JP2002178805A - 座席シート - Google Patents

座席シート

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JP2002178805A
JP2002178805A JP2001311357A JP2001311357A JP2002178805A JP 2002178805 A JP2002178805 A JP 2002178805A JP 2001311357 A JP2001311357 A JP 2001311357A JP 2001311357 A JP2001311357 A JP 2001311357A JP 2002178805 A JP2002178805 A JP 2002178805A
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seat
centering spring
retainer
side member
clutch
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Application number
JP2001311357A
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English (en)
Inventor
Masahiro Kurita
昌弘 栗田
Masahiro Kawai
正浩 川合
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NTN Corp
Shiroki Corp
Original Assignee
NTN Corp
Shiroki Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Publication date
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  • Chair Legs, Seat Parts, And Backrests (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチ部に装備されるセンタリングバネと
その周辺部との干渉を回避しつつ、コンパクト化および
設計自由度の向上を図る。 【解決手段】 センタリングバネ12を、複数巻きのねじ
りコイルバネで構成し、自然状態での各巻き中心を、組
付け状態での保持器11の作動量(相対回転角)の増大
に伴う各巻き中心の移行の方向と逆方向に偏位させる。
そして、センタリングバネ12の各巻き中心を、組付け
状態での保持器11の非作動時に、同心上に位置させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の乗員室等に装
備される座席シートに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の着座シートのシート高
さ調整装置では、着座シートからの荷重(シート自重お
よび着座者の体重等)を支持するためのブレーキ部を出
力側機構に設け、このブレーキ部の入力軸に操作部材か
ら正方向または逆方向の入力トルクを入力することによ
って着座シートの高さ調整を行うと共に、操作部材を開
放した状態での着座シートの位置をブレーキ部で保持す
ることによって上記の保持機能を実現している。
【0003】この種の装置は、取付けスペースの制約、
操作性、あるいは商品価値等を勘案すれば、コンパクト
化を図ることが好ましい。そこで、本出願人は、先の特
許出願(特願2000−240213号)において、座
席シート調整装置に好適な機器として、入出力間のトル
ク伝達経路に介在する制御部材と入力側部材との間に第
1クラッチ部を設けると共に、回転が拘束される静止側
部材と出力側部材との間に第2クラッチ部を設け、この
2つのクラッチ部を一体的にユニット化してなるクラッ
チユニットを提案した。このクラッチユニットによれ
ば、上記の所要動作を確保した上でコンパクト化を図る
ことが期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記クラッ
チユニットの第1クラッチ部は、入力側部材と制御部材
との間に介在する係合子と、静止側部材に対する相対回
転を通じて係合子の係合・離脱を制御する保持器と、静
止側部材と保持器とを回転方向に連結するセンタリング
バネとを備えている。
【0005】上記センタリングバネとしては、図22に
示すように、複数回巻かれた巻き戻し型のねじりコイル
バネXaが一例として使用される。そして、このセンタ
リングバネXaの両端には係合部Xa1,Xa2が形成
され、同図に示す自然状態では、複数巻きの各巻き中心
が同心上に位置している。
【0006】このセンタリングバネXaが第1クラッチ
部に組付けられた場合には、同図(c)に示すように、
一対の係合部Xa1,Xa2が巻き戻し方向に押し広げ
られた状態で、保持器の係止部Xbと静止側部材の係止
部Xcとにそれぞれ係止している。この状態の下では、
センタリングバネXaの各巻き中心が上記の押し広げに
起因して順次偏位している。
【0007】このような状態から、同図(d)に示すよ
うに、保持器(係止部Xb)が静止側部材(係止部X
c)に対して相対回転した場合には、センタリングバネ
Xaの各巻き中心の偏位量が大きくなり、これに伴っ
て、例えば係合部Xa1の近傍が外径側に膨出して、入
力側部材Xd(操作部材側の外輪)に接触する惧れが生
じる。
【0008】この問題を回避するには、センタリングバ
ネXaの収容スペースを拡張する必要があるため、第1
クラッチ部の大型化につながることが推測される。
【0009】なお、これに対しては、図23に示すよう
な巻き締め型のセンタリングバネYaを使用することが
試みられている。しかしながら、このセンタリングバネ
Yaが第1クラッチ部に組付けられた場合には、同図
(b)に示すように、一対の係合部Ya1,Ya2が巻
き締め方向に押し広げられた状態で、保持器の係止部Y
bと静止側部材の係止部Ycとに係止するため、センタ
リングバネYaが縮径すると同時に、各巻き中心が上記
の押し広げに起因して順次偏位する。
【0010】このような状態から保持器が相対回転した
場合には、センタリングバネYaがさらに縮径すると同
時に、各巻き中心の偏位量が大きくなり、センタリング
バネYaが保持器を締め付ける惧れが生じ、期待するク
ラッチ機能が得られなくなる場合がある。この問題を回
避するには、上記の場合と同様に、第1クラッチ部を拡
張せねばならず、クラッチユニットのコンパクト化に対
する支障や、その設計範囲の狭まりが懸念される。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、クラッチ部におけるセンタリングバネの構造に
改良を加えることにより、センタリングバネとその周辺
部との干渉を回避しつつ、クラッチユニット、ひいては
座席シートのコンパクト化および設計自由度の向上を図
ることを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を達成す
るため、本発明は、着座シートと、背もたれシートと、
座席シート調整装置とを有する座席シートにおいて、座
席シート調整装置は、その操作レバーと回動部材との間
に介装されるクラッチユニットを有し、クラッチユニッ
トは、操作レバーに結合される入力側部材と、回動部材
に連結される出力側部材と、入力側部材と出力側部材と
の間のトルク伝達経路の途中に設けられたクラッチ部
と、クラッチ部に設けられた係合子の係合・離脱を制御
する保持器と、保持器をセンタリングするセンタリング
バネとを備え、センタリングバネは、複数巻きのねじり
コイルバネで構成され、自然状態での各巻き中心が、組
付け状態での保持器の作動量の増大に伴う各巻き中心の
移行の方向と逆方向に偏位していることに特徴づけられ
る。このような構成によれば、複数巻きのねじりコイル
バネで構成されたセンタリングバネがクラッチ部に組付
けられた状態で、保持器が作動(相対回転)した場合に
は、その作動量(相対回転角)の増大に伴ってセンタリ
ングバネの各巻き中心が所定方向に移行する。この場
合、センタリングバネは、自然状態での各巻き中心が上
記所定方向とは逆方向に偏位しているので、保持器の作
動時にはその偏位に対応した分だけ各巻き中心の偏位量
が小さくなる。これにより、クラッチ部におけるセンタ
リングバネの収容スペースを小径にすることが可能とな
り、クラッチユニット、ひいては座席シートのコンパク
ト化が図られると共に、その設計自由度が高められる。
【0013】上記の構成は、クラッチ部が、入力側部材
および出力側部材の相互間のトルク伝達経路に介在する
制御部材と入力側部材との間に設けられる第1クラッチ
部と、回転が拘束される静止側部材と出力側部材との間
に設けられる第2クラッチ部とを備え、入力側部材から
の入力トルクを第1クラッチ部および制御部材を介して
出力側部材に伝達し、出力側部材からの逆入力トルクを
第2クラッチ部を介して静止側部材との間でロックする
ように構成し、第1クラッチ部に、係合子、保持器、お
よびセンタリングバネを配設し、係合子が、入力側部材
と制御部材との間に介在し、保持器が、静止側部材に対
する相対回転作動を通じて係合子の係合・離脱を制御
し、センタリングバネが、静止側部材と保持器とを回転
方向に連結しているクラッチユニットに適用することが
できる。このようにすれば、第1クラッチ部におけるセ
ンタリングバネの収容スペースを小径にでき、クラッチ
ユニット全体、ひいては座席シートのコンパクト化につ
ながると共に、設計自由度の向上にも寄与できる。
【0014】上記センタリングバネの各巻き中心は、組
付け状態での保持器の非作動時に、同心上に位置してい
ることが好ましい。このようにすれば、保持器の作動方
向(相対回転方向)が正逆何れであっても、センタリン
グバネの各巻き中心は双方に対して均等に偏位すること
になり、偏位量の小量化が効率良く行われる。
【0015】上記センタリングバネとしては、巻き戻し
型のバネを使用することが好ましい。このようにすれ
ば、センタリングバネが縮径することはないので、保持
器の外径側に小径のセンタリングバネを配設した場合で
あっても、センタリングバネが保持器を締め付けてクラ
ッチ機能を阻害することはなく、これによりセンタリン
グバネの小径化が図られる。
【0016】また、上記センタリングバネの断面形状
は、非丸形であることが好ましい。すなわち、同一の内
外径であっても、丸形よりも大きなバネ剛性が得られる
非丸形とすることにより、例えば入力側部材に取付けら
れる操作レバーを充分な強度で水平位置に保持できる。
特に、センタリングバネの断面形状を矩形とすることに
より、同一の内径および幅であっても、外径を変更する
だけでねじりトルクの変更を行うことができ、必要なね
じりトルクの設定変更に対して柔軟な対応が可能とな
る。
【0017】さらに、上記センタリングバネは、線間に
隙間を設けて巻かれた所謂ピッチ巻きバネであることが
好ましい。すなわち、線間に隙間が存在しない所謂密着
ばねを使用した場合には、線間に生じる摩擦損失によっ
て所要のねじり力や戻り力が得られないことになるが、
ピッチ巻きバネを使用することによって、このような不
具合を回避できる。
【0018】上記の座席シート調整装置には、着座シー
トの高さを調整するシート高さ調整装置、背もたれシー
トの傾斜を調整するシート傾斜調整装置、着座シートの
前後位置を調整するシートスライド調整装置が含まれる
が、本発明は、着座シートのシート高さ調整装置に特に
好適である。この構成によれば、着座シートの高さ調整
を操作レバーの揺動操作によって行うことが可能になる
ので、従来装置に比べて操作上の利便性が増すと同時
に、車体や座席シートの設計自由度を高めることがで
き、特に小型車や大衆車のシート高さ調整装置に極めて
有用である。上記のシート高さ調整装置は、着座シート
をスライド可動部材に対して昇降自在に支持する四節リ
ンク機構と、着座シートに回動自在に枢着され、四節リ
ンク機構にリンク部材を介して連結されるセクターギヤ
と、クラッチユニットの出力側部材に連結され、セクタ
ーギヤと噛合するピニオンギヤとを備えたものとするこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
従って説明する。
【0020】図1は、本発明の実施形態に係る自動車の
座席シートのシート高さ調整装置(31:図19及び図
20参照)に組み込まれるクラッチユニットの全体構成
を示している。このクラッチユニットは、入力側部材と
しての外輪1と、出力側部材としての出力軸2と、制御
部材としての内輪3と、静止側部材としての外輪4と、
外輪1と内輪3との間に設けられた第1クラッチ部5
と、外輪4と出力軸2との間に設けられた第2クラッチ
部6とを主要な要素として構成される。
【0021】図2は、入力側部材としての外輪1を示し
ている。外輪1の外周には、外径側に突出した複数(例
えば3つ)のリブ1aと、複数(例えば4つ)のリブ1
bと、複数(例えば2つ)のリブ1eと、1つ又は複数
のリブ1fが円周方向に所定間隔で形成される。リブ1
aの軸方向一端側部分は外輪1の一端から軸方向に突出
して、突出部1a2を形成する。また、3つのリブ1a
のうち何れか1つ、例えば同図で上側に位置するリブ1
aの外周に、このクラッチユニットを相手側部材に取付
ける際の方向識別に用いる識別マーク1a1が設けられ
ている。この実施形態において、識別マーク1a1は軸
方向溝の形態をなしている。これらリブ1a、1b、1
eおよび1fは、外輪1の外周に装着される操作レバー
(13:図8、図9参照)と回転方向に係合して、操作
レバー(13)の外輪1に対する相対回転を防止する。
【0022】リブ1bには、軸方向のねじ孔1b1が形
成される。操作レバー(13)の外輪1に対する軸方向
相対移動は、リブ1bのねじ穴1b1に操作レバー(1
3)をねじ結合することによって防止される。図9に示
すように、この実施形態では、右ハンドル車や左ハンド
ル車、車体や座席シートの設計等に応じて、クラッチユ
ニットおよび操作レバー(13)を座席シートの左右い
ずれの側にも配置可能とするため、外輪1を同図におけ
るY軸に対して左右対称形状にして、操作レバー(1
3)を左右いずれの向きにも装着できるようにしてい
る。この場合、操作レバー(13)の操作トルクは主に
180°対向した位置にある2つのリブ1bのねじ結合
部分に作用するので、これらの2つのリブ1bにのみね
じ穴1b1を形成し、残りの2つのリブ1bにはねじ穴
1b1を加工する際の下穴(貫通穴)をそのまま残して
おいても良い。これにより、ねじ穴加工の加工コストを
低減することができる。例えば、操作レバー(13)を
同図で右向きに装着する場合(実線)は、同図でY軸に
対して右方向に傾斜した傾斜線上に位置する2つのリブ
1bにねじ穴1b1を形成し、左方向に傾斜した傾斜線
上に位置する2つのリブ1bは下穴1b1’にする。操
作レバー(13)を同図で右向きに装着する場合(2点
鎖線)は、上記とは逆にする。勿論、4つのリブ1bに
全てねじ穴1b1を形成しても良い。
【0023】突出部1a2の内周には、後述する第1ク
ラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図11参
照)が収容される。また、突出部1a2が後述する外輪
(4:図5参照)のストッパ部(4a1)と回転方向に
係合することによって、外輪1の回動範囲が規制され
る。
【0024】外輪1の他端部内周には、内径側に延びた
鍔部1cが形成される。この鍔部1cは、後述する第1
クラッチ部(5)の保持器(11:図1、図10参照)
を軸方向の一方に抜け止め規制すると共に、外輪1の内
輪3に対する同軸性を保持する役割を持つ。また、外輪
1の内周には、複数(例えば10個)のカム面1dが円
周方向に等間隔で形成される。各カム面1dは、円周方
向中央部が深く、そこから円周方向両側に向かって傾斜
状に浅くなっている。
【0025】外輪1は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、外輪1を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、少
なくともカム面1dにおける表層部の表面硬さを57〜
62HRCに調整している。ここで、HRCはロックウ
ェル硬さのCスケールを表している。なお、外輪1は、
鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス
成形品とすることもできる。
【0026】図3は、出力側部材としての出力軸2を示
している。出力軸2は、一端側にジャーナル部2a、中
央側に大径部2b、他端側に連結部2cを備えている。
ジャーナル部2aは、後述する内輪(3:図4参照)の
ラジアル軸受面(3a1)に挿入される。大径部2bの
外周には、複数(例えば8つ)のカム面2b1が円周方
向に等間隔で形成される。各カム面2b1は、出力軸2
の軸心を中心とする円に対して弦をなす平坦面状に形成
される。また、大径部2bの一端側部分には軸方向の複
数(例えば8つ)のピン孔2b3が円周所定間隔に形成
される。これらピン孔2b3には後述する内輪(3:図
4参照)のピン(3b1)が挿入される。また、大径部
2bの他端側部分には環状凹部2b4が形成される。こ
の環状凹部2b4には後述する摩擦部材(9:図7参
照)が装着され、また、環状凹部2b4の内周壁2b5
は、後述する固定側板(7:図6参照)のラジアル軸受
面(7e2)に挿入されるジャーナル面になる。連結部
2cには、他の回動部材を連結するための歯型2c1が
形成される。
【0027】出力軸2は、例えば、肌焼鋼、機械構造用
炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形さ
れ、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波
焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施
される。この実施形態では、出力軸2を形成する鋼材と
して肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)
を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行っ
て、表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整してい
る。なお、出力軸2は、鋼材の削出し品とすることもで
きる。
【0028】図4は、制御部材としての内輪3を示して
いる。内輪3は、筒状部3aと、筒状部3aの一端から
外径側に延びたフランジ部3bと、フランジ部3bの外
径端から軸方向の一方に延びた複数(例えば8本)の柱
部3cとを主体として構成される。筒状部3aは、出力
軸2のジャーナル部2aに外挿され、かつ、外輪1の内
部に内挿される。筒状部3aの他端側部分の内周には、
出力軸2のジャーナル部2aをラジアル方向に支持する
ラジアル軸受面3a1が形成され、筒状部3aの他端側
部分の外周には、外輪1のカム面1dとの間に正逆両回
転方向に楔隙間を形成する円周面3a2が形成される。
フランジ部3bには、軸方向の一方に突出した複数(例
えば8つ)のピン3b1が円周方向に所定間隔で形成さ
れる。これらピン3b1は、出力軸2のピン孔2b3に
それぞれ挿入される。また、円周方向に隣接した柱部3
c間には、軸方向の一方に向かって開口したポケット3
c1が形成され、これらポケット3c1に後述する第2
クラッチ部(6:図15参照)のローラ(20)と板ば
ね(21)が収容される。ローラ(20)と板ばね(2
1)を、ポケット3c1の軸方向の開口部から該ポケッ
ト3c1内に組み入れることができるので、組立作業が
容易である。
【0029】内輪3は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、内輪3を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表
層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。な
お、内輪3は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延
鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0030】図5は、静止側部材としての外輪4を示し
ている。外輪4は、半径方向に延びたフランジ部4a
と、フランジ部4aの外径端から軸方向の一方に延びた
筒状部4cと、筒状部4cの一端から外径側に突出した
鍔部4dとを主体として構成される。フランジ部4aに
は、軸方向の他方に突出した複数(例えば3つ)のスト
ッパ部4a1が円周方向に所定間隔で配列形成される。
これらストッパ部4a1は、外輪1の突出部1a2と回
転方向に係合して、外輪1の回動範囲を規制する。ま
た、フランジ部4aには、軸方向の他方に突出した一対
の係止部4a2と、複数(例えば2つ)の装着部4a3
とが形成される。一対の係止部4a2の円周方向外側面
には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバ
ネ(12:図11参照)の係合部(12a1、12a
2)がそれぞれ係止される。また、装着部4a3の外周
には、センタリングバネ(12)の巻き部(12a)が
装着される。
【0031】筒状部4cの内周には、出力軸2のカム面
2b1との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周
面4c1が形成される。鍔部4dには、複数(例えば6
つ)の切欠き部4d1が円周方向に所定間隔で形成され
る。切欠き部4d1は、後述する固定側板(7)の加締
部(7c:図6参照)と適合する。
【0032】外輪4は、例えば、肌焼鋼、機械構造用炭
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、外輪4を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表
層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。な
お、外輪4は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延
鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
【0033】図6は、外輪4に固定される固定側板7を
示している。固定側板7は、半径方向に延びたフランジ
部7aと、フランジ部7aの外径端から外径側に突出し
た複数(例えば4つ)のブラケット部7bと、フランジ
部7aの外径端から軸方向の一方に突出した複数(例え
ば6つ)の加締部7cと、フランジ部7aから軸方向の
一方に突出した複数(例えば4つ)の係止部7a1と、
フランジ部7aの内径端から軸方向の一方に突出したボ
ス部7eとを主体として構成される。4つのブラケット
部7bは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれに中
空ピン状の加締部7b1が一体(又は別体)に形成され
る。6つの加締部7cは円周方向に所定間隔で形成さ
れ、それぞれ、二股状に分岐した一対の爪部7c1を備
えている。この加締部7cを外輪4の切欠き部4d2に
装着し、一対の爪部7c1を円周方向の相反する方向に
加締めて鍔部4dに当接させることにより、外輪4の固
定側板7に対する軸方向相対移動および回転方向相対移
動を防止することができる。加締部7b1は、相手側部
材の取付け穴に加締固定される。
【0034】ボス部7eの内周には、ラジアル軸受面7
e2が形成される。ボス部7eは出力軸2の環状凹部2
b4に挿入され、ボス部7eの外周と環状凹部2b4の
外周壁との間に後述する摩擦部材(9:図7参照)が装
着される。係止部7a1は摩擦部材(9)の凹部(9
a)と回転方向に係合して、摩擦部材(9)の固定側板
7に対する相対回転を防止する。ボス部7eのラジアル
軸受面7e2は、環状凹部2b4のジャーナル面2b5
に外挿され、ジャーナル面2b5をラジアル方向に支持
する。
【0035】固定側板7は、例えば、冷間圧延鋼鈑等の
鋼鈑材からプレス加工によって成形される。この実施形
態では、固定側板7を形成する鋼板材として冷間圧延鋼
鈑(例えばSPCE)を使用している。また、加締部7
c及び7b1を加締加工する際の加工性等に配慮して、
熱処理は施していない。なお、加締部7c及び7b1等
の加締加工を行う部位に防炭処理(又は防炭防窒処理)
を施して、浸炭焼入れ焼戻し(又は浸炭窒化焼入れ焼戻
し)を行っても良い。
【0036】図7は、制動手段としての摩擦部材9を示
している。この実施形態において、摩擦部材9はリング
状のもので、その一方の端面には複数(例えば4つ)の
凹部9aが円周方向に所定間隔で形成される。凹部9a
は、固定側板7の係止部7a1と回転方向に係合して、
摩擦部材9の固定側板7に対する相対回転を防止する。
【0037】摩擦部材9は、ゴムや合成樹脂等の弾性材
料で形成され、例えば出力軸2の環状凹部2b4の外周
壁に締代をもって圧入される。摩擦部材9の外周と環状
凹部2b4の外周壁との間に生じる摩擦力によって、出
力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられ
る。この制動力(制動トルク)の大きさは、出力軸2に
入力される逆入力トルクの大きさを勘案して適宜設定す
れば良いが、逆入力トルクの還流現象を効果的に防止す
る観点から、想定される逆入力トルクと同程度の大きさ
に設定するのが好ましい。シート高さ調整装置の場合で
は、着座シートに着座者が着座した状態で出力軸2に作
用する逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが良
い。この実施形態のように、制動手段として摩擦部材9
を用いると、制動力を摩擦部材9の締代調整によって設
定し、また変更できるという利点がある。
【0038】摩擦部材9の材質は特に問わないが、この
実施形態では、摩擦部材9を合成樹脂材料、例えばポリ
アセタール(POM)にグラスファイバーを30重量%
配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0039】図8(図1のB−B断面)は、第1クラッ
チ部5を示している。第1クラッチ部5は、外輪1に設
けられた複数(例えば10個)のカム面1dと、内輪3
に設けられた円周面3a2と、カム面1dと円周面3a
2との間に介在する係合子としての複数(例えば9個)
のローラ10と、ローラ10を保持する保持器11と、
保持器11を外輪(4)に回転方向に連結する弾性部
材、例えばセンタリングバネ(12:図11参照)とを
主要な要素として構成される。カム面1d、円周面3a
2、及びローラ10によってロック手段が構成され、保
持器11およびセンタリングバネ(12)によって復帰
手段が構成される。この実施形態において、カム面1d
は円周面3a2との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成
する。また、外輪1には操作レバー13が結合され、操
作レバー13から外輪1に正方向又は逆方向の入力トル
クが入力される。また、外輪1の内周と内輪3(筒状部
3a)の外周との間の空間部、特にカム面1dと円周面
3a2との間にグリースが封入されている。
【0040】図10は、保持器11を示している。保持
器11は、ローラ10を収容する複数(例えば10個)
の窓形のポケット11aと、一方の端面から軸方向の一
方に突出した係止部11bを備えている。係止部11b
は例えば円弧状に形成され、外輪4の係止部4a2の内
周側に挿入される。また、係止部11bの円周方向両側
面11b1、11b2には、センタリングバネ(12:
図11参照)の係合部(12a1、12a2)がそれぞ
れ係止される。
【0041】保持器11の材質は特に問わないが、この
実施形態では、保持器11を合成樹脂材料、例えばポリ
アミド66(PA66)にグラスファイバーを30重量
%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
【0042】なお、この実施形態では、係止部11bの
円周方向側面11b1および11b2のうち一方と近接
するポケット11a’の軸方向寸法を他のポケット11
aよりも小さくしている。
【0043】図11は、センタリングバネ12を示して
いる。センタリングバネ12は、複数巻き(図例では略
3巻き)のねじりコイルバネであって、複数の巻き部1
2aの両端にそれぞれ内径側に屈曲する係合部12a
1,12a2が形成され、この一対の係合部12a1,
12a2は、円周方向に所定間隔で対向している。ま
た、このセンタリングバネ12は、断面形状が非丸形例
えば矩形の線材で形成され、この実施形態では、線材と
してピアノ線材(SWPB)を使用している。さらに、
このセンタリングバネ12は、自然状態から巻き戻して
使用される巻き戻し型のバネであると共に、同図(e)
に示すように巻き部12aの線間に隙間Sを設けて巻か
れた所謂ピッチ巻きバネである。このように、巻き部1
2aの線間に隙間Sを設けることにより、線間の接触に
よる摩擦損失が回避される。
【0044】同図(b)に示すように、センタリングバ
ネ12が自然状態にある時には、複数巻きの各巻き中心
が、巻き戻し変形に伴う各巻き中心の移行の方向と逆方
向に偏位している。換言すれば、センタリングバネ12
の巻き部12aの各巻き中心は、後述する組付け状態で
保持器11の外輪4に対する相対回転角が増大した際に
各巻き中心が移行する方向と逆方向に偏位している。そ
して、このセンタリングバネ12を第1クラッチ部5に
組付ける場合には、同図(c)に示すように、一対の係
合部12a1,12a2間の間隔を円周方向に押し広げ
た状態で(この時、センタリングバネ12は巻き戻され
て若干拡径する)、この一対の係合部12a1,12a
2を保持器11の係止部11bおよび外輪4の係止部4
a2に係止させる。これにより、保持器11がセンタリ
ングバネ12を介して外輪4に回転方向に連結される。
この時点において、センタリングバネ12の各巻き中心
は、同心上に位置している。
【0045】このような状態から、同図(d)に示すよ
うに、保持器11が例えば外輪4に対して時計方向に相
対回転した場合には、センタリングバネ12の時計方向
(回転方向前方)の係合部12a1が保持器11の係止
部11bに押されて時計方向に弾性変位する。この時点
において、センタリングバネ12の反時計方向(回転方
向後方)の係合部12a2は、外輪4の係止部4a2に
係止されている。これにより、センタリングバネ12
は、一対の係合部12a1,12a2間の間隔が押し広
げられる方向(拡径する方向)に撓み、その撓み量に応
じた弾性力が蓄積される。この場合、センタリングバネ
12の各巻き中心は、保持器11の相対回転角の増大に
伴って移行するが、保持器11の非相対回転時には各巻
き中心が同心上に位置しているため、保持器11が所定
角度相対回転した場合の各巻き中心の偏位量は僅かな量
となる。この後、保持器11に作用する回動力が解除さ
れたされた場合には、センタリングバネ12の弾性力に
よって、保持器11(係止部11b)が同図(c)に示
す中立位置にセンタリングされる。なお、保持器11が
同図(c)に示す状態から反時計方向に相対回転した場
合には、センタリングバネ12の反時計方向の係合部1
2a2が保持器11の係止部11bに押されて反時計方
向に弾性変位し、上記とは逆の動作によってセンタリン
グバネ12に弾性力が蓄積される。
【0046】以上のように、保持器11の相対回転時に
おけるセンタリングバネ12の各巻き中心の偏位量が小
さくなることにより、入力側部材としての外輪1の突出
部1a2との干渉が生じなくなる。この結果、上記セン
タリングバネ12を有する第1クラッチ部5が内蔵され
たクラッチユニットの設計自由度が増すと共に、クラッ
チユニットのコンパクト化を図ることが可能となる。
【0047】なお、センタリングバネ12における上記
の構造は、巻き締め型のバネについても適用可能であ
る。すなわち、既述の図23(a)に示す自然状態での
巻き締め型センタリングバネYaの各巻き中心を、組付
け状態での保持器の相対回転角の増大による各巻き中心
の移行の方向と逆方向に偏位させる。そして、既述の図
23(b)に示す組付け状態での保持器(係止部Yb)
の非相対回転時に、センタリングバネYaの各巻き中心
を同心上に位置させる。この場合には、センタリングバ
ネYaの内径を、縮径によって保持器との干渉が生じな
い寸法に設定しておく必要がある。
【0048】以上のようなセンタリングバネ12(Y
a)の構造は、この実施形態のように第1クラッチ部5
と第2クラッチ部6との2つのクラッチ部を備えたクラ
ッチユニットに限らず、単一のクラッチ部を有するクラ
ッチユニットについても同様にして適用できる。
【0049】次に、図12〜図14を参照しながら、第
1クラッチ部5の作用について説明する。なお、図12
〜図14において、センタリングバネ12および外輪4
は模式化され、概念的に示されている。また、操作レバ
ー13も記載が省略されている。
【0050】図12は、第1クラッチ部5の中立位置を
示している(図8に示す状態)。中立位置において、ロ
ーラ10はカム面1dの中央部に位置し、カム面1dと
円周面3a2との間に形成される正逆両回転方向の楔隙
間からそれぞれ離脱する。ローラ10の直径は、カム面
1dの中央部と円周面3a2との間の半径方向距離より
も若干小さく設定されており、ローラ10とカム面1d
の中央部および円周面3a2との間には半径方向隙間が
ある。なお、後述するように、出力軸2から入力される
逆入力トルクは第2クラッチ部6で正逆両回転方向にロ
ックされる。従って、内輪3は、操作レバー13(外輪
1)から入力される入力トルクに対してのみ回動動作を
行い、出力軸2から逆入力トルクが入力されても回動せ
ず、その位置を保持する。
【0051】図13は、操作レバー13を揺動操作し
て、外輪1に入力トルクを入力した時の状態を示してい
る。例えば、同図において、外輪1に反時計方向の入力
トルクが入力されると、外輪1の回動に伴い、カム面1
dがローラ10に対して反時計方向に相対移動して、ロ
ーラ10がその方向の楔隙間に楔係合する。これによ
り、外輪1からの入力トルクがローラ10を介して内輪
3に伝達され、外輪1、ローラ10、保持器11、およ
び内輪3が一体となって反時計方向に回動する。そし
て、保持器11の回動に伴ってセンタリングバネ12が
撓み、その撓み量に応じた弾性力fが蓄積される。な
お、外輪1の回動量の最大範囲は、外輪1の突出部1a
2と外輪4のストッパ部4a1との係合によって規制さ
れる。
【0052】図14は、図13に示す状態から操作レバ
ー13(外輪1)を開放した時の状態を示している。セ
ンタリングバネ12に蓄積された弾性力fによって、保
持器11に時計方向の回動力が働き、ローラ10が保持
器11に押されてカム面1dを押圧する。そうすると、
外輪1が開放されているので、ローラ10、保持器1
1、および外輪1が内輪3に対して時計方向に空転し
て、図12に示す中立位置に復帰する。その際、内輪3
は、図13の回動操作によって与えられた回動位置をそ
のまま維持する。従って、図13の回動操作を繰り返し
行った場合では、内輪3に各回動操作ごとの回動量が重
畳的に蓄積される。なお、図12において、外輪1に時
計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の
動作を行う。
【0053】図15(図1のA−A断面)は、第2クラ
ッチ部6を示している。第2クラッチ部6は、外輪4に
設けられた円周面4c1と、出力軸2に設けられた複数
(例えば8つ)のカム面2b1と、各カム面2b1と円
周面4c1との間に介在する係合子としての一対(例え
ば総数8対)のローラ20と、一対のローラ20間に介
在する弾性部材、例えば断面N字形の板バネ21と、内
輪3の柱部3cと、内輪3のピン3b1および出力軸2
のピン孔2b3とを主要な要素として構成される。カム
面2b1、円周面4c1、一対のローラ20、および板
ばね21によってロック手段が構成され、一対のローラ
20の円周方向両側に位置する内輪3の柱部3cによっ
てロック解除手段が構成され、内輪3のピン3b1およ
び出力軸2のピン孔2b3によってトルク伝達手段が構
成される。なお、この実施形態において、板バネ21は
ステンレス鋼(例えばSUS301CPS−H)で形成
し、熱処理としてテンパー処理を施している。また、外
輪4の内周と出力軸2(大径部2b)の外周との間の空
間部、特にカム面2b1と円周面4c1との間にグリー
スが封入されている。
【0054】図16に拡大して示すように、中立位置に
おいて、一対のローラ20は板ばね21によって、それ
ぞれ、カム面2b1と円周面4c1との間に形成される
正逆両回転方向の楔隙間の方向に押圧される。この時、
内輪3の各柱部3cと各ローラ20との間にはそれぞれ
回転方向隙間δ1が存在する。また、内輪3のピン3b
1と出力軸2のピン孔2b3との間には正逆両回転方向
にそれぞれ回転方向隙間δ2が存在する。回転方向隙間
δ1と回転方向隙間δ2とは、δ1<δ2の関係を有す
る。回転方向隙間δ1の大きさは、例えば0〜0.4m
m(第2クラッチ部6の軸心を中心として0〜1.5
°)程度、回転方向隙間δ2の大きさは、例えば0.4
〜0.8mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として
1.8〜3.7°)程度である。
【0055】同図に示す状態で、例えば、出力軸2に時
計方向の逆入力トルクが入力されると、反時計方向(回
転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合
して、出力軸2が外輪4に対して時計方向にロックされ
る。出力軸2に反時計方向の逆入力トルクが入力される
と、時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向
の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して反時
計方向にロックされる。従って、出力軸2からの逆入力
トルクは、第2クラッチ部6によって正逆両回転方向に
ロックされる。
【0056】図17は、外輪1からの入力トルク(同図
で時計方向)が第1クラッチ部5を介して内輪3に入力
され、内輪3が同図で時計方向に回動を始めた初期状態
を示している。回転方向隙間がδ1<δ2に設定されて
いるため、先ず、内輪3の反時計方向(回転方向後方)
の柱部3cがその方向(回転方向後方)のローラ20と
係合して、これを板ばね21の弾性力に抗して時計方向
(回転方向前方)に押圧する。これにより、反時計方向
(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間から
離脱して、出力軸2のロック状態が解除される。従っ
て、出力軸2は時計方向に回動可能となる。内輪3がさ
らに時計方向に回動すると、図18に示すように、内輪
3のピン3b1が出力軸2のピン孔2b3と時計方向に
係合する。これにより、内輪3からの時計方向の入力ト
ルクがピン3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2
に伝達され、出力軸2が時計方向に回動する。外輪1に
反時計方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは
逆の動作で出力軸2が反時計方向に回動する。従って、
外輪1からの正逆両回転方向の入力トルクは、第1クラ
ッチ部5、内輪3、およびトルク伝達手段としてのピン
3b1およびピン孔2b3を介して出力軸2に伝達さ
れ、出力軸2が正逆両回転方向に回動する。なお、内輪
3からの入力トルクがなくなると、板ばね21の弾性復
元力によって図16に示す中立位置に復帰する。
【0057】上述した外輪1、出力軸2、内輪3、外輪
4、第1クラッチ部5、第2クラッチ部6、固定側板7
および摩擦部材9を図1に示す態様でアッセンブリする
と、この実施形態のクラッチユニットが完成する。外輪
1には例えば樹脂製の操作レバー(13)が結合され、
出力軸2は図示されていない出力側機構の回動部材に連
結される。また、固定側板7は図示されていないケーシ
ング等の固定部材に加締部7b1で加締固定される。な
お、外輪1は、鍔部1cの外側に装着されたワッシャ
(又はナット)18と外輪4のフランジ部4aとの間で
軸方向の両側に抜け止め規制される。
【0058】第1クラッチ部5において、センタリング
バネ12は外輪1の突出部1a2の内周に収容され、外
輪1の一方の端面と外輪4のフランジ部4aとの間で軸
方向の両側に抜け止め規制される。また、保持器11お
よびローラ10は、外輪1の鍔部1cと外輪4のフラン
ジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。
第1クラッチ部5の保持器11、ローラ10、およびセ
ンタリングバネ12が外輪1の内部に収容されており、
入力側部分に突出した部分がない。また、保持器11が
内輪3の円周面3a2に外挿され、保持器11の回動が
内輪3の円周面3a2によって案内されるので、回動時
の保持器11の傾きがなく、円滑なクラッチ動作が可能
である。
【0059】第2クラッチ部6は、外輪4と固定側板7
とで囲まれた空間部に径方向および軸方向にコンパクト
に収められている。また、ロック解除手段としての柱部
3cと、トルク伝達手段としてのピン3b1が内輪3に
一体に設けられているので、部品点数が少なく、構造も
簡単である。また、柱部3c間のポケット3c1が軸方
向の一方(側板7側)に開口した形状であるため、出力
軸2、内輪3、外輪4等をアッセンブリした後、ローラ
20と板ばね21を、ポケット3c1の軸方向の開口部
から該ポケット3c1内に組み入れることができ、組立
作業が容易である。
【0060】さらに、出力軸2を内輪3のラジアル軸受
面3a1と固定側板7のラジアル軸受面7e2によって
両持ち的に支持する構造であるため、出力軸2の回動動
作が安定し、しかも第1クラッチ部5および第2クラッ
チ部6に偏荷重が作用しにくく、円滑なクラッチ動作が
可能である。
【0061】図19は、自動車の乗員室に装備される座
席シート30を示している。座席シート30は着座シー
ト30aと背もたれシート30bとで構成され、着座シ
ート30aの高さHを調整するシート高さ調整装置3
1、背もたれシート30bの傾斜θを調整するシート傾
斜調整装置32、および着座シート30aの前後位置L
を調整するシートスライド調整装置(図示省略)を備え
ている。着座シート30aの高さHの調整はシート高さ
調整装置31の操作レバー31aによって行い、背もた
れシート30bの傾斜θの調整はシート傾斜調整装置3
2の操作レバー32aによって行い、着座シート30a
の前後位置Lの調整はシートスライド調整装置の操作レ
バー(図示省略)によって行う。上述した実施形態のク
ラッチユニットは、例えばシート高さ調整装置31に組
込まれる。
【0062】図20(a)は、シート高さ調整装置31
の一構造例を概念的に示している。シートスライドアジ
ャスタ31bのスライド可動部材31b1にリンク部材
31c、31dの一端がそれぞれ回動自在に枢着され
る。リンク部材31cの他端はリンク部材31eを介し
てセクターギヤ31fに回動自在に枢着される。セクタ
ーギヤ31fは着座シート30aに回動自在に枢着さ
れ、支点31f1回りに揺動可能である。リンク部材3
1dの他端は着座シート30aに回動自在に枢着され
る。上述した実施形態のクラッチユニットXは、固定側
板7を介して着座シート30aの適宜の部位に固定さ
れ、その外輪1に例えば樹脂製の操作レバー31a(図
8、図9における操作レバー13に相当)が結合され、
出力軸2にセクターギヤ31fと噛合するピニオンギヤ
31gが連結される。
【0063】例えば、図20(b)において、操作レバ
ー31aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その
方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオ
ンギヤ31gに伝達され、ピニオンギヤ31gが反時計
方向に回動する。そして、ピニオンギヤ31gと噛合す
るセクターギヤ31fが時計方向に揺動して、リンク部
材31cの他端をリンク部材31eを介して引っ張る。
その結果、リンク部材31cとリンク部材31dが共に
起立して、着座シート30aの座面が高くなる。このよ
うにして、着座シート30aの高さHを調整した後、操
作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが第1
クラッチ部5のセンタリングバネ12の弾性力(弾性復
元力)によって時計方向に回動して元の位置(中立位
置)に戻る。なお、操作レバー31aを時計方向(下
側)に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によっ
て、着座シート31aの座面が低くなる。また、高さ調
整後に操作レバー31aを開放すると、操作レバー31
aが反時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻
る。
【0064】上記構成のシート高さ調整装置31によれ
ば、操作レバー31aの揺動操作のみで着座シート30
aの高さHを調整することができ、しかも、高さ調整後
の着座シート30aの高さ位置を自動的に保持すること
ができる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放
すると、操作レバー31aを中立位置に自動復帰させる
ことができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェ
ット機構のような騒音発生の問題も生じない。さらに、
摩擦部材9によって出力軸2に回転方向の制動力を与え
ているので、操作レバー31aの操作時における逆入力
トルクの還流現象がなく(又は少なく)、安定した調整
操作が可能である。
【0065】なお、上述した実施形態のクラッチユニッ
トにおける内輪3に代えて、図21に示す内輪3’を使
用しても良い。同図に示す内輪3’は、筒状部3aと、
それ以外の部分(フランジ部3b、柱部3c、及びピン
3b1からなる部分)とを別体構造とし、両部分をロー
付け等の適宜の固着手段で固着したものである。一体構
造の内輪3に比べ、比較的低コストでかつ精度良く製造
できるという利点がある。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、複数巻き
のねじりコイルバネで構成されたセンタリングバネの自
然状態での各巻き中心が、組み付け状態で保持器の作動
量が増大した際に各巻き中心が移行する方向と逆方向に
偏位していることから、保持器の作動時における各巻き
中心の偏位量が、自然状態での偏位量に対応する分だけ
少なくなり、センタリングバネとその周辺部との干渉が
生じ難くなる。この結果、クラッチ部の小径化が図ら
れ、クラッチユニット、ひいては座席シートのコンパク
ト化が図られると共に、設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に実施形態に係るクラッチユニットを示
す縦断面図である。
【図2】図2(a)は外輪(入力側部材)の縦断面図、
図2(b)はその背面図である。
【図3】図3(a)は出力軸(出力部材)の縦断面図、
図3(b)はその正面図である。
【図4】図4(a)は内輪(制御部材)の正面図、図4
(b)はその縦断面図、図4(c)はその要部拡大図で
ある。
【図5】図5(a)は外輪(静止側部材)の正面図、図
5(b)はその縦断面図である。
【図6】図6(a)は固定側板の縦断面図、図6(b)
はその正面図である。
【図7】図7(a)は摩擦部材(制動手段)の縦断面
図、図7(b)はその正面図である。
【図8】第1クラッチ部を示す図1のB−B断面図であ
る。
【図9】操作レバーを示す正面図である。
【図10】図10(a)は保持器を示す縦断正面図、図
10(b)はその縦断側面図、図10(c)はその背面
図である。
【図11】図11(a)はセンタリングバネの自然状態
を示す側面図、図11(b)はその自然状態を示す正面
図、図11(c)はその組付け状態を示す正面図、図1
1(d)はその作用を示す正面図、図11(e)はその
要部拡大側面図である。
【図12】第1クラッチ部の作用を示す概念図である
(中立位置)。
【図13】第1クラッチ部の作用を示す概念図である
(トルク伝達時)。
【図14】第1クラッチ部の作用を示す概念図である
(復帰時)。
【図15】第2クラッチ部を示す図1のA−A断面図で
ある。
【図16】第2クラッチ部の作用を示す部分拡大正面図
である(中立位置)。
【図17】第2クラッチ部の作用を示す部分拡大正面図
である(ロック解除時)。
【図18】第2クラッチ部の作用を示す部分拡大正面図
である(トルク伝達時)。
【図19】自動車の座席シートを示す概念図である。
【図20】図20(a)はシート高さ調整装置の一構造
例を示す概念図、図20(b)はその要部拡大図であ
る。
【図21】図21(a)は内輪(制御部材)の他の例を
示す背面図、図21(b)はその縦断面図である。
【図22】図22(a)は従来のセンタリングバネの自
然状態を示す側面図、図22(b)はその自然状態を示
す正面図、図22(c)はその組付け状態を示す正面
図、図22(d)はその作用を示す正面図である。
【図23】図23(a)は従来のセンタリングバネの自
然状態を示す正面図、図23(b)は、その組付け状態
を示す正面図である。
【符号の説明】
1 外輪(入力側部材) 2 出力軸(出力側部材) 3 内輪(制御部材) 4 外輪(静止側部材) 5 第1クラッチ部 6 第2クラッチ部 7 固定側板 11 保持器 12 センタリングバネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 41/08 F16D 41/08 Z (72)発明者 川合 正浩 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 エヌ ティエヌ株式会社内 Fターム(参考) 3B084 HA00 3B087 BA02 BA15 3B099 AA05 BA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着座シートと、背もたれシートと、座席
    シート調整装置とを有する座席シートにおいて、前記座
    席シート調整装置は、その操作レバーと回動部材との間
    に介装されるクラッチユニットを有し、前記クラッチユ
    ニットは、前記操作レバーに結合される入力側部材と、
    前記回動部材に連結される出力側部材と、前記入力側部
    材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路の途中に設
    けられたクラッチ部と、前記クラッチ部に設けられた係
    合子の係合・離脱を制御する保持器と、前記保持器をセ
    ンタリングするセンタリングバネとを備え、前記センタ
    リングバネは、複数巻きのねじりコイルバネで構成さ
    れ、自然状態での各巻き中心が、組付け状態での前記保
    持器の作動量の増大に伴う各巻き中心の移行の方向と逆
    方向に偏位していることを特徴とする座席シート。
  2. 【請求項2】 前記クラッチ部が、前記入力側部材およ
    び前記出力側部材の相互間のトルク伝達経路に介在する
    制御部材と前記入力側部材との間に設けられる第1クラ
    ッチ部と、回転が拘束される静止側部材と前記出力側部
    材との間に設けられる第2クラッチ部とを備え、 前記入力側部材からの入力トルクを前記第1クラッチ部
    および前記制御部材を介して前記出力側部材に伝達し、
    前記出力側部材からの逆入力トルクを前記第2クラッチ
    部を介して前記静止側部材との間でロックするように構
    成し、 前記第1クラッチ部に、前記係合子、前記保持器、およ
    び前記センタリングバネを配設し、 前記係合子が、前記入力側部材と前記制御部材との間に
    介在し、前記保持器が、前記静止側部材に対する相対回
    転作動を通じて前記係合子の係合・離脱を制御し、前記
    センタリングバネが、前記静止側部材と前記保持器とを
    回転方向に連結している請求項1に記載の座席シート。
  3. 【請求項3】 前記センタリングバネの各巻き中心が、
    組付け状態での前記保持器の非作動時に、同心上に位置
    している請求項1または2に記載の座席シート。
  4. 【請求項4】 前記センタリングバネは、巻き戻し型で
    ある請求項1〜3の何れかに記載の座席シート。
  5. 【請求項5】 前記センタリングバネは、線間に隙間を
    設けて巻かれている請求項1〜4の何れかに記載の座席
    シート。
  6. 【請求項6】 前記座席シート調整装置が、着座シート
    のシート高さ調整装置である請求項1〜5の何れかに記
    載の座席シート。
  7. 【請求項7】 前記シート高さ調整装置は、着座シート
    をスライド可動部材に対して昇降自在に支持する四節リ
    ンク機構と、前記着座シートに回動自在に枢着され、前
    記四節リンク機構にリンク部材を介して連結されるセク
    ターギヤと、前記クラッチユニットの出力側部材に連結
    され、前記セクターギヤと噛合するピニオンギヤとを備
    えている請求項6記載の座席シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008075772A (ja) * 2006-09-21 2008-04-03 Ntn Corp クラッチユニット
JP2011207253A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Imasen Electric Ind Co Ltd リクライニング装置
JP2011240204A (ja) * 2011-09-09 2011-12-01 Itoki Corp 椅子

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