JP2002187916A - エチレン系重合体 - Google Patents

エチレン系重合体

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JP2002187916A
JP2002187916A JP2000388170A JP2000388170A JP2002187916A JP 2002187916 A JP2002187916 A JP 2002187916A JP 2000388170 A JP2000388170 A JP 2000388170A JP 2000388170 A JP2000388170 A JP 2000388170A JP 2002187916 A JP2002187916 A JP 2002187916A
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ethylene
hlmi
melt
log
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JP2000388170A
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English (en)
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Yoshiyuki Ishihama
由之 石浜
Toshihiko Sugano
利彦 菅野
Masayuki Yamazaki
昌幸 山崎
Akira Ohata
晃 尾畑
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形加工性と機械的物性に優れるエチレン系重
合体を提供する。特に、溶融時における延展性と耐ドロ
ーダウン性が従来のエチレン系重合体に比べて格段に優
れ、スウェルが小さいことからブロー成形時のパリソン
形状制御性に優れたエチレン系重合体を提供する。 【解決手段】エチレン単独、または、エチレンと炭素数
3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、下記
条件(イ)〜(ニ)を満たすものであることを特徴とす
るエチレン系重合体。 (イ)190℃における21.6kg荷重でのメルトイ
ンデックス(HLMI)が0.1〜1000g/10
分。 (ロ)密度(d)が0.935〜0.985g/cm3 (ハ)溶融延展性比(R)が3.5以上 (ニ)溶融ドローダウン指標(Lm)とHLMIの関係
が下記式(i)を満たす。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.32・・・(i)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なエチレン系
重合体に関する。詳しくは、押出成形、真空成形、フィ
ルム成形、中空成形等の用途において、成形加工性と機
械的物性に優れるエチレン系重合体を提供する。特に、
溶融時における延展性と耐ドローダウン性が従来のエチ
レン系重合体に比べて格段に優れ、スウェルが小さいこ
とから中空成形時のパリソン形状制御性に優れたエチレ
ン系重合体を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種工業分野において、プラスチ
ック製のパイプ、フィルム、射出成型体、及び中空成形
体が盛んに用いられるようになった。特に安価・軽量で
あり、成形加工性、耐薬品性・リサイクル性に優れるな
どの理由からポリエチレン系樹脂が広範に用いられてい
る。成形加工特性を良くするための努力は、成形加工が
ポリエチレンを溶融状態にして実施されることから、溶
融流動性(易押出性)、溶融延伸性、溶融張力などの溶
融流動特性の改良に重点が置かれ、例えば、従来のチ
ーグラー触媒を用いた多段重合法により分子量分布を広
げたり、更には特定の分子量成分を含有させる方法(特
開平2−53811号公報、特開平2−132109号
公報、特開平10−182742公報等)、従来のC
r系触媒を用いて長鎖分岐を有するポリエチレンを製造
したり、樹脂にラジカル発生剤と架橋助剤を添加するこ
とにより長鎖分岐を導入する方法(特公平2−5265
4公報等)、溶融伸長応力の大きいポリエチレンを使
用することで均一延伸性を向上させる方法(特開平10
−7726公報)等が提案されている。しかしながら、
の方法は低分子量成分の増加による成形体のべたつき
の悪化や衝撃強度が低下したり、高分子量体の増加によ
るゲル発生を招く等多くの問題を生じ、の方法は衝撃
強度が低下する等の問題を生じ、の方法は成形加工性
と衝撃強度は改善されるものの、ESCRが未だ十分で
はない等の問題を有していた。更にはこれら高分子量体
の増加による方法や長鎖分岐の導入による方法で溶融張
力などの溶融流動特性を改良したポリエチレンはスウェ
ルが大きく、成形時にダイから押し出された溶融樹脂が
大きく膨らむ、すなわち、ダイスウェルが大きいために
製品寸法制御が困難になるといった問題もあった。
【0003】また、機械的物性を向上させる努力は、
従来のチーグラー触媒品においては多段重合や触媒の改
良によって分子量分布は広いながら低分子量成分のみ削
減する等の制御を行って成形加工性は維持したままで衝
撃強度を向上させる方法(特開平7−90021公報
等)、多段重合によってα−オレフィンを特定の分子
量成分に導入してESCRを向上させる方法(特開平1
0−17619公報)、近年開発されたメタロセン触
媒を使用して機械的物性を向上させる方法(特開平8−
59741公報、特開平11−60633公報等)等が
提案されている。しかしながら、これらの方法において
も機械的物性および成形加工特性を優れた性能で高度に
両立させたエチレン系重合体は得られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、押出
成形、真空成形、フィルム成形、中空成形等の用途にお
いて、成形加工性と機械的物性に優れるエチレン系重合
体を提案することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討を種々行った結果、エチレン単独、ま
たはエチレンと他のα−オレフィンとの重合体であっ
て、21.6kg加重でのメルトインデックス(HLM
I)、密度(d)が特定の範囲にあり、かつ、溶融状態
で伸長変形を加えた場合に破断を伴うことなく延展可能
な変形速度の限界を表す溶融延展性比(R)が特定の値
以上であり、オリフィスから押し出された溶融ストラン
ドに加重をかけて一定時間放置した場合の延伸比を表す
溶融ドローダウン指標(Lm)とHLMIの関係が特定
の範囲にあるエチレン系重合体が、成形加工性に優れ、
かつ、機械的特性に優れていることを見出し、本発明に
至った。
【0006】すなわち、本発明は、エチレン単独、また
は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共
重合体であって、下記条件(イ)〜(ニ)を満たすもの
であることを特徴とするエチレン系重合体である。 (イ)190℃における21.6kg荷重でのメルトイ
ンデックス(HLMI)が0.1〜1000g/10
分。 (ロ)密度(d)が0.935〜0.985g/cm3 (ハ)溶融延展性比(R)が3.5以上 (ニ)溶融ドローダウン指標(Lm)とHLMIの関係
が下記式(i)を満たす。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.32・・・(i)
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。本発明のエチレン系重合体は、エチレン単独重合
体、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィ
ンとの共重合体、好ましくはランダム共重合体である。
ここで用いられる共重合成分であるα−オレフィンとし
ては、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−
1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、 ペンテン−1、デ
セン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オク
タデセン−1、エイコセン−1等が挙げられる。更にビ
ニルシクロヘキサンあるいはスチレンおよびその誘導体
などのビニル化合物も使用することが出来る。また、こ
れらα−オレフィンは1種のみでもよく、また2種以上
が併用されていてもよい。これらのうち、より好ましい
α−オレフィンは炭素数 3〜10のものであり、具体
的には プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−
1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、ペンテン−1、デセ
ン−1等が挙げられる。また、必要に応じてエチレンと
α−オレフィンおよび少量の非共役ジエン、または環状
オレフィンの3元ランダム共重合体であってもよい。
【0008】前記エチレン・α−オレフィン共重合体中
におけるエチレンとα−オレフィンの割合は、好ましく
は、エチレン90〜100重量%、α−オレフィン0〜
10重量%であり、更に好ましくはエチレン95〜10
0重量%、α−オレフィン0〜5重量%である。α−オ
レフィンの含有量がこれより多くなると、エチレン系重
合体の剛性が低下するなどして好ましくない。
【0009】本発明のエチレン系重合体は、下記物性条
件(イ)〜(二)を満たすことを特徴としている。 <物性>
【0010】(イ)メルトインデックス(HLMI) 本発明のエチレン系重合体は、その190℃、21.6
kg荷重下におけるメルトインデックス(HLMI;単
位=g/10分)が0.1〜1000である。このHL
MIが0.1未満では押出性が悪く、中空成形の場合、
パリソン形成時に肌荒れが生じたり、ブローアップ工程
で吹き破れが生じて好ましくなく、1000を超えると
ドローダウンが著しく起こり好ましくない。HLMIは
好ましくは0.5〜100の範囲にあることが望まし
い。HLMIは更に好ましくは1.0〜100の範囲に
あることが望ましい。HLMIは最も好ましくは1.0
〜50の範囲である。尚、HLMIの測定はASTM−
D−1238−57Tに準拠し、190℃、21.6k
g荷重で測定したものをいう。通常、メルトインデック
スは2.16kg荷重で測定されるが、本発明ではその
10倍荷重の条件下で測定したものである。高荷重(Hi
gh Load)下のメルトインデックスという意味で、HL
MIの略称を使用した。
【0011】(ロ)密度(d) 本発明のエチレン系重合体は、その密度(d)が0.9
35〜0.985(g/cm3)である。この密度が
0.935未満では、剛性が小さく、好ましくない。上
記密度は好ましくは0.945〜0.980、更に好ま
しくは0.950〜0.975であることが望ましい。
尚、密度の測定はJIS−K6760に準拠して密度勾
配管法で測定したものをいう。
【0012】(ハ)溶融延展性比(R) 本発明のエチレン系重合体は、溶融状態で延展変形を加
えた場合に破断を伴うことなく延展可能な変形速度の限
界を表す溶融延展性比(R)が、3.5以上である。エ
チレン系重合体は一般的に溶融状態にして成形加工が実
施される。特に、中空成形、フィルム成形(インフレー
ション成形)等の溶融延展(延伸)工程を伴う成形を実
施する場合、この延展工程で破断あるいは吹き破れを防
止することが重要であり、延展可能な変形速度の限界が
大きい、すなわち、Rが大きくなければならない。本発
明のエチレン系重合体は、従来公知のエチレン系重合体
に比べて大きなRを有するのが大きな特徴であり、Rが
3.5以上の場合、優れた成形加工性が発現される。R
が3.5未満の場合、溶融延展工程で破断あるいは吹き
破れが生じるので好ましくない。 HLMI<8.0
の場合、Rが下記式(iii)を満たし、 HLMI
≧8.0の場合、Rが5.7以上であることが好まし
い。 R≧−63.1×Log(HLMI)+62.7・・・(iii)
【0013】(ニ)溶融ドローダウン指標(Lm)とH
LMIの関係 本発明のエチレン系重合体は、オリフィスから押し出さ
れた溶融ストランドに加重をかけて一定時間放置した場
合の延伸比を表す溶融ドローダウン指標(Lm)とHL
MIの関係が下記式(i)を満たす。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.32・・・(i) エチレン系重合体を中空成形、押出成形する場合、成形
ダイから押し出された状態の溶融樹脂に自重による垂れ
下がり(ドローダウン)、変形が生じて成形体の肉厚、
形状に支障を来す。特に、プラスチック製自動車用ガソ
リンタンク等の燃料容器やドラム缶といった大型中空成
形分野においては、ブローアップ前の成形前駆体(パリ
ソン)の重量が数Kg〜数十Kgにも及ぶため大きな問
題となるので、自重による垂れ下がりが特に小さく(す
なわち耐ドローダウン性が優れ)なければならない。
【0014】本発明のエチレン系重合体は、従来公知の
エチレン系重合体に比べて耐ドローダウン性が優れてい
るのが大きな特徴であり、LmとHLMIの関係が上記
式(i)を満たす。LmとHLMIの関係が上記式
(i)を満たさないと、成形時のドローダウンが大きく
なり、ブローアップ後の製品形状の制御が困難となった
り、特殊なダイギャップの制御が必要となったり、ま
た、寸法が精度良く制御された製品を得ることが出来な
くなる。製品重量の軽量化のための薄肉化や、複雑形状
を付与するためにはLmとHLMIの関係が下記式(i
i)の範囲にあることが好ましい。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.13・・・(ii)
【0015】[その他の好ましい条件]前記条件(イ)
〜(ニ)に加えて、本発明のエチレン系重合体は、次の
条件(ホ)〜(ト)のうちのいずれか1つ以上を同時に
満たすと、好ましい場合がある。 (ホ)溶融延展性比(R)と溶融張力(MT)の関係 本発明のエチレン系重合体は、前記条件(ハ)にあるR
値と、190℃で測定される溶融張力(MT)の関係が
下記式(iv)を満たす時、更に優れた成形特性となる
ので好ましい。 R≧35.5×Log(MT)−22.2・・・(iv)
【0016】(へ)スウェル比 スウェル比が1.8以下であると、成形時にダイから押
し出された溶融樹脂が大きく膨らみ、製品寸法制御が困
難となることを防止できるので好ましい。スウェル比は
より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.5以下
である。
【0017】(ト)貯蔵弾性率(G’s) 本発明のエチレン系重合体は、190℃、周波数(ω)
0.1rad/秒での貯蔵弾性率[G’s(ω=0.1)]
(単位Pa)、および、周波数(ω)1.0rad/秒
での貯蔵弾性率[G’s(ω=1.0)](単位Pa)と、
HLMIの関係が各々下記式(v)(vi)を満たす
時、特に優れた成形特性となり、剛性、衝撃強度、耐環
境応力亀裂性(ESCR)等の機械的物性とのバランス
に優れた樹脂となるので好ましい。 Log[G's(ω=0.1)]≧−0.374×Log(HLMI)+4.35・・・(v) Log[G's(ω=1.0)]≧−0.135×Log(HLMI)+4.62・・・(vi) 更に好ましくは、 Log[G's(ω=0.1)]≧−0.374×Log(HLMI)+4.43・・・(vの2) Log[G's(ω=1.0)]≧−0.135×Log(HLMI)+4.69・・・(viの2) 最も好ましくは、 Log[G's(ω=0.1)]≧−0.374×Log(HLMI)+4.56・・・(vの3) Log[G's(ω=1.0)]≧−0.135×Log(HLMI)+4.74・・・(viの3) を満たすことである。
【0018】<製造方法>以上、本発明のエチレン系重
合体の物性について説明したが、次に、上述した物性を
有するエチレン系重合体の製造方法を説明する。尚、本
明細書で用いる原子の周期律は1989年にIUPAC
により推奨された18族方式に基づくものである。条件
(イ)〜(ニ)を満たすエチレン系重合体を得るために
は、例えば下記成分[A]、[B]、及び必要に応じて
[C]を含む触媒系の存在下に、エチレン単独またはエ
チレンと1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の
αオレフィンとを共重合させることによって製造するこ
とが望ましいが、その製造方法や触媒系については特に
限定されるものではなく、製造方法についていえば、エ
チレン分圧、水素濃度、コモノマー濃度、温度等の重合
条件の異なる多段階の重合工程を行う従来公知の多段重
合法や、特開平10−245418に開示されているよ
うにメタロセン触媒を使用する多段重合法があり、触媒
系については、従来公知の周期律表4族遷移金属からな
るいわゆるチーグラー触媒、Cr系触媒、アルモキサン
化合物やイオン性化合物(ルイス酸)等を助触媒とする
メタロセン触媒、「化学と工業 第52巻 第4号(1
999年)」、 「化学と工業 第53巻 第6号(2
000年)」等に記載される 周期律表3〜11族遷移
金属が中心金属の非メタロセン配位子を有する各種金属
錯体触媒を挙げることもできる。
【0019】[A]共役五員環配位子を少なくとも1個
有する周期律表4〜6族遷移金属化合物 [B]イオン交換性層状珪酸塩 [C]有機アルミニウム化合物
【0020】成分[A] 本発明の触媒に用いられる成分[A]は、共役五員環構
造配位子を少なくとも1個有する周期律表4〜6族の遷
移金属化合物である。かかる遷移金属化合物として好ま
しいものは、下記一般式[1]、[2]、[3]もしく
は[4]で表される化合物である。
【0021】
【化1】
【0022】[ここで、AおよびA’は共役五員環構造
を有する配位子(同一化合物内においてAおよびA’は
同一でも異なっていてもよい)を、Qは2つの共役五員
環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、ZはMと
結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原
子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン
原子または炭化水素基を、Q’は共役五員環配位子の任
意の位置とZを架橋する結合性基を、Mは周期律表4〜
6族から選ばれる金属原子を、そしてXおよびYはMと
結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコ
キシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基またはケイ素含
有炭化水素基を、それぞれ示す。]
【0023】AおよびA’は共役五員環配位子であり、
これらは同一化合物内において同一でも異なっていても
よいことは前記したとおりである。この共役五員環配位
子(AおよびA’)の典型例としては、共役炭素五員環
配位子、すなわちシクロペンタジエニル基を挙げること
が出来る。このシクロペンタジエニル基は水素原子を5
個有するもの[C65]であってもよく、また、その誘
導体、すなわちその水素原子のいくつかが置換基で置換
されているもの、であってもよい。この置換基の一つの
具体例は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭
化水素基であるが、この炭化水素基は一価の基としてシ
クロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複
数存在するときにそのうちの2個がそれぞれ他端(ω−
端)で結合してシクロペンタジエニル基の一部とともに
環を形成していてもよい。後者の代表例は、2個の置換
基がそれぞれのω−端で結合して当該シクロペンタジエ
ニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員
環を形成しているもの、すなわちインデニル基またはフ
ルオレニル基、アズレニル基である。
【0024】従って、共役五員環配位子(Aおよび
A’)の典型例は、置換又は非置換のシクロペンタジエ
ニル基、インデニル基またはフルオレニル基ということ
ができる。シクロペンタジエニル基上の置換基として
は、前記の炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭
化水素基の他に、ハロゲン基(例えば、フッ素、塩素、
臭素)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜12のも
の)、ケイ素含有炭化水素基(例えばケイ素原子を−S
i(R1)(R2)(R3)の形で含む炭素数1〜24程
度の基)、リン含有炭化水素基(例えば、リン原子を−
P(R1)(R2)の形で含む炭素数1〜18程度の
基)、窒素含有炭化水素基(例えば、窒素原子を−N
(R1)(R2)の形で含む炭素数1〜18程度の基)あ
るいはホウ素含有炭化水素基(例えば、ホウ素原子を−
B(R1)(R2)の形で含む炭素数1〜18程度の基)
である。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置
換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0025】Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位
置で架橋する結合性基を、Q’は共役五員環配位子の任
意の位置とZ基を架橋する結合性基を、表す。好ましい
ものは、アルキレン基およびシリレン基である。
【0026】Mは、周期律表4〜6族から選ばれる金属
原子、好ましくは周期律表4族原子、具体的にはチタ
ン、ジルコニウムおよびハフニウムである。Zは、Mと
結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原
子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン
原子または炭化水素基である。
【0027】XおよびYは、各々水素、ハロゲン基、炭
素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素
数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミ
ノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有
炭化水素基(具体的には、例えばジフェニルホスフィン
基)、あるいは炭素数1〜20、好ましくは1〜12の
ケイ素含有炭化水素基(具体的には、例えばトリメチル
シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基)であ
る。XとYとは同一であっても異なってもよい。これら
のうちハロゲン基、炭化水素基(特に炭素数1〜8のも
の)およびアミノ基が好ましい。
【0028】本発明において、成分[A]は、同一の一
般式で表される化合物群内において、および(または)
異なる一般式で表される化合物間において二種以上の化
合物の混合物として用いることができる。Mがジルコニ
ウムである場合のこの遷移金属化合物の具体例は、下記
の通りである。
【0029】(イ)一般式[1]で表される化合物、す
なわち結合性基Qを有せず共役五員環配位子を2個有す
る遷移金属化合物、例えば(1)ビス(シクロペンタジ
エニル)ジルコニウムジクロリド、(2)ビス(ジメチ
ルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、(4)ビス(n−ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0030】(5)ビス(n−ブチル−メチル−シクロ
ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(6)(シ
クロペンタジエニル)(エチル−メチル−シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、(7)(n−ブチ
ルシクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド(8)ビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(9)ビス(テトラヒド
ロインデニル)ジルコニウムジクロリド(10)ビス
(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(1
1)ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
【0031】(12)ビス(シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジメチル、(13)(シクロペンタジエニ
ル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(14)
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(15)(シクロペンタジエニル)(ア
ズレニル)ジルコニウムジクロリド、
【0032】(ロ)一般式[2]で表される化合物、す
なわち結合性基Q、例えば(ロ−1)Q=アルキレン基
のものとして、例えば、(1)メチレンビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(2)エチレンビス(イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、(3)エチレンビ
ス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(4)エチレンビス(2−メチルイ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0033】(5)エチレン(2,4−ジメチルシクロ
ペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、(6)エチレン
1,2−ビス[4−(2,7−ジメチルインデニル)]
ジルコニウムジクロリド、(7)イソプロピリデンビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0034】(8)メチレン(シクロペンタジエニル)
(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(9)イソプロピリデン(シクロペンタ
ジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、(10)イソプロピリデン
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、
【0035】(11)エチレン(シクロペンタジエニ
ル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、(12)エチレン(2,5−ジメチルシク
ロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジク
ロリド、(13)ジフェニルメチレン(シクロペンタジ
エニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、(14)シクロヘキシリデン
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(15)ジクロロ{1,1’−ジメチル
メチレンビス[2−メチル−4−(4−ビフェニル)−
4H−アズレニル]}ジルコニウム、
【0036】(ロ−2)Q=シリレン基のものとして、
例えば、(1)ジメチルシリレンビス(2−メチルイン
デニル)ジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリ
レンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウム
ジクロリド、(3)ジメチルシリレンビス(2−メチル
−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、(4)ジメチルシリレンビス(2−メ
チル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロ
リド、(5)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−
フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(6)
ジメチルシリレンビス[4−(2−フェニルインデニ
ル)]ジルコニウムジクロリド、
【0037】(7)ジメチルシリレンビス[4−(2−
フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジク
ロリド、(8)フェニルメチルシリレンビス(4,5,
6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロ
リド、(9)フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチ
ルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(10)
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、(11)テトラメチルジシリレンビス(シク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0038】(12)ジメチルシリレン(シクロペンタ
ジエニル)(トリエチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレン(シクロ
ペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、
【0039】(14)ジメチルシリレン(ジエチルシク
ロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジル
コニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレンビス
[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニ
ル]ジルコニウムジクロリド、等。
【0040】(ロ−3)Q=ゲルマニウム、リン、窒
素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基のも
のとして、例えば、(1)ジメチルゲルマニウムビス
(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(2)メチル
アルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、(3)フェニルホスフィノビス(インデニル)ジル
コニウムジクロリド、(4)フェニルアミノ(シクロペ
ンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド等。
【0041】(ハ)一般式[3]で表される化合物、す
なわち結合性基Q’を有せず共役五員環配位子を1個有
する遷移金属化合物、例えば、(1)ペンタメチルシク
ロペンタジエニル−ビス(フェニル)アミノジルコニウ
ムジクロリド、(2)インデニル−ビス(フェニル)ア
ミドジルコニウムジクロリド、(3)ペンタメチルシク
ロペンタジエニル−ビス(トリメチルシリル)アミノジ
ルコニウムジクロリド、(4)ペンタメチルシクロペン
タジエニルフェノキシジルコニウムジクロリド、(5)
ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリク
ロリド、(6)シクロペンタジエニルジルコニウムベン
ジルジクロリド等。
【0042】(ニ)一般式[4]で表される化合物、す
なわち結合性基Q’で架橋した共役五員環はい位子を一
個有する遷移金属化合物、例えば、(1)ジメチルシリ
レン(テトラメチルシクロペンタジエニル)フェニルア
ミドジルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレン
(テトラメチルシクロペンタジエニル)tertブチル
アミドジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレ
ン(インデニル)シクロヘキシルアミドジルコニウムジ
クロリド、(4)ジメチルシリレン(テトラヒドロイン
デニル)デシルアミドジルコニウムジクロリド、(5)
ジメチルシリレン(テトラヒドロインデニル)((トリ
メチルシリル)アミノ)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルゲルマン(テトラメチルシクロペンタジ
エニル)(フェニル)アミノジルコニウムジクロリド
等、が例示される。
【0043】(ホ)また、上記(イ)〜(ニ)の化合物
の塩素を臭素、ヨウ素、ヒドリド、メチル、フェニル等
に置き換えたものも使用可能である。なお、上記例示に
おいて、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2−
および1,3−置換体を含み、三置換体は1,2,3−
および1,2,4−置換体を含む。
【0044】更に、本発明では、成分[A]として上記
(イ)〜(ホ)に例示したジルコニウム化合物の中心金
属をジルコニウムからチタン、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、クロム、モリブデンまたはタングステン等
に換えた化合物も用いることができる。これらのうちで
好ましいものは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合
物およびチタン化合物である。
【0045】成分[B] 本発明で成分[B]として用いられるイオン交換性層状
珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互い
に弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸
塩化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言
う。大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に
粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、イオン交
換性層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成
物であってもよい。
【0046】イオン交換性層状珪酸塩の具体例として
は、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(19
95年)、等に記載される公知の層状珪酸塩であって、
ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサ
イト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン
族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の
蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデラ
イト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘ
クトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バ
ーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライ
ト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイ
ト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、
パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。こ
れらは混合層を形成していてもよい。これらの中では、
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノン
トロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサ
イト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト
族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
【0047】スメクタイト族の代表的なものとしては、
一般にはモンモリロナイト、バイデライト、サポナイ
ト、ノントライト、ヘクトライト、ソーコナイト等であ
る。「ベンクレイSL」(水澤化学工業社製)、「クニ
ピア」、「スメクトン」(いずれもクニミネ工業社
製)、「モンモリロナイトK10」(アルドリッチ社
製、ジュートヘミー社製)、「K−Catalysts
シリーズ」(ジュートヘミー社製)等の市販品を利用す
ることもできる。
【0048】雲母族の代表的なものとしては、白雲母、
パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト等があ
る。市販品の「合成雲母ソマシフ」(コープケミカル社
製)、「フッ素金雲母」、「フッ素四ケイ素雲母」、
「テニオライト」(いずれもトピー工業社製)等の市販
品を利用することも出来る。
【0049】また、成分[B]は化学処理を施すことも
好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不
純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与え
る処理のいずれをも用いることができる。
【0050】好ましい化学処理としては塩類処理および
/または酸処理である。塩類処理および/または酸処理
によって、固体の酸強度を変えることが出来る。本発明
においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状
珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物
の含有する交換性陽イオンの30%以上、好ましくは4
0%以上、特に好ましくは60%以上を、下記に示す塩
類より解離した陽イオンと、イオン交換することが必要
である。このようなイオン交換を目的とした本発明の塩
類処理で用いられる塩類は、2〜14族原子から成る群
より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含
有する化合物である。これらの塩類は単独で用いても、
二種類以上を同時に、および/または、連続して用いて
もよい。
【0051】酸処理は表面の不純物を取り除くほか、結
晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部又は全
部を溶出させる。酸処理で用いられる酸は、好ましくは
塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処
理に用いる塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩
類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処
理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後、
塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行
う方法がある。
【0052】塩類及び酸による処理条件は、特には制限
されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50
重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜2
4時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から
成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成して
いる物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが
好ましい。また、塩類及び酸は、一般的には水溶液で用
いられるが、場合によってはアセトン、エタノール、ヘ
キサン、トルエン等の有機溶媒中で行うことも可能であ
る。
【0053】成分[B]は、上記塩類処理および/また
は酸処理を行う場合に、処理前、処理間、処理後に、粉
砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御する事
が出来る。その方法は合目的的な任意のものでありう
る。特に造粒法について示せば、例えば噴霧造粒法、転
動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング
法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、
乳化造粒法および液中造粒法等が挙げられる。特に好ま
しい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法およ
び圧縮造粒法である。
【0054】これら成分[B]は通常吸着水および層間
水が含まれる。ここで吸着水とは、イオン交換性層状珪
酸塩の表面あるいは結晶破面に吸着された水で、層間水
は結晶の層間に存在する水である。通常成分(B)は加
熱処理によりこれらの吸着水及び/又は層間水を除去し
たものが用いられることになり、望ましい。イオン交換
性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は特
に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、
減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水等の方法
が用いられる。好ましくは窒素などの不活性ガス流通下
での加熱処理である。空気流通下での加熱等の強固な架
橋構造を形成させるような方法は、触媒の重合活性が低
下し、好ましくない。
【0055】具体的な乾燥方法としては、密閉容器に充
填し減圧加熱脱水する方法、あるいは、一般的に工業的
に用いられる回分式あるいは連続式のいわゆるロータリ
ー・キルンを使用して加熱下、乾燥窒素等を流通させて
乾燥する方法等を挙げることができる。加熱の際の温度
は、層間水が残存しないように、100℃以上、好まし
くは150℃以上、特に好ましくは180℃以上である
が、構造破壊を生じるような高温条件(例えば800℃
以上)は好ましくない。好ましくは400℃以下であ
る。加熱時間は、加熱前の水分含量等によっても異なる
が、通常、0.5分以上、好ましくは1分以上、特に好
ましくは3分以上である。その際、除去した後の成分
(B)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg
の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%
とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であ
ることが必要である。
【0056】成分[C] また、本発明において、必要に応じて成分[C]として
用いられる有機アルミニウム化合物の例としては、下記
式で示される化合物が挙げられる。 AlR8 j3-j (式中、R8 は炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水
素、ハロゲン、アルコキシ基、jは0<j≦3の数を表
す。)
【0057】上記有機アルミニウム化合物の具体例とし
ては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルア
ルミニウム、またはジエチルアルミニウムモノクロライ
ド、ジエチルアルミニウムメトキシド等のハロゲンもし
くはアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられ
る。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキ
サン等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルア
ルミニウムが好ましい。
【0058】触媒の調製 本発明では、上記[A]成分、[B]成分及び必要に応
じて用いられる[C]成分にエチレンを接触させ、予備
的に重合させて触媒とするのが好ましい。[A]成分、
[B]成分、必要に応じて[C]成分の接触法は特に限
定されないが、以下のような接触順序で接触させること
ができる。 (1)[A]成分と[B]成分を接触させる。 (2)[A]成分と[B]成分を接触させた後に[C]成
分を添加する。 (3)[A]成分と[C]成分を接触させた後に[B]成
分を添加する。 (4)[B]成分と[C]成分を接触させた後に[A]成
分を添加する。 その他、三成分を同時に接触してもよい。
【0059】触媒各成分の接触に際し、または接触の後
にポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、
アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させ、あるいは接
触させてもよい。接触は窒素等の不活性ガス中、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活
性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20
℃〜溶媒の沸点の間で行い、特に室温から溶媒の沸点の
間で行うのが好ましい。触媒各成分の使用量は、[B]
成分1g当たり[A]成分が0.0001〜10mmo
l、好ましくは0.001〜5mmolであり、[C]
成分が0.01〜10000mmol、好ましくは0.
1〜100mmolである。また、[A]成分中の遷移
金属と[C]成分中のアルミニウムの原子比が1:0.
01〜1000000、好ましくは0.1〜10000
0である。
【0060】エチレンによる予備的な重合は不活性溶媒
中、上記各成分の接触下にエチレンを供し、固体触媒成
分1g当たり0.01〜1000g、好ましくは0.1
〜100gの重合体が生成するように行うことが望まし
い。予備重合温度は−50〜100℃、好ましくは0〜
100℃であり、予備重合時間は0.1〜100時間、
好ましくは0.1〜20時間である。
【0061】このようにして得られた固体触媒成分は、
洗浄せずにそのまま重合反応に用いてもよく、また洗浄
した後に用いてもよい。更に不活性炭化水素等の溶媒中
で行われた場合はスラリーのまま使用してもよいし、溶
媒を留去乾燥して粉末状にしてから使用してもよい。
【0062】エチレン系重合体の製造 エチレンの単独重合反応または他のオレフィンとの共重
合反応は、上記で得られた固体触媒成分、好ましくはエ
チレンで予備重合された固体触媒成分を用いて行われ
る。この際、必要に応じて有機アルミニウム化合物を用
いることができる。このとき用いられる有機アルミニウ
ム化合物としては、前記成分[C]として使用可能な化
合物と同様な化合物が挙げられる。この際に用いられる
有機アルミニウム化合物の量は、触媒成分[A]中の遷
移金属対有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモ
ル比が1:0〜10000になるように選ばれる。
【0063】本発明においては、上記のようなオレフィ
ン重合用固体触媒により、エチレン単独、またはエチレ
ンと他のオレフィン、例えば、プロピレン、ブテン−
1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、
4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとを共重合
することができる。また、本発明では微量のスチレン、
シクロアルケン、非共役ジエンを共重合することもでき
る。
【0064】重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭
化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは
不存在下に行われる。温度は、−50〜250℃であ
り、圧力は特に制限されないが、好ましくは、常圧〜約
2000kgf/cm2の範囲である。また、重合系内
に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。好まし
い重合法は、スラリー重合法、気相重合法、高圧重合
法、溶液重合法である。
【0065】本発明のエチレン系重合体には、本発明の
目的を損なわない範囲で、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯
電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇
剤、滑剤、顔料、結晶核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、
酸化防止剤の添加剤が、必要に応じて配合されても良
い。
【0066】<用途>本発明のエチレン系重合体は、従
来からエチレン系重合体が用いられてきた分野で特に制
限無く用いることができる。例えば、パイプ、シート、
フラットヤーン等の押出成形品、各種容器、灯油缶、大
型タンク等の中空成形体品、バケツ、キャップ、コンテ
ナ等の射出成形品、包装袋や包装用フィルム、化粧フィ
ルムや保護フィルム等のインフレーション成形フィルム
およびTダイ成形フィルム等、あるいはシーラント分野
等、更には他の樹脂との多層フィルム、シートの一部分
等への用途が挙げられる。
【0067】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。なお、本発明で使用する物性値の測定法と
定義は以下の通りであり、得られたポリエチレン100
重量部にヒンダードフェノール系安定剤であるイルガノ
ックス1010(商品名、チバガイギー社製)を0.1
重量部、フォスファイト系安定剤であるイルガフォス1
68(商品名、チバガイギー社製)を0.05重量部、
ステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加してペレッ
ト化し、各種物性試験および成形試験に供した。
【0068】(1)Rの測定 (株)東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、ノズ
ル径1.0mmφ、ノズル長10mm、流入角90度の
オリフィスから温度190℃で測定サンプルを押し出し
(押出線速度(V0)1.82m/分)、この溶融スト
ランドを引取速度(V)で引き取り試験を行った。Vは
1.3m/分からスタートし、その後40m/分で増加
させていって、溶融ストランドが破断した時のVをVk
とし、VkとV0の比、Vk/V0を溶融延展性比Rとし
た。
【0069】(2)Lmの測定 (株)東洋精機製作所製キャピログラフにレーザースキ
ャンスウェル測定装置を装着したものを使用し、ノズル
径2.78mmφ、ノズル長80mm、流入角3.74
度のオリフィスから温度230℃で、充填後15分予熱
を行った測定サンプルを押し出し(ロッド速度15mm
/分)、この溶融ストランドのダイ下初期長さ(L0)
30mmの区間に対して8KPa相当の荷重を加える
(荷重加え始めの時刻t(秒)=0)。時刻t=0秒で
L0=30mmであった区間の、t=30秒時の長さL
(mm)を測定し、L0に対するLの比、すなわち、伸
び率L/L0を溶融ドローダウン指標Lmと定義した。
【0070】(3)G’sの測定 貯蔵弾性率(G’s)の測定にはレオメトリックス社製
RMS−800を使用した。RMS−800は応力検知
型回転式粘度計であり、温度190℃において角周波数
ω=3.981×10-3 〜1.0×102(rad/
秒)の間で測定を実施して各ωでのG’s(ω)(単位
Pa)を求めた(周波数一桁当たり3〜6点の測定数を
確保した)。
【0071】(4)MTの測定 (株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスターを
使用し、ノズル径1.0mmφ、ノズル長5mm、流入
角90度、190℃の温度で、押出速度0.44g/
分、引取速度0.94m/分、ダイ出口から張力検出器
のVプーリー下端までの距離40cmの条件で測定し
た。ドラフト率(引取速度/ノズル線速度)は1.25
であった。
【0072】(5)スウェル比の測定 (株)東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、ノズ
ル径1.0mmφ、ノズル長10mm、流入角90度の
オリフィスから温度190℃で測定サンプルを押し出し
た(押出線速度(V0)1.82m/分)時のストラン
ド外径とノズル径の比をスウェル比とした。
【0073】
【実施例1】(1)粘土鉱物の化学処理処理および造粒 市販のモンモリロナイト(「クニピアF」、クニミネ工
業社製)8Kgを振動ボールミルによって粉砕し、塩化
マグネシウム10Kgを溶解させた脱塩水50L中に分
散させて、80℃で1時間撹拌した。得られた固体成分
を水洗した後、8.2%の塩酸水溶液56L中に分散さ
せて、90℃で2時間撹拌し、脱塩水で水洗した。この
ようにして化学処理されたモンモリロナイト4.6kg
の水スラリー液を固形分濃度15.2%に調整しスプレ
ードライヤーにより噴霧乾燥を行った。造粒により得ら
れた粒子の形状は球状であった。
【0074】(2)粘土鉱物のクロム塩処理 純水1000gに市販のCr(NO3)3・9H2O 80
gを溶解させた後、これに(1)で得られた化学処理モ
ンモリロナイト造粒粒子200gを分散させ、90℃で
3時間攪拌した。これを脱塩水にてpH6まで濾過・洗
浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時
間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のクロム塩処
理モンモリロナイト237.1gを得た。この予備乾燥
モンモリロナイト粒子10.45gを更に200℃で2
時間減圧乾燥し、乾燥モンモリロナイト粒子9.13g
を得た。
【0075】(3)クロム塩処理モンモリロナイトの有
機Al処理 窒素雰囲気下、200mLフラスコにおいて(2)で得
たクロム塩処理モンモリロナイト粒子9.13gをn−
ヘプタン10.8mlに分散させてスラリーとした。次
いで、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムの
n−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)44.
0mlを添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み
液を抜き出し、固体部をn−ヘプタンで洗浄した。
【0076】(4)触媒調製および予備重合 窒素雰囲気下、容量1Lの誘導攪拌装置付き反応器にn
−ヘプタン700mlと(3)で得た固体部全量を反応
器へ導入した。ここへビス(シクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド0.7304mmol(0.21
35g)をn−ヘプタン85.4mlで溶液として添加
し、30℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルア
ルミニウム8.76mmol(1.00g)を添加し
て、60℃に昇温した後、更に10分間攪拌を続けた。
系の温度を保持したまま、エチレンガスを0.45NL
/分の速度で113分間導入して予備重合を行った。エ
チレンの供給を停止し、反応器内容物を窒素雰囲気下に
おいて全て2Lフラスコに抜き出した。ヘプタン500
mLを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全
てフラスコに抜き出した。フラスコに移送した予備重合
触媒スラリーを静置して上澄み液約950mLを除去し
た後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を除
去した。この結果、予備重合触媒粉末71.25gを回
収した。
【0077】(5)重合 上記(4)の予備重合触媒を使用してエチレン重合を行
った。即ち90℃で精製窒素を流通させて十分乾燥した
後、エチレンガスによって置換された容積200Lの撹
拌反応器中に、室温にてn−ヘプタン100Lとトリエ
チルアルミニウム48.0mmolを添加した。反応器
内温を90℃とした後、所定量の水素(圧力20.5k
g/cm3、体積1090ml)を導入し、次いでエチ
レンガスを導入して圧力を20KGとした。内温と圧力
を保持したまま、上記(4)の予備重合触媒16.0g
を添加してエチレンの重合を開始した。重合中は圧力を
常に20KGに維持するようにエチレンを供給し、重合
を5時間継続した。水素は重合開始時から1時間毎に適
量追加添加した。重合開始してからの反応器内気相部の
水素/エチレン比(モル%)の30分毎の推移は、1.
096/0.969/0.802/1.105/0.9
31/0.881/0.766/0.808/0.71
3/0.669、であった。その結果、粒子状のエチレ
ン単独重合体1.79kgが得られた。重合体の基礎物
性を表1、表2に示した。
【0078】
【実施例2】(1)触媒調製および予備重合 実施例1(1)〜(4)と同様にして触媒調製および予
備重合を実施した。ただし、乾燥クロム塩処理モンモリ
ロナイト粒子9.15gに対して、ビス(シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド1.601mmol
(0.468g)を使用し、予備重合時に使用するトリ
エチルアルミニウムは19.18mmol(2.19
g)とした。この結果、予備重合触媒粉末79.39g
を回収した。
【0079】(2)重合 上記(1)の予備重合触媒を使用して実施例1(5)と
同様にしてエチレン重合を行った。ただし、トリエチル
アルミニウムは80.0mmolとし、重合前に反応器
に導入する水素を減らし(圧力15.0kg/cm3
体積1090ml)、重合時間は5時間とした。重合開
始してからの反応器内気相部の水素/エチレン比(モル
%)の30分毎の推移は、0.830/0.685/
0.418/0.421/0.201/0.463/
0.224/0.418/0.210/0.411/
0.203、であった。その結果、粒子状のエチレン単
独重合体9.9kgが得られた。重合体の基礎物性を表
1、表2に示した。
【0080】
【比較例1】(1)固体触媒成分の調製 中空成形、特に大型中空成形において、高い溶融張力を
有し、均一延伸性等の成形加工性に優れているエチレン
系重合体とうたわれている特開平7−90021の実施
例1記載の触媒を製造した。すなわち、コンデンサーを
備えた3Lのフラスコを充分に乾燥、窒素置換した後、
Mg(OEt)2 を66.5g(0.58mol)、Ti
(OBu)4 を98.7g(0.29mol)を仕込み、
撹拌下に130℃まで昇温し、熱処理を行った。4時間
後、均一な粘調溶液が得られた。約80℃まで冷却後ト
ルエン1.0Lを加え、均一な溶液とした。充分に乾
燥、窒素置換した24Lのオートクレーブに、上記の溶
液を全量移送した。このトルエン溶液にテトラブトキシ
チタニウムテトラマー1272g(1.31mol)を
加え、更に、トルエン4.5Lを追加した。撹拌下、4
0℃で4.24L(38.6mol)のTiCl4 をト
ルエンで4.55mol/Lの濃度まで希釈し、3時間
かけて添加した。引き続き30分かけて105℃まで昇
温し、1時間保持した。次いで、冷却後、ノルマルヘキ
サンで洗浄し、固体触媒成分を得た。固体触媒成分中の
Ti含量は34.9重量%であった。
【0081】(2)エチレンの予備重合 容量300Lの予備重合用反応器に、ノルマルヘキサン
220Lを仕込み、次に上記(1)で得た固体触媒成分
360gを導入した。水素を2Kg/cm2導入し、8
0℃に昇温後、トリエチルアルミニウム0.36mol
をエチレンとともにフィードし予備重合を開始した。エ
チレンを連続的に導入し、0.5時間予備重合を行い、
固体触媒成分1g当たり10gのポリエチレンを得た。
予備重合終了後冷却し、ノルマルヘキサンで洗浄した。
【0082】(3)エチレンの重合 容量500Lの反応器を備えた連続重合装置を用いて、
エチレン27kg/hr、ノルマルヘキサン63kg/
hr、および水素所定量を連続的に供給するとともに、
(2)で製造した予備重合触媒を2.5g/hr、およ
びトリエチルアルミニウムを1.5g/hrの速度で導
入し、80℃、全圧25kg/cm2、平均滞留時間3
時間の条件下でエチレンの単独重合を行った。反応器内
のポリエチレンを25kg/hrの速度で脱ガス槽に導
入し、粗分離、乾燥工程を経て、重合体粉末を得た。結
果を表1、表2に示す。
【0083】
【比較例2】市販品のCr触媒重合品であるエチレン系
重合体(日本ポリケム(株)製HB214RW)を使用
した。結果を表1、表2に示す。
【0084】
【比較例3】市販品のCr触媒重合品であるエチレン系
重合体(日本ポリケム(株)製BZ81)を使用した。
結果を表1、表2に示す。
【0085】
【比較例4】(1)固体触媒成分の調製 成形性が優れたエチレン系重合体とうたわれている特開
平9−328520の実施例記載の錯体を使用して触媒
成分を調製した。すなわち、市販のシリカ担持メチルア
ルミノキサン(Witco社製 TA02794、メチ
ルアルミノキサンとして50重量%含有)6.0gをト
ルエン50mlでスラリー化し、ここへ、ジメチルシリ
レンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド(ジアステレオ異性体の混合比1:1)
のトルエン溶液(Zr=0.0103ミリモル/ml)
11.1mlを20℃で30分かけて滴下した。次いで
80℃まで昇温し、その温度で2時間反応させた。その
後、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。 (2)エチレンの予備重合 上記(1)で得られた固体触媒4gをヘプタン200m
lで再スラリー化した。ここへトリイソブチルアルミニ
ウムのヘプタン溶液(0.731mmol/ml)6.
84mlおよび1−ヘキセン0.36gを加え、35℃
でエチレンの予備重合を行うことにより、3gのポリエ
チレンが予備重合された。 (3)エチレンの重合 十分に窒素置換された内容積が3Lのステンレス製オー
トクレーブに、ヘプタン1.5Lを装入し、系内をエチ
レンと水素の混合ガス(水素含量0.05mol%)で
置換した。次いで系内を60℃とし、トリイソブチルア
ルミニウム1.5mmol、上記(2)で調製した予備
重合触媒180mgを添加した。その後、上記と同様の
組成を有するエチレンと水素の混合ガスを導入し、全圧
8kg/cm2−Gとして重合を開始した。その後、混
合ガスのみを補給し、全圧を8kg/cm2−Gに保
ち、70℃で1.5時間重合を行った。結果を表1、表
2に示す。
【0086】
【比較例5】(1)固体触媒成分の調製 高流動性と良好な成形加工性を有するエチレン系重合体
とうたわれている特開平10−182742の実施例1
記載の固体触媒成分を調製した。すなわち、窒素雰囲気
下、ボールミルによってマグネシウムエチラート20
g、三塩化アルミニウム1.66g、ジフェニルジエト
キシシラン2.72gを共粉砕して得られた生成物5g
およびヘプタン20mlを200mlフラスコに加え
た。撹拌しながら室温で四塩化チタン10.4mlを滴
下し、90℃まで昇温し、90分間撹拌を継続した。つ
いで反応系を冷却した後、上澄み液を抜き取り、ヘプタ
ンで洗浄した。得られた固体を50℃にて6時間減圧乾
燥して固体触媒成分を得た。 (2)エチレン系重合体成分の調製 (成分Aの調製)十分に窒素置換された内容積が3Lの
ステンレス製オートクレーブに、上記(1)で得た触媒
成分4mg、トリイソブチルアルミニウム1.5mmo
l、ヘプタン1.2Lを加えた。オートクレーブの温度
を80℃まで上げた後、更に、水素および1−ヘキサン
所定量を5kg/cm2−Gのエチレンとともに添加し
て、そのままエチレン分圧を5kg/cm2−Gに保っ
たまま連続的に供給し、60分間重合を行った。ついで
内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。
得られたエチレン系重合体(成分A)のHLMIは0.
23g/10分、Mwは610000、Mw/Mnは
4.9であった。(成分Bの調製)成分Aの調製と同様
の方法で、190℃、2.16kg荷重のMIが86g
/10分、Mwが42000、Mw/Mnが6.9のエ
チレン系重合体(成分B)を得た。 (3)エチレン系重合体の調製 東洋精機社製のラボブラストミルを用い、酸化防止剤に
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BH
T)を0.05重量%、チバガイギー社製イルガノック
ス1010を0.1重量%加えた成分Aおよび同様の添
加剤処方の成分Bを50/50の重量比率で総量35g
を窒素雰囲気下、40回転/分で7分間混練した。その
後、更に成分Bを加え、成分Aと成分Bの重量比率が2
6/74となるようにし、再度ラボブラストミルにより
窒素雰囲気下7分間混練し、エチレン系重合体を得た。
結果を表1、表2に示す。
【0087】
【比較例6】(1)粘土鉱物のクロム塩処理 実施例1(1)で得られた化学処理モンモリロナイト造
粒粒子を1Lフラスコに20g分取し、その後、市販の
Cr(NO3)3・9H2O 48gを溶解させた脱塩水4
00mlに分散させ、90℃で3時間攪拌した。処理
後、この固体成分を脱塩水で洗浄し、乾燥を行って化学
処理モンモリロナイトを得た。この予備乾燥モンモリロ
ナイト粒子10.0gを更に200℃で2時間減圧乾燥
し、乾燥モンモリロナイト粒子8.7gを得た。 (2)クロム塩処理モンモリロナイトの有機Al処理 窒素雰囲気下、100mLフラスコに、(1)で得たク
ロム塩処理モンモリロナイト粒子3.0gを入れ、トル
エン20mlに分散させてスラリーとした。次いで室温
において撹拌下、トリエチルアルミニウムを1.3ml
添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き
出し、固体部をトルエンで洗浄した。 (3)触媒調製 (2)に引き続き、窒素雰囲気下、トルエンを追加して
スラリーとした後、ビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリドのトルエン溶液(20.0μmol
/ml)を12.0ml加え、室温で1時間攪拌して触
媒成分を得た。 (4)エチレン重合体の製造 精製窒素で充分置換された2Lの誘導撹拌式オートクレ
ーブ中にノルマルヘキサン1L、トリエチルアルミニウ
ム0.15mmol、(3)で得られた触媒成分を12
0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温してオートクレ
ーブ内のガス組成が[水素/エチレン]=0.034m
ol%になるように水素を加えた後、エチレンを導入し
て全圧を22.0kgf/cm2に保ち、撹拌を続けて
1時間重合を行った。重合はエタノール10mlを加え
ることにより停止させた。得られたエチレン重合体は3
10gであった。重合体の基礎物性を表1、表2に示し
た。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】本発明のエチレン系重合体は、成形加工
性と機械的物性に優れる。特に、溶融時における延展性
と耐ドローダウン性が従来のエチレン系重合体に比べて
格段に優れ、スウェルが小さいことからブロー成形時の
パリソン形状制御性に優れたエチレン系重合体を提供す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 昌幸 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 日 本ポリケム株式会社材料開発センター内 (72)発明者 尾畑 晃 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 日 本ポリケム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 4J028 AA01A AB01A AC01A AC10A AC20A AC28A AC31A AC32A AC41A AC42A AC43A AC44A BA00A BA01B BB00A BB01B BC15B BC16B BC17B BC18B BC24B BC25B CA30C EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 EC03 FA01 FA02 FA04 FA06 GA05 GA08 GA26 4J100 AA02P AA03Q AA04Q AA07Q AA09Q AA15Q AA16Q AA17Q AA18Q AA19Q AA21Q CA01 CA04 DA14 DA15 DA36 DA42 4J128 AA01 AB01 AC01 AC10 AC20 AC28 AC31 AC32 AC41 AC42 AC43 AC44 AD00 BA00A BA01B BB00A BB01B BC15B BC16B BC17B BC18B BC24B BC25B CA30C EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 EC03 FA01 FA02 FA04 FA06 GA05 GA08 GA26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン単独、または、エチレンと炭素数
    3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、下記
    条件(イ)〜(ニ)を満たすものであることを特徴とす
    るエチレン系重合体。 (イ)190℃における21.6kg荷重でのメルトイ
    ンデックス(HLMI)が0.1〜1000g/10
    分。 (ロ)密度(d)が0.935〜0.985g/cm3 (ハ)溶融延展性比(R)が3.5以上 (ニ)溶融ドローダウン指標(Lm)とHLMIの関係
    が下記式(i)を満たす。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.32・・・(i)
  2. 【請求項2】上記条件(ハ)における溶融延展性比
    (R)とHLMIの関係が下記式(iii)を満たすこ
    とを特徴とする請求項1記載のエチレン系重合体。
    HLMI<8.0 の場合 R≧−63.1×Log(HLMI)+62.7・・・(iii) HLMI≧8.0 の場合 R≧5.7
  3. 【請求項3】上記条件(ニ)の溶融ドローダウン指標
    (Lm)とHLMIの関係が下記式(ii)を満たすこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のエチレン系重合
    体。 Lm≦0.238×Log(HLMI)+1.13・・・(ii)
  4. 【請求項4】上記条件(イ)〜(ニ)に加えて、更に、
    (ホ)溶融延展性比(R)と溶融張力(MT)の関係が
    下記式(iv)を満たすことを特徴とする請求項1〜3
    いずれか1項記載のエチレン系重合体。 R≧35.5×Log(MT)−22.2・・・(iv)
  5. 【請求項5】上記条件(イ)〜(ニ)に加えて、更に、
    (ヘ)スウェルが1.8以下であることを特徴とする請
    求項1〜4いずれか1項記載のエチレン系重合体。
  6. 【請求項6】上記条件(イ)〜(ニ)に加えて、更に、
    (ト)190℃、周波数(ω)0.1rad/秒での貯
    蔵弾性率[G’s(ω=0.1)](単位Pa)、および、
    周波数(ω)1.0rad/秒での貯蔵弾性率[G’s
    (ω=1.0)](単位Pa)と、HLMIの関係が各々
    下記式(v)(vi)を満たすことを特徴とする請求項
    1〜5いずれか1項記載のエチレン系重合体。 Log[G's(ω=0.1)]≧−0.374×Log(HLMI)+4.35・・・(v) Log[G's(ω=1.0)]≧−0.135×Log(HLMI)+4.62・・・(vi)
  7. 【請求項7】[A]共役五員環配位子を少なくとも1個
    有する周期律表4〜6族遷移金属化合物及び[B]イオ
    ン交換性層状珪酸塩を含む触媒の存在下、単一の重合器
    で製造された請求項1〜6いずれか1項記載のエチレン
    系重合体。
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