JP2002193986A - 二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの製造方法 - Google Patents

二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの製造方法

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JP2002193986A
JP2002193986A JP2000397158A JP2000397158A JP2002193986A JP 2002193986 A JP2002193986 A JP 2002193986A JP 2000397158 A JP2000397158 A JP 2000397158A JP 2000397158 A JP2000397158 A JP 2000397158A JP 2002193986 A JP2002193986 A JP 2002193986A
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dichlorophosphate
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phosphorus oxychloride
pentaerythritol diphosphate
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JP2000397158A
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Masanori Monri
昌則 門利
Seiichi Tanabe
誠一 田辺
Yutaka Takeya
竹谷  豊
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便で且つ短時間で、生産性良く、高品質の
二置換ペンタエリスリトールジホスフェートを製造する
方法を提供する。 【解決手段】 二置換ペンタエリスリトールジホスフェ
ートの製造方法において、(1)過剰のオキシ塩化リン
とフェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物とを
反応させ、芳香族モノ置換ジクロロホスフェートを含む
反応液を得て(第一反応工程)、(2)得られた反応液
からオキシ塩化リンを芳香族モノ置換ジクロロホスフェ
ートに対して5モル%以下になる量まで留去し(留去工
程)、次いで、(3)留去工程で得られた液とペンタエ
リスリトールとを反応させて二置換ペンタエリスリトー
ルジホスフェートを得る(第二反応工程)、ことを特徴
とする二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高分子用添加剤とし
て有用な二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの
製造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子用の高機能化材料としてリ
ン系有機化合物が多く用いられており、例えば高分子用
の難燃剤、安定剤、可塑剤等として多くの化合物が提案
されている。その一つとして後述する一般式[III]
で表されるような二置換ペンタエリスリトールジホスフ
ェートがあり、高分子用難燃剤を中心として多くの提案
がなされている。例えば米国特許第3090799号明
細書、米国特許第3866405号公報、特開昭53−
4061号公報、特開昭54−157156号公報、特
開平5−92986号公報などがある。
【0003】ペンタエリスリトールと後述する一般式
[II]で表されるリン化合物から、一般式[III]
で表されるような二置換ペンタエリスリトールジホスフ
ェートを得る反応を促進させる手段として多くの提案が
なされている。例えば、特開平5−92986号公報で
は触媒として、塩化アルミニウムの使用が記載されてお
り、特開昭53−4061号公報では、触媒として塩化
カリウムの使用が示されている。
【0004】また、米国特許3866405号明細書で
は、脱塩化水素剤としてほぼ化学量論量のピリジンの使
用が示されており、12〜15℃の温度で反応させてい
る。
【0005】さらに、収率の改善方法として、特開平0
9−169789号公報では、ピリジンをフェニルジク
ロロホスフェートに対して4〜200倍モル使用するこ
とや、特開平09−169790号公報では、反応させ
るペンタエリスリトールの粒度を規定する試みがなされ
ている。
【0006】しかしながら、これらの特許は、いずれも
原料として使用される一般式[II]で表されるリン化
合物については、特に言及されておらず、その純度につ
いても規定していない。
【0007】一方、一般式[II]で表されるリン化合
物を製造する方法として、マグネシウムの化合物を使っ
た例では、特開平10−7690号公報に、芳香族性置
換機を持つリン酸エステルを高収率で得る方法が開示さ
れている。この公報には、用いる触媒として、金属マグ
ネシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウムのう
ち、少なくとも一種以上の触媒を用いることが示されて
いる。
【0008】そして、具体的な方法としては、反応容器
にまずオキシ塩化リンを入れ、所定量の触媒を入れ、次
いでオキシ塩化リンが還流するまで加熱を行い、フェノ
ール性OH基を有する一価の芳香族化合物を少量ずつ滴
下する方法が示されている。反応終了後、反応溶液中の
過剰のオキシ塩化リンを完全に留去して一般式[II]
で表されるリン化合物を単離している。
【0009】ペンタエリスリトールと芳香族モノ置換ジ
クロロホスフェートで表されるリン化合物から、一般式
[III]で表されるような二置換ペンタエリスリトー
ルジホスフェートを収率よく得るためには、高純度の芳
香族モノ置換ジクロロホスフェートが必要となる。
【0010】モノフェニルジクロロホスフェートを高純
度で得るためには、反応溶液から、オキシ塩化リン及び
溶媒を系外に留去したのち、さらに、ジフェニルクロロ
ホスフェート等の除去のために、高温、高真空度による
精密蒸留が必要となる。ガラスライニングした反応釜
で、180℃程度で、数千Pa程度の真空蒸留を行うこ
とは、製造工程が煩雑で設備が大掛かりとなり生産性に
おいて充分であるとは言えない。従って、簡単な装置を
用いて、生産性良く、高純度の二置換ペンタエリスリト
ールジホスフェートを製造できる方法が求められてい
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡便
で且つ短時間で、生産性良く、高品質の二置換ペンタエ
リスリトールジホスフェートを製造する方法を提供する
ことである。
【0012】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研
究した結果、驚くべきことに芳香族モノ置換ジクロロホ
スフェート類の製造において、反応終了後の過剰のオキ
シ塩化リンをある程度反応系外に留去し、系内の残存オ
キシ塩化リンの量が芳香族モノ置換ジクロロホスフェー
トに対して5モル%以下となるようにして、次いで、上
記一般式(II)で表されるリン化合物と反応すること
により、簡便で且つ短時間で、生産性良く、高純度の二
置換ペンタエリスリトールジホスフェートが得られるこ
とを見出し、本発明に至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、下記式(III)で示される二置換ペンタエリスリ
トールジホスフェートの製造方法において、(1)過剰
のオキシ塩化リンと下記式(I)で示されるフェノール
性OH基を有する一価の芳香族化合物とを反応させ、下
記式(II)で示される芳香族モノ置換ジクロロホスフ
ェートを含む反応液を得て(第一反応工程)、(2)得
られた反応液からオキシ塩化リンを芳香族モノ置換ジク
ロロホスフェートに対して5モル%以下になる量まで留
去し(留去工程)、次いで、(3)留去工程で得られた
液とペンタエリスリトールとを反応させて二置換ペンタ
エリスリトールジホスフェートを得る(第二反応工
程)、ことを特徴とする二置換ペンタエリスリトールジ
ホスフェートの製造方法が提供される。
【0014】
【化4】
【0015】[式中、Rは炭素数6〜15のアリール基
であり芳香環や芳香環に置換したアルキル鎖上の水素原
子がハロゲン原子で置換されていてもよい。]
【0016】
【化5】
【0017】[式中、Rは上記式(I)の定義と同じで
ある。]
【0018】
【化6】
【0019】[式中、Rは上記式(I)の定義と同じで
ある。] 以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】本発明で使用されるオキシ塩化リンは市販
のものをそのまま用いることができる。その際には、9
9%以上の純度のものが好ましい。さらに好ましくは蒸
留精製したオキシ塩化リンである。蒸留精製の方法は、
一般的な方法が適用でき、好ましくは、大気圧下で窒素
等の乾燥気体の雰囲気下において蒸留する方法である。
【0021】本発明で使用されるフェノール性OH基を
有する一価の芳香族化合物は、前記式(I)で表され、
炭素数6〜15のアリール基としては、例えばベンゼン
環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。前
記式(I)の化合物として、具体的にはフェノール、2
−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−エチ
ルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピ
ルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−n−
ブチルフェノール、4−n−ブチルフェノール、2−イ
ソブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、2−
tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフ
ェノール、2−ネオペンチルフェノール、4−ネオペン
チルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6
−ジメチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチル
フェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノー
ル、4−tert−ブチル−2−メチルフェノール、2
−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,
6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリ−ter
t−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチル
−6−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチ
ル4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2,
6−ジメチルフェノール、2−tert−ブチル−4,
6−ジメチルフェノール、クミルフェノール、1−ナフ
トール、2−ナフトール、2−ビフェノール、3−ビフ
ェノール、4−ビフェノール、4−ベンジルフェノー
ル、1−アントラセノール、2−アントラセノール、9
−アントラセノール、2−クロロフェノール、2,4−
ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、
2,4,6−トリクロロフェノール、2−ブロモフェノ
ール、2,4−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモ
フェノール、2,4,6−トリブロモフェノール等が挙
げられる。なかでも、フェノール、2−メチルフェノー
ル、4−メチルフェノール、2,4−ジメチルフェノー
ル、2,6−ジメチルフェノールが工業的に入手し易く
好ましく、特にフェノールが好ましい。
【0022】本発明における第一反応工程において、反
応時に用いる触媒は塩化マグネシウムが好ましく、適当
量の水分を含有した粉末か顆粒状のものが好ましい。塩
化マグネシウム触媒の含水率は0.3〜10重量%であ
り、好ましくは0.5〜8重量%であり、さらに好まし
くは1〜5重量%である。塩化マグネシウム触媒の含水
率が0.3重量%以上の場合は、塩化マグネシウムを用
いてオキシ塩化リンとフェノール性OH基を有する一価
の芳香族化合物とを反応させた場合、反応が激しすぎて
暴走してしまう恐れがなく、生成物が複雑とならず、収
率も低下することもない。また、塩化マグネシウム触媒
の含水率が10重量%以下の場合には、反応に要する時
間が適度に短く、また、副生成物が少なく好ましい。
【0023】第一反応工程において、原料のフェノール
性OH基を有する一価の芳香族化合物と溶媒の総量に対
して、適当量の水分を含有したものが好ましい。原料の
フェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物と溶媒
の総量に対して、含水率は好ましくは20〜5000p
pmであり、より好ましくは30〜4000ppmであ
り、さらに好ましくは40〜3000ppmである。原
料のフェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物と
溶媒の総量に対しての含水率が20ppm以上の場合
は、塩化マグネシウムを用いてオキシ塩化リンとフェノ
ール性OH基を有する一価の芳香族化合物とを反応させ
た場合、反応が激しすぎて暴走してしまう恐れがなく、
生成物が複雑とならず、収率も良好で好ましい。また、
原料のフェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物
と溶媒の総量に対しての含水率が5000ppm以下の
場合は、反応に要する時間が適度の短く、また、副生成
物が少なく好ましい。
【0024】本発明における第一反応工程において、反
応時に用いるオキシ塩化リンと前記式(I)で示される
フェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物との割
合は、オキシ塩化リンが過剰であり、モル比で2.0〜
4.0:1.0の範囲が好ましく、2.3〜4.0:
1.0の範囲がより好ましい。オキシ塩化リンの割合が
2.0より小さい場合は、副生成物である一価の芳香族
化合物の2,3置換体を生成する割合が多くなることが
ある。また、オキシ塩化リンの割合が4.0より大きい
場合は、過剰に用いたオキシ塩化リンの回収に時間を要
することとなる。
【0025】本発明の第一反応工程において、反応時に
用いる塩化マグシウム触媒と、前記式(I)で示される
フェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物との割
合は、モル比で0.01〜0.25:1.0の範囲が好
ましく、0.01〜0.15:1.0の範囲がより好ま
しい。塩化マグシウム触媒の割合が上記範囲内であると
触媒としての効果が発揮され、また、副反応の起きる割
合が低くなり目的の芳香族モノ置換ジクロロホスフェー
トが高収率で得られ好ましい。
【0026】本発明の第一反応工程において、反応時の
圧力は大気圧下もしくは加圧下で行うことが好ましい。
ここで大気圧とは、反応容器内を特に加圧も減圧もして
いない状態のことである。好ましくは、窒素等の不活性
乾燥気体をフローすることによって、反応容器内がわず
かに加圧され水蒸気を含んだ外気が侵入しない状態であ
る。従って乾燥気体の置換方法は、反応容器内の乾燥気
体を連続的または断続的に置換すればよく、好ましくは
連続的にフローする方法である。
【0027】上記不活性乾燥気体とは、反応に関与せ
ず、かつ充分に乾燥した状態の気体である。具体的に
は、窒素、アルゴン、ヘリウムガス等が挙げられる。好
ましくは、比較的安価で容易に入手できる窒素である。
さらに好ましくは、塩化カルシウム等の乾燥剤や、硫酸
中にバブリングすることによって完全に乾燥させた窒素
である。乾燥窒素あるいは不活性ガスで反応容器の空間
部を置換するのは、発生する塩化水素ガスを反応系外に
除去するだけでなく、反応系外から水分の侵入を防ぐ目
的がある。
【0028】本発明の第一反応工程において、有機溶媒
を使用することができる。溶媒の種類は反応に関与しな
ければ特に限定はされず、好ましくは塩化メチレン、ジ
クロロエタン、クロロベンゼンが挙げられる。さらに好
ましくは、比較的沸点の高いクロロベンゼンである。溶
媒の量は、フェノール性OH基有する一価の芳香族化合
物を十分に溶解できる程度用いるのがよい。あまり多く
用いると、バッチ当たりの収量が少なくなり生産性が低
下し、また、溶媒の回収にも時間がかかり好ましくな
い。フェノール性OH基有する一価の芳香族化合物がオ
キシ塩化リンに可溶な場合には、溶媒は使用しないほう
が好ましい。
【0029】本発明の第一反応工程における反応方法
は、フェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物お
よびオキシ塩化リンを反応容器に実質的に同時に仕込
み、または必要であれば溶媒を添加し、引き続き所定量
の触媒を添加する。触媒が完全に溶解した時点で昇温を
開始しオキシ塩化リンの還流温度で反応する方法が採用
される。反応は速やかに進行し、約50〜60分で芳香
族モノ置換ジクロロホスフェートの合成反応は終了す
る。ここで、実質的に同時に仕込むというのは、厳密に
全く両者を同時に添加することのみを意味するものでは
なく、一方の剤を添加し、この剤を添加終了後、少なく
とも10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは
3分以内、特に好ましくは1分以内に他方の剤が添加を
終了していることを意味している。
【0030】この様に、原料を一括投入した場合には、
短時間で反応が進み、高収率で所望の芳香族モノ置換ジ
クロロホスフェートが得られ、また、装置が簡略化で
き、生産性も向上する。さらに、フェノール性OH基を
有する一価の芳香族化合物が、オキシ塩化リンに可溶の
場合には、オキシ塩化リンが実質溶媒としても使用でき
るため溶媒は使用しなくて済み、バッチ当たりの収量が
多くなる。また、回収工程がより簡略化される利点があ
る。
【0031】一方、フェノール性OH基を有する一価の
芳香族化合物を少量ずつ滴下する方法を用いた場合に
は、反応が徐々に進行し、芳香族モノ置換ジクロロホス
フェートの合成に時間がかかり、生産性の点で不十分と
なる。反応時間が30分程度の場合には、未反応のフェ
ノール性OH基を有する一価の芳香族化合物が残留する
ことがある。
【0032】上記第一反応工程で得られた反応液は、次
いで、この反応液からオキシ塩化リンを芳香族モノ置換
ジクロロホスフェートに対して5モル%以下、好ましく
は4.5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下に
なる量まで留去させる。
【0033】この留去工程においては、高温、高真空度
による精密蒸留を行う必要はなく、最終的な減圧度とし
ては、20×102〜280×102Paの範囲が好まし
く、27×102〜250×102Paの範囲がより好ま
しく、30×102〜230×102Paの範囲が特に好
ましい。留去温度としては、50〜170℃の範囲が好
ましく、80〜160℃の範囲がより好ましく、110
〜150℃の範囲が特に好ましい。
【0034】また、この留去工程においては、完全にオ
キシ塩化リンを留去させる必要はない。ある範囲内でオ
キシ塩化リンが残存していても、最終目的物の二置換ペ
ンタエリスリトールジホスフェートにおいて、その難燃
剤としての使用による樹脂の難燃性、色相に大きな悪影
響を与えない。したがって、留去工程後のオキシ塩化リ
ン量は、芳香族モノ置換ジクロロホスフェート量に対し
て、好ましくは0.05モル%〜5モル%、より好まし
くは0.1モル%〜4.5モル%、さらに好ましくは
0.3モル%〜3モル%の範囲で残存していてもよい。
【0035】反応系内の残存オキシ塩化リン(POCl
3)量の分析は、120Mzの31P核磁気共鳴スペクト
ル(NMRスペクトル)のピーク面積比で求められる。
【0036】系内の残存オキシ塩化リンの量が、芳香族
モノ置換ジクロホスフェートに対して5モル%より多い
場合は、次いで、この液とペンタエリスリトールとを反
応させ、二置換ペンタエリスリトールジホスフェートを
製造した際、純度が低くなり、洗浄によっても酸価が低
下し難く、樹脂に練り込んだ際、成形ヤケが生じ易く好
ましくない。
【0037】上記留去工程によりオキシ塩化リンを所定
量以下まで留去した芳香族モノ置換ジクロロホスフェー
トを含む液は、そのまま次の反応に用いることができ
る。
【0038】本発明において、フェノール性OH基を有
する一価の芳香族化合物を原料として製造される芳香族
モノ置換ジクロロホスフェートの具体例としては、モノ
フェニルジクロロホスフェート、モノ(2−メチルフェ
ニル)ジクロロホスフェート、モノ(4−メチルフェニ
ル)ジクロロホスフェート、モノ(2−エチルフェニ
ル)ジクロロホスフェート、モノ(4−エチルフェニ
ル)ジクロロホスフェート、モノ(2−イソプロピルフ
ェニル)ジクロロホスフェート、モノ(4−イソプロピ
ルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(2−n−ブ
チルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(4−n−
ブチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(2−イ
ソブチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(4−
イソブチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(2
−tert−ブチルフェニル)ジクロロホスフェート、
モノ(4−tert−ブチルフェニル)ジクロロホスフ
ェート、モノ(2−ネオペンチルフェニル)ジクロロホ
スフェート、モノ(4−ネオペンチルフェニル)ジクロ
ロホスフェート、モノ(2,4−ジメチルフェニル)ジ
クロロホスフェート、モノ(2,6−ジメチルフェニ
ル)ジクロロホスフェート、モノ(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ジクロロホ
スフェート、モノ(4−tert−ブチル−2−メチル
フェニル)ジクロロホスフェート、モノ(2−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ジクロロホスフェー
ト、モノ(2,4,6−トリメチルフェニル)ジクロロ
ホスフェート、モノ(2,4,6−トリ−tert−ブ
チルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(2,4−
ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ジクロロ
ホスフェート、モノ(2,6−ジ−tert−ブチル−
4−メチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(4
−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)ジク
ロロホスフェート、モノ(2−tert−ブチル−4,
6−ジメチルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ
(クミルフェニル)ジクロロホスフェート、モノ(1−
ナフチル)ジクロロホスフェート、モノ(2−ナフチ
ル)ジクロロホスフェート、モノ(2−ビフェニル)ジ
クロロホスフェート、モノ(3−ビフェニル)ジクロロ
ホスフェート、モノ(4−ビフェニル)ジクロロホスフ
ェート、モノ(4−ベンジルフェニル)ジクロロホスフ
ェート、モノ(1−アントラセニル)ジクロロホスフェ
ート、モノ(2−アントラセニル)ジクロロホスフェー
ト、モノ(9−アントラセニル)ジクロロホスフェート
等が挙げられる。
【0039】本発明の第二反応工程において、上記芳香
族モノ置換ジクロロホスフェートを含む液とペンタエリ
スリトールとを反応させて、上記式(III)で示され
る二置換ペンタエリスリトールジホスフェートを製造す
る。
【0040】本発明の第二反応工程において、所望によ
り酸補促剤が使用される。酸補促剤としては、3級アミ
ンが好ましく使用され、具体的には、トリエチルアミ
ン、トリイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルア
ミン、トリシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレ
ンジアミン、トリーn―オクチルアミン、1、4―ジア
ザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、ヘ
キサメチレンテトラミン、N−メチルモルホリン、ピリ
ジン、ピコリン、ルチジン、N,N−ジメチルアニリン
等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ピリジ
ン、ピコリン、ルチジンであり、更に好ましくはトリエ
チルアミン及びピリジンである。これらは、1種若しく
は2種以上の混合物であってもよい。
【0041】第二反応工程で酸捕捉剤を使用する場合
は、上記一般式(II)の化合物1モルに対し好ましく
は1〜4モル、より好ましくは1.2〜3モル、さらに
好ましくは1.4〜2.4モルの酸捕捉剤を使用するこ
とが好ましい。
【0042】また、酸捕捉剤に含まれる水分量は少ない
方がよく、水分量が多くなると一般式(II)で表され
る化合物等と水とが反応し、収率低下の原因となる。該
酸捕捉剤の含水量の目安としては、1000ppm以
下、好ましくは100ppm以下である。
【0043】また、本発明の第二反応工程において、所
望により溶媒が用いられる。使用される溶媒は、実質的
に反応に不活性な溶媒、すなわち溶媒自らが化学反応に
関与し副生成物を生じさせたり、副反応を誘発する事の
ない溶媒であり、例えばトルエン、キシレン、ニトロベ
ンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石
油エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、
ジ−n−ブチルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロ
ロホルム等ガ挙げられる。好ましいのは塩化メチレン、
クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリルであり、
より好ましくは、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタ
ン、1,4−ジオキサンであり、更に好ましくは塩化メ
チレンである。これらは1種若しくは2種以上の混合物
であってもよい。溶媒の使用量は、ペンタエリスリトー
ル1モルに対し100〜3000mlの範囲が好まし
い。
【0044】また、該溶媒に含まれる水分量は少ない方
がよく、水分量が多くなると一般式(II)で表される
化合物等と溶媒中の水とが反応し、収率や純度低下の原
因となる。該溶媒中の含水量の目安としては1000p
pm以下、好ましくは100ppm以下である。
【0045】本発明において使用される上記式(II)
で表される芳香族モノ置換ジクロロホスフェートの使用
量は、ペンタエリスリトール1モルに対して1.90〜
2.10モルが好ましく、1.98〜2.02モルがよ
り好ましい。上記範囲内では目的物の収率、純度が良好
で、目的物の精製操作並びに廃棄物の処理、原料の回収
再利用等の負荷が小さく好ましい。
【0046】また、本発明において、芳香族モノ置換ジ
クロロホスフェート含有液の添加は、溶媒の還流下に行
うことが好ましい。ただし、厳密に芳香族モノ置換ジク
ロロホスフェートを添加する前に溶媒が還流状態である
必要はなく、芳香族モノ置換ジクロロホスフェートを添
加中、少なくとも添加時間の1/2の時間になるまでに
反応系が溶媒の還流状態になれば良い。好ましい様態と
しては、芳香族モノ置換ジクロロホスフェートを添加す
る前に反応系の溶媒が還流状態となっていることであ
る。
【0047】本発明で使用するペンタエリスリトールは
特に限定しないが、反応に用いる前に120℃〜150
℃で1時間以上乾燥したものが好ましい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、さらに詳細
に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。但し、収率は重量%で示した。
【0049】なお、実施例で使用した含水率の低い塩化
マグネシウム触媒は、シリカゲル入りのデシケーター内
で保管していたものを、ドライボックス中で計量しすぐ
に反応に使用した。
【0050】塩化マグネシウム触媒の含水率の分析、原
料のフェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物及
び溶媒の含水率の分析、目的生成物および副生成物の分
析は、次の方法に従った。 (1)塩化マグネシウム触媒、原料のフェノール性OH
基を有する一価の芳香族化合物及び溶媒の含水率の分析 (i)塩化マグネシウム触媒の含水率 試料0.35gを精秤し、この固体試料をカールフィッ
シャー(三菱化成(株)製電量滴定式水分測定装置 C
A−06型、陽極液;アクアミクロンAX、陰極液;ア
クアミクロンCXU)により測定を行った。 (ii)原料のフェノール性OH基を有する一価の芳香
族化合物及び溶媒の含水率
【0051】溶媒を使用しない場合は、原料のフェノー
ル性OH基を有する一価の芳香族化合物を溶融させ0.
5gを精秤して上記のカールフィッシャーにシリンジで
注入することにより測定を行った。又、溶媒を使用する
場合は、原料のフェノール性OH基を有する一価の芳香
族化合物を溶媒に溶解させたもの0.5gを精秤して上
記のカールフィッシャーにシリンジで注入することによ
り測定を行った。 (2)目的生成物及び副生成物の分析31 P−NMR及び1H−NMRを用いて分析を行った。 (3)難燃性(UL−94評価) 難燃性は厚さ1/8インチ(3.2mm)のテストピー
スを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のU
L−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を
行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が30秒
以内で、滴下して消火するものがV−2であり、この評
価基準以下のものをnotVとした。 (4)還元粘度(ηsp/C) ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、4000rpmで30分間遠心分
離する。上澄み液を取り出し、メタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。このようにして得られた樹脂
0.1gをトルエンに溶解し、0.5g/dlの溶液と
し、この溶液10mlをオストワルド型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液の流下秒数t1を測定した。一方、同
じ粘度計でトルエンの流下秒数t0を測定し、以下の数
式により算出した。 ηsp/C=(t1/t0−1)/C (C:ポリマー濃
度g/dl)
【0052】(5)ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム状
重合体成分量 核磁気共鳴測定装置(バリアン製、UNITY300)
により水素原子の核磁気共鳴を測定し、スチレンユニッ
トと、ブタジエンユニットのモル比よりゴム状重合体成
分量を算出した。
【0053】実施例、比較例で用いる各成分は、以下の
ものを用いた。 (A)ゴム変性スチレン系樹脂 還元粘度ηsp/C=0.51dl/g、ゴム状重合体成
分4.3重量%であるゴム変性スチレン系樹脂(以下H
IPS−1と称する) (B)有機リン化合物 ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート (1)実施例1で合成した化合物 FR−1 (2)実施例2で合成した化合物 FR−2 (3)比較例1で合成した化合物 FR−3 (4)比較例2で合成した化合物 FR−4 と称
する
【0054】[実施例1] (A)攪拌器、冷却器を備えた300mlの三つ口フラ
スコに大気圧下で含水率50ppmのフェノール30.
5部及びオキシ塩化リン171.5部(フェノールに対
して3.43倍モル)を同時に入れ、さらに触媒として
含水率2.4重量%の塩化マグネシウム(MgCl2
赤穂化成(株)製PS)0.46部(フェノールに対し
て1.48モル%)を加えて窒素(4l/min)をフ
ローした。次に反応釜を約110℃〜120℃に加熱し
た。フラスコの内温が68〜70℃になった辺りから反
応溶液中の泡だちが激しくなった。加熱開始後、約60
分で泡立ちは無くなった。この泡立ちが無くなった後、
反応温度をほぼ100℃まで上げながら30分間攪拌を
行った。この時点で反応溶液のサンプリングを行い 1
−NMRスペクトルにより、未反応のフェノールが存在
しないことを確認した。
【0055】次いで、まず、常圧下、130℃で、反応
液中の過剰のオキシ塩化リンを留去し、さらに減圧下
(200×102Pa)、65℃でオキシ塩化リンを留
去し、最終的に減圧下(200×102Pa)、130
℃でオキシ塩化リンを留去しモノフェニルジクロロホス
フェートを含む液を得た。収率は、フェノール基準でほ
ぼ100%であった。なお、釜残中の残存オキシ塩化リ
ンはモノフェェニルジクロロホスフェートに対して2.
5モル%であった。なお、その他の副生成物は、ジフェ
ニルモノクロロホスフェートであった。トリフェニルホ
スフェートの生成は認められなかった。反応中に発生す
る塩化水素のガスは、フローした窒素と共に水酸化ナト
リウム水溶液にバブリングさせて回収した。
【0056】(B)次いで、ピリジン219.4部(発
生するHClの約1.00倍モル)、ペンタエリスリト
ール21.9部、塩化メチレン415.3部を反応容器
に仕込み、攪拌しながら温度を約48〜50℃に昇温
し、これに上記(A)で製造したモノフェニルジクロロ
ホスフェートを含む液68.0部(ペンタエリスリトー
ルの2.0倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって温
度が52℃を超えないように滴下の速度をコントロール
した。滴下終了後温度を40〜42℃に維持し約2時間
攪拌しモノフェニルジクロロホスフェートの消失を確認
した後に、塩化メチレンを留去しながら、水163.5
部を塩化メチレンの留去速度とほぼ同じ速度で滴下し
た。塩化メチレンの留去終了後、槽内の温度を約80℃
に維持し、この温度のまま遠心分離機で固液分離した。
固形分59.0部を洗浄槽に移し、水163.5部を入
れ温度を約80℃に維持し約30分間攪拌洗浄を行い、
遠心分離機で固液分離した。この洗浄槽での洗浄及び固
液分離の操作を約4回繰り返した。、固液分離、乾燥
後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート5
3.6部を得た。この時のフェノール基準の収率は8
0.3%であり、酸価は0.46であった。
【0057】[実施例2] (A)攪拌器、冷却器を備えた300mlの三つ口フラ
スコに大気圧下で含水率50ppmのフェノール30.
51部及びオキシ塩化リン171.5部(フェノールに
対して3.43倍モル)を同時に入れ、さらに触媒とし
て含水率2.4重量%の塩化マグネシウム(MgC
2;赤穂化成(株)製PS)0.46部(フェノール
に対して1.48モル%)を加えて窒素(4l/mi
n)をフローした。次に反応釜を約110℃〜120℃
に加熱した。フラスコの内温が68〜70℃になった辺
りから反応溶液中の泡だちが激しくなった。加熱開始
後、約60分で泡立ちは無くなった。この泡立ちが無く
なった後、反応温度をほぼ100℃まで上げながら30
分間攪拌を行った。この時点で反応溶液のサンプリング
を行い1H−NMRスペクトルにより、未反応のフェノ
ールが存在しないことを確認した。
【0058】次いで、まず、常圧下130℃で、反応溶
液中の過剰のオキシ塩化リンを留去し、さらに減圧下
(200×102Pa)、65℃でオキシ塩化リンを留
去し、最終的に減圧下(40×102Pa)、130℃
でオキシ塩化リンを留去しモノフェニルジクロロホスフ
ェートを含む液を得た。収率は、フェノール基準でほぼ
98.5%であった。なお、釜残中の残存オキシ塩化リ
ンはモノフェニルジクロロホスフェートに対して0.5
モル%であった。なお、その他の副生成物は、ジフェニ
ルモノクロロホスフェートであった。トリフェニルホス
フェートの生成は認められなかった。反応中に発生する
塩化水素のガスは、フローした窒素と共に水酸化ナトリ
ウム水溶液にバブリングさせて回収した。
【0059】(B)次いで、ピリジン 216.1部
(発生するHClの約1.00倍モル)、ペンタエリス
リトール21.6部、塩化メチレン409.1部を反応
容器に仕込み、攪拌しながら温度を約48〜50℃に昇
温し、これに上記(A)で製造したモノフェニルジクロ
ロホスフェートを含む液65.6部(ペンタエリスリト
ールの2.0倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって
温度が52℃を超えないように滴下の速度をコントロー
ルした。滴下終了後温度を40〜42℃に維持し約2時
間攪拌しモノフェニルジクロロホスフェートの消失を確
認した後に、塩化メチレンを留去しながら、水163.
5部を塩化メチレンの留去速度とほぼ同じ速度で滴下し
た。塩化メチレンの留去終了後、槽内の温度を約80℃
に維持し、この温度のまま遠心分離機で固液分離した。
固形分59.7部を洗浄槽に移し、水163.5部を入
れ温度を約80℃に維持し約30分間攪拌洗浄を行い、
遠心分離機で固液分離した。この洗浄槽での洗浄及び固
液分離の操作を約4回繰り返した。、固液分離、乾燥
後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート5
4.2部を得た。この時のフェノール基準の収率は8
1.2%であり、酸価は0.30であった。
【0060】[比較例1] (A)攪拌器、冷却器を備えた300mlの三つ口フラ
スコに大気圧下で含水率50ppmのフェノール30.
51部及びオキシ塩化リン171.5部(フェノールに
対して3.43倍モル)を同時に入れ、さらに触媒とし
て含水率2.4重量%の塩化マグネシウム(MgC
2;赤穂化成(株)製PS)0.46部(フェノール
に対して1.48モル%)を加えて窒素(4l/mi
n)をフローした。次に反応釜を約110℃〜120℃
に加熱した。フラスコの内温が68〜70℃になった辺
りから反応溶液中の泡だちが激しくなった。加熱開始
後、約60分で泡立ちは無くなった。この泡立ちが無く
なった後、反応温度をほぼ100℃まで上げながら30
分間攪拌を行った。この時点で反応溶液のサンプリング
を行い1H−NMRスペクトルにより、未反応のフェノ
ールが存在しないことを確認した。
【0061】次いで、まず、常圧下130℃で、反応溶
液中の過剰のオキシ塩化リンを留去し、さらに減圧下
(293×102Pa)、70℃でオキシ塩化リンを留
去し、最終的に減圧下(293×102Pa)、100
℃でオキシ塩化リンを留去しモノフェニルジクロロホス
フェートを含む液を得た。この液の収量(オキシ塩化リ
ン等不純物を含めた全体量)は、フェノール基準でモノ
フェニルジクロロホスフェートの理論収量の105%で
あった。なお、釜残中の残存オキシ塩化リンはモノフェ
ニルジクロロホスフェートに対して8.5モル%であっ
た。なお、その他の副生成物は、ジフェニルモノクロロ
ホスフェートであった。トリフェニルホスフェートの生
成は認められなかった。反応中に発生する塩化水素のガ
スは、フローした窒素と共に水酸化ナトリウム水溶液に
バブリングさせて回収した。
【0062】(B)次いで、ピリジン230.4部(発
生するHClの約1.00倍モル)、ペンタエリスリト
ール23.0部、塩化メチレン436.1部を反応容器
に仕込み、攪拌しながら温度を約48〜50℃に昇温
し、これに上記(A)で製造したモノフェニルジクロロ
ホスフェートを含む液69.5部(ペンタエリスリトー
ルの2.0倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって温
度が52℃を超えないように滴下の速度をコントロール
した。滴下終了後温度を40〜42℃に維持し約2時間
攪拌しモノフェニルジクロロホスフェートの消失を確認
した後に、塩化メチレンを留去しながら、水163.5
部を塩化メチレンの留去速度とほぼ同じ速度で滴下し
た。塩化メチレンの留去終了後、槽内の温度を約80℃
に維持し、この温度のまま遠心分離機で固液分離した。
固形分61.8部を洗浄槽に移し、水163.5部を入
れ温度を約80℃に維持し約30分間攪拌洗浄を行い、
遠心分離機で固液分離した。この洗浄槽での洗浄及び固
液分離の操作を約4回繰り返した。、固液分離、乾燥
後、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを
得た。この時のフェノール基準の収率は82.4%であ
り、酸価は1.2であった。
【0063】[比較例2] (A)攪拌器、冷却器を備えた300mlの三つ口フラ
スコに大気圧下で含水率50ppmのフェノール30.
51部及びオキシ塩化リン171.5部(フェノールに
対して3.43倍モル)を同時に入れ、さらに触媒とし
て含水率2.4重量%の塩化マグネシウム(MgC
2;赤穂化成(株)製PS)0.46g(フェノール
に対して1.48モル%)を加えて窒素(4l/mi
n)をフローした。次に反応釜を約110℃〜120℃
に加熱した。フラスコの内温が68〜70℃になった辺
りから反応溶液中の泡だちが激しくなった。加熱開始
後、約60分で泡立ちは無くなった。この泡立ちが無く
なった後、反応温度をほぼ100℃まで上げながら30
分間攪拌を行った。この時点で反応溶液のサンプリング
を行い1H−NMRスペクトルにより、未反応のフェノ
ールが存在しないことを確認した。
【0064】次いで、まず、常圧下130℃で、反応溶
液中の過剰のオキシ塩化リンを留去し、さらに減圧下
(200×102Pa)、130℃でオキシ塩化リンを
留去し、最終的に減圧下(13.3×102〜16×1
2Pa)、180℃でモノフェニルジクロロホスフェ
ートを精製蒸留してモノフェニルジクロロホスフェート
を得た。収率はフェノール基準で73.2%であった。
なお、精製蒸留したモノフェニルジクロロホスフェート
中には、オキシ塩化リンおよび副生成物のジフェニルモ
ノクロロホスフェートは残存していなかった。また、ト
リフェニルホスフェートの生成は認められなかった。反
応中に発生する塩化水素のガスは、フローした窒素と共
に水酸化ナトリウム水溶液にバブリングさせて回収し
た。
【0065】(B)次いで、ピリジン230.4部(発
生するHClの約1.00倍モル)、ペンタエリスリト
ール23.0部、塩化メチレン436.1部を反応容器
に仕込み、攪拌しながら温度を約48〜50℃に昇温
し、これに上記(A)で製造したモノフェニルジクロロ
ホスフェート液69.5部(ペンタエリスリトールの
2.0倍モル)を徐々に滴下した。発熱によって温度が
52℃を超えないように滴下の速度をコントロールし
た。滴下終了後温度を40〜42℃に維持し約2時間攪
拌しモノフェニルジクロロホスフェートの消失を確認し
た後に、塩化メチレンを留去しながら、水163.5部
を塩化メチレンの留去速度とほぼ同じ速度で滴下した。
塩化メチレンの留去終了後、槽内の温度を約80℃に維
持し、この温度のまま遠心分離機で固液分離した。固形
分61.8部を洗浄槽に移し、水163.5部を入れ温
度を約80℃に維持し約30分間攪拌洗浄を行い、遠心
分離機で固液分離した。この洗浄槽での洗浄及び固液分
離の操作を約4回繰り返した。、固液分離、乾燥後、ジ
フェニルペンタエリスリトールジホスフェートを得た。
この時のフェノール基準の収率は73.2%であり、酸
価は0.15であった。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】[実施例3〜5、比較例3、4および参考
例1]表2記載の各成分を表2記載の量(重量部)でタ
ンブラーにて配合し、1.5mmφ二軸押出機(テクノ
ペル製、KZW15)にて樹脂温度180℃でペレット
化し、得られたペレットを65℃の熱風乾燥機にて4時
間乾燥を行った。乾燥したペレットを射出成形機
((株)日本製鋼所製、J75Si)にてシリンダー温
度200℃で成形した。成形板を用いて評価した結果を
表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】本発明は、簡便な装置を用いて、生産性
良く、実質樹脂に練り込んだ際の品質が変わらない高品
質の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートを得る
ことが出来る。この二置換ペンタエリスリトールジホス
フェートは、高分子材料の多様な添加剤として有用であ
り、その工業的効果は極めて大きいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹谷 豊 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4H039 CA90 CD10 4H050 AA02 AD11 BA06 BA37 BC31 BC34 BC37 BD10 BD21 BD70 BE54 WA13 WA15 WA23 WA26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(III)で示される二置換ペン
    タエリスリトールジホスフェートの製造方法において、
    (1)過剰のオキシ塩化リンと下記式(I)で示される
    フェノール性OH基を有する一価の芳香族化合物とを反
    応させ、下記式(II)で示される芳香族モノ置換ジク
    ロロホスフェートを含む反応液を得て(第一反応工
    程)、(2)得られた反応液からオキシ塩化リンを芳香
    族モノ置換ジクロロホスフェートに対して5モル%以下
    になる量まで留去し(留去工程)、次いで、(3)留去
    工程で得られた液とペンタエリスリトールとを反応させ
    て二置換ペンタエリスリトールジホスフェートを得る
    (第二反応工程)、ことを特徴とする二置換ペンタエリ
    スリトールジホスフェートの製造方法。 【化1】 [式中、Rは炭素数6〜15のアリール基であり、芳香
    環や芳香環に置換したアルキル鎖上の水素原子がハロゲ
    ン原子で置換されていてもよい。] 【化2】 [式中、Rは上記式(I)の定義と同じである。] 【化3】 [式中、Rは上記式(I)の定義と同じである。]
  2. 【請求項2】 第一反応工程において、フェノール性O
    H基を有する一価の芳香族化合物1モルに対して、オキ
    シ塩化リンのモル比が2.0〜4.0である請求項1記
    載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 第一反応工程において、オキシ塩化リン
    及び上記式(I)の化合物を反応容器に実質的に同時に
    仕込み 、含水率が0.3〜10重量%の範囲の塩化マ
    グネシウムを触媒として用い、且つ、原料のフェノール
    性OH基を有する一価の芳香族化合物及び溶媒の総量に
    対し、含水率が20〜500ppmの範囲である請求項
    1記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェートの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 第一反応工程において、フェノール性O
    H基を有する一価の芳香族化合物と塩化マグネシウムと
    の割合が、モル比で1.0:0.01〜0.25である
    請求項3記載の二置換ペンタエリスリトールジホスフェ
    ートの製造方法。
  5. 【請求項5】 留去工程において、オキシ塩化リンを芳
    香族モノ置換ジクロロホスフェートに対して0.05〜
    5モル%になる量まで留去する請求項1記載の二置換ペ
    ンタエリスリトールジホスフェートの製造方法。
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