JP5025052B2 - ヘキサフルオロエタンの製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘキサフルオロエタンの製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘキサフルオロエタン(CF3CF3)は、例えば半導体のクリーニングガスやエッチングガスなどに使用される。CF3CF3の製造方法に関しては、従来から様々な方法が知られている。例えば、
(1)エタンおよび/またはエチレンを原料とする電解フッ素化法、
(2)四フッ化エチレン等を熱分解する熱分解法、
(3)アセチレン、エチレンおよび/またはエタン等を金属フッ化物を用いてフッ素化する方法、
(4)ジクロロテトラフルオロエタンあるいはクロロペンタフルオロエタン等を、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素を用いてフッ素化する方法、
(5)テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させる直接フッ素化法、
等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、例えば、前記の(4)の製造方法を用いると、生成したCF3CF3中には出発原料に由来する化合物や反応によって新たに生成する化合物が不純物として含まれる。これらの不純物で特に問題となるのはCF3CF3と分離が困難な含塩素化合物である。
【0004】
また、例えば前記の(5)の製造方法を用いると、生成したCF3CF3中には出発原料に由来する化合物や反応によって新たに生成する化合物が不純物として含まれる。これらの不純物においても、CF3CF3と分離が困難な含塩素化合物が問題となる。このため、フッ素ガスとの反応を行う前に出発原料に含まれる含塩素化合物を低減するために精製を行ってもよいが、従来から知られている精製方法は工業的に実施するには困難な場合が多い。
【0005】
CF3CF3中に含まれる含塩素化合物としては,クロロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロトリフロオロメタン、クロロペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロテトラフルオロエタン、クロロトリフルオロエタン、クロロトリフルオロエチレン等の化合物が挙げられる。
【0006】
これらの含塩素化合物のうち、クロロトリフルオロメタンはCF3CF3と共沸混合物を形成するため分離が困難な化合物である。このクロロトリフルオロメタンを含むCF3CF3を精製する方法としては、例えば、米国特許第5523499号公報には、不純物としてトリフルオロメタン(CHF3)やクロロトリフルオロメタン(CClF3)を含むCF3CF3を、活性炭、モレキュラーシーブス等の吸着剤と接触させて、不純物を吸着除去する方法が記載されている。
【0007】
このような吸着剤を用いる精製方法は、不純物の含有量にもよるが、定常運転の場合、ほぼ一定の期間ごとに吸着剤を再生しなければならず、そのための設備が必要となる。また、例えば吸着塔を2基設置し、不純物を吸着する工程と吸着剤を再生する工程を交互に切り替えて運転する方法を用いれば、大量のガスを連続的に処理することが可能となるが、吸着除去したクロロトリフルオロメタンはオゾン層を破壊すると言われる特定フロンの1種であり、そのまま大気に放出することはできないので何らかの方法を用いて無害化しなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景の下になされたものであって、半導体デバイスの製造工程でエッチングガスあるいはクリーニングガスとして使用することができる高純度のヘキサフルオロエタンを工業的に有利に製造する方法およびその用途を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化する工程を含む製造方法を用いれば前記の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は以下の[1]〜[16]に示されるヘキサフルオロエタンの製造方法およびその用途である。
【0010】
[1]ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化する工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法。
[2]フッ素化触媒が、3価の酸化クロムを主成分とする担持型触媒または塊状型触媒である上記[1]に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[3]フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)が0.05〜10である上記[1]または[2]に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[4]前記混合ガスに含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度が0.1vol%以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[5]前記混合ガスが、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
【0011】
[6]前記混合ガスが、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[7]次の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法。
(1)ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化してテトラフルオロメタンに変換する工程(2)前記工程(1)で得られる、ヘキサフルオロエタンとテトラフルオロメタンを含む混合ガスを蒸留し、精製されたヘキサフルオロエタンを得る工程
[8]前記工程(1)のフッ素化触媒が、3価の酸化クロムを主成分とする担持型触媒または塊状型触媒である上記[7]に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[9]前記工程(1)において、フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)が0.05〜10である上記[7]または[8]に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[10]前記工程(1)の混合ガスに含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度が0.1vol%以下である上記[7]〜[9]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
【0012】
[11]前記工程(1)の混合ガスが、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスである上記[7]〜[10]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[12]前記工程(1)の混合ガスが、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスである上記[7]〜[10]のいずれかに記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法を用いて得られ、純度が99.9997vol%以上であるヘキサフルオロエタンを含むことを特徴とするヘキサフルオロエタン製品。
[14]前記ヘキサフルオロエタン中に含まれるクロロトリフルオロメタンの含有量が1volppm以下である上記[13]に記載のヘキサフルオロエタン製品。
[15]上記[13]または[14]に記載のヘキサフルオロエタン製品を含むことを特徴とするエッチングガス。
[16]上記[13]または[14]に記載のヘキサフルオロエタン製品を含むことを特徴とするクリーニングガス。
【0013】
すなわち、本発明は「ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化する工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法」、「(1)ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化してテトラフルオロメタンに変換する工程、および(2)前記(1)の工程で得られる、ヘキサフルオロエタンとテトラフルオロメタンを含む混合ガスを蒸留し、精製されたヘキサフルオロエタンを得る工程、を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法」、「前記のいずれかの製造方法を用いて得られ、純度が99.9997vol%以上であるヘキサフルオロエタンを含むことを特徴とするヘキサフルオロエタン製品」および「前記のヘキサフルオロエタン製品を含むことを特徴とするエッチングガスおよびクリーニングガス」等に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のヘキサフルオロエタンの製造方法について詳しく説明する。
ヘキサフルオロエタンの製造方法としては、前述したように従来より様々な方法が知られている。これらのうち、工業的に安全で経済的な方法としては、
(1)ジクロロテトラフルオロエタンあるいはクロロペンタフルオロエタン等を、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素を用いてフッ素化する方法、
(2)テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させる方法、
が挙げられる。
【0015】
前記の(1)または(2)の方法において、出発原料として用いられるジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、ペンタフルオロエタン等の化合物は、例えばテトラクロロエチレン(CCl2=CCl2)を出発原料として製造することができ、またテトラフルオロエタン等の化合物はトリクロロエチレン(CHCl=CCl2)を出発原料として製造することができる。したがって、どちらの方法を用いた場合も、生成したヘキサフルオロエタン中には原料由来の含塩素化合物が不純物として含まれ、さらに反応温度が高くなるに従って不純物が増加する傾向が見られる。
【0016】
例えば、冷媒用として市販されているペンタフルオロエタン(CF3CHF2)中には前記の含塩素化合物が不純物として含まれている。この含塩素化合物を含むペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを直接フッ素化反応させてCF3CF3を製造する場合、ペンタフルオロエタン中に含まれる含塩素化合物とフッ素ガスとの反応によって、例えば塩素、塩化水素、フッ化塩素、あるいは異種のクロロフルオロカーボン類が生成する。例えば不純物として含まれているクロロジフルオロメタンは、フッ素ガスと反応してクロロトリフルオロメタンを生成する。このクロロトリフルオロメタンはCF3CF3と共沸混合物を形成するため、蒸留を行っても分離することは非常に困難な化合物である。
【0017】
本発明のヘキサフルオロエタンの製造方法は、この分離が非常に困難なクロロトリフルオロメタンとヘキサフルオロエタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記のクロロトリフルオロメタンをフッ素化する工程を含むことを特徴とする。前記の混合ガスはヘキサフルオロエタンを99.9vol%以上含み、さらに不純物としてクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスである。
【0018】
本発明のヘキサフルオロエタンの製造方法に用いられるフッ素化触媒としては、3価の酸化クロムを主成分とし、ニッケル、亜鉛、インジウムおよび/またはガリウムがクロムに対して原子比で0.01〜0.6の割合で含まれる触媒を用いることが好ましい。触媒の形態としては、担持型触媒や塊状型触媒がよく、担持型触媒の場合は担体として活性炭、アルミナ、部分フッ素化されたアルミナ等が好ましく、前記成分の担持率としては30質量%以下が好ましい。
【0019】
前記のフッ素化触媒の存在下、ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスとフッ化水素とを反応させる温度は200〜450℃であり、250〜400℃が好ましい。反応温度が200℃より低いとクロロトリフルオロメタンがフッ素化されにくくなり、反応温度が450℃より高いと触媒寿命が短くなり、不純物が増加する傾向が見られる。
【0020】
フッ素化反応において、フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)は、0.05〜10の範囲が好ましく、0.05〜5の範囲がさらに好ましい。フッ化水素と混合ガスのモル比が0.05より小さいと、副反応等による異種のクロロフルオロカーボンが生成し易くなる傾向が見られ、10より大きいと反応器を大きくしなければならず、また未反応のフッ化水素を回収する等の問題が生じ経済的でなく好ましくない。
【0021】
前記の混合ガス中に含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度は前記混合ガスの0.1vol%以下が好ましく、0.05vol%以下がさらに好ましい。
前記の混合ガスは、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスであることが好ましい。また、前記の混合ガスは、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスであることが好ましい。
【0022】
また、本発明のヘキサフルオロエタンの製造方法は、次の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする。
(1)ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化してテトラフルオロメタンに変換する工程(2)前記工程(1)で得られる、ヘキサフルオロエタンとテトラフルオロメタンを含む混合ガスを蒸留し、精製されたヘキサフルオロエタンを得る工程
【0023】
下記式(1)に示したように、クロロトリフルオロメタンは、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と反応してテトラフルオロメタン(CF4)を生成する。
CClF3+HF → CF4+HCl (1)
ヘキサフルオロエタンは反応せず、不純物であるクロロトリフルオロメタンがフッ化水素と反応する。生成したCF4とCF3CF3との沸点差は約50℃となり、またCF4とCF3CF3は共沸混合物を形成しないので公知の蒸留操作によって容易に分離することが可能となる。
【0024】
工程(1)のフッ素化触媒は、3価の酸化クロムを主成分とする担持型触媒または塊状型触媒であることが好ましい。
また、工程(1)において、フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)が0.05〜10であることが好ましく、工程(1)の混合ガスに含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度が0.1vol%以下であることが好ましい。
【0025】
工程(1)の混合ガスは、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスであることが好ましい。また、工程(1)の混合ガスは、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスであることが好ましい。
【0026】
また、例えば式(1)の反応によって生成した塩酸と過剰に使用したフッ化水素からなる酸分を除去する方法としては、例えば精製剤と接触させる方法、水やアルカリ水溶液等と接触させる方法等を用いることができる。また酸分を除去した後のCF3CF3を主成分とするガスは、例えばゼオライト等の脱水剤を用いて脱水を行い、低沸点留分のカット等の蒸留操作を行うことにより高純度のCF3CF3として得ることができる。
【0027】
本発明の製造方法を用いて純度が99.9997vol%以上のヘキサフルオロエタンを得ることができる。その場合、不純物として含まれるクロロトリフルオロメタンは1volppm以下である。純度が99.9997vol%以上であるCF3CF3は、ガスクロマトグラフ(GC)のTCD法、FID法(いずれもプレカット法を含む)、ECD法あるいはカスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)等の機器を用いて分析することができる。
【0028】
次に、本発明の製造方法を用いて得られる高純度のヘキサフルオロエタンの用途について説明する。
高純度のCF3CF3、あるいはHe、N2、Ar等の不活性ガス、O2、NF3等のガスとの混合ガス(本発明においては、あわせて「ヘキサフルオロエタン製品」という。)は、半導体デバイス製造工程の中のエッチング工程におけるエッチングガスとして用いることができる。また、半導体デバイス製造工程の中のクリーニング工程におけるクリーニングガスとして用いることができる。LSIやTFT等の半導体デバイスの製造プロセスでは、CVD法、スパッタリング法あるいは蒸着法などを用いて薄膜や厚膜を形成し、回路パターンを形成するためにエッチングを行う。また、薄膜や厚膜を形成する装置においては、装置内壁、冶具等に堆積した不要な堆積物を除去するためのクリーニングが行われる。これは不要な堆積物が生成するとパーティクル発生の原因となるためであり、良質な膜を製造するためには随時除去する必要がある。
【0029】
CF3CF3を用いるエッチング方法は、プラズマエッチング、マイクロ波エッチング等の各種ドライエッチング条件で行うことができ、CF3CF3とHe、N2、Ar等の不活性ガス、あるいはHCl、O2、H2、F2、NF3等のガスと適切な割合で混合して使用してもよい。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(原料ガスの製造例)
テトラクロロエチレン(CCl2=CCl2)をモレキュラーシーブス4A(ユニオン昭和株式会社製)と接触させてテトラクロロエチレンに含まれている安定剤と水分を除去した後、クロム系フッ素化触媒の存在下、フッ化水素(HF)と反応させた(第1反応:反応圧力0.4MPa、反応温度320℃、HF/テトラクロロエチレン=8(モル比))。次いで、第1反応で得られた、主としてジクロロトリフルオロエタン(CF3CHCl2)とクロロテトラフルオロエタン(CF3CHClF)をフッ化水素と反応させた(第2反応:反応圧力0.45MPa、反応温度330℃、HF/(CF3CHCl2+CF3CHClF)=6(モル比)。第2反応終了後、公知の方法を用いて酸分を除去し、蒸留精製を行い、主としてペンタフルオロエタンを主成分とする留出物を得た。この留出物をガスクロマトグラフを用いて分析したところ、表1に示した組成を有するペンタフルオロエタンであった。
【0032】
【表1】
【0033】
(実施例1)原料ヘキサフルオロエタンの製造例
内径20.6mm、長さ500mmのインコネル600製反応器(電気ヒーター加熱方式:フッ素ガスで温度500℃で不動態化処理実施済)に、2つのガス導入口から合計30NL/hの流速で窒素ガスを流し、反応器内の温度を380℃に保持した。次に、前記の2つのガス導入口から合計50NL/hの流速でフッ化水素を流し、一方のガス導入口から前記の原料ガスの製造例で得られたペンタフルオロエタンを3.6NL/hの流速で導入した。また他方のガス導入口から、3.9NL/hの流速でフッ素ガスを導入してフッ素化反応を行った。反応器からの出口ガスを水酸化カリウム水溶液およびヨウ化カリウム水溶液と接触させ、出口ガス中に含まれるフッ化水素および未反応フッ素ガスを除去した。次いで脱水剤と接触させて乾燥し、乾燥したガスを冷却捕集し、蒸留して精製を行った。精製後のヘキサフルオロエタンをガスクロマトグラフを用いて分析し、その結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】
(実施例2)触媒の調製例
10Lの容器に純水0.6Lを入れて撹拌し、この中に純水1.2Lに452gのCr(NO3)3・9H2Oと42gのIn(NO3)3・nH2O(nは約5)を溶かした溶液と、0.31Lの28%アンモニア水とを、反応液のPHが7.5〜8.5の範囲内になるように、2種の水溶液の流量をコントロールしながら約1時間かけて滴下した。得られたスラリーを濾別し、濾別した固形物を純水でよく洗浄した後、120℃で12時間乾燥した。乾燥した固形物を粉砕後、黒鉛と混合し、打錠成型器によってペレットを作製した。このペレットを窒素気流下、400℃で4時間焼成して触媒前駆体とした。次に触媒前駆体をインコネル製反応器に充填し、先ず常圧下350℃で窒素希釈したフッ化水素気流下でフッ素化処理(触媒の活性化)を行った。次いで100%フッ化水素気流下で、さらに窒素希釈したフッ化水素気流下で400℃でフッ素化処理(触媒の活性化)を行い、触媒を調製した。
【0036】
(実施例3)ヘキサフルオロエタンの製造例1
内径1インチ、長さ1mのインコネル600型反応器に、実施例2で得られた触媒150mlを充填し,窒素ガスを流しながら温度を280℃に保持した。次にフッ化水素を1.5NL/hで供給し、表2に示した組成を有する原料ヘキサフルオロエタンを3.5NL/hで供給した。その後、窒素ガスの供給を停止し、反応を開始した。3時間後、反応器からの出口ガスを水酸化カリウム水溶液で洗浄して酸分を除去した後、ガスの組成をガスクロマトグラフで分析したところ、表3に示した組成を有するヘキサフルオロエタンであった。
【0037】
【表3】
【0038】
表3から明らかなように、ヘキサフルオロエタン中に含まれるクロロトリフルオロメタンはテトラフルオロメタンに変換することができる。
次に、前記の反応を行い、酸分を除去したガスを脱水剤と接触させ、乾燥して冷却捕集し、公知の方法により蒸留を行って精製した。蒸留を行って得られたヘキサフルオロエタンをガスクロマトグラフで分析し、その結果を表4に示した。
【0039】
【表4】
表4に示した分析結果から、ヘキサフルオロエタンの純度は99.9997vol%以上であり、クロロトリフルオロメタンの含有量は0.5volppm未満であった。不純物の分析方法は、ガスクロマトグラフのTCD法、FID法、ECD法、およびGC−MS法を用いた。
【0040】
(実施例4)ヘキサフルオロエタンの製造例2
内径1インチ、長さ1mのインコネル600型反応器に、実施例2で得られた触媒100mlを充填し、窒素ガスを流しながら温度を400℃に保持した。次にフッ化水素を10NL/hで供給し、表2に示した組成を有する原料ヘキサフルオロエタンを10NL/hで供給した。その後、窒素ガスの供給を停止し、反応を開始した。3時間後、反応器からの出口ガスを実施例3と同様に酸分除去を行った後にガスクロマトグラフを用いて分析した。その結果、表5に示した組成を有するヘキサフルオロエタンであった。
【0041】
【表5】
【0042】
表5において、NDとはGC−MSでの検出限界以下を表し、数値としては0.1volppm未満を意味する。従って、CClF3の含有量は0.1volppm未満であった。
次に、実施例3と同様にして脱水した上記生成ガスを冷却捕集し、同様の条件で蒸留を行って得られたヘキサフルオロエタンをガスクロマトグラフで分析し、その結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
表6に示した分析結果から明らかなように、CClF3の含有量は0.1volppm未満であり、高純度のヘキサフルオロエタンが得られた。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の製造方法を用いれば高純度のCF3CF3を得ることができる。本発明の方法で得られたCF3CF3は半導体デバイス製造工程におけるエッチングガスあるいはクリーニングガスとして用いることができる。
Claims (10)
- ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、クロムおよびインジウムを含むフッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化する工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法。
- フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)が0.05〜10である請求項1に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記混合ガスに含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度が0.1vol%以下である請求項1または2に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記混合ガスが、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスである請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記混合ガスが、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスである請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 次の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法。
(1)ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガスを、クロムおよびインジウムを含むフッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で200〜450℃で反応させて、前記クロロトリフルオロメタンをフッ素化してテトラフルオロメタンに変換する工程
(2)前記工程(1)で得られる、ヘキサフルオロエタンとテトラフルオロメタンを含む混合ガスを蒸留し、精製されたヘキサフルオロエタンを得る工程 - 前記工程(1)において、フッ化水素と前記混合ガスのモル比(フッ化水素/ヘキサフルオロエタンとクロロトリフルオロメタンを含む混合ガス)が0.05〜10である請求項6に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記工程(1)の混合ガスに含まれるクロロトリフルオロメタンの濃度が0.1vol%以下である請求項6または7に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記工程(1)の混合ガスが、ジクロロテトラフルオロエタンおよび/またはクロロペンタフルオロエタンを、フッ素化触媒の存在下、フッ化水素と気相で反応させて得られる混合ガスである請求項6〜8のいずれか1項に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
- 前記工程(1)の混合ガスが、テトラフルオロエタンおよび/またはペンタフルオロエタンとフッ素ガスとを反応させて得られる混合ガスである請求項6〜9のいずれか1項に記載のヘキサフルオロエタンの製造方法。
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