JP2002201195A - 7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体の製造方法

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JP2002201195A JP2001280398A JP2001280398A JP2002201195A JP 2002201195 A JP2002201195 A JP 2002201195A JP 2001280398 A JP2001280398 A JP 2001280398A JP 2001280398 A JP2001280398 A JP 2001280398A JP 2002201195 A JP2002201195 A JP 2002201195A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−2−カルボン酸誘導体を、温和な条件下に収
率よく、工業的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I)で示されるα,β−不飽和
カルボン酸と一般式(II)で示されるフラン誘導体
を、ルイス酸の存在下に反応させることを特徴とする一
般式(III)または一般式(IV)で示される7−オ
キサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸誘導体の製造方法(式中、各記号は明細書に記
載のとおりである。)。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、7−オキサビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘
導体の製造方法に関する。本発明の方法により得られる
7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−
2−カルボン酸誘導体のエンド(endo)体は、医
薬、農薬などの合成原料として有用である。例えば7−
オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−
カルボン酸のエンド体は、抗HIV薬であるシクロフェ
リトール(Cyclophellitol)の合成中間
体[テトラヘドロン レターズ(Tetrahedro
n Letters)、第37巻、3043頁(199
6年)参照]、抗生物質であるバリダマイシン(Val
idamycin)Aの合成中間体[カルボハイドレー
ト リサーチ(Carbohydrate Resea
rch)、第58巻、240頁(1977年)参照]、
また、抗インフルエンザウイルス薬GS4104の合成
中間体[ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソ
サエティー(J.Am.Chem.Soc.)、第11
9巻、681頁(1997年);ジャーナル オブ オ
ーガニックケミストリー(J.Org.Chem.)、
第63巻、4545頁(1998年);WO 01/4
7906号明細書参照]として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】近年、オキサノルボルネン骨格から誘導
される生理活性物質が数多く発見されている。これらの
化合物の合成中間体として有用な7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導
体の製造方法としては、アクリル酸とフランをヒドロ
キノンの存在下に反応させる方法[カルボハイドレート
リサーチ(Carbohydrate Researc
h)、第58巻、240頁(1977年)参照]、ア
クリル酸誘導体とフランをテトラキス(アセトニトリ
ル)銅(I)テトラフルオロボレートおよびヒドロキノ
ンの存在下に反応させる方法[ジャーナル オブ オー
ガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)、
第48巻、1105頁(1983年)参照]、アクリ
ル酸誘導体とフランを1〜2MPa(10〜20kba
r)の高圧条件下で反応させる方法[ブレチン オブ
ザ ケミカル ソサイエティー オブ ジャパン(Bu
ll.Chem.Soc.Japan)、第55巻、4
969頁(1982年)参照]、アクリル酸エステル
とフランを塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛または塩化チタンの存
在下で反応させ[ジャーナル オブ モレキュラー キ
ャタリシス A:ケミカル(J.Mol.Catal.
A:Chem.)、第123巻、43頁(1997年)
参照]、次いで得られた化合物のエステル部分を加水分
解する方法[ジャーナル オブ ヘテロサイクリック
ケミストリー(J.Heterocycl.Che
m.)、第9巻、561頁(1972年)参照]などが
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アクリル酸誘導体のよ
うなジエノフィルとフランとのディールス−アルダー反
応により7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン骨格を形成する反応は、環状付加生成物が熱的に
不安定であるため、加熱で反応を促進することができな
いと考えられていた。そこで、上記、の方法では、
重合防止剤としてヒドロキノンの存在下で長時間反応を
行い、上記の方法では高圧条件下で反応を行ってい
る。
【0004】しかしながら、上記の方法は、反応時間
が75日間と極めて長い上、収率が33%と低いという
問題点を有する。上記の方法も反応時間が9日間と長
く、48%と低収率であるという問題点を有する。上記
の方法は耐圧の反応装置が必須であり、そのための設
備負担が増大する。また、上記の方法はアクリル酸エ
ステルとフランとのディールス−アルダー反応工程およ
びエステル部分の加水分解工程が必要であり、工程数が
多いという問題点を有している。したがって、これらの
方法は、いずれも7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−5−エン−2−カルボン酸誘導体の工業的に有利
な製造方法とは言い難い。
【0005】しかして、本発明の目的は、7−オキサビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン
酸誘導体を、温和な条件下に収率よく、工業的に有利に
製造し得る方法を提供することにある。すなわち、本発
明は、アクリル酸誘導体とフラン誘導体から直接、7−
オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−
カルボン酸誘導体を製造する方法において、温和な条件
下で(すなわち、高温に加熱したり、加圧したりする必
要がなく)、より短い反応時間で収率よく、目的化合物
を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
【0007】
【化9】
【0008】(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独
立して水素原子、ハロゲン原子、ホルミル基、シアノ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、アシルオキシ基、有機スルフィニル基、有機スルホ
ニル基または置換基を有していてもよいアルキル基を表
す。また、R1およびR2はそれらが結合する炭素原子と
一緒になって環を形成していてもよい。)で示される
α,β−不飽和カルボン酸(以下、α,β−不飽和カル
ボン酸(I)と略称する)と、一般式(II)
【0009】
【化10】
【0010】(式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞ
れ独立して水素原子、アルコキシル基、アルキルチオ基
または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。ま
た、R 4およびR5ならびにR5およびR6は、それらが結
合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよ
い。)で示されるフラン誘導体(以下、フラン誘導体
(II)と略称する)を、ルイス酸の存在下に反応させ
ることを特徴とする一般式(III)
【0011】
【化11】
【0012】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
よびR7は前記定義のとおりである。)、または一般式
(IV)
【0013】
【化12】
【0014】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6
よびR7は前記定義のとおりである。)で示される7−
オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−
カルボン酸誘導体(以下、それぞれ7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導
体(III)、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エン−2−カルボン酸誘導体(IV)と略称す
る)の製造方法である。
【0015】また、本発明は、一般式(I−1)
【0016】
【化13】
【0017】(式中、R11、R21およびR31はそれぞれ
独立して水素原子、ハロゲン原子またはカルボキシル基
を表す。また、R11およびR21はそれらが結合する炭素
原子と一緒になって環を形成していてもよい。)で示さ
れるα,β−不飽和カルボン酸(以下、α,β−不飽和
カルボン酸(I−1)と略称する)と、一般式(II−
1)
【0018】
【化14】
【0019】(式中、R41、R51、R61およびR71はそ
れぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよ
いアルキル基を表す。また、R41およびR51ならびにR
51およびR61は、それらが結合する炭素原子と一緒にな
って環を形成していてもよい。)で示されるフラン誘導
体(以下、フラン誘導体(II−1)と略称する)を、
ルイス酸の存在下に反応させることを特徴とする一般式
(III−1)
【0020】
【化15】
【0021】(式中、R11、R21、R31、R41、R51
61およびR71は前記定義のとおりである。)、または
一般式(IV−1)
【0022】
【化16】
【0023】(式中、R11、R21、R31、R41、R51
61およびR71は前記定義のとおりである。)で示され
る7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−2−カルボン酸誘導体(以下、それぞれ7−オキサビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン
酸誘導体(III−1)、7−オキサビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体(I
V−1)と略称する)の製造方法である。
【0024】好ましい実施態様において、ルイス酸とし
てルイス酸性を有するホウ素化合物を用いる。また、好
ましい実施態様において、ルイス酸として、ボラン−テ
トラヒドロフラン錯塩、ボラン−ジメチルスルフィド錯
塩、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯塩、トリアセ
トキシボランおよびトリプロピオニルオキシボランから
なる群より選ばれるルイス酸を用いることができる。あ
るいは、別の実施態様において、ルイス酸として、無水
塩化アルミニウム、無水塩化第二鉄および塩化亜鉛から
なる群より選ばれるルイス酸を用いることもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】上記一般式中、R1、R2、R3
11、R21およびR31が表すハロゲン原子としては、例
えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など
が挙げられる。
【0026】R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R
41、R51、R61およびR71が表すアルキル基としては、
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘ
キシル基などの直鎖状または分岐状の好ましくは炭素数
1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が
挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していて
もよく、かかる置換基としては、例えばフッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など
の好ましくは炭素数1〜6のアルコキシル基;tert
−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジ
フェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基な
どが挙げられる。ここで、三置換シリルオキシ基とは、
アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)お
よびフェニル基から選ばれる3個の置換基で置換された
シリルオキシ基をいう。
【0027】R4、R5、R6およびR7が表すアルコキシ
ル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポ
キシ基、ブトキシ基などの直鎖状または分岐状の好まし
くは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のア
ルコキシル基が挙げられ、アルキルチオ基としては、例
えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブ
チルチオ基などの直鎖状または分岐状の好ましくは炭素
数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のアルキルチ
オ基が挙げられる。
【0028】R1、R2およびR3が表すアルコキシカル
ボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エト
キシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基な
どのアルコキシル部分の炭素数が好ましくは1〜10、
より好ましくは1〜6のアルコキシカルボニル基が挙げ
られ、アシル基としては、例えばアセチル基、プロパノ
イル基、ブタノイル基、ピバロイル基などの好ましくは
炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルカ
ノイル基;ベンゾイル基などのアロイル基が挙げられ、
アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロパ
ノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキ
シ基などの好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは
炭素数2〜6のアルカノイルオキシ基;ベンゾイルオキ
シ基などのアロイルオキシ基が挙げられる。
【0029】R1、R2およびR3が表す有機スルフィニ
ル基は、有機基が結合したスルフィニル基であり、置換
基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基
を有していてもよいアリールスルフィニル基などが含ま
れる。アルキルスルフィニル基のアルキル部分は好まし
くは炭素数1〜6のアルキル基である。アリールスルフ
ィニル基のアリール部分としては、例えばフェニル基が
挙げられる。アルキルスルフィニル基が有していてもよ
い置換基としては、例えばアルコキシル基(好ましくは
炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子、シア
ノ基、ニトロ基などが挙げられる。アリールスルフィニ
ル基が芳香族環上に有していてもよい置換基としては、
例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル
基)、アルコキシル基(好ましくは炭素数1〜6のアル
コキシル基)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基など
が挙げられる。R1、R2およびR3が表す有機スルフィ
ニル基としては、例えばメタンスルフィニル基、エタン
スルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基、p−トルエ
ンスルフィニル基などが挙げられる。
【0030】R1、R2およびR3が表す有機スルホニル
基は、有機基が結合したスルホニル基であり、置換基を
有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有し
ていてもよいアリールスルホニル基、ハロスルホニル
基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基
などが含まれる。アルキルスルホニル基のアルキル部分
は好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、アルコ
キシスルホニル基のアルコキシル部分は好ましくは炭素
数1〜6のアルコキシル基である。アリールスルホニル
基のアリール部分としては、例えばフェニル基が挙げら
れる。アルキルスルホニル基およびアルコキシスルホニ
ル基が有していてもよい置換基としては、例えばアルコ
キシル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシル
基)、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基などが挙げら
れる。アリールスルホニル基が芳香族環上に有していて
もよい置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは
炭素数1〜6のアルキル基)、アルコキシル基(好まし
くは炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子、
シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。ハロスルホニル
基が有するハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭
素原子などが挙げられる。R1、R2およびR3が表す有
機スルホニル基としては、例えばメタンスルホニル基、
エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トル
エンスルホニル基、クロロスルホニル基、ブロモスルホ
ニル基、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル
基、トリフルオロメトキシスルホニル基などが挙げられ
る。
【0031】R1およびR2、R4およびR5、R11および
21ならびにR41およびR51が、それらが結合する炭素
原子と一緒になって形成していてもよい環としては、4
〜7員環であるのが好ましく、一般式(I)、(I
I)、(I−1)または(II−1)における場合は、
例えばシクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキ
セン環、シクロヘプテン環などが挙げられ、一般式(I
II)、(IV)、(III−1)または(IV−1)
における場合は、例えばシクロブタン環、シクロペンタ
ン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環などが挙げ
られる。また、R5およびR6ならびにR51およびR
61が、それらが結合する炭素原子と一緒になって形成し
ていてもよい環としては、4〜7員環であるのが好まし
く、一般式(II)または(II−1)における場合
は、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロ
ヘキサン環、シクロヘプタン環などが挙げられ、一般式
(III)、(IV)、(III−1)または(IV−
1)における場合は、例えばシクロブテン環、シクロペ
ンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環などが
挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、
かかる置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数
1〜6のアルキル基)、アルコキシル基(好ましくは炭
素数1〜6のアルコキシル基)、アルコキシカルボニル
基(好ましくはアルコキシル部分の炭素数が1〜6のア
ルコキシカルボニル基)、アシル基(好ましくは炭素数
2〜6のアルカノイル基)、ハロゲン原子、シアノ基、
ニトロ基などが挙げられる。
【0032】α,β−不飽和カルボン酸(I−1)は
α,β−不飽和カルボン酸(I)に包含される化合物で
あり、フラン誘導体(II−1)はフラン誘導体(I
I)に包含される化合物である。7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導
体(III−1)は7−オキサビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体(III)に
包含される化合物であり、7−オキサビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体(I
V−1)は7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−2−カルボン酸誘導体(IV)に包含される
化合物である。
【0033】α,β−不飽和カルボン酸(I)とフラン
誘導体(II)との反応は、溶媒の存在下または不存在
下に行うことができる。溶媒としては、反応に悪影響を
与えない限り特に制限されるものではなく、例えばペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテルな
どの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエー
テル、ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、1,4−
ジオキサンなどのエーテル;ジクロロメタン、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン
化炭化水素;またはこれらの混合溶媒などが挙げられ
る。溶媒の使用量は特に制限されないが、通常α,β−
不飽和カルボン酸(I)に対して0.1〜100倍重量
の範囲であるのが好ましい。
【0034】ルイス酸としては、例えば無水塩化アルミ
ニウム、臭化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウ
ム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、無
水塩化第二鉄、無水臭化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、
ヨウ化亜鉛、塩化チタン、ヨウ化チタン、無水塩化第一
スズ、臭化第一スズ、無水塩化第二スズ、ボラン−テト
ラヒドロフラン錯塩(BH3・THF)、ボラン−ジメ
チルスルフィド錯塩(BH3・(CH32S)、三塩化
ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチルエー
テル錯塩(BF3・(C252O)、クロロボラン−ジ
エチルエーテル錯塩(BH2Cl・(C252O)、ク
ロロボラン−ジメチルスルフィド錯塩(BH2Cl・
(CH32S)、ジクロロボラン−ジメチルスルフィド
錯塩(BHCl2・(CH32S)、ブロモボラン−ジ
メチルスルフィド錯塩(BH2Br・(CH32S)、
ジブロモボラン−ジメチルスルフィド錯塩(BHBr2
・(CH32S);トリス(2,4,6−トリメチルベ
ンゾイルオキシ)ボラン、ビス(クロロアセトキシ)ボ
ラン、トリアセトキシボラン、トリ(フルオロアセトキ
シ)ボラン、トリプロピオニルオキシボラン、トリアク
リロイルオキシボラン、トリメタクリロイルオキシボラ
ンなどのアシルオキシボラン化合物;α−[2,6−ビ
ス(イソプロポキシ)ベンゾイル]オキシ−5−オキソ
−1,3,2−ジオキサボランなどのジオキソボラン化
合物;4−イソプロピル−3−パラトルエンスルホニル
−1,3,2−オキサザボリジン−5−オン、4−t−
ブチル−3−パラトルエンスルホニル−1,3,2−オ
キサザボリジン−5−オンなどのオキサザボリジン化合
物などが挙げられる。これらの中でも、無水塩化アルミ
ニウム、無水塩化第二鉄、塩化亜鉛、ボラン−テトラヒ
ドロフラン錯塩、ボラン−ジメチルスルフィド錯塩、三
塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチル
エーテル錯塩、クロロボラン−ジエチルエーテル錯塩、
クロロボラン−ジメチルスルフィド錯塩、ジクロロボラ
ン−ジメチルスルフィド錯塩、ブロモボラン−ジメチル
スルフィド錯塩、ジブロモボラン−ジメチルスルフィド
錯塩、上記したアシルオキシボラン化合物、上記したジ
オキソボラン化合物または上記したオキサザボリジン化
合物などのホウ素化合物を用いるのが好ましく、後処理
操作の容易性と目的化合物を高い選択性で得られる点か
ら、ホウ素化合物を用いるのが特に好ましい。本発明で
用いられるホウ素化合物は、ルイス酸性を有するもので
あり、ルイス酸性とは、非共有電子対を受容し得る性質
をいう。ルイス酸の使用量は、α,β−不飽和カルボン
酸(I)に対して0.001〜1当量の範囲であるのが
好ましく、0.005〜0.2当量の範囲であるのがよ
り好ましい。
【0035】フラン誘導体(II)の使用量は特に制限
されないが、α,β−不飽和カルボン酸(I)1モルに
対し、フラン誘導体(II)を0.1モル〜30モルの
範囲で使用するのが好ましく、1モル〜20モルの範囲
で使用するのがより好ましい。また、反応温度は、−8
0℃〜80℃の範囲であるのが好ましく、−20℃〜3
0℃の範囲であるのがより好ましい。特に、7−オキサ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
ン酸誘導体のエンド体を優先的に得る観点からは、反応
温度は−10℃〜5℃の範囲であるのが好ましい。
【0036】反応は、例えばα,β−不飽和カルボン酸
(I)、フラン誘導体(II)および必要に応じて溶媒
を混合し、この混合溶液にルイス酸を添加して行うか、
またはフラン誘導体(II)、ルイス酸および必要に応
じて溶媒を混合し、この混合溶液にα,β−不飽和カル
ボン酸(I)を添加して行うのが好ましい。
【0037】このようにして得られた7−オキサビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘
導体(III)または7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体(IV)
は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法に
より単離・精製することができる。例えば、反応混合物
に水を加え、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、ベン
ゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルムな
どの有機溶媒を加えて抽出し、無水硫酸ナトリウムなど
で乾燥後、濃縮し、得られる粗生成物を必要に応じて再
結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどにより精製する。
また、反応条件によっては、反応の進行に伴って反応系
中に生成物が析出するので、反応後の反応液をそのまま
濾別することもできるし、反応液を冷却することによっ
て生成物を析出させ、得られた結晶を濾別することによ
り単離することもできる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限さ
れるものではない。
【0039】実施例1 温度計およびメカニカルスターラを装備した内容積20
00mlの3口フラスコの内部を窒素置換し、ここに蒸
留したフラン816g(12mol)およびアクリル酸
288g(4.0mol)を入れ、内温2℃まで冷却し
た。この混合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩
(BH3・THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶
液43ml(0.04mol)を、内温を2℃以下に保
ちながら20分間で滴下し、滴下終了後、同温度で18
時間攪拌した。生成した結晶をグラスフィルターで濾別
し、5℃以下に冷却したヘキサン300mlで洗浄後、
減圧下で2時間乾燥し、無色の結晶として、下記の物性
を有するendo−7−オキサビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−2−カルボン酸352gを得た(純
度>99%、アクリル酸基準の収率63%)。
【0040】endo−7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸 融点:90.0〜91.0℃1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3,T
MS,ppm) δ:1.55(dd,1H,J=10
Hz,4Hz),2.13(m,1H),3.17
(m,1H),5.06(d,1H,J=4Hz),
5.23(d,1H,J=4Hz),6.28(dd,
1H,J=6Hz,4Hz),6.45(dd,1H,
J=6Hz,2Hz)
【0041】なお、生成した結晶を濾別した後の母液に
メタノール5mlを添加し、濃縮することにより、7−
オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−
カルボン酸199gを得た(endo体:exo体=4
5:55、純度90%、アクリル酸基準の収率32
%)。exo体の1H−NMRスペクトルは以下のとお
りであった。
【0042】exo−7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸 1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3,T
MS,ppm) δ:1.57(dd,1H,J=12
Hz,8Hz),2.15(m,1H),2.45(d
d,1H,J=8Hz,4Hz),5.10(d,1
H,J=4Hz),5.23(s,1H),6.35
(m,2H)
【0043】実施例2 温度計およびメカニカルスターラを装備した内容積50
0mlの3口フラスコの内部を窒素置換し、ここに蒸留
したフラン204g(3.0mol)およびアクリル酸
72g(1.0mol)を入れ、内温2℃まで冷却し
た。この混合溶液に、ボラン−ジメチルスルフィド錯塩
(BH3・Me2S)0.95ml(0.01mol)
を、内温を2℃以下に保ちながら2分間で滴下し、滴下
終了後、同温度で18時間攪拌した。生成した結晶をグ
ラスフィルターで濾別し、5℃以下に冷却したヘキサン
100mlで洗浄後、減圧下で2時間乾燥し、無色の結
晶として、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−2−カルボン酸81gを得た(endo体:
exo体=92:8、純度>99%、アクリル酸基準の
収率58%)。
【0044】実施例3 温度計およびメカニカルスターラを装備した内容積50
0mlの3口フラスコの内部を窒素置換し、ここに蒸留
したフラン136g(2.0mol)、アクリル酸72
g(1.0mol)および溶媒としてジイソプロピルエ
ーテル70mlを入れ、内温2℃まで冷却した。この混
合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩(BH3
THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶液11ml
(0.01mol)を、内温を2℃以下に保ちながら1
0分間で滴下し、滴下終了後、同温度で4時間攪拌し
た。生成した結晶をグラスフィルターで濾別し、5℃以
下に冷却したジイソプロピルエーテル100mlで洗浄
後、減圧下で2時間乾燥し、無色の結晶として、7−オ
キサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸81gを得た(endo体:exo体=95:
5、純度>99%、アクリル酸基準の収率58%)。
【0045】実施例4 温度計およびメカニカルスターラを装備した内容積10
0mlの3口フラスコの内部を窒素置換し、ここに蒸留
したフラン41g(600mmol)およびアクリル酸
7.2g(100mmol)を入れ、内温2℃まで冷却
した。この混合溶液に三フッ化ホウ素−ジエチルエーテ
ル錯塩(BF3・(C252O)0.1ml(1.0m
mol)を、内温を2℃以下に保ちながら1分間で滴下
し、滴下終了後、同温度で5時間攪拌した。反応液に水
10mlを加え、有機層と水層を分離した。水層をジク
ロロメタン10mlで2回抽出し、抽出液を先に分離し
た有機層と合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮
し、さらに減圧下で2時間乾燥することにより、無色の
結晶として、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−2−カルボン酸6.0gを得た(endo
体:exo体=69:31、純度96%(未反応のアク
リル酸を4%含有)、アクリル酸基準の収率41%)。
【0046】実施例5 実施例4と同様の反応装置に、蒸留したフラン20.4
g(300mmol)およびアクリル酸7.2g(10
0.0mmol)を入れ、内温2℃まで冷却した。この
混合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩(BH3
・THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶液1.1
ml(1.0mmol)を、内温を2℃以下に保ちなが
ら5分間で滴下し、滴下終了後、同温度で25時間攪拌
した。この反応液に水10mlおよびクロロホルム10
mlを加え、有機層と水層を分離した。水層をクロロホ
ルム10mlで2回抽出し、抽出液を先に分離した有機
層と合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、さ
らに減圧下で2時間乾燥することで、淡黄色の結晶とし
て、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン−2−カルボン酸12.6gを得た(endo体:e
xo体=77:23、純度97%(未反応のアクリル酸
を3%含有)、アクリル酸基準の収率87%)。
【0047】実施例6 実施例4と同様の反応装置に、3−メチルフラン15.
4g(187mmol)およびアクリル酸7.2g(1
00mmol)を入れ、内温2℃まで冷却した。この混
合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩(BH3
THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶液1.1m
l(1.0mmol)を、内温を2℃以下に保ちながら
5分間で滴下し、滴下終了後、同温度で24時間攪拌し
た。生成した結晶をグラスフィルターで濾別し、5℃以
下に冷却したヘキサン10mlで洗浄後、減圧下で2時
間乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有するen
do−6−メチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1.9gを得た(純
度>99%、アクリル酸基準の収率9.5%)。
【0048】endo−6−メチル−7−オキサビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸 融点:129.5〜130.0℃1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3,T
MS,ppm) δ:1.56(dd,1H,J=12
Hz,4Hz),1.86(d,3H,J=2Hz),
2.08(m,1H),3.18(m,1H),4.7
6(d,1H,J=5Hz),5.10(d,1H,J
=4Hz),5.82(d,1H,J=2Hz)
【0049】実施例7 温度計およびマグネチックスターラを装備した内容積2
5mlの3口フラスコの内部を窒素置換し、ここに蒸留
したフラン4.1g(60mmol)およびアクリル酸
3.6g(50.0mmol)を入れ、続いて塩化亜鉛
0.68g(5.0mmol)を添加した後、20℃で
21時間攪拌した。反応液に水10mlおよびクロロホ
ルム10mlを加え、有機層と水層を分離した。水層を
クロロホルム10mlで2回抽出し、抽出液と先に分離
した有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃
縮し、さらに減圧下で2時間乾燥することにより、淡黄
色の結晶として、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−5−エン−2−カルボン酸3.8gを得た(en
do体:exo体=64:36、純度95%(未反応の
アクリル酸を5%含有)、アクリル酸基準の収率51
%)。
【0050】実施例8 実施例4と同様の反応装置に、蒸留したフラン17.0
g(250mmol)およびマレイン酸5.8g(5
0.0mmol)を入れ、内温2℃まで冷却した。この
混合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩(BH3
・THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶液5.4
ml(5.0mmol)を、内温を2℃以下に保ちなが
ら20分間で滴下し、滴下終了後、同温度で5時間攪拌
した。析出した結晶をグラスフィルターで濾別し、5℃
以下に冷却したヘキサン30mlで洗浄後、減圧下で2
時間乾燥することにより、無色の結晶として、下記の物
性を有するendo,endo−7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸4.1gを得た(純度>99%、マレイン酸基準の収
率45%)。
【0051】endo,endo−7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン
酸 融点:148.0〜149.0℃1 H−NMRスペクトル(270MHz,DMSO−
6,TMS,ppm) δ:3.25(s,2H),
5.01(s,2H),6.24(s,2H)
【0052】実施例9 実施例7と同様の反応装置に、蒸留したフラン6.8g
(100mmol)および2−ブロモアクリル酸1.0
g(6.6mmol)を入れ、内温2℃まで冷却した。
この混合溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯塩(B
3・THF)の0.93Mテトラヒドロフラン溶液
0.7ml(0.7mmol)を、内温を2℃以下に保
ちながら5分間で滴下し、滴下終了後、同温度で10時
間攪拌した。反応液に水10mlおよびクロロホルム1
0mlを加え、有機層と水層を分離した。水層をクロロ
ホルム10mlで2回抽出し、抽出液を先に分離した有
機層と合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、
さらに減圧下で2時間乾燥することにより、淡黄色の油
状物質として、2−ブロモ−7−オキサビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸1.3gを
endo体およびexo体の混合物として得た(主成
分:少量成分=2:1、純度77%(未反応の2−ブロ
モアクリル酸を23%含有)、2−ブロモアクリル酸基
準の収率70%)。
【0053】主成分1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3,T
MS,ppm) δ:1.74(d,1H,J=13H
z),2.94(dd,1H,J=13Hz,5H
z),5.10(dd,1H,J=5Hz,2Hz),
5.47(s,1H),6.40(dd,1H,J=7
Hz,2Hz),6.59(d,1H,J=7Hz)
【0054】少量成分1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3,T
MS,ppm) δ:2.41(d,1H,J=13H
z),2.57(dd,1H,J=13Hz,5H
z),5.15(dd,1H,J=5Hz,2Hz),
5.21(s,1H),6.50(dd,1H,J=7
Hz,2Hz),6.59(d,1H,J=7Hz)
【0055】実施例10 実施例7と同様の反応装置に、蒸留したフラン9.4g
(138mmol)およびアクリル酸1.8g(25.
0mmol)を入れ、続いて無水塩化第二鉄0.41g
(2.5mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として
内温5℃で5時間攪拌した。この反応液に水10mlお
よびクロロホルム10mlを加え、有機層と水層を分離
した。水層をクロロホルム10mlで2回抽出し、抽出
液を先に分離した有機層と合わせて無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、濃縮し、さらに減圧下で2時間乾燥すること
により、淡黄色の結晶として、7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸3.
1gを得た(endo体:exo体=64:36、純度
94%(未反応のアクリル酸を6%含有)、アクリル酸
基準の収率83%)。
【0056】実施例11 実施例7と同様の反応装置に、蒸留したフラン9.4g
(138mmol)およびアクリル酸1.8g(25.
0mmol)を入れ、続いて無水塩化アルミニウム0.
33g(2.5mmol)を添加した後、窒素雰囲気下
として内温5℃で5時間攪拌した。この反応液に水10
mlおよびクロロホルム10mlを加え、有機層と水層
を分離した。水層をクロロホルム10mlで2回抽出
し、抽出液を先に分離した有機層と合わせて無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、濃縮し、さらに減圧下で2時間乾燥
することで、淡黄色の結晶として、7−オキサビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸3.
0gを得た(endo体:exo体=67:33、純度
93%(未反応のアクリル酸を7%含有)、アクリル酸
基準の収率80%)。
【0057】実施例12 実施例4と同様の反応装置に、蒸留したフラン141.
7g(2.08mol)およびトリアセトキシボラン
1.19g(6.63mmol)を入れ、−5℃に冷却
した。この混合液にアクリル酸30.4g(0.42m
ol)を添加した後、内温−5℃で22時間攪拌した。
生成した結晶をグラスフィルターで濾別し、5℃以下に
冷却したジイソプロピルエーテル60mlで洗浄後、減
圧下で2時間乾燥し、無色の結晶として、7−オキサビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン
酸11.4gを得た(endo体:exo体=98:
2、純度>99%、アクリル酸基準の収率43%)。
【0058】実施例13 実施例4と同様の反応装置に、蒸留したフラン141.
7g(2.08mol)およびトリプロピオニルオキシ
ボラン1.55g(6.75mmol)を入れ、−5℃
に冷却した。この混合液にアクリル酸30.1g(0.
42mol)を添加した後、内温−5℃で15時間攪拌
した。生成した結晶をグラスフィルターで濾別し、5℃
以下に冷却したジイソプロピルエーテル60mlで洗浄
後、減圧下で2時間乾燥し、無色の結晶として、7−オ
キサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸22.5gを得た(endo体:exo体=9
9:1、純度>99%、アクリル酸基準の収率39
%)。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、α,β−不飽和カルボ
ン酸(I)とフラン誘導体(II)から直接、7−オキ
サビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カル
ボン酸誘導体、特にエンド体を温和な条件下に収率よ
く、工業的に有利に製造することができる。本発明の方
法は、従来法に比べて、温和な条件下で(すなわち、高
温に加熱したり、加圧したりする必要がなく)、より短
い反応時間で収率よく、7−オキサビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘導体、特にエ
ンド体を有利に製造することができ、工業的な製造に適
している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇治田 克爾 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内 (72)発明者 清水 和哉 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内 (72)発明者 寺島 孜郎 東京都世田谷区経堂2−27−4 Fターム(参考) 4C071 AA03 AA07 BB01 CC11 EE05 FF15 HH28 LL07 4H039 CA42 CA65 CF10 CH40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して水素原
    子、ハロゲン原子、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ
    ル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキ
    シ基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基または置
    換基を有していてもよいアルキル基を表す。また、R1
    およびR2はそれらが結合する炭素原子と一緒になって
    環を形成していてもよい。)で示されるα,β−不飽和
    カルボン酸と一般式(II) 【化2】 (式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水
    素原子、アルコキシル基、アルキルチオ基または置換基
    を有していてもよいアルキル基を表す。また、R 4およ
    びR5ならびにR5およびR6は、それらが結合する炭素
    原子と一緒になって環を形成していてもよい。)で示さ
    れるフラン誘導体を、ルイス酸の存在下に反応させるこ
    とを特徴とする一般式(III) 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前
    記定義のとおりである。)、または一般式(IV) 【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前
    記定義のとおりである。)で示される7−オキサビシク
    ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸誘
    導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I−1) 【化5】 (式中、R11、R21およびR31はそれぞれ独立して水素
    原子、ハロゲン原子またはカルボキシル基を表す。ま
    た、R11およびR21はそれらが結合する炭素原子と一緒
    になって環を形成していてもよい。)で示されるα,β
    −不飽和カルボン酸と、一般式(II−1) 【化6】 (式中、R41、R51、R61およびR71はそれぞれ独立し
    て水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基
    を表す。また、R41およびR51ならびにR51およびR61
    は、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成
    していてもよい。)で示されるフラン誘導体を、ルイス
    酸の存在下に反応させることを特徴とする一般式(II
    I−1) 【化7】 (式中、R11、R21、R31、R41、R51、R61およびR
    71は前記定義のとおりである。)、または一般式(IV
    −1) 【化8】 (式中、R11、R21、R31、R41、R51、R61およびR
    71は前記定義のとおりである。)で示される7−オキサ
    ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボ
    ン酸誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ルイス酸としてルイス酸性を有するホウ
    素化合物を用いる請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ルイス酸が、ボラン−テトラヒドロフラ
    ン錯塩、ボラン−ジメチルスルフィド錯塩、三フッ化ホ
    ウ素−ジエチルエーテル錯塩、トリアセトキシボランお
    よびトリプロピオニルオキシボランからなる群より選ば
    れる請求項1または2記載の製造方法。
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