JP2002180221A - 溶融めっき装置 - Google Patents

溶融めっき装置

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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 高速搬送してもボトムドロスの巻上がりを
十分に防止できる溶融めっき装置を提供する。 【解決手段】 溶融金属の浴1内に被めっき材3を連続
的に導入し、シンクロール5により上方に方向転換して
浴外へ引き出す溶融めっき装置であって、めっきによる
消耗成分を浴内へ補給するインゴット装入手段8と、該
インゴット装入手段を浴内連通可能に包囲する第1堰2
と、該第1堰と前記シンクロールとの間の浴底面から前
記第1堰側に傾斜して立つ第2堰6とを有する溶融めっ
き装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融めっき装置に
関し、とくに、被めっき材へのボトムドロス付着を防止
できる溶融めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融めっき操業においては、溶融金属の
浴底に堆積したボトムドロスが、浴中を通過する被めっ
き材の随伴流動圧により巻き上げられて被めっき材に付
着し、めっき製品の表面品質を劣化させるという問題が
ある。この問題の解決手段としては、浴底面に格子状
のドロス拡散防止体を配置する方法(特開平3−247746
号公報)や、シンクロールと浴底間にU型、Z型等形
状の遮蔽板を配置する方法(特開平3−47956 号公報)
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の方法では、被
めっき材の搬送スピードが大きくなると、ボトムドロス
が巻上がってしまう。また、ボトムドロスは、めっき消
耗成分を補給するためのインゴット投入場所付近の直下
の浴底部分に集中的に堆積するために、該浴底部分では
格子状のドロス拡散防止体から溢れ出たボトムドロスが
巻上がり、その一部は被メッキ材付着し、また一部はシ
ンクロール下部に付着堆積して、その堆積物がさらに被
メッキ材に付着する。したがって、十分な付着防止効果
が得られない。
【0004】また、前記の方法では、前述のようにイ
ンゴット投入場所付近の直下の浴底部分に集中的に堆積
したボトムドロスが通材スピードの増大に伴って巻上が
った時に、それをシンクロールの手前である程度までは
捕捉しうるものの、かなりの部分が被めっき材まで達し
て付着するのを十分に防止することができない。そこ
で、本発明は、高速で被めっき材を搬送してもボトムド
ロスの巻上がりを十分に防止できる溶融めっき装置を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ボトムド
ロスの初期堆積場所がインゴット投入場所の直下付近で
ある点に着目し、浴上部のインゴット投入場所を第1堰
で仕切ってその直下に優先的に堆積させ、該第1堰の直
下を内包する浴底部分を第2堰で仕切ることにより前記
目的を達成できることに想到し、本発明をなした。
【0006】すなわち、本発明は、溶融金属の浴内に被
めっき材を連続的に導入し、シンクロールにより上方に
方向転換して浴外へ引き出す溶融めっき装置であって、
めっきによる消耗成分を浴内へ補給するインゴット装入
手段と、該インゴット装入手段を浴内連通可能に包囲す
る第1堰と、該第1堰と前記シンクロールとの間の浴底
面から前記第1堰側に傾斜して立つ第2堰とを有するこ
とを特徴とする溶融めっき装置である。
【0007】本発明では、前記第1堰が被めっき材の導
入側に位置するものが好ましい。また、前記第1堰と前
記第2堰との水平距離xが500 〜1000mm、前記第2堰の
高さyが200mm 以上であることが好ましい。また、前記
第2堰の傾斜角度θが30〜60deg であることが好まし
い。また、前記第1堰と前記第2堰との水平距離x、前
記第2堰の高さy、前記第2堰の傾斜角度θの式x+y
/tanθの値が、前記シンクロールと前記第1堰との水平
距離a以下であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、例えば図1に示すよう
に、被めっき材(例:鋼帯)3をスナウト4内から溶融
金属(例:溶融亜鉛)の浴1内に連続的に導入し、シン
クロール5により上方に方向転換して浴1外へ引き出す
溶融めっき装置(例:溶融亜鉛めっき装置)であって、
めっきによる消耗成分を補給するためのインゴット
(例:成分調整された亜鉛鋳片)8Aを浴1内へ装入する
インゴット装入手段8と、該装入手段8を、例えば該装
入手段の周囲に設けた連結孔2Aにより浴1内連通可能
に、包囲する第1堰(インゴット堰)2と、該第1堰2
と前記シンクロール5との間の浴1底面(浴槽9底面)
から前記第1堰2側に傾斜して立つ第2堰(ボトムドロ
ス堰)6とを有して構成される。なお、10はシンクロー
ル5の出側で鋼帯3を保持するサポートロールである。
【0009】本発明では、第1堰2の存在により、イン
ゴット8Aから発生するボトムドロス7の初期堆積場所が
第1堰2の直下およびその近傍の浴1底部に制限され、
また、インゴット8Aから生じたトップドロス(図示しな
い)が第1堰2内の浴面上に停留する。なお、インゴッ
ト装入手段および第1堰は、公知のもの(例えば特開平
5−186857号公報参照)を用いて構成できる。
【0010】さらに、第2堰6の存在により、前記初期
堆積場所が囲い込まれて、該囲い内に堆積したボトムド
ロス7が鋼帯3の随伴流動圧により巻き上げられて拡散
するのを有効に防止できる。かかる効果を得るには、第
2堰6は、第1堰2とシンクロール5との間の浴槽9底
面から第1堰2側に傾斜して立つように設置する必要が
ある。第2堰6が、第1堰2とシンクロール5との間の
範囲外に位置するか、または、浴槽9底面から垂直にも
しくはシンクロール5側に傾斜して立つのでは、その効
果に乏しい。
【0011】第2堰の浴槽底への固定は、溶接、ボルト
締結などで行ってもよく、また、十分な自重と安定性
(例えば底板付きとする等)をもたせて単に定置しても
よい。なお、第2堰は、図1のように浴槽の全幅に巡ら
すのが好ましいが、これに限らず、前記初期堆積場所を
例えばコの字形等に取り囲む等、適宜の囲い形態として
もよい。
【0012】また、本発明では、インゴット8Aからの補
給成分を鋼帯3の周囲により速く、より均一に給付する
ためには、前記溶出成分をシンクロール5入側に向かう
通材随伴流に乗せる方が良いことから、第1堰2は、鋼
帯3の導入側に配置するのが好ましい。また、本発明で
は、第1堰2と第2堰6との水平距離x(図2参照)が
500 〜1000mm、前記第2堰の高さy(図2参照)が200m
m 以上であることが好ましい。
【0013】xが500 mm未満では、ボトムドロスの初期
堆積領域が第2堰6の囲い域よりも大きくなる場合が生
じ、該囲い域からはみ出して堆積したボトムドロスが巻
き上げられる。一方、xが1000mm超では、前記囲い域内
の上方開口部分が広がりすぎて随伴流動圧を減衰させ難
くなり、同囲い域内のボトムドロスが巻上がりやすくな
る。したがって、xは500 〜1000mmとするのが好まし
い。
【0014】また、yが200mm 未満では、初期に堆積す
るボトムドロスが第2堰6を乗り越えてその囲い域外に
溢れ出る可能性がある。よって、yは200mm 以上とする
のが好ましい。なお、より好ましくはyは300mm 以上で
ある。ただし、yが、第1堰2下端高さH(図2に定義
を示す)よりも大きい場合は、インゴット8Aから鋼帯3
周辺への成分補給の流れが停滞しがちになるため、yは
H以下に抑えることが望ましい。
【0015】また、本発明では、第2堰6の傾斜角度θ
(図2参照)が30〜60deg であることが好ましい。θが
60deg 超では、囲い域内に作用する随伴流動圧を減衰さ
せる効果が小さくなってボトムドロスが巻上がりやすく
なる。一方、θが30deg 未満では、前記効果が飽和し、
第2堰6が無駄に大規模化することになる。よって、θ
は30〜60deg とするのが好ましい。
【0016】また、本発明では、前記第1堰と前記第2
堰との水平距離x、前記第2堰の高さy、前記第2堰の
傾斜角度θの式x+y/tanθの値が、前記シンクロール
と前記第1堰との水平距離a(図2参照)以下であるこ
とが好ましい。式x+y/tanθの値がa超では、第2堰
6がシンクロール5に近寄り過ぎて囲い域内により大き
な随伴流動圧が作用し、ボトムドロスが巻上がりやすく
なる。よって、x+y/tanθ≦aとするのが好ましい。
【0017】
【実施例】(比較例)図2においてa=1400mm、H=11
00mmに設定しかつ第2堰を無くした溶融亜鉛めっき装置
を用い、浴内Al濃度:0.138 〜0.140 mass%、浴温度:
450 〜470 ℃の条件で、厚さ0.8mm ×幅1500mmの鋼帯を
溶融亜鉛めっきする操業において、鋼帯の搬送スピード
を種々変えた条件で操業し、各条件毎にドロス個数を調
査した。
【0018】該ドロス個数の調査方法は、めっき製品コ
イル毎に全幅×長さ500mm のサンプル板をランダムに2
枚採取し、該サンプル板の表裏面を目視観察し、検出さ
れたボトムドロス付着物の総個数を単位面積(1m2) 当た
りの個数に正規化してドロス個数(個/m2 )とする方法
を採った(以下同じ)。その結果、図3に示すように、
鋼帯の搬送スピードが60mpm から120mpmへと増加するに
つれてドロス個数が1個/m2 から22個/m2 へと増加し
た。
【0019】(実施例A)図2においてx=500mm 、y
=300mm 、θ=30deg 、a=1400mm、H=1100mmに設定
した溶融亜鉛めっき装置を用い、浴内Al濃度、浴温度、
鋼帯、鋼帯の搬送スピードは比較例と同一条件として操
業し、同様の調査を行った。なお、x+y/tanθ(=102
0mm )≦a(=1400mm )である。
【0020】その結果、図3に示すように、鋼帯の搬送
スピードが60mpm から120mpmへと増加してもドロス個数
は1個/m2 以下に留まった。 (実施例B)図2においてx、y、θ、a、Hを表1の
ように設定した溶融亜鉛めっき装置を用い、浴内Al濃
度、浴温度、鋼帯は実施例Aと同一条件とし、鋼帯の搬
送スピードは120mpmと一定にして操業し、同様の調査を
行った。
【0021】その結果を表1に示す。同表に示されたよ
うに、いずれの条件でもドロス個数が17個/m2 以下であ
り、同じ鋼帯搬送スピード120mpmの比較例(22個/m2
図3)よりも良好な結果であった。また、とくにx、
y、θが好適範囲内のものでは、ドロス個数が2個/m2
以下となり、鋼帯へのボトムドロス付着をほぼ完全に防
止することができた。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明の溶融めっき装置によれば、高速
での被めっき材の搬送を行ってもボトムドロスの巻上が
りがほとんど生じなくなり、被めっき材へのボトムドロ
ス付着をほぼ完全に防止できるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態の一例を示す側断面模式図
(a)およびそのAA矢視図(b)である。
【図2】x,y,H,θ,aの定義説明図である。
【図3】比較例および実施例Aについてのドロス個数と
鋼帯の搬送スピードの関係を示すグラフである。
【符号の説明】 1 浴(溶融金属浴、めっき浴) 2 第1堰(インゴット堰) 2A 連通孔 3 被めっき材(鋼帯) 4 スナウト 5 シンクロール 6 第2堰(ボトムドロス堰) 7 ボトムドロス 8 インゴット装入手段 8A インゴット 9 浴槽 10 サポートロール

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属の浴内に被めっき材を連続的に
    導入し、シンクロールにより上方に方向転換して浴外へ
    引き出す溶融めっき装置であって、めっきによる消耗成
    分を浴内へ補給するインゴット装入手段と、該インゴッ
    ト装入手段を浴内連通可能に包囲する第1堰と、該第1
    堰と前記シンクロールとの間の浴底面から前記第1堰側
    に傾斜して立つ第2堰とを有することを特徴とする溶融
    めっき装置。
  2. 【請求項2】 前記第1堰が被めっき材の導入側に位置
    する請求項1記載の溶融めっき装置。
  3. 【請求項3】 前記第1堰と前記第2堰との水平距離x
    が500 〜1000mm、前記第2堰の高さyが200mm 以上であ
    る請求項1または2に記載の溶融めっき装置。
  4. 【請求項4】 前記第2堰の傾斜角度θが30〜60deg で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の溶融めっき装置。
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