JP2002179850A - 紫外線吸収剤含有オレフィン系樹脂組成物、およびそれを用いた紫外線遮断性樹脂成形品 - Google Patents

紫外線吸収剤含有オレフィン系樹脂組成物、およびそれを用いた紫外線遮断性樹脂成形品

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JP2002179850A
JP2002179850A JP2000377260A JP2000377260A JP2002179850A JP 2002179850 A JP2002179850 A JP 2002179850A JP 2000377260 A JP2000377260 A JP 2000377260A JP 2000377260 A JP2000377260 A JP 2000377260A JP 2002179850 A JP2002179850 A JP 2002179850A
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ultraviolet
organic
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film
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Tomoki Kojima
伴樹 児島
Kiminari Nanbu
仁成 南部
Mitsuko Nakanishi
美都子 中西
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Sumika Plastech Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumika Plastech Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外線遮断能の耐久性に優れる有機系紫外線吸
収剤含有オレフィン系樹脂組成物および紫外線遮断性樹
脂製品、特に紫外線吸収性樹脂フィルムを提供する。 【解決手段】オレフィン系樹脂と0.1重量%以上の濃
度で含有される少なくとも二種類の有機系紫外線吸収剤
とで樹脂組成物を構成し、該有機系紫外線吸収剤は各
々、融点に関する下記の条件を満たす。 (Mp2−70℃)≦Mp1≦(Mp2+70℃) [但し、Mp1は該オレフィン系樹脂組成物に0.1重
量%以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤UV1
の融点(℃)であり、Mp2はUV1以外の0.1重量%
以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤から選択さ
れた紫外線吸収剤UV2の融点(℃)である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機系紫外線吸収
剤を含有する樹脂組成物、および該樹脂組成物を使用し
てなる紫外線遮断性樹脂成形品、特に紫外線遮断性樹脂
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】太陽から放射される紫外線のうち地表に
到達する紫外線は、A紫外線(320〜400nm、太
陽から放射される全エネルギーの5.6%)とB紫外線
(280〜320nm、太陽から放射される全エネルギ
ーの0.5%)とに分類できる。これらの紫外線は動植
物の活動に影響を及ぼし、また化学製品の劣化にも関与
している。A紫外線は主に、人体における皮膚老化、昆
虫の行動、植物の生理に影響を及ぼし、B紫外線は主
に、人体における日焼け、化学製品の光劣化(光酸化劣
化)に影響を及ぼす。紫外線によるこれらの影響を排除
するために、紫外線吸収剤を用いて特定の波長領域の紫
外線を遮断する技術は古くから知られている。例えば特
開昭52−43637号公報、特開昭52−98125
号公報、特開昭53−75039号公報、特開昭53−
27539号公報、特開昭53−98242号公報など
に、オレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とからなる樹脂組
成物が記載されている。これら紫外線吸収剤を含有する
オレフィン系樹脂組成物は、様々な形に成形され、土
木、建築、家電、自動車、包装、施設園芸資材などの分
野で広範に用いられている。ところが、オレフィン系樹
脂中に配合された有機系紫外線吸収剤は、経時とともに
樹脂表面にブリードし、とりわけ、エネルギー量の大き
いA紫外線を遮断するために、多量の有機系紫外線吸収
剤をポリオレフィン樹脂に配合する場合には、特にブリ
ードが起こり易い。有機系紫外線吸収剤が製品表面にブ
リードすると、製品の紫外線遮断性能は低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紫外
線遮断能の耐久性に優れる有機系紫外線吸収剤含有オレ
フィン系樹脂組成物および紫外線遮断性樹脂製品、特に
紫外線吸収性樹脂フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく鋭意検討した結果、オレフィン系樹脂と
有機系紫外線吸収剤とからなるオレフィン系樹脂組成物
において、有機系紫外線吸収剤として特定の条件を満た
す二種類以上の有機系紫外線吸収剤を併用することによ
り、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成
した。
【0005】すなわち本発明は、オレフィン系樹脂と
0.1重量%以上の濃度で含有される少なくとも二種類
の有機系紫外線吸収剤とからなるオレフィン系樹脂組成
物であって、該有機系紫外線吸収剤は各々、融点に関す
る下記の条件を満たすことを特徴とするオレフィン系樹
脂組成物である。 (Mp2−70℃)≦Mp1≦(Mp2+70℃) [但し、Mp1は該オレフィン系樹脂組成物に0.1重
量%以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤UV1
の融点(℃)であり、Mp2はUV1以外の0.1重量%
以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤から選択さ
れた有機系紫外線吸収剤UV2の融点(℃)である。]
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のオレフィン系樹脂組成物
は、0.1重量%以上の濃度で含有される少なくとも二
種類の有機系紫外線吸収剤を含有し、これらの有機系紫
外線吸収剤は各々、融点に関する下記の条件を満たす。 (Mp2−70℃)≦Mp1≦(Mp2+70℃) [但し、Mp1は該オレフィン系樹脂組成物に0.1重
量%以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤UV1
の融点(℃)であり、Mp2はUV1以外の0.1重量%
以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤から選択さ
れた有機系紫外線吸収剤UV2の融点(℃)である。]
【0007】樹脂組成物中に、0.1重量%以上の濃度
で含有される他のいずれの有機系紫外線吸収剤との間に
も上記融点関係が成立しない有機系紫外線吸収剤が0.
1重量%以上の濃度で含まれていると、その有機系紫外
線吸収剤は該樹脂組成物またはその組成物を用いてなる
製品の表面にブリードしたときに結晶化し易く、この結
晶化に起因して、製品の外観悪化や紫外線遮断能の低下
が起こる。本発明は、樹脂組成物中に濃度0.1重量%
以下の有機系紫外線吸収剤が存在する場合を排除するも
のではない。このような低濃度の有機系紫外線吸収剤
は、結晶化促進に及ぼす影響が小さいため、このような
低濃度の有機系紫外線吸収剤については、上記融点条件
を満たす必要はないが、勿論このような低濃度の有機系
紫外線吸収剤についても上記融点が満たされていること
は好ましい。
【0008】本発明に適用することができる有機系紫外
線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外
線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などの有
機系紫外線吸収剤が挙げられる。中でもベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤は、ブリード性が小さいので好まし
い。
【0009】使用する有機系紫外線吸収剤の、最大紫外
線吸収波長によって特徴付けられる紫外線吸収特性は、
製品の要求性能に応じて自由に選択することができる。
例えば、農園芸施設の被覆フィルムに代表される農業用
フィルムのように、太陽光中のA紫外線を効率的に遮断
する性能が要求される樹脂成形品、およびそれに用いら
れるオレフィン系樹脂組成物においては、最大紫外線吸
収波長が320〜400nmの範囲にある一種類以上の
有機系紫外線吸収剤を使用することが好ましい。最大紫
外線吸収波長が320〜400nmの範囲にある有機系
紫外線吸収剤を含有するオレフィン系樹脂組成物は、そ
れ自体がA紫外線に対して安定化され、光劣化が防止さ
れる。さらには、該組成物を用いてなる樹脂成形品によ
ってA紫外線を効果的に遮断することができ、したがっ
て、樹脂成形品が容器である場合には、内容物をA紫外
線から効果的に保護することができる。また、樹脂成形
品が農業用フィルムである場合には、該農業用フィルム
は、優れた害虫忌避効果を発揮することができる。
【0010】本発明のオレフィン系樹脂組成物は、B紫
外線を効果的に遮断するために、320nm未満に最大
紫外線吸収波長を持つ有機系紫外線吸収剤を含有するこ
とも好ましい。また、最大紫外線吸収波長が320nm
未満の有機系紫外線吸収剤と最大紫外線吸収波長が32
0〜400nmの範囲にある有機系紫外線吸収剤とを併
用することにより、太陽光中の紫外線をほぼ全紫外線波
長領域にわたって遮断することができる。
【0011】本発明のオレフィン系樹脂組成物が含有す
る有機系紫外線吸収剤の量については、効果の観点か
ら、該樹脂組成物に0.1重量%以上の濃度で含有され
る全有機系紫外線吸収剤について、それらの合計重量を
tot、最も多量に含有される有機系紫外線吸収剤の重
量をWmax、および各有機系紫外線吸収剤の含有量の平
均値をWaveとしたときに、比(Wmax−Wave)/Wtot
の値は0.3以下であることが好ましく、比(Wmax
ave)/Wtotの値は0.25以下であることが特に好
ましい。
【0012】本発明のオレフィン系樹脂組成物の有機系
紫外線吸収剤含有量は、所望する紫外線遮断性能の程度
に応じて適宜選択することができる。A紫外線を完全に
遮断するためには、オレフィン系樹脂組成物中の有機系
紫外線吸収剤の合計は、組成物の重量を基準として、通
常0.1〜10重量%であり、好ましくは0.3〜5重
量%である。従来の紫外線吸収剤含有オレフィン系樹脂
組成物では、0.3重量%以上の有機系紫外線吸収剤を
含有すると紫外線遮断能の顕著な経時低下が起こるが、
本発明のオレフィン系樹脂組成物では、0.3%以上の
有機系紫外線吸収剤を含有しても紫外線遮断能の経時低
下が著しく抑制される。
【0013】本発明の樹脂組成物に用いられるオレフィ
ン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
のα−オレフィン単独重合体;エチレン/プロピレン共
重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/4
−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−ヘキ
セン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体などの
エチレン/α−オレフィン共重合体であってα−オレフ
ィンを主成分とするもの、更にエチレン/酢酸ビニル共
重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メ
チルメタクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル/
メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂など
のエチレン/極性ビニルモノマー共重合体を挙げること
ができる。
【0014】これらのオレフィン系樹脂の中では、低密
度ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、
エチレン/酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン/
極性ビニルモノマー共重合体などが、透明性、柔軟性、
コストなどの観点から好ましい。エチレン/極性ビニル
モノマー共重合体の中でも、酢酸ビニル単位の含有量が
30重量%以下のエチレン/酢酸ビニル共重合体は柔軟
性に優れ、好ましい。エチレン/α−オレフィン共重合
体、とりわけメタロセン触媒などのシングルサイト触媒
を用いて重合された狭い組成分布および分子量分布を有
するエチレン/α−オレフィン共重合体は、力学的強度
および、透明性に優れ好ましい。
【0015】本発明のオレフィン系樹脂組成物は、先述
の有機系紫外線吸収剤に加えて、無機系紫外線吸収剤を
含有してもよい。無機系紫外線吸収剤としては、酸化セ
リウムや酸化チタンなどの金属酸化物を含有するものが
挙げられ、例えば、日本無機化学工業製で商品名:セリ
ガードとして市販されている紫外線吸収剤を使用するこ
とができる。無機系紫外線吸収剤の含有量はポリオレフ
ィン系樹脂に対して、0.001〜0.1重量%が好ま
しく、0.01〜0.1重量%がより好ましい。本発明
のオレフィン系樹脂組成物は、1種類のみの無機系紫外
線吸収剤を含有してもよく、また、2種類以上の無機系
紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0016】本発明のオレフィン系樹脂組成物は、発明
の効果が著しく損なわれない限り、安定剤(例えば酸化
防止剤、熱安定剤)、アンチブロッキング剤、滑剤、帯
電防止剤、顔料等の添加剤を含有することができる。
【0017】本発明の樹脂組成物は、通常の樹脂組成物
の製造方法と同様の方法で、オレフィン系樹脂に所定量
の紫外線吸収剤を添加し、必要に応じて各種添加剤を更
に添加し、リボンブレンダー、スーパーミキサー、バン
バリーミキサー、1軸あるいは2軸押出機などの混合機
または混練機によって混合または混練して調製すること
ができる。
【0018】本発明の樹脂組成物は、射出成形法や押出
成形法により種々の形状の成形品に加工することができ
る、また、Tダイフィルム成形法、インフレーションフ
ィルム成形法などによりフィルムに成形することもでき
る。このフィルムは、本発明の樹脂組成物からなる単層
フィルムであってもよいし、本発明の樹脂組成物からな
る少なくとも一つの層を有する多層フィルムであっても
よい。このような多層フィルムは、共押出Tダイフィル
ム成形法などによって製造することができる。本発明の
樹脂組成物は、フィルムの場合と同様に単層シートおよ
び多層シートに適用することもできる。
【0019】本発明の樹脂組成物を用いてなる紫外線遮
断性フィルムを農業用のハウスやトンネルなどの被覆フ
ィルムとして用いる場合、フィルムの厚さは、その強
度、中継ぎ加工性、被覆作業性の観点から、0.01〜
1mm程度が好ましく、0.02〜0.4mm程度がよ
り好ましく、特に0.03〜0.2mm程度が好まし
い。
【0020】本発明の紫外線遮断性フィルムには、本発
明の目的が損なわれない範囲で、無機化合物、流滴剤、
防霧剤、耐候剤、他の紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、
充填剤、着色剤、界面活性剤など種々の添加剤を配合す
ることができる。これら添加剤としては、「ポリマー添
加剤の分離・分析技術および別冊」(田中ら、日本科学
情報(株)出版、1987年)、「プラスチックおよび
ゴム用添加剤実用便覧」(後藤ら、(株)化学工業出
版、1970年)などを参照することができる。
【0021】本発明の紫外線遮断性フィルムには、フィ
ルムの保温性を改良する目的で、一種類以上の赤外線吸
収剤を含有することができる。赤外線吸収剤とは、各層
の樹脂材料よりも赤外線吸収能に優れているものであれ
ば特に制限はなく、無機赤外線吸収剤であっても有機赤
外線吸収剤であってもよい。無機赤外線吸収剤として
は、リチウムアルミニウム複合水酸化物、ハイドロタル
サイト類化合物などの複合水酸化物、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸
化チタンなどの金属の酸化物、水酸化リチウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム
などの水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、
塩基性炭酸アルミニウム(例えば特開平9−27913
1号公報に記載の塩基性炭酸アルミニウム複塩)などの
炭酸塩類、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩類、
燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸カ
ルシウム、燐酸ジルコニウム(例えば特開平8−677
74号公報記載のH型燐酸ジルコニウム)などの燐酸塩
類、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニ
ウム、珪酸チタンなどの珪酸塩類、アルミン酸ナトリウ
ム、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウムなどの
アルミン酸塩類、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪
酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウムなどのアルミノ珪
酸塩類、カオリン、クレー、タルクなどの粘土鉱物、複
合酸化物などが挙げられる。有機赤外線吸収剤として
は、ポリアセタール、ポリビニルアルコールおよびその
誘導体、エチレン/ビニルアルコール共重合体などが挙
げられる。これらの赤外線吸収剤の中でも、フィルムの
リサイクル効率の観点から、密度が約3g/cm3以下
のものが好ましく、密度が約2.4g/cm3以下のも
のがより好ましい。また、赤外線吸収能の観点からは、
無機系赤外線吸収剤が好ましい。
【0022】赤外線吸収剤が無機系赤外線吸収剤である
場合には、光線透過性の観点から、その屈折率は、使用
する樹脂材料の屈折率により近いこと、また、保温性の
観点から、幅広い波長域に吸収性能をもつことが好まし
い。これらの観点から、ハイドロタルサイト類化合物、
リチウムアルミニウム複合水酸化物、アルミノ珪酸塩
類、塩基性炭酸アルミニウム複塩などが好ましい。
【0023】ハイドロタルサイト類化合物とは、下記式
(I): M2+ 1-xAl3+ x(OH-2(A1 n-x/n・mH2
(I)(式中、M2+は2価金属イオンであり、A1 n-
n価のアニオンであり、x、mおよびnは、0<x<
0.5、0≦m≦2、1≦nという条件を満たす。)で
示される化合物である。M2+としては、Mg2+、C
2+、Zn2+などが例示される。n価の陰イオンA 1 n-
は特に限定されず、例えば、Cl-、Br-、I-、N
3 -、ClO4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO
4 3-、HBO4 3-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(C
N)6 4-、CH3COO-、C64(OH)COO-、(C
OO)2 2-、テレフタル酸イオン、ナフタレンスルホン
酸イオンなどの陰イオンや、特開平8−217912に
記載されたポリ珪酸イオンやポリ燐酸イオンが挙げられ
る。具体的には、例えば、天然ハイドロタルサイトやD
HT−4A(商品名、協和化学工業製)のような合成ハ
イドロタルサイトを用いることができる。また、水酸化
カルシウム、または一般式: CaAlx(OH)2+3x
表わされるカルシウム・アルミニウム複合水酸化物をハ
イドロタルサイト類化合物と併用してもよい。
【0024】リチウムアルミニウム複合水酸化物として
は、例えば、特開平5−179052号公報に開示され
た下記式(II): Li+(Al3+2(OH-6・(A2 n-1/n・mH2
(II)(式中、A2 n-はn価の陰イオンであり、m
およびnは、0≦m≦3、1≦nという条件を満たす)
で示される化合物が挙げられる。n価の陰イオンA2 n-
は特に限定されず、例えば、式(I)の化合物における
1 n-と同様の陰イオンが挙げられる。
【0025】上記2種類以外の複合水酸化物としては、
例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、ZnおよびSi
からなる群の中から選ばれた少なくとも一種の元素と、
LiおよびAlを含有し、かつ水酸基を有する複合水酸
化物が例示される。アルカリ土類金属の中では、マグネ
シウム、カルシウムが好ましい。また、遷移金属の中で
は、2価または3価の鉄、コバルト、ニッケル、マンガ
ンが好ましく、中でも鉄が特に好ましい。AlとLiの
モル比(Al/Li)は、通常1.5/1〜2.5/1
であり、好ましくは1.8/1〜2.5/1である。ま
た、アルカリ土類金属、遷移金属、ZnおよびSiから
なる群の中から選ばれた元素のLi元素1モルに対する
モル比(a)は、通常0<a<1.5であり、好ましく
は0.1≦a≦1.4、更に好ましくは0.2≦a≦
1.2である。かかる複合水酸化物の水酸基以外のアニ
オン部分は、例えば、ピロケイ酸イオン、シクロケイ酸
イオン、イソケイ酸イオン、フィロケイ酸イオン、テク
トケイ酸イオン等のポリケイ酸イオン、炭酸イオン、ハ
ロゲン化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イ
オン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、
次亜リン酸イオン、ポリリン酸イオン、アルミン酸イオ
ン、ケイ酸イオン、過塩素酸イオン、ホウ酸イオン等の
無機酸イオン、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)6 4-等の
アニオン性遷移金属錯体、酢酸イオン、安息香酸イオ
ン、ギ酸イオン、テレフタル酸イオン、アルキルスルホ
ン酸イオン等の有機酸イオンなどが挙げられる。これら
の中でも、炭酸イオン、ハロゲン化物イオン、硫酸イオ
ン、リン酸イオン、ポリリン酸イオン、ケイ酸イオン、
ポリケイ酸イオン、過塩素酸イオンが好ましく、炭酸イ
オン、ポリリン酸イオン、ケイ酸イオン、ポリケイ酸イ
オンが特に好ましい。このような複合水酸化物の具体例
としては、Al、Li、Mgを含有し、かつAl/Li
/Mg=約2.3/1/0.28(モル比)である複合
水酸化物(商品名LMA、富士化学工業製)や、Al、
Li、Siを含有し、かつAl/Li/Si=約2/1
/1.2(モル比)である複合水酸化物(商品名フジレ
インLS、富士化学工業製)が挙げられる。
【0026】WO97/00828に開示された下記式
(III): [(Li+ (1-x)M2+ x)(Al3+)2(OH-)6]2(SiyO(2y+1) 2-)(1+x)
・mH2O (III)(式中、M2+は2価の金属イオン
であり、m、xおよびyは、0≦m<5、0≦x<1、
2≦y≦4という条件を満たす)で表わされる化合物、
および特開平8−217912号公報に開示された下記
式(IV): [(Li+ (1-x)M2+ x)(Al3+)2(OH-)6]2(An-)2(1+x)/n・mH
2O (IV)(式中、M2+は2価の金属イオンであ
り、An-はn価の陰イオンであり、m、xおよびnは、
0≦m<5、0.01≦x<1、1≦nという条件を満
たす)で表わされる化合物は、上記複合水酸化物の好ま
しい例である。式(III)および(IV)におけるM2+
しては、Mg2+、Ca2+、Zn2+などが例示される。
【0027】更に、下記式(V): mAl23・(n/p)M2/pO・X・kH2O (V) (式中、Xは炭酸根であり、Mはアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属、pは金属Mの価数に等しく、m、nお
よびkは、0.3≦m≦1、0.3≦n≦2、0.5≦
k≦4の条件を満たす)で示される塩基性炭酸アルミニ
ウム複塩も、好ましい赤外線吸収剤の一つである。上記
式(V)におけるXとして硫黄のオキシ酸(硫酸、亜硫
酸)、窒素のオキシ酸(硝酸、亜硝酸)、塩化水素酸、
塩素のオキシ酸(例えば、過塩素酸)、リンのオキシ酸
(リン酸、亜リン酸、メタリン酸)などに由来する無機
アニオンや、酢酸、プロピオン酸、アジピン酸、安息香
酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、
コハク酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、ピクリン
酸、トルエンスルホン酸などに由来する有機アニオンを
含む複塩を、上記塩基性炭酸アルミニウム複塩と併用し
てもよい。これらの複塩は、特開平9−279131号
公報に開示された方法で製造することができる。
【0028】上記複合水酸化物または塩基性炭酸アルミ
ニウム複塩を赤外線吸収剤として使用する場合、その平
均粒子径は、約5μm以下が好ましく、約0.05〜約
3μmがより好ましく、約0.1〜約1μmが更に好ま
しい。また、BET法により測定した比表面積は1〜3
0m2/gが好ましく、約2〜約20m2/gがより好ま
しい。
【0029】本発明の紫外線遮断性フィルムを高度に透
明性が要求される用途に使用する場合は、赤外線吸収剤
の屈折率は、使用する樹脂材料の屈折率に近いことが好
ましく、JIS K0062記載の方法で測定した屈折
率が1.47〜1.55であることが好ましく、1.4
8〜1.54がより好ましく、1.49〜1.53が特
に好ましい。
【0030】フィルム中での赤外線吸収剤の分散性を向
上させるために、高級脂肪酸や高級脂肪酸のアルカリ金
属塩等により赤外線吸収剤に表面処理を施してもよい。
フィルム中の上記赤外線吸収剤の量は、23℃における
フィルムの所望の輻射線透過指数、使用する赤外線吸収
剤の種類やフィルムの層構成などを考慮して適宜設定さ
れる。例えば、赤外線吸収剤として上記の複合水酸化物
を使用する場合、その配合量は、フィルムの全重量に対
して、約6重量%〜約13重量%が好ましい。
【0031】フィルムの23℃における輻射線透過指数
は、該フィルムを農業用ハウスなどの被覆材として用い
た場合の保温性の尺度であり、作物生育性に影響を与え
るものであって、後述する測定方法によって求められ
る。輻射線透過指数の値が小さいほどフィルムの保温性
が優れている。本発明において、フィルムの23℃にお
ける輻射線透過指数は25以下であることが好ましい。
フィルムが25以下の輻射線透過指数を有すると、従来
のポリ塩化ビニルフィルムに比較して保温性が同等若し
くは優れ、また、加温ハウスに用いると、暖房費を節減
することができ経済効率の向上に寄与する。輻射線透過
指数はゼロに近いほど好ましく、20以下がより好まし
く、15以下が更に好ましい。
【0032】23℃における輻射線透過指数は、以下の
方法により測定される。赤外分光光度計(パーキンエル
マー社製 1640型FT−IR)を用いて、波数40
00〜400cm-1の範囲でフィルムの赤外線吸収スペ
クトル(透過法)を温度23℃にて測定し、波数νでの透
過率T(ν)%の値を得る。一方、プランクの法則から得
られる式(1)に従い、23℃における波数νでの黒体
輻射スペクトル強度e(ν)を計算する。ここで黒体輻射
スペクトル強度e(ν)に透過率T(ν)をかけたものが輻
射線透過強度f(ν)となる(式(2))。輻射線透過強
度f(ν)を波数4000〜400cm-1の範囲で積分し
たものを輻射線透過エネルギーF、黒体輻射スペクトル
強度e(ν)を波数4000〜400cm-1の範囲で積分
したものを黒体輻射エネルギーEとして、輻射線透過指
数G=100×F/Eと定義する。実際の積分において
は、波数間隔2cm-1ごとの区間に区切り、台形近似に
て各区間について計算し積算する。 e(ν)=(A/λ5)/{exp(B/(λ×T))-1} (1) A=2πhC2=3.74×10-16(W・m2) B=hC/k=0.01439(m・K) T(K)は絶対温度。λ(cm)は波長。(波数νは波
長の逆数) (hはプランク定数、Cは光速、kはボルツマン定
数。) f(ν)= e(ν)×T(ν)/100 (2)
【0033】本発明の紫外線遮断性フィルムは、一種類
以上の光安定剤を含有することができる。光安定剤とし
てはニッケル錯体系光安定剤も使用できるが、ヒンダー
ドアミン系化合物が好ましく、特に、分子量が約150
0以上のヒンダードアミン系化合物が好ましい。ヒンダ
ードアミン系化合物としては、特開平8−73667号
公報に記載された構造式を有するものが挙げられ、具体
例としては、商品名チヌビン622−LD、キマソーブ
944−LD、チヌビン123(以上チバスペシャリテ
ィケミカルズ社製)、ホスタビンN30、VP San
duvor PR−31(以上クラリアント社製)、サ
イヤソーブUV3529(サイテック社製)がある。ヒ
ンダードアミン系化合物含有安定化剤としては、特開昭
63−286448号に記載された組成物(商品名 チ
ヌビン 492、チヌビン 494、チバガイギー社
製)が例示される。
【0034】光安定剤を使用する場合、その量は、耐候
性改良効果と光安定剤のブルーミングの抑制のバランス
の観点から、フィルムの全重量に対して約0.02〜約
5重量%の範囲が好ましく、約0.1〜約2重量%がよ
り好ましく、約0.5〜約2重量%が更に好ましい。耐
候性改良効果の観点から、光安定剤は下記の紫外線吸収
剤と併用することがより好ましい。
【0035】本発明の紫外線遮断性フィルムには、防曇
性を備える目的で防曇剤を含有してもよい。防曇剤を含
有する場合、その含有量はフィルム重量に対して、0.
1〜4重量%の範囲が好ましく、0.5〜3重量%がよ
り好ましく、1.5〜3重量%が更に好ましく、2.2
〜2.8重量%が特に好ましい。
【0036】防曇剤としては、常温(23℃)で固体状
のものと液体状のものとがあり、固体状の防曇剤として
は、非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンモノス
テアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタン
モノベヘネート、ソルビタンモノモンタネートなどのソ
ルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリンモノ
ラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリン
モノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリ
グリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノモ
ンタネートなどのグリセリン脂肪酸エステル系界面活性
剤、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエ
チレングリコールモノステアレートなどのポリエチレン
グリコール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキ
レンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と
有機酸とのエステル;ポリオキシエチレン(2モル)ス
テアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリ
ルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルア
ミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物、ポ
リオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステ
アレート、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルア
ミンジステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ス
テアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン
(4モル)ステアリルアミンジステアレート、ポリオキ
シエチレン(8モル)ステアリルアミンモノステアレー
ト、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモ
ノベヘネート、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリル
アミンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルア
ミン化合物の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(2
モル)ステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアル
キルアミン化合物の脂肪酸アミド等のアミン系界面活性
剤などが挙げられる。
【0037】更に、常温で液体状の防曇剤を含有すると
保管時および展張時の光線透過性の劣化を回避すること
ができることから、少なくとも1種類の常温で液体状の
防曇剤を含有することは有効である。常温で液状の防曇
剤としては、例えば、グリセリンモノオレエート、ジグ
リセリンモノオレエート、ジグリセリンセスキオレエー
ト、テトラグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリ
ンモノオレエート、テトラグリセリントリオレエート、
ヘキサグリセリンペンタオレエート、テトラグリセリン
モノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート等の
グリセリン系脂肪酸エステルが、また、ソルビタンモノ
オレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンモノ
ラウレートなどのソルビタン脂肪酸エステルが挙げられ
る。液状の防曇剤をフィルムに配合する場合、その配合
量は、フィルム重量に対して、0.2〜3重量%の範囲
が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましい。
【0038】本発明の紫外線遮断性フィルムは、防霧剤
を含有することができる。使用できる防霧剤としては、
パーフルオロアルキル基、ω−ヒドロフルオロアルキル
基等を有するフッ素化合物(特にフッ素系界面活性
剤)、アルキルシロキサン基を有するシリコン系化合物
(特にシリコン系界面活性剤)等が挙げられる。防霧剤
を含有する場合、その量は、フィルム重量に対して約
0.01〜約3重量%の範囲が好ましく、約0.02〜
約1重量%がより好ましい。
【0039】本発明の紫外線遮断性フィルムは、必要に
応じて、一般に使用されている安定剤(例えば酸化防止
剤、熱安定剤)、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防
止剤、顔料等の添加剤を含有することができる。
【0040】本発明の紫外線遮断性フィルムが多層フィ
ルムの場合、各層の樹脂、添加剤の配合は異なっていて
もよい。例えば、農業用フィルムとして用いられる場
合、2種3層、3種3層、3種5層、4種5層および5
種5層の構成がよく用いられ、厚さは0.02〜0.3
mmの範囲で成形することができる。より好ましいフィ
ルム厚さは0.03〜0.2mmである。フィルム強度
の点で厚さは0.02mm以上が好ましい。フィルムの
中継ぎ加工性や被覆作業性などの点で0.3mm以下が
好ましい。施設の外側に面する層には防塵処理を施し、
施設の内側に面する層には流滴、防霧処理を施し、中間
層には無機化合物等を中心とした保温剤を配合するのが
好ましい。
【0041】本発明の紫外線遮断性フィルムは例えば次
の方法によって製造することができる。オレフィン系樹
脂に所定量の紫外線吸収剤、および流滴剤、熱安定剤、
耐候剤、防霧剤など所望の各種添加剤を、例えばリボン
ブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、
1軸あるいは2軸押出機などの通常の混合または混練機
によって混合または混練する。得られた樹脂組成物を、
例えば、押出Tダイフィルム成形法やインフレーション
フィルム成形法など通常のフィルム成形法でフィルムに
成形する。
【0042】フィルムの流滴性、防霧性を長期間持続さ
せる方法として、上述した常温で液状の流滴剤をフィル
ム中に含有させる方法以外に、農業用ハウス等に展張す
る農業用フィルムの少なくとも内面に防曇性被膜を形成
させる方法が挙げられる。かかる防曇性被膜とは、例え
ば、特公昭49−32668号、特公昭50−1134
8号、特開平7−53747号、特開平7−82398
号公報などで代表される、コロイダルシリカやアルミナ
ゾルに代表される無機酸化ゾルのコーティング膜、およ
びその応用として、特公昭63−45432号、特公昭
63−45717号、特公昭64−2158号、特開平
3−207643号公報で代表される、無機酸化物ゾル
と有機化合物(界面活性剤や樹脂など)などのコーティ
ング膜、界面活性剤を主成分とする液のコーティング
膜、親水性樹脂を主成分とする膜などが、単層もしくは
2層以上積層されて好ましく用いられる。親水性樹脂と
しては、例えば、ポリビニルアルコール、多糖類、ポリ
アクリル酸などが挙げられ、成膜は、コーティングによ
り行ってもよいし、製膜後積層してもよい。
【0043】本発明の紫外線遮断性フィルムは、例え
ば、施設園芸ハウス・トンネル等の被覆フィルムとして
用いることができる。また、内張りカーテンに本発明の
紫外線遮断性フィルムを適用することも好ましい。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、光の波長分布やその強
度を人為的に変換するための紫外線吸収剤含有オレフィ
ン系樹脂組成物において、有機系紫外線吸収剤のブリー
ドにより引き起こされる紫外線遮断性能の低下、外観の
悪化を大幅に改善するものである。一般に、有機系紫外
線吸収剤を含有する基材層上に、防曇層、ハードコート
層、ヒートシール層などに代表される被膜層を積層する
場合には、有機系紫外線吸収剤が基材層からブリードし
て被膜層に悪影響を及ぼす可能性があるが、本発明によ
れば、この問題も解決される。本発明の紫外線遮断性フ
ィルムは、施設園芸ハウス・トンネル・カーテンの被覆
フィルムおよびマルチングフィルムなどの農業用フィル
ムとして長期間の継続使用が可能であり、作物の増収を
もたらすことができる。本発明の紫外線遮断性フィルム
は、窓貼りフィルム、マーキングフィルム、食品などの
包装フィルムなどとしても好適に用いることができる。
また、土木、建築、家電、自動車などの分野にも適用す
ることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものでない。なお、実施例および比較
例中の試験方法は以下のとおりである。
【0046】[紫外線遮断能の耐久性試験]80℃のオ
ーブン中に厚さ100μmの試料フィルムを設置し、紫
外線の吸収極大の減少を経時的に測定する。紫外線吸収
の測定は、表面のブリード物をアセトンで拭き取った後
の試料フィルムについて、紫外可視分光光度計を用いて
分光スペクトルを測定することにより行う。吸収極大に
おける全光線吸光度が初期値の半分になるまでに要する
時間を紫外線遮断能の半減期とする。この値が大である
ほど、紫外線遮断能の耐久性に優れることを示す。
【0047】(実施例1)エチレン−酢酸ビニル共重合
体(商品名エバテートH2020 酢酸ビニル含有量1
5重量% 住友化学工業製)に対して、紫外線吸収剤A
(商品名チヌビン326 チバスペシャルティーケミカ
ルズ製)0.4重量%、紫外線吸収剤B(商品名チヌビ
ン328 チバスペシャルティーケミカルズ製)0.4
重量%、酸化防止剤(商品名イルガノックス1010
チバスペシャルティーケミカルズ製)0.1重量%、を
加え、バンバリーミキサーを用いて5分間混練後、造粒
機により造粒し、組成物ペレットを得た。これを、イン
フレーションフィルム成形機によってフィルム厚み10
0μmのフィルムを作製し、試験を行なった。表1から
判るように、紫外線遮断能の半減期は5000時間以上
であった。
【0048】(実施例2〜7)実施例1に記載の紫外線
吸収剤の代わりに表1記載の紫外線吸収剤を使用した以
外は実施例1と同様にしてフィルムを作成し、紫外線遮
断能の半減期を測定した。
【0049】
【表1】
【0050】(実施例8〜9)実施例1で用いた紫外線
吸収剤の代わりに表2記載の紫外線吸収剤を使用した以
外は実施例1と同様にしてフィルムを作成し、紫外線遮
断能の半減期を測定した。
【0051】
【表2】
【0052】(比較例1〜5)実施例1で用いた紫外線
吸収剤の代わりに表3記載の紫外線吸収剤を使用した以
外は実施例1と同様にしてフィルムを作成し、紫外線遮
断能の半減期を測定した。
【0053】
【表3】
【0054】(実施例10)エチレン−酢酸ビニル共重
合体(商品名エバテートH2020 酢酸ビニル含有量
15重量% 住友化学工業製)に対して、ヒンダードア
ミン系化合物(商品名チヌビン622−LD チバスペ
シャルティーケミカルズ製)0.6重量%、ハイドロタ
ルサイト類化合物(商品名DHT4A 協和化学工業
製)8.0重量%、紫外線吸収剤A(商品名チヌビン3
26 チバスペシャルティーケミカルズ製)0.4重量
%、紫外線吸収剤B(商品名チヌビン328 チバスペ
シャルティーケミカルズ製)0.4重量%、酸化防止剤
(商品名イルガノックス1010チバガイギー製)0.
1重量%、防曇剤としてモノグリセリンモノステアレー
ト1.4重量%、ジグリセリンジステアレート0.6重
量%、滑剤としてステアリン酸アミド0.2重量%、を
加え、バンバリーミキサーを用いて5分間混練後、造粒
機により造粒し、組成物ペレットを得た。これを樹脂組
成物(1)とする。次に、低密度ポリエチレン(商品名
スミカセンF208−0 住友化学工業製)に対してヒ
ンダードアミン系化合物0.6重量%、紫外線吸収剤A
(商品名チヌビン326 チバスペシャルティーケミカ
ルズ製)0.4重量%、紫外線吸収剤B(商品名チヌビ
ン328 チバスペシャルティーケミカルズ製)0.4
重量%、酸化防止剤0.1重量%、モノグリセリンモノ
ステアレート1.4重量%、ジグリセリンジステアレー
ト0.6重量%、ステアリン酸アミド0.2重量%、を
加え、樹脂組成物−1と同様にペレットを得た。これを
樹脂組成物−2とする。樹脂組成物(1)を中間層に、
樹脂組成物(2)を両外層としてインフレーションフィ
ルム成形機によってフィルム厚み100μmのフィルム
(中間層60μm、両外層20μm)を作製し、試験を
行なった。紫外線遮断能の耐久性半減期は5000時間
以上であった。
【0055】(使用した有機系紫外線吸収剤) UV01:スミソーブ130(商品名):2-ヒドロキシ
-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン 住友化学製、融点48℃、最大紫外線吸収波長290n
m UV02:チヌビン320(商品名):2-(3,5-ジ-t-ブ
チル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール チバスペシャルティーケミカルズ製、融点152℃、最
大紫外線吸収波長345nm UV03:チヌビン326(商品名):2-(3-t-ブチル-
5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリ
アゾール チバスペシャルティーケミカルズ製、融点137℃、最
大紫外線吸収波長353nm UV04:チヌビン328(商品名):2-(3,5-ジ-t-ア
ミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール チバスペシャルティーケミカルズ製、融点77℃、最大
紫外線吸収波長346nm UV05:チヌビン329(商品名):2-(2'-ヒドロキ
シ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール チバスペシャルティーケミカルズ製、融点102℃、最
大紫外線吸収波長340nm
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南部 仁成 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住化プ ラステック株式会社内 (72)発明者 中西 美都子 東京都中央区新川2丁目27番1号 住化プ ラステック株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA15X AA28X AA76 AC12 AE05 AF57 AH03 AH04 AH07 AH12 BA01 BB09 BC01 4J002 BB021 BB031 BB051 BB061 BB071 BB081 BB121 BB151 EE036 EE037 ET006 ET007 EU176 EU177 FD056 FD057 FD200 GC00 GG02 GL00 GN00 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィン系樹脂と0.1重量%以上の濃
    度で含有される少なくとも二種類の有機系紫外線吸収剤
    とからなり、該有機系紫外線吸収剤は各々、融点に関す
    る下記の条件を満たすことを特徴とするオレフィン系樹
    脂組成物。 (Mp2−70℃)≦Mp1≦(Mp2+70℃) [但し、Mp1は該オレフィン系樹脂組成物に0.1重
    量%以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤UV1
    の融点(℃)であり、Mp2はUV1以外の0.1重量%
    以上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤から選択さ
    れた紫外線吸収剤UV2の融点(℃)である。]
  2. 【請求項2】オレフィン系樹脂組成物に0.1重量%以
    上の濃度で含有される有機系紫外線吸収剤について、そ
    れらの合計重量をWtot、最も多量に含有される有機系
    紫外線吸収剤の重量をWmax、および各有機系紫外線吸
    収剤の含有量の平均値をW aveとしたときに、比(Wmax
    −Wave)/Wtotの値は0.3以下であることを特徴と
    する請求項1に記載のオレフィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】少なくとも一つの有機系紫外線吸収剤の最
    大紫外線吸収波長は320〜400nmの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン
    系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】有機系紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾー
    ル系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のオレフィン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレ
    フィン系樹脂組成物を用いてなる紫外線遮断性樹脂成形
    品。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレ
    フィン系樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有する
    紫外線遮断性フィルム。
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