JP2002198679A - 電磁波シールドガスケット - Google Patents

電磁波シールドガスケット

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JP2002198679A JP2001318308A JP2001318308A JP2002198679A JP 2002198679 A JP2002198679 A JP 2002198679A JP 2001318308 A JP2001318308 A JP 2001318308A JP 2001318308 A JP2001318308 A JP 2001318308A JP 2002198679 A JP2002198679 A JP 2002198679A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン系難燃剤を使用することなく、高度
な難燃性と優れた圧縮復元性とを併せ持つ電磁波シール
ドガスケットを提供する。 【解決手段】 ポリウレタンフォームの外周に導電布を
被覆した電磁波シールドガスケットであって、ポリウレ
タンフォームは、ポリオールとイソシアネートを反応し
て得られるベース樹脂100重量部に対して膨張性黒鉛
を10〜35重量部、メラミンを15〜45重量部含有
し、260℃で10分間加熱したときの体積が加熱前の
体積の0.4倍以上、300℃で10分間加熱したとき
の体積が加熱前の体積の1.4倍以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器から発生
する電磁波の遮蔽や静電気対策などのために、電子機器
の間隙などに設置されて使用される電磁波シールド用の
ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家庭用、オフィス用、産業用、医
療用など、あらゆる分野において、電子機器の小型・携
帯化および高機能化が進んでいる。これらの電子機器の
問題点として、外部からの電磁波の侵入による誤作動な
どが挙げられる。この電磁波干渉対策のために、電磁波
シールドガスケットが必要とされている。こうした電磁
波シールドガスケットは、電子機器の隙間に設置され、
圧縮した状態で使用されることから、導電性に加えて機
械的特性として柔軟性および圧縮復元性が必要とされ
る。
【0003】従来、電磁波シールドガスケットとして
は、導電性ゴムを中空押出成形したもの、または柔軟性
のあるフォームの外周に導電布を被覆したものが知られ
ている。しかし、導電性ゴムを中空押出成形したもの
は、導電性ゴムの体積固有抵抗率が比較的大きいため、
高周波領域での導電性が低く、電磁波シールド性能が低
いという欠点がある。このため、フォームの外周に高導
電性の被覆を施した電磁波シールドガスケットが広く用
いられている。このような電磁波シールドガスケットを
構成するフォームとしては、圧縮復元性に優れることか
ら、ウレタンフォームが使用されている。
【0004】さらに近年になって、電子機器部品として
の電磁波シールドガスケットに対して、高い難燃性が強
く要求されるようになってきている。
【0005】ウレタンフォームを用いた電磁波シールド
ガスケットでは、易燃性のウレタンフォームを難燃化す
る必要がある。ウレタンフォームを難燃化する方法とし
ては、ウレタンフォーム中に難燃剤を添加して難燃性を
付与する方法と、ウレタンフォームに後処理で難燃剤を
含浸させる方法とがある。しかし、前者の方法で高い難
燃性を発現しようとすると、難燃剤の添加量を多くする
必要があるため圧縮復元特性が悪化する。また、後者の
方法でも、難燃剤の含浸により圧縮復元特性が悪化す
る。したがって、電磁波シールドガスケットには、高難
燃性であっても、圧縮復元特性を維持できることが要求
されている。
【0006】また、従来は難燃剤として非常に優れた特
性を示すハロゲン系難燃剤が多種多様な場面で用いられ
ている。しかし、ハロゲン系難燃剤はダイオキシンをは
じめとする環境問題の面から使用が制限されつつあり、
これを使用しないことが強く要望されている。
【0007】このような背景から、ハロゲン系難燃剤の
代替材料として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニ
ウムなどが提案されている。しかし、これらの難燃剤
は、十分な難燃性を発現させるためには多量に配合する
必要があるので、フォームの圧縮復元特性を悪化させ
る。しかも、これらの難燃剤は比重も高いため、ウレタ
ンフォーム製造時にフォームが自重により陥没するなど
の問題が生じ、良好なフォームを得ることが困難にな
る。
【0008】また、ハロゲン系難燃剤の代替材料とし
て、熱膨張性黒鉛やメラミンなども提案されている。し
かし、難燃性を高めるために熱膨張性黒鉛を多量に配合
するとウレタンフォーム製造時の反応性が極度に悪化
し、安定してフォームを得ることが困難になり、例えば
フォームの外観不良が生じる。この場合、触媒または整
泡剤などの添加剤を調整することにより、フォームの外
観不良を解消することはできるが、フォームの圧縮復元
特性が悪化するうえに、得られたフォームとその外周に
被覆する導電布との密着性が悪化するという問題があ
る。
【0009】また、最近は、電子機器用に厚さ1〜3m
m程度で圧縮復元性に優れたガスケットが要求されてい
る。従来のウレタンフォームを基材とするガスケットは
10mm程度の厚さのものが多く、1〜3mm程度の薄
いガスケットには難燃性と加工性の観点からクロロプレ
ンフォームを基材としたガスケットが使用されてきた。
また、同じものでも薄くなるほど難燃性が落ちる傾向が
一般的にあった。しかし、クロロプレンを使用したガス
ケットはハロゲンを多量に含むという問題のほかに、圧
縮復元性が極めて悪いという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ハロ
ゲン系難燃剤を使用することなく、高度な難燃性と優れ
た圧縮復元性とを併せ持つ電磁波シールドガスケットを
提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、1〜3mm程度の薄
さでも、難燃性、加工性、圧縮復元性に優れた電磁波シ
ールドガスケットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁波シールド
ガスケットは、ポリウレタンフォームの外周に導電布を
被覆した電磁波シールドガスケットであって、前記ポリ
ウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートを反
応して得られるベース樹脂100重量部に対して膨張性
黒鉛を10〜35重量部、メラミンを15〜45重量部
含有し、260℃で10分間加熱したときの体積が加熱
前の体積の0.4倍以上、300℃で10分間加熱した
ときの体積が加熱前の体積の1.4倍以上であることを
特徴とする。
【0013】本発明の電磁波シールドガスケットにおい
ては、ポリウレタンフォームのベースポリマーがポリオ
ールとイソシアネート化合物とから合成されたものであ
って、用いられるポリオールが、ポリプロピレンオキサ
イドとポリエチレンオキサイドで鎖延長されたポリエー
テル系ポリオールであるか、またはアミノプラスト系難
燃ポリマーグラフトポリオールを含むことが好ましい。
【0014】本発明の電磁波シールドガスケットにおい
ては、ポリウレタンフォームと導電布との間に難燃性裏
打ちシートを設けてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。本発明の電磁波シールドガスケットは、ポリウレタ
ンフォームの外周に導電布を被覆した構造を有する。本
発明の電磁波シールドガスケットを構成するポリウレタ
ンフォームはそのベースポリマーがポリオールとイソシ
アネート化合物とから合成され、その他の成分として触
媒、発泡剤、難燃剤を含み、難燃剤としてメラミンおよ
び膨張性黒鉛が用いられている。
【0016】以下、本発明において用いられる個々の成
分について説明する。本発明において用いられるポリウ
レタンフォームは、そのベースポリマーがポリオールと
イソシアネート化合物とから合成される。
【0017】本発明において用いられるポリオールとし
ては、通常の軟質ウレタンフォームに使用されるポリオ
ールであれば特に限定されない。例えば、グリセリンベ
ースのポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキ
サイドでキャップされたポリオキシプロピレンポリオー
ル、ポリオキシプロピレン/オキシエチレンポリオー
ル、ポリマーポリオール、PHDポリオールなどのポリ
エーテル系ポリオール、カルボン酸などの酸とジエチレ
ングリコールなどとの縮合重合などにより得られるポリ
エステル系ポリオールなどが挙げられる。
【0018】特に好ましいポリオールとして、ポリプロ
ピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドで鎖延長さ
れた分子量4000〜10000の3官能ポリエーテル
系ポリオールが挙げられる。このようなポリプロピレン
オキサイドとポリエチレンオキサイドで鎖延長されたポ
リエーテル系ポリオールを用いた場合、熱膨張性黒鉛の
配合により、圧復元特性に優れたフォームを安定して得
ることができる。
【0019】また、特に好ましいポリオールとして、ア
ミノプラスト系難燃ポリマーグラフトポリオールも挙げ
られる。アミノプラスト系難燃ポリマーグラフトポリオ
ールの製造方法としては、以下のような方法が知られて
いる。例えば、ポリオール中でアミノプラスト系樹脂形
成可能な物質の縮合を行わせることにより微粒子を析出
させる方法(特公昭57−14708号公報)、または
ポリオール以外の分散媒中でアミノプラスト系樹脂形成
可能な物質の縮合を行わせることにより微粒子を析出さ
せた後、分散媒をポリオールに変換する方法(特開平2
−91116号公報)などである。アミノプラスト系樹
脂粒子の粒径は0.01〜5μmの範囲が好ましく、
0.1〜2μmの範囲がより好ましい。アミノプラスト
系樹脂粒子の粒径が5μmを超えると、分散媒であるポ
リオール中で沈降しやすくなる。アミノプラスト系樹脂
粒子は、静置した状態で少なくとも1ヶ月間、好ましく
は2ヶ月以上、実質的に沈降しないものであることが好
ましい。アミノプラスト系樹脂粒子が分散したポリオー
ルは、白色または着色の半透明または不透明な粘性液体
である。このようなアミノプラスト系樹脂粒子を含む微
粒子分散ポリオールは、ポリウレタンフォームの難燃性
を向上させる。尿素化合物、メラミン系化合物、グアナ
ミン系化合物、またはグアニジン系化合物を主として使
用したアミノプラスト系樹脂分散体を含む微粒子分散ポ
リオールはポリウレタンフォームの難燃性向上に特に有
効である。
【0020】また、ポリオールとして、ポリプロピレン
オキサイドおよびポリエチレンオキサイドで鎖延長され
たポリエーテル系ポリオールとアミノプラスト系難燃ポ
リマーグラフトポリオールを併用してもよい。特に、両
者の重量比を3:7〜7:3とすることにより、圧縮復
元性が良好であり、薄くても難燃性が高く、柔軟性が高
く、薄く切り出す際の加工性も良好なフォームを作製で
きる。
【0021】本発明において用いられるイソシアネート
化合物としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニ
ルジイソシアネート、ポリメチレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリ
フェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、トリジレンジイソシ
アネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなど
が挙げられる。また、芳香族を有しないポリイソシアネ
ート化合物を使用してもよい。また、イソシアネート化
合物の変性物として、トリメチロールプロパンなどの多
価アルコールなどで変性したプレポリマー型変性物、二
量化変性物、三量化変性物、ウレア変性物、カルボジイ
ミド変性物などを使用してもよい。これらの有機イソシ
アネート化合物は2種類以上併用することも可能であ
る。
【0022】良好な圧縮復元性を有するフォームを得る
観点からはトルエンジイソシアネートが好ましいが、ト
ルエンジイソシアネートは常温での蒸気圧が高く有害性
が高い。このため、熱膨張性黒鉛を配合したフォームに
おいて良好な圧縮復元特性を得るとともにフォーム製造
時の有害性を低くすることを考慮すると、イソシアネー
ト化合物としてポリオール変性ポリフェニレンポリメチ
レンポリイソシアネートを使用することが特に好まし
い。
【0023】本発明においては、触媒として第3級アミ
ン系触媒および有機金属化合物系触媒が用いられ、通
常、これらの触媒は併用される。第3級アミン系触媒と
しては、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリ
ン、N、N−ジメチルアミノエチルモルホリン、トリエ
チルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテ
ルなどが挙げられる。好ましい第3級アミン系触媒は、
トリエチレンジアミンである。第3級アミン系触媒の使
用量は、熱膨張性黒鉛の添加量により適宜調整される。
【0024】有機金属化合物系触媒としては、スタナス
オクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジア
セテート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫ジマレ
エート、ジオクチル錫チオカルボキシレートなどが挙げ
られる。特に好ましい有機金属化合物系触媒は、スタナ
スオクテートである。有機金属化合物系触媒の配合量も
熱膨張性黒鉛の添加量により適宜調整される。
【0025】一般的には、熱膨張性黒鉛の配合量を増や
すほど、触媒の配合量を増す必要がある。触媒の配合量
は、熱膨張性黒鉛の酸性度と、熱膨張性黒鉛をポリオー
ルに混和したときの系の酸性化への影響度により異な
り、適宜選択される。
【0026】本発明において用いられる発泡剤としては
水やフロンが挙げられる。しかし、フロンはオゾン層破
壊の観点から使用が制限されているため、水を使用する
のが好ましい。なお、発泡剤として、熱分解してガスを
発生する重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどを併
用してもよい。発泡剤の使用量は目的とするフォームの
密度に応じて調整される。
【0027】水はイソシアネート化合物と反応し、ポリ
尿素を生成するとともに炭酸ガスを発生する。この炭酸
ガスが気泡となって成長する。この反応は発熱量が大き
いため、水の添加量は制限される。また、熱膨張性黒鉛
を配合したウレタンフォームを使用して圧縮復元性に優
れたガスケットを得るためにも、水の添加量を適切に調
整することが必要となる。水の添加量は、ポリオール1
00重量部に対して0.5〜4重量部とすることが好ま
しい。0.5重量部未満では発泡量が少なく柔軟性に優
れたフォームが得られない。4重量部を超えると得られ
るフォームの腰が低下するうえに、反応による発熱が著
しくなり製造時の危険性が増す。
【0028】本発明においては、難燃剤としてメラミン
および熱膨張性黒鉛が使用される。難燃剤としてのメラ
ミンは一般に平均粒径が10〜50μm程度の粉末状の
ものが用いられる。化学的方法や物理的方法によって得
られる数μm程度の小さい粒径を有するメラミン粉末も
用いることもできるが、このような微粒子状のものは分
散安定性が良好であるものの、配合量を多くする場合に
はコスト面で不利である。
【0029】メラミンの添加量はポリオールとイソシア
ネート化合物を反応して得られるベース樹脂100重量
部に対し、15〜45重量部とすることが好ましい。1
5重量部未満ではフォームに十分な難燃性が付与されな
い。45重量部を超えると、反応前の混合液の粘度が高
くなりすぎて作業性が著しく悪くなるとともに、得られ
るウレタンフォームの機械特性に悪影響を及ぼす。
【0030】難燃剤としての熱膨張性黒鉛は黒色の鱗片
状の構造を有し、加熱されると黒鉛を構成する六員環重
合体層の間隔が広がって、それ自体が膨張する。そし
て、六員環重合体層の層間に高温で溶融した樹脂が吸収
され、フォームの延焼と溶融物のたれ落ちが防止される
ので、フォームの難燃性を向上することができる。本発
明において用いられる熱膨張性黒鉛は、180℃という
比較的低温でも見かけ嵩が2倍以上に膨張しうるもので
あることが好ましい。180℃にさらされたときに見か
け嵩が2倍以上に膨張しない熱膨張性黒鉛を配合したウ
レタンフォームでは、十分な難燃性が得られない。な
お、180℃にさらされたときに見かけ嵩が2倍以上に
膨張しない熱膨張性黒鉛を多量に配合すればある程度の
難燃性が得られるが、この場合にはウレタンフォームの
反応阻害が大きくなり外観の良好なフォームが得られな
いことが多く、外観の良好なフォームでも十分な圧縮復
元特性が得られないうえに導電布との密着性も悪くな
る。
【0031】熱膨張性黒鉛の添加量は、ポリオールとイ
ソシアネート化合物を反応して得られるベース樹脂10
0重量部に対して10〜35重量部とすることが好まし
い。10重量部未満では、燃焼時に溶融樹脂のたれ落ち
を防ぐことができず、フォームに十分な難燃性を付与す
ることができない。35重量部を超えると、ウレタンフ
ォーム製造時の反応性が著しく悪化し、気泡の均一なフ
ォームが得られなくなるとともに硬化時間も遅くなって
硬化が不完全となり、圧縮復元特性に優れたフォームが
得られなくなる。なお、触媒の増量、効力の強い触媒の
使用、整泡力の強い整泡剤の使用、整泡剤の増量などに
よって、ウレタンフォーム製造時の反応性および造泡性
を促進することにより、熱膨張性黒鉛を多量に配合した
場合でも気泡が均一で比較的外観が良好なフォームを得
ることは可能である。しかし、このようにして得られる
フォームは、気泡が小さく圧縮復元性が悪化したもの
か、圧縮復元性は優れているが気泡の大きいものであ
り、気泡の緻密化と圧縮復元性を両立することが困難で
ある。したがって、熱膨張性黒鉛の配合量は35重量部
以下とすることが好ましい。
【0032】熱膨張性黒鉛の粒度は特に限定されない
が、30〜100メッシュが好ましい。30メッシュよ
り細かくなると、熱膨張性が小さくなり、フォームに難
燃性を付与する効果が低下する。100メッシュより粗
くなると、ウレタンフォーム組成物中で沈降しやすく分
散性が悪くなる。
【0033】本発明においては、目的を損なわない範囲
で、メラミンおよび熱膨張性黒鉛に加えて、メラミン誘
導体、リン系難燃剤など他の難燃剤を用いてもよい。
【0034】リン系難燃剤としては、分子内に反応性の
官能器を1つ以上有する縮合リン酸エステルベースの反
応型リン系難燃剤を使用することができる。反応型リン
系難燃剤はポリオールとイソシアネートを反応して得ら
れるベース樹脂100重量部に対して、1〜15重量部
とすることにより、ガスケットの厚さが薄い場合でも十
分な難燃性を有しながら、圧縮復元性を失うことがな
い。反応型リン系難燃剤として具体的には、官能基が水
酸基であるエクソリットOP(クラリアントジャパン製
商品名)を使用することができる。この場合は特にポリ
オールがポリエーテル系であるウレタンフォームにおい
て、高い難燃効果を発揮する。
【0035】本発明においては、ウレタンフォームに、
上記の成分以外にも、架橋剤、整泡剤、着色剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤など公知の添加
剤または助剤を必要に応じて添加することができる。
【0036】本発明においてウレタンフォームの平均気
泡径は2mm以下であることが好ましい。平均気泡径が
2mmを超えると、ガスケットの圧縮復元性が不均一に
なるうえに導電布との密着性が悪くなる。
【0037】本発明において、ウレタンフォームは、2
60℃で10分間加熱したときの体積が加熱前の体積の
0.4倍以上であり、300℃で10分間加熱したとき
の体積が加熱前の体積の1.4倍以上であるという条件
を満たすことが必要である。これらの条件を満たしてい
ない場合、燃焼時に溶融樹脂のたれ落ちを防ぐことがで
きず、フォームに十分な難燃性を付与することができな
い。
【0038】本発明において用いられるウレタンフォー
ムはハロゲン系難燃剤を含有していないので、日本電線
工業規格JCS第397号の5で規定される塩化水素ガ
ス発生量が2mg/g以下である。
【0039】本発明の電磁波シールドガスケットは、上
述した成分を含有する難燃性ウレタンフォームの外周に
導電布を例えば接着剤層を介して被覆することにより作
製される。導電布としては、圧縮復元性および経済性の
観点から、有機繊維織布に金属鍍金を施したものが好ま
しい。本発明においては特に、ポリエステルなどの有機
繊維織布に銅鍍金を施し、さらにその上にニッケル鍍金
または銀鍍金を施したものを使用することが好ましい。
その理由は、最外表面がニッケル鍍金または銀鍍金でな
いと、加熱加湿耐久性が十分でなく、ガスケットの導電
性耐久性が低くなるためである。これは、本発明におい
てはウレタンフォームに熱膨張性黒鉛を配合しているた
めとみられる。
【0040】本発明においては、ポリウレタンフォーム
と導電布との間に難燃性裏打ちシートを設けてもよい。
【0041】このようにして得られた電磁波シールドガ
スケットは、高い難燃性と圧縮復元性を有する。本発明
の電磁波シールドガスケットは、JIS K6400に
規定される50%圧縮時の圧縮残留歪みが25%以下で
あることが好ましい。圧縮残留歪みが大きいと、圧縮さ
れた状態での長期使用に対して信頼性が低下する。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施
例および比較例において、用いた原料の詳細は以下の通
りである。
【0043】[使用原料] ポリオール1:ポリエーテル系ポリオール、官能基数
3、平均分子量6800(旭電化工業製) ポリオール2:ポリエーテル系ポリオール、官能基数
3、平均分子量4800(旭電化工業製) ポリオール3:ポリエーテル系ポリオール、官能基数
3、平均分子量3000(旭電化工業製) ポリオール4:アミノプラスト系難燃ポリマーグラフト
ポリオール:M−950(旭硝子製)、メラミン分散ポ
リオール イソシアネート1:ポリオール変性ポリフェニレンポリ
メチレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン製) イソシアネート2:トルエンジイソシアネート(2、4
−トリレンジイソシアネート:2、6−トリレンジイソ
シアネート=80:20)(日本ポリウレタン製) イソシアネート3:ポリメリックMDI(日本ポリウレ
タン製) アミン系触媒1:DABCO33LV(三共エアプロダ
クツ製) アミン系触媒2:DABCO8154(三共エアプロダ
クツ製) アミン系触媒3:NC−IM(三共エアプロダクツ製) 有機金属触媒1:スタノクト(吉野ファインケミカル
製) 架橋剤1:ジエタノールアミン 整泡剤1:シリコーン系界面活性剤L−5309(日本
ユニカー製) 整泡剤2:シリコーン系界面活性剤SZ−1142(日
本ユニカー製) 発泡剤1:蒸留水 熱膨張性黒鉛1:80LTE−UN(住金化工製) 熱膨張性黒鉛2:50LTE−U(住金化工製) 熱膨張性黒鉛3:80LTE−110N(住金化工製) 熱膨張性黒鉛4:8099M(住金化工製) 熱膨張性鉱物1:化学処理されたバーミキュライト、ヴ
ァーミカル2号(岩尾製) 熱膨張性鉱物2:バーミキュライト原石、南アフリカ産
2号 メラミン:メラミン粉末(日産化学製) 水酸化アルミニウム:B103(日本軽金属製) 燐系難燃剤1:縮合燐酸エステルベース反応型難燃剤O
P550(クラリアントジャパン製) 導電シート1:ポリエステル繊維織布に銅鍍金およびニ
ッケル鍍金が施され、さらに裏打ち材が施されたもの。 導電シート2:ポリエステル繊維織布に銅鍍金が施され
たもの。
【0044】[評価方法] (1)熱膨張性黒鉛の熱膨張性評価(見かけ嵩の変化) 底を平らに封止した内径32mmの銅パイプの底に、熱
膨張性黒鉛を高さ5mmになるように平らに入れて所定
の温度で加熱した。加熱温度は150℃、180℃、2
60℃で行い、各加熱時間は20分とした。加熱後の嵩
を加熱前の嵩で除することにより見かけ嵩の変化を調べ
た。評価基準は、加熱後の見かけ嵩が加熱前の2倍以上
となった場合を○、2倍未満の場合を×とした。これら
の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】(2)原料液の流動性 ポリオールに難燃剤、発泡剤、触媒、整泡剤を添加して
得られたポリオール系混和物の流動性を調べた。ポリオ
ール系混和物を雰囲気温度15〜20℃で試作用二液混
合機により安定して搬送されるかどうかで判断した。搬
送量が不安定であったもの、または搬送量が極度に減少
したものを×とした。安定して搬送されたものを○とし
た。
【0047】(3)フォームの260℃熱膨張倍率 得られたウレタンフォームから2cm×2cm×2cm
の試料を切り出し、この試料を260℃の恒温槽内で1
0分間加熱した。加熱後の体積を加熱前の体積で除して
熱膨張倍率とした。
【0048】(4)フォームの300℃熱膨張倍率 得られたウレタンフォームから2cm×2cm×2cm
の試料を切り出し、この試料を300℃の恒温槽内で1
0分間加熱した。加熱後の体積を加熱前の体積で除して
熱膨張倍率とした。
【0049】(5)フォームの気泡均一性 フォームの断面を観察して気泡の均一性を調べた。大き
な空隙や、著しい気泡の不均一を生じたものを×とし
た。気泡の均一なものを○とした。
【0050】(6)フォームの気泡径 フォームの断面を観察し、気泡径2mm以上の気泡がほ
とんどないものを○とし、気泡径2mm以上の気泡が多
数みられるものを×とした。
【0051】(7)導電布との密着性 ガスケットに50%圧縮を10回繰り返し、側面の導電
布が浮いて剥がれてくるかどうかにより判断した。導電
布がほとんど剥がれなかったものを○、導電布が剥がれ
たものを×とした。
【0052】(8)ガスケットの燃焼試験 UL94の94V−0、V−1、V−2材料分類の垂直
燃焼試験方法により評価した。V0に相当したものを○
とし、それ以外を×とした。
【0053】(8−2)ガスケットの燃焼試験1mmt 得られたフォームより厚さ1mmのガスケットを作製
し、UL94の94V−0、V−1、V−2材料分類の
垂直燃焼試験方法により評価した。V0に相当したもの
を○とし、それ以外を×とした。
【0054】(9)ガスケットの圧縮残留歪み JIS K 6401 に規定される圧縮永久歪みによ
り評価した。圧縮は50%とした。圧縮残留歪み20%
未満を○とし、それ以上を×とした。
【0055】(9−2)ガスケットの圧縮残留歪み1m
mt 得られたフォームより厚さ1mmのガスケットを作製
し、JIS K 6401 に規定される圧縮永久歪み
により評価した。圧縮は50%とした。圧縮残留歪み1
0%未満を○とし、それ以上を△とした。
【0056】(10)ガスケットの導電性耐久性 2枚の金属片間にガスケットを挟んだ状態でガスケット
に40%圧縮をかけ、そのまま65℃で1000時間保
持させた後、金属片間の抵抗を測定した。抵抗が接触単
位面積当たり20オーム未満であったものを○とし、2
0オーム以上となったものを×とした。
【0057】(11)切断加工性1mmt 得られたフォームより1mm厚さへのスライスのしやす
さを評価した。寸法安定性よく切削可能であったものを
○、寸法安定性が悪いもの、スライスが困難であったも
のを△とした。
【0058】[実施例1]表2に示す配合量(重量部)
で、ポリオールに、触媒、整泡剤、架橋剤、発泡剤、メ
ラミン、熱膨張性黒鉛を添加し、攪拌機で混合した後、
イソシアネート化合物を添加し、素早く混合し発泡させ
て難燃性ウレタンフォームを得た。得られた難燃性ウレ
タンフォームの評価結果を表2に示す。また、得られた
難燃性ウレタンフォームを10mm角で長さ20cmに
切り出し、この長手方向に縦添えで導電布を被覆し、電
磁波シールドガスケットを製造した。得られたガスケッ
トの評価結果を表2に示す。
【0059】[実施例2〜20、比較例1〜18]原料の
種類または配合比を変更したこと以外は実施例1と同じ
方法で難燃性ウレタンフォームを製造した。得られた難
燃性ウレタンフォームの評価結果を表2〜5に示す。ま
た、得られた難燃性ウレタンフォームを用い実施例1と
同様にして電磁波シールドガスケットを製造した。得ら
れた電磁波シールドガスケットの評価結果を表2〜6に
示す。
【0060】表2〜6から、本発明の規定を満たす難燃
性ウレタンフォームおよびそれを用いた電磁波シールド
ガスケットは良好な特性を示すことがわかる。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、難
燃性が高く、圧縮復元特性に優れたウレタンフォームを
得ることができ、このようなウレタンフォームの外周に
導電布を被覆することにより、難燃性、圧縮復元性、お
よび長期導電性に優れた電磁波シールドガスケットを得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽角 広信 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 中島 康雄 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 山本 俊司 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 中村 壽嗣 神奈川県愛甲郡愛川町中津4049番地1 株 式会社フォーム化成内 Fターム(参考) 4J002 CK041 CK051 DA026 EU187 GM00 GQ01 4J034 AA02 BA03 CA03 CA04 DA01 DB04 DC50 DG03 DG04 DG08 DG09 DG25 HA01 HA07 HA08 HA11 HC03 HC12 HC13 HC61 HC64 HC65 HC67 HC71 HC73 QC01 QC08 RA11 RA19 5E321 AA03 BB32 BB41 BB44 GG05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタンフォームの外周に導電布を
    被覆した電磁波シールドガスケットであって、前記ポリ
    ウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートを反
    応して得られるベース樹脂100重量部に対して膨張性
    黒鉛を10〜35重量部、メラミンを15〜45重量部
    含有し、260℃で10分間加熱したときの体積が加熱
    前の体積の0.4倍以上、300℃で10分間加熱した
    ときの体積が加熱前の体積の1.4倍以上であることを
    特徴とする電磁波シールドガスケット。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタンフォームのベースポリ
    マーを構成するポリオールが、ポリプロピレンオキサイ
    ドとポリエチレンオキサイドで鎖延長されたポリエーテ
    ル系ポリオールであることを特徴とする請求項1に記載
    の電磁波シールドガスケット。
  3. 【請求項3】 前記ポリウレタンフォームのベースポリ
    マーを構成するポリオールが、アミノプラスト系難燃ポ
    リマーグラフトポリオールを含むことを特徴とする請求
    項1に記載の電磁波シールドガスケット。
  4. 【請求項4】 前記ポリウレタンフォームと前記導電布
    との間に難燃性裏打ちシートが設けられていることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁
    波シールドガスケット。
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