JP4458784B2 - ペンタフルオロエタンの製造方法およびその用途 - Google Patents

ペンタフルオロエタンの製造方法およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペンタフルオロエタンの製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペンタフルオロエタン(CF3 CHF2 )は、例えば、低温用冷媒やエッチングガスとして用いられ、またヘキサフルオロエタン(CF3 CF3 )製造用原料としても用いられる。
【0003】
ペンタフルオロエタンの製造方法としては、従来から次のような方法が知られている。例えば、
(1)テトラクロロエチレン(CCl2 =CCl2 )またはそのフッ素化物を、フッ素化触媒の存在下にフッ化水素を用いてフッ素化する方法(特開平8−268932号公報)、
(2)クロロペンタフルオロエタン(CF3 CClF2 )を水素化分解する方法(特許2540409号公報)、
(3)ハロゲン含有エチレンにフッ素ガスを反応させる方法(特開平1−38034号公報)
等が挙げられる。
【0004】
これらの製造方法を用いると、クロロフルオロカーボン(CFC)類、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類などの種々の不純物が、目的生成物質であるペンタフルオロエタン中に含まれる。
【0005】
純度の高いペンタフルオロエタンを得るためには、これらの不純物をできる限り除去する必要がある。これらの不純物のうち、クロロフルオロカーボン類については、高純度化するという目的以外に、オゾン層の破壊を防止するという観点から、種々の精製方法が提案されている。特に、クロロペンタフルオロエタンはペンタフルオロエタンと沸点が近く、通常の蒸留では分離が困難なため、以下のような精製方法が提案されている。例えば、
(1)抽出蒸留による方法(特表平9−508626号公報)、
(2)ペンタフルオロエタン中に含まれるクロロペンタフルオロエタンを水素化分解する方法(特開平8−301801号公報)、
(3)ペンタフルオロエタン中に含まれるクロロペンタフルオロエタンをフッ化水素(HF)によりフッ素化した後に除去する方法(特開平6−256234号公報)
等が挙げられる。
【0006】
また、ハイドロクロロフルオロカーボン類またはハイドロフルオロカーボン類からなる不純物のうち、ジフルオロメタン(CH22 )および1,1,1−トリフルオロエタン(CF3 CH3 )はペンタフルオロエタンと共沸混合物または共沸様混合物を形成することが知られており、ペンタフルオロエタンと分離することが非常に困難である。中でも1,1,1−トリフルオロエタンは、水素化分解を含む方法によってペンタフルオロエタンを製造した場合に、過剰脱ハロゲン水添反応の結果副生物として生成する可能性が高く、ペンタフルオロエタン中に多量に含まれる場合がある。
【0007】
ペンタフルオロエタン中に含まれる1,1,1−トリフルオロエタンを除去する方法としては抽出蒸留による方法が提案されている(特開平9−12487号公報)。しかしながら、抽出蒸留による方法は蒸留塔など高価な設備を複数必要とするため、設備費が膨大となるという問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−268932号公報
【特許文献2】
特許2540409号公報
【特許文献3】
特開平1−38034号公報
【特許文献4】
特表平9−508626号公報
【特許文献5】
特開平8−301801号公報
【特許文献6】
特開平6−256234号公報
【特許文献7】
特開平9−12487号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景の下、低温用冷媒やエッチングガスとして、あるいは高純度ヘキサフルオロエタン製造用原料として使用することができる、より高純度のペンタフルオロエタンを工業的に有利に製造する方法および得られるペンタフルオロエタンの用途を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ペンタフルオロエタンを製造する方法において、粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程を含み、前記工程における反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%以下であることを特徴とする製造方法を用いることにより前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔16〕に関する。
【0011】
〔1〕 ペンタフルオロエタンを製造する方法において、粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程を含み、前記工程における反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%以下であることを特徴とする製造方法。
【0012】
〔2〕 前記粗ペンタフルオロエタンが、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ素化触媒の存在下にフッ化水素を用いてフッ素化するフッ素化反応を行うことにより得られるものである上記〔1〕に記載の製造方法。
【0013】
〔3〕 前記粗ペンタフルオロエタンが、前記フッ素化反応を行った後に水素と接触させる反応を行うことにより得られるものである上記〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
【0014】
〔4〕 前記粗ペンタフルオロエタンが、フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタンおよび1,1,2−トリフルオロエタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を不純物として含む上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
〔5〕 前記粗ペンタフルオロエタン中に含まれる前記不純物の総含有量が、2vol%以下である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
〔6〕 前記工程の温度が、150〜400℃の範囲である上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
〔7〕 反応基質ガス中の酸素および/または含酸素化合物の濃度が、0.1〜20vol%である上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
〔8〕 前記工程で用いられる触媒が、3価の酸化クロムを主成分とする、坦持型または塊状型の触媒である上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
〔9〕 前記工程で用いられる触媒が、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、白金および金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を主成分とする坦持型触媒である上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
〔10〕 坦持型触媒に用いる坦体が、アルミナ、フッ化アルミナまたはゼオライトである上記〔8〕または〔9〕に記載の製造方法。
【0021】
〔11〕 前記工程を行った後、蒸留による精製を行う上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
〔12〕 上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載した製造方法によって得られる、不純物の総量が400volppm以下であるペンタフルオロエタン。
【0023】
〔13〕 不純物として含まれるトリフルオロエタンの含有量が100volppm以下である上記〔12〕に記載のペンタフルオロエタン。
【0024】
〔14〕 上記〔12〕または〔13〕に記載したペンタフルオロエタンを含むことを特徴とする冷媒。
【0025】
〔15〕 以下の工程を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法。
【0026】
(1)テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ素化触媒の存在下にフッ化水素を用いてフッ素化するフッ素化反応を行うことにより得られる粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に水分が2vol%以下の系中で接触させる工程
(2)工程(1)を経て得られるペンタフルオロエタンをフッ素ガスと反応させる工程
〔16〕 工程(1)で用いられる粗ペンタフルオロエタンが、前記フッ素化反応を行った後に水素と接触させる反応を行うことにより得られるものである上記〔15〕に記載の製造方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい態様について詳しく説明する。
【0028】
ペンタフルオロエタンは、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ化水素(HF)でフッ素化する方法、あるいはクロロペンタフルオロエタンを水素化分解する方法等により製造されている。いずれの方法を用いて製造した場合でも、一般的に行われる蒸留などの精製工程を通じて得られるペンタフルオロエタン中には、ペンタフルオロエタンと共沸または共沸様混合物を形成することから分離困難であるクロロペンタフルオロエタンが不純物として含まれ、これを分離することが、高純度化の観点またはオゾン層破壊防止の観点等から要求されている。
【0029】
ペンタフルオロエタン中に含まれるクロロペンタフルオロエタンを分離する方法としては、前述した抽出蒸留による方法、水素化分解による方法、あるいは吸着による方法などが提案されているが、これらの中で設備費等も含めてより安価にペンタフルオロエタンを製造できる方法として水素化分解による方法が好ましく用いられている。しかしながら、ペンタフルオロエタンを製造する方法として水素化分解工程を含む方法を選択した場合の問題点としては、過剰水添反応が起こることによって、ペンタフルオロエタンと分離することが困難なハイドロフルオロカーボン(HFC)類が新たに生成することが挙げられる。中でもジフルオロメタンと1,1,1−トリフルオロエタンはペンタフルオロエタンと沸点が非常に近く、また共沸混合物または共沸様混合物を形成することが知られており、蒸留などの一般的な精製方法を用いた場合にはペンタフルオロエタンと分離することが困難な物質である。また、ペンタフルオロエタン中に含まれるHFC類を除去して精製する方法として、前述のような抽出蒸留による方法が提案されているが、蒸留塔などの高価な設備が複数必要であり、設備コストが膨大となるという問題がある。
【0030】
本発明のペンタフルオロエタンの製造方法は、粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程を含み、前記工程における反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%以下であることを特徴とする。
【0031】
粗ペンタフルオロエタンと接触させる酸素もしくは含酸素化合物としては、酸素ガス、空気、O3、N2O、NO、NO2等を用いることができ、酸素ガスまたは空気を用いることが好ましい。
【0032】
反応基質ガス中に含まれる水分は、1.5vol%以下であることが好ましい。
【0033】
反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%を超えた場合、ハイドロフルオロカーボン類の転化率が低下するため好ましくない。
【0034】
前記粗ペンタフルオロエタンは、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ素化触媒の存在下にフッ化水素を用いてフッ素化するフッ素化反応を行うことにより得られるものであることが好ましく、また、前記粗ペンタフルオロエタンが、前記フッ素化反応を行った後に水素と接触させる反応を行うことにより得られるものであるのがさらに好ましい。
【0035】
粗ペンタフルオロエタンとして、水素と接触させる水素化分解を含む方法を用いて得られたペンタフルオロエタンを用いる場合、水素化分解の際の過剰水素を含んだまま本発明の製造方法に用いると、酸素および/または含酸素化合物と爆発性混合気体を形成する可能性があるため、過剰水素は反応に用いる前に除去されることが望ましい。さらに、本発明の製造方法を用いる際に塩化水素および/またはフッ化水素が共存すると、ハイドロフルオロカーボン類の転化率が低下することが明らかになっている。従って、粗ペンタフルオロエタン中に含まれる塩化水素および/またはフッ化水素を粗ペンタフルオロエタンから除去した後に酸素および/または含酸素化合物と接触させることが望ましい。これらの酸成分を除去する方法としては公知の方法を利用することができ、例えば、蒸留による方法、アルカリスクラバーを用いる方法、脱酸剤と接触させる方法等が挙げられるが、アルカリスクラバーを用いる方法が一般的であり、好ましい。
【0036】
また、アルカリスクラバーを用いて酸成分を除去する方法では、出口ガス中に循環アルカリ液温度に依存して若干の水分が共存する。本発明の方法は、粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程を行う際の反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%以下であることにより、不純物として含まれるハイドロフルオロカーボン類を除去する方法であるので、反応基質中の水分を、例えば、モレキュラーシーブスやシリカゲル等の脱水剤を用いる方法、ペンタフルオロエタンのガス温度を18℃以下に低下させて水分を凝縮分離する方法などの公知の方法を用いて2vol%以下にする。
【0037】
粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程を行うと、例えば、ペンタフルオロエタン中に含まれるジフルオロメタンや1,1,1−トリフルオロエタンは、下記の式(a)や式(b)で示されるような反応が進行し、酸化されてCO2 などに転化すると推定される。主な生成物はCO2 であり、副生物としてフッ化水素が生成する。
【0038】
CH22 + O 2 → CO2 + 2HF (a)
CF3 CH3 + 2O2 → 2CO2 + 3HF (b)
このような反応によってCO2 に転化する化合物は、前記のフルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタンなどであり、これらの化合物は製造または精製の段階で水素化分解による方法を用いて製造されたペンタフルオロエタン中には、通常、総量で数千volppm程度含まれている。これらの不純物は高純度化の観点から除去することが要求されている。
【0039】
本発明に用いられるペンタフルオロエタンに含まれるハイドロフルオロカーボン類不純物の総量は2vol%以下であることが好ましく、0.5vol%以下であることがより好ましく、0.3vol%以下であることがさらに好ましい。ハイドロフルオロカーボン類の濃度が2vol%を超えると、反応温度を高くする必要が生じて、触媒の寿命が短くなることがある。
【0040】
反応に用いられる触媒としては、(i)3価の酸化クロムを主成分とする、坦持型または塊状型の触媒、または(ii)パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、白金および金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を主成分とする坦持型触媒であることが好ましい。原料としては、これらの金属、金属酸化物または塩などを用いることができる。また、担持型触媒に使用できる坦体としては、アルミナ、フッ化アルミナまたはゼオライトを用いることができる。
【0041】
3価の酸化クロムを主成分とする塊状型触媒(i)の調製方法としては、例えば、クロムの金属塩の水溶液中にアンモニア等の塩基性物質を滴下して水酸化クロムを沈殿させた後、沈殿を洗浄し、濾過し、乾燥して得られた水酸化クロムを成型後、さらに窒素等の不活性ガスの存在下に加熱処理する方法が挙げられる。また、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、白金および/または金を主成分とする坦持型触媒(ii)の調製方法としては、例えば、前記の金属塩を水溶性溶媒、例えば、水、メタノールまたはアセトン等に溶解し、前記した坦体を浸漬して必要な元素を吸着させ、溶媒を留去してさらに水素等で加熱還元処理する方法が挙げられる。
【0042】
粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に接触させる工程の温度は150〜400℃の範囲が好ましく、180〜370℃の範囲がさらに好ましい。反応温度が400℃より高いと触媒寿命が短くなる傾向が見られ、主反応に起因しない副生不純物の種類や量が増加することがあるので好ましくない。また、反応基質ガスの主成分であるペンタフルオロエタンの分解反応が起こり、ペンタフルオロエタンロス量が増大するため経済的観点等から好ましくない。
【0043】
反応基質ガス中に含まれる酸素および/または含酸素化合物の濃度は、0.1〜20vol%であることが好ましい。上記化合物の濃度が0.1vol%より低くなった場合、ペンタフルオロエタン中に含まれるハイドロフルオロカーボン類の種類、量により異なるが、反応に必要な酸素等が十分でないため、転化率が低下することがあるので好ましくない。また、酸素等が20vol%より多くなると、過剰の反応が進行して、反応基質ガスの主成分であるペンタフルオロエタンの分解反応が起こり、ペンタフルオロエタンをロスする量が増大するため経済的観点等から好ましくない。
【0044】
本発明は、前述のような反応条件の下に実施されるが、反応生成物にはペンタフルオロエタンの他に、CO2 や主反応に起因しないハイドロフルオロカーボン類等の副生不純物、フッ化水素等の酸分が含まれ、これらのCO2 や酸分は除去されることが望ましい。
【0045】
酸分の除去方法としては、例えば、精製剤と接触させる方法、水やアルカリ水溶液等と接触させる方法等を用いることができる。酸分を除去したガスは、例えば、ゼオライト等の脱水剤を用いて脱水を行い、その後蒸留を行ってCO2 を除去することが好ましく、それと同時に前述した主反応に起因しない副生不純物を除去することが好ましい。
【0046】
反応後に精製する方法としては特に制限はなく、一般的に用いられている蒸留によって精製することができる。蒸留の方法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。
【0047】
反応器において粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを接触させた出口ガスは、蒸留塔に導入される。蒸留塔の塔内圧力は、大気圧から2MPaの範囲内とすることが好ましい。大気圧より低くするためには減圧系の設備が必要となり、2MPaを超えると高圧系の設備が必要となるので好ましくない。例えば、酸素を用いて前記の接触反応を行った場合には、蒸留塔の塔頂から酸素を含む低沸分が抜き出され、蒸留塔のボトムから高沸分が抜き出される。この時、塔頂およびボトムから抜き出される成分の中に目的成分であるペンタフルオロエタンが含まれることがあるが、その際にはそれぞれ別の蒸留塔に導入して精製してもよい。その時分離された成分がペンタフルオロエタンの製造中間体である場合には、ペンタフルオロエタンを製造する工程に戻して再利用してもよい。
【0048】
以上のような本発明の方法を用いることにより、純度の高いペンタフルオロエタンを得ることができ、得られるペンタフルオロエタン中に含まれる不純物の含有量は400volppm以下である。純度が99.95vol%以上であるペンタフルオロエタンの分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)法のTCD法、FID法あるいはガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)法等により実施することができる。
【0049】
次に、本発明の製造方法を用いて得られるペンタフルオロエタンの用途について説明する。
【0050】
高純度のペンタフルオロエタンは、低温用冷凍機の作動流体として現在用いられているクロロジフルオロメタン(CHClF2 )の代替品として用いることができる。また、クロロジフルオロメタンの他の代替品である、ジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン/1,1,1,2−テトラフルオロエタンやジフルオロメタン/ペンタフルオロエタン等の混合冷媒の原料としても用いることができる。
【0051】
また、高純度のペンタフルオロエタンは、高純度のヘキサフルオロエタンの製造用原料としても用いることができる。特に、ペンタフルオロエタンとフッ素ガス(F2 )との反応によりヘキサフルオロエタンを製造する方法においては、高純度のペンタフルオロエタンを原料として用いることにより、ヘキサフルオロエタンと難分離性の不純物の生成を抑制したり、フッ素化反応を安定的に制御することが可能である。
【0052】
したがって、本発明は、また、(1)テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ素化触媒の存在下にフッ化水素を用いてフッ素化するフッ素化反応を行うことにより得られる粗ペンタフルオロエタンと酸素および/または含酸素化合物とを触媒の存在下に水分が2vol%以下で接触させる工程、および(2)工程(1)を経て得られるペンタフルオロエタンをフッ素ガスと反応させる工程、を含むことを特徴とするヘキサフルオロエタンの製造方法を提供する。
【0053】
工程(1)で用いられる粗ペンタフルオロエタンは、水素と接触させる工程を経て得られたものであることが好ましい。
【0054】
また、高純度のペンタフルオロエタン、あるいはHe、N2 、Ar等の不活性ガス、HCl、O2 、H2 等との混合ガスは、半導体デバイス製造工程の中のエッチング工程におけるエッチングガスとして用いることができる。LSIやTFT、有機EL等の半導体デバイスの製造プロセスでは、CVD法、スパッタリング法、あるいは蒸着法などを用いて薄膜や厚膜を形成し、回路パターンを形成するためにエッチングを行う際に、前述のペンタフルオロエタンを含む混合ガスをエッチングガスとして用いることができる。ペンタフルオロエタンを用いるエッチング方法は、プラズマエッチング、マイクロ波エッチング等の各種ドライエッチング条件で実施することができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
ペンタフルオロエタンの原料例1
市販のペンタフルオロエタン(不純物としてクロロペンタフルオロエタンを0.5%含有)を、市販の水素化触媒の存在下に、水素と反応させた(反応圧力0.35MPa、反応器温度280℃、H2 /クロロペンタフルオロエタンモル比=5)。得られた混合ガスから、蒸留精製により過剰水素および副生塩化水素を除去した後に、残留する微量の酸分を除去するため、循環液温度を10℃に制御したアルカリスクラバーで洗浄した。アルカリスクラバーから流出するガスを採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、下記の表1に示す組成を有する混合ガスであった。また、この流出物中の水分を露点計にて分析したところ、1.2vol%であった。
【0057】
【表1】
Figure 0004458784
【0058】
ペンタフルオロエタンの原料例2
原料例1と同様の反応を実施した。得られた混合ガスを、モレキュラーシーブスを充填した筒に流通した後に、蒸留精製しペンタフルオロエタンを主成分とする留出物を得た。この留出物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、下記の表2に示す組成を有する混合ガスであった。また、この留出物中の水分をカールフィッシャー水分計にて分析したところ、7volppmであった。
【0059】
【表2】
Figure 0004458784
【0060】
ペンタフルオロエタンの原料比較例
アルカリスクラバーの循環液温度を25℃に制御する以外は、原料例1と同様の操作を行った。アルカリスクラバーから流出するガスの組成は、表1と同様であったが、流出物中の水分は、3.1vol%であった。
【0061】
触媒の製造例(触媒例1)
塩化第二白金酸を水に溶解し、これに3mmφの球状アルミナ坦体を浸漬し、白金塩を吸着させた。その後、100℃の温度で溶媒を留去し、300℃で空気焼成を行った後、350℃で水素還元した。得られた白金触媒の白金坦持率は0.25%であった。
【0062】
実施例1
内径1インチ、長さ1mのインコネル600製反応器に触媒(触媒例1)100mlを充填し、窒素ガスを流しながら温度を290℃に保持した。次に、乾燥空気を3.7NL/hrの流速で供給し、表1に示した組成を有するガス(原料例1)を37.3NL/hrの流速で供給し、その後窒素ガスの供給を停止して反応を開始した。2時間後、反応器からの出口ガスを水酸化カリウム水溶液で洗浄して酸分を除去した後、モレキュラーシーブス3A(ユニオン昭和株式会社製)と接触させて乾燥した。この乾燥したペンタフルオロエタンを主成分とするガスを冷却捕集し、蒸留により精製を行った。精製後のガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、下記の表3に示す組成を有していた。
【0063】
【表3】
Figure 0004458784
【0064】
実施例2
原料として原料例2を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ペンタフルオロエタンを得た。精製後のガスをガスクロマトグラフィーにより分析したところ、下記の表4に示す組成を有していた。
【0065】
【表4】
Figure 0004458784
【0066】
比較例1
原料として原料比較例で調製した粗ペンタフルオロエタンを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ペンタフルオロエタンを得た。精製後のガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、下記の表5に示す組成を有していた。
【0067】
【表5】
Figure 0004458784
【0068】
実施例3
内径1インチ、長さ50cmのニッケル製反応器(電気ヒーター加熱、反応器は温度500℃でフッ素ガスによる不動態化処理を実施)に、2つのガス導入口から合計30NL/hrの流速で窒素ガスを供給し、反応器の温度を420℃に保持した。次に、前記の2つのガス導入口から合計50NL/hrの流速でフッ化水素を流し、一方のガス導入口から実施例1で得たペンタフルオロエタンを主成分とする混合ガスを3.5NL/hrの流速で導入した。また他方のガス導入口から3.85NL/hrの流速でフッ素ガスを導入して反応を行った。3時間後、反応器からの出口ガスを水酸化カリウム水溶液およびヨウ化カリウム水溶液と接触させ、HFおよび未反応フッ素ガスを除去した。次いで脱水剤と接触させて乾燥し、乾燥したガスを冷却捕集した後に蒸留による精製を行った。精製後のガスをガスクロマトグラフィーのTCD法、FID法、ECD法およびGC−MS法により分析したところ、下記の表6に示す結果であった。
【0069】
【表6】
Figure 0004458784
【0070】
表6に示した分析結果から明らかなように、ヘキサフルオロエタン中には他の不純物はほとんど含まれず、高純度のヘキサフルオロエタンが得られた。
【0071】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の方法を用いれば、高純度のペンタフルオロエタンを得ることができる。本発明の方法で得られたペンタフルオロエタンは低温用冷媒、高純度ヘキサフルオロエタン製造用原料として用いることができる。

Claims (7)

  1. ペンタフルオロエタンを製造する方法において、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ化水素を用いてフッ素化するフッ素化反応を行うことにより得られ、フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタンおよび1,1,2−トリフルオロエタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を不純物として含む粗ペンタフルオロエタンと、酸素ガス、空気、O、NO、NOおよびNOから選ばれるガスとを、3価の酸化クロムを含む坦持型または塊状型の触媒またはパラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、白金および金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を主成分とする坦持型触媒の存在下に接触させる工程を含み、前記工程における前記ペンタフルオロエタンと前記酸素ガス、空気、O 、N O、NOおよびNO から選ばれるガスとを含む反応基質ガス中に含まれる水分が2vol%以下であることを特徴とする製造方法。
  2. 前記粗ペンタフルオロエタンが、前記フッ素化反応を行った後に水素と接触させる反応を行うことにより得られるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記粗ペンタフルオロエタン中に含まれる前記不純物の総含有量が、2vol%以下である請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記工程の温度が、150〜400℃の範囲である請求項1に記載の製造方法。
  5. 反応基質ガス中の前記酸素ガス、空気、O 、N O、NOおよびNO から選ばれるガスの濃度が、0.1〜20vol%である請求項1に記載の製造方法。
  6. 坦持型触媒に用いる坦体が、アルミナ、フッ化アルミナまたはゼオライトである請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記工程を行った後、蒸留による精製を行う請求項1に記載の製造方法。
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