JP2002180035A - 滑雪氷性被覆物 - Google Patents

滑雪氷性被覆物

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JP2002180035A
JP2002180035A JP2000374672A JP2000374672A JP2002180035A JP 2002180035 A JP2002180035 A JP 2002180035A JP 2000374672 A JP2000374672 A JP 2000374672A JP 2000374672 A JP2000374672 A JP 2000374672A JP 2002180035 A JP2002180035 A JP 2002180035A
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信太郎 板倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価且つ簡便な方法で高い密着性及び耐久性を
有し、付着した雪氷を速やかに滑落させ、雪氷の付着し
ている時間を極力短時間として雪氷の付着を抑制する、
滑雪氷性被覆層を提供する。 【解決手段】着雪氷した際においても被覆層外面の滑雪
氷性により被覆物外面に付着した雪氷を速やかに滑落さ
せることができる。従って着雪氷の防止に超撥水レベル
の撥水性を必要とせず、安価且つ簡便な方法で付着した
雪氷を速やかに滑落させ雪氷の付着している時間を極力
短時間として雪氷の付着を抑制することが可能となる。
またシリコーン樹脂により形成された無機系ベース膜が
介在して滑雪氷性を有する被覆層との分子レベルでの密
着性が向上することで、密着性及び耐久性の高い被覆層
とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積雪寒冷地域の着
雪、着氷を防止する滑雪氷性被覆物に関するもので、例
えば構造用、建築用等の材料の表面に広く適用されるも
のである。
【0002】
【従来の技術】積雪寒冷地域において発生する着雪氷は
一般生活や産業活動に様々な被害、障害をもたらす。例
えば電線に着雪することにより電線の断裂や鉄塔が倒壊
することにより広い地域において停電事故が生じたり、
列車が走行中に巻き上げる雪がパンタグラフや車両下面
に付着して列車の運行に障害を起こす等である。その他
橋桁、鉄塔、車両、航空機、電気通信施設、道路交通標
識、遮音壁、建築物の屋根、側壁、信号機の着雪氷、流
雪溝の内壁や投雪口の着氷による閉塞等による事故や障
害は人命に関わることもあり、着雪氷防止が各方面から
望まれている。
【0003】着雪氷防止の対策としてヒーター等の発熱
体を用いるのは有効な手段ではあるが、設備の付加は決
して安価なものとは言えず、電力等のエネルギー及び設
備の維持に要する費用や手間は極めて大きいものとな
る。更に融雪により発生する水が氷柱を形成し、その氷
柱に雪が付着する等で、必要箇所のみならず構造物周辺
に亘り発熱体を設置しないことには十分な効果が期待で
きないことから、かような手段を用いることは設置及び
維持が非常に煩瑣であるという問題があった。
【0004】そこで着雪、着氷を防止する方法として基
材をフッ素樹脂等を主成分とする撥水塗料により被覆す
る発明が種々提案されており、例えば、特開平7−33
1122、特開平9−279056、特開平10−88
061、特開平11−29722等においては塗料の撥
水性能を極限まで向上させる手法にて基材の外面に超撥
水膜を形成する着雪防止被覆物が提案されている。これ
らは雪及び氷と被覆層外面との間に発生し、着雪氷の原
因となっている水素結合やファンデルワールス力等をで
きる限り小さくすること、すなわち被覆層の外面を超撥
水性とすることで着雪氷を防止しようとするものであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の如
き着雪防止被覆物は、屋外に設置すると設置当初は良好
な着雪防止効果が得られるものの、おおよそ数週間後に
は被覆層外面への汚染物質の付着及び塗膜自体の劣化等
によりその撥水性能が低下し着雪防止効果は失われる。
【0006】また特開平10−237431については
撥水性を有する被覆層に光触媒微粒子を配合し、その酸
化還元反応により被覆層外面に付着した汚染物を分解す
ることで超撥水性を維持し着雪防止効果を維持する方法
が提案されている。しかしながら、光触媒粒子の酸化還
元反応により汚染物と同時に撥水性被覆層自体も分解さ
れることから塗膜自身の早期の劣化を招き、更には被覆
層外面に露出した光触媒微粒子は親水化し、逆に着雪に
繋がる。
【0007】また被覆層外面がある程度の平滑性を有し
ていれば、着雪氷が融雪し始めた際に雪氷と被覆層外面
との間に水膜が形成され雪氷が被覆層外面を滑り落ちる
こと、すなわち滑雪氷により付着した雪氷が被覆層表面
から除かれることが期待できるが、超撥水膜ではその撥
水性により表面に水膜が形成されず、且つ表面に多数の
微小凹凸を有する不連続な膜であるため滑雪氷が円滑に
行われない。更にかような表面を形成するために微細粒
子等を使用する必要があることから塗装時の取り扱いが
難しく、また塗料のポットライフも短い等の問題があ
り、工程が煩雑でコストも非常に高いものとなる。
【0008】更には、特に合成樹脂を基材に用いる場
合、単に被覆層を形成したのみではファンデルワールス
力等の物理的な密着力に頼ることとなり、例え基材の表
面に微細凹凸を設けて密着性を向上させたとしても長期
に亘る使用において基材と被覆層の間で密着力の低下が
起こり、被覆層の剥離に繋がる恐れがある。
【0009】そこで本発明は安価且つ簡便な方法で高い
密着性及び耐久性を有し、付着した雪氷を速やかに滑落
させ、雪氷の付着している時間を極力短時間として雪氷
の付着を抑制する、滑雪氷性被覆層を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは鋭意研究の結
果、金属からなる基材の上に無機系ベース膜を形成し、
更にその外面に水との濡れ性が接触角で70度以上で且
つ水滴の滑落角度が40度以下の滑雪氷性を有する被覆
層が形成することで密着性及び耐久性を改善した着雪氷
を軽減し且つ付着した雪氷を滑落させられる被覆層を形
成できることを知得し、本発明を完成するに至ったので
ある。
【0011】すなわち本発明は、基材と被覆層との間に
無機系ベース膜を介して密着性を向上させることと、被
覆層の水との濡れ性は接触角で70度以上とし、且つ水
滴の滑落角度が約40度以下の滑水性とすることで滑雪
氷性を発現させたものである。
【0012】滑雪氷性とは、雪氷の被覆層外面に接触し
ている部分が一定に保持された状態で滑落する、すなわ
ち橇が雪面を滑走するが如き状態で雪氷が滑落する性質
である。滑雪氷性を有する表面に付着した雪氷は、雪氷
に含有される微量の水分が表面と雪氷との間に介在する
ことによって自重により表面から滑落する。本発明にお
いて、被覆層外面の水との濡れ性が接触角で70度以上
とすることで雪氷が被覆層外面に付着しようとする力、
すなわち雪氷に含有される微量な水分に起因する水素結
合力、ファンデルワールス力等を抑制し、且つ水滴の滑
落角度、すなわち被覆層表面に水滴を落とし水滴を静止
させた後に被覆物を徐々に傾斜させ、水滴が動き出した
時の傾斜角度を40度以下とすることで雪氷はそれ自体
に含有される微量の水分により自重で滑落することがで
きる。
【0013】本発明により、着雪氷した際においても被
覆層外面の滑雪氷性により被覆物外面に付着した雪氷を
速やかに滑落させることができる。従って着雪氷の防止
に超撥水レベルの撥水性を必要とせず、安価且つ簡便な
方法で付着した雪氷を速やかに滑落させ雪氷の付着して
いる時間を極力短時間として雪氷の付着を抑制すること
が可能となる。またシリコーン樹脂により形成された無
機系ベース膜が介在して滑雪氷性を有する被覆層との分
子レベルでの密着性が向上することで、密着性及び耐久
性の高い被覆層とすることができる。またシリコーン樹
脂により形成された無機系ベース膜は非常に薄膜で、光
の透過を妨げず下地の意匠を損なうことがない。
【0014】更に汚染物質が被覆物外面に付着したとし
ても、汚染物質の粒子が被覆層外面の全体に均一に分布
することはありえず、微視的に見て滑氷雪性を有する部
分は露出した状態にあるため滑氷雪性はそれ程損なわれ
るものではない。また塗膜が劣化したとしても、塗膜性
能の低下は超撥水性の塗膜より緩やかであり、超撥水性
塗膜等と較べはるかに長い期間着雪氷の防止効果を維持
することができる。
【0015】本発明に係わる被覆層外面において、水と
の濡れ性は接触角で70度以上であり、より好ましくは
90度以上である。水との濡れ性が接触角で70度を下
回ると雪氷に含有される微量の水が被覆層外面に付着し
ようとする力を滑雪氷性を発現するレベルにまで低下さ
せることができない。また水滴の滑落角度は40度以上
が好ましく、より好ましくは30度以下である。水滴の
滑落角度が40度を超えると被覆層外面に付着した着雪
氷が自重により滑落することが困難となる。更に被覆物
外面は滑水性、すなわち水滴が被覆層外面を動く際に水
滴と被覆物外面が接触している部分が一定に保持された
状態で水滴が動く、いわば滑落する性質を有することが
必要であり、転落すなわち表面上を転がる状態で水滴が
動く表面においては、雪氷に含有される水分は非常に微
量で水滴状態とはなり得ず、雪氷から独立して動くこと
ができないために滑雪氷性は期待できない。
【0016】基材はその材質を特に限定するものではな
く、無機系、有機系を問わず使用でき、金属、合成樹
脂、紙、木材、石材、ガラス、煉瓦、陶器、瓦材等を用
いることができる。
【0017】基材に金属を用いる場合、その材質は特に
限定するものではなく、比較的化学的に安定で強度が高
く、比較的コストの低いアルミニウム、鉄鋼、ステンレ
ス、亜鉛、銅、青銅、マグネシウム、ニッケル等が、特
に構造物に用いる場合においては好ましい。これらの金
属を単独で用いるか、又は合金、積層体として用いても
よく、また亜鉛、アルミニウム、マンガン、クロム、マ
グネシウム等やそれらの合金によるめっきが施されてい
てもよい。
【0018】基材に合成樹脂を用いる場合も、その材質
は限定するものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリア
クリロニトリル、ABS、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、エポキシ樹脂、天然ゴムやその誘導体等を適
宜用いてよい。
【0019】更に基材の上には合成樹脂からなる中間層
が形成されていてもよい。中間層を形成することで基材
を問わず外層の密着性を確保することができ、更には構
造物の腐食に対する耐久性を向上させ、中間層を着色そ
の他の方法で意匠性を具備させることができる。中間層
は塗装や、シートの貼着であってよい。塗装を施す場合
は、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹
脂系、フッ素樹脂系、ウレタン樹脂系等を主成分とした
汎用的なもの用いてよく、これらの変成体、混合物を用
いてもよい。無機系ベース膜を密着させる中間層につい
ては、分子構造的に無機系ベース膜との密着を高めるこ
とのできるウレタン系樹脂を用いるのが好ましい。塗装
の方法としては、例えば、ディッピング法、スピンコー
ト法、ノズルフローコート法、スプレー法、フローコー
ト法、刷毛塗り法、ローラーコート法、ワイピングコー
ト法等またはこれらの併用法等を適宜用いてよい。また
中間層は1層であってもよく、基材との密着性を向上さ
せること等を目的として2層以上形成してもよい。貼着
するシートについてはオレフィン系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等から形成される
ものであってよく、適宜粘着剤、接着剤等を用いて貼着
してよい。
【0020】本発明に係わる被覆層外面の最大表面粗さ
は10μm以下であることが好ましい。外面に凹凸が存
在することで、雪氷の滑りが円滑でなくなることや、凹
部に空気が滞留することで滑雪氷性は阻害されるが、最
大表面粗さが10μm以下となればそのような滑雪氷性
への影響はほとんどなくなる。
【0021】また基材の外面に形成する被覆層は、−2
℃から−5℃の温度域で凍着させた氷の滑雪氷性が優れ
るものとするのが好ましい。実際の設置環境下において
着雪氷する場合、前記温度域より低い外気温では雪氷に
含有される微量の水分に由来する水素結合力、ファンデ
ルワールス力等が小さくなり化学的な付着力が生じにく
いことから着雪氷しても風、振動等により被覆層外面よ
り容易に脱落する。前記温度域より高い外気温では雪氷
の状態ではない。
【0022】本発明に係わる基材の外面に形成される無
機系ベース膜はシリコーン樹脂により形成されることが
好ましく、シリコーン樹脂は通常平均式、式1により示
されるポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
【0023】
【式1】[(RSi(OR
【0024】式1におけるRの炭化水素基としては、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチ
ル等のアルキル基、ビニル、アリル等のアルケニル基、
フェニル等のアリール基であってよく、それらの混成で
あってもよい。Rは具体的には水素原子、又はメチル、
エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基であってよ
い。シリコーン樹脂を主成分とする無機系ベース膜を形
成するシリコーンコーティング剤は公知のものを用いて
よい。無機系ベース膜の形成に係わる塗布方法として
は、前記の如き親水性物質を塗布液とし、例えば、ディ
ッピング法、スピンコート法、ノズルフローコート法、
スプレー法、フローコート法、刷毛塗り法、ローラーコ
ート法、ワイピングコート法等またはこれらの併用法等
により塗布できるが、膜の均一性、膜厚の制御等が容易
であり、平滑性が得られるディッピング法が好適であ
る。
【0025】本発明に係わる被覆層の外面は、撥水性物
質を全体の30%〜95%を有する面積に均一に分布さ
せ、その他の部分に微視的に撥水性物質以外の部分を残
すことが滑雪氷性を高めるのに好ましい。この理由は明
確ではないが、水は分子間に微小な結合力を有しその場
に留まろうとする性質を持つが、撥水性物質が分布して
いる部分とその他の部分とで雪氷に含まれる微量の水分
に起因して発生する雪氷と被覆層外面との間の水素結合
力、ファンデルワールス力等に差が発生し、その差が雪
氷と被覆層外面との間の付着しようとする力のバランス
を崩し、水分を動かす発端となることで滑雪氷を助長し
ていると考えられる。撥水性物質の分布が30%以下で
は水との接触角を70度以上とするのが困難であり着雪
氷が軽減できず、95%以上では着雪氷の付着しようと
する力のバランスを崩すまでには至らず前記の如き効果
が発現されない。
【0026】更に前記の撥水性物質が分布する部分以外
に親水性物質を分布させることで、より大きな水素結合
力、ファンデルワールス力等の差を発生させることがで
き、滑雪氷性を向上させることができる。更に前記の親
水性により被覆層外面に付着する汚染物質等が降雨等に
より容易に洗い流され汚染物質が除去されるようにな
り、着雪氷の防止効果の低下を防ぐことにも繋がる。
【0027】本発明に係わる撥水性を発現させる物質は
任意の撥水剤により形成できるが、基材が高分子からな
る場合には、高分子基材に悪影響を与えない100℃以
下の低温下で成膜できる撥水剤を用いるのが好ましく、
また以下に挙げる例より選ばれた1種あるいは2種以上
の混合物を主成分として用いるのがよい。例えばフッ化
ピッチ(CF m=1.1〜1.6。大阪ガス社
製)、或いはフッ素樹脂、具体的にはポリテトラフルオ
ロエチレン、テトラエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、
ポリフッ化ビニル等、それらをベースとしたフッ素樹脂
コーティング剤などが、フルオロカーボン基を有するフ
ッ素含有化合物、またはそれらをベースとしたフッ素樹
脂コーティング剤を用いることができる。
【0028】また例えば、フルオロカーボン基を有する
フッ素含有シラン化合物を用いることができる。更に例
えばメチル基を有するフッ素非含有シラン化合物を用い
ることができる。
【0029】無機系ベース膜はシリコーン樹脂から形成
されており、シロキサン結合を有することから表面に大
量のOH基が配向され前記の如き滑雪氷性の被覆層は密
着しやすい。また滑雪氷性の被覆層をシラン化合物を主
成分とする組成物により形成した場合、無機系ベース膜
と滑雪氷性の被覆層との間にシロキサン結合が形成さ
れ、更に密着性は向上し高い耐久性も得られる。
【0030】被覆層の形成に係わる塗布方法としては、
前記の如き撥水性物質を塗布液とし、例えば、ディッピ
ング法、スピンコート法、ノズルフローコート法、スプ
レー法、フローコート法、刷毛塗り法、ローラーコート
法、ワイピングコート法等またはこれらの併用法等によ
り塗布できるが、膜の均一性、膜厚の制御等が容易であ
り、且つ滑水性を発現するために平滑性が得られるディ
ッピング法が好適である。
【0031】また撥水性物質を分布させた部分の他の部
分に分布させる物質は、前記の理由から親水性のものが
好ましく親水化の発現させる物質も任意の親水化剤によ
り形成してよい。また基材自体がガラス、金属酸化物等
のように親水性であればそれを親水性物質として用いて
もよい。
【0032】前記の親水化を発現させる物質を形成する
親水化剤としては、例えばR1aR2bR3cSiX4
−a−b−c[R1,R2,R3:脂肪族炭化水素基およ
び/あるいは芳香族炭化水素基。A,b,c:0〜3。a
+b+c:0〜3。X:水酸基または加水分解性官能基
(ハロゲン元素、アルコキシ基、イソシアネート基)]
で表される化合物であり、例えばa+b+c=0の4官
能性シランの場合は、室温または/および焼成によりシ
リカ系薄膜となり、また例えばa+b+c=1,2,3
(Rがメチル基、エチル基、フェニル基等)の場合は膜
を高温で焼成することにより炭化水素基:Rを焼成・酸
化させることで、シリカ系薄膜とすることができる。
【0033】さらに例えば、上記のシラン化合物をベー
スとしたシリコーンコーティング剤からなる塗布液によ
り塗布することで、親水性シリカ系薄膜とすることがで
きる。具体的には例えば、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テ
トラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−
sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシ
シランなど。またテトラクロロシラン、テトライソシア
ネートシラン、エトキシシラントリイソシアネートなど
が挙げられる。さらに例えば、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリクロロシシラン、プロピルトリ
メトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピ
ルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチ
ルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、メチルシリルトリイソシアネ
ート、ジメチルシリルジイソシアネート、ビニルシリル
トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】さらに例えば、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキ
シシラン、ジメチルビニルクロロシランなど。また3−
クロロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン等。さらにポリシラザンおよびシ
ラザン系等が挙げられる。さらに上記のシラン化合物を
ベースとしたシリコーンコーティング剤等が挙げられ
る。
【0035】親水性を発現する物質の形成に係わる塗布
方法としては、前記の如き親水性物質を塗布液とし、例
えば、ディッピング法、スピンコート法、ノズルフロー
コート法、スプレー法、フローコート法、刷毛塗り法、
ローラーコート法、ワイピングコート法等またはこれら
の併用法等により塗布できるが、こちらも膜の均一性、
膜厚の制御等が容易であり、平滑性が得られるディッピ
ング法が好適である。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下の実施例により具体的に説明する。比較例2、5及び
6を除いては以下に示す無機系ベース膜被覆ウレタン塗
装アルミ板を使用する。まず100mm×100mm、
厚さ0.8mmのアルミ板をクロメート処理し、その後
にエポキシ樹脂系プライマーをスプレー塗装し、約15
0℃で30分で加熱硬化後、ウレタン樹脂系塗料をスプ
レー塗装し、約150℃で30分で加熱硬化させ、アル
ミ板にウレタン樹脂系塗膜を形成した。その後シリコー
ンコーティング剤KP854(信越化学工業(株)製)
をスプレー塗装し、室温で乾燥後約100℃で30分加
熱硬化させてウレタン樹脂系塗膜上に無機系ベース膜を
形成し、その無機系ベース膜被覆ウレタン塗装アルミ板
を基材とした。
【0037】(実施例1)フッ素シリコーンコーティン
グ剤X−24−7890(信越化学工業(株)製)を固
形分比率を約2.0%になるように希釈し、塗出量と塗
出圧力を非常に弱めてスプレー塗装を行い、その後室温
で乾燥し、約80℃で約30分熱処理して、実施例1の
本発明に係る被覆物を得た。図1に示すのがその断面で
ある。アルミニウム板11を基材としてその外面にプラ
イマー層121及び合成樹脂塗膜層122からなる中間
層12が形成され、その外面に無機系ベース膜13が形
成され、更にその外面に被覆層14が形成されて被覆物
1とされている。
【0038】(実施例2)実施例1と異なり、フッ素シ
リコーンコーティング剤X−24−9270(信越化学
工業(株)製)を固形分比率を約1.0%になるように
希釈し、塗出量と塗出圧力を非常に弱めてスプレー塗装
を行い、その後室温で乾燥し、約80℃で約30分熱処
理して、実施例2の本発明に係る被覆物を得た。
【0039】(実施例3)次に前記と異なり、撥水膜用
塗布液として、オクタデシルトリエトキシシラン〔OD
TES〕であるLS6970(信越化学工業(株)製)
を主成分とする塗布液を用い、その撥水膜用塗布液の混
合割合として、 C1837Si(OC):エ
チルアルコール〔EtOH〕:水〔0.01N HNO
〕=1:150:8前後とし、室温で5時間攪拌し、
撥水膜用塗布液とした。そして相対湿度が約10%程度
以下の雰囲気で、塗出量と塗出圧力を非常に弱めてスプ
レー塗装を行い、その後室温で乾燥し、約60℃で約3
0分熱処理して、実施例3の本発明に係る被覆物を得
た。
【0040】(実施例4)さらに前記と異なり、撥水膜
用塗布液として、ペプタデカフロロデシルトリエトキシ
シラン〔FAS〕であるTSL8233(東芝シリコー
ン(株)製)を主成分とする塗布液を用い、その撥水膜
用塗布液の混合割合として、C17 Si
(OC:エチルアルコール〔EtOH〕:水
〔0.01NHNO〕=1:30:2前後とし、室温
で5時間攪拌し、撥水膜用塗布液とした。そして相対湿
度が約10%程度以下の雰囲気で、塗出量と塗出圧力を
非常に弱めてスプレー塗装を行い、その後室温で乾燥
し、約80℃で約30分熱処理して、実施例4の本発明
に係る被覆物を得た。
【0041】(実施例5)さらに前記と異なり、撥水膜
用塗布液として、ペプタデカフロロデシルトリクロロシ
ラン〔HDFDTCS〕であるKBM7803(信越化
学工業(株)製)を主成分とする塗布液を用い、その撥
水膜用塗布液の混合割合は、C17SiC
:シリコーンオイル(KF994 信越化学工業
(株)製)=1:99前後とした。そして相対湿度が約
10%程度以下の雰囲気で、塗出量と塗出圧力を非常に
弱めてスプレー塗装を行い、その後室温で乾燥し、再度
同様にスプレー塗装し、室温で乾燥後、さらに再度同様
にスプレー塗装し、計3回スプレー塗装した後に室温で
乾燥し、約60℃で約30分熱処理して、実施例5の本
発明に係る被覆物を得た。
【0042】(実施例6)実施例5において、2回スプ
レー塗装する以外は、同様として、実施例6の本発明に
係る被覆物を得た。
【0043】(実施例7)実施例5において、1回スプ
レー塗装する以外は、同様として、実施例7の本発明に
係る被覆物を得た。
【0044】(実施例8)親水膜用塗布液でとして、テ
トラエトキシシラン〔TEOS〕であるLS2340
(信越化学工業(株)製)を主成分とする塗布液を用
い、その親水膜用塗布液の混合割合として、Si(OC
):エチルアルコール〔EtOH〕:水〔0.
01N HCl〕=1:20:8前後とし、室温で5時
間攪拌し、親水膜用塗布液とした。そして相対湿度約1
0%程度以下の雰囲気で、塗出量と塗出圧力を非常に弱
めてスプレー塗装を行い、その後室温で乾燥し、約60
℃で約30分熱処理して親水膜被覆ウレタン塗装アルミ
板を得た。さらに次に、撥水膜用塗布液として、ペプタ
デカフロロデシルトリクロロシラン〔HDFDTCS〕
であるKBM7803(信越化学工業(株)製)を主成
分とする塗布液を用い、その撥水膜用塗布液の混合割合
は、C17SiCl:シリコーンオイル
(KF994 信越化学工業(株)製)=1:99前後
とした。そして相対湿度が約10%程度以下の雰囲気
で、実施例5と同様に3回塗装し、室温で乾燥後、約6
0℃で約30分熱処理して、実施例8の本発明に係る被
覆物を得た。
【0045】(実施例9)クロロトリフルオロエチレン
系フッ素樹脂(東亞合成社製 ザフロンFC110)4
0重量部を、キシレン:トルエン:酢酸エチル:メチル
イソブチルケトンを3:1:1:1で配合した混合溶剤
に溶解後、室温で20分間撹拌した。その後イソシアネ
ート硬化剤(東亞合成社製 コロネート2515)を5
重量部添加し、さらに10分間撹拌し、撥水膜用塗布液
を得た。そして、無機系ベース膜被覆ウレタン塗装アル
ミ板にスプレー塗装を行い、室温で乾燥後、約100℃
で約30分熱処理して、実施例9の本発明に係る被覆物
を得た。
【0046】(比較例1)フッ素シリコーンコーティン
グ剤KP−801M(信越化学工業(株)製)を固形分
比率を約0.5%になるように希釈し、撥水膜用塗布液
を得た。そして無機系ベース膜被覆ウレタン塗装アルミ
板に塗出量と塗出圧力を非常に弱めてスプレー塗装を行
い、その後室温で乾燥後、約60℃で約30分熱処理し
て、比較例1の被覆物を得た。
【0047】(比較例2)実施例5において、被膜用基
体を無機系ベース膜被覆ウレタン塗装アルミ板から、1
00mm×100mm、厚さ0.8mmのウレタン塗装
アルミ板にし、ウレタン塗装アルミ板以外は、同様とし
て、比較例2の被覆物を得た。
【0048】(比較例3)撥水膜用塗布液として、フッ
化ピッチ(C)1gに対し、1,1,2−トリク
ロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(ClFCC
ClF)66gを加え、室温で24時間攪拌し、撥水
膜用塗布液とした。そして前記無機系ベース膜被覆ウレ
タン塗装アルミ板に塗出量と塗出圧力を非常に弱めてス
プレー塗装を行い、その後室温で乾燥して比較例3の被
覆物を得た。
【0049】(比較例4)撥水膜用塗布液として、未結
合フッ素含有量が3重量%以下で且つ平均粒径が5μm
のフッ化グラファイト粉末を、揮発成分揮発後の体積分
率が60%となるようにアクリルシリコン樹脂と混合
し、スプレーにより塗布が適正となるよう好適な有機溶
剤により希釈し、撥水膜用塗布液とした。そして前記無
機系ベース膜被覆ウレタン塗装アルミ板にスプレーによ
り塗布し、室温で乾燥して比較例4の被覆物を得た。
【0050】(比較例5)特に処理を施さないウレタン
塗装アルミ板を用いる。
【0051】(比較例6)特に処理を施さないガラス板
を用いる。
【0052】前記にて得られた実施例及び比較例のそれ
ぞれについて撥水性物質の面積占有率を、XPSを用い
てモル比を測定し、その数値を基に算出した。
【0053】また前記にて得られた実施例及び比較例の
それぞれについて撥水性、滑水性を測定した。撥水性は
接触角計を用いて各被覆物の大気中での水滴に対する接
触角θを測定することで行った。また滑水性の測定は、
各被覆物の外面に水滴を落とし、水滴を静止させた後に
該被覆物を徐々に傾斜させ、その被覆物の傾斜角度より
滑落角θを測定することで行った。水滴が斜面上を動く
際に、水滴の被覆層外面に接触している部分が一定に保
持された状態で水滴が動く場合を滑落、表面上を転がる
状態で水滴が動く場合を転落として表す。
【0054】また前記にて得られた実施例及び比較例の
それぞれについて滑氷に要する荷重の測定及び滑氷の状
態の確認を行った。前記試験の横方向から見た状況を図
1に示す。恒温槽内において被覆物1を水平試験台3上
に固定して設置し、テフロン(登録商標)リング2を被
覆物1上に置きテフロンリング2内に水を満たした状態
で恒温槽内を試験を行う温度に冷却し被覆物1上に氷2
1を凍着させる。一定時間放置したのち、被覆物1上の
氷21をテフロンリング2ごと被覆物1外面と平行の方
向4に引っ張り、荷重及びその変化を確認する。荷重の
変化については、図2のa)に示すような着氷が動き出
した時点5に一気に荷重がなくなる場合を破断的剥離、
図2のb)に示すような着氷が動き出した時点の荷重5
1が以後も同程度以下で推移する場合を粘弾性的剥離と
して表す。
【0055】また前記にて得られた実施例及び比較例の
それぞれについて表面粗さ測定器を用いて最大表面粗
さ、すなわち平滑性を測定した。
【0056】また前記にて得られた実施例及び比較例の
それぞれの被覆物を北海道にて設置し、実際の着雪の度
合いを着雪率にて表す。着雪率はそれぞれの測定材の着
雪時間を総降雪時間にて商して算出しており、数値の小
さいもの程優れた滑雪氷性を有していると判断できる。
今回の設置における総降雪時間は約1000時間であ
る。
【0057】また、約1000時間の着雪試験後に各被
覆物表面の撥水性の確認を、接触角計を用いて各被覆物
の大気中での水滴に対する接触角θを測定することで行
った。
【0058】実施例及び比較例のそれぞれについての試
験結果を表1に示す
【0059】
【表1】
【0060】表1にて示される結果より、本発明の水と
の濡れ性が接触角で70度以上、好ましくは90度以上
であり、水滴が滑落し且つ滑落角度が40度以下、好ま
しくは30度以下である被覆層外面は優れた滑雪氷性を
有し、着雪氷の防止効果を有していることが表されてい
る。比較例1は着雪試験前の水との接触角では超撥水レ
ベルであるが、実際の設置における着雪氷率は実施例の
いずれより高く、また着雪試験後の水との接触角は10
5度まで低下しており、汚染物質の付着等により撥水性
が失われ、着雪氷の防止効果が維持できていないことが
表されている。
【0061】比較例2は実施例5と同様の滑雪氷性物質
を被覆しているが、着雪試験時の着雪率は40%と高く
なっており、無機系ベース膜が被覆層の内層に形成され
ていないことから着雪試験中での被覆層の劣化し、それ
により滑雪氷性が低下していると考えられ、無機系ベー
ス膜の滑雪氷性の維持に対する効果が表されている。
【0062】また最大表面粗さが12μmである比較例
5の着雪氷率は35%と高く、被覆層外面の最大表面粗
さ10μm以下、好ましくは1μm以下である平滑性を
有することで更に優れた着雪氷の防止効果を発現するこ
とが判る。表1においては−5℃において凍着させた氷
にて評価試験を行ったが、評価試験における結果は実際
の設置状況における着氷雪性と整合しており、雰囲気温
度が−2℃から−5℃、好ましくは−5℃で凍着した雪
氷に対する滑雪氷性により、被覆層の着雪氷の防止効果
を判断できることが判る。
【0063】
【発明の効果】本発明により、着雪氷した際においても
被覆層外面の滑雪氷性により被覆物外面に付着した雪氷
を速やかに滑落させることができる。従って着雪氷の防
止に超撥水レベルの撥水性を必要とせず、安価且つ簡便
な方法で付着した雪氷を速やかに滑落させ雪氷の付着し
ている時間を極力短時間として雪氷の付着を抑制するこ
とが可能となる。またシリコーン樹脂により形成された
無機系ベース膜が介在して滑雪氷性を有する被覆層との
分子レベルでの密着性が向上することで、密着性及び耐
久性の高い被覆層とすることができる。またシリコーン
樹脂により形成された無機系ベース膜は非常に薄膜で、
光の透過を妨げず透光性を損なうことがない。
【0064】更に汚染物質が被覆物外面に付着したとし
ても、汚染物質の粒子が被覆層外面の全体に均一に分布
することはありえず、微視的に見て滑氷雪性を有する部
分は露出した状態にあるため滑氷雪性はそれ程損なわれ
るものではない。また塗膜が劣化したとしても、塗膜性
能の低下は超撥水性の塗膜より緩やかであり、超撥水性
塗膜等と較べはるかに長い期間着雪氷の防止効果を維持
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる滑雪氷性被覆物の断面の一例を
示すものである。
【図2】本発明に係わる滑雪氷性試験の一例を示すもの
である。
【図3】滑雪氷性試験の荷重の推移による剥離状態の違
いを示すものである。
【符号の説明】
1 被覆物 11 基材 12 中間層 121プライマー層 122合成樹脂塗膜層 13 無機系ベース膜 14 被覆層 2 テフロンリング 21 氷 3 水平試験台 4 引っ張り方向 5 着氷の動き出した時点 51 着氷の動き出した時点の荷重
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/30 B32B 27/30 D Fターム(参考) 4F100 AA00B AB00A AB10 AH02 AH06 AK01A AK01D AK17C AK51 AK52B AK52C AR00C AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C CA02 EH61 EJ08 EJ42 GB07 JB06 JB06C JK15 JK15C JL00 YY00C 4H020 AA03 AB01 BA36

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上に無機系ベース膜を形成し、更
    にその外面に水との濡れ性が接触角で70度以上で且つ
    水滴の滑落角度が40度以下の滑雪氷性を有する被覆層
    が形成されていることを特徴とする滑雪氷性被覆物。
  2. 【請求項2】 基材は、金属からなることを特徴とする
    請求項1に記載の滑雪氷性被覆物。
  3. 【請求項3】 基材は、合成樹脂からなることを特徴と
    する請求項1に記載の滑雪氷性被覆物。
  4. 【請求項4】 基材の上に合成樹脂からなる中間層が形
    成され、前記中間層の外面に無機系ベース膜が形成され
    ていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の滑
    雪氷性被覆物。
  5. 【請求項5】 被覆層は最大表面粗さが10μm以下で
    あることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の
    滑雪氷性被覆物。
  6. 【請求項6】 被覆層は−2℃から−5℃の温度領域で
    凍着した雪氷について滑雪氷性を有することを特徴とす
    る請求項1、2、3、4又は5に記載の滑雪氷性被覆
    物。
  7. 【請求項7】 無機系ベース膜は、シリコーン樹脂を主
    成分とするシリコーンコーティング剤により形成される
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記
    載の滑雪氷性被覆物。
  8. 【請求項8】 被覆層は撥水性を発現させる物質からな
    り、該物質はフッ素含有シラン化合物、フッ素非含有シ
    ラン化合物、フルオロカーボン基を有するフッ素含有化
    合物から選ばれた1種あるいは2種以上の混合物を主成
    分とする塗布液を塗布し、乾燥硬化させることにより形
    成されたものであることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6又は7に記載の滑雪氷性被覆物。
  9. 【請求項9】 フッ素非含有シラン化合物は、メチル基
    を有するフッ素非含有シラン化合物であることを特徴と
    する請求項8に記載の滑雪氷性被覆物。
  10. 【請求項10】 被覆層は撥水性を発現させる物質から
    なり、該物質は基材外面全体の30%〜95%を有する
    面積に均一に分布されることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8又は9に記載の滑雪氷性被
    覆物。
  11. 【請求項11】 被覆層は撥水性を発現させる物質から
    なり、該物質は基材外面全体の30%〜95%を有する
    面積に均一に分布し、他の部分については親水性を有す
    る物質が分布していることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9又は10に記載の滑雪氷性
    被覆物。
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