JP3629113B2 - オレフィンの多段階重合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の触媒を用いたオレフィンの多段階重合方法に関する。更に詳しくは耐ドローダウン性や均一延伸性等、特に中空成形時の加工特性に優れ、かつ耐衝撃性やESCR(耐環境応力亀裂性)等の機械的強度にも優れたオレフィン重合体が得られるオレフィンの多段階重合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合体は種々の成形方法により成形され、幅広い分野で利用されている。例えば、エチレン系重合体は成形法や用途により、その要求性能も異なる。中空成形を例にとれば、溶融時にダイから容易に樹脂を押し出すことができ、かつ垂れ下がりやちぎれを防止するために、重合体として分子量のわりに溶融張力の大きいものを選ぶ必要がある。
【0003】
ところで、従来から用いられてきた触媒として、チーグラー型触媒、特にチタン系触媒がある。該触媒から得られたエチレン系重合体の溶融張力やダイスウエル比を向上させて成形性の改良を図る方法が提案されている(特開昭56−90810号、特開昭60−106806号各公報等)。しかし、一般にチタン系触媒を用いた場合、特に低密度のエチレン系重合体は組成分布が広く、製品がベタつくなどの問題点があった。また、クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体の溶融張力は比較的高いが、耐衝撃性等の機械的強度は一般にチタン系触媒のものに比べて劣る。
【0004】
近年、オレフィンを触媒の存在下に重合してオレフィン重合体を製造するにあたり、触媒として(1)メタロセン系化合物及び(2)アルミノキサンを組み合わせたものを用いる方法が提案されている(特開昭60−35007号公報、特公平4−12283号公報等)。
【0005】
しかし、これらの触媒系は反応媒体に可溶であることが多く、得られる重合体は粒子形状が不定形で嵩密度が小さく、微粉が多い等粒子性状は極めて悪いものであり、スラリー重合あるいは気相重合などに適用した場合、連続安定運転が困難になる等、製造工程上多くの問題点を有している。また、該触媒により得られる重合体は比較的分子量分布が狭いために、その溶融体の流動性が悪く、溶融張力も低い等の理由から成形しにくいという欠点を有している。例えば中空成形に用いた場合、ドローダウンが発生して成形品の肉厚が不均一になったり、吹き破れるといった問題が生じる。また押出し成形では、押出し時の高せん断下におけるエチレン重合体の応力が小さいことが成形品の品質向上や成形時の消費電力減少等の経済面からも必要である。
【0006】
一方、これらの問題点を解消するために、メタロセン系化合物及びアルミノキサンの一方あるいは両方を、シリカ、アルミナ等の無機酸化物もしくは有機物に担持させた触媒を用いて、オレフィンの重合を行う方法も提案されている(特開昭61−108610号公報、同60−135408号公報、同61−296008号公報、特開平3−74412号公報、同3−74415号公報等)。しかし、これらの方法によって得られた重合体は、依然として微粉、粗粒が多くみられ、また嵩密度も低い等粒子性状の不良なものが多く、更には固体成分あたりの重合活性が低い等の問題点も有していた。
【0007】
その後、上記成形性の改良を目的としたオレフィンの重合方法が種々提案されている。たとえば特開平4−213306号公報では(1)遷移金属成分にシクロペンタジエニル骨格を有する少なくとも2つの基が炭素および/またはケイ素含有基により架橋された構造を持つ化合物を配位子とする遷移金属化合物を用い、(2)有機金属成分としてアルミノキサンを必須とする触媒系を用いたエチレンとα−オレフィンとの重合方法が提案されている。
しかしながら上記製造方法により得られる共重合体は、上述の成形上の問題点に関し一定の改良効果が得られるものの、未だ十分なものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って溶融張力等の溶融特性に優れ、耐ドローダウン性や均一延伸性等の、特に中空成形時の加工特性に優れ、かつ耐衝撃性やESCR(耐環境応力亀裂性)等の機械的強度にも優れたオレフィン重合体の製造が可能となるオレフィンの多段階重合方法を提供することが望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような現状に鑑み鋭意検討した結果、特定の多段階重合方法により優れた特性を有するオレフィン重合体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、少なくとも以下の2つの重合工程を含むことを特徴とするオレフィンの多段階重合方法にある。
【0010】
(重合工程I)[A]周期律表4B〜6B族遷移金属原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる塩を、[B]担体に担持してなる固体触媒成分、および必要により[C]有機アルミニウム化合物から成る触媒の存在下、オレフィンを重合する重合工程I。
【0011】
(重合工程II)重合工程Iで、得られたオレフィン重合生成物に、触媒を実質的に失活させることなく更に、共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期律表4B〜6B族の遷移金属化合物[D]を添加してオレフィンの重合を行う重合工程II。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の重合工程Iでは、ある特定の塩[A]で接触処理された担体、好ましくは無機化合物および/または有機高分子化合物からなる担体が用いられる。
ここで無機化合物としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、塩化マグネシウム、あるいは(1)珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物および(2)無機珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物等が用いられる。また、有機高分子化合物としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン単独あるいは共重合体、スチレンあるいはその誘導体の単独あるいは共重合体等、広く使用されているものも好適に用いられる。これらは各々、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
これらのうち、特に好ましいのは、(1)珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物および(2)無機珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物である。珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものを言う。
【0014】
珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。このような結晶構造を有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HO等の多価金属の結晶性酸性塩があげられる。
【0015】
無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0016】
これらのうち好ましくは、デイッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物が挙げられ、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイトが挙げられる。また、人工の合成物として、合成ヘクトライト、合成雲母(マイカ)、合成サポナイト等が挙げられる。
【0017】
本発明で使用される担体は、特に処理を行うことなくそのまま用いてもよいし、ボールミル、ふるいわけ、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、安息香酸等の有機酸、等との接触による酸処理等の処理を行った後に用いてもよい。
本発明に用いられる塩は、周期律表第4〜6族遷移金属原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。
【0018】
具体的には、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、TiCl(OC)、TiCl(OC、TiCl(OC、Ti(OC、Ti(OCH、Ti(OC、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CHCOCHCOCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF,ZrCl、ZrBr、ZrI、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、Hf(OOCCH、Hf(CO、Hf(NO、Hf(SO、HfF、HfCl、HfBr、HfI、HfOCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr、Nb(CHCOCHCOCH、Nb(CO、Nb(NO、Nb(SO、NbF、NbCl、NbBr、NbI、Ta(OOCCH、Ta(CO、Ta(NO、Ta(SO、TaF、TaCl、TaBr、TaI、 Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCH、Cr(OOCH)OH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、MoOCl、MoCl、MoCl、MoCl、MoF、MoI、WCl、WCl、WF、WBr等が挙げられる。
【0019】
また、これら塩は2種以上、同時に使用してもよい。
塩との接触(塩処理と言うことがある)に先立って行ってもよい酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させる。
酸処理で用いられる酸は、前記の無機酸または有機酸、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択され、2種以上、同時に用いてもよい。
【0020】
塩および酸との接触処理条件は、特に制限されないが、通常、塩および酸濃度は、例えば、水溶液等の溶液中の濃度でそれぞれ0.1〜30重量%、処理温度は室温から使用溶媒の沸点の範囲、また特に有機高分子化合物を担体として使用する場合は接触処理溶媒中で有機高分子化合物が溶解しない程度の温度範囲から選ばれる。
【0021】
処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、担体として(1)珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物および(2)無機珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を用いる場合は、該化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩および酸は好ましくは水溶液で用いられる。
【0022】
本発明では上記塩処理を行うが、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒等で形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理や有機物処理等の他の化学処理を併用してもよい。
これらの担体は通常吸着水等、ある程度の水分を含有している。本発明においては、以下のようにこれらの水分を除去する等して水分量の制御された固体触媒成分を用いることが好ましい。すなわち水分含有量としては、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有量を0重量%としたとき、3重量%以下、好ましくは1重量%以下(下限は0重量%以上)であることが望ましい。
【0023】
ここで、吸着水等を除去する方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。加熱の際の温度は、70℃以上、好ましくは100℃以上であるが、有機高分子化合物を担体として使用する場合は有機高分子化合物粒子が溶融しない温度であることが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。
また、本発明の重合工程Iにおいて必要により用いられる[C]成分としては、例えば、下記一般式で示される化合物、および/または、該化合物より製造されたアルミノキサン類である。
【0024】
AlR3−a
(式中、Rは炭素数1から20の炭化水素基を表し、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基を表し、aは0<a≦3の数である。)
【0025】
具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウム、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が使用される。また、アルミノキサンは2種以上のAlR3−a から製造されたものも用いられる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウム、アルミノキサン類が好ましい。
【0026】
この有機アルミニウム化合物は重合時に反応器中に導入するほかに、予め反応器中に導入する前に[B]成分と接触させたり、あるいは[A]成分と[B]成分を接触させて得られた固体触媒成分と接触させたりする実施形態も好適に用いられる。
接触は窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃〜溶媒の沸点の間で行い、特に室温から溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。また特にポリマーを担体として使用する場合は、接触処理溶媒中でポリマーが溶解しない程度の温度から選ばれる。
【0027】
また、該有機アルミニウム化合物の使用量は、乾燥した[B]成分あるいは固体触媒成分1gあたり0.001〜10000mmol、好ましくは0.01〜100mmolである。予め有機アルミニウム化合物と[B]成分あるいは固体触媒成分を接触させる場合は、接触後洗浄せずに用いてもよく、また洗浄した後に用いても良い。
【0028】
重合の前に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に重合し、必要に応じて洗浄したものを触媒として用いることもできる。
この予備的な重合は不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒成分1gあたり、0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
【0029】
重合工程Iで重合されるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。また、単独重合のほか通常公知のランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。
【0030】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。温度は−50℃〜250℃であり、圧力は特に制限されないが、好ましくは常圧〜約2000kg・f/cmの範囲である。
また、重合系内に分子量調節剤として水素等を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
【0031】
この重合工程Iで製造されるオレフィン重合体の、本発明で得られる重合体全体に対する割合は3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であるのが好ましい。
重合工程I終了後、引き続き触媒を実質的に失活させることなく、通常は重合系を開放することなく、得られたオレフィン重合体に更に、遷移金属化合物[D]を添加して重合工程IIを行う。
【0032】
本発明の重合工程IIに用いられる[D]成分は、共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期律表4B族の遷移金属化合物である。かかる遷移金属化合物として好ましいものは下記一般式[1]、[2]、[3]もしくは[4]で表される化合物である。
【0033】
【化2】
Figure 0003629113
【0034】
[ここで、AおよびA′ は共役五員環配位子(同一化合物内においてAおよびA′ は同一でも異なっていてもよい)を、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、ZはMと結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子、または炭化水素基を、Q′ は共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を、Mは周期律表4B族から選ばれる金属原子を、そして、XおよびYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を、それぞれ示す。]
【0035】
AおよびA′は共役五員環配位子であり、これらは同一化合物内において同一でも異なっていてもよいことは前述した通りである。この共役五員環配位子(AおよびA′)の典型例としては、共役炭素五員環配位子、すなわちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。このシクロペンタジエニル基は水素原子を5個有するもの[C]であってもよく、また、その誘導体、すなわちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているもの、であってもよい。この置換基の一つの具体例は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭化水素基であるが、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにそのうちの2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に環を形成していてもよい。後者の代表例は、2個の置換基がそれぞれのω−端で結合して当該シクロペンタジエニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成しているもの、すなわちインデニル基またはフルオレニル基、である。
【0036】
従って、共役五員環配位子(AおよびA′)の典型例は、置換または非置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基またはフルオレニル基ということができる。
シクロペンタジエニル基上の置換基としては、前記の炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭化水素基の外に、ハロゲン基(たとえば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(たとえば、C〜C12のもの)、ケイ素含有炭化水素基(たとえば、ケイ素原子を−Si(R)(R)(R)の形で含む炭素数1〜24程度の基)、リン含有炭化水素基(たとえば、リン原子を−P(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)、窒素含有炭化水素基(たとえば、窒素原子を−N(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)あるいはホウ素含有炭化水素基(たとえば、ホウ素原子を−B(R)(R)の形で含む炭素数1〜18程度の基)である。これらの置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同一であっても異なってもよい。
【0037】
Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を、Q′は共役五員環配位子の任意の位置とZ基を架橋する結合性基を、表す。
詳しくは、QおよびQ′は、
(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基、
(ロ)シリレン基、ジメチルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基等のシリレン基、
(ハ)ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基〔具体的には(CHGe基、(CGe基、(CH)P基、(C)P基、(C)N基、(C)N基、(CH)B基、(C)B基、(C)B基、(C)Al基、(CHO)Al基等〕等である。好ましいものは、アルキレン基およびシリレン基である。
【0038】
Mは、周期律表4B〜6B族から選ばれる金属原子、好ましくは周期律表4B族金属原子、具体的にはチタン、ジルコニウムおよびハウニウムである。特にはジルコニウムが好ましい。
Zは、Mと結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。Zとして好ましいものの具体例としては、酸素(−O−)、イオウ(−S−)、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のチオアルコキシ基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のリン含有炭化水素基、水素原子、塩素、臭素、炭素数1〜20の炭化水素基である。
【0039】
XおよびYは、各々水素、ハロゲン基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(具体的には、たとえばジフェニルホスフィン基)、あるいは炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基(具体的には、たとえばトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基)である。XとYとは同一でも異なってもよい。これらのうちハロゲン基、炭化水素基(特に炭素数1〜8のもの)およびアミノ基が好ましい。
【0040】
したがって、本発明によるオレフィン重合用触媒において、成分[D]として好ましい一般式[1]、[2]、[3]あるいは[4]で表される化合物のうち、特に好ましいものは下記内容のそれぞれの置換基を有するものである。
A、A′=シクロペンタジエニル、n−ブチル−シクロペンタジエニル、インデニル、2−メチル−インデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチル−テトラヒドロインデニル、2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、
Q,Q′=エチレン、ジメチルシリレン、イソプロピリデン、
Z=t−ブチルアミド、フェニルアミド、シクロヘキシルアミド、
M=4B族遷移金属、
X、Y=塩素、メチル、ジエチルアミノ。
【0041】
本発明において、成分[D]は、同一の一般式で表される化合物群内において、および(または)異なる一般式で表される化合物間において、二種以上の化合物の混合物として用いることができる。
Mがジルコニウムである場合のこの遷移金属化合物の具体例は、下記の通りである。
【0042】
(イ)一般式[1]で表される化合物、すなわち結合性基Qを有せず共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、例えば
(1)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ビス(メチル−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
(12)ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
(13)ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
(14)ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
(15)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
(16)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、
(17)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジネオペンチル、
(18)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、
(19)(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(20)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等。
【0043】
(ロ)一般式[2]で表される化合物、すなわち結合性基Q、例えば(ロ−1)Q=アルキレン基のものとして、例えば
(1)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムモノハイドライドモノクロリド、
(4)エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
(5)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムモノメトキシドモノクロリド、
(6)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジエトキシド、
(7)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
(8)エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)エチレンビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)エチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(12)エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)エチレン(2−メチル−4−tertブチルシクロペンタジエニル)(3′−tertブチル−5′−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(15)エチレン−1,2−ビス(4−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)エチレン−1,2−ビス〔4−(2,7−ジメチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(17)エチレン−1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(18)イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(19)イソプロピリデンビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(20)イソプロピリデン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(21)イソプロピリデン(2−メチル−4−tertブチルシクロペンタジエニル)(3′−tertブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(22)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(23)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドヒドリド、
(24)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
(25)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、
(26)メチレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(27)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(28)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(29)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(30)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(31)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(32)イソプロピリデン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(33)イソプロピリデン(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(34)イソプロピリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,4′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(35)イソプロピリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(36)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(37)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(38)エチレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(39)エチレン(2,5−ジエチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(40)エチレンビス〔4−(2−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(41)エチレンビス〔4−(2,7−ジメチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(42)エチレンビス〔4−(2−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(43)エチレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(44)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(45)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(46)シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(47)シクロヘキシリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル(3′,4′−ジメチルジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等。
【0044】
(ロ−2)Q=シリレン基のものとして、例えば
(1)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,4−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−4−シラインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス〔4−(2−tertブチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレンビス〔4−(2−tertブチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(14)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
(15)フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(17)フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3′,5′−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(18)フェニルメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2′,4′,5′−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(19)フェニルメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(20)ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(21)テトラメチルジシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(22)テトラメチルジシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(23)テトラメチルジシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(26)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(27)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(28)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(29)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(30)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリレン(3−tert−ブチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(32)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(33)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(34)ジメチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(35)ジメチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(36)ジメチルシリレン(2−エチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(37)ジメチルシリレン(2,5−ジエチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(38)ジエチルシリレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(2′,7′−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(39)ジメチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(2′,7′−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(40)ジメチルシリレン(2−エチルシクロペンタジエニル)(2′,7′−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(41)ジメチルシリレン(ジエチルシクロペンタジエニル)(2′,7′−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(42)ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(43)ジメチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(44)ジメチルシリレン(エチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(45)ジメチルシリレン(ジエチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(46)ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−4−ヒドロ−4−フェニルアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド等。
【0045】
(ロ−3)Q=ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基のものとして、例えば
(1)ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)メチルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)フェニルホスフィノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチルホラノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)フェニルアミノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等。
【0046】
(ハ)一般式[3]で表される化合物、すなわち結合性基Q′を有せず共役五員環配位子を1個有する遷移金属化合物、例えば
(1)ペンタメチルシクロペンタジエニル−ビス(フェニル)アミノジルコニウムジクロリド、
(2)インデニル−ビス(フェニル)アミドジルコニウムジクロリド、
(3)ペンタメチルシクロペンタジエニル−ビス(トリメチルシリル)アミノジルコニウムジクロリド、
(4)ペンタメチルシクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロリド、
(5)シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、
(6)ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、
(7)シクロペンタジエニルジルコニウムベンジルジクロリド、
(8)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロロハイドライド、
(9)シクロペンタジエニルジルコニウムトリエトキシド、等。
【0047】
(ニ)一般式[4]で表される化合物、すなわち結合性基Q′で架橋した共役五員環配位子を1個有する遷移金属化合物、例えば
(1)ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)フェニルアミドジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)tertブチルアミドジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレン(インデニル)シクロヘキシルアミドジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレン(テトラヒドロインデニル)デシルアミドジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレン(テトラヒドロインデニル)((トリメチルシリル)アミノ)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルゲルマン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フェニル)アミノジルコニウムジクロリド等、が例示される。
【0048】
(ホ)また、上記(イ)〜(ニ)の化合物の塩素を臭素、ヨウ素、ヒドリド、メチル、フェニル等に置きかえたものも使用可能である。
さらに、本発明では、成分[D]として上記(イ)〜(ホ)に例示したジルコニウム化合物の中心金属をジルコニウムからチタン、ハフニウム、ニオブ、モリブデンまたはタングステン等に換えた化合物も用いることができる。
【0049】
これらのうちで好ましいものは、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物およびチタン化合物である。さらに好ましいのは、ジルコニウム化合物である。
前記[D]成分の添加は重合工程I終了後、窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。添加操作は重合工程に先立って、又は途中に、複数回に分割して行うこともできる。また、エチレン等のモノマーが存在あるいは不存在下のいずれの状態で行ってもよい。添加温度は−20℃〜溶媒の沸点の間で行い、特に室温から溶媒の沸点の間で行うことが好ましい。
【0050】
[D]成分の使用量は、脱水乾燥した固体触媒成分1gあたり0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolである。
また、必要により新たに有機アルミニウム化合物[C]を追加添加も好適に行うことができる。この際、[C]成分の添加量は脱水乾燥した固体触媒成分1gあたり0.01〜10,000mmol、好ましくは0.1〜100mmolである。また、[D]成分中の遷移金属と[C]成分中のアルミニウムの原子比は1:0.001〜1,000,000、好ましくは1:0.01〜100,000である。
【0051】
重合工程IIで重合されるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。また、単独重合のほか通常公知のランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。
【0052】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。温度は−50℃〜250℃であり、圧力は特に制限されないが、好ましくは常圧〜約2000kg・f/cmの範囲である。
また、重合系内に分子量調節剤として水素等を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
この重合工程IIで製造されるオレフィン重合体の、本発明で得られる重合体全体に対する割合は、50〜97重量%、好ましくは60〜95重量%であるのが好ましい。
【0053】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しないかぎりこれら実施例によって制約を受けるものではない。
なお、以下の触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で行った。また溶媒は、MS−4Aで脱水した後、精製窒素でバブリングして脱気したものを用いた。
【0054】
実施例中、メルトインデックス(HLMI)はASTM D1238−57Tに準拠し、190℃、21.6kg荷重で測定した。また同様にASTM D1238−57Tに準拠し、190℃、5.0kg荷重で測定したメルトインデックス(MI5)の値と前記HLMIの値の比(HLMI/MI5)をSSとして押し出し性の尺度とした。すなわち、SSの値が大きいほど押し出し性が良好である。
【0055】
密度は、メルトインデックス測定時に得られたストランドを100℃で1時間熱処理し、さらに室温で1時間放冷した後に密度勾配管法で測定した。
重合体の溶融張力(MT)の測定は、(株)インテスコ製のメルトテンションテスターを使用し、ノズル径2.095mmφ、ノズル長8mm、流入角90゜、190℃の温度で、押出速度0.716cc/分、引取り速度2m/分、エアギャップ40cmの条件で行った。
なお、上述したHLMI、SS、MTの測定に際しては予めオレフィン重合体に2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾールを0.1重量%配合した。
【0056】
実施例1
(1)モンモリロナイトの塩処理および造粒
市販のモンモリロナイト8kgを振動ボールミルによって粉砕し、塩化マグネシウム10kgを溶解させた脱塩水50リットル中に分散させて80℃で1時間攪拌した。得られた固体成分を水洗した後、8.2%の塩酸水溶液56リットル中に分散させて、90℃で2時間攪拌し、脱塩水で水洗した。このようにして処理されたモンモリロナイト4.6kgの水スラリー液を固形分濃度 15.2%に調整し、スプレードライヤーにより噴霧造粒を行った。造粒により得られた粒子の形状は球状であった。次いで、この造粒された化学処理モンモリロナイトを1リットルのフラスコに30g分取し、その後、Cr(NO・9HO 72gを溶解させた脱塩水600ml中に分散させ、90℃で3時間攪拌した。処理後、この固体成分を脱塩水で洗浄し、乾燥を行って塩処理モンモリロナイトを得た。
【0057】
(2)塩処理モンモリロナイトの加熱脱水処理
200mlフラスコに(1)で得た塩処理モンモリロナイト15.0gを入れて0.1mmHgの減圧下、200℃で2時間の加熱脱水処理を行った。この脱水処理で1.95gの重量減が認められた。
【0058】
(3)固体触媒成分の合成
100mlフラスコに(2)で得られた加熱脱水した塩処理モンモリロナイト3.0gを入れ、トルエン20mlに分散させてスラリーとした。次いで室温において攪拌下、トリエチルアルミニウム1.3ml添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出して固体部をトルエンで洗浄して固体触媒成分を得た。
【0059】
(4)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、前記(3)で得られた固体触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.048モル%になるように水素を加え、全圧を22.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して90℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は243gであった。この重合体のHLMIは2.41g/10分であり、MTは43.0gと非常に高い値を示し、密度は0.954g/cmであった。またSSは43.0と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0060】
比較例1
(1)触媒成分の合成
100mlフラスコに実施例1の(2)で得られた、加熱脱水した塩処理モンモリロナイト3.0gを入れ、トルエン20mlに分散させてスラリーとした。次いで室温において攪拌下、トリエチルアルミニウム1.3ml添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出して固体部をトルエンで洗浄した。これにトルエンを加えてスラリーとした後、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(20.0μmol/ml)を12.0ml加え、室温で1時間攪拌し触媒成分を得た。
【0061】
(2)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、前記(3)で得られた触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温して、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.019モル%になるように水素を加え、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1時間重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は263gであった。この重合体のHLMIは2.54g/10分であり、密度0.948g/cm、MTは35.3gであった。一方、SSは17.0と低く、この重合体の押し出し性は不十分であった。
【0062】
実施例2
(1)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、実施例1の(3)で得られた固体触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=1.5モル%になるように水素を加え、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1時間重合を行った。次いで、反応系の温度を室温まで冷却し、未反応のエチレンガスおよび水素をパージして反応系内を精製窒素で1度置換した後、再び90℃まで昇温し、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.045モル%になるように水素を加え、全圧を22.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して90℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は250gであった。この重合体のHLMIは2.43g/10分であり、MTは42.8gと非常に高い値を示し、密度は0.955g/cmであった。またSSは42.6と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0063】
実施例3
(1)エチレン重合体の製造
実施例1の(4)において、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドをジメチルシリレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)3.6mlに変え、2段目の重合時のオートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.038モル%に変更した以外は実施例1の(4)と同様にしてエチレン重合体の製造を行った。その結果、得られたエチレン重合体は257g、HLMIは1.63g/10分、密度0.952g/cmであり、MTは50.3gと非常に高い値を示した。またSSは46.4と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0064】
実施例4
(1)合成雲母の塩処理
市販の合成雲母を1リットルのフラスコに20g分取し、その後、Cr(NO・9HO 48gを溶解させた脱塩水400ml中に分散させ、90℃で3時間攪拌した。処理後、この固体成分を脱塩水で洗浄し、乾燥を行って塩処理合成雲母を得た。
【0065】
(2)塩処理合成雲母の加熱脱水処理
200mlフラスコに(1)で得た化学処理合成雲母10.0gを入れて減圧下、200℃で2時間の加熱脱水処理を行った。この脱水処理で1.0gの重量減が認められた。
【0066】
(3)固体触媒成分の合成
100mlフラスコに(2)で得られた、加熱脱水した塩処理合成雲母3.0gを入れ、トルエン20mlに分散させてスラリーとした。次いで室温において攪拌下、トリエチルアルミニウム1.3ml添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出して固体部をトルエンで洗浄して固体触媒成分を得た。
【0067】
(4)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、前記(3)で得られた固体触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を2時間行った。次いで反応系の温度を室温まで冷却し、未反応のエチレンガスの一部をパージした後、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.008モル%になるように水素を加え、90℃まで昇温した後、全圧を12.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は387gであった。この重合体のHLMIは3.24g/10分であり、MTは34.8gと非常に高い値を示し、密度は0.956g/cmであった。またSSは38.5と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0068】
実施例5
(1)エチレン系重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、実施例1の(3)で得られた固体触媒成分を60.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f /cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、反応系の温度を室温まで冷却し、未反応のエチレンガスをパージした後、1−ブテンを80ml仕込み、70℃に昇温して直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を2.4ml加え、全圧を25.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して70℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は252gであった。この重合体のHLMIは4.38g/10分であり、MTは30.1gと非常に高い値を示し、密度は0.938g/cmであった。またSSは36.3と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0069】
実施例6
(1)エチレン系重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン0.84リットル、1−ブテンを160ml、トリエチルアルミニウム0.15mmol、実施例1の(3)で得られた固体触媒成分を60.0mg仕込んだ。その後、70℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧25.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、反応系の温度を室温まで冷却し、未反応のモノマーをパージした後、1−ブテンを80ml仕込み、70℃に昇温して直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を2.4ml加え、全圧を25.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して70℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は275gであった。この重合体のHLMIは4.82g/10分であり、MTは29.7gと非常に高い値を示し、密度は0.935g/cmであった。またSSは34.8と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0070】
参考
(1)固体触媒成分の合成
精製窒素で充分置換された500mlフラスコにヘプタン350ml、メチルアルミノキサン含有シリカ(ウィトコ社製;Al含量24.9wt%、平均粒径50μm)7.0g、四塩化チタンのヘプタン溶液(50.0μmol/ml)7.0mlを順次加え、室温で10分間撹拌した後、エチレンを1リットル/minで30分間供給した。その後、未反応のエチレンを除去した後、室温で2時間減圧乾燥させて予備重合触媒15.4gを得た。
【0071】
(2)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.1mmol、前記(3)で得られた固体触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.051モル%になるように水素を加え、全圧を22.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して90℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は218gであった。この重合体のHLMIは2.16g/10分であり、MTは44.7gと非常に高い値を示し、密度は0.951g/cmであった。またSSは43.8と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0072】
参考
(1)固体触媒成分の合成
精製窒素で充分置換された500mlフラスコにトルエン350ml、80℃、減圧下で十分乾燥したアクゾ・ノベル社製の多孔質ポリプロピレンパウダー(商品名:「Accurel」400μm〜1000μm分級品)10g、東ソーアクゾ社製メチルアルミノキサンをAl原子換算で30mmol(2mmol/mlのトルエン溶液で15ml)導入し、次いで四塩化チタンのトルエン溶液(50.0μmol/ml)7.0mlを順次加え、室温で30分間撹拌した後、室温下、撹拌しながら窒素気流下でトルエンを1時間かけて留去して乾燥固体触媒成分を得た。
【0073】
(2)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.1mmol、前記(3)で得られた固体触媒成分を90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.045モル%になるように水素を加え、全圧を22.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して90℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は218gであった。この重合体のHLMIは2.34g/10分であり、MTは43.2gと非常に高い値を示し、密度は0.952g/cmであった。またSSは42.3と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0074】
実施例
(1)固体触媒成分の合成
100mlフラスコに実施例1の(2)で得られた加熱脱水した塩処理モンモリロナイト3.0gを入れ、トルエン20mlに分散させてスラリーとした。次いで室温において攪拌下、トリエチルアルミニウム1.3ml添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出して固体部をトルエンで洗浄して固体触媒成分を得た。
【0075】
(2)エチレンの予備重合
精製窒素で充分置換された1リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン0.5リットル、トリエチルアルミニウム0.5mmol、前記(1)で得られた固体触媒成分を全量仕込んだ。その後、70℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧2.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて予備重合を30分行った。次いで、反応系の温度を室温まで冷却し、未反応のエチレンガスをパージして反応系内を精製窒素で1度置換した後、オートクレーブ内の内容物を全量、精製窒素で充分置換された1リットルのフラスコに移し、静置して上澄み液を除去した後、0.5リットルのノルマルヘキサンで2回洗浄して固体予備重合触媒成分を得た。この固体予備重合触媒成分は固体触媒成分1gあたり5.4gのエチレン重合体を含有していた。
【0076】
(3)エチレン重合体の製造
精製窒素で充分置換された2リットルの誘導攪拌式オートクレーブ中に、ノルマルヘキサン1リットル、トリエチルアルミニウム0.15mmol、前記(2)で得られた固体予備重合触媒成分を固体触媒成分換算で90.0mg仕込んだ。その後、90℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧22.0kg・f/cmに保ち、攪拌を続けて1段目の重合を1時間行った。次いで、直ちにビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(2.0μmol/ml)を3.6ml加え、オートクレーブ内のガス組成が[H/エチレン]=0.050モル%になるように水素を加え、全圧を22.0kg・f/cmに保つようにエチレンを導入して90℃で攪拌下、1時間、2段目の重合を行った。重合はエタノール10mlを加えることにより停止させた。得られたエチレン重合体は232gであった。この重合体のHLMIは2.78g/10分であり、MTは42.2gと非常に高い値を示し、密度は0.953g/cmであった。またSSは43.3と高い値を示し、この重合体が良好な押し出し性を有していることが明らかとなった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の触媒を用いてオレフィンの多段階重合を行うことにより耐ドローダウン性や均一延伸性等、特に中空成形時の加工特性に優れ、かつ耐衝撃性やESCR(耐環境応力亀裂性)等の機械的強度にも優れたオレフィン重合体を提供することが可能となり、工業的に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 少なくとも以下の2つの重合工程を含むことを特徴とするオレフィンの多段階重合方法。
    (重合工程I)[A]周期律表4B〜6B族遷移金属原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる塩を、[B](1)珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物および(2)無機珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物である担体に担持してなる固体触媒成分、および[C]下記一般式で示される化合物、および/または該化合物より製造されたアルミノキサン類である有機アルミニウム化合物から成る触媒の存在下、オレフィンを重合する重合工程I。 AlR a 3-a (式中、Rは炭素数1から20の炭化水素基を表し、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基を表し、aは0<a≦3の数である。)
    (重合工程II)重合工程Iで、得られたオレフィン重合生成物に、触媒を実質的に失活させることなく更に、共役五員環配位子を少なくとも1個有する周期律表4B族の遷移金属化合物[D]を添加してオレフィンの重合を行う重合工程II。
  2. [D]で示される成分が、下記一般式[1]、[2]、[3]もしくは[4]で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載のオレフィンの多段階重合方法。
    Figure 0003629113
    [ここで、AおよびA′ は共役五員環配位子(同一化合物内においてAおよびA′は同一でも異なっていてもよい)を、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、ZはMと結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子、または炭化水素基を、Q′ は共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を、Mは周期律表4B族から選ばれる金属原子を、そして、XおよびYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を、それぞれ示す。]
  3. 必要により工程II以降の段階で、有機アルミニウム化合物[C]を追加することを特徴とする、請求項1記載のオレフィンの多段階重合方法。
  4. 重合工程Iの触媒が、予め、固体触媒成分1g当たりオレフィンを0.001〜1000g予備重合したものであることを特徴とする、請求項1記載のオレフィンの多段階重合方法。
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