JP2002208435A - 固体電解質電池及び固体電解質電池の製造方法 - Google Patents

固体電解質電池及び固体電解質電池の製造方法

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JP2002208435A
JP2002208435A JP2001005590A JP2001005590A JP2002208435A JP 2002208435 A JP2002208435 A JP 2002208435A JP 2001005590 A JP2001005590 A JP 2001005590A JP 2001005590 A JP2001005590 A JP 2001005590A JP 2002208435 A JP2002208435 A JP 2002208435A
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negative electrode
positive electrode
aqueous solvent
active material
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JP2001005590A
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Koichiro Kezuka
浩一郎 毛塚
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Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池容量特性や充放電サイクル特性といった
電池特性の劣化を防止させる。 【解決手段】 正極集電体7上に正極活物質層8が形成
されている正極4と、負極集電体9上に負極活物質層1
0が形成されている負極5と、正極活物質層8上及び負
極活物質層10上にゲル状電解質6の溶液を塗布、乾燥
されてなるゲル状電解質6とを備え、ゲル状電解質6を
備えた正極4とゲル状電解質6を備えた負極5とがゲル
状電解質6側を対向させて貼り合わせることにより電池
素子2となるゲル状電解質電池1であって、正極活物質
層8及び負極活物質層10は、少なくともゲル状電解質
6との界面を揮発性非水溶媒により湿潤させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質電池及
び固体電解質電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、カメラ一体型VTR(vi
deo tape recorder),携帯電話,携帯用コンピュータ
等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化
が図られている。そして、これら電子機器のポータブル
電源として電池が用いられ、特に二次電池が多く使用さ
れている。この二次電池の中でも非水系二次電池、いわ
ゆるリチウムイオン二次電池について、サイクル寿命,
安全性,急速充電性能に関する研究開発が活発に進めら
れていると共に、リチウムイオン二次電池の需要が高ま
っている。
【0003】そして、このリチウムイオン二次電池で
は、電子機器の小型化に伴い薄型や折り曲げ可能である
こと等、形状自在な電池が求められているとともに研究
が盛んに行われている。特に形状自在な電池としては、
電解液を固体化させて固体電解質とし、この固体電解質
を正極と負極との間で電極活物質に密着するように積層
させて電池とした固体電解質電池が高い注目を浴びてい
る。そして、この固体電解質を用いた電池は、従来の液
状の電解質(電解液)を用いた電池が実現困難であっ
た、例えば極薄、形状自在等の要望を可能にするととも
に軽量、高容量密度等の優れた特徴を備えている。
【0004】例えば図3に示すような固体電解質電池1
00は、発電要素である電池素子101と外装材である
外装フィルム102とを備えている。
【0005】この電池素子101は、正極集電体103
に正極活物質層104が積層されてなる正極105と、
負極集電体106に負極活物質層107が積層されてな
る負極108と、それぞれの活物質層上に層状の固体電
解質109とを備え、これら固体電解質109側を対向
させて貼り合わせて圧着した構造を有している。
【0006】そして、この電池素子101を外装フィル
ム102内に封入することによりゲル状電解質電池10
0としている。なお、図3は、従来技術の固体電解質電
池の一構成例を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、固体電
解質109が正極105と負極108との間で密着する
ように積層されている固体電解質電池100では、固体
電解質109に電解液のような流動性がなく、正極10
5及び負極108の電極活物質の図示しない細孔にまで
固体電解質109を含浸することができないことから、
正極105の正極活物質層104及び負極108の負極
活物質層107と固体電解質109とを電気的に良好な
接触状態することが困難となってしまう。
【0008】そして、この正極105及び負極108と
固体電解質109との電気的な接触状態は、電池の性能
に大きく影響する。例えば電気的な接触状態が悪いと、
正極105及び負極108と固体電解質109との間で
電気的な接触抵抗が大きくなる、すなわち電池の内部抵
抗が大きくなるといった不具合や、正極105及び負極
108と固体電解質109との間で理想的なイオンの移
動ができなくなり、例えば、電池容量特性、充放電サイ
クル特性等の劣化といった不具合となって現れる。
【0009】この正極105及び負極108と固体電解
質109との電気的な接触状態を良好にする改善方法に
は、固体電解質109の溶液を溶媒で希釈して低粘度と
し、その低粘度の固体電解質109の溶液を正極105
及び負極108の電極活物質の細孔にまで含浸させるこ
とが考えられる。
【0010】しかしながら、この場合、正極105及び
負極108では、例えば細孔を予め占有していた空気や
希釈した溶媒の蒸発による泡等により、正極105及び
負極108と固体電解質109との間に空孔が生じてし
まい電気的な抵抗成分としてイオン伝導の妨げとなり、
正極105及び負極108と固体電解質109とを電気
的に良好な接触状態にすることができなくなってしま
う。
【0011】また、正極105及び負極108と固体電
解質109との間にある空気等の抵抗成分を除去させる
ために、真空状態で正極105及び負極108の電極活
物質の細孔にまで固体電解質109の溶液を含浸させる
改善方法が考えられる。
【0012】しかしながら、この場合、固体電解質10
9の溶液では、この溶液に含有される溶媒が急激に揮発
しながら、急激な粘度上昇を起こしてしまい、却って固
体電解質109が正極105及び負極108の細孔にま
で含浸することを困難にした。したがって、上述した改
善方法では、正極105及び負極108と固体電解質1
09との電気的な接触状態を良好にすることができなく
なってしまう。
【0013】そこで、本発明はこのような従来の事情に
鑑みて提案されたものであり、電池容量特性や充放電サ
イクル特性といった電池特性の劣化を防ぐことを可能と
した固体電解質電池を提供し、また、電池特性の劣化を
防止することを可能とした固体電解質電池の製造方法を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明に係る固体電解質電池は、正極集電体上に正
極活物質層が形成されてなる正極と、負極集電体上に負
極活物質層が形成されてなる負極と、正極活物質層上及
び負極活物質層上に固体電解質溶液が塗布、乾燥されて
なる固体電解質層とを備え、固体電解質層を備えた正極
と固体電解質層を備えた負極とが固体電解質層側を対向
させて貼り合わせることにより電池素子となる固体電解
質電池であって、正極活物質層及び負極活物質層は、少
なくとも固体電解質層との界面が揮発性非水溶媒により
湿潤していることを特徴としている。
【0015】以上のように本発明に係る固体電解質電池
では、正極活物質層及び負極活物質層と固体電解質層と
の界面が揮発性非水溶媒により湿潤していることによ
り、正極活物質層及び負極活物質層と固体電解質層とを
電気的に良好な接触状態にすることができる。
【0016】また、この目的を達成するために、本発明
に係る固体電解質電池の製造方法は、正極集電体上に正
極活物質層を形成して正極とする正極作製工程と、負極
集電体上に負極活物質層を形成して負極とする負極製造
工程と、正極活物質層及び負極活物質層に揮発性非水溶
媒を塗布して正極活物質層及び負極活物質層を湿潤させ
る揮発性非水溶媒塗布工程と、揮発性非水溶媒により湿
潤された正極活物質層及び負極活物質層に固体電解質溶
液を塗布、乾燥して固体電解質層を形成する固体電解質
形成工程と、正極活物質層上に固体電解質層が形成され
た正極と、負極活物質層上に固体電解質層が形成された
負極との固体電解質層側を対向させて貼り合わせ電池素
子を形成する電池素子形成工程とを備えることを特徴と
している。
【0017】以上のように本発明に係る固体電解質電池
の製造方法では、正極活物質層及び負極活物質層上に揮
発性非水溶媒を塗布し、湿潤させてから正極活物質層及
び負極活物質層に固体電解質溶液を塗布し、乾燥させ
て、正極活物質層上及び負極活物質層上に固体電解質層
を形成することにより、正極活物質層及び負極活物質層
と固体電解質層とを電気的に良好な接触状態にすること
ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0019】本発明を適用した固体電解質電池として、
ゲル状電解質電池1の一構成例を図1及び図2に示す。
なお、図1はこのゲル状電解質電池1の構成を示す平面
図であり、図2は、図1中A−A線における断面図
である。
【0020】このゲル状電解質電池1は、リチウムイオ
ンが電気反応に関与する電池素子2と、図示しない金属
層と図示しない絶縁体層とが積層されてなる外装フィル
ム3とを備えている。
【0021】ここで、本発明に係るゲル状電解質電池1
において、電池素子2は、図示しない揮発性非水溶媒が
塗布された正極4と、揮発性非水溶媒が塗布された負極
5と、正極4及び負極5のそれぞれ主面側にゲル状電解
質6の溶液が塗布されることで形成されたゲル状電解質
6とを備え、揮発性非水溶媒及びゲル状電解質6に含有
される非水溶媒が乾燥されることにより正極4及び負極
5にそれぞれ形成されたゲル状電解質6の面側を対向さ
せて貼り合わした構造となっている。
【0022】具体的には、揮発性非水溶媒は、正極4及
び負極5に塗布されて図示しない電極活物質の細孔にま
で浸透され、揮発性非水溶媒で湿潤している正極4及び
負極5にそれぞれ塗布されたゲル状電解質6の溶液中に
拡散する。そして、少なくとも拡散した揮発性非水溶媒
よりゲル状電解質6の溶液に含有される溶媒が先に乾燥
することはなく、電極活物質の細孔に浸透している揮発
性非水溶媒とゲル状電解質6の溶液とが置換される。こ
れにより、正極4及び負極5では、電極活物質の細孔に
ゲル状電解質6が空孔なく充填され、正極4及び負極5
とゲル状電解質6との間を電気的に良好な接触状態にす
ることができる。上述した電池素子2は、正極4及び負
極5におけるそれぞれのゲル状電解質6の面側を対向さ
せて貼り合わせた構造となる。
【0023】この揮発性非水溶媒は、式1に示されるエ
ーテル、式2に示されるケトン、式3に示されるエステ
ル、式4に示される炭酸エステル、式5に示されるエチ
レングリコール誘導体の少なくともいずれかを含有して
いることが好ましい。
【0024】
【化11】
【0025】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0026】
【化12】
【0027】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0028】
【化13】
【0029】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0030】
【化14】
【0031】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0032】
【化15】
【0033】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0034】正極4は、正極集電体7上に正極活物質を
含有した正極塗液を塗布した後に、例えば乾燥機等によ
り乾燥させることで正極活物質層8が積層されてなる。
なお、正極4は、正極活物質層8側を主面とする。
【0035】正極集電体7は、例えば、アルミニウム、
ニッケル、ステンレス等の金属を、箔状、ラス状、パン
チメタル状、網状等に形成されてなる。
【0036】正極活物質層8は、得ようとする電池の種
類に応じて、例えば、金属酸化物、金属硫化物、特定の
高分子等を正極活物質として用いても良い。リチウムイ
オン二次電池を得ようとする場合、その正極活物質に
は、例えばTiS、MoS、NbSe、V
等のリチウムを含有しない金属硫化物又は金属酸化物
や、LiMO(式中Mは一種以上の遷移金属を表
し、xは電池の充放電状態によって異なり通常0.05
以上1.10以下である)を主体とするリチウム複合酸
化物等を用いることができる。そして、このリチウム複
合酸化物に含有される遷移金属Mには、例えば、Co、
Ni、Mn等を用いることが好ましい。
【0037】リチウム複合酸化物は、例えば、LiCo
、LiNiO、LiNiCo1−y(式中
yは、0<y<1である)、LiMn、Li
PO (式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池
の充放電状態によって異なり通常0.05以上1.10
以下である)等があり、これらのものを用いても良い。
なお、これらの正極活物質を単独又は複数種混合して用
いても良い。
【0038】また、リチウム複合酸化物は、高電圧を発
生でき、エネルギー密度が高い優れた特性を示す。な
お、これらの正極活物質を用いて正極塗液を作製する場
合には、例えば公知の導電剤や、結着剤等を添加して非
水溶媒等に分散することにより得ることが可能である。
【0039】負極5は、負極集電体9上に負極活物質を
含有する負極塗液を塗布した後に、例えば乾燥機等によ
り乾燥することで負極活物質層10が積層されてなる。
なお、負極5は、負極活物質層10側を主面とする。
【0040】負極集電体9は、例えば、銅、ニッケル、
ステンレス等の金属を、箔状、ラス状、パンチメタル
状、網状等に形成されてなる。
【0041】負極活物質層10は、リチウムのドープ/
脱ドープが可能である材料を負極活物質として用いるこ
とができる。例えば、リチウムイオン二次電池を得よう
とする場合、その負極活物質には、難黒鉛化炭素材料、
黒鉛系炭素材料等の炭素材料を用いても良い。
【0042】炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コー
クス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コー
クス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼
成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼
成して炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等があり、
これらのものを用いても良い。
【0043】また、その他のリチウムをドープ/脱ドー
プが可能な材料としては、例えば、ポリアセチレン、ポ
リピロール等の高分子、SnO等の酸化物を用いるこ
とが可能である。なお、これらの負極活物質を用いて負
極塗液を作製する場合には、例えば公知の結着剤等を添
加して非水溶媒等に分散することにより得ることが可能
である。
【0044】ゲル状電解質6は、例えば溶剤である可塑
剤と電解質塩とマトリクス高分子等とを備えてなる。
【0045】可塑剤は、例えば、エステル類、エーテル
類、炭酸エステル類等の非水溶剤を単独又は可塑剤の一
成分としても良い。また、可塑剤は、含有量がゲル状電
解質における50重量%以上、97重量%以下が好まし
い。可塑剤の含有量が97重量%以上の場合、イオン電
導率が高くなるが機械的強度が弱くなってしまい、可塑
剤の含有率が50重量%以下の場合、イオン電導率が低
くなってしまう。
【0046】したがって、ゲル状電解質6では、可塑剤
の含有量を50重量%以上、97重量%以下とすること
により、機械的強度とイオン電導率とを両立させること
が可能である。
【0047】電解質塩は、従来の電解液を用いた電池の
電解質塩としても良い。リチウムイオン二次電池を得よ
うとする場合、電解質塩には、例えば、LiPF、L
iBF、LiAsF、LiClO、LiCF
、LiN(SOCF、LiAlCl、L
iSiF等を用いても良い。特に、酸化安定性の点か
ら、LiPF、LiBF、LiN(SOCF
を用いることが好ましい。
【0048】また、電解質塩は、ゲル状電解質6に含有
される可塑剤中に0.1mol/l以上、3.0mol
/l以下の範囲で含有させて用いる。特に、可塑剤中に
0.3mol/l以上、2.5mol/l以下の範囲が
好ましい。
【0049】マトリクス高分子は、ゲル状電解質6を構
成する際に使用される例えば様々な高分子等としても良
い。
【0050】マトリクス高分子は、例えば、ポリ(ビニ
リデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロラ
イド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系
高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体等のエ
ーテル系高分子、ナイロン系高分子、ウレタン系高分
子、ポリ尿素、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル
酸誘導体、ポリ(アクロニトリル)、エーテル・エステ
ル・炭酸エステル等を構造に持つ架橋体等であり、それ
を用いても良い。特に、マトリクス高分子には、酸化還
元安定性の点から、フッ素系高分子、エーテル・エステ
ル・炭酸エステル等を構造に持つ架橋体を用いることが
好ましい。
【0051】ゲル状電解質6は、可塑剤、電解質塩、マ
トリクス高分子を混合し、非水溶媒等溶解して溶液とす
る。そして、正極4及び負極5の主面側に、ゲル状電解
質6の溶液を塗布した後に、例えば乾燥機等により乾燥
することで層状に形成される。そして、正極4及び負極
5の主面にそれぞれ形成されたゲル状電解質6を対向さ
せて貼り合わせることで電池素子2となる。
【0052】電池素子2には、正極集電体7の一端が延
長され形成された正極リード接続部11に超音波溶接さ
れた正極リード12と、負極集電体9の一端が延長され
形成された負極リード接続部13に超音波溶接された負
極リード14とが設けられている。
【0053】また、電池素子2には、正極リード12と
負極リード14とが外部に導出されるように外装フィル
ム3に収納されるとともに、正極リード12及び負極リ
ード14と外装フィルム3とが接している部分に、正極
リード12及び負極リード14と外装フィルム3との密
着性が向上されるようにシーラント15が設けられてい
る。
【0054】外装フィルム3は、金属層と絶縁層とを備
え、金属層と絶縁層とが例えばラミネート等によって圧
着されることで形成されるラミネートフィルムである。
【0055】金属層は、例えばアルミニウム、ステンレ
ス、ニッケル、鉄等が、箔状、板状等に成形されてな
る。また、絶縁層は、例えば、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等が、フィルム状、板状等に成形されてなる。
【0056】そして、ゲル状電解質電池1は、外装フィ
ルム3が二つ折りにされた状態で電池素子2を包み、図
1中に示す斜線部Sにて外装フィルム3を貼り合わせる
ことにより封止された構造を有している。
【0057】上述した本発明を適用したゲル状電解質電
池1では、正極4及び負極5の表面に塗布された揮発性
非水溶媒が電極活物質の細孔にまで浸透され、揮発性非
水溶媒で湿潤されている正極4及び負極5の表面にゲル
状電解質6の溶液が塗布されている。
【0058】具体的に、本発明を適用したゲル状電解質
電池1では、正極4及び負極5を湿潤している揮発性非
水溶媒がゲル状電解質6の溶液中に拡散される。そし
て、少なくとも拡散された揮発性非水溶媒より先にゲル
状電解質6の溶液に含有される溶媒が乾燥することはな
く、正極4及び負極5の電極活物質の細孔にまで浸透し
ている揮発性非水溶媒とゲル状電解質6の溶液とが置換
される。これにより、正極4及び負極5では、電極活物
質の細孔にゲル状電解質6を充填することができ、正極
4及び負極5とゲル状電解質6とを電気的に良好な接触
状態にすることができる。したがって、電池容量の低下
や充放電サイクル特性の劣化等を防止することが可能で
ある。
【0059】上述した揮発性非水溶媒は、ゲル状電解質
6の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧と略同じか、よ
り高い蒸気圧にされると良い。例えば、揮発性非水溶媒
の蒸気圧がゲル状電解質6の溶液に含有される非水溶媒
の蒸気圧よりも低い場合、正極4及び負極5では、電極
活物質の細孔にまで浸透している揮発性非水溶媒の乾燥
が困難となる。その結果、揮発性非水溶媒が例えば正極
4及び負極5とゲル状電解質6との界面やゲル状電解質
6中等に残留してしまい、正極4及び負極5とゲル状電
解質6との間で抵抗成分となったり、ゲル状電解質6の
組成変化をさせる等の不具合となってしまう。
【0060】したがって、揮発性非水溶媒がゲル状電解
質6の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧と略同じか、
より高い蒸気圧にされることにより、ゲル状電解質電池
1では、正極4及び負極5の細孔にまで浸透している揮
発性非水溶媒の乾燥が容易になり、揮発性非水溶媒が例
えば正極4及び負極5とゲル状電解質6との界面やゲル
状電解質6中等に残留しないことから、良好な電池特性
とすることができる。具体的に、ゲル状電解質6の溶液
に含有される非水溶媒の蒸気圧よりも高い蒸気圧の揮発
性非水溶媒とは、例えば25℃における蒸気圧が10m
mHg以上であるような非水溶媒のことを示している。
【0061】また、揮発性非水溶媒は、ゲル状電解質6
の溶液に含有される非水溶媒と相溶性を有すると良い。
例えば、揮発性非水溶媒がゲル状電解質6の溶液に含有
される非水溶媒と相溶性を有しない場合、正極4及び負
極5では、電極活物質の細孔にまで浸透している揮発性
非水溶媒がゲル状電解質6の溶液中に拡散することが困
難となり、電極活物質の細孔にまで浸透している揮発性
非水溶媒とゲル状電解質6の溶液との置換が抑制され
る。そのため、正極4及び負極5では、電極活物質の細
孔にゲル状電解質6を空孔なく充填することが困難とな
り、正極4及び負極5とゲル状電解質6とを電気的に良
好な接触状態にすることができなくなってしまう。
【0062】したがって、揮発性非水溶媒がゲル状電解
質6の溶液に含有される非水溶媒と相溶性を有すること
により、ゲル状電解質電池1では、正極4及び負極5と
ゲル状電解質6との界面に塗布された揮発性非水溶媒が
ゲル状電解質6の溶液中に拡散されながらゲル状電解質
6の溶液と効率良く置換されることから、電極活物質の
細孔にゲル状電解質6を空孔なく充填でき、正極4及び
負極5とゲル状電解質6とを電気的に良好な接触状態に
することができる。
【0063】また、揮発性非水溶媒は、電解質塩が溶解
されていないと良い。例えば、揮発性非水溶媒に電解質
塩が溶解されている場合、正極4及び負極5では、電極
活物質の細孔にまで浸透している揮発性非水溶媒を乾燥
すると、電極活物質の細孔に電解質塩を残留することが
ある。この残留している電解質塩により電極活物質の細
孔にゲル状電解質6を充填することができず、正極4及
び負極5とゲル状電解質6との間で電気的な抵抗成分と
なる不具合となってしまう。
【0064】したがって、揮発性非水溶媒に電解質塩が
溶解されていないことにより、ゲル状電解質電池1で
は、正極4及び負極5より揮発性非水溶媒が乾燥された
後でも電極活物質の細孔に電解質塩を残留することな
く、ゲル状電解質6が電極活物質の細孔に空孔なく充填
されることから、正極4及び負極5とゲル状電解質6と
を電気的に良好な接触状態にすることができる。
【0065】また、揮発性非水溶媒は、ゲル状電解質6
に含有される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧よりも高
い蒸気圧にされると良い。例えば、揮発性非水溶媒の蒸
気圧がゲル状電解質6に含有される可塑剤としての非水
溶剤の蒸気圧よりも低い場合、正極4及び負極5では、
電極活物質の細孔にまで浸透している揮発性非水溶媒の
乾燥が困難となる。そして、揮発性非水溶媒が例えば正
極4及び負極5とゲル状電解質6との界面やゲル状電解
質6中等に残留してしまい、正極4及び負極5とゲル状
電解質6との間で抵抗成分となったり、ゲル状電解質6
の組成変化をさせる等の不具合となると考えられる。
【0066】したがって、揮発性非水溶媒がゲル状電解
質6に含有される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧より
も高い蒸気圧にされることにより、ゲル状電解質電池1
では、正極4及び負極5の細孔にまで浸透している揮発
性非水溶媒の乾燥が容易になり、揮発性非水溶媒が例え
ば正極4及び負極5とゲル状電解質6との界面やゲル状
電解質6中等に残留しないことから、良好な電池特性と
することができる。具体的に、ゲル状電解質に含有され
る可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧よりも高い蒸気圧の
揮発性非水溶媒とは、例えば25℃における蒸気圧が1
0mmHg以上であるような非水溶媒のことを示してい
る。
【0067】以上のことより、上述した性質を満たすこ
とのできる揮発性非水溶媒としては、式1に示されるエ
ーテル、式2に示されるケトン、式3に示されるエステ
ル、式4に示される炭酸エステル、式5に示されるエチ
レングリコール誘導体とすることが好ましい。
【0068】
【化16】
【0069】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0070】
【化17】
【0071】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0072】
【化18】
【0073】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0074】
【化19】
【0075】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0076】
【化20】
【0077】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0078】そして、上述したような本実施の形態に係
るゲル状電解質電池1は、次のようにして製造する。
【0079】先ず、正極4は、正極活物質と導電剤と結
着剤とを含有する正極合剤を正極集電体7上に塗布する
ことにより正極活物質層8を形成する。
【0080】次に、負極5は、負極活物質と結着剤とを
含有する負極合剤を負極集電体9上に塗布することによ
り負極活物質層10を形成する。
【0081】次に、正極4の正極活物質層8及び負極5
の負極活物質層10に揮発性非水溶媒を塗布して、正極
4及び負極5の電極活物質の細孔にまで浸透させるよう
にする。
【0082】次に、揮発性非水溶媒が電極活物質の細孔
にまで浸透している正極4及び負極5上に可塑剤と電解
質塩とマトリクス高分子を含有するゲル状電解質6の溶
液を塗布し、ゲル状電解質6に含有される非水溶媒と揮
発性非水溶媒とを乾燥しながら正極4及び負極5上に層
状のゲル状電解質6を形成する。
【0083】具体的には、正極4及び負極5に塗布した
揮発性非水溶媒をゲル状電解質6の溶液中に拡散し、少
なくともゲル状電解質6の溶液に含有される非水溶媒が
先に乾燥されることはなく、正極4及び負極5における
電極活物質の細孔にまで浸透している揮発性非水溶媒と
ゲル状電解質6の溶液とを置換し、正極4及び負極5の
電極活物質の細孔にゲル状電解質6を空孔なく充填す
る。これにより、正極4及び負極5とゲル状電解質6と
を電気的に良好な接触状態にする。
【0084】次に、正極4の正極活物質層8上と、負極
5の負極活物質層10上とに形成したゲル状電解質6側
を対向して貼り合わすことにより電池素子2とする。ま
た、電池素子2には、正極集電体7の一端を延長して形
成した正極リード接続部11に超音波溶接した正極リー
ド12と、負極集電体9の一端を延長して形成した負極
リード接続部13に超音波溶接した負極リード14とを
設置する。
【0085】次に、電池素子2の正極リード12と負極
リード14とを外部に導出するように、二つ折りにした
外装フィルム3で電池素子2を包み、外装フィルム3を
貼り合わすことによりゲル状電解質電池1とする。な
お、正極リード12及び負極リード14には、この外装
フィルム3と接する部分に、正極リード12及び負極リ
ード14と外装フィルム3との密着性を向上するための
シーラント15を設置する。
【0086】上述した本手法により作製されたゲル状電
解質電池1では、正極4及び負極5の電極活物質の細孔
にまでゲル状電解質6を充填していることから、正極4
及び負極5とゲル状電解質6とを電気的に良好な接触状
態にする。したがって、電池容量の低下や充放電サイク
ル特性の劣化等を防止することができる。
【0087】上述した揮発性非水溶媒には、ゲル状電解
質6の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧と略同じか、
より高い蒸気圧とするものを用いると良い。例えば、ゲ
ル状電解質6の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧より
も低い蒸気圧とする揮発性非水溶媒を用いた場合、正極
4及び負極5では、電極活物質の細孔にまで浸透してい
る揮発性非水溶媒の乾燥が困難となる。そして、揮発性
非水溶媒が例えば正極4及び負極5とゲル状電解質6と
の界面やゲル状電解質6中等に残留してしまい、正極4
及び負極5とゲル状電解質6との間で抵抗成分となった
り、ゲル状電解質6の組成変化をさせる等の不具合とな
ってしまう。
【0088】したがって、揮発性非水溶媒にゲル状電解
質6の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧と略同じか、
より高い蒸気圧とするものを用いることにより、ゲル状
電解質電池1では、正極4及び負極5の細孔にまで浸透
している揮発性非水溶媒の乾燥を容易にし、揮発性非水
溶媒が例えば正極4及び負極5とゲル状電解質6との界
面やゲル状電解質6中等に残留しないことから、良好な
電池特性とすることができる。具体的に、ゲル状電解質
の溶液に含有される非水溶媒の蒸気圧より高い蒸気圧の
揮発性非水溶媒とは、例えば25℃における蒸気圧を1
0mmHg以上とするようなものを示している。
【0089】また、揮発性非水溶媒には、ゲル状電解質
6の溶液に含有される非水溶媒と相溶性を有するものを
用いると良い。例えば、ゲル状電解質6に含有される非
水溶媒と相溶性を有していない揮発性非水溶媒を用いた
場合、正極4及び負極5では、電極活物質の細孔にまで
浸透している揮発性非水溶媒がゲル状電解質6の溶液中
に拡散することを困難とし、電極活物質の細孔にまで浸
透している揮発性非水溶媒とゲル状電解質6の溶液との
置換を抑制する。そのため、正極4及び負極5では、電
極活物質の細孔にゲル状電解質6を空孔なく充填するこ
とが困難となり、正極4及び負極5とゲル状電解質6と
を電気的に良好な接触状態にすることができなくなって
しまう。
【0090】したがって、揮発性非水溶媒にゲル状電解
質6の溶液に含有される非水溶媒と相溶性を有するもの
を用いることにより、ゲル状電解質電池1では、正極4
及び負極5とゲル状電解質6との界面に塗布した揮発性
非水溶媒がゲル状電解質6の溶液中を拡散しながらゲル
状電解質6の溶液と効率良く置換して、電極活物質の細
孔にゲル状電解質6を空孔なく充填することから、正極
4及び負極5とゲル状電解質6とを電気的に良好な接触
状態にすることができる。
【0091】また、揮発性非水溶媒には、電解質塩が溶
解されていないものを用いると良い。例えば、電解質塩
が溶解されている揮発性非水溶媒を用いた場合、正極4
及び負極5では、電極活物質の細孔にまで浸透している
揮発性非水溶媒を乾燥すると、電極活物質の細孔に電解
質塩を残留することがあり、電解質塩が残留された電極
活物質の細孔にゲル状電解質6を充填することができ
ず、正極4及び負極5とゲル状電解質6との間で電気的
な抵抗成分となる不具合となってしまう。
【0092】したがって、揮発性非水溶媒に電解質塩が
溶解されていないものを用いることにより、ゲル状電解
質電池1では、正極4及び負極5より揮発性非水溶媒を
乾燥した後でも電極活物質の細孔に電解質塩を残留する
ことなく、ゲル状電解質6を電極活物質の細孔に空孔な
く充填することから、正極4及び負極5とゲル状電解質
6とを電気的に良好な接触状態にすることができる。
【0093】また、揮発性非水溶媒には、ゲル状電解質
6に含有される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧よりも
高い蒸気圧であるものを用いると良い。例えば、ゲル状
電解質6に含有される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧
よりも低い蒸気圧とする揮発性非水溶媒を用いた場合、
正極4及び負極5では、電極活物質の細孔にまで浸透し
ている揮発性非水溶媒の乾燥を困難とする。そして、揮
発性非水溶媒が例えば正極4及び負極5とゲル状電解質
6との界面やゲル状電解質6中等に残留してしまい、正
極4及び負極5とゲル状電解質6との間で抵抗成分とな
ったり、ゲル状電解質6の組成変化をさせる等の不具合
となると考えられる。
【0094】したがって、揮発性非水溶媒にゲル状電解
質6に含有される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧より
も高い蒸気圧のものを用いることにより、ゲル状電解質
電池1では、正極4及び負極5の細孔にまで浸透してい
る揮発性非水溶媒の乾燥を容易にし、揮発性非水溶媒を
例えば正極4及び負極5とゲル状電解質6との界面やゲ
ル状電解質6中等に残留しないことから、良好な電池特
性とすることができる。具体的に、ゲル状電解質に含有
される可塑剤としての非水溶剤の蒸気圧よりも高い蒸気
圧の揮発性非水溶媒とは、例えば25℃における蒸気圧
を10mmHg以上とするようなものを示している。
【0095】以上のことより、上述した性質を満たすこ
とのできる揮発性非水溶媒としては、式1に示されるエ
ーテル、式2に示されるケトン、式3に示されるエステ
ル、式4に示される炭酸エステル、式5に示されるエチ
レングリコール誘導体を用いることが好ましい。
【0096】
【化21】
【0097】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0098】
【化22】
【0099】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0100】
【化23】
【0101】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0102】
【化24】
【0103】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0104】
【化25】
【0105】R及びRは、C2n+1−m
である。
【0106】なお、上述した実施の形態では、固体電解
質としてゲル状電解質6を用いたゲル状電解質電池1を
例に挙げて説明したが、本発明は、必ずしもゲル状電解
質6に限定されるものではなく、固体電解質に高分子固
体電解質を用いた高分子固体電解質電池についても同様
に適用することができる。
【0107】高分子固体電解質は、電解質塩とこの電解
質塩を溶解する高分子化合物とを備えている。
【0108】高分子固体電解質の電解質塩は、ゲル状電
解質6に含有される電解質塩と同様に従来の電解液を用
いた電池の電解質塩としても良い。例えばリチウムイオ
ン二次電池を得ようとする場合、その電解質塩には、例
えば、LiPF、LiBF 、LiAsF、LiC
lO、LiCFSO、LiN(SO
、LiAlCl、LiSiF等を用いるこ
とができる。特に、酸化安定性の点から、LiPF
LiBF、LiN(SOCFを用いることが
好ましい。
【0109】高分子化合物は、例えば、ポリ(エチレン
オキサイド)や同架橋体等のエーテル系高分子、ポリ
(メタクリレート)エステル系、アクリレート系、アミ
ン系、アルコキシド系、ナイロン系、ポリ尿素系、ウレ
タン系等を単独又は混合しても良い。
【0110】以上のことにより、本手法では、正極4及
び負極5とゲル状電解質6等の固体電解質とを電気的に
良好な接触状態にすることができる。したがって、固体
電解質電池における電池容量の低下や充放電サイクル特
性の劣化を防止することができる。
【0111】なお、上述したような本実施の形態に係る
ゲル状電解質電池1では、例えば円筒形、角形等、その
形状について必ずしも限定されるものではない。また、
薄型及び大型等の種々の大きさにすることも可能であ
る。そして、本発明は、二次電池だけでなく一次電池に
も適用可能である。
【0112】
【実施例】以下、本発明を適用した固体電解質電池を実
際に作製した実施例について説明する。また、これら実
施例と比較するために作製した比較例について説明す
る。
【0113】先ず、以下に示す実施例1乃至実施例7及
び比較例1乃至比較例3では、ゲル状電解質電池を用い
て検討を行った。
【0114】<実施例1>先ず、正極を得るために、炭
酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1モルとを
混合した。そして、その混合物を900℃の空気中で5
時間焼成することにより、LiCoOが得られた。
【0115】次に、得られたLiCoOを90重量部
と、導電剤として黒鉛を6重量部と、結着剤としてポリ
(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプ
ロピレン)を4重量部とを混合して正極合剤とし、溶剤
であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散さ
せてスラリー状の正極塗液とした。
【0116】次に、得られた正極塗液を正極集電体であ
る厚み20μmのアルミニウム箔に塗布して、乾燥させ
た後に、ロールプレス機で圧縮形成して、正極集電体上
に正極活物質層を積層した正極を作製した。
【0117】次に、負極を得るために、先ず、粉砕した
黒鉛粉末を90重量部と、結着剤としてポリ(ビニリデ
ンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)
を10重量部とを混合して負極合剤とし、溶剤であるN
MPに分散させて負極塗液とした。
【0118】次に、得られた負極塗液を負極集電体であ
る厚み10μmの銅箔に塗布して、乾燥させた後に、ロ
ールプレス機で圧縮形成して、負極集電体上に負極活物
質層を積層した負極を作製した。
【0119】次に、ゲル状電解質の溶液を得るために、
36.4℃における蒸気圧が0.02mmHgである炭
酸エチレン42.5重量部と、55℃における蒸気圧が
1.2mmHgである炭酸プロピレン42.5重量部
と、電解質塩であるLiPF15重量部とを混合して
得られる可塑剤30重量部と、マトリクス高分子として
ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオ
ロプロピレン)10重量部と、溶媒となる炭酸ジメチル
60重量部とを混合し、溶解させてゲル状電解質の溶液
を作製した。なお、炭酸ジメチルは、21.1℃におけ
る蒸気圧が18mmHgである。このとき、作製した正
極及び負極の活物質層に、揮発性非水溶媒として炭酸ジ
メチルを塗布して、正極及び負極の活物質層を炭酸ジメ
チルで湿潤させてから余剰な炭酸ジメチルを拭き取った
後に、得られたゲル状電解質の溶液を均一に塗布して、
含浸した。そして、ゲル状電解質の溶液が塗布された正
極及び負極を25℃で24時間放置して、揮発性非水溶
媒及びゲル状電解質の溶液の溶媒である炭酸ジメチルを
気化させて除去することにより正極及び負極の活物質層
上にそれぞれゲル状電解質を形成した。
【0120】次に、正極と負極とに形成されたゲル状電
解質を対向させながら、圧着することにより、面積5c
m×8cm、厚み0.3mmのゲル状電解質電池素子を
作製した。
【0121】次に、ゲル状電解質電池素子に対して、正
極集電体の一端を延長させて形成された面積5mm×5
mmの正極リード接続部に、長さ20mm、幅5mm、
厚み0.05mmのアルミニウム製の正極リードと、負
極集電体の一端を延長させて形成された面積5mm×5
mmの負極リード接続部に、長さ20mm、幅5mm、
厚み0.05mmのニッケル製の負極リードとを超音波
溶接により接続した。
【0122】次に、このゲル状電解質電池素子を正極リ
ードと負極リードとを外部に導出しつつ、外装フィルム
に収納して、ゲル状電解質電池を作製した。
【0123】<実施例2>揮発性非水溶媒として、20
℃における蒸気圧が48.0mmHgであるジメトキシ
エタンを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にし
て、ゲル状電解質電池を作製した。
【0124】<実施例3>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が162.0mmHgであるテトラヒ
ドロフランを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件
にして、ゲル状電解質電池を作製した。
【0125】<実施例4>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が18.8mmHgである4メチル2
ペンタノンを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件
にして、ゲル状電解質電池を作製した。
【0126】<実施例5>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が94.5mmHgである酢酸エチル
を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にして、ゲ
ル状電解質電池を作製した。
【0127】<実施例6>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が10.0mmHgより高い炭酸メチ
ルエチルを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件に
して、ゲル状電解質電池を作製した。
【0128】<実施例7>揮発性非水溶媒として、24
℃における蒸気圧が10.0mmHgである炭酸ジエチ
ルを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にして、
ゲル状電解質電池を作製した。
【0129】<比較例1>正極活物質層及び負極活物質
層上に揮発性非水溶媒を塗布しなかったこと以外は、実
施例1と同様の条件にして、ゲル状電解質電池を作製し
た。
【0130】<比較例2>揮発性非水溶媒として、55
℃における蒸気圧が1.2mmHgである炭酸プロピレ
ンを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にして、
ゲル状電解質電池を作製した。
【0131】<比較例3>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が3.2mmHgであるγ−ブチルラ
クトンを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にし
て、ゲル状電解質電池を作製した。
【0132】以上のように作製された、実施例1乃至実
施例7、比較例1乃至比較例3の各ゲル状電解質電池に
ついて、充放電試験を行った。
【0133】具体的には、23℃の雰囲気中で0.1C
で定電流定電圧充電を4.2Vまで30時間行った後
に、0.1Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容
量を測定した。次に、23℃の雰囲気中で0.1Cで定
電流定電圧充電を4.2Vまで30時間行った後に、
3.0Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容量を
測定した。そして、この0.1Cの定電流放電の放電容
量を100として、3.0Cの定電流放電の放電容量を
その割合で表し、3C放電負荷容量維持率とした。
【0134】また、23℃の雰囲気中で1.0Cで定電
流定電圧充電を4.2Vまで2時間行った後に、1.0
Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容量を測定し
た。次に、同条件の充放電を400サイクル行った。そ
して、この1サイクル目の放電容量を100として、4
00サイクル目の放電容量をその割合で表し、400サ
イクル容量維持率とした。
【0135】これら各電池の初期容量、3C放電負荷容
量維持率、400サイクル容量維持率を以下の表1に示
す。
【0136】
【表1】
【0137】表1からわかるように、25℃における蒸
気圧が10mmHg以上と高い揮発性非水溶媒を用いた
実施例1乃至実施例7のゲル状電解質電池では、3C放
電負荷容量維持率及び400サイクル容量維持率が高い
数値を示した。
【0138】これに対し、揮発性非水溶媒を用いていな
い比較例1のゲル状電解質電池では、3C放電負荷容量
維持率及び400サイクル容量維持率が実施例1乃至実
施例7のゲル状電解質電池の3C放電負荷容量維持率及
び400サイクル容量維持率に対して低い数値を示し
た。
【0139】これは、揮発性非水溶媒を塗布しなかった
正極及び負極では、ゲル状電解質を電極活物質の細孔に
充填することが困難であり、電極活物質の細孔が空孔と
なることで正極及び負極とゲル状電解質との間で電気的
な抵抗成分となることから、ゲル状電解質電池の内部抵
抗を上昇させてしまい、電池特性を劣化させたと考えら
れる。
【0140】また、25℃における蒸気圧を10mmH
g以下とする揮発性非水溶媒を用いた比較例2及び比較
例3のゲル状電解質電池では、3C放電負荷容量維持率
及び400サイクル容量維持率が実施例1乃至実施例7
のゲル状電解質電池の3C放電負荷容量維持率及び40
0サイクル容量維持率に対して低い数値を示した。
【0141】これは、25℃における蒸気圧を10mm
Hg以下とする揮発性非水溶媒を塗布した正極及び負極
では、ゲル状電解質の溶液に含有される溶媒が電極活物
資の細孔にまで浸透している25℃における蒸気圧を1
0mmHg以下とする揮発性非水溶媒より先に乾燥す
る。そして、25℃における蒸気圧を10mmHg以下
とする揮発性非水溶媒が例えば電極活物質とゲル状電解
質との間やゲル状電解質中等に残留してしまうことか
ら、残留した揮発性非水溶媒が正極及び負極とゲル状電
解質との間で電気的な抵抗成分となり電池特性を劣化さ
せたと考えられる。
【0142】ところで、実施例1乃至実施例7で用いた
揮発性非水溶媒が25℃における蒸気圧が10mmHg
以上であることより、正極及び負極では、塗布されたゲ
ル状電解質の溶液に揮発性非水溶媒が拡散されながら、
正極及び負極の電極活物質の細孔にまで浸透している揮
発性非水溶媒とゲル状電解質の溶液とが効率良く置換さ
れ、細孔にゲル状電解質が空孔なく充填される。そし
て、少なくともゲル状電解質に含有される非水溶媒が揮
発性非水溶媒より先に乾燥することはなく、揮発性非水
溶媒が電極活物質とゲル状電解質との間やゲル状電解質
中等に残留することを防ぐことから、例えば電池内で電
気的な抵抗成分となることやゲル状電解質が組成変化さ
れること等を防止する。したがって、正極及び負極とゲ
ル状電解質とを電気的に良好な接触状態にするととも
に、良好な電池特性にすることが可能となる。
【0143】実施例1乃至実施例7で用いた揮発性非水
溶媒の蒸気圧がゲル状電解質に含有される可塑剤として
の非水溶剤の蒸気圧より高いことにより、正極及び負極
では、塗布されたゲル状電解質の溶液中に揮発性非水溶
媒が拡散されながら、正極及び負極の電極活物質の細孔
にまで浸透している揮発性非水溶媒とゲル状電解質の溶
液とが効率良く置換され、細孔にゲル状電解質が空孔な
く充填される。また、揮発性非水溶媒がゲル状電解質に
含有される可塑剤としての非水溶剤より高い蒸気圧であ
ることから容易に乾燥され、電極活物質とゲル状電解質
との間やゲル状電解質中等に残留することがなく、例え
ば電池内で電気的な抵抗成分となることやゲル状電解質
が組成変化されること等を防ぐ。したがって、正極及び
負極とゲル状電解質とを電気的に良好な接触状態にする
とともに、良好な電池特性にすることが可能となる。
【0144】以上のことにより、ゲル状電解質電池で
は、正極及び負極の電極活物質とゲル状電解質との界面
が揮発性非水溶媒により湿潤されていることにより、正
極及び負極の電極活物質の細孔にまで浸透している揮発
性非水溶媒とゲル状電解質とが置換されて、電極活物質
の細孔にゲル状電解質が空孔なく充填されることから、
正極及び負極とゲル状電解質とを電気的に良好な接触状
態にすることができる。したがって、電池容量の低下が
なく、充放電サイクル特性に劣化のないゲル状電解質を
用いた固体電解質電池を作製する上で有効であることが
明らかになった。
【0145】次に、以下に示す実施例8乃至実施例14
及び比較例4乃至比較例6では、高分子固体電解質を用
いた電池について検討を行った。
【0146】<実施例8>先ず、正極を得るために、炭
酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1モルとを
混合した。そして、その混合物を900℃の空気中で5
時間焼成することにより、LiCoOが得られた。
【0147】次に、得られたLiCoOを90重量部
と、導電剤として黒鉛を6重量部と、結着剤としてポリ
(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプ
ロピレン)を4重量部とを混合して正極合剤とし、溶剤
であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散さ
せてスラリー状の正極塗液とした。
【0148】次に、得られた正極塗液を正極集電体であ
る厚み20μmのアルミニウム箔に塗布して、乾燥させ
た後に、ロールプレス機で圧縮形成して、正極集電体上
に正極活物質層を積層した正極を作製した。
【0149】次に、負極を得るために、先ず、粉砕した
黒鉛粉末を90重量部と、結着剤としてポリ(ビニリデ
ンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)
を10重量部とを混合して負極合剤とし、溶剤であるN
MPに分散させて負極塗液とした。
【0150】次に、得られた負極塗液を負極集電体であ
る厚み10μmの銅箔に塗布して、乾燥させた後に、ロ
ールプレス機で圧縮形成して、負極集電体上に負極活物
質層を積層した負極を作製した。
【0151】次に、高分子固体電解質の溶液を得るため
に、電解質塩としてLiPF12重量部と、高分子化
合物としてポリ(エチレンオキサイド−co−プロピレ
ンオキサイド)28重量部と、溶媒である炭酸ジメチル
60重量部とを混合し、溶解させて高分子固体電解質の
溶液を作製した。なお、炭酸ジメチルは、21.1℃に
おける蒸気圧が18mmHgである。このとき、作製し
た正極及び負極の活物質層に、揮発性非水溶媒として炭
酸ジメチルを塗布して、正極及び負極の活物質層を炭酸
ジメチルで湿潤させてから余剰な炭酸ジメチルを拭き取
った後に、得られた高分子固体電解質の溶液を均一に塗
布して、含浸した。そして、高分子固体電解質の溶液が
塗布された正極及び負極を25℃で24時間放置して、
揮発性非水溶媒及び高分子固体電解質の溶剤である炭酸
ジメチルを気化させて除去することにより高分子固体電
解質を形成した。
【0152】次に、正極と負極とに形成された高分子固
体電解質を対向させながら、圧着することにより、面積
5cm×8cm、厚み0.3mmの高分子固体電解質電
池素子を作製した。
【0153】次に、高分子固体電解質電池素子に対し
て、正極集電体の一端を延長させて形成された面積5m
m×5mmの正極リード接続部に、長さ20mm、幅5
mm、厚み0.05mmのアルミニウム製の正極リード
と、負極集電体の一端を延長させて形成された面積5m
m×5mmの負極リード接続部に、長さ20mm、幅5
mm、厚み0.05mmのニッケル製の負極リードとを
超音波溶接により接続した。
【0154】次に、この高分子固体電解質電池素子を正
極リードと負極リードとを外部に導出しつつ、外装フィ
ルムに収納して、高分子固体電解質電池を作製した。
【0155】<実施例9>揮発性非水溶媒として、20
℃における蒸気圧が48.0mmHgであるジメトキシ
エタンを用いたこと以外は、実施例8と同様の条件にし
て、高分子固体電解質電池を作製した。
【0156】<実施例10>揮発性非水溶媒として、2
5℃における蒸気圧が162.0mmHgであるテトラ
ヒドロフランを用いたこと以外は、実施例8と同様の条
件にして、高分子固体電解質電池を作製した。
【0157】<実施例11>揮発性非水溶媒として、2
5℃における蒸気圧が18.8mmHgである4メチル
2ペンタノンを用いたこと以外は、実施例8と同様の条
件にして、高分子固体電解質電池を作製した。
【0158】<実施例12>揮発性非水溶媒として、2
5℃における蒸気圧が94.5mmHgである酢酸エチ
ルを用いたこと以外は、実施例8と同様の条件にして、
高分子固体電解質電池を作製した。
【0159】<実施例13>揮発性非水溶媒として、2
5℃における蒸気圧が10.0mmHgより高い炭酸メ
チルエチルを用いたこと以外は、実施例8と同様の条件
にして、高分子固体電解質電池を作製した。
【0160】<実施例14>揮発性非水溶媒として、2
4℃における蒸気圧が10.0mmHgである炭酸ジエ
チルを用いたこと以外は、実施例8と同様の条件にし
て、高分子固体電解質電池を作製した。
【0161】<比較例4>正極活物質層及び負極活物質
層上に揮発性非水溶媒を塗布しなかったこと以外は、実
施例8の条件と同様にして、高分子固体電解質電池を作
製した。
【0162】<比較例5>揮発性非水溶媒として、55
℃における蒸気圧が1.2mmHgである炭酸プロピレ
ンを用いたこと以外は、実施例8の条件と同様にして、
高分子固体電解質電池を作製した。
【0163】<比較例6>揮発性非水溶媒として、25
℃における蒸気圧が3.2mmHgであるγ−ブチルラ
クトンを用いたこと以外は、実施例8の条件と同様にし
て、高分子固体電解質電池を作製した。
【0164】以上のように作製された、実施例8乃至実
施例14、比較例4乃至比較例6の各高分子固体電解質
電池について、充放電試験を行った。
【0165】具体的には、50℃の雰囲気中で0.1C
で定電流定電圧充電を4.2Vまで30時間行った後
に、0.1Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容
量を測定した。次に、23℃の雰囲気中で0.1Cで定
電流定電圧充電を4.2Vまで30時間行った後に、
1.0Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容量を
測定した。そして、この0.1Cの定電流放電の放電容
量を100として、1.0Cの定電流放電の放電容量を
その割合で表し、1C放電負荷容量維持率とした。
【0166】また、50℃の雰囲気中で0.2Cで定電
流定電圧充電を4.2Vまで10時間行った後に、0.
2Cで定電流放電を3.0Vまで行い、放電容量を測定
した。次に、同条件の充放電を400サイクル行った。
そして、この1サイクル目の放電容量を100として、
400サイクル目の放電容量をその割合で表し、400
サイクル容量維持率とした。
【0167】これら各高分子固体電解質電池の初期容
量、1C放電負荷容量維持率、400サイクル容量維持
率を以下の表3に示す。
【0168】
【表2】
【0169】表2からわかるように、25℃における蒸
気圧が10mmHg以上と高い揮発性非水溶媒を用いた
実施例8乃至実施例14の高分子固体電解質電池では、
1C放電負荷容量維持率及び400サイクル容量維持率
が高い数値を示した。
【0170】これに対し、揮発性非水溶媒を用いていな
い比較例4の高分子固体電解質電池では、1C放電負荷
容量維持率及び400サイクル容量維持率が実施例8乃
至実施例14の高分子固体電解質電池の1C放電負荷容
量維持率及び400サイクル容量維持率に対して低い数
値を示した。
【0171】これは、揮発性非水溶媒を塗布しなかった
正極及び負極では、高分子固体電解質を電極活物質の細
孔に充填することが困難であり、電極活物質の細孔が空
孔となって正極及び負極と高分子固体電解質との間で電
気的な抵抗成分となることから、高分子固体電解質電池
の内部抵抗を上昇させてしまい、電池特性を劣化させた
と考えられる。
【0172】また、25℃における蒸気圧を10mmH
g以下とする揮発性非水溶媒を用いた比較例5及び比較
例6の高分子固体電解質電池では、1C放電負荷容量維
持率及び400サイクル容量維持率が実施例8乃至実施
例14の高分子固体電解質電池の1C放電負荷容量維持
率及び400サイクル容量維持率に対して低い数値を示
した。
【0173】これは、25℃における蒸気圧を10mm
Hg以下とする揮発性非水溶媒を塗布した正極及び負極
では、高分子固体電解質の溶液に含有される溶媒が電極
活物資の細孔にまで浸透している25℃における蒸気圧
を10mmHg以下とする揮発性非水溶媒より先に乾燥
する。そして、25℃における蒸気圧を10mmHg以
下とする揮発性非水溶媒が例えば電極活物質と高分子固
体電解質との間や高分子固体電解質中等に残留してしま
うことから、正極及び負極と高分子固体電解質との間で
電気的な抵抗成分となってしまい、電池特性を劣化させ
たと考えられる。
【0174】ところで、実施例8乃至実施例14で用い
た揮発性非水溶媒は、25℃における蒸気圧が10mm
Hg以上であることより、正極及び負極では、塗布され
た高分子固体電解質の溶液に揮発性非水溶媒が拡散され
ながら、正極及び負極の電極活物質の細孔にまで浸透し
ている揮発性非水溶媒と高分子固体電解質の溶液とが効
率良く置換され、細孔に高分子固体電解質が空孔なく充
填される。そして、少なくとも高分子固体電解質の溶液
に含有される非水溶媒が揮発性非水溶媒より先に乾燥す
ることはなく、揮発性非水溶媒が電極活物質と高分子固
体電解質との間や高分子固体電解質中等に残留すること
を防ぐことから、例えば電池内で電気的な抵抗成分とな
ることや高分子固体電解質が組成変化されること等を防
止する。したがって、正極及び負極と高分子固体電解質
とを電気的に良好な接触状態にするとともに、良好な電
池特性にすることが可能となる。
【0175】以上のことにより、高分子固体電解質電池
では、正極及び負極の電極活物質と高分子固体電解質と
の界面が揮発性非水溶媒により湿潤されていることによ
り、正極及び負極の電極活物質の細孔にまで浸透してい
る揮発性非水溶媒と高分子固体電解質とが置換されて、
電極活物質の細孔に高分子固体電解質が空孔なく充填さ
れることから、正極及び負極と高分子固体電解質とを電
気的に良好な接触状態にすることができる。したがっ
て、電池容量の低下がなく、充放電サイクル特性に劣化
のない高分子固体電解質を用いた固体電解質電池を作製
する上で有効であることが明らかになった。
【0176】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明に係る固
体電解質電池では、正極集電体上に正極活物質層が形成
されている正極と、負極集電体上に負極活物質が形成さ
れている負極と、正極活物質層上及び負極活物質層上に
固体電解質溶液を塗布、乾燥されてなる固体電解質層と
を備え、固体電解質層を備えた正極と固体電解質層を備
えた負極とが固体電解質層側を対向させて貼り合わせる
ことにより電池素子となる固体電解質電池であって、正
極活物質層及び負極活物質層は、固体電解質層との界面
が揮発性非水溶媒により湿潤していることから、正極活
物質層及び負極活物質層と固体電解質層とを電気的に良
好な接触状態にすることができる。したがって、この固
体電解質電池によれば、電池容量特性や充放電サイクル
特性といった電池特性の劣化を防止することができる。
【0177】また、本発明に係る固体電解質電池の製造
方法では、正極集電体上に正極活物質層を形成して正極
とする正極作製工程と、負極集電体上に負極活物質層を
形成して負極とする負極製造工程と、正極活物質層及び
負極活物質層に揮発性非水溶媒を塗布して正極活物質層
及び負極活物質層を湿潤させる揮発性非水溶媒塗布工程
と、揮発性非水溶媒により湿潤された正極活物質層及び
負極活物質層に固体電解質溶液を塗布、乾燥して固体電
解質層を形成する固体電解質形成工程と、正極活物質層
上に固体電解質層が形成された正極と、負極活物質層上
に固体電解質層が形成された負極との固体電解質層側を
対向させて貼り合わせ電池素子を形成する電池素子形成
工程とを備えることから、正極活物質層及び負極活物質
層とを電気的に良好な接触状態にすることができる。し
たがって、この固体電解質電池の製造方法によれば、電
池容量特性や充放電サイクル特性といった電池特性の劣
化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で適用した電池の構成を示す透視平面図
である。
【図2】図1中に示す線分A−Aによる断面図であ
る。
【図3】従来の技術によるの内部構造を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
1 ゲル状電解質電池、2 電池素子、3 外装フィル
ム、4 正極、5 負極、6 ゲル状電解質、7 正極
集電体、8 正極活物質層、9 負極集電体、10 負
極活物質層

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極集電体上に正極活物質層が形成され
    てなる正極と、 負極集電体上に負極活物質層が形成されてなる負極と、 上記正極活物質層上及び上記負極活物質層上に固体電解
    質溶液が塗布、乾燥されてなる固体電解質層とを備え、 上記固体電解質層を備えた正極と上記固体電解質層を備
    えた負極とを当該固体電解質層側を対向させて貼り合わ
    せることにより電池素子となる固体電解質電池であっ
    て、 上記正極活物質層及び上記負極活物質層は、少なくとも
    上記固体電解質層との界面が揮発性非水溶媒により湿潤
    していることを特徴とする固体電解質電池。
  2. 【請求項2】 上記揮発性非水溶媒は、式1に示される
    エーテル、式2に示されるケトン、式3に示されるエス
    テル、式4に示される炭酸エステル、式5に示されるエ
    チレングリコール誘導体の少なくともいずれかを含有し
    ていること 【化1】 及びRは、C2n+1−mである。 【化2】 及びRは、C2n+1−mである。 【化3】 及びRは、C2n+1−mである。 【化4】 及びRは、C2n+1−mである。 【化5】 及びRは、C2n+1−mである。 を特徴とする請求項1記載の固体電解質電池。
  3. 【請求項3】 上記揮発性非水溶媒は、25℃における
    蒸気圧が10mmHg以上であることを特徴とする請求
    項1記載の固体電解質電池。
  4. 【請求項4】 上記揮発性非水溶媒は、上記固体電解質
    溶液中に含有される溶媒と相溶性を有することを特徴と
    する請求項1記載の固体電解質電池。
  5. 【請求項5】 上記揮発性非水溶媒には、電解質塩が溶
    解されていないことを特徴とする請求項1記載の固体電
    解質電池。
  6. 【請求項6】 上記固体電解質層は、可塑剤として非水
    溶剤を含有するゲル状のゲル状電解質であることを特徴
    とする請求項1記載の固体電解質電池。
  7. 【請求項7】 上記揮発性非水溶媒は、上記ゲル状電解
    質に含有される可塑剤としての非水溶剤より高い蒸気圧
    を有することを特徴とする請求項6記載の固体電解質電
    池。
  8. 【請求項8】 上記正極活物質層には、リチウムと遷移
    金属との複合酸化物が正極活物質として含有されている
    ことを特徴とする請求項1記載の固体電解質電池。
  9. 【請求項9】 上記負極活物質層には、リチウムのドー
    プ/脱ドープが可能である材料が負極活物質として含有
    されていることを特徴とする請求項1記載の固体電解質
    電池。
  10. 【請求項10】 上記リチウムのドープ/脱ドープが可
    能である材料は、炭素材料であることを特徴とする請求
    項9記載の固体電解質電池。
  11. 【請求項11】 正極集電体上に正極活物質層を形成し
    て正極とする正極作製工程と、負極集電体上に負極活物
    質層を形成して負極とする負極製造工程と、上記正極活
    物質層及び上記負極活物質層に揮発性非水溶媒を塗布し
    て当該正極活物質層及び当該負極活物質層の少なくとも
    表面部分を湿潤させる揮発性非水溶媒塗布工程と、上記
    揮発性非水溶媒により湿潤された上記正極活物質層及び
    上記負極活物質層に固体電解質溶液を塗布、乾燥して固
    体電解質層を形成する固体電解質形成工程と、上記正極
    活物質層上に上記固体電解質層が形成された正極と、上
    記負極活物質層上に上記固体電解質層が形成された負極
    とを当該固体電解質層側を対向させて貼り合わせ電池素
    子を形成する電池素子形成工程とを備えることを特徴と
    する固体電解質電池の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記揮発性非水溶媒塗布工程におい
    て、上記揮発性非水溶媒として、式1に示されるエーテ
    ル、式2に示されるケトン、式3に示されるエステル、
    式4に示される炭酸エステル、式5に示されるエチレン
    グリコール誘導体の少なくともいずれかを含有するもの
    を用いること 【化6】 及びRは、C2n+1−mである。 【化7】 及びRは、C2n+1−mである。 【化8】 及びRは、C2n+1−mである。 【化9】 及びRは、C2n+1−mである。 【化10】 及びRは、C2n+1−mである。 を特徴とする請求項11記載の固体電解質電池の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 上記揮発性非水溶媒塗布工程におい
    て、上記揮発性非水溶媒として、25℃における蒸気圧
    が10mmHg以上である溶媒を用いることを特徴とす
    る請求項11記載の固体電解質電池の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記揮発性非水溶媒塗布工程におい
    て、上記揮発性非水溶媒として、上記固体電解質溶液に
    含有する溶媒と相溶性である溶媒を用いることを特徴と
    する請求項11記載の固体電解質電池の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記揮発性非水溶媒塗布工程におい
    て、上記揮発性非水溶媒として、電解質塩が溶解してい
    ない溶媒を用いることを特徴とする請求項11記載の固
    体電解質電池の製造方法。
  16. 【請求項16】 上記固体電解質形成工程において、上
    記固体電解質として、可塑剤となる非水溶剤を含有する
    ゲル状のゲル状電解質を用いることを特徴とする請求項
    11記載の固体電解質電池の製造方法。
  17. 【請求項17】 上記揮発性非水溶媒塗布工程におい
    て、上記揮発性非水溶媒として、上記ゲル状電解質に含
    有する可塑剤としての非水溶剤より高い蒸気圧の溶媒を
    用いることを特徴とする請求項16記載の固体電解質電
    池の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記正極作製工程において、上記正極
    活物質層に、リチウムと遷移金属との複合酸化物を正極
    活物質として含有させることを特徴とする請求項11記
    載の固体電解質電池の製造方法。
  19. 【請求項19】 上記負極作製工程において、上記負極
    活物質層に、リチウムのドープ/脱ドープが可能である
    材料を負極活物質として含有させることを特徴とする請
    求項11記載の固体電解質電池の製造方法。
  20. 【請求項20】 上記負極作製工程において、上記リチ
    ウムのドープ/脱ドープが可能である材料として、炭素
    材料を用いることを特徴とする請求項19記載の固体電
    解質電池の製造方法。
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