JP2002194259A - スクリーン印刷用ペースト及びそれを用いて形成した電子部品 - Google Patents

スクリーン印刷用ペースト及びそれを用いて形成した電子部品

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JP2002194259A
JP2002194259A JP2000390591A JP2000390591A JP2002194259A JP 2002194259 A JP2002194259 A JP 2002194259A JP 2000390591 A JP2000390591 A JP 2000390591A JP 2000390591 A JP2000390591 A JP 2000390591A JP 2002194259 A JP2002194259 A JP 2002194259A
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Mitsuka Tagami
三花 田上
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な膜厚を有する微細なパターンを精度よ
く形成することが可能なスクリーン印刷用ペースト及び
それを用いてパターンを形成した電子部品、多層基板を
提供する。 【解決手段】 周波数5Hzにおける貯蔵弾性率G’を
10000Pa以下にする。また、固形分の粒径
(D50)を1μm以上、10μm未満とする。多層基板
の、幅が100μm以下、膜厚が5μm以上の厚膜パター
ンを、本願発明のスクリーン印刷用ペーストを用いて形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、スクリーン印刷
法により、厚膜パターンを形成する際に用いられるスク
リーン印刷用ペースト及びそれを用いて形成された厚膜
パターンを有する電子部品、多層基板に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子部品の導体回路、保護膜、絶縁層などの形成には、
少なくとも1種の無機粉末(固形分)を有機ビヒクル中
に分散させたペースト(スクリーン印刷用ペースト)
を、スクリーン印刷法によってパターン形成し、その後
焼成して導体回路、保護膜、絶縁層などを形成する厚膜
技術(厚膜形成方法)が広く用いられている。
【0003】そして、近年、電子部品の小型化・高精度
化が進むにつれて、この厚膜技術に対しても、微細パタ
ーンを高精度に形成することが可能な技術の開発が求め
られるようになっている。
【0004】厚膜技術によりパターン形成を行う場合、
最終的なパターン精度に最も影響するのは印刷の精度で
あるが、一般的なスクリーン印刷用ペーストを用いて微
細なパターンを印刷しようとすると、膜厚が薄くなりす
ぎて所望の特性が得られなかったり、ニジミ、カスレ、
ダレなどにより、ライン部で短絡や断線が発生したり、
ビアホールなどを設計どおり形成することができなくな
ったりする場合があり、微細なパターンを精度よく印刷
することは困難で、近年の電子部品の小型化・高精度化
に対応できない場合が生じるに至っている。
【0005】ところで、微細なパターンを精度良く印刷
するためには、スクリーン印刷用ペーストの流動特性を
コントロールすることが重要であると考えられており、
粘度によるスクリーン印刷用ペーストの流動特性の評価
は従来より行われている。しかし、粘度を調整するだけ
では印刷パターンの膜厚を十分にコントロールすること
はできず、スクリーン印刷用ペーストの流動特性と印刷
パターンの膜厚の関係は必ずしも明確になっていないの
が実情である。
【0006】このような状況のもとで、従来は、経験に
基づいたトライアルアンドエラーの手法により、一定以
上の膜厚を得ることが可能なスクリーン印刷用ペースト
を調製することが行われてきたが、経験のみでは、近年
必要とされるような印刷パターンの微細化には十分には
対応できなくなるに至っている。
【0007】本願発明は、かかる状況に鑑みてなされた
ものであり、十分な膜厚を有する微細な印刷パターンを
精度よく形成することが可能なスクリーン印刷用ペース
ト及びそれを用いてパターンを形成した電子部品、多層
基板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)のスクリーン印刷用ペースト
は、周波数5Hzにおける貯蔵弾性率G’が10000
Pa以下であることを特徴としている。
【0009】本願発明(請求項1)のスクリーン印刷用
ペーストは、周波数5Hzにおける貯蔵弾性率G’が1
0000Pa以下であることから、スクリーン印刷を行
う際の版離れ時のパターン残り、すなわち、スクリーン
印刷用ペーストがスクリーン印刷版側に残ることを少な
くすることが可能になり、微細なラインを印刷形成する
場合にも、膜厚が大きくて、短絡のないラインを、確実
に形成することが可能になる。
【0010】なお、貯蔵弾性率G’は、複素弾性率の実
部を意味する概念であり、複素弾性率は、ある周波数で
は正弦振動する応力と歪みの比で定義されることから、
貯蔵弾性率G’は、単位の大きさの歪みに対して生じる
応力の中で、歪みと同位相の成分を意味するものであ
る。
【0011】また、請求項2のスクリーン印刷用ペース
トは、固形分の粒径(D50)が1μm以上、10μm未満
であることを特徴としている。
【0012】含まれる固形分の粒径(D50)を1μm以
上とすることにより、貯蔵弾性率G’を小さくすること
が可能になり、スクリーン印刷により形成される印刷パ
ターンの膜厚を厚くすることができるようになる。ま
た、固形分の粒径(D50)を10μm未満とすることに
より、スクリーン開口部への充填性の低下を防止して、
固形分の粒径が大きいことによる断線を確実に防ぐこと
が可能になり、信頼性の高い微細パターンを形成するこ
とができるようになる。
【0013】また、本願発明(請求項3)の電子部品
は、請求項1又は2記載のスクリーン印刷用ペーストを
用いて形成された、幅が100μm以下、膜厚が5μm以
上の厚膜パターンを有していることを特徴としている。
【0014】本願発明(請求項3)の電子部品は、請求
項1又は2記載のスクリーン印刷用ペーストを用いて形
成された、幅が100μm以下、膜厚が5μm以上の厚膜
パターンを有しており、通常のスクリーン印刷用ペース
トでは形成することが困難な、幅が100μm以下、膜
厚が5μm以上の微細な厚膜パターンを備えた、小型高
性能の電子部品を提供することが可能になる。
【0015】また、本願発明(請求項4)の多層基板
は、請求項1又は2記載のスクリーン印刷用ペーストを
用いて形成された、幅が100μm以下、膜厚が5μm以
上の厚膜パターンを有していることを特徴としている。
【0016】本願発明(請求項4)の多層基板は、請求
項1又は2記載のスクリーン印刷用ペーストを用いて形
成された、幅が100μm以下、膜厚が5μm以上の厚膜
パターンを有しており、通常のスクリーン印刷用ペース
トでは形成することが困難な、幅が100μm以下、膜
厚が5μm以上の微細な厚膜パターンを備えた、小型高
性能の多層基板を提供することが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】本願発明者は、種々の粘度特性を
持つペーストを用意し、流動特性とスクリーン印刷によ
る印刷パターンの膜厚の関係について調べた。そして、
微細な印刷パターンの場合にも十分な膜厚を得ることを
可能にするために、スクリーン印刷用ペースト(以下、
単に「ペースト」ともいう)が備えているべき流動特性
を明らかにするとともに、従来のスクリーン印刷用ペー
ストの流動特性を改良することにより、十分な膜厚を有
する微細なパターンを精度よく形成することが可能な本
願発明のスクリーン印刷用ペーストを得るに至った。以
下に、発明の実施の形態を示して、本願発明を詳細に説
明する。
【0018】従来、スクリーン印刷による印刷パターン
の膜厚は粘度に依存するとされてきたが、実際に調べた
例は少なかった。そこで、本願発明者は、まず、ペース
ト中の固形分の種類、固形分の比率、樹脂・溶剤量など
を変化させることにより、種々の粘度特性を有するスク
リーン印刷用ペーストを作製し、粘度特性によって、ス
クリーン印刷による印刷パターンの膜厚をコントロール
することが可能であるか否かを調べた。その結果、ペー
ストの剪断速度と寄与率の関係を示す図1、剪断速度1
0s-1における粘度と印刷パターンの膜厚の関係を示す
図2からわかるように、粘度特性と印刷パターンの膜厚
の間には相関関係が無いことが確認された。
【0019】この結果から、本願発明者は、粘度特性と
印刷パターンの膜厚に相関関係があるとする従来説は成
り立たないとの結論に至り、膜厚をコントロールするの
に有効な新たな物性評価法を探求した。
【0020】なお、印刷パターンの膜厚と粘度特性の相
関関係を調べるにあたっては、ペーストが非ニュートン
流体であることを考慮し、特定剪断速度における粘度で
はなく、各剪断速度における粘度についての相関関係の
大きさも調べた(図1)。また、図2に示す粘度はキャ
リメ社製レオメータCSL100、2cm,1゜のコーン
を用いて測定したものである。
【0021】かかる知見に基づき、本願発明者は、印刷
パターンの膜厚を支配する流動特性を究明するために、
観察や実験などによってスクリーン印刷のメカニズムを
調べ、印刷パターンの膜厚が転写(版離れ)の瞬間のペ
ーストの流動性と深く関係していることを見出した。す
なわち、版離れの瞬間のペーストの流動性が悪い場合に
は、ペーストが印刷対象(例えば基板)側に転写される
前に版離れが完了してしまうため、ペーストがスクリー
ン印刷版に残って印刷パターンの膜厚が薄くなり、逆
に、版離れ時のペーストの流動性が良い場合は、版離れ
が完了する前に、スキージによって印刷対象(例えば基
板面)に押し付けられたペーストが印刷対象(例えば基
板)側に移るため、印刷パターンの膜厚が厚くなるとい
うメカニズムがあることがわかった。
【0022】さらに、このような転写(版離れ)の瞬間
のペーストの流動性は、ペーストにカが加わった瞬間の
流動性であるのに対し、従来、着目されてきた「粘度」
は、ペーストにカが加わって平衡状態に至った後の流動
性に関するものであるため、転写(版離れ)の瞬間のペ
ーストの流動性は、従来着目されてきた「粘度」では表
せないことが確認された。
【0023】そこで、本願発明者は、ペーストにカが加
わった瞬間の流動性を表現するパラメータを究明するた
めに、種々の流動特性に関するパラメータと印刷パター
ンの膜厚の相関関係の有無を調べた。その結果、ペース
トにカが加わった瞬間(版離れの瞬間)の流動性は、貯
蔵弾性率G’によって表現できることを見出した。な
お、この貯蔵弾性率G’は、前述のように、複素弾性率
の実部を意味する概念であり、複素弾性率は、ある周波
数では正弦振動する応力と歪みの比で定義されることか
ら、貯蔵弾性率G’は、単位の大きさの歪みに対して生
じる応力の中で、歪みと同位相の成分を意味するもので
ある。
【0024】50μmラインについて、この貯蔵弾性率
G’と印刷パターンの膜厚の関係を調べたところ、図3
に示すように、貯蔵弾性率G’が小さいほど膜厚が厚く
なり、ペーストの貯蔵弾性率G’が10000Pa以下
の場合には、十分な膜厚が得られることが確認された。
すなわち、ペーストの貯蔵弾性率G’が10000Pa
より大きい場合には、版離れの瞬間の流動性が悪いた
め、スクリーン印刷版にペーストが残留して膜厚が薄く
なり、良好な印刷を行うことができないが、ペーストの
貯蔵弾性率G’が10000Pa以下の場合には、版離
れ時の流動性が良好で、スクリーン印刷版にペーストが
残らず、印刷パターンの膜厚を厚くすることが可能にな
り、良好なスクリーン印刷を行うことが可能になる。
【0025】なお、この貯蔵弾性率G’は、キャリメ社
製レオメータCSL100、4cm,2゜のコーンを用い
て、周波数5Hz、歪み3%で測定した値を用いた。こ
こで、周波数については、上記の転写(版離れ)の瞬間
のペーストの流動性を表現できる値に定めた。また、歪
みの大きさについては、多くのペーストを同一条件で測
定できるように定めた条件である。なお、歪みの大きさ
については、同一条件で測定できる範囲であれば他の値
とすることも可能である。
【0026】また、本願発明のスクリーン印刷用ペース
トにおいては、固形分の種類、固形分の比率、樹脂の種
類、樹脂量、溶剤量などに特別に制約はない。これは、
印刷パターンの膜厚が、固形分の粒径以外の組成には依
存せず、貯蔵弾性率G’のみにより決定されることによ
る。
【0027】本願発明のスクリーン印刷用ペーストにお
いて、貯蔵弾性率G’の大きさは、用いられる固形分の
粒径に依存し、固形分の粒径が一定以下になると貯蔵弾
性率G’が大きくなる傾向があり、特に固形分の粒径
(D50)が1μm未満になると貯蔵弾性率G’が100
00Paを超える傾向があり、貯蔵弾性率G’を確実に
10000Pa以下にするためには、固形分の粒径(D
50)を1μm以上にすることが好ましいことがわかっ
た。
【0028】また、固形分の粒径は、大きければよいと
いうものではなく、微細図形をスクリーン印刷する場合
には、固形分の粒径が10μmを超えると、スクリーン
開口部への充填性が低下し、印刷パターンに断線が発生
する場合がある。この断線を防ぐためには、粒径
(D50)を10μm未満とすることが好ましく、5μm以
下とすることがさらに好ましい。
【0029】さらに、本願発明の、貯蔵弾性率G’が1
0000Pa以下になるペーストを用いて、グリーンシ
ートにスクリーン印刷を行い、微細図形を含むパターン
を形成し、このグリーンシートを積層、圧着、焼成する
ことにより、幅100μm以下で、膜厚が5μm以上の、
微細な厚膜パターンを備えた、小型高性能の電子部品
(特に多層基板)を得ることが可能になる。なお、貯蔵
弾性率G’が10000Paより大きいペーストを用い
た場合は膜厚が薄くなりすぎ、不良が発生する。
【0030】
【実施例】次に、本願発明の実施例を示して本願発明の
特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0031】[実施例1]Ag粉末、樹脂、及び必要に
応じて添加剤を、表1に示すような比率で配合し、三本
ロールミルを用いて混練することにより、ペースト(試
料)を調製した。
【0032】そして、各試料について、周波数5Hz,
歪み量3%における貯蔵弾性率G’(log(G'))を測定
した。この貯蔵弾性率G’はキャリメ社製レオメータC
SL100を用いて測定したものである。その結果を表
1に併せて示す。なお、表1において、試料番号に*印
を付したもの(試料番号9及び10)は、貯蔵弾性率
G’が本願発明の範囲外のものである。
【0033】
【表1】
【0034】次に、各ペーストを、300メッシュのパ
ターンで、アルミナ基板上にスクリーン印刷し、充填・
転写時のニジミ量及び断線の発生の有無を調べた。な
お、このときの印刷条件は、スキージアタック角70
度、速度50mm/s、スキージ押圧力7.8Nとした。
【0035】そして、このときの印刷状態の良否の評価
を、配線の幅と、配線と配線の間隔(line/space)を5
0μm/50μmとした配線(50/50μmライン)の
膜厚及び断線の有無を調べることにより行った。その結
果を表1に併せて示す。
【0036】表1に示すように、周波数5Hzにおける
貯蔵弾性率G’が10000Paを超えた試料番号9及
び10のペーストを用いた場合には、良好なスクリーン
印刷を行うことができず、膜厚が5μmより薄くなっ
た。また、試料番号10のペーストを用いた場合には、
断線の発生も認められた。
【0037】一方、貯蔵弾性率G’が10000Pa以
下のペーストを用いて印刷を行った場合は、膜厚が5μ
m以上の良好なスクリーン印刷を行うことができた。ま
た、断線の発生も認められなかった。
【0038】[実施例2]ペーストとして、表2に示す
ような粒径のAg粉末と、樹脂(エトセル樹脂)と配合
し、三本ロールミルを用いて混練することによりスクリ
ーン印刷用ペースト(試料)を調製した。
【0039】
【表2】
【0040】なお、表2において試料番号に*印を付し
たもの(試料番号11)は、貯蔵弾性率G’が、100
00Paを超えており、本願発明の範囲外のものである
ことを示している。次に、各試料(ペースト)を用い
て、上記実施形態1の場合と同様の条件で、幅60μm
の配線をアルミナ基板上にスクリーン印刷し、印刷状態
を観察した。その結果を表2に併せて示す。
【0041】表2に示すように、固形分(Ag粉末)の
粒径が(D50)が0.27μmで、貯蔵弾性率G’が1
0000Paを超えた、本願発明の範囲外の試料番号1
1のペーストの場合、貯蔵弾性率G’が10000Pa
を超えているため、十分な膜厚を得ることができず、一
部断線の発生も認められた。また、固形分(Ag粉末)
の粒径(D50)が10.0μmの、試料番号16のペー
ストの場合、貯蔵弾性率G’は10000Pa以下では
あるが、固形分の粒径が大きいため、ラインにギザギザ
が発生し、印刷状態がやや低下した。
【0042】一方、貯蔵弾性率G’が10000Pa以
下で、固形分(Ag粉末)の粒径が10.0μm未満
の、請求項2の要件を満たす試料番号12,13,1
4,15のペーストの場合、断線を生じたりすることな
く、十分な膜厚を有する良好な印刷パターンを得ること
ができた。
【0043】上記の結果より、本願発明のスクリーン印
刷用ペーストにおいては、貯蔵弾性率G’の値が最も重
要であるが、固形分の粒径を1μm以上、10μm未満と
することにより、さらに良好なスクリーン印刷を行うこ
とが可能になることがわかる。
【0044】なお、上記実施例では、固形分がAg粉末
である場合を例にとって説明したが、本願発明において
は、固形分の種類に特別の制約はなく、Ag粉末以外の
固形分を含有するペーストにも広く本願発明を適用する
ことが可能である。
【0045】[実施例3]図4は、本願発明の一実施例
にかかる多層基板を示す断面図である。なお、この多層
基板は、本願発明のスクリーン印刷用ペーストを用いて
形成された厚膜パターンを備えた多層基板である。
【0046】この多層基板11は、図4に示すように、
絶縁体層12a、12b、12c、12d、12e及び
12fと、誘電体層13a及び13bとを積層してなる
多層基板であって、内部には、内層銅パターン15やバ
イアホール16によって、コンデンサパターン、コイル
パターン、ストリップラインなどが形成されている。さ
らに、多層基板11の一方主面上には、チップコンデン
サなどのチップ部品20、厚膜抵抗体21、半導体IC
22などが配設されており、表層銅パターン17や内層
銅パターン15などにそれぞれ接続されている。
【0047】この多層基板は、必要に応じてバイアホー
ルが形成されたセラミックグリーンシート上に、貯蔵弾
性率G’を10000Pa以下とした本願発明のスクリ
ーン印刷用ペースト(例えば銅ペースト)を用いて、印
刷パターンを形成し、積層、圧着、焼成した後、チップ
部品20、半導体IC22を搭載し、厚膜抵抗体21を
印刷することにより形成されている。なお、内層銅パタ
ーン(厚膜パターン)15、表層銅パターン(厚膜パタ
ーン)17は幅が100μm以下、膜厚が5μm以上とな
っている。
【0048】この実施例3の多層基板11は、本願発明
のスクリーン印刷用ペーストを用いて形成された、通常
のスクリーン印刷用ペーストでは形成が困難な、幅が1
00μm以下、膜厚が5μm以上の微細な厚膜パターンを
備えており、小型化、高性能化、高信頼性の要請に応え
ることが可能になる。なお、この実施例3では、多層基
板を示しているが、多層化されていない回路基板をはじ
め、その他の種々の電子部品にも本願発明を適用するこ
とが可能である。
【0049】なお、本願発明は、上記の実施形態及び各
実施例に限定されるものではなく、固形分を構成する材
料、貯蔵弾性率G’の具体的な数値やその調整方法など
に関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変
形を加えることが可能である。
【0050】
【発明の効果】本願発明(請求項1)のスクリーン印刷
用ペーストは、周波数5Hzにおける貯蔵弾性率G’を
10000Pa以下としているので、スクリーン印刷を
行う際の版離れ時のパターン残り、すなわち、スクリー
ン印刷用ペーストがスクリーン印刷版側に残ることを少
なくすることが可能になる。したがって、微細なライン
を印刷形成する場合にも、膜厚が大きくて、短絡のない
ラインを、確実に形成することができる。
【0051】また、請求項2のように、含まれる固形分
の粒径(D50)を1μm以上、10μm未満とした場合、
貯蔵弾性率G’を10000Pa以下にすることが可能
になるとともに、スクリーン開口部への良好な充填性を
確保することが可能になる。したがって、膜厚が厚く、
しかも、断線のない信頼性の高い微細パターンをより確
実に形成することが可能になる。
【0052】また、請求項3の電子部品及び請求項4の
多層基板は、請求項1又は2記載のスクリーン印刷用ペ
ーストを用いて厚膜パターンが形成されており、通常の
スクリーン印刷用ペーストでは形成することが困難な、
幅が100μm以下、膜厚が5μm以上の微細な厚膜パタ
ーンを備えた、小型高性能で信頼性の高い電子部品及び
多層基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリーン印刷用ペーストの粘度特性(各弊断
速度における粘度)と膜厚(寄与率)の相関関係を示す
図である。
【図2】スクリーン印刷用ペーストの剪断速度10s-1
における粘度と印刷パターンの膜厚の関係を示す図であ
る。
【図3】スクリーン印刷用ペーストの貯蔵弾性率G’
(log[貯蔵弾性率G’])と印刷パターンの膜厚の関
係を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例にかかる多層基板を示す断
面図である。
【符号の説明】
11 多層基板 12a、12b、12c、12d、12e、12f 絶
縁体層 13a、13b 誘電体層 15 内層銅パターン 16 バイアホール 17 表層銅パターン 20 チップ部品 21 厚膜抵抗体 22 半導体IC
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H113 AA03 BA10 BB09 BB22 BB32 CA17 DA04 DA41 EA06 EA07 EA08 EA23 FA10 4J039 BA06 BD02 CA04 EA42 EA43 EA47 GA10 5E343 AA24 BB13 BB14 BB25 BB72 DD03 GG08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周波数5Hzにおける貯蔵弾性率G’が1
    0000Pa以下であることを特徴とするスクリーン印
    刷用ペースト。
  2. 【請求項2】固形分の粒径(D50)が1μm以上、10
    μm未満であることを特徴とする請求項1記載のスクリ
    ーン印刷用ペースト。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のスクリーン印刷用ペ
    ーストを用いて形成された、幅が100μm以下、膜厚
    が5μm以上の厚膜パターンを有していることを特徴と
    する電子部品。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載のスクリーン印刷用ペ
    ーストを用いて形成された、幅が100μm以下、膜厚
    が5μm以上の厚膜パターンを有していることを特徴と
    する多層基板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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