JP2002212116A - オクタフルオロプロパンの精製方法および製造方法並びにその用途 - Google Patents

オクタフルオロプロパンの精製方法および製造方法並びにその用途

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    • C07C17/395Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by treatment giving rise to a chemical modification of at least one compound

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係るオクタフルオロプロパンの
精製方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパ
ンを、不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤
と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロパ
ンから前記不純物を実質的に除去することを特徴として
いる。 【効果】 本発明のオクタフルオロプロパンの精製方法
あるいは製造方法によれば、塩素化合物等の不純物を実
質的に除去することができ、高純度のオクタフルオロプ
ロパンを容易に得ることができる。また、本発明の精製
方法により得られるオクタフルオロプロパンは、不純物
を実質的に含んでいないので、半導体デバイス製造プロ
セス等で用いるエッチングガス、あるいはクリーニング
ガスとして用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、オクタフルオロプロパン
の精製方法、高純度オクタフルオロプロパンの製造方
法、高純度オクタフルオロプロパンおよびその用途に関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、半導体デバイス製造プ
ロセスにおいては、半導体回路を構成する各種の薄膜材
料に回路パターンを形成するための手法の一つとして、
薄膜材料を部分的に除去するガスエッチングが行われる
とともに、薄膜形成過程での反応容器内等に付着した薄
膜原料を除去するため、クリーニングガスなどにより付
着物を除去することが行われている。このような半導体
デバイス製造プロセスにおいては、有用なエッチングガ
スあるいはクリーニングガスの一つとして、従来よりオ
クタフルオロプロパン(以下「FC−218」というこ
とがある。)が用いられている。
【0003】一方、近年、電気機器あるいは電子機器の
高性能化、小型化、高密度配線化等にともない、回路基
板の電極はより微細化する傾向にあり、エッチング等に
よる回路パターン形成をより高精度で行うために、不純
物が極力排除された高純度のエッチングガスを用いるこ
とが求められている。エッチングガスに微量であっても
不純物が含まれていると、微細なパターン形成において
広い幅線を生じさせたり、あるいは高密度集積回路を有
する製品の欠陥を増加させる要因となることがあるから
である。
【0004】またクリーニングガスによる付着物の除去
過程においても、純度、品質の高いデバイスを提供する
ため、クリーニング後の半導体デバイス製造プロセス中
の残留不純物をできるだけ低減させることが必要であ
り、不純物を実質的に含まない高純度のクリーニングガ
スの提供が求められている。従来、前記FC−218の
製造方法としては、たとえば、1−クロルプロパンを電
解フッ素化する方法(米国特許第3709800号公
報)、トリフルオロペンタクロロプロパンと三フッ化マ
ンガンとの反応(米国特許第2578721号公報)、
プロパン、プロピレン等とフッ化水素と塩素とを反応さ
せる方法(米国特許第520083号公報)などが知ら
れている。しかしながら、これらの方法は、いずれも原
料等に塩素を含む化合物を使用しているため、含塩素化
合物が副生物として生成し、不純物としてFC−218
に混入してしまう。
【0005】一方、塩素を含まない原料を用いてFC−
218を製造する方法として、たとえば、プロパンを電
解フッ素化する方法(米国特許第38400445号公
報)等が知られているが、装置が極めて複雑であり、収
率が低く、工業的に有利な方法とはいえなかった。ま
た、ヘキサフルオロプロペン(以下「FC−1216」
ということがある。)をフッ素化してFC−218を製
造する方法も知られている。たとえば、不活性ガスと反
応生成ガスによる希釈下で、FC−1216とフッ素ガ
スを反応させる方法(特公昭62−61682号公
報)、FC−1216をフッ化水素中電解フッ素化させ
る方法(特公昭62−61115号公報)、三フッ化コ
バルト、三フッ化マンガンおよび二フッ化銀から選択さ
れた、少なくとも1種を含む高次金属フッ化物を反応さ
せる方法(特公昭62−54777号公報)等が知られ
ている。
【0006】この場合、FC−1216を製造する方法
としては、たとえば、クロロジフルオロメタン(以下
「HCFC−22」ということがある。)の熱分解によ
り製造する方法、炭素原子数3のパーハロゲン化クロロ
フルオロカーボンをフッ素化後、脱ハロゲン化してFC
−1216を製造する方法(米国特許第5057634
号公報)等が知られている。
【0007】しかしながら、これらのFC−1216を
製造する方法も、通常、原料として含塩素化合物を使用
することから、得られるFC−1216中には、通常、
含塩素化合物が不純物として含まれ、その結果、そのF
C−1216を原料として製造したFC−218中に
も、未反応のFC−1216とともに含塩素化合物が含
まれることとなる。
【0008】そこで、このような含塩素化合物あるいは
未反応のFC−1216等のフルオロカーボン不純物
を、FC−218から除去することが必要となる。たと
えば、FC−218から蒸留等により分離する試みがな
されている。すなわち、FC−218に含まれる不純物
は、FC−218と沸点が異なれば理論的には蒸留によ
り分離することも可能である。しかしながら、下記表1
に示すように、不純物として混入することの多い、クロ
ロペンタフルオロエタン(以下「CFC−115」とい
うことがある。)、FC−1216、ジクロロジフルオ
ロメタン(以下「CFC−12」ということがある。)
およびHCFC−22の沸点は、それぞれFC−218
の沸点と近似しており、蒸留により不純物を分離して、
高純度なFC−218を得ることは非常に困難であっ
た。
【0009】
【表1】
【0010】このため、抽出蒸留法、膜分離法、吸着分
離法等の蒸留分離以外の精製方法も試みられている。し
かし、抽出蒸留法は設備コストが高く、プロセスが煩雑
である等の問題があり、膜分離法は、FC−218と不
純物を分離するために必要な特性を有する適当かつ実用
的な膜は現存せず、たとえば、FC−218中の不純物
含有量を1質量ppm以下というように高純度に精製す
ることは困難であった。
【0011】また、表2に示すように、FC−218
と、FC−115、FC−1216との分子径(安定型
構造時における計算値)にほとんど差がないこと、FC
−218と不純物の沸点差がないこと、さらにはFC−
218と不純物の構造と物性が相似しているため、たと
えば、公知の吸着剤、たとえば、活性炭、シリカゲル、
ゼオライト(モレキュラーシーブ)、モレキュラーシー
ビングカーボン(以下「MSC」という。)等の吸着剤
を用いた吸着分離法では、不純物を高純度に精製するこ
とは困難であった。
【0012】
【表2】
【0013】このうち、不純物の1つとなるFC−12
16は、活性炭およびMSC等により吸着除去すること
ができるが、FC−115等の含塩素化合物を分離する
ことは困難であった。このため、従来の精製方法では、
FC−115等の塩素化合物等のフルオロカーボン不純
物の含有濃度を1質量ppm未満にして、高純度なFC
−218を得ることは困難であった。
【0014】そこで本願発明者らは、上記問題を解決す
べく鋭意研究し、塩素化合物等の不純物を含有する粗オ
クタフルオロプロパンを、酸化鉄とアルカリ土類金属化
合物とを含有する不純物分解剤に接触させ、さらに吸着
剤に接触させると、実質的にこれらの不純物を容易に除
去できることを見出した。具体的には、CFC−11
5、FC−1216、CFC−12、CFC−13(ク
ロロトリフルオロメタン)、HCFC−22などのフル
オロカーボン不純物をたとえば10〜10,000質量
ppm程度の濃度で含有するFC−218を、不純物分
解剤と接触させ、さらに吸着剤に接触させることによ
り、これらの不純物を1質量ppm未満に低減できるF
C−218の精製方法を見いだし、本発明を完成するに
至った。
【0015】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、不純物を含有す
る粗オクタフルオロプロパンから不純物を実質的に除去
することができるオクタフルオロプロパンの精製方法を
提供することを目的とする。また、その精製工程を含む
オクタフルオロプロパンの製造方法、高純度オクタフル
オロプロパンおよびその用途を提供することを目的とす
る。
【0016】
【発明の概要】本発明に係るオクタフルオロプロパンの
精製方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパ
ンを、不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤
と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロパ
ンから前記不純物を実質的に除去することを特徴として
いる。
【0017】前記不純物分解剤は、酸化鉄およびアルカ
リ土類金属化合物からなることが好ましい。前記酸化鉄
は、酸化第二鉄であることが好ましく、このような酸化
第二鉄としては、γ―水酸化酸化鉄および/またはγ―
酸化第二鉄であることが好ましい。前記アルカリ土類金
属化合物は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ムおよびバリウムのいずれかのアルカリ土類金属の酸化
物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種
であることが好ましい。
【0018】前記不純物分解剤は、該不純物分解剤に対
して、酸化鉄を5〜40質量%、アルカリ土類金属化合
物を60〜95質量%の割合で含有することが好まし
い。前記不純物分解剤は、平均粒径が100μm以下で
ある前記酸化鉄の粉末と、平均粒径が100μm以下の
前記アルカリ土類金属化合物の粉末とからなる粒剤であ
ることが好ましい。
【0019】前記不純物分解剤は、平均粒径が0.5〜
10mmの範囲にある粒剤であることが好ましい。前記
粗オクタフルオロプロパンを前記不純物分解剤と接触さ
せる温度は、250℃〜380℃の範囲にあることが好
ましい。前記吸着剤は、活性炭、モレキュラーシーブお
よびモレキュラーシービングカーボンから選ばれる少な
くとも1種であることが好ましい。
【0020】前記粗オクタフルオロプロパンは、前記不
純物を10〜10,000質量ppmの量で含有してい
てもよい。前記不純物は、クロロペンタフルオロエタ
ン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフルオロ
メタンから選ばれる少なくとも1種の化合物であること
が好ましい。
【0021】実質的に不純物が除去されたオクタフルオ
ロプロパン中に残留する不純物の濃度は、1質量ppm
未満にすることができる。本発明に係るオクタフルオロ
プロパンの製造方法は、不純物を含有する粗オクタフル
オロプロパンを製造した後、該粗オクタフルオロプロパ
ンを不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と
接触させて、実質的に不純物が除去されたオクタフルオ
ロプロパンを得ることを特徴としている。
【0022】前記不純物を含有する粗オクタフルオロプ
ロパンを製造する工程は、ヘキサフルオロプロペンをフ
ッ素化するものであってもよい。また、前記不純物は、
クロロペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロペ
ン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメ
タンおよびクロロジフルオロメタンから選ばれる少なく
とも1種の化合物であってもよい。
【0023】本発明に係るオクタフルオロプロパンは、
塩素化合物の含有量が0.0001質量%未満であり、
かつ、純度が99.9999質量%以上であることを特
徴としている。本発明に係るガスは、前記オクタフルオ
ロプロパンを含有することを特徴としている。
【0024】本発明に係るエッチングガスは、前記ガス
からなることを特徴としている。本発明に係るクリーニ
ングガスは、前記ガスからなることを特徴としている。
【0025】
【発明の具体的説明】[精製方法]本発明に係るオクタ
フルオロプロパンの精製方法は、不純物を含有する粗オ
クタフルオロプロパンを、不純物分解剤と加熱下で接触
させ、次いで吸着剤と接触させることにより、前記粗オ
クタフルオロプロパンから前記不純物を実質的に除去す
る方法である。以下、まずこの精製方法について詳しく
説明する。なお、本明細書において、粗オクタフルオロ
プロパンとは、本発明に係る精製工程を経ていない、不
純物が含有されたオクタフルオロプロパンを指す。ま
た、実質的に除去されたとは、全く含まれていないか、
あるいはほとんど含まれていないことを意味する。不純物分解剤 本発明では、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物から
なる不純物分解剤を好ましく用いることができる。
【0026】酸化鉄としては、たとえば、酸化第一鉄、
酸化第二鉄などが挙げられるが、このうち酸化第二鉄を
好ましく用いることができる。酸化第二鉄のうちでは、
γ−FeOOH(γ−水酸化酸化鉄)、γ−Fe2
3(γ−酸化第二鉄)が好ましく、さらに好ましくはγ
−FeOOHを用いることが望ましい。これらの酸化鉄
は1種単独でまたは複数を併用して用いることもでき
る。
【0027】γ−FeOOHあるいはγ−Fe23が、
α−Fe23に比較して好ましく用いることができるの
は、酸化鉄の活性に関係するためであると推測される。
γ−FeOOHあるいはγ−Fe23は反応性がより高
く、塩素化合物に対する活性は、γ−FeOOH>γ−
Fe23>α−FeOOH>Fe23≫α−Fe23
順であった。このような塩素化合物に対する活性の相違
は、γ−FeOOHあるいはγ−Fe23中の鉄原子と
酸素原子との結合エネルギーが、α−FeOOH等のそ
れよりも小さいためであると推測される。
【0028】本発明で用いられるアルカリ土類金属化合
物は、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物あるいは炭
酸塩であることが好ましい。アルカリ土類金属としては
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリ
ウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属化合物の
うちでは、カルシウムの水酸化物または酸化物を用いる
ことが好ましく、水酸化カルシウムを用いることがさら
に好ましい。これらのアルカリ土類金属化合物は、1種
単独でまたは複数を併用して用いることができる。
【0029】本発明で用いられる不純物分解剤は、前記
酸化鉄および前記アルカリ土類金属化合物を、不純物分
解剤の全質量に対して、好ましくは酸化鉄を5〜40質
量%、アルカリ土類金属化合物を60〜95質量%の割
合で含有し、さらに好ましくは酸化鉄を20〜30質量
%、アルカリ土類金属化合物を70〜80質量%の割合
で含有することが望ましい。
【0030】不純物分解剤中の酸化鉄とアルカリ土類金
属化合物の含有割合が上記範囲にあると、後述するよう
に、不純物の分解と、不純物の分解により生成する分解
生成物の除去とを有効に行うことができると推測され、
酸化鉄とアルカリ土類金属化合物の特徴を最大限に活か
した、効率的な精製を行うことができる。不純物分解剤
を構成する前記酸化鉄と前記アルカリ土類金属化合物の
形状は特に限定されないが、それぞれ粒子状であること
が好ましい。前記酸化鉄および前記アルカリ土類金属の
形状が粒子状の場合、これらの配合前、すなわち不純物
分解剤を形成する前の平均粒子径はそれぞれ、好ましく
は100μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特
に好ましくは1μm以下であることが望ましく、また、
その下限値は、好ましくは0.01〜100μm、さら
に好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.
01〜1μmであることが望ましい。
【0031】酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物の粒
子の平均粒径が100μm以下であると、より高純度の
オクタフルオロプロパンを得ることができるとともに、
効率的な精製を行うことができる。これは、不純物分解
剤と不純物との接触に際し、酸化鉄およびアルカリ土類
金属化合物が微粉であるために、これらの比表面積が増
大するとともに、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物
が互いに分散しやすくなり、不純物を含有する粗オクタ
フルオロプロパンと、酸化鉄およびアルカリ土類金属と
の接触する面積と機会が増大するためであると推測され
る。
【0032】なお、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合
物中の不純物濃度および不純物の種類は、粗オクタフル
オロプロパン中の不純物の分解能力に影響を与えなけれ
ば特に制限されない。このような不純物分解剤の形状に
ついては限定されず、何れの形状でも有効に精製に用い
ることができるが、不純物分解剤としては、粒子形状の
粒剤であることが好ましい。この粒剤の具体的形状とし
ては、たとえば、ペレット状、球状などが挙げられる。
このような粒剤の平均粒径は好ましくは0.5〜10m
m、さらに好ましくは1〜5mmの範囲にあることが望
ましい。
【0033】粒剤の平均粒径が上記範囲にあると、粗オ
クタフルオロプロパンに含まれるフルオロカーボン等の
不純物と、不純物分解剤との接触機会が増大し、不純物
の分解と除去を効率的に行うことができる。不純物分解
剤の平均粒径が10mmより大きいと、ガスの吸着拡散
に関与する表面積が相対的に小さくなり、拡散速度が遅
くなることがある。また、不純物分解剤の平均粒径が
0.5mmより小さいと、吸着拡散に関与する表面積が
相対的に大きくなり、拡散速度は速くなるが、処理しよ
うとするガス量が多くなると差圧が大きくなることがあ
る。
【0034】このような酸化鉄およびアルカリ土類金属
化合物からなる不純物分解剤を得るには、酸化鉄および
アルカリ土類金属化合物の粉末を添加して混合すればよ
く、その製法は限定されない。前記粒剤の製造(造粒)
に当たっては、前記配合割合に従っていれば、水を加え
ることで十分造粒することができる。また、酸化鉄ある
いはアルカリ金属化合物の粒子径が多少粗い場合は、水
とともにバインダーを添加して造粒することもできる。
バインダーは得られる不純物分解剤の性能に影響を与え
ないものであれば、その種類、量は限定されず、無機系
バインダーであれば、たとえば、粘土、石膏など、有機
系バインダーであれば、たとえば、メチルセルロース、
ポリビニルアルコール、でんぷんなどの公知のものを使
用できる。
【0035】このような粒状の不純物分解剤は、たとえ
ば、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物を混合した
後、適量の水を加えて混練し、混練物を造粒することに
より、粒状の粒剤として得ることができる。このような
粒剤の調製に必要な混練機としては、前記混合および前
記造粒が同時に行えるものでもよいし、混合と造粒とを
別々に行うものであってもよい。このような混練機とし
ては、たとえば、混合と造粒を同時に行うものとしてヘ
ンシェルミキサー、縦型ミキサー等が挙げられ、また、
前記混合をヘンシェルミキサーあるいはV型混合機等で
行い、次に造粒を皿型造粒機やドラムペレタイザー等で
行うこともできる。
【0036】このようにして得られた粒剤は、その硬度
を高め、水分を蒸発させるために、空気あるいは窒素な
どの不活性ガス気流中、100〜150℃、3〜5時間
乾燥することが望ましい。乾燥後の不純物分解剤に含ま
れる水分量は、風環乾燥機で、110℃、2〜3時間乾
燥した減量が1質量%以下であればよい。このような不
純物分解剤を用いることにより、粗オクタフルオロプロ
パン中のフルオロカーボン等の不純物は不純物分解剤中
のアルカリ土類金属化合物と反応し、分解されると推定
される。すなわち、不純物としてのCFC−115は、
不純物分解剤中のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物
あるいは炭酸塩と反応し、アルカリ土類金属のフッ化物
および塩化物を生成するとともに、一酸化炭素および水
等を生成する。この反応過程で生成した一酸化炭素およ
び水は、鉄を触媒として反応し、さらに水素あるいはメ
タンを生成する。これらの反応が連続的に進行すること
により、CFC−115中の塩素が、生成した水素と置
換されて、ペンタフルオロエタン(以下「HFC−12
5」ということがある。)を生成すると推定される。ま
た、同様の反応機構により、CFC−115から、FC
−1114が生成する。すなわち、たとえばCFC−1
15からHFC−125が生成し、HFC−125から
HFが脱離することによりFC−1114が生成するも
のと推定される。これらの生成したフルオロカーボン
は、CFC−115(分子径4.3〜5.6Å)よりも
分子径が小さくなる。たとえば、HFC−125は、分
子径は3.4〜4.9Åであり、FC−1114は、分
子径は3.5〜4.9Åであり、オクタフルオロプロパ
ンの分子径(4.9〜6.1Å)との分子径の差が、C
FC−115とオクタフルオロプロパンの分子径の差と
比較して有為な差となるので、不純物分解剤との接触後
に行う吸着剤との接触により、これらを容易に除去でき
るものと推測される。なお、オクタフルオロプロパンは
比較的安定した化合物であるため、たとえば、250〜
380℃の範囲での加熱では、不純物分解剤と接触させ
ても分解しない。吸着剤 本発明に係る精製方法では、粗オクタフルオロプロパン
を不純物分解剤と加熱下で接触させた後、さらに吸着剤
と接触させる。
【0037】このような吸着剤としては、公知の吸着剤
を用いることができる。吸着剤としては、たとえば、活
性炭、ゼオライト(モレキュラーシーブ)あるいはモレ
キュラーシービングカーボンなどを好ましく用いること
ができる。このような活性炭、モレキュラーシービング
カーボンなどは酸処理、熱処理、水蒸気処理などの前処
理を施したものを用いることもできる。
【0038】好ましくは4Å〜7Åの細孔径であるモレ
キュラーシーブ、モレキュラーシービングカーボンがよ
く、さらに好ましくはモレキュラーシービングカーボン
5Aがよい。これらの吸着剤は市販のものを用いること
ができる。このような吸着剤は、1種単独でまたは複数
を併用して用いることができる。粗オクタフルオロプロパンの精製方法 本発明に係るオクタフルオロプロパンの精製方法は、不
純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、加熱下で
不純物分解剤と接触させる工程(精製工程1)と、さら
に吸着剤と接触させる工程(精製工程2)とからなる。
本発明の精製方法に適用しうる粗オクタフルオロプロパ
ンとしては、公知の方法で製造されるもの、あるいは市
販のものでも、いずれも適用しうる。 (精製工程1)不純物分解剤による粗オクタフルオロプ
ロパン中のフルオロカーボン等の不純物の分解反応操作
としては、たとえば、前記不純物分解剤を分解反応器に
充填し、この分解反応器中に粗オクタフルオロプロパン
を供給して、粗オクタフルオロプパンと不純物分解剤と
を接触させればよく、その接触方法について特に制限は
ないが、たとえば固定床による流通法での連続操作など
を好ましく用いることができる。
【0039】反応圧力としては、加圧してもしなくても
よく、通常取り扱いやすい圧力で処理可能であるが、好
ましくはゲージ圧で0〜2MPa、さらに好ましくは0〜
1MPa程度の範囲の圧力で行うことが望ましい。分解反
応器の大きさ(容積)および空間速度は、粗オクタフル
オロプロパンと不純物分解剤との間にある程度の接触時
間があれば特に制限はないが、粗オクタフルオロプロパ
ンの分解反応器中の滞留時間が、好ましくは1〜30se
c.、より好ましくは4〜30sec.となるように設定する
ことが望ましい。
【0040】分解反応器中の分解反応温度は、好ましく
は250℃〜380℃、さらに好ましくは280〜36
0℃の範囲にあることが望ましい。分解反応温度が上記
範囲にあると、不純物分解剤の分解を起こさずに、その
活性を維持することができる。分解反応温度が250℃
より低いと、不純物分解剤の活性が上がらないため分解
が進みにくくなることがあり、分解反応温度が380℃
を超えると、熱により不純物分解剤自体が分解してしま
い粗オクタフルオロプロパン中の不純物の分解が進まな
くなることがある。 (精製工程2)上記精製工程1により生成あるいは残留
するフルオロカーボン等の不純物は、さらに吸着剤と接
触させて実質的に除去され、純度の高いオクタフルオロ
プロパンを得ることができる。
【0041】吸着操作は、たとえば前記吸着剤を吸着塔
に充填させ、分解反応後の粗オクタフルオロプロパンを
供給して行うことができる。この場合、吸着操作方法
は、限定されず、公知の方法を用いることができるが、
たとえば、固定床による流通法での連続操作を好ましく
用いることができる。精製工程1を経た粗オクタフルオ
ロプロパンと吸着剤とを接触させる場合、気相、液相の
どちらでもよい。線速度は気相接触法では、好ましくは
1〜10m/min、さらに好ましくは1〜5m/mi
nであることが望ましい。液相接触法では、線速度は好
ましくは0.2〜5m/Hr、さらに好ましくは0.5
〜2m/Hrであることが望ましい。
【0042】圧力は、通常取り扱いやすい圧力で処理可
能であり、特に加圧等の操作は必要なく、一般的にはゲ
ージ圧で0〜2MPaの範囲にあることが望ましい。吸
着操作の温度は、加温、冷却を行う必要はなく、通常、
室温程度でよい。吸着剤の吸着能が飽和した場合には、
再生して使用することが可能である。この場合、吸着剤
の再生は、窒素ガス等の各種不活性ガスを用い、該不活
性ガスを高温にして吸着剤に通すことにより、吸着剤に
吸着したフルオロカーボン等の不純物、オクタフルオロ
プロパンを脱着することができる。
【0043】吸着剤の再生の際の前記不活性ガスの温度
は、ゼオライトベースの吸着剤では20℃〜600℃の
範囲が好ましく、活性炭およびモレキュラーシービング
カーボンベースの吸着剤では100〜400℃の範囲が
好ましい。 [オクタフルオロプロパンの製造方法]本発明に係る製
造方法は、粗オクタフルオロプロパンを製造した後、前
記精製方法を組合わせて適用することもできる。具体的
には、粗オクタフルオロプロパンを製造した後、前記精
製工程1および精製工程2を組み合わせることができ
る。
【0044】このような粗オクタフルオロプロパンの合
成方法は限定されず、公知の方法を採用することができ
る。たとえば、前記したように、1−クロルプロパンを
電解フッ素化する方法(米国特許第3709800号公
報)、トリフルオロペンタクロロプロパンと三フッ化マ
ンガンの反応(米国特許第2578721号公報)、プ
ロパン、プロピレン等とフッ化水素と塩素とを反応させ
る方法(米国特許第520083号公報)などの公知の
方法により、粗オクタフルオロプロパンを製造すること
ができる。
【0045】また、不純物を含有する粗オクタフルオロ
プロパンを製造する工程として、ヘキサフルオロプロペ
ンをフッ素化して粗オクタフルオロプロパンを製造する
方法も採用できる。たとえば、不活性ガスと反応生成ガ
スによる希釈下で、FC−1216とフッ素ガスを反応
させる方法(特公昭62−61682号公報)、FC−
1216をフッ化水素中電解フッ素化させる方法(特公
昭62−61115号公報)、三フッ化コバルト、三フ
ッ化マンガンおよび二フッ化銀から選択された、少なく
とも1種を含む高次金属フッ化物を反応させる方法(特
公昭62−54777号公報)等の公知の方法により、
粗オクタフルオロプロパンを製造することができる。
【0046】このようにして粗オクタフルオロプロパン
を製造した後、前記の精製工程1および精製工程2を経
て、不純物が実質的に除去されたオクタフルオロプロパ
ンを得ることができる。 [高純度オクタフルオロプロパン]本発明の精製方法を
用いれば、粗オクタフルオロプロパン中のフルオロカー
ボン等の不純物、特にクロロペンタフルオロエタン(C
FC−115)、ヘキサフルオロプロペン(FC−12
16)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、
クロロトリフルオロメタン(CFC−13)、クロロジ
フルオロメタン(HCFC−22)などを効果的に除去
することができ、特に、従来の精製方法では除去が困難
であった不純物としてのCFC−115、CFC−1
2、CFC−13、HCFC−22等の塩素化合物を実
質的に除去し、高純度のオクタフルオロプロパンを得る
ことができる。
【0047】粗オクタフルオロプロパンに含まれる上記
不純物の含有量は、通常、10〜10,000質量pp
mの範囲にあるが、本発明の精製方法を用いれば、オク
タフルオロプロパン中に含まれるこのような不純物を1
質量ppm(0.0001質量%)未満に除去し、精製
後に得られるオクタフルオロプロパンの純度を99.9
999質量%以上とすることができる。
【0048】ここで、オクタフルオロプロパンの純度
は、オクタフルオロプロパン以外のフルオロカーボン分
を100質量%から差し引いた値として定義される。ま
た、純度が99.9999質量%以上であるオクタフル
オロプロパン製品の分析は、(1)ガスクロマトグラフ
ィー(GC)のTCD法、FID法(いずれもプレカッ
ト法を含む)、ECD法、(2)ガスクロマトグラフィ
ー質量分析計(GC―MS)等の分析器機を用いて行う
ことができる。
【0049】[用途]本発明の精製方法あるいは製造方
法により得られたオクタフルオロプロパンは、不純物が
実質的に除去されているので、半導体デバイス製造工程
の中のエッチング工程におけるエッチングガスとして用
いることができる。具体的には、LSIやTFT等の半
導体デバイスの製造プロセスでは、CVD法、スパッタ
リング法あるいは蒸着法などを用いて薄膜や厚膜を形成
し、回路パターンを形成するためのエッチングガスとし
て好ましく用いることができる。
【0050】また、半導体デバイス製造工程の中のクリ
ーニング工程におけるクリーニングガスとしても用いる
ことができる。具体的には、薄膜や厚膜を形成する装置
においては、装置内壁、治具等に堆積した不要な堆積物
を除去するためのクリーニングが行われる。これは不要
な堆積物が生成するとパーティクル発生の原因となるた
めであり、良質な膜を製造するために随時除去する必要
があり、そのためのクリーニングガスとして本発明に係
るオクタフルオロプロパンを好ましく用いることができ
る。
【0051】本発明に係るガスは、高純度のオクタフル
オロプロパンを含有するガスである。このようなガス
は、オクタフルオロプロパンを単独で含有していてもよ
いし、適宜他のガスを含有していてもよい。このような
他のガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、O2
などが挙げられる。このような他のガスの配合量は特に
限定されず、たとえば、本発明に係る高純度なオクタフ
ルオロプロパンをエッチングガスあるいはクリーニング
ガスとして用いる場合には、エッチングの対象である化
合物の種類、厚み等により異なるとともに、クリーニン
グの対象となる付着物の量、厚みなどに対応して決定す
ることができる。
【0052】
【発明の効果】本発明のオクタフルオロプロパンの精製
方法あるいは製造方法によれば、従来除去が困難であっ
た塩素化合物等の不純物を実質的に除去することがで
き、高純度のオクタフルオロプロパンを容易に得ること
ができる。また、本発明に係る精製方法により得られる
オクタフルオロプロパンは、不純物を実質的に含んでい
ないので、半導体デバイス製造プロセス等で用いるエッ
チングガス、あるいはクリーニングガスとして有効に用
いることができる。
【0053】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
【実施例1〜3】[粗オクタフルオロプロパンの調製]
オクタフルオロプロパンは、FC−1216と高次金属
フッ化物を反応させる方法により調製した。塩化コバル
トを錠剤状(5mmφ×5mm)に成形し、これをH
F、次にF2ガスによりフッ素化し、CoF3を調製し
た。このCoF3480gをニッケル製反応器(100
mmφ×1000mm)に充填し、反応温度270℃、
常圧で、FC−1216を流通法で反応器に導入した。
反応により生成した粗オクタフルオロプロパンを捕集
し、ガスクロマトグラフィーで不純物の定量を行った。
ガスクロマトグラフィー分析における分析条件は次の通
りである。
【0055】・機器本体 GC−14B
((株)島津製作所製) ・キャリアー He ・検出器 水素炎イオン化検出器(FID) ・試料量 0.2ml ・定量方法 絶対検量線法 分析の結果、製造した粗オクタフルオロプロパン中の不
純物の組成としては、CFC−115が770質量pp
m、FC−1216が200質量ppm、CFC−13
が20質量ppm、CFC−12およびHCFC−22
がそれぞれ10質量ppmであった。 [不純物分解管の調製]酸化鉄およびアルカリ土類金属
化合物からなる不純物分解剤として、γ−FeOOH
(石原産業(株)製)/Ca(OH)2(吉沢石灰工業
(株)製)=30/70質量%(実施例1)、γ−Fe
23(戸田工業(株)製)/Ca(OH)2=20/8
0質量%(実施例2)およびγ−FeOOH/CaCO
3(奥多摩工業(株) 製)=20/80質量%(実施例
3)となるように配合し、水を添加して造粒した後、1
05℃で2時間乾燥処理を行い、篩分けして、粒径0.
85〜2.8mmの粒剤を調製した。内径16mmのス
テンレス管(反応管)に上記不純物分解剤を8cmの層
高(容積15ml)で1.9gを充填し、300℃で3
時間以上窒素気流中で処理して、不純物分解剤を有する
不純物分解管を調製した。 [吸着塔の調製]吸着剤としてMSC−5A(商品名、
味の素ファインテクノ(株)製)を用いた。外径1/2
インチのステンレス管(吸着塔、内径11mm×塔長1
50cm、容積130ml)に吸着剤としてMSC−5
Aを71g充填し、60℃で1時間、160℃で7時間
計8時間窒素気流中で処理した。吸着剤を有する吸着塔
は不純物分解剤を充填した不純物分解管の後ろに接続さ
せた。 [粗オクタフルオロプロパンの精製]先に調製した粗オ
クタフルオロプロパンを、圧力0.7MPa、不純物分
解管での空間速度650Hr-1、吸着塔での線速度1m
/minで、気相で流通させた。不純物分解管での分解
反応温度は350℃で行った。不純物分解管に通した後
および吸着塔に通した後のオクタフルオロプロパンを捕
集し、上記条件でガスクロマトグラフィーで定量した。
【0056】実施例1について、オクタフルオロプロパ
ンを通し始めてから、2時間、5時間、10時間経過後
の不純物分解管出口および吸着塔出口でのオクタフルオ
ロプロパン中に含まれるフルオロカーボン等の不純物類
の含有量の分析結果を表3に示す。この結果、入口ガス
中に含まれていたフルオロカーボン等の不純物のCFC
−115、FC−1216、CFC−12、CFC―1
3およびHCFC―22は不純物分解管の出口ではほと
んど検出されず、HFC−125、FC−1114等が
検出された。これらの不純物分解管出口でのフルオロカ
ーボン等の不純物(分解生成物)は吸着除去が可能であ
り、結果として、オクタフルオロプロパン中のCFC−
115、FC−1216、CFC−12、CFC―13
およびHCFC―22の除去ができることが分かった。
【0057】また、表6に、オクタフルオロプロパンを
通し始めてから2時間、5時間経過後の吸着塔出口での
オクタフルオロプロパン中のCFC−115の濃度変化
および破過までのCFC−115の除去量を示す。ここ
で、吸着塔出口でのフルオロカーボン等の不純物が1質
量ppm検出された時点を破過とし、その時までのCF
C−115の流通量をCFC−115の除去量とした。
【0058】酸化第二鉄としてγ−Fe23を用いた場
合(実施例2)およびアルカリ土類金属化合物としてC
aCO3を用いた場合(実施例3)でも、CFC―11
5の除去について優れた効果が発揮され、オクタフルオ
ロプロパンの高純度での精製が可能であることが分かっ
た。
【0059】
【表3】
【0060】
【比較例1】実施例1において、フルオロカーボン等の
不純物の分解工程がないこと以外は実施例1と同様にし
て、オクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の
不純物の吸着除去試験を行った。吸着剤であるMSC−
5A中に通す前と後の不純物の濃度を、実施例1と同様
にガスクロマトグラフィーで定量した。
【0061】表4に、オクタフルオロプロパンを通し始
めてから1時間、5時間、10時間経過後の吸着塔出口
でのオクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の
不純物の濃度変化を示す。CFC−115については、
オクタフルオロプロパンを流し始めるとほぼ同時に破過
し、吸着剤のみではCFC−115は吸着除去されない
ことが分かった。CFC−12、CFC−13およびH
CFC−22においても、いずれも5〜10時間で破過
し、吸着除去能力が低いことが分かった。
【0062】表5に、本発明の精製方法による時(実施
例1)のFC−1216の除去量、および吸着精製のみ
による時(比較例1)のFC−1216の除去量を示
す。吸着塔出口のオクタフルオロプロパン中のFC−1
216濃度が1質量ppm検出された時点を破過とし、
その時までのFC−1216の流通量を除去量とした。
実施例1と比較例1の結果によると、FC−1216は
吸着によっても除去されるが、実施例1のように吸着工
程の前に分解工程を入れることにより、FC−1216
自体が分解されているかどうかは不明ではあるが、すで
に除去されるため、従来の吸着精製法に比べFC−12
16の除去量は向上し、さらに有効であることが分かっ
た。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【比較例2〜4】不純物分解剤として酸化第二鉄および
アルカリ土類金属化合物の配合が異なるものを用いたこ
と以外は、実施例1〜3と同様の条件で試験を実施し
た。不純物分解剤としては、γ−FeOOH=100質
量%(比較例2)、γ−Fe23=100質量%(比較
例3)、Ca(OH)2=100質量%(比較例4)、
を用い、ここに実施例1〜3と同様のオクタフルオロプ
ロパンを通した。吸着塔出口でのオクタフルオロプロパ
ン中のフルオロカーボン不純物濃度が、1質量ppm検
出された時点を破過とした。
【0066】表6に、オクタフルオロプロパンを通し始
めてから2時間、5時間経過後の吸着塔出口でのオクタ
フルオロプロパン中のCFC−115の濃度変化および
破過までのCFC−115の除去量を示す。酸化第二鉄
のみ(比較例2、3)では不純物分解剤の形状が保てず
壊れてしまったためか、CFC−115の吸着塔出口で
の破過が早く、また、アルカリ土類金属化合物のみ(比
較例4)ではFC−115の分解反応はほとんど進行せ
ず、CFC−115の除去量は極めて小さかった。これ
らより、酸化第二鉄およびアルカリ土類金属化合物の両
方を適宜の割合で混合した不純物分解剤でなければ、C
FC−115がほとんど分解されず、CFC−115の
除去においてよい結果が得られないことが分かった。
【0067】
【表6】
【0068】
【比較例5、6】分解温度以外は実施例1と同様の条件
で試験を行った。分解温度条件としては、240℃(比
較例5)、400℃(比較例6)で行った。表7には、
オクタフルオロプロパンを流し始めてから2時間、5時
間、10時間経過後の吸着塔出口におけるCFC−11
5の濃度変化を示す。試験結果に示したように240℃
では温度が低すぎて不純物分解剤の活性が上がらないた
めかCFC−115の分解が進まず、400℃では温度
が高すぎるため不純物分解剤自体が熱によって分解して
しまい、吸着塔出口でのCFC−115の破過が早かっ
た。CFC−115の除去量は比較例5、比較例6とも
に約10mgであり、除去量が小さいことが分かった。
【0069】
【表7】

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物を含有する粗オクタフルオロプロ
    パンを、不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着
    剤と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロ
    パンから前記不純物を実質的に除去することを特徴とす
    るオクタフルオロオプロパンの精製方法。
  2. 【請求項2】 前記不純物分解剤が、酸化鉄およびアル
    カリ土類金属化合物からなることを特徴とする請求項1
    に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化鉄が、酸化第二鉄であることを
    特徴とする請求項2に記載のオクタフルオロプロパンの
    精製方法。
  4. 【請求項4】 前記酸化第二鉄が、γ―水酸化酸化鉄お
    よび/またはγ―酸化第二鉄であることを特徴とする請
    求項3に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ土類金属化合物が、マグネ
    シウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムの
    いずれかのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および
    炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項2〜4のいずれかに記載のオクタフルオロプ
    ロパンの精製方法。
  6. 【請求項6】 前記不純物分解剤が、該不純物分解剤に
    対して、酸化鉄を5〜40質量%、アルカリ土類金属化
    合物を60〜95質量%の割合で含有することを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載のオクタフルオロプ
    ロパンの精製方法。
  7. 【請求項7】 前記不純物分解剤が、平均粒径が100
    μm以下である前記酸化鉄の粉末と、平均粒径が100
    μm以下の前記アルカリ土類金属化合物の粉末とからな
    る粒剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
  8. 【請求項8】 前記不純物分解剤が、平均粒径が0.5
    〜10mmの範囲にある粒剤であることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれかに記載のオクタフルオロプロパン
    の精製方法。
  9. 【請求項9】 前記粗オクタフルオロプロパンを前記不
    純物分解剤と接触させる温度が、250℃〜380℃の
    範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
  10. 【請求項10】 前記吸着剤が、活性炭、モレキュラー
    シーブおよびモレキュラーシービングカーボンから選ば
    れる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜
    9のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方
    法。
  11. 【請求項11】 前記粗オクタフルオロプロパンが、前
    記不純物を10〜10,000質量ppmの量で含有す
    ることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の
    オクタフルオロプロパンの精製方法。
  12. 【請求項12】 前記不純物が、クロロペンタフルオロ
    エタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロ
    メタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフル
    オロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物である
    ことを特徴とする請求項11に記載のオクタフルオロプ
    ロパンの精製方法。
  13. 【請求項13】 実質的に不純物が除去されたオクタフ
    ルオロプロパン中に残留する不純物の濃度が、1質量p
    pm未満であることを特徴とする請求項12に記載のオ
    クタフルオロプロパンの精製方法。
  14. 【請求項14】 不純物を含有する粗オクタフルオロプ
    ロパンを製造した後、該粗オクタフルオロプロパンを不
    純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触さ
    せて、実質的に不純物が除去されたオクタフルオロプロ
    パンを得ることを特徴とするオクタフルオロプロパンの
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記不純物を含有する粗オクタフルオ
    ロプロパンを製造する工程が、ヘキサフルオロプロペン
    をフッ素化するものであることを特徴とする請求項14
    に記載のオクタフルオロプロパンの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記不純物が、クロロペンタフルオロ
    エタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロ
    メタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフル
    オロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物である
    ことを特徴とする請求項14または15に記載のオクタ
    フルオロプロパンの製造方法。
  17. 【請求項17】 塩素化合物の含有量が0.0001質
    量%未満であり、かつ、純度が99.9999質量%以
    上であることを特徴とするオクタフルオロプロパン。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のオクタフルオロプ
    ロパンを含有することを特徴とするガス。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載のガスからなること
    を特徴とするエッチングガス。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載のガスからなること
    を特徴とするクリーニングガス。
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