JP2002201126A - 点眼剤 - Google Patents
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Abstract
快な刺激が改善されたクロモグリク酸ナトリウム点眼剤
を提供することを課題とする。 【解決手段】 クロモグリク酸ナトリウム及び抗ヒスタ
ミン剤にメントールを配合することにより、クロモグリ
ク酸ナトリウムにより誘起される点眼時の刺激性の不快
な眼痛を軽減し、抗ヒスタミン剤の有する速効的な鎮痒
効果をさらに強化させて眼の痒みを点眼直後から強力に
抑制する、新規な点眼剤を提供した。
Description
トリウム、抗ヒスタミン剤及びメントールを含有する、
点眼時に不快な刺激感がなく、かつ点眼直後に速効かつ
強力な鎮痒効果を持つ点眼剤に関する。
は、次のようなステップで起こることが知られている。
すなわち、まず生体にとって、異物である抗原が生体内
に侵入する。この抗原に暴露されると、生体はその抗原
に対してIgE抗体を産生する。産生されたIgEは肥満細胞
の表面に付着し、IgE結合肥満細胞となる。IgE結合肥満
細胞ができた生体内に、再び抗原が侵入すると、IgE結
合肥満細胞表面で抗原抗体反応が起こり、その結果IgE
結合肥満細胞の脱顆粒により、ヒスタミン、ロイコトリ
エンといった種々の化学伝達物質が遊離する。そして、
この化学伝達物質の作用によって、アレルギー反応が生
じる。
にこれまでいくつかの薬剤が開発されてきた。例えば、
クロモグリク酸ナトリウムは肥満細胞の脱顆粒を抑制
し、ヒスタミン等の化学伝達物質の遊離を抑制する抗ア
レルギー剤である。優れた予防的抗アレルギー剤とし
て、吸入剤、点鼻剤、点眼剤及び内服剤として臨床的に
用いられており、特に眼科領域において、我が国ではア
レルギー性結膜炎、春期カタルといった疾患に点眼剤と
して用いられている。しかし、クロモグリク酸ナトリウ
ムはその作用機序が肥満細胞の脱顆粒抑制であるため、
既に遊離してしまった化学伝達物質をブロックする効果
がなく、速効性の面で劣り、症状の発症の4週間ほど前
から投与を開始する必要があった。さらにクロモグリク
酸ナトリウム点眼剤には点眼時に眼痛(刺激性の痛み)
が生じるという欠点があり(AllergyImmunological and
Clinical Aspects, A Wiley Medical Publication及び
特開昭61−246117号公報)、眼刺激性の面から
も満足のいくものではなかった。
有する抗アレルギー点眼剤に、速効的効果を加味するた
めに遊離されたヒスタミンをブロックする抗ヒスタミン
剤との配合点眼剤も開発されている。例えば国内では、
クロモグリク酸ナトリウム1.0%と抗ヒスタミン剤で
あるマレイン酸クロルフェニラミン0.015%の配合
点眼剤が臨床試験されたことがある(医学と薬学34(3)5
07、1995)。また海外では、クロモグリク酸ナトリウム
と抗ヒスタミン剤であるマレイン酸クロルフェニラミン
の配合剤が用いられている(MARTINDALE The Extra Pha
rmacopoeia 30th Edition,The Pharmaceutical Press,1
993 )。これらのクロモグリク酸ナトリウムと抗ヒスタ
ミン剤の配合点眼剤においては、抗ヒスタミン剤を配合
することにより、アレルギー症状の発症後に点眼しても
速効性の鎮痒効果が得られる。しかしながら、鎮痒効果
が弱いために患者が激しい目の痒みのために眼を掻き崩
し眼粘膜の炎症が生じることを防ぐことができなかっ
た。さらに、眼刺激性の軽減についてはなんら検討され
ていないために、患者は使用時の痛みに耐える必要があ
った。
は、抗アレルギー点眼剤の点眼時の眼痛を改善するため
に、重炭酸ソーダ及び硼酸を含む溶媒にクロモグリク酸
ナトリウムを溶解し、pHを中性に調整することが好ま
しいことを開示している。しかし、特開昭61−246
117号公報開示の方法では、予防的かつ速効性にすぐ
れた抗アレルギー効果を有するクロモグリク酸ナトリウ
ム点眼剤を得ることはできなかった。また、本発明者ら
が実際に処方し点眼して追試をしたところ、クロモグリ
ク酸ナトリウム点眼剤の眼刺激性は十分に軽減されては
いなかった。
眼剤においてしばしば清涼化剤として配合されている。
例えば、文献(Research Disclosure 31997)にはクロ
モグリク酸ナトリウム溶液に芳香剤を加えることにより
患者のコンプライアンスがあがることが開示されてい
る。また、欧州特許出願公開第670161号明細書に
は0.1〜10%のクロモグリク酸ナトリウム、0.0
05〜0.2%の双環性芳香剤(カンフル、ユーカリ
油、またはそれらの混合物)、および水性基剤よりなる
医薬組成物が開示されている。
スタミン剤及びメントールの3要素を含有した点眼剤は
これまでに開発されていない。
痒効果を示し、眼痛や不快な刺激が改善されたクロモグ
リク酸ナトリウム点眼剤を提供することを課題とする。
ロモグリク酸ナトリウム点眼剤が、点眼時において眼痛
を生じさせることが問題となっていることから、点眼時
の眼痛を軽減することができる成分を見いだすべく、鋭
意研究を行った。この結果、本発明者らは、これまで清
涼化剤として点眼剤にしばしば用いられてきたメントー
ルが、クロモグリク酸ナトリウム点眼時に生ずる刺激性
の不快な眼痛を軽減することができることを見いだし
た。
酸ナトリウムおよび抗ヒスタミン剤からなる点眼剤が速
効性は得られるものの、鎮痒効果が弱いために、痒みが
すぐにはおさまらず、激しい眼の痒みのために患者が眼
を掻き崩して眼粘膜を悪化させる問題点にも着目した。
そして、点眼直後から強力な鎮痒効果をもたらす点眼剤
配合成分について鋭意研究を行った。この結果、本発明
者らは、本発明の点眼剤に配合したメントールが、眼痛
の軽減のみならず、抗ヒスタミン剤の有する速効的な鎮
痒効果をさらに強化することで、激しい眼の痒みを点眼
直後に強力に抑制することができることを見いだした。
らもたらされる患者の爽快感及び点眼時の眼痛を軽減で
きる効果とあいまって、患者の点眼を習慣づける効果を
もたらすことを見いだし、本発明を完成した。
酸ナトリウム、抗ヒスタミン剤、及びメントールを含有
することを特徴とする点眼剤、(2)抗ヒスタミン剤が
マレイン酸クロルフェニラミンもしくは塩酸ジフェンヒ
ドラミンである(1)に記載の点眼剤、に関する。
は、文献(第13改正日本薬局方、D1050〜1058)に記
載されており、市販のものを使用することも可能であ
る。本発明のメントールはl体、dl体のいずれでも良
く、さらにペパーミント油などのメントールを含有する
精油なども本発明のメントールに含まれる。
は、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフ
ェンヒドラミン、フマル酸クレマスチン、メキタジンな
どがあげられるが、安全性および効果の面でより優れた
マレイン酸クロルフェニラミン及び塩酸ジフェンヒドラ
ミンが好ましく、安定性の面で優れるマレイン酸クロル
フェニラミンが最も好ましい。
ウムは、市販のものを利用することができる。点眼剤中
のクロモグリク酸ナトリウムの含量は、通常、0.5〜
5%(w/v)である。また、配合される抗ヒスタミン剤
の含量は、その種類によっても異なるが、通常、0.0
05〜0.1%であり、好ましくは0.01〜0.05
%である。また、配合されるメントールの含量は、通
常、0.001〜0.1%であり、好ましくは0.00
2〜0.05%である。
れる範囲であれば特に制限はなく、常法によって、通
常、4.0〜7.0程度に調製するが、4.5〜6.0
に調製するのがより好ましい。本発明の点眼剤の滲透圧
は、常法により、通常、0.5〜5圧比に調製される
が、0.8〜2圧比に調製するのがより好ましい。
される限りにおいては、さらに緩衝剤、等張化剤、溶解
補助剤、保存剤、増粘剤、キレート剤、pH調整剤のよ
うな各種添加剤を添加してもよい。
ロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンザル
コニウム、塩化セチルピリジニウム、フェネチルアルコ
ール、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンゼトニ
ウム等が挙げられる。また緩衝剤としては、例えば、ホ
ウ酸緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、酢酸塩緩
衝剤などが挙げられる。増粘剤としては、例えば、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロ
ース、コンドロイチン硫酸およびそれらの塩が挙げられ
る。溶解補助剤としては、例えば、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリソルベー
ト80、ポリオキシエチレンモノステアレート等が挙げ
られる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリ
ウム、クエン酸などが挙げられる。安定化剤としては、
例えば、エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等
が挙げられる。さらにpH調整剤としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ク
エン酸、リン酸、酢酸、塩酸などが挙げられる。
状、年齢等により変動するが、通常、1日1〜6回で、
1回につき1〜2滴が点眼される。
本発明はこれに限定されるものではない。 [実施例1] 点眼剤 100ml中 クロモグリク酸ナトリウム 1000mg マレイン酸クロルフェニラミン 15mg 1−メントール 6mg 塩化ベンザルコニウム 2mg ホウ砂 10mg ホウ酸 1800mg 滅菌精製水 適 量 全 量 100ml 滅菌精製水を加えて、全量を100mlとし、常法によ
り点眼剤を得る。
り点眼剤を得る。
果 実施例1の点眼剤と、実施例1からl−メントールを欠
く点眼剤を調製した。アレルギーの既往症がある成人男
女10名を被験者とし、目のアレルギー症状(痒み)が
出たときに、左眼にl−メントールを欠く点眼剤、右眼
にl−メントールを含む点眼剤を各々1〜2滴点眼し、
点眼前(0秒後)及び、点眼後特定の時間に痒みの程度
を自己判定し、点眼前の痒みスコアからの変化を経時的
に測定した。図1に「各時間における痒みスコアから点
眼前の痒みスコアから引いた値」の被験者10名の平均
値を示す。痒みの判定基準を表1に示す。また同時に点
眼時の眼刺激性に関しても両製剤を比較した。
製剤は、対照と比較して点眼直後に強力に目の痒みを抑
えることが確認された(図1)。また、目に対する刺激
感については、10人中8人が、対照を点眼した後に不
快な眼痛があったとしたが、本発明の製剤は痛みを感じ
ることなかったと判定した。
クロルフェニラミン15mgの代わりに塩酸ジフェンヒ
ドラミン20mgを用いて同様の実験を行ったところ、
マレイン酸クロルフェニラミンを用いた場合と同様の結
果が得られた。
ム、抗ヒスタミン剤及びメントールを含有する点眼剤が
提供された。本発明の点眼剤を用いれば、増強された鎮
痒効果によって激しい眼の痒みを点眼直後に強力に抑制
して、この結果、患者が掻き崩してしまうことによる眼
粘膜の悪化を防止することが可能である。また、同時に
クロモグリク酸ナトリウム点眼剤の不快な刺激である眼
痛を軽減させることが可能である。さらには、メントー
ルのもつ清涼感は患者の使用感を改善し、眼アレルギー
の症状である種々の不快症状を速やかに患者から取り去
ることができるため、点眼時の眼痛が軽減されることと
あいまって、患者の点眼を習慣づけることも可能であ
る。
の抑制効果を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 クロモグリク酸ナトリウム、抗ヒスタミ
ン剤、及びメントールを含有することを特徴とする点眼
剤。 - 【請求項2】 抗ヒスタミン剤がマレイン酸クロルフェ
ニラミン又は塩酸ジフェンヒドラミンである請求項1に
記載の点眼剤。 - 【請求項3】 クロモグリク酸ナトリウムの含量が0.
5〜5%である請求項1〜2のいずれかの項に記載の点
眼剤。 - 【請求項4】 クロモグリク酸ナトリウム、抗ヒスタミ
ン剤、及びメントールを含有し、クロモグリク酸ナトリ
ウムの含量が1%であることを特徴とする点眼剤。 - 【請求項5】 クロモグリク酸ナトリウム及び抗ヒスタ
ミン剤を含有する点眼剤にメントールを含有させ、点眼
剤の鎮痒効果を強化する方法。 - 【請求項6】 クロモグリク酸ナトリウムを含有する点
眼剤にメントールを含有させ、点眼剤の眼痛作用を軽減
する方法。 - 【請求項7】 鎮痒効果が強化されたことを特徴とする
請求項1に記載の点眼剤。 - 【請求項8】 眼痛作用が軽減されたことを特徴とする
請求項1に記載の点眼剤。
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Cited By (3)
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WO2007046544A1 (ja) * | 2005-10-21 | 2007-04-26 | Medrx Co., Ltd. | カルボキシル基を有する肥満細胞脱顆粒抑制剤と有機アミンとの塩を含有する外用剤 |
WO2011040433A1 (ja) | 2009-09-30 | 2011-04-07 | ロート製薬株式会社 | 点眼剤 |
-
2001
- 2001-12-20 JP JP2001388117A patent/JP4695315B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007046544A1 (ja) * | 2005-10-21 | 2007-04-26 | Medrx Co., Ltd. | カルボキシル基を有する肥満細胞脱顆粒抑制剤と有機アミンとの塩を含有する外用剤 |
WO2011040433A1 (ja) | 2009-09-30 | 2011-04-07 | ロート製薬株式会社 | 点眼剤 |
US9278062B2 (en) | 2009-09-30 | 2016-03-08 | Rohto Pharmaceutical Co., Ltd. | Eye drops |
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