JP2002186928A - 廃棄物処分場用の代替覆土材料、及びそれを用いた廃棄物を覆う層を形成する方法 - Google Patents
廃棄物処分場用の代替覆土材料、及びそれを用いた廃棄物を覆う層を形成する方法Info
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Abstract
−酢酸ビニル樹脂などの水性エマルジョン樹脂と、木粉
などの水に不溶の粒状物と、コーンスターチなどの土壌
微生物により生分解される材料とを含んでなる。この代
替覆土材料は、廃棄物上に散布し、硬化させて用いる。
Description
いる代替覆土材料やその使用法に関する。
ることで凹面を形成し、廃棄物から出る汚水の外部への
流出を防止する遮水シートをその凹面上に敷設すること
で構成されるのが一般的である。廃棄物は、かかる廃棄
物処分場の凹面へと投棄される。しかしながら、廃棄物
を凹面に単純に投棄するだけでは、投棄された廃棄物が
飛散したり、廃棄物から臭気が発生したりしてしまう。
このような観点から、廃棄物処分場に廃棄物を投棄する
際には、廃棄物を単に投棄するだけでなく、廃棄物を投
棄し、続けてその廃棄物を覆土と呼ばれる土で覆うとい
う作業を繰り返すことで廃棄物の飛散や廃棄物からの臭
気の発生を抑えるようにしている。
の廃棄物を覆うようにして廃棄物に被せられる。従っ
て、上述の凹面の内部には、廃棄物と覆土が交互に積み
重なった層が形成されることになる。覆土は、廃棄物の
飛散や廃棄物からの臭気の発生を抑えるという所期の効
果を得るため、通常50cm以上の厚さとされる。ここ
で、覆土が、凹面内部の体積の大きな部分を占めること
が問題となる。つまり、有限の凹面の体積中の大きな部
分を、投棄すべき廃棄物以外のもので占めてしまうこと
により、廃棄物処分場の実効容積が小さくなってしまう
ことが問題となるのである。廃棄物を投棄し、覆土を被
せていくための方法には、サンドイッチ方式、セル方
式、投げ込み方式等があるが、かかる問題は、いずれの
場合にも共通する。廃棄物の増加や、廃棄物処分場の新
規造成が困難な現状では、廃棄物処分場の実効容積の減
少は、無視することのできない問題となるため、覆土に
変わる技術の提案が待たれていた。また、覆土を行った
場合、渇水期に覆土の一部が飛散することもあり、これ
が廃棄物の飛散と混同されることもあったため、このよ
うな点からも、覆土を用いないで上述の効果を得るため
の技術が必要となっていた。
土に代わる材料を用いることで、覆土を行った場合と同
様の効果を得る技術が提案されている。それは、代替覆
土材料を用いる技術である。従来の代替覆土材料は主
に、エマルジョンタイプの樹脂、例えばアクリル樹脂な
どをその主成分とするものである。その樹脂を廃棄物に
散布して硬化させ、廃棄物を覆う樹脂層を形成すること
で、覆土を用いた場合と同様の効果を得んとしているの
である。代替覆土材料を用いるかかる技術は、覆土の層
に比較して樹脂層を薄く形成することができるため、廃
棄物処分場の実効容積の減少度合いを小さくできる。ま
た、土を用いた場合と異なり、代替覆土材料を用いて形
成された樹脂層は飛散することがない。従って、この技
術は、覆土を用いる技術を超える新技術として、主流に
なりつつある。
く、改良すべき点がある。例えば、樹脂を用いた代替覆
土材料の廃棄物への食いつきが不足しがちであることを
改良すべき点として指摘できる。代替覆土材料の廃棄物
への食いつきが不足すると、それが硬化する前に代替覆
土材料が流動してしまい、結果的に孔開きの樹脂層しか
得られなくなってしまう。これでは、廃棄物飛散の防止
や悪臭の漏れ防止を十分に行えなくなってしまう。この
点を考慮して、代替覆土材料の粘度を上げることも考え
られるが、その粘度が高くなると機械による散布が難し
くなってしまう。また、代替覆土材料で廃棄物を被覆す
ることにより廃棄物と代替覆土材料が交互に積み重なっ
た層を形成した場合には、上述した遮水シートの破損の
検出が難しくなるため、この点も改良する必要がある。
近年の廃棄物処分場には、遮水シートの破損を検出し汚
水流出の防止を図るための遮水シート破損検出システム
が設けられるのが一般的となっている。このシステムの
方式は多々あるが、概略的に説明すれば、遮水シートの
内外に、遮水シートを挟む領域の全体に所定の電界を形
成するための外部電極を形成すると共に、遮水シートの
全面に沿って例えば網目状に多数の検出用電極を配した
構成となっている。このシステムでは、遮水シートの破
損に伴う汚水の流出によって生じた上記電界の乱れを上
記検出用電極で検出することで、遮水シートの破損を検
出することとしている。しかしながら、覆土の変わりに
代替覆土材料を用いた場合には、代替覆土材料の硬化に
よって形成される層が絶縁体である樹脂層であるため、
外部電極を用いたとしても、遮水シートの近傍に適切な
電界を形成することが難しくなってしまう。それゆえ、
代替覆土材料を積極的に用いることはできない現状があ
る。
を改良した、実用性の高い廃棄物処分場用の代替覆土材
料を提案することをその課題とする。即ち、廃棄物への
食いつきのよい、実用性の高い代替覆土材料の提供を課
題とする。また、遮水シート破損検出システムと組み合
わせて用いることのできる、実用性の高い代替覆土材料
の提供を課題とする。
の本発明は、概略で2つに分けられる。もっとも、以下
に説明する2つの発明は、単独でも、互いに組み合わせ
ても用いることが可能である。
水に不溶の粒状物とを含んでなり、廃棄物に対して散布
し、硬化させることで、廃棄物を覆う層を形成すること
のできる廃棄物処分場用の代替覆土材料である。このよ
うな廃棄物処分場用の代替覆土材料によれば、その散布
時に、水性エマルジョン樹脂に混合された水に不溶の粒
状物が廃棄物表面に接することで、水性エマルジョン樹
脂がその硬化前に、流動することを防止できるようにな
る。また、この代替覆土材料が含む粒状物は、添加量及
びその直径を適宜にコントロールすることにより、添加
後の塗料の粘度を任意のものとするのに役立つ。代替覆
土材料は、例えば機械による散布を行う場合が多いが、
その粘度を調節可能であることは散布に用いる機械の許
容範囲内に粘度を調節するに役立つ。従って、この代替
覆土材料によれば、その散布及び硬化によって得られる
層に孔が開いたりすることもなく、機械散布に向くもの
となるため、実用性の高いものとなる。尚、水性エマル
ジョン樹脂としては、例えば、水性エマルジョンタイプ
のエチレン−酢酸ビニル共重体や、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルア
クリレート共重合体、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂を
用いることができる。
料がその硬化前に流動し、形成される層が孔開きの層と
なることを避けられるようなものであればどのようなも
のでも構わない。粒状物の直径は、例えば200μm〜
1000μmとすることができる。上述の硬化を得るに
好適であると共に、従来から用いられている機械による
散布も行えるからである。また、粒状物の材質は、水に
不溶であればどのようなものでも構わない。例えば、粒
状物としては木粉を用いることができる。木粉を用いた
場合には、この代替覆土材料の製造にあたって、廃物を
利用できるようになる。
即ち、水性エマルジョン樹脂と、土壌微生物により生分
解される生分解性材料とを含んでなり、廃棄物に対して
散布し、硬化させることで、廃棄物を覆う層を形成する
ことのできる廃棄物処分場用の代替覆土材料がそれであ
る。生分解性材料を含んだこのような代替覆土材料であ
れば、その散布及び硬化により形成された層が、一定の
期間の経過により孔開き状態となる。従って、このよう
な代替覆土材料を用いて形成された層は、それに開いた
孔の存在によって、遮水シート損傷検出システムで必要
となる遮水シート近傍の電界形成を妨げないものとな
る。ところで、代替覆土材料は、その散布及び硬化によ
り廃棄物を覆う層を形成できることが必要であるが、そ
の層は、恒久性が必要なものではない。即ち、この層
は、更なる廃棄物の投棄があって、その層が覆われ、更
にその廃棄物の上に更なる層が形成された場合において
は、もはや不要となる。従って、一定時間経過後に、そ
の層に孔が開いたとしても、廃棄物の飛散や廃棄物から
の臭気の発生を抑えるにあたって問題は生じない。これ
により、かかる代替覆土材料は、遮水シート破損検出シ
ステムと組み合わせて用いることのできる実用性の高い
ものとなる。
生分解され低分子化合物(二酸化炭素や水など。)とな
る材料であればどのようなものでも用いることができ
る。土壌に多く見られる土壌微生物としては、Muco
r属、Pythium属、Mortierella属菌
をあげることができる。他には、Penicilliu
m属、Fusarium属、Aspergillus
属、Achlya属、Monosporium属、など
を挙げることができる。本発明の生分解材料には、これ
ら土壌微生物により生分解される材料を用いることがで
きる。生分解性材料としては、例えば、高分子化合物を
挙げることができる。高分子化合物は、天然高分子化合
物、化学合成高分子化合物のいずれでも良い。天然高分
子化合物としては、例えば、コーンスターチやポテトス
ターチを用いることができる。また、他の天然高分子化
合物として、酢酸セルロース、キトサン、セルロース、
ガゼインなどを用いることができる。化学合成高分子化
合物としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどを用
いることができる。
よる代替覆土材は、着色剤を含んでなるものとすること
ができる。着色材は、この代替覆土材を用いて形成する
上記層の外観を良好なものとするに好適である。廃棄物
処分場は、その性質ゆえ、あまり目だないようにされて
いるのが好ましい。従って、着色剤を加え、外部に露出
する層に適切な着色をすることで、廃棄物処分場をあま
り目立たないものとすることができる。この場合の着色
剤はどのようなものでも構わないが、青、緑或いはその
中間色についてのものとすることができる。このように
すれば、露出する層の色彩を外部の景色(例えば、木々
の緑色や、空の青色。)に溶け込ませることが可能とな
るため、近隣の住民などの心理により良好な印象を与え
られるようになる。
よる代替覆土材は、防臭剤を含んでなるものとすること
ができる。これにより、廃棄物からの臭いの発生を、よ
り積極的に防止できるようになる。防臭剤は、どのよう
なものでも構わない。防臭剤としては、例えば、木酢液
を用いることができる。尚、防臭剤は、必ずしも代替覆
土材料に混合しておく必要はない。つまり、防臭剤を含
まない代替覆土材料とは別途に、防臭剤を散布し、代替
覆土材料を硬化させる過程を実行することで、臭いの発
生を防止することと廃棄物を覆う層を形成することとを
併せて実現することができるようになる。
しい一実施形態について説明する。
ルジョン樹脂と、水に不溶の粒状物と、及び生分解性材
料とを適宜の量ずつ含んでいる。尚、水に不溶の粒状
物、及び生分解性材料はその一方が含まれていない場合
もある。水性エマルジョン樹脂はバインダーとしての役
割を担うものである。この実施形態では、水性エマルジ
ョンタイプのエチレン−酢酸ビニル共重体や、エチレン
−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共
重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレ
ンメチルアクリレート共重合体、アクリル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂のいずれか、又は複数を用いることとしてい
る。粒状物は、代替覆度材料散布時における廃棄物への
食いつきを向上させるものである。粒状物としては、例
えば、木粉を用いることができる。木粉の直径は、これ
には限られないが、200μm〜1000μmとするこ
とができる。木粉は、針葉樹の木粉でも、広葉樹の木粉
でもよく、これらを配合したものでも良い。但し、木粉
は比重が小さく(およそ0.18)、その配合量を増加
させると代替土壌材料の粘度が高くなり過ぎるため、機
械的な散布が可能な限度でこれを加える。生分解性材料
としては、土壌微生物により生分解され低分子化合物に
分解される材料を用いることができる。天然高分子化合
物、合成高分子化合物の双方を生分解性材料として用い
ることができるが、この実施形態では、天然高分子化合
物であるコーンスターチやポテトスターチの一方、或い
は双方をこれに用いることとしている。
潤剤、増粘剤、粘度調節剤、防腐剤、発泡剤、着色剤、
防臭剤などを含むこととすることができる。代替覆土材
料は、このうちのすべてを含んでいる場合もあるし、こ
のうちのすべてを含んでいない場合もある。その選択
は、必要に応じて適宜行われる。湿潤剤は、代替覆土材
料の粘性を安定化させるものであり、例えばアルコール
系の材料をこれに用いることができる。増粘剤は、代替
覆土材料の粘度を増加させるものである。粘度調節剤
は、増粘剤との組み合わせにより、代替覆土材料の粘度
を適性に保つものである。例えば、水をこれに用いるこ
とができる。粘度は、一般的に、10000〜2000
0cpsとする。防腐剤は、代替覆土材料の質の低下、
特に黴の発生を防止するものである。この実施形態の代
替覆土材料のように、含まれる生分解性材料がコーンス
ターチやポテトスターチである場合には黴が発生しやす
くなるので、代替覆土材料を作り置きしておく場合に
は、その配合が望まれる。発泡剤は、代替覆土材料の厚
さを調節するためのものである。この発泡剤としては、
例えば、加熱時に割れてガスを発生させるマイクロカプ
セルを用いることができる。着色剤は、代替覆土材料の
外観を美的観点から向上させるものである。代替覆土材
料の色相が、青、緑或いはその中間色の着色剤をこれに
用いることができる。もちろん、複数の着色剤を混合し
て、その色相が、青、緑或いはその中間色となるように
しても構わない。
以下に示す。
に示した各組成物を適宜配合することで製造することが
できる。この配合は、例えば以下のように行う。まず、
上記組成物のうち粘度調節材を除く液状の組成物を適宜
計量し、配合缶などの所定の配合用容器に入れる。次い
で、ディスパー型攪拌機などの所定の攪拌機で攪拌を行
いながら、適宜計量した上記組成物のうち粉体状の組成
物を上記配合用容器に投入する。最後に、粘度調節剤を
適当量配合用容器に入れ、攪拌して代替覆土材料の粘度
を調整し、その製造を終える。
臭剤、例えば木酢液を配合することもできる。
のようにして用いる。製造した代替覆土材料は、例え
ば、上述の如き液状の代替覆土材料を霧状にして噴霧す
ることができる噴霧機を用いて、廃棄物処分場に投棄さ
れた廃棄物上に散布する。この散布は、例えば、その当
日に投棄された一日分の廃棄物を代替覆土材料が覆うよ
うにして行う。散布の量は、代替覆土材料の厚さが、例
えば3mm以下になるようにして行う。廃棄物に被せら
れる。代替覆土材料は、その後硬化し、層を形成する。
代替覆土材料が木酢液などの防臭剤を含まない場合、代
替覆土材料の散布と前後して、木酢液の散布を行うこと
ができる。廃棄物処分場の凹面の内部には、廃棄物と代
替覆土材料による層が交互に積み重なっていく。尚、所
定期間が経過すると、代替覆土材料による層は、生分解
性材料が土壌微生物によって分解されることで孔開き状
態となる。代替覆土材料による層に開く孔は、その層が
網目状となる程度に多数生じるのが好ましい。従って、
このような状態が生じるようにして、生分解性材料の量
を調節するのがよい。
の食いつきのよい、或いは遮水シート破損検出システム
と組み合わせて用いることのできるものとなるため、実
用性の高いものとなる。
Claims (10)
- 【請求項1】 水性エマルジョン樹脂と、水に不溶の粒
状物とを含んでなり、廃棄物に対して散布し、硬化させ
ることで、廃棄物を覆う層を形成することのできる、廃
棄物処分場用の代替覆土材料。 - 【請求項2】 前記粒状物は、直径が200μm〜10
00μmである、請求項1記載の廃棄物処分場用の代替
覆土材料。 - 【請求項3】 前記粒状物は、木粉である、請求項1記
載の廃棄物処分場用の代替覆土材料。 - 【請求項4】 水性エマルジョン樹脂と、土壌微生物に
より生分解される生分解性材料とを含んでなり、廃棄物
に対して散布し、硬化させることで、廃棄物を覆う層を
形成することのできる、廃棄物処分場用の代替覆土材
料。 - 【請求項5】 前記生分解性材料は、高分子化合物であ
る、請求項4記載の廃棄物処分場用の代替覆土材料。 - 【請求項6】 着色剤を含んでなる、請求項1又は4記
載の代替覆土材料。 - 【請求項7】 前記着色剤は、青、緑或いはその中間色
についてのものである、請求項1又は4記載の廃棄物処
分場用の代替覆土材料。 - 【請求項8】 防臭剤を含んでなる、請求項1又は4記
載の代替覆土材料。 - 【請求項9】 防臭剤は木酢液である、請求項8記載の
代替覆土材料。 - 【請求項10】 請求項1又は4記載の代替覆土材料を
用いて、廃棄物処分場の廃棄物を覆う層を形成する方法
であって、前記代替覆土材料と、防臭剤とを散布し、前
記代替覆土材料を硬化させる過程を含む、廃棄物を覆う
層を形成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000387827A JP4524037B2 (ja) | 2000-12-20 | 2000-12-20 | 廃棄物処分場用の代替覆土材料、及びそれを用いた廃棄物を覆う層を形成する方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2002186928A true JP2002186928A (ja) | 2002-07-02 |
JP4524037B2 JP4524037B2 (ja) | 2010-08-11 |
Family
ID=18854675
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Country Status (1)
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