭吹錬を
行った。用いた溶銑は、転炉前工程である溶銑予備処理
設備にて脱硫処理及び脱燐処理が施された溶銑である。
転炉内には石灰系フラックスを添加し、少量のスラグ
(溶鋼トン当たり50kg未満)を生成させている。転炉
々底に設置した羽口からは、溶湯攪拌を目的としてアル
ゴン又は窒素を毎分10Nm3 程度吹き込んだ。上方から
転炉内に挿入された上吹きランスから、吹錬初期から中
期にわたっては、ノズル背圧Pが853kPa (8.7kg
f /cm2 )、送酸速度Fが60000Nm3 /hrの条件で
送酸し、溶湯の炭素濃度が0.6mass%以下となった吹
錬末期には、ノズル背圧Pが480kPa (4.9kgf /
cm2 )、送酸速度Fが34000Nm3 /hrの条件で送酸
した。
【0059】用いた上吹きランスは、ラバールノズルが
5個設置された5孔ノズルタイプであり、吹錬末期の送
酸条件によりその形状を決定した。即ち、送酸速度Fh
が6800Nm3 /hr 、ノズル背圧Pが480kPa の条
件から、(1)式によりスロート径Dtを55mmとし、
又、設計ノズル背圧Poを422kPa (4.3kgf /cm
2 )(Po/P=0.88)として、設計ノズル背圧P
oが422kPa 、雰囲気圧Peが101kPa (大気
圧)、スロート径Dtが55mmの条件から、(2)式に
より出口径Deを62mmとした。
【0060】5孔のラバールノズルを全てこの形状とし
て吹錬し、吹錬中は乾式のダスト測定装置を用いて排ガ
ス中のダスト量を測定した。又、吹錬終了時には転炉内
のスラグを採取して、スラグ中のT.Feを調査した。
100ヒートを越える吹錬結果から、このランスを用い
た吹錬におけるダスト発生量は溶鋼トン当たり8kgであ
り、又、吹錬を炭素量が0.05mass%で吹き止めた際
のスラグ中のT.Feは12mass%であった。
【0061】[比較例1]実施例と同一の転炉を用い、
溶銑予備処理を施した溶銑を5孔ノズルタイプの上吹き
ランスにより実施例と同一条件で吹錬した。但し、ラバ
ールノズルの形状は、吹錬の初期から中期にわたる送酸
条件によりその形状を決定した。即ち、送酸速度Fhが
12000Nm3 /hr 、ノズル背圧Pが853kPa
(8.7kgf /cm2 )の条件から、(1)式によりスロ
ート径Dtを55mmとし、又、設計ノズル背圧Poを8
53kPa (Po/P=1.0)として、設計ノズル背圧
Poが853kPa 、雰囲気圧Peが101kPa (大気
圧)、スロート径Dtが55mmの条件から、(2)式に
より出口径Deを74mmとした。このように、スロート
径Dtは実施例と同一であったが、出口径Deは実施例
と大幅に異なっていた。
【0062】5孔のラバールノズルを全てこの形状とし
て吹錬し、吹錬中は乾式のダスト測定装置を用いて排ガ
ス中のダスト量を測定した。又、吹錬終了時には転炉内
のスラグを採取して、スラグ中のT.Feを調査した。
100ヒートを越える吹錬結果から、このランスを用い
た吹錬におけるダスト発生量は溶鋼トン当たり13kgで
あり、又、吹錬を炭素量が0.05mass%で吹き止めた
際のスラグ中のT.Feは19mass%であり、ダスト低
減及びT.Fe低減効果ともに実施例と比較して少なか
った。
【0063】[比較例2]実施例と同一の転炉を用い、
溶銑予備処理を施した溶銑を5孔ノズルタイプの上吹き
ランスにより吹錬した。送酸条件は、吹錬初期から中期
にわたっては、ノズル背圧Pが853kPa (8.7kgf
/cm2 )、送酸速度Fが60000Nm3 /hrの条件で送
酸し、溶湯の炭素濃度が0.6mass%以下となった吹錬
末期には、ノズル背圧Pが520kPa (5.3kgf /cm
2 )、送酸速度Fが34000Nm3/hrの条件で送酸し
た。その他は実施例と同一とした。
【0064】ラバールノズルの形状は、吹錬末期の送酸
条件によりその形状を決定した。即ち、送酸速度Fhが
6800Nm3 /hr 、ノズル背圧Pが520kPa (5.
3kgf/cm2 )の条件から、(1)式によりスロート径
Dtを53mmとし、又、設計ノズル背圧Poを520kP
a (Po/P=1.0)として、設計ノズル背圧Poが
520kPa 、雰囲気圧Peが101kPa (大気圧)、ス
ロート径Dtが53mmの条件から、(2)式により出口
径Deを62mmとした。このように、スロート径Dtは
実施例と異なっていたが、出口径Deは実施例と同一で
あった。
【0065】5孔のラバールノズルを全てこの形状とし
て吹錬し、吹錬中は乾式のダスト測定装置を用いて排ガ
ス中のダスト量を測定した。又、吹錬終了時には転炉内
のスラグを採取して、スラグ中のT.Feを調査した。
100ヒートを越える吹錬結果から、このランスを用い
た吹錬におけるダスト発生量は溶鋼トン当たり12kgで
あり、又、吹錬を炭素量が0.05mass%で吹き止めた
際のスラグ中のT.Feは13mass%であった。このよ
うに、吹錬末期のノズル背圧Pを490kPa 以上とし、
その条件で設計したラバールノズルを用いた場合には、
吹錬末期の鉄の酸化は抑制されるが、高炭素域での反応
が支配的となるダスト発生に関しては効果が少なかっ
た。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
広い送酸速度の調整幅を確保することが可能であり、且
つ、転炉吹錬の末期における送酸が最適化され、鉄の酸
化を抑制することが可能になると共に、高炭素域の高送
酸速度領域での噴出流速を低下することができるので、
高炭素域でのダスト発生も抑制することが可能となり、
その結果、吹錬全体での鉄歩留まりを大幅に向上するこ
とができ且つ操業の安定化が達成され、工業上極めて有
益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素ジェットの噴出流速とノズル背圧Pとの関
係を示す図である。
【図2】設計ノズル背圧Poと1吹錬当たりのダスト発
生量との関係を示す図である。
【図3】本発明で用いた上吹きランスの概略断面図であ
る。
【図4】本発明で用いたラバールノズルの概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1 上吹きランス 2 ランス本体 3 ランスノズル 4 ラバールノズル 5 絞り部 6 スロート 7 スカート部
フロントページの続き (72)発明者 川畑 涼 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 赤井 真一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山田 健三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鈴木 実 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小平 悟史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K070 AB03 AB18 AC03 AC14 BA07 BB02 BB05 BE05 CA20 CF02 EA08 EA09 EA10 EA15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その先端にラバールノズルが設置された
    上吹きランスを用い、溶湯の炭素濃度に応じて異なる送
    酸速度で吹錬する転炉吹錬方法において、吹錬末期の低
    炭素域での送酸速度F(Nm3 /hr)から定まるラバール
    ノズル1孔当たりの送酸速度Fh(Nm3 /hr)と、ラバ
    ールノズルのスロート径Dt(mm)とから、下記の
    (1)式により定まるノズル背圧P(kPa )に対し、そ
    の比(Po/P)が0.85〜1.15の範囲で且つ4
    90kPa 以下となる設計ノズル背圧Po(kPa )と、雰
    囲気圧Pe(kPa )と、前記スロート径Dt(mm)とか
    ら、下記の(2)式により定まる出口径De(mm)を有
    するラバールノズルを備えた上吹きランスを用いて吹錬
    することを特徴とする転炉吹錬方法。 【数1】 【数2】
  2. 【請求項2】 前記上吹きランスが複数個のラバールノ
    ズルを有し、その内の一部のラバールノズルが前記
    (1)式並びに(2)式により定まる出口径De(mm)
    を有していることを特徴とする請求項1に記載の転炉吹
    錬方法。
  3. 【請求項3】 その先端にラバールノズルが設置された
    上吹きランスを用い、溶湯の炭素濃度に応じて異なる送
    酸速度で吹錬する転炉吹錬方法において、その出口径D
    eとスロート径Dtとの比(De/Dt)が下記の
    (3)式により定まるラバールノズルを備えた上吹きラ
    ンスを用いて吹錬することを特徴とする転炉吹錬方法。 【数3】
  4. 【請求項4】 前記ラバールノズルのスロート径Dt
    は、吹錬末期の低炭素域での送酸速度F(Nm3 /hr)か
    ら定まるラバールノズル1孔当たりの送酸速度Fh(Nm
    3 /hr)と、490kPa 以下の条件下のノズル背圧Pと
    から、下記の(1)式により定まることを特徴とする請
    求項3に記載の転炉吹錬方法。 【数4】
  5. 【請求項5】 前記上吹きランスが複数個のラバールノ
    ズルを有し、その内の一部のラバールノズルが前記
    (3)式により定まる、出口径Deとスロート径Dtと
    の比(De/Dt)を有していることを特徴とする請求
    項3又は請求項4に記載の転炉吹錬方法。
  6. 【請求項6】 吹錬末期の低炭素域ではノズル背圧Pを
    490kPa 以下として吹錬することを特徴とする請求項
    1ないし請求項5の何れか1つに記載の転炉吹錬方法。
  7. 【請求項7】 吹錬の初期から中期における高炭素域で
    の送酸速度を吹錬末期の低炭素域での送酸速度の1.8
    倍以上とすることを特徴とする請求項1ないし請求項6
    の何れか1つに記載の転炉吹錬方法。
  8. 【請求項8】 転炉内のスラグ量が溶鋼トン当たり50
    kg未満であることを特徴とする請求項1ないし請求項7
    の何れか1つに記載の転炉吹錬方法。
  9. 【請求項9】 その先端にラバールノズルが設置された
    転炉吹錬用上吹きランスにおいて、前記ラバールノズル
    の出口径Deとスロート径Dtとの比(De/Dt)が
    下記の(3)式の範囲内であることを特徴とする転炉吹
    錬用上吹きランス。 【数5】
  10. 【請求項10】 転炉内のスラグ量が溶鋼トン当たり5
    0kg未満の吹錬に用いられることを特徴とする請求項9
    に記載の転炉吹錬用上吹きランス。
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