JP2002206064A - インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法

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JP2002206064A
JP2002206064A JP2001003082A JP2001003082A JP2002206064A JP 2002206064 A JP2002206064 A JP 2002206064A JP 2001003082 A JP2001003082 A JP 2001003082A JP 2001003082 A JP2001003082 A JP 2001003082A JP 2002206064 A JP2002206064 A JP 2002206064A
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ink
formula
glass
jet recording
silicon
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Pending
Application number
JP2001003082A
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English (en)
Inventor
Nobutaka Osada
延崇 長田
Kiyofumi Nagai
希世文 永井
Hitoshi Arita
均 有田
Akihiko Goto
明彦 後藤
Akiko Konishi
昭子 小西
Tetsuya Kaneko
哲也 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクと接する部材の少なくとも一部がガラ
ス又は更にシリコン、シリコン酸化物のいずれかで形成
されるインクジェットプリンタに用いるインクジェット
記録用インクにおいて、インクと接するガラス、シリコ
ン、シリコン酸化物の溶出を防止することにより、イン
ク滴の大きさやインク滴の吐出速度の変化、吐出不良を
防止し、かつインクの分散又は溶解安定性の優れたイン
クジェット記録用インクを提供する。 【解決手段】 インク中のアルカリ金属の含有量の合計
が700ppm以下であるインクジェット記録用インク
であることを主要な構成とする。その他21項ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録において、インクと接する部材の少なくとも一部がガ
ラスまたは更にシリコン、シリコン酸化物で形成される
インクジェットプリンタに用いるインク及びインクジェ
ット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式は本体が
小型で価格が安く、低ランニングコスト、低騒音といっ
た利点から近年急速に普及しており、電子写真用転写
紙、印刷用紙、タイプライター用紙、ワイヤードットプ
リンター用紙、ワードプロセッサー用紙、レター用紙、
レポート用紙等種々のノンコートな普通紙に印字可能な
インクジェットプリンタも市場に投入されている。
【0003】微細加工のしやすさ、加工精度、プロセス
等からガラスまたは更にシリコン、シリコン酸化物を使
用したインクジェットプリンタがある。
【0004】このようなインクジェットプリンタに用い
られるインクとしては、一般に溶媒に分散または溶解す
る着色剤及び湿潤剤―多価アルコールまたはそのエーテ
ル類―と溶媒より構成され、必要に応じて浸透剤、防カ
ビ剤、防腐剤、分散剤等を含有するが、このインクを上
記のガラスまたは更にシリコン、シリコン酸化物を使用
したインクジェットプリンタに充填し長時間使用あるい
は放置すると、インクに接しているガラスまたは更にシ
リコン、シリコン酸化物が溶出する。
【0005】そのためインクジェットプリンタの設計精
度が落ちるため、インク滴の大きさやインク滴の吐出速
度が変化し画像品質を低下させたり、最悪の場合は吐出
不良が発生する。また接合部でのガラスまたは更にシリ
コン、シリコン酸化物の溶出により接合強度が低下する
ため、吐出不良や最悪の場合、接合部が剥がれて故障す
る。
【0006】特に液室部材がガラスまたはシリコン、シ
リコン酸化物で構成されるインクジェットプリンタで
は、精密さが要求される液室の寸法精度が落ちるため、
上述した問題が顕著に発生する。また、流体抵抗がガラ
スまたはシリコン、シリコン酸化物で構成されるインク
ジェットプリンタでは、ガラスまたはシリコン、シリコ
ン酸化物の溶出により流体抵抗が変化してしまいインク
滴の大きさやインク滴の吐出速度の変化が顕著に起こり
画像品質を低下させたり、最悪の場合は吐出不良が発生
する。さらに振動板がガラスまたはシリコン、シリコン
酸化物で構成されるインクジェットプリンタでは、振動
板の厚さが減少するためインク滴の大きさやインク滴の
吐出速度が変化したり吐出不良が発生するため画像品質
を低下させたり、最終的には振動板が薄くなるため振動
に耐えられず破損する。さらにまた、ノズルがガラスま
たはシリコン、シリコン酸化物で構成されるインクジェ
ットプリンタでは、ノズルの径が大きくなるため、イン
ク滴の大きさやインク滴の吐出速度が変化したり吐出不
良が発生するため画像品質を低下させる。
【0007】一方、ガラスまたはシリコン、シリコン酸
化物が溶出してきたインクでは、着色剤の溶解あるいは
分散安定性が低下し、着色剤が析出して目詰まり等を引
き起こす。また、溶出してきたガラスまたはシリコン、
シリコン酸化物自体も水等の溶媒の蒸発によって過飽和
状態となってノズル表面等で析出し目詰まりを引き起こ
す。
【0008】現状ではこれら問題が解決されていないた
め、例えばあらかじめ充填されているインクが無くなっ
たときに一緒にヘッドも交換するなど比較的短期間しか
使用することが出来なかった。
【0009】これらを解決するためインクジェットプリ
ンタとしては、特開平5−155023号公報、WO9
8−42513号公報等にあるようにガラスまたは更に
シリコン、シリコン酸化物の上にSiN、TiN、Ti
O等の無機物や有機物の層を設けて防止する方法があ
る。これは、ガラスまたはシリコン、シリコン酸化物の
溶出を防止する効果はあるものもあるが、製造で工程が
増えるため多大なコストがかかり、非常に高価なインク
ジェットプリンタとなってしまう。またこれらの膜は、
ピンホールが発生しやすく均一に形成することは困難で
あり、膜に欠陥が生じることが多い。またヘッドの方式
や構造によっては、膜の形成自体を工程に取り入れるこ
とが出来ない場合もある。
【0010】インクとしては、特開平9−123437
号公報でインク中に尿素を添加することで、ガラスまた
はシリコン、シリコン酸化物が溶出してもインク中に安
定して溶解させ析出を防止する方法が提案されているが
ガラスまたはシリコン、シリコン酸化物の溶出そのもの
を防止する効果はないため、ガラスまたはシリコン、シ
リコン酸化物を精度の求められる部分に使用することは
出来ない。そのためガラスまたはシリコンあるいは熱酸
化等で比較的容易に膜を形成できるシリコン酸化物でも
溶出しないインクが要求される。
【0011】特公平7−51687号公報ではナトリウ
ムイオンの含有量が規定されたインクがある。また特開
平5−331391号公報ではナトリウム、カリウムの
含有量が規定されており、同様に特開平8−33354
2号公報、特開平9−25441号公報ではそれぞれナ
トリウム、カリウムの含有量が規定されたインクがあ
る。また本出願人は特許第1677642号公報でイン
ク中に特定の染料とそのカウンターイオンとして第四級
アンモニウムを含有するインクを、さらに特許2085
163公報でインク中に染料と第四級ホスホニウムイオ
ンを含有するインクを提案している。
【0012】これらは目詰まりやコゲーション、保存安
定性等の課題に対し提案されているが、インクと接する
ガラスまたはシリコン、シリコン酸化物の溶出の防止に
ついて十分に検討されてなく、実際にこれらのインクを
使用してもガラスまたはシリコン、シリコン酸化物の溶
出という課題を解決することは出来なかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたもので、インクと接する部材の少な
くとも一部がガラスまたは更にシリコン、シリコン酸化
物のいずれかで形成されるインクジェットプリンタに用
いるインクジェット記録用インクとして、インクと接す
るガラス、シリコン、シリコン酸化物の溶出を防止する
ことにより、インク滴の大きさやインク滴の吐出速度の
変化、吐出不良を防止し、かつインクの分散または溶解
安定性の優れたインクジェット記録用インクを提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究の
結果、ナトリウムやカリウム等特定の元素の含有量を減
らしただけでは、目詰まりやコゲーション等に効果があ
る場合はあってもインクと接するガラス、シリコン、シ
リコン酸化物の溶出を防止することは出来ず、インク中
のアルカリ金属の含有量の合計を管理することで、それ
が可能となることを見出し本発明に至った。すなわち、
本発明は、第一に、インクと接する部材の少なくとも一
部がガラスで形成されているインクジェットプリンタに
用いるインクであって、インク中のアルカリ金属の含有
量の合計が700ppm以下であるインクジェット記録
用インクを主要な構成とする。
【0015】第二に、上記第一に記載したインクジェッ
ト用記録インクにおいて、インクと接する部材の少なく
とも一部が更にシリコンまたはシリコン酸化物で形成さ
れているインクジェットプリンタに用いることを特徴と
する。
【0016】第三に、上記第一または第二に記載したイ
ンクジェット用記録インクにおいて、インク中に含まれ
るアニオン性化合物の当量に対し、30%以上の下記式
Aで示される第4級アンモニウムイオン、アルカノール
アミノイオンを含むことを特徴とする。
【0017】
【化6】 (上記式Aにおいて、R1〜R4は水素、炭素数1〜4
のアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化
アルキル基を表す。)
【0018】第四に、上記第三に記載したインクジェッ
ト用記録インクにおいて、式Aで示される第4級アンモ
ニウムイオン、アルカノールアミノイオンの少なくとも
一部が下記式Bで示されるコリンであることを特徴とす
る。
【0019】
【化7】
【0020】第五に、上記第三または第四に記載したイ
ンクジェット用記録インクにおいて、式Aで示される第
4級アンモニウムイオン、アルカノールアミノイオンの
少なくとも一部が下記式Cで示されるトリエタノールア
ミンであることを特徴とする。
【0021】
【化8】
【0022】第六に、上記第三〜第五のいずれかに記載
したインクジェット用記録インクにおいて、式Aで示さ
れる第4級アンモニウムイオン、アルカノールアミノイ
オンの少なくとも一部が下記式Dで示されるテトラメチ
ルアンモニウムであることを特徴とする。
【0023】
【化9】
【0024】第七に、上記第三〜第六のいずれかに記載
したインクジェット記録用インクにおいて、式Aで示さ
れる第4級アンモニウムイオン、アルカノールアミノイ
オンの少なくとも一部が下記式Eで示されるアンモニウ
ムイオンであることを特徴とする。
【0025】
【化10】
【0026】第八に、上記第一〜第七のいずれかに記載
したインクジェット記録用インクにおいて、液室部材が
ガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェッ
トプリンタに用いることを特徴とする。
【0027】第九に、上記第一〜第八のいずれかに記載
したインクジェット記録用インクにおいて、流体抵抗が
ガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェッ
トプリンタに用いることを特徴とする。
【0028】第十に、上記第一〜第九のいずれかに記載
したインクジェット記録用インクにおいて、振動板がガ
ラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェット
プリンタに用いることを特徴とする。
【0029】第十一に、上記第一〜第十のいずれかに記
載したインクジェット記録用インクにおいて、ノズルが
ガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェッ
トプリンタに用いることを特徴とする。
【0030】第十二に、インクと接する部材の少なくと
も一部がガラスで形成されるインクジェットプリンタ
と、インク中のアルカリ金属の含有量の合計が700p
pm以下であるインクジェット記録用インクを用いて記
録を行うインクジェット記録方法を特徴とする。
【0031】第十三に、上記第十二に記載したインクジ
ェット記録方法において、インクと接する部材の少なく
とも一部が更にシリコンまたはシリコン酸化物で形成さ
れているインクジェットプリンタに用いることを特徴と
する。
【0032】第十四に、上記第十二または十三に記載し
たインクジェット記録方法において、インク中に含まれ
るアニオン性化合物の当量に対し、30%以上の上記式
Aで示される第四級アンモニウムイオン、アルカノール
アミノイオンを含むことを特徴とする。
【0033】第十五に、上記第十四に記載したインクジ
ェット記録方法において、上記式Aで示される第4級ア
ンモニウムイオン、アルカノールアミノイオンの少なく
とも一部が上記式Bで示されるコリンであることを特徴
とする請求項14に記載のインクジェット記録方法。
【0034】第十六に、上記第十四または第十五のいず
れかに記載したインクジェット記録方法において、上記
式Aで示される第4級アンモニウムイオン、アルカノー
ルアミノイオンの少なくとも一部が上記式Cで示される
トリエタノールアミンであることを特徴とする。
【0035】第十七に、上記第十四〜第十六のいずれか
に記載したインクジェット記録方法において、上記式A
で示される第4級アンモニウムイオン、アルカノールア
ミノイオンの少なくとも一部が上記式Dで示されるテト
ラメチルアンモニウムであることを特徴とする。
【0036】第十八に、上記第十四〜第十七のいずれか
に記載したインクジェット記録方法において、上記式A
で示される第4級アンモニウムイオン、アルカノールア
ミノイオンの少なくとも一部が上記式Eで示されるアン
モニウムイオンであることを特徴とする。
【0037】第十九に、上記第十二〜第十八のいずれか
に記載したインクジェット記録方法において、液室部材
がガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェ
ットプリンタを用いることを特徴とする。
【0038】第二十に、上記第十二〜第十九のいずれか
に記載したインクジェット記録方法において、流体抵抗
がガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェ
ットプリンタを用いることを特徴とする。
【0039】第二十一に、上記第十二〜第二十のいずれ
かに記載したインクジェット記録方法において、振動板
がガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジェ
ットプリンタを用いることを特徴とする。
【0040】第二十二に、上記第十二〜第二十一のいず
れかに記載したインクジェット記録方法において、ノズ
ルがガラスまたは単結晶シリコンで構成されるインクジ
ェットプリンタを用いることを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
上述のように、本発明はインク中のアルカリ金属の含有
量の合計を700ppm以下とすることで、インクと接
するガラス、シリコン、シリコン酸化物の溶出を防止す
るものである。ここでいうアルカリ金属とは周期表1族
の金属で、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム、フランシウムである。ただ
しフランシウムは、計算上では地球上の地殻20kmに
全体として数百グラム存在するだけであり地球上に極く
僅かしか存在しないため、ほとんどゼロと考えて良いの
で、実際はフランシウムを除いたアルカリ金属の合計の
含有量を管理すれば良い。
【0042】本発明で用いられるガラスは、通常のいか
なるガラスを用いても良いがホウ珪酸系ガラス、石英ガ
ラスが好ましい。他の材料とで構成されるヘッドに用い
る場合は線膨張係数が近似するガラスを用いることが好
ましく、例えばシリコンとで構成されるヘッドであるな
らば、パイレックス(登録商標)ガラス#7740、コ
ーニングコート7913、コーニングコート7052、
コーニングコート7056等があげられる。インク中の
アルカリ金属は、インクと接するガラス、シリコン、シ
リコン酸化物中に進入し拡散するためシリコンを溶出さ
せ続けてしまう働きがあるためと考えられる。このよう
なガラス、シリコン、シリコン酸化物の溶出は、インク
中のアルカリ金属の含有量の合計を700ppm以下、
好ましくは150ppm以下、更に好ましくは50pp
m以下にすることで問題とならないレベルまで抑制でき
る。
【0043】インク中に含まれるアニオン性化合物の当
量に対し、30%以上,より好ましくは50%以上の式
Aで示される第4級アンモニウムイオン、アルカノール
アミノイオンを含むことで、インクと接するシリコン、
シリコン酸化物の溶出を更に抑制することが出来る。イ
ンク中の式Aで示される第4級アンモニウムイオン、ア
ルカノールアミノイオンは、インクと接するガラス、シ
リコン、シリコン酸化物中の表面に吸着し留まるため、
継続したガラス、シリコン、シリコン酸化物中の溶出は
行われず、溶出を防止する働きがあると考えられる。
【0044】なお、本発明においてイオンがすべて上記
式Aの化合物である必要はなく、他のイオンと混合する
こともできる。
【0045】式Aで示される第4級アンモニウムイオ
ン、アルカノールアミノイオンのなかでも式Bで示され
るコリン、式Cで示されるトリエタノールアミン、式D
で示されるテトラメチルアンモニウム、式Eで示される
アンモニウムイオンはシリコン、シリコン酸化物の溶出
防止効果が特に高く、着色剤の分散または溶解安定性に
優れ、インクジェット記録用インクに求められる他の品
質も満足するため、更に好ましい。
【0046】コリン、トリエタノールアミン、テトラメ
チルアンモニウム、アンモニウムイオン以外にも式Aで
示される第4級アンモニウムイオン、アルカノールアミ
ノイオンとして、具体的には下記化11に示すものをあ
げることが出来る。
【0047】
【化11】 もちろんこれらに限定されるものではない。これらの中
から、インクジェット記録用インクに求められる他の品
質を満足し、毒性等の副作用の無い範囲であれば、一種
または複数を添加することが出来る。中でも1分子イオ
ン中の炭素数が4〜12であることが好ましい。炭素数
が12より大きくなると、水などの溶媒に対する溶解性
が低下し、印字休止中や連続印字中に目詰まりを生じた
りインクの保存中にインクの分離、沈殿発生を生じる傾
向が強くなるといった副作用が生じる傾向が強くなる。
【0048】本発明は上述したようにアルカリ金属の含
有量を規定するものであるが、インクに添加する着色剤
や浸透剤、分散剤、界面活性剤等のアニオン性化合物が
ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩の型で入
手される場合、添加量によってはそのまま使用するとア
ルカリ金属の含有量が規定量以上になってしまう場合が
ある。この場合、アルカリ金属塩以外のイオンに少なく
とも一部を替えることでアルカリ金属の含有量を規定量
以下にすることが出来る。
【0049】その方法としては、イオン交換樹脂による
方法、ナトリウムなどのアルカリ金属塩の溶液に所望の
イオン好ましくは式Aで示される第4級アンモニウムイ
オン、アルカノールアミノイオンを含有する塩を加えて
析出させる塩析法が直接イオンを交換する方法としてあ
げられる。一旦ナトリウムなどのアルカリ金属の塩を遊
離酸とする方法は、イオン交換樹脂で処理する方法の他
に、アニオン性化合物またはその溶液に強酸を加えて、
溶媒抽出、残留、ろ過などにより分離する方法が挙げら
れる。
【0050】アニオン性化合物がアルカリ金属以外の型
で得られる場合には、そのまま使用することが出来る。
また前述した方法でイオンの少なくとも一部を[化1]
式で示される第4級アンモニウムイオン、アルカノール
アミノイオンに替えて使用することもできる。
【0051】また、アニオン性化合物が遊離酸の型で得
られる場合には、本発明のアルカリ金属の含有量以下と
するために、遊離酸のアニオン性化合物またはその溶液
に少なくとも一部をアルカリ金属以外のイオン、好まし
くは式Aで示される第4級アンモニウムイオン、アルカ
ノールアミノイオンを添加することにより本発明のイン
クを得ることが出来る。
【0052】このようにアニオン性化合物が遊離酸の型
で入手できる場合には、インク調合時に遊離酸型の化合
物をアルカリ金属以外の塩に替える必要が無く、遊離酸
型のアニオン性化合物にアルカリ金属以外のイオン、好
ましくはインク中の遊離酸型のアニオン性化合物の当量
に対して30%以上より好ましくは50%以上の式Aで
示される第4級アンモニウムイオン、アルカノールアミ
ノイオンを加えることによりインクのpH値を6.0以
上に調整することにより、上記カウンターカチオンを持
つアニオン性化合物がインクに含有されるので、特にイ
ンクを製造するまでに要する作業が簡略となり、得られ
るインクを安価なものとすることができ、しかも極めて
容易にガラス、シリコン、シリコン酸化物の溶出を防止
することができるので好ましい。
【0053】イオンが式Aで示される第4級アンモニウ
ムイオン、アルカノールアミノイオンである場合には、
置換または置換されたアルキル基を有し、1分子イオン
中の炭素数が4〜12であることが好ましい。炭素数が
12より大きくなると、水などの溶媒に対する溶解性が
低下し、印字休止中や連続印字中に目詰まりを生じたり
インクの保存中にインクの分離、沈殿発生を生じる傾向
が強くなるといった副作用が生じる傾向が強くなる。
【0054】本発明のインク記録液の溶媒としては、水
が主成分として使用されることが多いが、インクを所望
の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また
着色剤の溶解安定性を向上させるため等の目的で上記の
被記録材の前処理液に用いる水溶性有機溶媒として示し
た水溶性有機溶媒を使用することができる。
【0055】すなわち、水溶性有機溶媒としては、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコーノレ、ポリプロピレ
ングリコール、1,5ペンタンジオール、1,6へキサ
ンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオ
ール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブ
タントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テト
ラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアル
キルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエー
テル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多
価アルコールアリールエーテル類、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2
−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε
−カプローラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムア
ミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール
等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エ
チレン、γ−ブチローラクトン等を用いることができ
る。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混
合して使用することができる。
【0056】これらの中で特に好ましいものはジエチレ
ングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコ
ール200〜600、トリエチレングリコール、グリセ
リン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−
ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジ
オール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシ
エチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル
イミダゾリジノンであり、これらを用いることにより記
録液中の着色剤を不溶化する化合物やその他の添加剤の
高い溶解性と水分蒸発による塗工不良の防止に対して優
れた効果が得られる。
【0057】本発明の用いられる着色材としては、その
ままあるいは上述した方法などでアルカリ金属を減らし
て本発明で示すインク中のアルカリ金属の含有量を満た
すものであればいずれも使用することができる。水溶性
染料としては、カラーインデックスにおいて、酸性染
料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に
分類される染料で、好ましくは耐水、耐光性が優れたも
のが用いられる。これら染料を具体的に挙げれば、酸性
染料及び食用染料として、 C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,
79,142 C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,
26,27,35,37,42,52,82,87,8
9,92,97,106,111,114,115,1
34,186,249,254,289 C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,24
9 C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,
94 C.I.フードイエロー 3,4 C.I.フードレッド 7,9,14 C.I.フードブラック 1,2 直接性染料として、 C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,
33,44,50,86,120,132,142,1
44 C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,
20,28,31,39,80,81,83,89,2
25,227 C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,10
2 C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,2
2,,25,71,76,79,86,87,90,9
8,163,165,199,202 C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,3
8,51,56,71,74,75,77,154,1
68,171 塩基性染料として、 C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,1
4,15,19,21,23,24,25,28,2
9,32,36,40,41,45,49,51,5
3,63,64,65,67,70,73,77,8
7,91 C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,1
5,18,22,23,24,27,29,35,3
6,38,39,46,49,51,52,54,5
9,68,69,70,73,78,82,102,1
04,109,112 C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,2
1,22,26,35,41,45,47,54,6
2,65,66,67,69,75,77,78,8
9,92,93,105,117,120,122,1
24,129,137,141,147,155 C.I.ベーシックブラック 2,8 反応性染料として、 C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,1
2,17 C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,
14,20,21,22,25,40,47,51,5
5,65,67 C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,
26,32,37,44,46,55,60,66,7
4,79,96,97 C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,1
5,23,32,35,38,41,63,80,95 等が使用できる。特に酸性染料及び直接性染料が好まし
く用いることができる。
【0058】また、インクジェット用で新たに開発され
た染料ももちろん用いることができる。例えば、アビシ
ャ製のProjet Fast B1ack2,Pro
jet Fast Magenta2,Projet
Fast Yel1ow2,Projet Fast
Cyan2(登録商品名)が挙げられる。
【0059】顔料としては、無機顔料として、酸化チタ
ン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化
アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、
クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、
サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボ
ンブラックを使用することができる。また、有機顔料と
しては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合
アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料
(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオ
キサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソ
インドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレ
ート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレ
ートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラ
ックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親
和性の良いものが好ましく用いられる。インク組成物中
の着色剤としての顔料の添加量は、0.5〜25重量%
程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度で
ある。
【0060】本発明において好ましく用いられる顔料の
具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、
ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラ
ック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラッ
ク7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック
11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック
(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげ
られる。さらに、カラー用としては、C.I.ピグメン
トイエロー1、3、12、13、14、17、24、3
4、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、8
1、83、95、97、98、100、101、10
4、408、109、110、117、120、13
8、150、153、C.I.ピグメントオレンジ5、
13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメ
ントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、
38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B
(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:
2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6
B)、60:1、63:1、63:2、64:1、8
1、83、88、101(べんがら)、104、10
5、106、108(カドミウムレッド)、112、1
14、122(キナクリドンマゼンタ)、123、14
6、149、166、168、170、172、17
7、178、179、185、190、193、20
9、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ロー
ダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、3
8、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシ
アニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタ
ロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、6
3、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、1
0、17、18、36、等がある。
【0061】その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹
脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、
顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキ
シル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔
料等が使用できる。また、顔料をマイクロカプセルに包
含させ、該顔料を水中に分散可能なのものとしたもので
あっても良い。
【0062】本発明の好ましい態様によれば、インク中
の顔料は平均粒径が50nm〜200nmの範囲である
ことが好ましい。ここでいう平均粒径とは、体積累積パ
ーセント50%の値をさす。体積累積パーセント50%
の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動
を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻っ
てくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化
量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光
解析)といわれる方法を用いることができる。
【0063】顔料分散剤としては、そのまままたは上述
した方法などでアルカリ金属を減らすことで本発明で示
すインク中のアルカリ金属の含有量を満たすものであれ
ばいずれも使用することができる。親水性高分子とし
て、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーア
ガム、力ラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガ
ラクトン、ペクチン、クインスシ−ドデンプン等の植物
性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系
高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン
等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の
微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エ
チルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロ−ス
等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウ
ム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系
高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレン
グリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビ
ニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属
塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、
水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレ
ンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹
脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β
−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金
属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能
基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然
高分子化合物等が挙げられる。
【0064】本発明のインクには上記着色剤、溶媒の他
に従来知られている添加剤を加えることができる。これ
らもそのままあるいは上述した方法などでアルカリ金属
を減らして本発明で示すインク中のアルカリ金属の含有
量を満たすものであればいずれも使用することができ
る。例えば、インクの表面張力を調整する目的で浸透剤
を添加することができ、このような浸透剤としては、2
−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−ト
リメチル−1,3−ペンタンジオール、などの多価アル
コール類、ジエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレ
ングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル
等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル
類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック
共重合体、フッ素系界面活性剤、エタノール、2−プロ
パノール等の低級アルコール類が挙げられる。
【0065】さらに、インクには界面活性剤を添加する
ことができ、それにより記録液の表面張力を調整して被
記録材に対する浸透性を改良し、またインクジェットプ
リンタのヘッド部材に対する記録液の濡れ性を向上させ
ることにより記録液の吐出安定性を改良することができ
る。例としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルサルフェートのアンモニウム塩、ジアルキルス
ルホコハク酸の塩等のアニオン性界面活性剤、第4級ア
ンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、イミダゾリン
誘導体等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキ
ルアミド、ポリエキシエチレンプロピレンブロックポリ
マー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエ
チレンオキサイド添加物等のノニオン系界面活性剤、フ
ッ素系界面活性剤等が挙げられる。
【0066】インク組成物中でのこれら界面活性剤の添
加量は0.01重量%〜5.0重量%であり、好ましく
は0.5重量%〜3重量%である。0.01重量%未満
では添加した効果は無く、5.0重量%より多い添加で
は記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度
の低下や裏抜けの発生といった問題がある。前記界面活
性剤は、単独または二種以上を混合して用いることがで
きる。
【0067】防腐防黴剤としては安息香酸ナトリウム、
ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオ
ール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウ
ム、デヒドロ酢酸ナトリウム等があり、なかでも本発明
のアルカリ金属の含有量を達成するためには1,2−ジ
ベンジイソチアゾリン−3−オン(アビシャ社のプロキ
セルCRL、プロキセルBDN,プロキセルGXL、三
愛石油社のサンパックAP)を使用することが特に好ま
しい。
【0068】pH調整剤としては、調合されるインクに
悪影響をおよぼさずにpHを6以上に調整できるもので
あれば、任意の物質を使用することができる。その例と
して、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸
塩等が挙げられる。なかでも本発明のアルカリ金属の含
有量を達成するためにはジエタノールアミン、トリエタ
ノ−ルアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級
アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物等
を使用することが特に好ましい。その他目的に応じて防
錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添
加することもできる。
【0069】(実施例)以下に本発明の実施例及び比較
例を示す。尚、特に記載の無い限り添加比率は有効成分
の重量%を指す。 実施例1 下記式のブラック染料3重量%
【0070】
【化12】 グリセリン 5% エチレングリコール 20% ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸 (アニオン界面活性剤) 1.0% サンパックAP(三愛石油製防かび剤) 0.4% イオン交換水 残量 上記処方の混合物を50℃にて撹拌しながら、コリン
(式B)水酸化物の14.4%水溶液をインク中のアニ
オン性化合物の当量に対し70%添加した。そのまま4
時間の撹拌を続け、冷却後、孔径0.1μmのフィルタ
ーで瀘過を行った。このインクをプラズマ発光分光分析
により分析したところ、インク中のアルカリ金属の含有
量は15ppmとなっていた。またpH値は9.6であ
った。
【0071】振動板が110面の上に熱酸化処理により
シリコン酸化物の膜を1000Å設けた面からなり、パ
イレックスガラス#7740、100面及び110面、
111面のシリコンからなる液室、100面及び111
面からなるノズル、流体抵抗からなる静電気力により振
動板を変形させ吐出せしめる方式のインクジェット・プ
リンターに充填し、以下の条件で以下に述べる印字試
験、信頼性試験を行った。 駆動周波数:12KHz 駆動電圧:23v ノズル直径:30μm 液滴体積:30pl/dot ノズル数:48ノズル ドット密度:600dpi
【0072】試験 1(T1)初期印字試験 市販のコピー用紙3種、ボンド紙3種上に印字を行い、
画像の特性を調べた。 試験 2(T2)信頼性試験(印字休止後印字試験、接
液性) 上記プリンタにインクを充填したまま、50℃、60%
RHの環境下に1か月間プリンターを放置した後、印字
を行い正常な印字が可能か否かを試験した。また、ガラ
ス及びシリコンの厚さ変化量及び酸化膜の膜厚変化量を
測定した。尚、ガラス及びシリコンの厚さ変化量は、接
液した後のインクをプラズマ発光分光分析により分析
し、インク中のシリコン濃度とそれぞれの材料の密度か
ら換算して求めた。
【0073】初期印字試験では、いずれの紙上において
も画像濃度1.3以上の鮮明な画像が得られた。印字休
止後の印字でもなんらの回復手段を用いることなく正常
な印字が可能であった。接液性では、パイレックスガラ
ス#7740の厚さ変化は0.18μm 、シリコンの厚
さ変化量は100面が約0.16μm、110面が約
0.06μm、111面が約0.04μmであり、液
室、流体抵抗、ノズルとして問題の無い厚さの変化量で
あった。また、110面のシリコン酸化膜の膜厚変化量
は約3Åであり、振動板として問題の無い膜厚変化量で
あった。
【0074】比較例1 実施例1のインク処方において、コリンの代わりに水酸
化リチウムをインク中のアニオン性化合物の当量に対し
70%添加した。そのまま4時間の撹拌を続け、冷却
後、孔径0.1μmのフィルターで瀘過を行った。この
インクをプラズマ発光分光分析により分析したところ、
インク中のアルカリ金属の含有量は940ppmとなっ
ていた。またpH値は9.8であった。このインクを実
施例1と同様にプリンタに充填して、印字、保存試験を
行った。このインクでは、実施例1と同等の初期画像が
得られたが、印字休止後噴射応答性試験では、インクへ
のシリコンの溶出により染料の溶解安定性が悪くなった
ために8/48ノズルに吐出不良が発生した。接液性で
は、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は11.
2μm 、シリコンの厚さ変化量は100面が約6.0μ
m、110面が約3.5μm、111面が約0.60μ
mであり、液室、流体抵抗、ノズルとして精度の問題が
発生する変化量であり、また110面のシリコン酸化膜
は全て溶出しており、振動板として問題となる変化量で
あった。
【0075】実施例2 下記式のシアン染料 3重量%
【0076】
【化13】 グリセリン 10% ジエチレングリコール 10% サーフィノール465 (アセチレンアルコールのエチレンオキサイド添加物; 信越化学工業社製)(ノニオン界面活性剤) 1.0% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3% プロキセルCRL(アビシャ社製防かび剤) 0.4% イオン交換水 残量 上記処方の混合物を50℃にて撹拌しながら、トリエタ
ノールアミン(式C)をインク中のアニオン性化合物の
当量に対し170%添加した。そのまま4時間の撹拌を
続け、冷却後、孔径0.1μmのフィルターで瀘過を行
った。このインクをプラズマ発光分光分析により分析し
たところ、インク中のアルカリ金属の含有量は12pp
mとなっていた。またpH値は9.1であった。
【0077】上記のインクを実施例1と同様に試験を行
ったところ、初期印字試験では、いずれの紙上において
も画像濃度1.1以上の鮮明な画像が得られた。印字休
止後の印字でもなんらの回復手段を用いることなく正常
な印字が可能であった。接液性では、パイレックスガラ
ス#7740の厚さ変化は0.19μm、シリコンの厚
さ変化量は100面が約0.15μm、110面が約
0.06μm、111面が約0.04μmであり、液
室、流体抵抗、ノズルとして問題の無い厚さの変化量で
あった。また、110面のシリコン酸化膜の膜厚変化量
は約3Åであり、振動板として問題の無い膜厚変化量で
あった。
【0078】比較例2 実施例2のインク処方において、トリエタノールアミン
の代わりに水酸化ナトリウムをインク中のアニオン性化
合物の当量に対し130%添加した。そのまま4時間の
撹拌を続け、冷却後、孔径0.1μmのフィルターで瀘
過を行った。このインクをプラズマ発光分光分析により
分析したところ、インク中のアルカリ金属の含有量は1
280ppmとなっていた。またpH値は10.3であ
った。このインクを実施例2と同様にプリンタに充填し
て、印字、保存試験を行った。このインクでは、実施例
2と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答
性試験では、インクへのシリコンの溶出により染料の溶
解安定性が悪くなったために28/48ノズルに吐出不
良が発生した。接液性では、パイレックスガラス#77
40の厚さ変化は13.9μm、シリコンの厚さ変化量
は100面が約8.2μm、110面が約4.7μm、
111面が約0.80μmであり、液室、流体抵抗、ノ
ズルとして精度の問題が発生する変化量であり、また1
10面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、8/48
の振動板が、薄くなったために振動に耐えられず破損し
ていた。
【0079】 実施例3 下記式のイエロー染料 2%
【0080】
【化14】 グリセリン 3% トリエチレングリコール 10% 下記式のジアルキルスルホ琥珀酸塩(アニオン界面活性剤)1.0%
【0081】
【化15】 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% プロキセルBND(アビシャ社製防かび剤) 0.4% イオン交換水 残量 上記処方の混合物を50℃にて撹拌しながら、テトラメ
ルルアンモニウム(式D)をインク中のアニオン性化合
物の当量に対し40%、アンモニウムイオン(式E)を
インク中のアニオン性化合物の当量に対し40%添加し
た。そのまま4時間の撹拌を続け、冷却後、孔径0.1
μmのフィルターで瀘過を行った。このインクをプラズ
マ発光分光分析により分析したところ、インク中のアル
カリ金属の含有量は28ppmとなっていた。またpH
値は9.7であった。上記のインクを実施例1と同様に
試験を行ったところ、初期印字試験では、いずれの紙上
においても画像濃度0.9以上の鮮明な画像が得られ
た。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用いるこ
となく正常な印字が可能であった。接液性では、パイレ
ックスガラス#7740の厚さ変化は0.24μm、シ
リコンの厚さ変化量は100面が約0.18μm、11
0面が約0.07μm、111面が約0.05μmであ
り、液室、流体抵抗、ノズルとして問題の無い厚さの変
化量であった。また、110面のシリコン酸化膜の膜厚
変化量は約3Åであり、振動板として問題の無い膜厚変
化量であった。
【0082】比較例3 実施例3のインク処方において、テトラメルルアンモニ
ウム、アンモニウムイオンの代わりに水酸化カリウムを
インク中のアニオン性化合物の当量に対し40%、水酸
化リチウムをインク中のアニオン性化合物の当量に対し
40%添加した。そのまま4時間の撹拌を続け、冷却
後、孔径0.1μmのフィルターで瀘過を行った。この
インクをプラズマ発光分光分析により分析したところ、
インク中のアルカリ金属の含有量は970ppmとなっ
ていた。またpH値は9.6であった。このインクを実
施例3と同様にプリンタに充填して、印字、保存試験を
行った。このインクでは、実施例3と同等の初期画像が
得られたが、印字休止後噴射応答性試験では、インクへ
のシリコンの溶出により染料の溶解安定性が悪くなった
ために12/48ノズルに吐出不良が発生した。接液性
では、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は1
0.9μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約6.
2μm、110面が約3.6μm、111面が約0.6
0μmであり、液室、流体抵抗、ノズルとして精度の問
題が発生する変化量であり、また110面のシリコン酸
化膜は全て溶出しており、振動板として問題となる変化
量であった。
【0083】 実施例4 下記式のマゼンタ染料 2.5%
【0084】
【化16】 ジエチレングリコール 20% ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸 (アニオン界面活性剤) 0.3% 2−ピロリドン 2% プロキセルGXL(アビシャ社製防かび剤) 0.4% イオン交換水 残量 上記処方の混合物を50℃にて撹拌しながら、コリン
(式B)水酸化物の14.4%水溶液をインク中のアニ
オン性化合物の当量に対し40%、水酸化ナトリウムを
インク中のアニオン性化合物の当量に対し65%添加し
た。そのまま4時間の撹拌を続け、冷却後、孔径0.1
μmのフィルターで瀘過を行った。このインクをプラズ
マ発光分光分析により分析したところ、インク中のアル
カリ金属の含有量は470ppmとなっていた。またp
H値は10.0であった。上記のインクを実施例1と同
様に試験を行ったところ、初期印字試験では、いずれの
紙上においても画像濃度1.1以上の鮮明な画像が得ら
れた。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用いる
ことなく正常な印字が可能であった。接液性では、パイ
レックスガラス#7740の厚さ変化は0.31μm、
シリコンの厚さ変化量は100面が約0.31μm、1
10面が約0.11μm、111面が約0.09μmで
あり、液室、流体抵抗、ノズルとして問題の無い厚さの
変化量であった。また、110面のシリコン酸化膜の膜
厚変化量は約5Åであり、振動板として問題の無い膜厚
変化量であった。
【0085】比較例4 実施例4のインク処方において、コリンの代わりに水酸
化ナトリウムをインク中のアニオン性化合物の当量に対
し65%(合計105%)添加した。そのまま4時間の
撹拌を続け、冷却後、孔径0.1μmのフィルターで瀘
過を行った。このインクをプラズマ発光分光分析により
分析したところ、インク中のアルカリ金属の含有量は8
10ppmとなっていた。またpH値は10.1であっ
た。このインクを実施例4と同様にプリンタに充填し
て、印字、保存試験を行った。このインクでは、実施例
4と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答
性試験では、インクへのシリコンの溶出により染料の溶
解安定性が悪くなったために4/48ノズルに吐出不良
が発生した。接液性では、パイレックスガラス#774
0の厚さ変化は9.8μm、シリコンの厚さ変化量は1
00面が約5.3μm、110面が約3.1μm、11
1面が約0.50μmであり、液室、流体抵抗、ノズル
として精度の問題が発生する変化量であり、また110
面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、振動板として
問題となる変化量であった。
【0086】 実施例5 カルボキシル基結合型カーボンブラック分散液 (平均粒径128nm) 5% グリセリン 10% ジエチレングリコール 10% ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸 (アニオン界面活性剤) 1.0% 2−ピロリドン 2% 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2% サンパックAP(三愛石油製防かび剤) 0.4% イオン交換水 残量 上記処方の混合物を50℃にて4時間の撹拌を続け、冷
却後、孔径0.8μmのフィルターで瀘過を行った。こ
のインクをプラズマ発光分光分析により分析したとこ
ろ、インク中のアルカリ金属の含有量は320ppmと
なっていた。またpH値は8.3であった。上記のイン
クを実施例1と同様に試験を行ったところ、初期印字試
験では、いずれの紙上においても画像濃度1.4以上の
鮮明な画像が得られた。印字休止後の印字でもなんらの
回復手段を用いることなく正常な印字が可能であった。
接液性では、パイレックスガラス#7740の厚さ変化
は0.23μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約
0.20μm、110面が約0.07μm、111面が
約0.04μmであり、液室、流体抵抗、ノズルとして
問題の無い厚さの変化量であった。また、110面のシ
リコン酸化膜の膜厚変化量は約3Åであり、振動板とし
て問題の無い膜厚変化量であった。
【0087】比較例5 実施例4のインク処方において、ポリオキシエチレン
(3)トリデシルエーテル酢酸の代わりにポリオキシエ
チレン(3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムを添加
した以外は実施例4と同様に作成し試験を行った。この
インクをプラズマ発光分光分析により分析したところ、
インク中のアルカリ金属の含有量は870ppmとなっ
ていた。またpH値は8.3であった。このインクを実
施例5と同様にプリンタに充填して、印字、保存試験を
行った。このインクでは、実施例5と同等の初期画像が
得られたが、印字休止後噴射応答性試験では、インクへ
のシリコンの溶出により染料の溶解安定性が悪くなった
ために7/48ノズルに吐出不良が発生した。接液性で
は、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は11.
1μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約5.8μ
m、110面が約3.4μm、111面が約0.60μ
mであり、液室、流体抵抗、ノズルとして精度の問題が
発生する変化量であり、また110面のシリコン酸化膜
は全て溶出しており、振動板として問題となる変化量で
あった。
【0088】実施例6 実施例1のブラック染料の代わりにシアン顔料として下
記の分散液を15%加えた以外は実施例1と同じ処方の
混合物を50℃にて4時間の撹拌を続け、冷却後、孔径
0.8μmのフィルターで瀘過を行った。 C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニンブルー) (平均粒径123nm) 20% 分散剤(ポリエキシエチレンオレイル エーテル硫酸アンモニウム) 6.6% エチレングリコール 30% 水 残量 このインクをプラズマ発光分光分析により分析したとこ
ろ、インク中のアルカリ金属の含有量は33ppmとな
っていた。またpH値は9.7であった。上記のインク
を実施例1と同様に試験を行ったところ、初期印字試験
では、いずれの紙上においても画像濃度1.2以上の鮮
明な画像が得られた。印字休止後の印字でもなんらの回
復手段を用いることなく正常な印字が可能であった。接
液性では、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は
0.22μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約
0.19μm、110面が約0.08μm、111面が
約0.05μmであり、液室、流体抵抗、ノズルとして
問題の無い厚さの変化量であった。また、110面のシ
リコン酸化膜の膜厚変化量は約4Åであり、振動板とし
て問題の無い膜厚変化量であった。
【0089】実施例7 実施例2のシアン染料の代わりにイエロー顔料として下
記の分散液を20%加えた以外は実施例2と同じ処方の
混合物を50℃にて4時間の撹拌を続け、冷却後、孔径
0.8μmのフィルターで瀘過を行った。 C.I.ピグメントイエロー138(平均粒径96nm) 25% 分散剤(ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸) 10% アンモニア水 1.3% エチレングリコール 25% 水 残量 このインクをプラズマ発光分光分析により分析したとこ
ろ、インク中のアルカリ金属の含有量は88ppmとな
っていた。またpH値は9.1であった。上記のインク
を実施例1と同様に試験を行ったところ、初期印字試験
では、いずれの紙上においても画像濃度0.9以上の鮮
明な画像が得られた。印字休止後の印字でもなんらの回
復手段を用いることなく正常な印字が可能であった。接
液性では、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は
0.38μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約
0.30μm、110面が約0.13μm、111面が
約0.10μmであり、液室、流体抵抗、ノズルとして
問題の無い厚さの変化量であった。また、110面のシ
リコン酸化膜の膜厚変化量は約5Åであり、振動板とし
て問題の無い膜厚変化量であった。
【0090】実施例8 実施例3のイエロー染料の代わりにシアン顔料として下
記の分散液を12%加えた以外は実施例3と同じ処方の
混合物を50℃にて4時間の撹拌を続け、冷却後、孔径
0.8μmのフィルターで瀘過を行った。 C.I.ピグメントレッド122(平均粒径120nm) 33% 分散剤 (ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸) 17.5% コリン 1.5% エチレングリコール 25% 水 残量 このインクをプラズマ発光分光分析により分析したとこ
ろ、インク中のアルカリ金属の含有量は57ppmとな
っていた。またpH値は9.7であった。上記のインク
を実施例1と同様に試験を行ったところ、初期印字試験
では、いずれの紙上においても画像濃度1.1以上の鮮
明な画像が得られた。印字休止後の印字でもなんらの回
復手段を用いることなく正常な印字が可能であった。接
液性では、パイレックスガラス#7740の厚さ変化は
0.32μm、シリコンの厚さ変化量は100面が約
0.24μm、110面が約0.11μm、111面が
約0.08μmであり、液室、流体抵抗、ノズルとして
問題の無い厚さの変化量であった。また、110面のシ
リコン酸化膜の膜厚変化量は約5Åであり、振動板とし
て問題の無い膜厚変化量であった。
【0091】実施例9 実施例1のブラック染料の代わりにイエロー染料とし
て、Projet Fast Yellow2(アビシ
ャ製)をイオン交換樹脂によりアルカリ金属の一部を一
旦遊離酸とした後、コリンに一部置換した染料を3%加
えた以外は実施例1と同じ処方の混合物を50℃にて4
時間の撹拌を続け、冷却後、孔径0.8μmのフィルタ
ーで瀘過を行った。このインクをプラズマ発光分光分析
により分析したところ、インク中のアルカリ金属の含有
量は620ppmとなっていた。またpH値は9.6で
あった。上記のインクを実施例1と同様に試験を行った
ところ、初期印字試験では、いずれの紙上においても画
像濃度0.9以上の鮮明な画像が得られた。印字休止後
の印字でもなんらの回復手段を用いることなく正常な印
字が可能であった。接液性では、パイレックスガラス#
7740の厚さ変化は0.43μm、シリコンの厚さ変
化量は100面が約0.40μm、110面が約0.1
5μm、111面が約0.12μmであり、液室、流体
抵抗、ノズルとして問題の無い厚さの変化量であった。
また、110面のシリコン酸化膜の膜厚変化量は約6Å
であり、振動板として問題の無い膜厚変化量であった。
【0092】比較例6 実施例9のインク処方において、イエロー染料としてコ
リンに置換しないProjet Fast Yello
w2(アビシャ製)を添加した以外は実施例9と同様に
作成し試験を行った。このインクをプラズマ発光分光分
析により分析したところ、インク中のアルカリ金属の含
有量は1150ppmとなっていた。またpH値は9.
6であった。このインクを実施例5と同様にプリンタに
充填して、印字、保存試験を行った。このインクでは、
実施例5と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴
射応答性試験では、インクへのシリコンの溶出により染
料の溶解安定性が悪くなったために19/48ノズルに
吐出不良が発生した。接液性では、パイレックスガラス
#7740の厚さ変化は14.3μm、シリコンの厚さ
変化量は100面が約10.2μm、110面が約5.
1μm、111面が約0.90μmであり、液室、流体
抵抗、ノズルとして精度の問題が発生する変化量であ
り、また110面のシリコン酸化膜は全て溶出してお
り、3/48の振動板が、薄くなったために振動に耐え
られず破損していた。
【0093】実施例10 実施例1のインクジェット・プリンターの代わりに、液
室、ノズル、流体抵抗がパイレックスガラス#774
0、100面及び110面、111面のシリコンからな
り、振動板がパイレックスガラス#7740からなる静
電気力により振動板を変形させ吐出せしめる方式の下記
条件のインクジェット・プリンターに充填した以外は実
施例1と同様に試験を行った。 駆動周波数:10KHz 駆動電圧:23v ノズル直径:45μm 液滴体積:35pl/dot ノズル数:48ノズル ドット密度:300dpi 初期印字試験では、いずれの紙上においても画像濃度
1.3以上の鮮明な画像が得られた。印字休止後の印字
でもなんらの回復手段を用いることなく正常な印字が可
能であった。接液性では、パイレックスガラス#774
0の厚さ変化は0.15μm、シリコンの厚さ変化量は
100面が約0.16μm、110面が約0.06μ
m、111面が約0.04μmであり、液室、流体抵
抗、ノズル、振動板として問題の無い厚さの変化量であ
った。
【0094】実施例11 実施例1のインクジェット・プリンターの代わりに液
室、流体抵抗がパイレックスガラス#7740、100
面及び110面、111面のシリコンからなり、ノズル
がPTFE共析メッキのNi基板からなるサーマル方式
の下記条件のインクジェット・プリンターに充填した以
外は実施例1と同様に試験を行った。 駆動周波数:10KHz 駆動電圧:20v ノズル直径:30μm 液滴体積:24pl/dot ノズル数:96ノズル ドット密度:240dpi 初期印字試験では、いずれの紙上においても画像濃度
1.3以上の鮮明な画像が得られた。印字休止後の印字
でもなんらの回復手段を用いることなく正常な印字が可
能であった。接液性では、パイレックスガラス#774
0の厚さ変化は0.15μm、シリコンの厚さ変化量は
100面が約0.16μm、110面が約0.06μ
m、111面が約0.04μmであり、液室、流体抵抗
として問題の無い厚さの変化量であった。また、pH中
性域では溶出がNiについてもpHをアルカリ側にする
ことが出来るため、ノズルとして問題となるレベルのN
iの溶出はなかった。
【0095】
【発明の効果】以上のように、請求項1の構成によれ
ば、インク中のアルカリ金属の含有量を700ppm以
下としたことから、プリンタに使用されるガラスの溶出
を抑制でき、プリンタの設計精度の低下によるインク滴
の大きさや吐出速度の変化による画像品質の低下、吐出
不良の発生、結合部の接合強度の低下による故障といっ
た問題を防止し、またインクへのシリコン溶出による目
詰まりを防止するインクを提供することができる。
【0096】請求項2に記載した構成によれば、シリコ
ン及びシリコン酸化物の溶出をも抑える働きを発揮する
ため、ヘッドにガラスと共にシリコン及びシリコン酸化
物を用いたインクジェットプリンタであってもプリンタ
の設計精度の低下によるインク滴の大きさや吐出速度の
変化による画像品質の低下、吐出不良の発生、結合部の
接合強度の低下による故障といった問題を防止し、また
インクへのシリコン溶出による目詰まりを防止するイン
クを提供することができる。
【0097】請求項3に記載した構成によれば、上記式
Aの化合物はガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶
出を抑える働きを発揮するため、規定量以上含むこと
で、ガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶出を更に
抑えたインクを提供することができる。
【0098】請求項4に記載した構成によれば、上記式
Aの化合物の構造をコリンに特定することにより優れた
ガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶出防止効果を
有したインクを提供することができる。
【0099】請求項5に記載した構成によれば、上記式
Aの化合物の構造をトリエタノールアミンに特定するこ
とにより優れたガラス、シリコン及びシリコン酸化物の
溶出防止効果を有したインクを提供することができる。
【0100】請求項6に記載した構成によれば、上記式
Aの化合物の構造をテトラメチルアンモニウムに特定す
ることにより優れたガラス、シリコン及びシリコン酸化
物の溶出防止効果を有したインクを提供することができ
る。
【0101】請求項7に記載した構成によれば、上記式
Aの化合物の構造をアンモニウムイオンに特定すること
により優れたガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶
出防止効果を有したインクを提供することができる。
【0102】請求項8に記載した構成によれば、精密さ
が要求される液室部材のガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、液室容積が大きくなること無く所望の液室容
積を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐出
速度の変化による画像品質の低下、吐出不良の発生を防
止するインクを提供することができる。
【0103】請求項9に記載した構成によれば、精密さ
が要求される流体抵抗のガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、流体抵抗が変化すること無く所望の流体抵抗
を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐出速
度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を防止
するインクを提供することができる。
【0104】請求項10に記載した構成によれば、精密
さが要求される振動板のガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、振動板の厚さが減少すること無く所望の振動
板の厚さを維持すること出来るため、インク滴の大きさ
や吐出速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発
生、振動板の破損を防止するインクを提供することがで
きる。
【0105】請求項11に記載した構成によれば、精密
さが要求されるノズルのガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、ノズルの径が拡大すること無く所望のノズル
径を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐出
速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を防
止するインクを提供することができる。
【0106】請求項12に記載した構成によれば、イン
ク中のアルカリ金属の含有量を700ppm以下とする
ことで、プリンタに使用されるガラスの溶出を抑制で
き、プリンタの設計精度の低下によるインク滴の大きさ
や吐出速度の変化による画像品質の低下、吐出不良の発
生、結合部の接合強度の低下による故障といった問題を
防止し、またインクへのシリコン溶出による目詰まりを
防止するインクジェット記録方法を提供することができ
る。
【0107】請求項13に記載した構成によれば、シリ
コン及びシリコン酸化物の溶出をも抑える働きを発揮す
るため、ヘッドにガラスと共にシリコン及びシリコン酸
化物を用いたインクジェットプリンタであってもプリン
タの設計精度の低下によるインク滴の大きさや吐出速度
の変化による画像品質の低下、吐出不良の発生、結合部
の接合強度の低下による故障といった問題を防止し、ま
たインクへのシリコン溶出による目詰まりを防止するイ
ンクジェット記録方法を提供することができる。
【0108】請求項14に記載した構成によれば、上記
式Aの化合物はガラス、シリコン及びシリコン酸化物の
溶出を抑える働きを発揮するため、規定量以上含むこと
で、ガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶出を更に
抑えたインクジェット記録方法を提供することができ
る。
【0109】請求項15に記載した構成によれば、上記
式Aの化合物の構造をコリンに特定することにより優れ
たガラス、シリコン及びシリコン酸化物の溶出防止効果
を有したインクジェット記録方法を提供することができ
る。
【0110】請求項16に記載した構成によれば、上記
式Aの化合物の構造をトリエタノールアミンに特定する
ことにより優れたガラス、シリコン及びシリコン酸化物
の溶出防止効果を有したインクジェット記録方法を提供
することができる。
【0111】請求項17に記載した構成によれば、上記
式Aの化合物の構造をテトラメチルアンモニウムに特定
することにより優れたガラス、シリコン及びシリコン酸
化物の溶出防止効果を有したインクジェット記録方法を
提供することができる。
【0112】請求項18に記載した構成によれば、上記
式Aの化合物の構造をアンモニウムイオンに特定するこ
とにより優れたガラス、シリコン及びシリコン酸化物の
溶出防止効果を有したインクジェット記録方法を提供す
ることができる。
【0113】請求項19に記載した構成によれば、精密
さが要求される液室部材のガラス、シリコン溶出を抑制
できるので、液室容積が大きくなること無く所望の液室
容積を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐
出速度の変化による画像品質の低下、吐出不良の発生を
防止するインクジェット記録方法を提供することができ
る。
【0114】請求項20に記載した構成によれば、精密
さが要求される流体抵抗のガラス、シリコン溶出を抑制
できるので、流体抵抗が変化すること無く所望の流体抵
抗を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐出
速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を防
止するインクジェット記録方法を提供することができ
る。
【0115】請求項21に記載した構成によれば、精密
さが要求される振動板のガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、振動板の厚さが減少すること無く所望の振動
板の厚さを維持すること出来るため、インク滴の大きさ
や吐出速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発
生、振動板の破損を防止するインクジェット記録方法を
提供することができる。
【0116】請求項22に記載した構成によれば、精密
さが要求されるノズルのガラス、シリコン溶出を抑制で
きるので、ノズルの径が拡大すること無く所望のノズル
径を維持すること出来るため、インク滴の大きさや吐出
速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を防
止するインクジェット記録方法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 明彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小西 昭子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA59 BA62 4J039 BA17 BC33 BC35 GA24

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクと接する部材の少なくとも一部が
    ガラスで形成されているインクジェットプリンタに用い
    るインクであって、インク中のアルカリ金属の含有量の
    合計が700ppm以下であることを特徴とするインク
    ジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 インクと接する部材の少なくとも一部が
    更にシリコンまたはシリコン酸化物で形成されているイ
    ンクジェットプリンタに用いることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェット用記録インク。
  3. 【請求項3】 インク中に含まれるアニオン性化合物の
    当量に対し、30%以上の下記式Aで示される第4級ア
    ンモニウムイオン、アルカノールアミノイオンを含むこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェッ
    ト記録用インク。 【化1】 (式Aにおいて、R1〜R4は水素、炭素数1〜4のア
    ルキル基、ヒドロキシアルキル基またはハロゲン化アル
    キル基を表す。)
  4. 【請求項4】 式Aで示される第4級アンモニウムイオ
    ン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部が下記
    式Bで示されるコリンであることを特徴とする請求項3
    に記載のインクジェット記録用インク。 【化2】
  5. 【請求項5】 式Aで示される第4級アンモニウムイオ
    ン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部が下記
    式Cで示されるトリエタノールアミンであることを特徴
    とする請求項3または4に記載のインクジェット記録用
    インク。 【化3】
  6. 【請求項6】 式Aで示される第4級アンモニウムイオ
    ン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部が下記
    式Dで示されるテトラメチルアンモニウムであることを
    特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のインクジェ
    ット記録用インク。 【化4】
  7. 【請求項7】 式Aで示される第4級アンモニウムイオ
    ン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部が下記
    式Eで示されるアンモニウムイオンであることを特徴と
    する請求項3〜6のいずれかに記載のインクジェット記
    録用インク。 【化5】
  8. 【請求項8】 液室部材がガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタに用いることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェッ
    ト用記録インク。
  9. 【請求項9】 流体抵抗がガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタに用いることを特
    徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェッ
    ト記録用インク。
  10. 【請求項10】 振動板がガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタに用いることを特
    徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェッ
    ト記録用インク。
  11. 【請求項11】 ノズルがガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタに用いることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェ
    ット記録用インク。
  12. 【請求項12】 インクと接する部材の少なくとも一部
    がガラスで形成されるインクジェットプリンタと、イン
    ク中のアルカリ金属の含有量の合計が700ppm以下
    であるインクジェット記録用インクを用いて記録を行う
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】 インクと接する部材の少なくとも一部
    が更にシリコンまたはシリコン酸化物で形成されるイン
    クジェットプリンタに用いることを特徴とする請求項1
    2記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 インク中に含まれるアニオン性化合物
    の当量に対し、30%以上の前記式Aで示される第四級
    アンモニウムイオン、アルカノールアミノイオンを含む
    ことを特徴とする請求項12または13に記載のインク
    ジェット記録方法。
  15. 【請求項15】 前記式Aで示される第4級アンモニウ
    ムイオン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部
    が前記式Bで示されるコリンであることを特徴とする請
    求項14に記載のインクジェット記録方法。
  16. 【請求項16】 前記式Aで示される第4級アンモニウ
    ムイオン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部
    が前記式Cで示されるトリエタノールアミンであること
    を特徴とする請求項14または15に記載のインクジェ
    ット記録方法。
  17. 【請求項17】 前記式Aで示される第4級アンモニウ
    ムイオン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部
    が前記式Dで示されるテトラメチルアンモニウムである
    ことを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の
    インクジェット記録方法。
  18. 【請求項18】 前記式Aで示される第4級アンモニウ
    ムイオン、アルカノールアミノイオンの少なくとも一部
    が前記式Eで示されるアンモニウムイオンであることを
    特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載のインク
    ジェット記録方法。
  19. 【請求項19】 液室部材がガラスまたは単結晶シリコ
    ンで構成されるインクジェットプリンタを用いることを
    特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載のインク
    ジェット記録方法。
  20. 【請求項20】 流体抵抗がガラスまたは単結晶シリコ
    ンで構成されるインクジェットプリンタを用いることを
    特徴とする請求項12〜19のいずれかに記載のインク
    ジェット記録方法。
  21. 【請求項21】 振動板がガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタを用いることを特
    徴とする請求項12〜20のいずれかに記載のインクジ
    ェット記録方法。
  22. 【請求項22】 ノズルがガラスまたは単結晶シリコン
    で構成されるインクジェットプリンタを用いることを特
    徴とする請求項12〜21のいずれかに記載のインクジ
    ェット記録方法。
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