JP2002200383A - ミシンの停止制御装置 - Google Patents

ミシンの停止制御装置

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JP2002200383A
JP2002200383A JP2000398470A JP2000398470A JP2002200383A JP 2002200383 A JP2002200383 A JP 2002200383A JP 2000398470 A JP2000398470 A JP 2000398470A JP 2000398470 A JP2000398470 A JP 2000398470A JP 2002200383 A JP2002200383 A JP 2002200383A
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sewing machine
time
drive motor
speed
motor
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Tsukasa Tauchi
司 田内
Yoshikatsu Hattori
好克 服部
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Juki Corp
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Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミシンを高速駆動から急激に停止させる際で
も、短時間で駆動モータ軸やミシン上軸を正確に所定の
位置で停止できるミシンの停止制御装置を提供すること
である。 【解決手段】 ミシンの停止指令に応答してミシンを停
止させるミシン停止制御装置10において、ミシン駆動
モータ3の速度を検出する速度検出手段94と、前記速
度検出手段により検出された速度に対応して前記ミシン
駆動モータの駆動を制御する制御手段92と、前記駆動
モータを正転させる第1の時間cと、駆動モータを逆転
させる第2の時間bと、駆動モータを再度正転させる第
3の時間aとを計時する計時手段92とを備える。第1
の時間cは第3の時間より長く設定されている。そし
て、停止指令により駆動モータの回転速度が所定の回転
速度以下になったときに前記計時手段を作動させて前記
第1の時間駆動モータを正転させ、次いで前記第2及び
第3の時間毎に駆動モータを正逆転させて駆動モータを
停止させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンの停止制御
装置に係り、詳細には、ミシンの停止指令に応答してミ
シンを停止させる工業用ミシンの停止制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用ミシンは、ミシン上軸にベ
ルト及びプーリを介してミシン駆動モータから駆動力を
伝達することにより駆動するように構成されている。そ
して、ミシンを停止ないし、停針させる(針が被縫製物
の上や下となるようにミシンを止める)とき、例えば、
針下位置でミシンを停止ないし停針させる場合、ミシン
の備える制御手段によりペダル解放時を検出し、針下停
止モードにおいて針が針下に位置しているという針下信
号を検知して停止指令を制御手段に出力することでミシ
ンを停止させている。具体的には、ミシンペダル解放後
の減速期間において、速度検出信号と針下信号を監視
し、針下信号が検出された時のミシン速度が所定の停止
制御開始速度(例えば300rpm)以下である場合
に、モータを停止させるため最大の制動力で逆転制動を
行い、制動を止めてもミシンがすぐに停止するであろう
所定の低速(例えば10rpm)以下になった時点でモ
ータへの通電をうち切って制動を中止し、最後はモータ
及びミシンの慣性により、ミシンを下位置に停止させて
いる。このときの所定の停止制御開始速度は、針下信号
が検出されてから最大の制動力でモータを制動した場合
に、ミシンが針下位置として定められた所定の範囲で確
実に停止できる停止可能速度(例えば330rpm)よ
り若干の余裕を見て設定されている。そして、この停止
制御開始速度は、予め、対象となるミシンや使用される
モータの慣性力及びモータに印加できる制動力に基づい
て、計算あるいは実験によって決定され、制御装置に設
けられた記憶手段に設定されている。
【0003】このようなミシンでは、図7に示すように
ミシン駆動モータ軸30とミシン上軸20とはプーリ2
1・31及びベルト40にて連結されているので、ミシ
ン駆動モータが一旦停止しても、ミシン本体の慣性によ
りベルト40に弛みと張りを残したまま停止した状態と
なる。このとき、図8に示すように、ミシン上軸20側
(ミシン本体側)の静止負荷がミシン駆動モータ軸30
側の静止負荷より小さい場合、ベルト40の弛みと張り
によって発生したベルト張力F1に負けてミシン上軸が
逆転してしまう。この逆転が大きい場合にはミシン上軸
角度で5〜10°になることもある。
【0004】このミシン上軸20の逆転が、針下位置で
停針時に発生すると図9に示すように針22に形成され
た上糸ループ23から、該上糸ループ23に引っ掛かか
ることで下糸を絡ませて縫い目を形成する釜の剣先25
が外れる場合がある。このときの上糸ループ23形状は
ループ穴が狭くなりやすく、再正転時に下糸釜の剣先2
5がループ23内に入れない場合が生じやすくなり、上
糸ループ23に下糸が絡まず縫い目が形成されない。い
わゆる「目飛び」という縫いトラブルが発生する可能性
がある。
【0005】この問題を解決するものとして、例えば、
特開平4−231094号に開示のものが挙げられる。
すなわち、この公報に開示されている方法では、図10
のタイミングチャートに示すように、オペレータがミシ
ンを停止させるためにペダルを解放し、制御手段がペダ
ルを解放した(このペダル解放は図10のタイミングチ
ャートで示すタイミングより前に行われている)と判断
すると、駆動モータを減速させる。そして制御手段がA
点にて針下位置検知信号を検知し、その時のミシン速度
が上記した停止制御開始速度V2以下と判断すると停止
のための停止指令を出力して逆転制動を行う。この逆転
制動によりモータの回転速度は急減速し、モータの速度
が所定の低速(図10では点Bで示す)以下になったと
きミシン駆動モータへの通電をうち切る。通電(モータ
駆動電流量の入力)をうち切られたモータは、その後、
ミシン上軸に連動する部位による負荷(以下、ミシン頭
部の負荷という)により更に減速しC点で停止する。そ
の後、「ベルトの弛みと張り」の状態が発生することに
なるが、上記構成では、正転時間と逆転時間で設定され
た正逆比にて駆動モータに再通電することで、あたかも
モータ軸の負荷がミシン頭部の負荷よりも十分小さい如
くに、「ベルトの弛みと張り」により発生する張力をモ
ータプーリ側で吸収してミシン頭部の負荷がモータ軸の
負荷より小さい場合にミシン上軸に働く逆転方向の力を
抑制できるものとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では生
産性の向上のため、モータの出力向上やミシンの各種機
構の軽量化による負荷トルク軽減により、ミシンの加速
時間や減速時間は飛躍的に短縮化されている。また、停
止時においても、ミシンの負荷トルクの軽減を生かして
生産性を向上する制御が行われている。この制御は、ミ
シンの負荷トルクが軽減すると慣性力が低下し、停止可
能速度が従来より高くなることを利用して、停止制御開
始速度(図11に示すV1)を従来のそれ(図10に示
すV2)に比べて高く設定することにより行われる。こ
のようにモータの出力向上やミシンの負荷トルク軽減が
図られたミシンに、上述した「ベルトの弛みと張り」を
解消するための制御を適用した場合のタイミングチャー
トを図11に示す。なお、この図において針棒下位置信
号が検出される時点(A’点)までのモータ速度MVは
高速から停止するまでの時間の短縮化が図られているた
め、右下がりとなっている。
【0007】このように特開平4−231094号の構
成を用いてミシンの加速時間や高速駆動から停止するま
での時間の飛躍的な短縮化を図った場合では、A’点に
てモータを逆転制動させ、所定速度(B’点)以下でモ
ータへの通電を打ち切りモータがC’点で停止するが、
単位時間(dt)当たりの減速量(V1/dt)が大き
いため、減速による慣性力が大きくなる。よって、負荷
トルクの軽減が図られていないミシン(図10に示すタ
イミングチャートを有するミシン)よりもベルトによる
逆転力が増大し、停止後のミシン上軸逆転が発生しやす
くなる。
【0008】この問題を解決するためには正転時間aと
逆転時間bの比率を正転時間aが逆転時間bより長くな
るように可変させ、ミシン停止後に与える正転方向の力
を強くすることが考えられる。しかし、実際にはミシン
頭部の負荷トルク(F2)は、ミシン種類(一本針本縫
いタイプや二本針本縫いタイプなど)の違いや同種類ミ
シンでもその個体差及び経時変化があり一定でなく、ペ
ダル解放のタイミングのバラツキによってV1が一定で
ない場合があり、正転時間aを大きくするのみでは、ミ
シン停止後、ミシン上軸が正転して本来の停止位置をオ
ーバーしてしまうという問題があった。また、駆動モー
タからミシン上軸に駆動力を伝達するベルトは一般的に
ゴム材料を用いているのでベルトの弛みと張りによって
発生する張力F1は、ミシン停止(駆動モータ停止)直
後が最も大きく(図11にB1で示す)、その後ベルト
の振動とともに次第に減少していく特性があるため前記
問題はさらに解決しにくくなっている。よって負荷トル
クの軽減が図られたミシンにおいてミシン(ミシン上
軸)を逆転させずに所定の停止位置で停止させることが
困難であった。
【0009】本発明の課題は、ミシンを高速駆動から停
止させる際でも、短時間でミシン上軸を逆転させずに所
定の位置で停止できるミシンの停止制御装置を提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、例えば図2〜図6に示すよ
うに、ミシンの停止指令に応答してミシンを停止させる
ミシン停止制御装置10において、ミシン駆動モータ3
の速度を検出する速度検出手段(モータ速度検出手段9
4)と、前記速度検出手段により検出された速度に対応
して前記ミシン駆動モータの駆動を制御する制御手段
(CPU92)と、前記駆動モータを正転させる第1の
時間(例えば、正転時間c)と、駆動モータを逆転させ
る第2の時間(例えば、逆転時間b)と、駆動モータを
再度正転させる第3の時間(正転時間a)とを計時する
計時手段(CPU92等)とを備え、 前記制御手段
は、停止指令により駆動モータの回転速度が所定の回転
速度(例えば10rpm)以下になったときに前記計時
手段を作動させて前記第1の時間駆動モータを正転さ
せ、次いで前記第2及び第3の時間毎に駆動モータを正
逆転させて駆動モータを停止させることを特徴とする。
【0011】請求項1記載の発明によれば、制御手段
が、ミシン停止指令により駆動モータの回転速度が所定
の回転速度以下になったときに前記計時手段を作動さ
せ、前記第1の時間駆動モータを正転させて、駆動モー
タ停止時に、ミシン上軸に働く大きな逆転力に釣り合う
正転力を駆動モータに与え、次いで前記第2及び第3の
時間毎に駆動モータを正逆転させて、その後にミシン上
軸に働く小さな張力に釣り合う回転力(保持力)を駆動
モータに与えることができるので、駆動モータ停止時の
逆転現象を防ぎ、所定の箇所でミシンの針を停止でき
る。これによりミシンが高速から急激に減速される場合
でも、目飛びの発生を防止することができる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、第1の時間は、第2の時間または第3の時間よ
り長いことを特徴とする。
【0013】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、第
1の時間は、第2の時間または第3の時間より長いの
で、第1の時間の駆動モータの正転により、該駆動モー
タの停止直後に発生する大きな逆転力がミシン上軸に加
わるのを効果的に吸収し、その後第2及び第3の時間毎
に駆動モータを正逆転させることでその後ベルトに発生
する微動を吸収することができ、ミシン針(正確にはミ
シン上軸)を短期時間で所定の位置に正確に停止させる
ことができる。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの停止制御装置において、例えば図2〜図
6に示すように、前記第1の時間、第2の時間及び第3
の時間における駆動モータへ供給される電流の電流指令
値をそれぞれ個別に設定する電流指令値設定手段(例え
ば電流指令値設定手段96)を備え、前記電流指令値設
定手段により設定された値に基づき前記制御手段は前記
計時手段を作動させることを特徴とする。
【0015】ここで駆動モータは例えば、PWM(Puls
e Width Modulator)制御され、駆動モータへの電流指
令値はPWM値として設定される。PWM値を大きくす
ればモータへ流れる電流も大となり発生するモータトル
クも大きくなる。
【0016】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは2記載の発明と同様の効果を得ることができるとと
もに、前記第1の時間、第2の時間及び第3の時間にお
ける駆動モータへ供給される電流の電流指令値は前記電
流指令値設定手段により設定されるので、前記第1の時
間、第2の時間及び第3の時間におけるモータトルクを
電流指令値設定手段により可変させることができる。し
たがって、ミシンの負荷のバラツキや経時変化によって
ミシン上軸に加わる逆転力が変化しても、状況に合わせ
て設定を変更でき目飛びが生じない最適値を設定でき
る。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項3記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、前記電流指令値をミシン種類別に記憶する電流
指令値記憶手段(不揮発性メモリ97等)と、ミシン種
類を選択するミシン種類選択手段(ミシン頭部種類選択
手段98)とを備え、前記電流指令値設定手段は、前記
電流指令値記憶手段とミシン種類選択手段とによりミシ
ン種類に応じて前記電流指令値を設定することを特徴と
する。
【0018】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、前
記電流指令値設定手段が設定する前記電流指令値は、前
記電流指令値記憶手段とミシン種類選択手段とによりミ
シン種類に応じて設定されるので、前記電流指令値をミ
シンの停止制御装置が搭載されるミシン種類に応じてオ
ペレータが随時詳細に設定する必要がなく、好適な位置
で停針位置でミシンを停止させることができる。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項3記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、前記電流指令値設定手段は前記停止指令が出力
された時の駆動モータの速度に応じて前記電流指令値を
設定することを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明によれば、請求項3記
載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、前
記駆動モータの速度カーブに対応して自動的に電流指令
値、つまり駆動モータのトルク量が設定され、安定した
停止動作を行える。
【0021】請求項6記載の発明は、請求項1記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、第1の時間、第2の時間及び第3の時間をそれ
ぞれ個別に設定する時間設定手段(例えば時間設定手段
95、CPU92等)を備えることを特徴とする。
【0022】請求項6記載の発明によれば、請求項1記
載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、時
間設定手段により第1の時間、第2の時間及び第3の時
間をそれぞれ個別に設定できるので、駆動モータ停止時
にミシンの負荷のバラツキや経時変化によってミシンの
上軸に加わる逆転力が変化しても最適な時間を設定して
所定の正確な位置にミシンを停止させ、再駆動させた際
に目飛びが生じることなくミシンを停止させることがで
きる。
【0023】請求項7記載の発明は、請求項6記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、ミシン種類を選択するミシン種類選択手段(ミ
シン頭部種類設定手段98、CPU92等)と、ミシン
種類別に予め設定された第1の時間、第2の時間及び第
3の時間を記憶する設定時間記憶手段(不揮発性メモリ
97)とを備え、前記時間設定手段は、前記ミシン種類
選択手段及び設定時間記憶手段によりミシン種類に応じ
て前記第1の時間、第2の時間及び第3の時間を設定す
ることを特徴とする。
【0024】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の発明と同様の効果を得ることができるとともに、前
記ミシン種類選択手段及び設定時間記憶手段によりミシ
ン種類に応じて前記第1の時間、第2の時間及び第3の
時間を設定できるので、これらの各時間をミシンの停止
制御装置が搭載されるミシン種類に応じてオペレータが
随時詳細に設定する必要がなく、ミシン種類に対応して
逆転制動力を解消できる好適な時間が自動で設定され、
ミシンを逆転させずに所定の位置で停止させることがで
きる。
【0025】請求項8記載の発明は、請求項6記載のミ
シンの停止制御装置において、例えば図2〜図6に示す
ように、時間設定手段は、前記停止指令が出力された時
の駆動モータの速度に応じて、前記第1の時間、第2の
時間及び第3の時間を設定することを特徴とする。
【0026】請求項8記載の発明によれば、請求項6記
載の発明と同様の効果を得ることができるととともに、
前記停止指令が出力された時の駆動モータの速度に応じ
て前記第1の時間、第2の時間及び第3の時間を設定で
きるので、ミシン上軸を停止させる際にミシン上軸に加
わる逆転力を吸収するのに最適な時間を設定してミシン
上軸を正確な位置に停止させることができ、再駆動させ
た際に目飛びが生じることのないようにミシンを停止さ
せることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態を詳細に説明する。まず、本発明の一例としての
ミシンの停止制御装置を適用した工業用ミシンの概要に
ついて説明する。
【0028】図1に示す工業用ミシン1は、ミシン本体
2、駆動モータ3、駆動モータ3からの動力をミシン本
体に伝達するベルト4、電源スイッチ5、操作パネル
6、針位置検出器(針位置検出手段)7、ペダル8、制
御ボックス9等を備える。このミシン1では、ミシン本
体2に電磁ソレノイドやエアシリンダ等のアクチュエー
タを装備し、糸切りや返し縫いさらにワイパー等の縫製
動作を自動化している。なお、これらアクチュエータは
制御ボックス9に接続され制御可能となっている。
【0029】駆動モータ3は、ベルト4を介してミシン
本体2(詳細にはミシン上軸)を回転させるものであ
り、ミシン上軸の回転によってミシン縫製部28で周知
のように縫製が行われる。この駆動モータ3の停止や回
転によって、ミシン本体2の針棒停止位置やミシンの回
転速度が制御される。なお、駆動モータ3としてメンテ
ナンスフリー、高寿命、快適な作業環境のためインバー
タモータやACサーボモータなどを使用している。ま
た、駆動モータ3はこの実施の形態ではPWM制御され
ている。
【0030】ベルト4は、駆動モータ3の回転駆動力を
ミシン本体2に伝達し、該ミシン本体を駆動させる。一
般的には、ミシン本体2の備えるミシン上軸と駆動モー
タ3のモータ軸に、それぞれプーリを取り付け、これら
プーリに巻回されることで両者を連結している。ベルト
4の構成材料としては可撓性を有する部材、例えばゴム
製などのものが挙げられる。電源スイッチ5は制御ボッ
クス9に接続され該制御ボックスに対し商用電源の接続
及び切断を行う。
【0031】操作パネル6は、縫製者(オペレータ)が
各種縫製パターンの設定などを行う入力部である。この
操作パネル6により設定された情報は制御ボックス9
(詳細には制御ボックス内のCPU92等)を介してミ
シン本体2に伝達される。針位置検出器(シンクロナイ
ザー)7はミシン主軸の回転に応じて針上位置と針下位
置とを検知する。
【0032】ペダル8はオペレータがミシンをコントロ
ールするためのものであり、オペレータが踏み込みある
いは踏み込みを解放することにより駆動モータ3の駆動
を制御できる。つまり、ペダル8は図示しないペダルセ
ンサにて、その動きが検出されるとともに電気信号に変
換されて制御ボックス9(図2に示す制御ボックス9内
のCPU92)に出力される。そして制御ボックス9に
てペダル8の踏み込み量に合った制御が行われることで
駆動モータ3やミシン本体2に装備されたアクチュエー
タを駆動させてオペレータの指示する縫製動作が行われ
る。
【0033】制御ボックス9は、電源スイッチ5をオン
することで供給される商用電源から駆動モータ3に電力
供給を行う回路やミシン本体2に装備されるアクチュエ
ータを駆動させる回路等やこれらを制御するマイクロコ
ンピュータ等によりなるミシンの停止制御装置10を備
える。
【0034】図2に示すように、ミシンの停止制御装置
10は、ペダル8、針位置検出手段(針位置検出器)
7、ミシン上軸角度検出手段91、CPU(central pr
ocessing unit)92、モータ制御手段93、モータ速
度検出手段94,時間設定手段95、電流指令値設定手
段96、電気的に書き込み及び消去が可能なE2ーRO
Mからなり電流指令値記憶手段及び設定時間記憶手段を
構成する不揮発性メモリ97、ミシン頭部種類設定手段
98等を備える。
【0035】ミシン上軸角度検出手段91は、エンコー
ダなどにより構成され、ミシン本体2のミシン上軸(図
示省略)の回転に対して複数のパルス出力を行って、上
軸角度を検出して、CPU92に出力するものである。
これによりミシン上軸の速度も検出できる。なお、本実
施の形態のようにベルト4にて駆動モータ3とミシン本
体2とが一定のプーリ比で連結されている場合は、モー
タ速度検出手段94から出力される速度検出信号を用い
て演算してミシン上軸角度を求め、これに代用すること
ができる。
【0036】CPU(中央演算装置)92は、ROM及
びRAM内蔵のワンチップマイコンを使用している。こ
のCPU92には、ペダル8、各検出手段7、91、9
4及び各設定手段95〜98が接続され、これらから出
力された信号に基づいて駆動モータ3への制御信号であ
る回転/停止指令・PWM(電流指令値)・回転方向指
令等をモータ制御手段93に送ることで駆動モータ3を
制御可能となっている。
【0037】また、CPU92は、ミシン制動を行うと
ともにミシン停止処理(停止制御処理)にて行われる保
持モード処理を行う。なお、保持モード処理とは、ミシ
ンが停止する際に発生するミシン上軸に加えられる逆転
力を駆動モータプーリ側で吸収させるために、回転方向
を変えながら該駆動モータを駆動する処理である。そし
て、このCPU92は保持モード処理中に回転方向を変
えて駆動モータ3を駆動させる第1〜第3の時間の各時
間(図3に示す正転時間c,逆転時間b及び正転時間
a)を設定可能な計時手段(タイマ等)を備え、時間設
定手段95によりそれぞれ設定された値に基づいてモー
タ制御手段93を介して駆動モータ3を駆動制御する。
設定された各時間は不揮発性メモリ97に記憶され、随
時読み込み可能となっている。
【0038】ここで、第1の時間(正転時間c)は停止
指令により駆動モータの回転速度が所定の回転速度以下
になったときに駆動モータ3を正転回転させる時間であ
り、第2の時間(逆転時間b)は駆動モータ3を正転駆
動する第1の時間に次いで、駆動モータ3を駆動させる
時間であり、駆動モータ3を逆転駆動させる。また、第
3の時間(正転時間a)は第2の時間についで駆動モー
タ3を所定時間正転駆動させる時間である。CPU92
は保持モード処理(図3に示す保持時間d)中、第1の
時間の後で、第2及び第3の時間ごとの駆動モータ3の
正逆転をミシンが停止するまで繰り返す。
【0039】また、正転時間cは正転時間aより長くな
るように設定され、CPU92が正転信号を時間cの期
間にモータ制御手段93に出力することで、駆動モータ
3が停止する際に発生する「ベルトの弛みと張り」によ
りミシン上軸に加わる大きな逆転力(図7及び図8に示
すF1)を駆動モータプーリ側で吸収し、F1の力が減
衰した後、ベルト4の振動により発生するミシン上軸に
加えられる回転力を逆転時間bと正転時間aとを繰り返
すことで吸収し、完全にミシン上軸の逆転現象が解消さ
れる。
【0040】モータ制御手段93は、CPU92からの
モータ制御指令(回転/停止指令・速度指令・回転方向
指令)等に基づいて最適な励磁タイミングで駆動モータ
3への電力供給(通電)を行う。この電力供給はPWM
制御により制御されており、図中PWMはこの制御を行
う信号である。モータ速度検出手段94は、駆動モータ
3の回転速度を検出してCPU92にフィードバックす
るものであり、ここでは駆動モータ3に内蔵され且つ、
駆動モータ軸に取り付けられたエンコーダを備える。こ
のモータ速度検出手段94は、CPU92にフィードバ
ックされ、駆動モータ3のサーボ制御に用いられてい
る。
【0041】電流指令値設定手段96はミシン停止指令
が出された後、ミシンの回転速度が所定の回転速度以下
になった際に、第1の時間c、第2の時間b、第3の時
間aのそれぞれの時間において駆動モータ3に供給され
る電流指令値を設定するものである。ここでいう電流指
令値はPWM値としてCPU92からモータ制御手段9
3に出力され、出力されるそれぞれの時間において駆動
モータ3から出力されるトルクを決定している。
【0042】時間設定手段95及び電流指令値設定手段
96は、操作パネル6に設けられた設定値表示部(複数
のセブンセグメント:ナナセグ)及びスイッチ部とを備
え、スイッチ部を介して数値を決定し、その数値は表示
部に表示される。このスイッチ部によりモードの変更や
所定の値を入力すると設定値表示部に表示され、入力さ
れた値が信号としてCPU92に出力される。そして、
この信号に基づいてCPU92はモータ制御手段を介し
て駆動モータ3を制御する。
【0043】時間設定手段95及び電流指令値設定手段
96の設定値は、ミシン1を使用するオペレータがその
ときのミシンの縫製状態、詳細にはミシン停止後、再駆
動させた際に目飛びが生じているか等を確認して設定で
きる。よって、オペレータによる設定に従ってミシン上
軸の逆転を効果的に阻止できる。なお、設定された値は
不揮発性のメモリ97に記憶される。また、これら第1
〜第3の時間(a〜c)の設定値及びそれぞれの各時間
(a〜c)に駆動モータ3に供給される電流の指令値
は、モータ停止制御開始時の駆動モータ3の回転速度
(図3に示すV1)に基づいて自動的に可変するように
構成されている。例えば、図6に示すように、第1〜第
3の時間a,b,c及びPWM値(電流指令値)は、メ
モリにデータテーブル化されて記憶される。これによ
り、ミシン(モータ)の停止制御開始時のモータ速度を
検出した際に、データテーブルに基づいて保持モード時
のモータ回転時間が決定される。なお、図6においてP
WM値は、時間a〜cにおいて同一の値としているがそ
れぞれの時間毎に異なる値としてもよい。
【0044】ミシン頭部種類選択手段98は、一本針本
縫いミシンや二本針本縫いミシン等のミシン頭部の種類
を設定する。このミシン頭部種類選択手段98は、予め
ミシン頭部種類別に不揮発性メモリ97に記憶されてい
るミシン種類によって異なる糸切りタイミングや返し縫
いのタイミングなどの様々なパラメータを頭部の種類毎
に最適化するためのものである。
【0045】このミシン頭部種類選択手段98により選
択された頭部種類は不揮発性メモリ97に記憶される。
よって搭載されたミシン頭部に適用する設定値をミシン
頭部種類選択手段98で選択するだけで、容易に頭部種
類に応じた最適な制動制御処理を行うことができる。例
えば、本実施の形態では、一本針本縫いミシンに対応し
て図6に示すテーブルを記憶させておき、2本針本縫い
ミシン等のように駆動部分(駆動モータ、ミシン上軸、
ベルトなど)にかかる負荷が比較的重いミシンに対応し
て図6に示すテーブルよりPWM値や各時間を大きく設
定した別のテーブル(図示せず)を記憶させておき、ミ
シンの頭部種類を選択することで、これらのテーブルが
自動的に選択され、ミシン頭部種類(頭部機種)に応じ
た設定がなされる構成としている。この設定は後述する
ステップS77〜S80にてCPU92によりモータ制
御手段93に出力される。
【0046】このように構成されたミシンの停止制御装
置10では、図3のタイミングチャートに示すように、
ミシン回転(例えば4000rpm)中において、オペ
レータがペダル8を解放してミシンを所定の位置(例え
ば、針下位置)に停止させるとき、ペダル解放後から適
切なタイミングで駆動モータ3を減速させ、停止制御開
始速度V1以下で針棒下位置信号が針位置検出器7にて
出力される(D点)と駆動モータ3を停止するための停
止指令がモータ制御手段93に出力され駆動モータ3の
停止制御処理を開始する。つまり、CPU92にペダル
8からの解放信号が入力されている状態で、モータ速度
が停止制御開始速度V1(例えば300rpm)以下で
あり、所定の停止位置に針棒が位置したことが入力され
ると、駆動モータ3の回転方向が逆転方向となるように
回転指令をモータ制御手段93に出力し、モータ制御手
段93を介して駆動モータ3の停止のための逆転制動を
行う。
【0047】ミシン駆動を停止させるための逆転制動中
(図3のA〜C点)では、駆動モータ3への回転指令を
逆方向にして、モータ速度検出手段94により駆動モー
タの速度を検出しながら制動する。これにより駆動モー
タ3の回転速度は急減速し、駆動モータ3が所定の回転
速度(例えば10rpm)以下になったとき(図3のB
点)駆動モータ3への通電をうち切る。そして、逆転制
動終了と同時にCPU92は、時間設定手段95及び電
流指令値設定手段96、あるいはミシン頭部種類選択手
段98によって設定されている設定値と図3のA点の速
度に基づいて、第1の時間である正転時間c(例えば7
0msec)の間、駆動モータ3を正転させるべくモー
タ制御手段93に指令を出して駆動モータ3の正転を開
始する(図3のC点)。このときの正転によって、駆動
モータ3は前記「ベルトの弛みと張り」によって発生す
る大きな張力の大部分をモータプーリ側で吸収し、ミシ
ン上軸にこの大きな張力が伝達されるのを防ぐことがで
きる。次いで、CPU92は第1の時間cと同様の手段
で設定されている第2の時間である逆転時間bの間(例
えば、10msec)、駆動モータ3を逆転させる。こ
の逆転によって、第1の時間cの間の正転が停止したこ
とにより発生した「ベルトの弛みと張り」による張力を
吸収することができる。このときの張力はC点における
張力とは反対方向の張力であり、ミシン上軸を正転させ
ようとする方向に働いているので、駆動モータ3を逆転
方向に回転することによってミシン上軸の正転を防ぐこ
とができる。
【0048】さらに第3の時間である正転時間aの間
(例えば20msec)駆動モータ3を正転させる。こ
の回転によって第2の時間bの間の逆転が停止したこと
により発生した「ベルトの弛みと張り」による張力を吸
収し、以後、時間bの逆転と時間aの正転を所定の時間
まで繰り返すことで、「ベルトの弛みと張り」による張
力が徐々に減衰されミシンが停止する。なお、この正転
時間c〜逆転時間bと正転時間aを繰り返す間(保持時
間dが経過するまで)のモータトルクは、上述したよう
にモータ制御手段93に出力するモータ駆動電流量制御
PWM値(パルス幅)によって決定される。このモータ
トルクを適当に設定することによってミシンの停止制御
装置が接続されたミシンの負荷特性に合わせて最適とな
るPWM値にて駆動モータ3を駆動することができ、ミ
シンの負荷のバラツキが大きい場合においても、上述し
た第1〜第3の時間(a〜c)の駆動モータ3の正逆転
時にモータの回転速度を必要以上に上昇させることなく
ミシンに合わせた駆動ができ、ミシン上軸の逆転を防止
しつつ速やかにミシンを停止させることができる。
【0049】次にミシンの停止制御装置10が行う処理
を図4及び図5のフローチャートに基づいて説明する。
なお、以下ではミシンを停止させる位置を針下位置とし
て説明する。図4に示すように、モータ制御処理では、
モータ制御手段93に駆動モータ3等を原点位置に復帰
させる等のイニシャル処理(ステップS1)を行わせた
後、モータ制御手段93をペダル踏み込みによるモータ
回転指令が入力可能な状態にする(ステップS2)。そ
して、ステップS2にてペダルONか否かを判別し、ペ
ダル8が踏まれ回転指令がONであればステップS3に
移行して、モータ回転コントロールを行う。
【0050】ステップS3のモータ回転コントロールで
は、モータ制御手段93に出力した回転指令(回転速度
指示値:モータ駆動電流量制御PWM値を含む)に基づ
いて駆動モータ3が回転する。駆動モータ3が回転する
とベルト4を介してミシン本体2のミシン上軸が駆動す
る。つまりミシン本体2が駆動する。このときの駆動モ
ータ3の回転は、モータ速度検出手段94からCPU9
2にフィードバックされた速度信号に基づいてモータ制
御手段93を介して制御される。また、ミシンの駆動、
つまりミシン主軸の回転に応じて針上位置と針下位置
は、針位置検出器7によりそれぞれ一回転毎に検知さ
れ、CPU92に出力されている。そして、ステップS
4に移行して再度ペダルONか否かが判断され、ペダル
がONであれば、ステップS3に戻ってモータ回転コン
トロールが続行される。
【0051】一方、ステップS4においてペダル8がO
FF、つまりペダルが踏み込まれず解放(中立)状態で
あるのを判別すると、ステップS5に移行して駆動モー
タ3の停止のための逆転制動を行うか否かを判別する。
この状態時に、ミシンの針位置検出器7を介して所定の
針停止位置(この実施の形態では針下位置という)の検
出始め位置にミシン上軸が位置しているのを検知し、且
つ、駆動モータ3の回転数が所定の停止制御開始速度
(例えば300rpm)以下であることを判別する(停
止条件成立、ステップS5でYES)と、ステップS7
1に移行して、CPU92によりモータ制御手段93を
介してミシンを停止す(停針させる)べくモータ停止コ
ントロールが開始される。なお、このモータ停止コント
ロール(ステップS71〜ステップS86)において
は、図示されていないがペダル8の踏み込みが常時監視
され、ペダル8の踏み込みが検知されると再び駆動モー
タ3の駆動が始まりステップS3に戻ってそれ以降のス
テップを順次繰り返す。また、ステップS5において所
定の針停止位置の検出始め位置にミシン上軸が位置して
いないか、または駆動モータ3の回転数が所定の停止制
御開始速度(例えば300rpm)以下でない場合は、
ステップS6に移行して減速のための逆転制動が行われ
駆動モータ3はさらに減速される。この減速中にオペレ
ータがペダル8を踏み込むとステップS3に移行して、
以下ステップS5で停止条件が成立するまで各ステップ
処理を繰り返す。
【0052】モータ停止コントロール処理に入ると図5
に示すようにCPU92はモータ速度検出手段94によ
りモータの回転速度を検知する(ステップS71)。次
いで、検知したモータの回転速度が所定の回転速度(低
速度)、例えば50rpm以下であるか否かの判別を行
う(ステップS72)。
【0053】モータの回転速度が所定の回転速度(例え
ば、50rpm)以上(図3のA〜B間)であればステ
ップS74に移行して駆動モータ3の逆転制動を行う。
つまり、このステップS74ではモータ制御手段93に
逆転指令を出力して駆動モータをさらに減速させる。こ
のとき、CPU92ではモータ速度検知値を偏差としゲ
インを乗じてモータ駆動電流量制御PWM値を演算し、
徐々に制動力が小さくなるような値を求めてモータ制御
手段93に出力している。そしてステップS75に移行
して再度駆動モータ3の速度を検知し、さらにステップ
S72に移行して駆動モータ3の速度が判断される。一
方、ステップS72でモータの回転速度が所定の回転速
度(例えば、50rpm)以下であった場合、ステップ
S73に移行する。ステップS73では、駆動モータが
所定の低速(例えば、10rpm)以下(極低速度)で
あるか否かを判別する。ここで極低速とは、駆動モータ
が停止する寸前の速度、つまり駆動モータの回転が限り
なく0に近い速度のことである。
【0054】ステップS73において回転速度が10r
pmより大きい場合(例えば、10rpm〜49rpm
であり、図3のB〜C間)であれば、ステップS76に
移行する。ステップS76ではモータ駆動電流量制御P
WM出力を停止させて、駆動モータ3の回転速度をミシ
ン頭部の負荷により減速させてステップS75に移行す
る。そして、ステップS75からステップS72に移行
して、モータの回転速度が10rpm以下になるまでこ
れを繰り返す。この間、モータ駆動電流量制御PWM出
力が停止されているので駆動モータの回転が徐徐に減少
し、モータの回転速度が所定の回転速度(例えば、10
rpm)以下(極低速度)になるまで行われる。
【0055】ステップS73においてモータの回転速度
が極低速、つまり所定の速度(例えば、10rpm)以
下(図3にしめすC領域)であるのを判別するとステッ
プS77に移行する。ステップS76では、ミシン停止
後に発生するミシン上軸への逆転力を吸収するための保
持モードがセットされているか否かを判別する。保持モ
ードは図3に示す保持時間d間に行われる処理モードで
あり、この処理によりミシンを所定の正確な停針位置で
停止させるとともにミシン上軸の逆転を防止する。ステ
ップS77にて、保持モードがセットされていない場合
はステップS78〜ステップS82で保持モードの初期
設定が行われる。つまり、保持モードがセットされてい
ない場合、ステップS77からステップS78に移行す
る。
【0056】ステップS78では、保持モードで駆動モ
ータに出力されるPWM値を設定する。このPWM値
は、例えば、時間設定手段95及び電流指令値設定手段
96あるいはミシン頭部種類選択手段98等により認識
された設定値に加えてステップS71で検知されたモー
タ停止コントロール移行時の駆動モータ3の回転速度に
基づいて決定される。ステップS78でPWM値が設定
された後、ステップS79に移行してステップS79〜
ステップS81でそれぞれCPU92により正転時間
a、逆転時間b、正転時間cを決定する。
【0057】これら正転時間a、逆転時間b、正転時間
cを設定した後、ステップS82にて保持モードをセッ
トし、ステップS77に移行する。そして、ステップS
77ではステップS82からステップS77に移行した
場合は保持モードがセットされているので、ステップS
83に移行する。
【0058】ステップS83では設定されたPWM値に
て、時間cの間駆動モータ3を正転させ、次いで、ステ
ップS84では時間bの間駆動モータ3を逆転させ、次
いでステップS85で時間aの間駆動モータ3を正転さ
せ、その後、時間b間の駆動モータの逆転、時間a間の
駆動モータの正転をステップS86で保持時間d(例え
ば300msec)が経過したと判断されるまで繰り返
す。
【0059】ステップS86では保持時間dが終了して
いるか否かを判別し、終了していれば処理を終了し、終
了していなければステップS84に移行して保持時間d
が終了するまでステップS84〜S86の処理を繰り返
す。このように保持時間dの間、保持モード処理を行う
ことにより、まず時間cの間駆動モータを正転させるこ
とで、駆動モータ3の停止(C点)直後の大きなベルト
4の反発力により発生するミシン上軸の逆転現象(逆転
力)を吸収し、より効果的にミシンを正確な位置で停針
させることができる。これにより駆動モータ3を再駆動
させた際に生じる「目飛び」という縫いトラブルを防止
することができる。さらに停針時にミシン本体2の駆動
により縫製を行う針先が布地から抜けることを防止した
り、自動糸切りできないトラブルを解消することができ
る。上記実施の形態では針下位置で停針した場合に、ミ
シン下糸の釜剣先が上糸ループから外れることがない。
【0060】本実施の形態では、電流指令値設定手段9
6により設定される電流指令値、あるいは時間設定手段
95により設定される第1〜第3のそれぞれの時間(a
〜c)は、それぞれ個別に設定するか、あるいはミシン
頭部種類選択手段98によりミシン頭部機種を選択する
ことにより設定されるように構成しているが、例えば、
図12に示すように逆転を防止する効果レベルに応じた
設定値が記憶されたデータテーブルを設け、この効果レ
ベルを選択することにより、簡単な操作で効果を確認し
ながらミシンに適した設定ができるように構成してもよ
い。なお、以上の実施の形態においては、駆動モータか
らミシン本体2に駆動を伝達する手段として、ベルトを
用いたがこれに限らず、駆動モータとミシン本体の主軸
とをカップリングにより接続した構成のミシンにも適用
することができる。
【0061】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、駆動モー
タ停止時の逆転現象を防ぎ、所定の箇所で正確に駆動モ
ータを停止でき、ミシンが高速から急激に減速される場
合にも駆動モータまたはミシン上軸を正確に所定の位置
で短時間で停止させることができ、目飛びといった縫い
不良の発生を防止することができる。請求項2記載の発
明によれば、第1の時間は、第2の時間または第3の時
間より長いので、第1の時間の駆動モータの正転によ
り、該駆動モータの停止直後に発生するミシン上軸に対
する大きな逆転力を効果的に吸収し、その後第2及び第
3の時間毎に駆動モータを正逆転させることで該駆動モ
ータが停止する際の微動を吸収することができミシン針
を短期時間で所定の位置に正確に停止させることができ
る。
【0062】請求項3記載の発明によれば、前記第1の
時間、第2の時間及び第3の時間における駆動モータへ
供給される電流の電流指令値は前記電流指令値設定手段
により設定されるので、前記第1の時間、第2の時間及
び第3の時間におけるモータトルクを電流指令値設定手
段により可変させることができる。したがって、駆動モ
ータ停止時に発生するミシン上軸に対する逆転力がミシ
ンの負荷のバラツキや経時変化によって変化しても、設
定を変更でき目飛びが生じない最適値を設定できる。請
求項4記載の発明によれば、前記電流指令値設定手段が
設定する前記電流指令値は、前記電流指令値記憶手段と
ミシン種類選択手段とによりミシン種類に応じて設定さ
れるので、前記電流指令値をミシンの停止制御装置が搭
載されるミシン種類に応じてオペレータが随時詳細に設
定する必要がなく、好適な位置で停針位置でミシンを停
止させることができる。
【0063】請求項5記載の発明によれば、前記駆動モ
ータの速度カーブに対応して自動的に電流指令値、つま
り駆動モータのトルク量が設定され、安定した停止動作
を行える。請求項6記載の発明によれば、時間設定手段
により第1の時間、第2の時間及び第3の時間をそれぞ
れ個別に設定するので、駆動モータ停止時に該駆動モー
タにミシンの負荷のバラツキや経時変化によって変わる
ミシン上軸に対する逆転力に応じて最適な時間を設定し
て所定の正確な位置にミシンを停止させ、再駆動させた
際に目飛びが生じることなミシンを停止させることがで
きる。
【0064】請求項7記載の発明によれば、前記ミシン
種類選択手段及び設定時間記憶手段によりミシン種類に
応じて前記第1の時間、第2の時間及び第3の時間を設
定するので、前記設定時間記憶手段により記憶された設
定時間を読み出すことで、ミシン種類に対応してミシン
上軸に対する逆転力を解消できる好適な時間が自動で設
定され、ミシン種類に応じて好適にミシンを所定の正確
な位置で停止させることができる。請求項8記載の発明
によれば、前記停止指令が出力された時の駆動モータの
速度に応じて前記第1の時間、第2の時間及び第3の時
間を設定できるので、駆動モータを停止させる際に発生
するミシン上軸に対する逆転力に応じて最適な時間を設
定して駆動モータを正確な位置に停止させることがで
き、再駆動させた際に目飛びを生じさせることなくミシ
ンを停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施の形態のミシンの停止
制御装置を備えたミシンの概略構成を示す図である。
【図2】本発明を適用した一実施の形態のミシンの停止
制御装置の制御ブロック図である。
【図3】同ミシンの停止制御装置による動作のタイミン
グチャートである。
【図4】同ミシンの停止制御装置の処理を示すフローチ
ャートである。
【図5】図4のフローチャートに続くモータ停止コント
ロール内の処理を示すフローチャートである。
【図6】保持モードにおいてミシン駆動モータが駆動さ
れる各時間の設定値をミシン停止指令時が出力されたと
きの駆動モータの回転速度に対応させた一例を示すデー
タテーブルである。
【図7】モータ軸とミシン主軸に作用する力を説明する
図である。
【図8】モータ軸とミシン主軸に作用する力を説明する
図である。
【図9】下糸と上糸の結合状態を説明する図である。
【図10】従来のミシンの停止制御装置の動作を示すタ
イミングチャートである。
【図11】従来のミシンの停止制御装置の動作を示すタ
イミングチャートである。
【図12】逆転を防止する効果レベルに応じた設定値が
記憶されたデータテーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】 1 工業用ミシン 2 ミシン本体 3 駆動モータ 4 ベルト 7 針位置検出器(針位置検出手段) 8 ペダル 9 制御ボックス 10 停止制御装置 92 CPU(制御手段) 93 モータ制御手段 94 モータ速度検出手段(速度検出手段) 95 時間設定手段 96 電流指令値設定手段 97 不揮発性メモリ(電流指令値記憶手段:設定
時間記憶手段) 98 ミシン頭部種類選択手段 a 正転時間(第3の時間) b 逆転時間(第2の時間) c 正転時間(第1の時間)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B150 CB27 CE15 CE17 CE27 GD14 GD22 GF02 LA02 LA31 LA84 LA85 LA88 LB01 MA08 MA17 NA71 NA72 NB02 NC02 QA04 QA06 QA07 5H530 AA01 BB02 CC01 CC06 CD36 CE13 CE24 CF01 CF02 DD03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシンの停止指令に応答してミシンを停
    止させるミシン停止制御装置において、 ミシン駆動モータの速度を検出する速度検出手段と、 前記速度検出手段により検出された速度に対応して前記
    ミシン駆動モータの駆動を制御する制御手段と、 前記駆動モータを正転させる第1の時間と、駆動モータ
    を逆転させる第2の時間と、駆動モータを再度正転させ
    る第3の時間とを計時する計時手段とを備え、 前記制御手段は、停止指令により駆動モータの回転速度
    が所定の回転速度以下になったときに前記計時手段を作
    動させて前記第1の時間駆動モータを正転させ、次いで
    前記第2及び第3の時間毎に駆動モータを正逆転させて
    駆動モータを停止させることを特徴とするミシンの停止
    制御装置。
  2. 【請求項2】 第1の時間は、第2の時間または第3の
    時間より長いことを特徴とする請求項1記載のミシンの
    停止制御装置。
  3. 【請求項3】 第1の時間、第2の時間及び第3の時間
    における駆動モータへ供給される電流の電流指令値をそ
    れぞれ個別に設定する電流指令値設定手段を備え、 前記電流指令値設定手段により設定された値に基づき前
    記制御手段は前記計時手段を作動させることを特徴とす
    る請求項1または2記載のミシンの停止制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電流指令値をミシン種類別に記憶す
    る電流指令値記憶手段と、 ミシン種類を選択するミシン種類選択手段とを備え、 前記電流指令値設定手段は、前記電流指令値記憶手段と
    ミシン種類選択手段とによりミシン種類に応じて前記電
    流指令値を設定することを特徴とする請求項3記載のミ
    シンの停止制御装置。
  5. 【請求項5】 前記電流指令値設定手段は前記停止指令
    が出力された時の駆動モータの速度に応じて前記電流指
    令値を設定することを特徴とする請求項3記載のミシン
    の停止制御装置。
  6. 【請求項6】 第1の時間、第2の時間及び第3の時間
    をそれぞれ個別に設定する時間設定手段を備えることを
    特徴とする請求項1記載のミシンの停止制御装置。
  7. 【請求項7】 ミシン種類を選択するミシン種類選択手
    段と、 ミシン種類別に予め設定された第1の時間、第2の時間
    及び第3の時間を記憶する設定時間記憶手段とを備え、 前記時間設定手段は、前記ミシン種類選択手段及び設定
    時間記憶手段によりミシン種類に応じて前記第1の時
    間、第2の時間及び第3の時間を設定することを特徴と
    する請求項6記載のミシンの停止制御装置。
  8. 【請求項8】 時間設定手段は、前記停止指令が出力さ
    れた時の駆動モータの速度に応じて、前記第1の時間、
    第2の時間及び第3の時間を設定することを特徴とする
    請求項6記載のミシンの停止制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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