JP4767422B2 - オクタフルオロプロパンの精製方法および製造方法並びにその用途 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、オクタフルオロプロパンの精製方法、高純度オクタフルオロプロパンの製造方法、高純度オクタフルオロプロパンおよびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、半導体デバイス製造プロセスにおいては、半導体回路を構成する各種の薄膜材料に回路パターンを形成するための手法の一つとして、薄膜材料を部分的に除去するガスエッチングが行われるとともに、薄膜形成過程での反応容器内等に付着した薄膜原料を除去するため、クリーニングガスなどにより付着物を除去することが行われている。このような半導体デバイス製造プロセスにおいては、有用なエッチングガスあるいはクリーニングガスの一つとして、従来よりオクタフルオロプロパン(以下「FC−218」ということがある。)が用いられている。
【0003】
一方、近年、電気機器あるいは電子機器の高性能化、小型化、高密度配線化等にともない、回路基板の電極はより微細化する傾向にあり、エッチング等による回路パターン形成をより高精度で行うために、不純物が極力排除された高純度のエッチングガスを用いることが求められている。エッチングガスに微量であっても不純物が含まれていると、微細なパターン形成において広い幅線を生じさせたり、あるいは高密度集積回路を有する製品の欠陥を増加させる要因となることがあるからである。
【0004】
またクリーニングガスによる付着物の除去過程においても、純度、品質の高いデバイスを提供するため、クリーニング後の半導体デバイス製造プロセス中の残留不純物をできるだけ低減させることが必要であり、不純物を実質的に含まない高純度のクリーニングガスの提供が求められている。
従来、前記FC−218の製造方法としては、たとえば、1−クロルプロパンを電解フッ素化する方法(米国特許第3709800号公報)、トリフルオロペンタクロロプロパンと三フッ化マンガンとの反応(米国特許第2578721号公報)、プロパン、プロピレン等とフッ化水素と塩素とを反応させる方法(米国特許第520083号公報)などが知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも原料等に塩素を含む化合物を使用しているため、含塩素化合物が副生物として生成し、不純物としてFC−218に混入してしまう。
【0005】
一方、塩素を含まない原料を用いてFC−218を製造する方法として、たとえば、プロパンを電解フッ素化する方法(米国特許第38400445号公報)等が知られているが、装置が極めて複雑であり、収率が低く、工業的に有利な方法とはいえなかった。
また、ヘキサフルオロプロペン(以下「FC−1216」ということがある。)をフッ素化してFC−218を製造する方法も知られている。たとえば、不活性ガスと反応生成ガスによる希釈下で、FC−1216とフッ素ガスを反応させる方法(特公昭62−61682号公報)、FC−1216をフッ化水素中電解フッ素化させる方法(特公昭62−61115号公報)、三フッ化コバルト、三フッ化マンガンおよび二フッ化銀から選択された、少なくとも1種を含む高次金属フッ化物を反応させる方法(特公昭62−54777号公報)等が知られている。
【0006】
この場合、FC−1216を製造する方法としては、たとえば、クロロジフルオロメタン(以下「HCFC−22」ということがある。)の熱分解により製造する方法、炭素原子数3のパーハロゲン化クロロフルオロカーボンをフッ素化後、脱ハロゲン化してFC−1216を製造する方法(米国特許第5057634号公報)等が知られている。
【0007】
しかしながら、これらのFC−1216を製造する方法も、通常、原料として含塩素化合物を使用することから、得られるFC−1216中には、通常、含塩素化合物が不純物として含まれ、その結果、そのFC−1216を原料として製造したFC−218中にも、未反応のFC−1216とともに含塩素化合物が含まれることとなる。
【0008】
そこで、このような含塩素化合物あるいは未反応のFC−1216等のフルオロカーボン不純物を、FC−218から除去することが必要となる。
たとえば、FC−218から蒸留等により分離する試みがなされている。すなわち、FC−218に含まれる不純物は、FC−218と沸点が異なれば理論的には蒸留により分離することも可能である。しかしながら、下記表1に示すように、不純物として混入することの多い、クロロペンタフルオロエタン(以下「CFC−115」ということがある。)、FC−1216、ジクロロジフルオロメタン(以下「CFC−12」ということがある。)およびHCFC−22の沸点は、それぞれFC−218の沸点と近似しており、蒸留により不純物を分離して、高純度なFC−218を得ることは非常に困難であった。
【0009】
【表1】
【0010】
このため、抽出蒸留法、膜分離法、吸着分離法等の蒸留分離以外の精製方法も試みられている。
しかし、抽出蒸留法は設備コストが高く、プロセスが煩雑である等の問題があり、膜分離法は、FC−218と不純物を分離するために必要な特性を有する適当かつ実用的な膜は現存せず、たとえば、FC−218中の不純物含有量を1質量ppm以下というように高純度に精製することは困難であった。
【0011】
また、表2に示すように、FC−218と、FC−115、FC−1216との分子径(安定型構造時における計算値)にほとんど差がないこと、FC−218と不純物の沸点差がないこと、さらにはFC−218と不純物の構造と物性が相似しているため、たとえば、公知の吸着剤、たとえば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト(モレキュラーシーブ)、モレキュラーシービングカーボン(以下「MSC」という。)等の吸着剤を用いた吸着分離法では、不純物を高純度に精製することは困難であった。
【0012】
【表2】
【0013】
このうち、不純物の1つとなるFC−1216は、活性炭およびMSC等により吸着除去することができるが、FC−115等の含塩素化合物を分離することは困難であった。
このため、従来の精製方法では、FC−115等の塩素化合物等のフルオロカーボン不純物の含有濃度を1質量ppm未満にして、高純度なFC−218を得ることは困難であった。
【0014】
そこで本願発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、塩素化合物等の不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、酸化鉄とアルカリ土類金属化合物とを含有する不純物分解剤に接触させ、さらに吸着剤に接触させると、実質的にこれらの不純物を容易に除去できることを見出した。
具体的には、CFC−115、FC−1216、CFC−12、CFC−13(クロロトリフルオロメタン)、HCFC−22などのフルオロカーボン不純物をたとえば10〜10,000質量ppm程度の濃度で含有するFC−218を、不純物分解剤と接触させ、さらに吸着剤に接触させることにより、これらの不純物を1質量ppm未満に低減できるFC−218の精製方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0015】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンから不純物を実質的に除去することができるオクタフルオロプロパンの精製方法を提供することを目的とする。
また、その精製工程を含むオクタフルオロプロパンの製造方法、高純度オクタフルオロプロパンおよびその用途を提供することを目的とする。
【0016】
【発明の概要】
本発明に係るオクタフルオロプロパンの精製方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロパンから前記不純物を実質的に除去することを特徴としている。
【0017】
前記不純物分解剤は、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなることが好ましい。
前記酸化鉄は、酸化第二鉄であることが好ましく、このような酸化第二鉄としては、γ―水酸化酸化鉄および/またはγ―酸化第二鉄であることが好ましい。
前記アルカリ土類金属化合物は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのいずれかのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
前記不純物分解剤は、該不純物分解剤に対して、酸化鉄を5〜40質量%、アルカリ土類金属化合物を60〜95質量%の割合で含有することが好ましい。
前記不純物分解剤は、平均粒径が100μm以下である前記酸化鉄の粉末と、平均粒径が100μm以下の前記アルカリ土類金属化合物の粉末とからなる粒剤であることが好ましい。
【0019】
前記不純物分解剤は、平均粒径が0.5〜10mmの範囲にある粒剤であることが好ましい。
前記粗オクタフルオロプロパンを前記不純物分解剤と接触させる温度は、250℃〜380℃の範囲にあることが好ましい。
前記吸着剤は、活性炭、モレキュラーシーブおよびモレキュラーシービングカーボンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
前記粗オクタフルオロプロパンは、前記不純物を10〜10,000質量ppmの量で含有していてもよい。
前記不純物は、クロロペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフルオロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0021】
実質的に不純物が除去されたオクタフルオロプロパン中に残留する不純物の濃度は、1質量ppm未満にすることができる。
本発明に係るオクタフルオロプロパンの製造方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを製造した後、該粗オクタフルオロプロパンを不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触させて、実質的に不純物が除去されたオクタフルオロプロパンを得ることを特徴としている。
【0022】
前記不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを製造する工程は、ヘキサフルオロプロペンをフッ素化するものであってもよい。また、前記不純物は、クロロペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフルオロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物であってもよい。
【0023】
本発明に係るオクタフルオロプロパンは、塩素化合物の含有量が0.0001質量%未満であり、かつ、純度が99.9999質量%以上であることを特徴としている。
本発明に係るガスは、前記オクタフルオロプロパンを含有することを特徴としている。
【0024】
本発明に係るエッチングガスは、前記ガスからなることを特徴としている。
本発明に係るクリーニングガスは、前記ガスからなることを特徴としている。
【0025】
【発明の具体的説明】
[精製方法]
本発明に係るオクタフルオロプロパンの精製方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロパンから前記不純物を実質的に除去する方法である。以下、まずこの精製方法について詳しく説明する。なお、本明細書において、粗オクタフルオロプロパンとは、本発明に係る精製工程を経ていない、不純物が含有されたオクタフルオロプロパンを指す。また、実質的に除去されたとは、全く含まれていないか、あるいはほとんど含まれていないことを意味する。
不純物分解剤
本発明では、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなる不純物分解剤を好ましく用いることができる。
【0026】
酸化鉄としては、たとえば、酸化第一鉄、酸化第二鉄などが挙げられるが、このうち酸化第二鉄を好ましく用いることができる。酸化第二鉄のうちでは、γ−FeOOH(γ−水酸化酸化鉄)、γ−Fe2O3(γ−酸化第二鉄)が好ましく、さらに好ましくはγ−FeOOHを用いることが望ましい。
これらの酸化鉄は1種単独でまたは複数を併用して用いることもできる。
【0027】
γ−FeOOHあるいはγ−Fe2O3が、α−Fe2O3に比較して好ましく用いることができるのは、酸化鉄の活性に関係するためであると推測される。γ−FeOOHあるいはγ−Fe2O3は反応性がより高く、塩素化合物に対する活性は、γ−FeOOH>γ−Fe2O3>α−FeOOH>Fe2O3≫α−Fe2O3の順であった。このような塩素化合物に対する活性の相違は、γ−FeOOHあるいはγ−Fe2O3中の鉄原子と酸素原子との結合エネルギーが、α−FeOOH等のそれよりも小さいためであると推測される。
【0028】
本発明で用いられるアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物あるいは炭酸塩であることが好ましい。アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムが挙げられる。
これらのアルカリ土類金属化合物のうちでは、カルシウムの水酸化物または酸化物を用いることが好ましく、水酸化カルシウムを用いることがさらに好ましい。これらのアルカリ土類金属化合物は、1種単独でまたは複数を併用して用いることができる。
【0029】
本発明で用いられる不純物分解剤は、前記酸化鉄および前記アルカリ土類金属化合物を、不純物分解剤の全質量に対して、好ましくは酸化鉄を5〜40質量%、アルカリ土類金属化合物を60〜95質量%の割合で含有し、さらに好ましくは酸化鉄を20〜30質量%、アルカリ土類金属化合物を70〜80質量%の割合で含有することが望ましい。
【0030】
不純物分解剤中の酸化鉄とアルカリ土類金属化合物の含有割合が上記範囲にあると、後述するように、不純物の分解と、不純物の分解により生成する分解生成物の除去とを有効に行うことができると推測され、酸化鉄とアルカリ土類金属化合物の特徴を最大限に活かした、効率的な精製を行うことができる。
不純物分解剤を構成する前記酸化鉄と前記アルカリ土類金属化合物の形状は特に限定されないが、それぞれ粒子状であることが好ましい。前記酸化鉄および前記アルカリ土類金属の形状が粒子状の場合、これらの配合前、すなわち不純物分解剤を形成する前の平均粒子径はそれぞれ、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは1μm以下であることが望ましく、また、その下限値は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.01〜1μmであることが望ましい。
【0031】
酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物の粒子の平均粒径が100μm以下であると、より高純度のオクタフルオロプロパンを得ることができるとともに、効率的な精製を行うことができる。これは、不純物分解剤と不純物との接触に際し、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物が微粉であるために、これらの比表面積が増大するとともに、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物が互いに分散しやすくなり、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンと、酸化鉄およびアルカリ土類金属との接触する面積と機会が増大するためであると推測される。
【0032】
なお、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物中の不純物濃度および不純物の種類は、粗オクタフルオロプロパン中の不純物の分解能力に影響を与えなければ特に制限されない。
このような不純物分解剤の形状については限定されず、何れの形状でも有効に精製に用いることができるが、不純物分解剤としては、粒子形状の粒剤であることが好ましい。この粒剤の具体的形状としては、たとえば、ペレット状、球状などが挙げられる。このような粒剤の平均粒径は好ましくは0.5〜10mm、さらに好ましくは1〜5mmの範囲にあることが望ましい。
【0033】
粒剤の平均粒径が上記範囲にあると、粗オクタフルオロプロパンに含まれるフルオロカーボン等の不純物と、不純物分解剤との接触機会が増大し、不純物の分解と除去を効率的に行うことができる。不純物分解剤の平均粒径が10mmより大きいと、ガスの吸着拡散に関与する表面積が相対的に小さくなり、拡散速度が遅くなることがある。また、不純物分解剤の平均粒径が0.5mmより小さいと、吸着拡散に関与する表面積が相対的に大きくなり、拡散速度は速くなるが、処理しようとするガス量が多くなると差圧が大きくなることがある。
【0034】
このような酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなる不純物分解剤を得るには、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物の粉末を添加して混合すればよく、その製法は限定されない。前記粒剤の製造(造粒)に当たっては、前記配合割合に従っていれば、水を加えることで十分造粒することができる。また、酸化鉄あるいはアルカリ金属化合物の粒子径が多少粗い場合は、水とともにバインダーを添加して造粒することもできる。バインダーは得られる不純物分解剤の性能に影響を与えないものであれば、その種類、量は限定されず、無機系バインダーであれば、たとえば、粘土、石膏など、有機系バインダーであれば、たとえば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、でんぷんなどの公知のものを使用できる。
【0035】
このような粒状の不純物分解剤は、たとえば、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物を混合した後、適量の水を加えて混練し、混練物を造粒することにより、粒状の粒剤として得ることができる。
このような粒剤の調製に必要な混練機としては、前記混合および前記造粒が同時に行えるものでもよいし、混合と造粒とを別々に行うものであってもよい。このような混練機としては、たとえば、混合と造粒を同時に行うものとしてヘンシェルミキサー、縦型ミキサー等が挙げられ、また、前記混合をヘンシェルミキサーあるいはV型混合機等で行い、次に造粒を皿型造粒機やドラムペレタイザー等で行うこともできる。
【0036】
このようにして得られた粒剤は、その硬度を高め、水分を蒸発させるために、空気あるいは窒素などの不活性ガス気流中、100〜150℃、3〜5時間乾燥することが望ましい。乾燥後の不純物分解剤に含まれる水分量は、風環乾燥機で、110℃、2〜3時間乾燥した減量が1質量%以下であればよい。
このような不純物分解剤を用いることにより、粗オクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の不純物は不純物分解剤中のアルカリ土類金属化合物と反応し、分解されると推定される。すなわち、不純物としてのCFC−115は、不純物分解剤中のアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物あるいは炭酸塩と反応し、アルカリ土類金属のフッ化物および塩化物を生成するとともに、一酸化炭素および水等を生成する。この反応過程で生成した一酸化炭素および水は、鉄を触媒として反応し、さらに水素あるいはメタンを生成する。これらの反応が連続的に進行することにより、CFC−115中の塩素が、生成した水素と置換されて、ペンタフルオロエタン(以下「HFC−125」ということがある。)を生成すると推定される。また、同様の反応機構により、CFC−115から、FC−1114が生成する。すなわち、たとえばCFC−115からHFC−125が生成し、HFC−125からHFが脱離することによりFC−1114が生成するものと推定される。これらの生成したフルオロカーボンは、CFC−115(分子径4.3〜5.6Å)よりも分子径が小さくなる。たとえば、HFC−125は、分子径は3.4〜4.9Åであり、FC−1114は、分子径は3.5〜4.9Åであり、オクタフルオロプロパンの分子径(4.9〜6.1Å)との分子径の差が、CFC−115とオクタフルオロプロパンの分子径の差と比較して有為な差となるので、不純物分解剤との接触後に行う吸着剤との接触により、これらを容易に除去できるものと推測される。なお、オクタフルオロプロパンは比較的安定した化合物であるため、たとえば、250〜380℃の範囲での加熱では、不純物分解剤と接触させても分解しない。
吸着剤
本発明に係る精製方法では、粗オクタフルオロプロパンを不純物分解剤と加熱下で接触させた後、さらに吸着剤と接触させる。
【0037】
このような吸着剤としては、公知の吸着剤を用いることができる。吸着剤としては、たとえば、活性炭、ゼオライト(モレキュラーシーブ)あるいはモレキュラーシービングカーボンなどを好ましく用いることができる。このような活性炭、モレキュラーシービングカーボンなどは酸処理、熱処理、水蒸気処理などの前処理を施したものを用いることもできる。
【0038】
好ましくは4Å〜7Åの細孔径であるモレキュラーシーブ、モレキュラーシービングカーボンがよく、さらに好ましくはモレキュラーシービングカーボン5Aがよい。
これらの吸着剤は市販のものを用いることができる。
このような吸着剤は、1種単独でまたは複数を併用して用いることができる。
粗オクタフルオロプロパンの精製方法
本発明に係るオクタフルオロプロパンの精製方法は、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、加熱下で不純物分解剤と接触させる工程(精製工程1)と、さらに吸着剤と接触させる工程(精製工程2)とからなる。本発明の精製方法に適用しうる粗オクタフルオロプロパンとしては、公知の方法で製造されるもの、あるいは市販のものでも、いずれも適用しうる。
(精製工程1)
不純物分解剤による粗オクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の不純物の分解反応操作としては、たとえば、前記不純物分解剤を分解反応器に充填し、この分解反応器中に粗オクタフルオロプロパンを供給して、粗オクタフルオロプパンと不純物分解剤とを接触させればよく、その接触方法について特に制限はないが、たとえば固定床による流通法での連続操作などを好ましく用いることができる。
【0039】
反応圧力としては、加圧してもしなくてもよく、通常取り扱いやすい圧力で処理可能であるが、好ましくはゲージ圧で0〜2MPa、さらに好ましくは0〜1MPa程度の範囲の圧力で行うことが望ましい。
分解反応器の大きさ(容積)および空間速度は、粗オクタフルオロプロパンと不純物分解剤との間にある程度の接触時間があれば特に制限はないが、粗オクタフルオロプロパンの分解反応器中の滞留時間が、好ましくは1〜30sec.、より好ましくは4〜30sec.となるように設定することが望ましい。
【0040】
分解反応器中の分解反応温度は、好ましくは250℃〜380℃、さらに好ましくは280〜360℃の範囲にあることが望ましい。分解反応温度が上記範囲にあると、不純物分解剤の分解を起こさずに、その活性を維持することができる。分解反応温度が250℃より低いと、不純物分解剤の活性が上がらないため分解が進みにくくなることがあり、分解反応温度が380℃を超えると、熱により不純物分解剤自体が分解してしまい粗オクタフルオロプロパン中の不純物の分解が進まなくなることがある。
(精製工程2)
上記精製工程1により生成あるいは残留するフルオロカーボン等の不純物は、さらに吸着剤と接触させて実質的に除去され、純度の高いオクタフルオロプロパンを得ることができる。
【0041】
吸着操作は、たとえば前記吸着剤を吸着塔に充填させ、分解反応後の粗オクタフルオロプロパンを供給して行うことができる。この場合、吸着操作方法は、限定されず、公知の方法を用いることができるが、たとえば、固定床による流通法での連続操作を好ましく用いることができる。
精製工程1を経た粗オクタフルオロプロパンと吸着剤とを接触させる場合、気相、液相のどちらでもよい。線速度は気相接触法では、好ましくは1〜10m/min、さらに好ましくは1〜5m/minであることが望ましい。液相接触法では、線速度は好ましくは0.2〜5m/Hr、さらに好ましくは0.5〜2m/Hrであることが望ましい。
【0042】
圧力は、通常取り扱いやすい圧力で処理可能であり、特に加圧等の操作は必要なく、一般的にはゲージ圧で0〜2MPaの範囲にあることが望ましい。
吸着操作の温度は、加温、冷却を行う必要はなく、通常、室温程度でよい。
吸着剤の吸着能が飽和した場合には、再生して使用することが可能である。この場合、吸着剤の再生は、窒素ガス等の各種不活性ガスを用い、該不活性ガスを高温にして吸着剤に通すことにより、吸着剤に吸着したフルオロカーボン等の不純物、オクタフルオロプロパンを脱着することができる。
【0043】
吸着剤の再生の際の前記不活性ガスの温度は、ゼオライトベースの吸着剤では20℃〜600℃の範囲が好ましく、活性炭およびモレキュラーシービングカーボンベースの吸着剤では100〜400℃の範囲が好ましい。
[オクタフルオロプロパンの製造方法]
本発明に係る製造方法は、粗オクタフルオロプロパンを製造した後、前記精製方法を組合わせて適用することもできる。具体的には、粗オクタフルオロプロパンを製造した後、前記精製工程1および精製工程2を組み合わせることができる。
【0044】
このような粗オクタフルオロプロパンの合成方法は限定されず、公知の方法を採用することができる。たとえば、前記したように、1−クロルプロパンを電解フッ素化する方法(米国特許第3709800号公報)、トリフルオロペンタクロロプロパンと三フッ化マンガンの反応(米国特許第2578721号公報)、プロパン、プロピレン等とフッ化水素と塩素とを反応させる方法(米国特許第520083号公報)などの公知の方法により、粗オクタフルオロプロパンを製造することができる。
【0045】
また、不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを製造する工程として、ヘキサフルオロプロペンをフッ素化して粗オクタフルオロプロパンを製造する方法も採用できる。たとえば、不活性ガスと反応生成ガスによる希釈下で、FC−1216とフッ素ガスを反応させる方法(特公昭62−61682号公報)、FC−1216をフッ化水素中電解フッ素化させる方法(特公昭62−61115号公報)、三フッ化コバルト、三フッ化マンガンおよび二フッ化銀から選択された、少なくとも1種を含む高次金属フッ化物を反応させる方法(特公昭62−54777号公報)等の公知の方法により、粗オクタフルオロプロパンを製造することができる。
【0046】
このようにして粗オクタフルオロプロパンを製造した後、前記の精製工程1および精製工程2を経て、不純物が実質的に除去されたオクタフルオロプロパンを得ることができる。
[高純度オクタフルオロプロパン]
本発明の精製方法を用いれば、粗オクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の不純物、特にクロロペンタフルオロエタン(CFC−115)、ヘキサフルオロプロペン(FC−1216)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、クロロトリフルオロメタン(CFC−13)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)などを効果的に除去することができ、特に、従来の精製方法では除去が困難であった不純物としてのCFC−115、CFC−12、CFC−13、HCFC−22等の塩素化合物を実質的に除去し、高純度のオクタフルオロプロパンを得ることができる。
【0047】
粗オクタフルオロプロパンに含まれる上記不純物の含有量は、通常、10〜10,000質量ppmの範囲にあるが、本発明の精製方法を用いれば、オクタフルオロプロパン中に含まれるこのような不純物を1質量ppm(0.0001質量%)未満に除去し、精製後に得られるオクタフルオロプロパンの純度を99.9999質量%以上とすることができる。
【0048】
ここで、オクタフルオロプロパンの純度は、オクタフルオロプロパン以外のフルオロカーボン分を100質量%から差し引いた値として定義される。また、純度が99.9999質量%以上であるオクタフルオロプロパン製品の分析は、(1)ガスクロマトグラフィー(GC)のTCD法、FID法(いずれもプレカット法を含む)、ECD法、(2)ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC―MS)等の分析器機を用いて行うことができる。
【0049】
[用途]
本発明の精製方法あるいは製造方法により得られたオクタフルオロプロパンは、不純物が実質的に除去されているので、半導体デバイス製造工程の中のエッチング工程におけるエッチングガスとして用いることができる。
具体的には、LSIやTFT等の半導体デバイスの製造プロセスでは、CVD法、スパッタリング法あるいは蒸着法などを用いて薄膜や厚膜を形成し、回路パターンを形成するためのエッチングガスとして好ましく用いることができる。
【0050】
また、半導体デバイス製造工程の中のクリーニング工程におけるクリーニングガスとしても用いることができる。
具体的には、薄膜や厚膜を形成する装置においては、装置内壁、治具等に堆積した不要な堆積物を除去するためのクリーニングが行われる。これは不要な堆積物が生成するとパーティクル発生の原因となるためであり、良質な膜を製造するために随時除去する必要があり、そのためのクリーニングガスとして本発明に係るオクタフルオロプロパンを好ましく用いることができる。
【0051】
本発明に係るガスは、高純度のオクタフルオロプロパンを含有するガスである。このようなガスは、オクタフルオロプロパンを単独で含有していてもよいし、適宜他のガスを含有していてもよい。このような他のガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、O2などが挙げられる。このような他のガスの配合量は特に限定されず、たとえば、本発明に係る高純度なオクタフルオロプロパンをエッチングガスあるいはクリーニングガスとして用いる場合には、エッチングの対象である化合物の種類、厚み等により異なるとともに、クリーニングの対象となる付着物の量、厚みなどに対応して決定することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明のオクタフルオロプロパンの精製方法あるいは製造方法によれば、従来除去が困難であった塩素化合物等の不純物を実質的に除去することができ、高純度のオクタフルオロプロパンを容易に得ることができる。また、本発明に係る精製方法により得られるオクタフルオロプロパンは、不純物を実質的に含んでいないので、半導体デバイス製造プロセス等で用いるエッチングガス、あるいはクリーニングガスとして有効に用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
【実施例1〜3】
[粗オクタフルオロプロパンの調製]
オクタフルオロプロパンは、FC−1216と高次金属フッ化物を反応させる方法により調製した。
塩化コバルトを錠剤状(5mmφ×5mm)に成形し、これをHF、次にF2ガスによりフッ素化し、CoF3を調製した。このCoF3480gをニッケル製反応器(100mmφ×1000mm)に充填し、反応温度270℃、常圧で、FC−1216を流通法で反応器に導入した。反応により生成した粗オクタフルオロプロパンを捕集し、ガスクロマトグラフィーで不純物の定量を行った。ガスクロマトグラフィー分析における分析条件は次の通りである。
【0055】
・機器本体 GC−14B ((株)島津製作所製)
・キャリアー He
・検出器 水素炎イオン化検出器(FID)
・試料量 0.2ml
・定量方法 絶対検量線法
分析の結果、製造した粗オクタフルオロプロパン中の不純物の組成としては、CFC−115が770質量ppm、FC−1216が200質量ppm、CFC−13が20質量ppm、CFC−12およびHCFC−22がそれぞれ10質量ppmであった。
[不純物分解管の調製]
酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなる不純物分解剤として、γ−FeOOH(石原産業(株)製)/Ca(OH)2(吉沢石灰工業(株)製)=30/70質量%(実施例1)、γ−Fe2O3(戸田工業(株)製)/Ca(OH)2=20/80質量%(実施例2)およびγ−FeOOH/CaCO3(奥多摩工業(株) 製)=20/80質量%(実施例3)となるように配合し、水を添加して造粒した後、105℃で2時間乾燥処理を行い、篩分けして、粒径0.85〜2.8mmの粒剤を調製した。内径16mmのステンレス管(反応管)に上記不純物分解剤を8cmの層高(容積15ml)で1.9gを充填し、300℃で3時間以上窒素気流中で処理して、不純物分解剤を有する不純物分解管を調製した。
[吸着塔の調製]
吸着剤としてMSC−5A(商品名、味の素ファインテクノ(株)製)を用いた。外径1/2インチのステンレス管(吸着塔、内径11mm×塔長150cm、容積130ml)に吸着剤としてMSC−5Aを71g充填し、60℃で1時間、160℃で7時間計8時間窒素気流中で処理した。吸着剤を有する吸着塔は不純物分解剤を充填した不純物分解管の後ろに接続させた。
[粗オクタフルオロプロパンの精製]
先に調製した粗オクタフルオロプロパンを、圧力0.7MPa、不純物分解管での空間速度650Hr-1、吸着塔での線速度1m/minで、気相で流通させた。不純物分解管での分解反応温度は350℃で行った。不純物分解管に通した後および吸着塔に通した後のオクタフルオロプロパンを捕集し、上記条件でガスクロマトグラフィーで定量した。
【0056】
実施例1について、オクタフルオロプロパンを通し始めてから、2時間、5時間、10時間経過後の不純物分解管出口および吸着塔出口でのオクタフルオロプロパン中に含まれるフルオロカーボン等の不純物類の含有量の分析結果を表3に示す。
この結果、入口ガス中に含まれていたフルオロカーボン等の不純物のCFC−115、FC−1216、CFC−12、CFC―13およびHCFC―22は不純物分解管の出口ではほとんど検出されず、HFC−125、FC−1114等が検出された。これらの不純物分解管出口でのフルオロカーボン等の不純物(分解生成物)は吸着除去が可能であり、結果として、オクタフルオロプロパン中のCFC−115、FC−1216、CFC−12、CFC―13およびHCFC―22の除去ができることが分かった。
【0057】
また、表6に、オクタフルオロプロパンを通し始めてから2時間、5時間経過後の吸着塔出口でのオクタフルオロプロパン中のCFC−115の濃度変化および破過までのCFC−115の除去量を示す。ここで、吸着塔出口でのフルオロカーボン等の不純物が1質量ppm検出された時点を破過とし、その時までのCFC−115の流通量をCFC−115の除去量とした。
【0058】
酸化第二鉄としてγ−Fe2O3を用いた場合(実施例2)およびアルカリ土類金属化合物としてCaCO3を用いた場合(実施例3)でも、CFC―115の除去について優れた効果が発揮され、オクタフルオロプロパンの高純度での精製が可能であることが分かった。
【0059】
【表3】
【0060】
【比較例1】
実施例1において、フルオロカーボン等の不純物の分解工程がないこと以外は実施例1と同様にして、オクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の不純物の吸着除去試験を行った。吸着剤であるMSC−5A中に通す前と後の不純物の濃度を、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーで定量した。
【0061】
表4に、オクタフルオロプロパンを通し始めてから1時間、5時間、10時間経過後の吸着塔出口でのオクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン等の不純物の濃度変化を示す。CFC−115については、オクタフルオロプロパンを流し始めるとほぼ同時に破過し、吸着剤のみではCFC−115は吸着除去されないことが分かった。CFC−12、CFC−13およびHCFC−22においても、いずれも5〜10時間で破過し、吸着除去能力が低いことが分かった。
【0062】
表5に、本発明の精製方法による時(実施例1)のFC−1216の除去量、および吸着精製のみによる時(比較例1)のFC−1216の除去量を示す。吸着塔出口のオクタフルオロプロパン中のFC−1216濃度が1質量ppm検出された時点を破過とし、その時までのFC−1216の流通量を除去量とした。実施例1と比較例1の結果によると、FC−1216は吸着によっても除去されるが、実施例1のように吸着工程の前に分解工程を入れることにより、FC−1216自体が分解されているかどうかは不明ではあるが、すでに除去されるため、従来の吸着精製法に比べFC−1216の除去量は向上し、さらに有効であることが分かった。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【比較例2〜4】
不純物分解剤として酸化第二鉄およびアルカリ土類金属化合物の配合が異なるものを用いたこと以外は、実施例1〜3と同様の条件で試験を実施した。
不純物分解剤としては、γ−FeOOH=100質量%(比較例2)、γ−Fe2O3=100質量%(比較例3)、Ca(OH)2=100質量%(比較例4)、を用い、ここに実施例1〜3と同様のオクタフルオロプロパンを通した。吸着塔出口でのオクタフルオロプロパン中のフルオロカーボン不純物濃度が、1質量ppm検出された時点を破過とした。
【0066】
表6に、オクタフルオロプロパンを通し始めてから2時間、5時間経過後の吸着塔出口でのオクタフルオロプロパン中のCFC−115の濃度変化および破過までのCFC−115の除去量を示す。
酸化第二鉄のみ(比較例2、3)では不純物分解剤の形状が保てず壊れてしまったためか、CFC−115の吸着塔出口での破過が早く、また、アルカリ土類金属化合物のみ(比較例4)ではFC−115の分解反応はほとんど進行せず、CFC−115の除去量は極めて小さかった。これらより、酸化第二鉄およびアルカリ土類金属化合物の両方を適宜の割合で混合した不純物分解剤でなければ、CFC−115がほとんど分解されず、CFC−115の除去においてよい結果が得られないことが分かった。
【0067】
【表6】
【0068】
【比較例5、6】
分解温度以外は実施例1と同様の条件で試験を行った。分解温度条件としては、240℃(比較例5)、400℃(比較例6)で行った。
表7には、オクタフルオロプロパンを流し始めてから2時間、5時間、10時間経過後の吸着塔出口におけるCFC−115の濃度変化を示す。試験結果に示したように240℃では温度が低すぎて不純物分解剤の活性が上がらないためかCFC−115の分解が進まず、400℃では温度が高すぎるため不純物分解剤自体が熱によって分解してしまい、吸着塔出口でのCFC−115の破過が早かった。CFC−115の除去量は比較例5、比較例6ともに約10mgであり、除去量が小さいことが分かった。
【0069】
【表7】
Claims (15)
- 不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなる不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触させることにより、前記粗オクタフルオロプロパンから前記不純物を除去することを特徴とするオクタフルオロオプロパンの精製方法。
- 前記酸化鉄が、酸化第二鉄であることを特徴とする請求項1に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記酸化第二鉄が、γ―水酸化酸化鉄および/またはγ―酸化第二鉄であることを特徴とする請求項2に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記アルカリ土類金属化合物が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのいずれかのアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記不純物分解剤が、該不純物分解剤に対して、酸化鉄を5〜40質量%、アルカリ土類金属化合物を60〜95質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記不純物分解剤が、平均粒径が100μm以下である前記酸化鉄の粉末と、平均粒径が100μm以下の前記アルカリ土類金属化合物の粉末とからなる粒剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記不純物分解剤が、平均粒径が0.5〜10mmの範囲にある粒剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記粗オクタフルオロプロパンを前記不純物分解剤と接触させる温度が、250℃〜380℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記吸着剤が、活性炭、モレキュラーシーブおよびモレキュラーシービングカーボンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記粗オクタフルオロプロパンが、前記不純物を10〜10,000質量ppmの量で含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 前記不純物が、クロロペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフルオロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項10に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 不純物が除去されたオクタフルオロプロパン中に残留する不純物の濃度が、1質量ppm未満であることを特徴とする請求項11に記載のオクタフルオロプロパンの精製方法。
- 不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを製造した後、該粗オクタフルオロプロパンを、酸化鉄およびアルカリ土類金属化合物からなる不純物分解剤と加熱下で接触させ、次いで吸着剤と接触させて、不純物が除去されたオクタフルオロプロパンを得ることを特徴とするオクタフルオロプロパンの製造方法。
- 前記不純物を含有する粗オクタフルオロプロパンを製造する工程が、ヘキサフルオロプロペンをフッ素化するものであることを特徴とする請求項13に記載のオクタフルオロプロパンの製造方法。
- 前記不純物が、クロロペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンおよびクロロジフルオロメタンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項13または14に記載のオクタフルオロプロパンの製造方法。
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