JP2002193926A - β―ラクタムの合成方法 - Google Patents
β―ラクタムの合成方法Info
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Abstract
びβ―ラクタムの製造方法を提供する。 【解決手段】 高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応
させることによりβ―ラクタムを合成することを特徴と
するβ―ラクタムの合成方法で、200℃以上の温度範
囲及び10MPa以上の圧力範囲である高温高圧水条件
下でβ―アミノ酸を環化してβ―ラクタムを高速で合成
する特徴を有し、及び高温高圧水条件下でβ―アミノ酸
を反応させることによりβ―ラクタムを合成し、次いで
カラム分離剤で分離精製することを特徴とするβ―ラク
タムの製造方法。
Description
アミノ酸からβ―ラクタムを合成する方法に関するもの
であり、更に詳しくは、高温高圧水条件下でβ―アミノ
酸を反応させてβ―ラクタムを合成する方法あるいは製
造する方法に関するものである。本発明はβ―アミノ酸
を反応基質として用い、合成過程に有機溶媒、触媒を関
与させること無しに、連続的にあるいはバッチ方式で高
温高圧下でβ―ラクタムを合成あるいは製造することを
可能とするものであり、産業技術としては好適かつ有用
な方法を提供するものである。
タムとよび、β―ラクタムは4員環である。β―ラクタ
ムはβ―ラクタム抗生物質であるペニシリン、セファロ
スポリン等の基本骨格として非常に重要であり、その合
成は古くから広範に研究されている。β―ラクタムの構
造からすると、β―アミノ酸の環化による合成が最も妥
当と考えられる。β―アミノ酸を直接加熱環化できれば
簡便であるが、β―アミノ酸自身は熱によって1,2−
離脱がおきて、β―ラクタムにならない[新実験化学講
座、有機化合物の合成と反応(2)、丸善、p119
7、(1978)]ことが知られている。古くからβ―
アミノ酸をアシル化して直接加熱環化する方法[J.C. S
heehan and E.J. Corey, Org. React., 9, 393(195
7)]、アミノ酸塩化物を塩基で処理する方法[F.F. Bli
cke and W.A. Gould, J. Org. Chem., 614, 167(195
7)]、β―アミノ酸エステルをGrignard試薬で環化する
方法[T. Kametaniet.al., Tetrahedron, 37, 715(198
1)]等が報告されている。一方、β―アミノ酸そのもの
の環化方法については、3塩化リン、カルボジイミドな
どの閉環剤を用いる方法が検討されている。例えば遊離
のβ―アミノ酸をアセトニトリル中で、ジクロロリン酸
エチルとトリエチルアミンを使用してβ―ラクタムを得
ている[C.W. Kim and B.Y. Chung, Tetrahedron Let
t., 31, 2905(1990)]。この方法は毒性の高い試薬や有
害な有機溶媒を用いており、その処理が必要なこと及び
反応工程が複雑で反応時間が長いなどの欠点を有する。
しかして、β―アミノ酸を直接、簡単に効率良く環化す
る方法はほとんど知られていなく、その開発が期待され
ているのが現状である。
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高温高圧下
でのβ―ラクタムの合成方法について種々研究を進める
過程で、高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応させる
ことによりβ―ラクタムが効率良く生成することを見出
し、かかる知見に基づいて更に研究を重ねて、本発明を
完成させるに至った。即ち、本発明は、例えば高温高圧
水条件下でβ―アラニンを反応させてβ―プロピオラク
タムを合成するβ―ラクタムの新規合成方法を提供する
ことを目的とするものである。更に、本発明は、高温高
圧水条件下で、β―アミノ酸を反応器に導入し、連続的
にあるいはバッチ方式によってβ―ラクタムの新規合成
方法を提供することを目的とするものである。そして、
本発明は上記連続に合成する方法により、β―アミノ酸
からβ―ラクタムを合成し、得られた反応溶液に対して
カラム分離剤を用いてβ―ラクタムを分離精製すること
を特徴とする高純度のβ―ラクタムの製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1) 高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応させて
β―ラクタムを合成することを特徴とするβ―ラクタム
の合成方法。 (2) 200℃以上の温度範囲及び10MPa以上の
圧力範囲である高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応
させてβ―ラクタムを合成することを特徴とする前記
(1)記載のβ―ラクタムの合成方法。 (3) β―アミノ酸としてβ−アラニンを用いて、β
―プロピオラクタムを合成することを特徴とする前記
(1)又は(2)記載のβ―ラクタムの合成方法。 (4) β―アミノ酸として3−アミノ−n−酪酸を用
いて、4−メチル−2−アゼチジノンを合成することを
特徴とする請求項1又は2記載のβ―ラクタムの合成方
法。 (5) β―アミノ酸を高温高圧水条件下の反応器に連
続的に導入して反応させることを特徴とする前記(1)
から(4)のいずれかに記載のβ―ラクタムの合成方
法。 (6) β―アミノ酸を高温高圧水条件下の反応器に連
続的に導入して0.001秒から10分で高速反応させ
ることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに
記載のβ―ラクタムの合成方法。 (7) 高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応基質と
して用いるβ―ラクタムを製造する方法であって、β―
アミノ酸を200℃以上の温度範囲及び10MPa以上
の圧力範囲である高温高圧水条件下の反応器に連続的に
導入して反応させ、冷却後、得られた反応液をカラム分
離剤で分離精製し、濃縮後乾燥してβ―ラクタムを得る
ことを特徴とするβ―ラクタムの製造方法。 (8) カラム分離剤としてイオン交換樹脂を用いるこ
と特徴とする前記(7)記載のβ―ラクタムの製造方
法。
説明する。本発明の説明を容易にするために、以下、β
−アミノ酸を高温高圧下で反応させて、例えば、アミノ
酸であるβ−アラニンからβ−プロピオラクタムを合成
した場合を例にとって詳細に説明するが、本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。本発明者らが、種々
の実験を経て開発した本発明の合成法の代表的な例とし
て、例えば、β−アラニンを高温高圧水条件下の反応器
に導入して高速で通過させることにより、 β−プロピ
オラクタムを合成する方法が例示される。本発明の合成
方法で使用する原料試薬としては、β−アミノ酸だけで
ある。本発明では高温高圧水を反応場あるいは反応溶媒
として用いており、閉環剤や触媒あるいは有機溶媒は使
用しないし、また、特に使用する必要はない。従って、
この方法を用いれば、処理しなければならない廃試薬、
廃有機溶媒や廃触媒といった類の処理を必要とする廃棄
物は排出されない。また、未反応のβ−アミノ酸や使用
水は本発明の反応に繰り返して使用することが可能であ
る。更に、本発明の方法は、有用なβ−ラクタム等の製
品を連続的に高速で合成できることから、それらの製造
方法の手段として最も好適な方法であると考えられる。
なお、この反応はバッチ方式によっても達成される。
て、以下に詳しく説明する。γ-アミノ酸またはδ-アミ
ノ酸は加熱することによって五員環のγ-ラクタムまた
は六員環の δ-ラクタムを生成する場合がある。しかし
ながらβ-アミノ酸から加熱処理でβ-ラクタムを合成す
ることは非常に困難である。従ってβ−アラニンを加熱
処理してもβ−プロピオラクタムを合成することはでき
ない。
件下でβ-アミノ酸を単に反応させることにより、それ
らを環化してβ-ラクタムを合成できることを見出し
た。反応は1分子のβ-アミノ酸が高温高圧水条件下で
1分子の水を離脱して環化反応が進行し、1分子のβ-
ラクタムが生成していると考えられる。本発明において
原料として使用されるβ-アミノ酸としては下記一般式
(1)
同一の基でも異なる基でも良く、水素または置換基を有
するか、もしくは無置換の炭素数1から15のアルキル
基、フェニル基、フェニルアルキル基、アリール基、シ
クロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基及
び水素を表す。またここでいう置換基とはハロゲン原
子、アミノ基、アミド基、ニトロ基、カルボニル基、カ
ルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、
メルカプト基、スルホン基、スルホニル基、リン酸基、
トシル基、エステル基、アシル基、イミド基、ホスフィ
ン基、ニトリル基、アルキルシリル基等である。)
アミノ−n−酪酸、β−アニリノ−β−フェニルプロピ
オン酸、N−イソブチリル−β−エチルアミノ−β−フ
ェニルーα,αジメチルプロピオン酸、N−エチル−β
−アニリン、3−アミノ−4−メトキシカルボニル酪酸
等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
ミノ酸から得られる本発明のβ−ラクタムは下記一般式
(2)
同一の基でも異なる基でも良く、水素または置換基を有
するか、もしくは無置換の炭素数1から15のアルキル
基、フェニル基、フェニルアルキル基、アリール基、シ
クロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基及
び水素を表す。またここでいう置換基とはハロゲン原
子、アミノ基、アミド基、ニトロ基、カルボニル基、カ
ルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、
メルカプト基、スルホン基、スルホニル基、リン酸基、
トシル基、エステル基、アシル基、イミド基、ホスフィ
ン基、ニトリル基、アルキルシリル基等である。)
β−プロピオラクタム、4−メチル−2−アゼチジノ
ン、1,4−ジフェニル−2−アゼチジノン、3,3−
ジメチル−1−エチル−4−フェニル−2−アゼチノン
等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
して、β−アラニンからのβ−プロピオラクタム合成の
反応式を一般式(3)[化3]に示す。
外からヒーターや溶融塩等を用いて温度を制御できる。
あるいは反応器内で内熱方式で温度制御することも可能
である。また、予め高温高圧水を製造しておき、外部か
ら送水ポンプ等を用いて反応器内に注入して反応させる
こともできる。温度圧力条件の異なる2種類以上の高温
高圧水を反応系に供給して反応条件を制御することも可
能である。反応容器内での圧力は流通式であれば圧力調
整弁で制御することができる。また、バッチ方式による
反応圧力は、例えば、使用温度における自生圧力を計算
することができる。更に、窒素ガスなど他の気体を注入
することによって圧力をコントロールすることもでき
る。一般的には使用する圧力は使用温度における自生圧
力以上であればよい。基本的には、温度200℃以上及
び圧力10MPa以上の高温高圧水条件下であれば本発
明は達成される。温度300℃以上及び圧力15MPa
以上の高温高圧水条件下では、より好適に本発明を達成
できる。更に、350℃以上の温度範囲及び15MPa
〜40MPaの圧力範囲の高温高圧水条件を選択すれ
ば、最も好適に本発明は達成される。最適の温度条件は
処理時間によっても変化するが、一般に、200℃から
450℃の温度範囲を好適に選択できる。また、処理量
や反応装置によって適宜の温度及び圧力条件を採用する
ことができる。本発明では温度が高い程反応が進行し、
また圧力が高い程やや反応が促進される。反応装置とし
ては、例えば、高温・高圧反応装置が使用されるが、こ
れに限らず、高温高圧水条件下の反応系を設定できる装
置であれば、その種類は制限されない。ここで、好適な
反応装置として、例えば、本発明で使用した流通式の高
温高圧反応装置やバッチ式の反応装置が例示される。市
販のオートクレーブは好適に用いられる。
及び濃度、反応時間、流速、高温高圧水の温度、圧力条
件によって変化する。本発明では、反応基質としては一
般式(1)で示されるβ−アミノ酸が用いられ、例え
ば、β−アラニンが例示される。β−アミノ酸であれば
本発明に好適に用いられるが、β−アミノ酸の塩あるい
はエステルはいずれも好適に反応に用いることができ
る。β−アミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシ
ウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類塩はいずれも
本発明に使用できる。また、β−アミノ酸のメチルエス
テル、ジメチルエステル、エチルエステル、プロピルエ
ステル、フェニルエステル等はいずれも本発明で好適に
用いられる。本発明では反応に用いるβ−アミノ酸は1
種類に限定される物でなく、2種類以上の混合物を用い
ても反応は好適に進行する。流通方式の装置を用いる場
合は、例えば、キャリヤー水として用いる高温高圧水の
流速及び反応基質であるβ−アミノ酸の導入流速を制御
することによって反応器に導入するβ−アミノ酸の濃度
をコントロールできる。β−アミノ酸はキャリヤー水と
は別個に導入することができ、また予めキャリヤー水中
に溶解して反応に供してもよい。通常、反応器に導入す
るβ−アミノ酸の濃度としては1mMから10Mの濃度
範囲で選択できる。好適には2mMから5Mの間の適宜
な濃度の値を選択でき、最も好適には4mMから2Mの
間の適宜な濃度の値が選択されるが、本発明は、これら
の濃度の値に限定されるものではない。バッチ法の場合
は単に仕込みのβ−アミノ酸の濃度を制御すればよい。
反応器内のβ−アミノ酸の濃度は反応に関与する高温高
圧水の密度によって変化する。本発明では、β−アミノ
酸の種類に応じて、反応系の温度、圧力、反応時間、反
応基質の濃度を調節することによって、β−ラクタムの
反応収率を制御することができる。
囲、及び10MPa以上の圧力範囲である高温高圧水中
で上記反応基質のβ−アミノ酸を反応させればよく、そ
の際、例えば、三塩化リン、ジクロロリン酸エチル、塩
化メタンスルフォン酸、2,2−ジピリジルジスルフィ
ド、トリフェニルホスフィン、塩化アセチル、塩化チオ
ニル、無水酢酸、トリエチルアミン、ジメチルアニリン
等一般に毒性が強い閉環剤は特に添加する必要がなく、
あるいは、有機溶媒を使用する必要もない。また、例え
ば、金属イオン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の
触媒、金属担持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あ
るいは酵素等は特に添加する必要がない。本発明は、基
本的には、高温高圧水中に一般式(1)で示されるβ−
アミノ酸を存在させて、閉環剤を使用すること無く、無
触媒条件下で、あるいは有機溶媒を反応に関与させるこ
となく、β−アミノ酸を高温高圧下で単に反応させるこ
とによって一般式(2)で示されるβ−ラクタムを合成
することを最大の特徴としているが、必要により、上記
の閉環剤、メタノール、エタノール、エチレングリコー
ル等の有機溶媒、金属イオン、酸、あるいは塩基等のよ
うな水溶性の触媒、イオン性流体、金属担持触媒、固体
酸、固体塩基等の固体触媒あるいは酵素等を添加して反
応させても一向にさしつかえない。
反応時間0.001秒から10分程度の短時間でβ−ア
ミノ酸からβ−ラクタムが合成される。例えば、流通式
反応装置を用いる場合、反応温度、反応圧力、高温高圧
水の流速、反応基質の導入流速、反応器の大きさ、反応
器の流通経路の長さ等を制御することによって反応時間
をコントロールできる。好適には反応時間は0.01秒
から5分の範囲の値を選択でき、より好適には0.01
秒から3分の範囲の値を選択でき、最も好適には0.0
1秒から1分の範囲の値を選択できるが、本発明はこれ
らの値に限定されるものではない。
ように、高温高圧水条件下では、短時間(例えば、反応
時間0.2秒前後)でβ−アミノ酸からβ−ラクタムの
合成が可能であることを、高速液体クロマトグラフィー
質量分析装置(LC−MS装置)やフリエー赤外分光光
度計(FTIR装置)を用いて確認している。このLC
−MS装置ではカラム分離剤としてオクタデシル基を担
持したシリカゲル(ODS)を用いた分離カラム[逆相
シリカゲルカラムあるいはODS逆相カラムと一般に称
されている]を用いている。本LC−MS装置を使用す
ることにより、原料のβ−アミノ酸及びβ−ラクタムを
分離して個別に同定でき、それらの含有量を正確に定量
できる。また、連続的に得られるβ−ラクタムをイオン
交換樹脂や逆相カラム等の分離剤を用いて分離精製し
て、FTIR装置により赤外線吸収スペクトルを計測
し、例えば純度の高い特級試薬製品と比較することによ
り、アミノ酸化合物及びラクタム化合物の種類を正確に
同定できる。同様にNMR測定によってもβ−アミノ酸
及びβ−ラクタムを同定し、種類や純度を確認できる。
例えば、流通式装置を用いて250℃〜400℃、圧力
15〜40MPa及び反応時間0.013秒〜1.34
6秒の条件下で、60mM〜200mM濃度のβ−アラ
ニンから4.3mM〜76.8mM濃度のβ−プロピオ
ラクタムを合成できた。また、同様にバッチ方式ではβ
−アラニンとから温度350℃、圧力30MPa及び反
応時間40秒で13.7mM濃度のβ−ラクタムを合成
した。これらの反応の結果、β−アミノ酸が高温高圧水
中で環化反応を起こし、β−ラクタムが生成しているこ
とがLC−MS装置、NMR測定装置やFTIR装置で
確認された。
は、温度、圧力等の反応条件、β−アミノ酸の種類、β
−アミノ酸の濃度、反応装置の形態、反応器の大きさ、
反応管の内径や長さ等によって変動する。例えば、流通
式装置を用いたβ−プロピオラクタムの場合の反応収率
は3.4%から76.0%であった。これらのβ−プロ
ピオラクタムあるいは原料のβ−アラニン等と混合して
回収される。同様に、本発明によって種々のβ−アミノ
酸あるいはそれらの混合物から多種のβ−ラクタムが合
成回収されるが、反応後、得られた反応液をイオン交換
樹脂、例えば、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂あ
るいはそれらの併用によってβ−ラクタムをβ−アミノ
酸から分離精製でき、更に、β−ラクタム同士及びβ−
アミノ酸同士の分離も可能なので、β−ラクタムは種類
毎に精製濃縮してそれらの高純度製品を好適に製造でき
る。また、同時に回収された原料基質であるβ−アミノ
酸は再度原料として用いることができる。イオン交換樹
脂の代わりに、オクタデシル基を担持したODS等の逆
相用シリカゲル、セライト、アルミナ、セルロース粉末
等の一般的なアミノ酸分離剤が利用できる。
で、反応基質として所定の濃度のβ−アミノ酸を単に反
応させることにより、例えば、β−アラニンからβ−プ
ロピオラクタムが合成される。この場合、β−アラニン
に代えて、3−アミノ−n−酪酸を反応させることによ
り環化反応が起きて、4−メチルプロピオラクタムが合
成される。また、これらのβ−アミノ酸を高温高圧水条
件下の反応器に連続的に導入することにより、連続的に
それぞれのβ−アミノ酸に対応した種々のβ−ラクタム
を合成することができる。これらのことから、本発明
は、上記反応系において、反応条件、反応基質のβ−ア
ミノ酸の種類、β−アミノ酸の濃度を調節することによ
り、β−アミノ酸からβ−ラクタムを短時間で合成する
ことを可能とし、新規のβ−ラクタムの簡便な合成方法
あるいは製造方法として有用である。
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 図1に示す連続式反応装置を用い、温度374℃、圧力
30MPa及び密度0.558g/cm3の高温高圧水
条件下でβ−アラニン(ナカライテスク株式会社製)を
反応させ、環化反応によるβ−プロピオラクタムの連続
合成を試みた。反応器材料は合金C−276であり、反
応器内径:0.65mm及び反応器長さ:25cmで、
従って、反応器容積は0.083cm3と算出された。
各導入調製液は高圧ポンプで注入した。反応に使用した
水は蒸留水を使用し、窒素ガスでバブリングして溶存酸
素を追い出したキャリヤー水を10.3ml/minの
流速で通水した。同様に脱酸素処理した蒸留水を用い、
0.5Mβ−アラニンを含有した基質溶液を調製し、こ
の基質溶液を4.7ml/minの流速で反応器に導入
した。反応器に入る前のβ−アラニンの濃度は0.15
7Mであった。反応時間は0.185秒であり、反応後
の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で
調べた所、β−プロピオラクタムが生成していることを
確認した。β−プロピオラクタムの含有濃度は76.8
mMであり、その反応収率は48.9%であった。
ンからβ−プロピオラクタムを合成した。得られた反応
溶液を陽イオン交換樹脂(ダウケミカル社製50W−X
8)カラムに通して、原料のβ−アラニンと生成したβ
−プロピオラクタムを分離し、β−プロピオラクタム含
有溶液を濃縮精製後、本発明製品4.6gを得た。得ら
れた本発明製品は、FTIR吸収スペクトル結果及びN
MR測定結果から不純物をほとんど含まない高純度のβ
−プロピオラクタムであることを確認した。
ロピオラクタムの連続合成を試みた。ただし、反応条件
を下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:400℃ 反応圧力:15MPa 高温高圧水密度0.064g/cm3 キャリヤー水流速:22ml/min 基質溶液流速:3ml/min 反応器に入る前のβ−アラニン濃度は:60mMであっ
た。反応時間は0.013秒であり、反応後の水溶液を
高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、
β−プロピオラクタムが生成していることを確認した。
β−プロピオラクタムの含有濃度は36.7mMであ
り、その反応収率は61.2%であった。
応によってβ−プロピオラクタムの連続合成を試みた。
ただし、反応条件を下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:150℃ 反応圧力:5MPa 高温高圧水密度0.9196g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液流速:5ml/min 反応器に入る前のβ−アラニンの濃度は0.167Mで
あった。反応時間は0.305秒であり、反応後の水溶
液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた
所、β−アラニンだけが検出され、β−プロピオラクタ
ムは全く得られなかった。
ロピオラクタムの連続合成を試みた。だし、反応条件を
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:250℃ 反応圧力:15MPa 高温高圧水密度0.811g/cm3 キャリヤー水流速:2ml/min 基質溶液流速:1ml/min 反応器に入る前のβ−アラニン濃度は0.167Mであ
った。反応時間は1.346秒であり、反応後の水溶液
を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた
所、β−プロピオラクタムが生成していることを確認し
た。β−プロピオラクタムの含有濃度は4.3mMであ
り、その反応収率は2.6%であった。
ロピオラクタムの連続合成を試みた。だし、反応条件を
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:300℃ 反応圧力:40MPa 高温高圧水密度0.765g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:4ml/min 反応器に入る前のβ−アラニン濃度は0.200Mであ
った。反応時間は0.381秒であり、反応後の水溶液
を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた
所、β−プロピオラクタムが生成していることを確認し
た。β−プロピオラクタムの含有濃度は37.2mMで
あり、その反応収率は18.6%であった。
ロピオラクタムの連続合成を試みた。だし、反応条件を
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:400℃ 反応圧力:40MPa 高温高圧水密度0.524g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液流速:2ml/min 反応器に入る前のβ−アラニン濃度は83.3mMであ
った。反応時間は0.217秒であり、反応後の水溶液
を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた
所、β−プロピオラクタムが生成していることを確認し
た。β−プロピオラクタムの含有濃度は63.3mMで
あり、その反応収率は76.0%であった。
(和光純薬社製特級試薬)から4−メチル−2−アゼチ
ジノンの合成を試みた。窒素ガスでバブリングして溶存
酸素を除去した蒸留水を使用し、0.100Mの基質溶
液を調製し反応に供した。ただし、反応条件を下記の様
に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:383℃ 反応圧力:30MPa 高温高圧水密度0.504g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:4ml/min 反応器に入る前の3−アミノ−n−酪酸の濃度は40m
Mであった。反応時間は0.251秒であり、反応後の
水溶液を高速液体クロマトグラフィー質量分析装置で調
べた所、4−メチル−2−アゼチジノンが生成している
ことを確認した。β−ラクタムである4−メチル−2−
アゼチジノンの含有濃度は24.3mMであり、その反
応収率は60.8%であった。
でβ−プロピオラクタムの合成を試みた。反応は図2に
示した反応中に振とう攪拌ができるバッチ反応装置で行
った。反応器として内容積10.5cm3の反応管を用い
て、温度350℃、圧力30MPaになるように設定
し、硝酸ナトリウム/硝酸カリウム混合塩の塩浴槽温度
に60秒投入してアミノ基導入反応を行った。反応温度
まで上昇するのに40秒を要し、反応時間は20秒であ
った。反応前の反応溶液中のβ−アラニン濃度は0.6
Mであった。反応後、得られた溶液を高速液体クロマト
グラフィー質量分析装置で調べた所、0.219Mのβ
−プロピオラクタムが生成していることを確認した。β
−プロピオラクタムの反応収率は36.5%であった。
水条下でβ−アミノ酸を単に反応させることにより、閉
環剤を使用しないでβ−ラクタムを合成することを特徴
とするβ−ラクタム合成方法に係り、本発明により、
1)高温高圧下での新規のβ−ラクタム合成方法を提供
することができる、2)β−アミノ酸を高温高圧下で反
応させてβ−ラクタムを合成することができる、3)上
記β−ラクタム合成方法を流通式に適用して、β−アミ
ノ酸からβ−ラクタムを連続的に高速で合成することが
できる、4)閉環剤、触媒及び有機溶媒を一切使用しな
いβ−ラクタム合成方法を提供することができる、5)
高純度のβ−ラクタムを製造することができる、6)環
境に優しい化学物質生産システムであるという格別の効
果が奏される。
応装置のフローシートを示す。
ナトリウム/硝酸カリウム混合塩を使用した攪拌式塩浴
槽の概要を示す。
Claims (8)
- 【請求項1】 高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応
させてβ―ラクタムを合成することを特徴とするβ―ラ
クタムの合成方法。 - 【請求項2】 200℃以上の温度範囲及び10MPa
以上の圧力範囲である高温高圧水条件下でβ―アミノ酸
を反応させてβ―ラクタムを合成することを特徴とする
請求項1記載のβ―ラクタムの合成方法。 - 【請求項3】 β―アミノ酸としてβ−アラニンを用い
て、β―プロピオラクタムを合成することを特徴とする
請求項1又は2記載のβ―ラクタムの合成方法。 - 【請求項4】 β―アミノ酸として3−アミノ−n−酪
酸を用いて、4−メチル−2−アゼチジノンを合成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のβ―ラクタムの
合成方法。 - 【請求項5】 β―アミノ酸を高温高圧水条件下の反応
器に連続的に導入して反応させることを特徴とする請求
項1から4のいずれかに記載のβ―ラクタムの合成方
法。 - 【請求項6】 β―アミノ酸を高温高圧水条件下の反応
器に連続的に導入して0.001秒から10分で高速反
応させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに
記載のβ―ラクタムの合成方法。 - 【請求項7】 高温高圧水条件下でβ―アミノ酸を反応
基質として用いるβ―ラクタムを製造する方法であっ
て、β―アミノ酸を200℃以上の温度範囲及び10M
Pa以上の圧力範囲である高温高圧水条件下の反応器に
連続的に導入して反応させ、冷却後、得られた反応液を
カラム分離剤で分離精製し、濃縮後乾燥してβ―ラクタ
ムを得ることを特徴とするβ―ラクタムの製造方法。 - 【請求項8】 カラム分離剤としてイオン交換樹脂を用
いること特徴とする請求項7記載のβ―ラクタムの製造
方法。
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