JP2002175811A - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池Info
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Abstract
を得ることができるアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル
正極、およびその製造方法、ならびにそれを用いたアル
カリ蓄電池を提供する。 【解決手段】 導電性の支持体と支持体の表面に配置さ
れた活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル正極であって、活物質含有層が、水酸化ニッケル
を含む活物質粉末と、バインダーと、ジブチルジチオカ
ルバミン酸ニッケルとを含み、バインダーが、酸素の存
在によって酸化反応を起こす高分子からなる。
Description
非焼結式ニッケル正極、およびその製造方法、ならびに
それを用いたアルカリ蓄電池に関する。
電池用ニッケル正極には、大別して焼結式と非焼結式の
二つがある。後者の非焼結式ニッケル正極としては、多
孔度95%程度の発泡ニッケル基板に水酸化ニッケル粒
子を保持させたものが提案されている(たとえば、特開
昭50−36935号公報参照)。この非焼結式ニッケ
ル正極は、高容量のアルカリ蓄電池の正極として広く用
いられている。
タンフォームにニッケルメッキしたのち芯材であるウレ
タンを焼成して除去することによって作製されるため、
相当に高価となる。また、これらの基板は多孔度が90
%以上であるため、強度が弱くリード端子の取り付けが
非常に困難である。
ンドメタル等の2次元構造の基板は、機械的な穿孔法で
作製できるために安価であり、強度が強くリード端子の
取り付けが非常に容易である。しかしながら、3次元構
造をもたないために、活物質の脱落や剥離、利用率の低
下などの問題がある。
低化を抑制する目的で、支持体の両面に錐状突起を形成
した正極板が報告されている(実開平6−79065号
公報参照)。
で、活物質間同士の結着性、および導電性金属支持体と
活物質間との結着性を強化するためのバインダーとし
て、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEとい
う場合がある)を用いる方法も報告されている(特開平
11−25962号公報参照)。この方法では、正極中
のPTFEが3次元構造を形成することによって、活物
質が支持体から脱落することを防止する。また、この方
法では、一般的に、水酸化ニッケルを主成分とする活物
質粉末と、PTFEのディスパージョンとを混合して活
物質ペーストを作製し、導電性の金属支持体表面に塗着
し、これを乾燥・圧延して正極を形成する。
の結着性が十分ではなく、支持体と活物質粉末との結着
性をさらに向上させることが求められていた。そのた
め、PTFE以外のバインダーで、金属との結着性が高
いバインダーの研究が進められている。
対して安定なPTFEとは異なり、PTFE以外のバイ
ンダーには以下の技術的課題があった。
たは過充電状態になると、正極側から酸素発生が起こる
とともに、正極の電位が高くなる。そのため、従来検討
されてきたPTFE以外のバインダー(たとえば、ポリ
エチレンやポリエチレン誘導体など)では、酸化反応に
よってバインダーが低分子に分解してしまう。また、バ
インダーを構成する分子が不飽和結合を有する場合に
は、さらに炭酸ガスが発生する。バインダーが低分子に
分解すると支持体と活物質粉末との結着性が低下するこ
とになり、炭酸ガスが発生すると負極合金が腐食するこ
とになる。そのため、PTFE以外のバインダーを用い
た場合には、充放電サイクルを繰り返したときの電池容
量の低下が大きいという問題があった。
電サイクル特性が良好なアルカリ蓄電池を得ることがで
きるアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極、およびそ
の製造方法、ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池を提
供することを目的とする。
に、本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極
は、導電性の支持体と前記支持体の表面に配置された活
物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル
正極であって、前記活物質含有層が、水酸化ニッケルを
含む活物質粉末と、バインダーと、ジブチルジチオカル
バミン酸ニッケルとを含み、前記バインダーが、酸素の
存在によって酸化反応を起こす高分子からなることを特
徴とする。上記本発明のニッケル正極によれば、ジブチ
ルジチオカルバミン酸ニッケルがバインダーの酸化や分
解を抑制するため、PTFE以外のさまざまな高分子を
バインダーとして用いることができ、充放電サイクル特
性が良好なアルカリ蓄電池を製造できる。
子が不飽和結合を有するものでもよい。
ンダーが、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、および
スチレン−ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つ
を含んでもよい。
質含有層が、前記活物質粉末と前記バインダーと前記ジ
ブチルジチオカルバミン酸ニッケルとを、前記活物質粉
末:前記バインダー:前記ジブチルジチオカルバミン酸
ニッケル=100:X:Y(ただし、0.5≦X≦5.
0、0.01≦Y≦0.5)の質量比で含んでもよい。
ニッケル正極の製造方法は、導電性の支持体と前記支持
体の表面に配置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法であって、水酸
化ニッケルを含む活物質粉末と、酸素の存在によって酸
化反応を起こす高分子からなるバインダーと、ジブチル
ジチオカルバミン酸ニッケルとを含むペーストを作製す
る第1の工程と、前記支持体の表面に前記ペーストを塗
着して乾燥および圧延を行い前記活物質含有層を形成す
る第2の工程とを含むことを特徴とする。上記本発明の
製造方法によれば、本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式
ニッケル正極を容易に製造できる。
程は、前記バインダーと前記ジブチルジチオカルバミン
酸ニッケルとを混合して混合物を作製したのち、前記混
合物と前記活物質粉末とを混合する工程を含んでもよ
い。
ーが、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、およびスチ
レン−ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1つを含
んでもよい。
が、前記活物質粉末と前記バインダーと前記ジブチルジ
チオカルバミン酸ニッケルとを、前記活物質粉末:前記
バインダー:前記ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル
=100:X:Y(ただし、0.5≦X≦5.0、0.
01≦Y≦0.5)の質量比で含んでもよい。
程において、水に分散された平均粒径が0.1μm〜
1.0μmの範囲内のジブチルジチオカルバミン酸ニッ
ケル粉末を用いてもよい。
ニッケルを含む正極を備えるアルカリ蓄電池であって、
正極が、上記本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
ル正極であることを特徴とする。上記本発明のアルカリ
蓄電池によれば、充放電サイクル特性が良好なアルカリ
蓄電池が得られる。
て説明する。
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極(以下、ニッケ
ル正極という場合がある)について説明する。
と支持体の表面に配置された活物質含有層とを含む。
箔、無電解Ni箔、圧延Ni箔、表面にNiメッキを施
したFe箔などの金属箔(厚さがたとえば20μm〜1
00μmの範囲内)の表面に3次元的に錐状突起を形成
したものを用いることができる。
物質粉末と、バインダーと、ジブチルジチオカルバミン
酸ニッケル(NBC)とを含む。活物質粉末には、アル
カリ蓄電池に一般的に用いられている活物質の粉末、す
なわち水酸化ニッケルを主成分とする粉末を用いること
ができる。
末とを結着させる役割を果たす。本発明のバインダー
は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)以外の材
料からなる。具体的には、活物質含有層は、酸素の存在
によって酸化反応を起こす高分子からなるバインダーを
含む。上記高分子は、不飽和結合を有するものでもよ
い。より具体的には、バインダーとして、ポリエチレ
ン、ポリエチレン誘導体、およびスチレン−ブタジエン
ゴムから選ばれる少なくとも1つを含むバインダー、ま
たはこれらから選ばれる少なくとも1つからなるバイン
ダーを用いることができる。ポリエチレン誘導体には、
たとえば、クロロ−スルホン化ポリエチレンや、クロロ
ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデンを用いることがで
きる。これらの中でも、クロロ−スルホン化ポリエチレ
ンは、金属との結着性が高いため好ましい。
ルバミン酸ニッケルは、バインダーの酸化を防止する機
能を果たす。具体的には、ジブチルジチオカルバミン酸
ニッケルは、バインダーよりも優先的に、充電時に正極
側で発生する酸素と反応してバインダーの酸化を防止す
る。
ては、平均粒径が0.1μm〜1.0μmの範囲内の粉
末を用いることが好ましい。これによって、バインダー
とジブチルジチオカルバミン酸ニッケルとの接触面積を
大きくすることができ、バインダーの酸化を効率的に抑
制できる。
上記バインダーと上記ジブチルジチオカルバミン酸ニッ
ケルとを、活物質粉末:バインダー:ジブチルジチオカ
ルバミン酸ニッケル=100:X:Y(ただし、0.5
≦X≦5.0、0.01≦Y≦0.5)の質量比で含む
ことが好ましい。これによって、電池の特性を大きく低
下させることなく、導電性の支持体と活物質粉末との結
着性を十分なものとすることができ、且つバインダーの
酸化を防止できる。
質およびPTFE以外のものを含んでもよい(以下の実
施形態においても同様である)。たとえば、アルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル正極に一般的に用いられるコバ
ルト化合物や、イットリウム化合物、亜鉛化合物、マグ
ネシウム化合物、リチウム化合物などを含んでもよい。
ニッケル正極の製造方法について説明する。実施形態2
の製造方法は、導電性の支持体と支持体の表面に配置さ
れた活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル正極の製造方法である。実施形態2の製造方法に
よれば、実施形態1で説明した本発明のニッケル正極を
製造できる。
ニッケルを含む活物質粉末と、酸素の存在によって酸化
反応を起こす高分子からなるバインダーと、ジブチルジ
チオカルバミン酸ニッケルとを混合してこれらを含むペ
ーストを作製する(第1の工程)。
ジチオカルバミン酸ニッケルには、実施形態1で説明し
たものを用いることができる。
オカルバミン酸ニッケルとを混合してこれらが略均一に
分散された混合物を形成したのち、その混合物と活物質
粉末とを混合する工程を含むことが好ましい。バインダ
ーとジブチルジチオカルバミン酸ニッケルとを予め混合
することによって、両者を略均一に分散させることがで
き、バインダーの酸化を特に抑制できる。
ンダーとジブチルジチオカルバミン酸ニッケルとを、活
物質粉末:バインダー:ジブチルジチオカルバミン酸ニ
ッケル=100:X:Y(ただし、0.5≦X≦5.
0、0.01≦Y≦0.5)の質量比で含むことが好ま
しい。これによって、電池の特性を大きく低下させるこ
となく、導電性の支持体と活物質粉末との結着性を十分
なものとすることができるとともにバインダーの酸化を
防止できる。
オカルバミン酸ニッケルとして、水に分散された平均粒
径が0.1μm〜1.0μmの範囲内のジブチルジチオ
カルバミン酸ニッケル粉末を用いることが好ましい。こ
れによって、バインダーとジブチルジチオカルバミン酸
ニッケルとの接触面積を大きくすることができ、バイン
ダーの酸化を効率的に抑制できる。
表面に上記ペーストを塗着して乾燥および圧延を行い、
活物質含有層を形成する(第2の工程)。その後、必要
に応じて極板の切断およびリードの接続を行い、ニッケ
ル正極を得る。
アルカリ蓄電池について説明する。
封口されたケースと、ケースに封入された正極、負極、
セパレータ、および電解液とを少なくとも備える。
または実施形態2の製造方法で製造されたニッケル正極
を用いる。
解液には、アルカリ蓄電池に一般的に用いられているも
のを用いることができる。たとえば、負極には、水素吸
蔵合金を含む負極や、カドミウムを含む負極を用いるこ
とができる。セパレータには、スルホン化したポリプロ
ピレン不織布などを用いることができる。また、電解液
には、水酸化カリウムを主な溶質とした比重が1.3程
度の電解液を用いることができる。
発明のニッケル正極を用いているため、充放電サイクル
特性が良好で、大電流で放電した場合の放電容量が大き
いアルカリ蓄電池が得られる。
説明する。
方法で実施形態1のニッケル正極を作製した一例につい
て説明する。
ルトと亜鉛とを固溶させた水酸化ニッケル固溶体粒子
を、以下の公知の方法を用いて作製した。すなわち、硫
酸ニッケルを主な溶質とし、硫酸コバルトおよび硫酸亜
鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア水でp
Hを調整しながら水酸化ナトリウムを徐々に滴下し、球
状の水酸化ニッケル固溶体粒子を析出させた。次に、得
られた水酸化ニッケル固溶体粒子を水洗、乾燥して母粒
子とした。この粉末のレーザー回折式粒度計による平均
粒径は10μm、BET法による比表面積は12m2/
gであった。
微粒子は、以下の公知の方法によって作製した。すなわ
ち、水酸化ナトリウム水溶液中に、1mol/lの硫酸
コバルト水溶液を徐々に加え、35℃で水溶液のpHが
12を維持するように調整しながら攪拌して、水酸化コ
バルト微粒子(β型)を析出させた。この粒子は、SE
M像から観察される平均粒径が0.2μmであり、BE
T法によって測定した比表面積は25m2/gであっ
た。
記水酸化コバルト微粒子、CMC溶液(カルボキシメチ
ルセルロース溶液:固形分比1質量%)、バインダーで
あるクロロ−スルホン化ポリエチレン粉末の水分散ディ
スパージョン(固形分比:40質量%)、およびジブチ
ルジチオカルバミン酸ニッケル粉末の水分散ディスパー
ジョン(固形分比:40質量%)を用いて正極活物質ペ
ーストを作製した。ここで、クロロ−スルホン化ポリエ
チレン粉末には、平均粒子径が2μmのもの(具体的に
は、住友精化社製:CSM200)を用いた。また、ジ
ブチルジチオカルバミン酸ニッケル粉末には、平均粒径
が0.2μmのもの(具体的には、大内新興化学社製N
BCを遊星ボールミルを用いて粉砕したもの)を用い
た。
ロロ−スルホン化ポリエチレンのディスパージョン7.
5質量部(重量部)とジブチルジチオカルバミン酸ニッ
ケル0.53質量部とを、攪拌羽根によって十分混合
し、クロロ−スルホン化ポリエチレンとジブチルジチオ
カルバミン酸ニッケルとの混合ディスパージョンを作製
した。
ケル固溶体粒子100質量部と水酸化コバルト微粒子1
0質量部とを錬合機内に投入し、攪拌羽根によって十分
に混合した。続いて、混合を続けながらCMC溶液20
質量部を混合機内に徐々に滴下していき、さらに、上述
したクロロ−スルホン化ポリエチレンとジブチルジチオ
カルバミン酸ニッケルとの混合ディスパージョンを加え
て混練し、正極活物質ペーストを作製した。
ルからなる支持体に塗着した。支持体には、厚さ30μ
mのニッケル箔の両面から方形の貫通孔を形成して交互
に反対方向に錐状突起を形成し、加工後の厚さを250
μmとした支持体を用いた。
を、110℃の熱風で乾燥させた。こうして乾燥させた
極板を、110℃の圧延ロールを用いて熱ロールプレス
を行い、厚さ400μmに圧延した。このようにして、
支持体と支持体に支持された活物質含有層とを形成し
た。その後、切断加工とリードの溶接とを行い、本発明
に基づく正極板Aを作製した。
ルとして、上記水分散ディスパージョンの代わりに、水
を含まない粉末のジブチルジチオカルバミン酸ニッケル
(平均粒径:10μm)を用いて本発明の正極板Bを作
製した。なお、正極板Bは、ジブチルジチオカルバミン
酸ニッケルの形態を変えたことを除いて正極板Aと同様
の方法で作製した。
極板を作製した一例を説明する。
ケル固溶体粒子と水酸化コバルト微粒子とを作製した。
次に、この水酸化ニッケル固溶体粒子100質量部と水
酸化コバルト微粒子10質量部とを錬合機内に投入し、
攪拌羽根によって十分に混合した。続いて、混合を続け
ながらCMC溶液20質量部を混合機内に徐々に滴下し
ていき、さらにクロロ−スルホン化ポリエチレンの水分
散ディスパージョン7.5質量部を加えて、ジブチルジ
チオカルバミン酸ニッケルを含まない比較例の正極活物
質ペーストを作製した。この正極活物質ペーストを、実
施例で説明した導電性の支持体に塗着し、続いてこれを
110℃の熱風で乾燥させた。こうして乾燥させた極板
を、ロールプレスによって厚さ400μmに圧延し、切
断およびリードの溶接を行って比較例の正極板Cを作製
した。
た3種類の正極板A、B、およびCを用い、AAAサイ
ズで公称容量800mAhのニッケル水素蓄電池をそれ
ぞれ作製した。このとき、水素吸蔵合金を主体とした負
極と、親水化処理を施したポリプロピレンセパレータ
と、7N〜8Nの水酸化カリウムを主な溶質とした電解
液とを用いた。
=800mA)の充電レートで15時間充電し、0.2
Cの放電レートで4時間放電する充放電サイクルを2回
繰り返す初充放電を行った。その後、45℃で3日間の
エージング(負極合金の活性化促進)を行った。
水素蓄電池について、充放電サイクル特性を調べた。充
放電サイクルは、1Cの充電レートで−ΔV(ΔV=
0.01V)制御方式で充電した後、1Cの放電レート
で電池電圧が0.8Vに至るまで放電するという条件で
行った。このようにして得られた充放電サイクル特性
を、図1に示す。図1中、容量維持率とは、各サイクル
経過後の放電容量を、初充放電後の放電容量で除した値
である。各サイクル経過後の放電容量は、1Cの充電レ
ートで−ΔV(ΔV=0.01V)制御方式で15時間
充電した後、1Cの放電レートで電池電圧が0.8Vに
至るまで放電したときの容量である。
カルバミン酸ニッケルを含む本発明の正極板AおよびB
を用いて作製したアルカリ蓄電池は、比較例の正極板C
を用いて作製したアルカリ蓄電池に比べて、サイクルの
経過に伴う容量の減少が小さかった。これは、ジブチル
ジチオカルバミン酸ニッケルによってバインダーの酸化
および分解が防止されたためであると考えられる。
を用いたアルカリ蓄電池に比べて、正極板Aを用いたア
ルカリ蓄電池の方が、サイクル経過に伴う容量低下が小
さかった。これは、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケ
ルとして、平均粒径が小さい粉末の水分散ディスパージ
ョンを用いることによって、バインダーとジブチルジチ
オカルバミン酸ニッケルとの接触面積を大きくすること
ができ、バインダーの酸化反応を特に抑制できたためで
あると考えられる。
ルホン化ポリエチレンのディスパージョンの代わりにス
チレン−ブタジエンゴム粉末(平均粒径:2μm)の水
分散ディスパージョン(固形分比:40質量%)を用い
て、上記実施例および比較例と同様に正極板を作製し、
さらにアルカリ蓄電池を作製した。そして、サイクル試
験を行ってジブチルジチオカルバミン酸ニッケルの有無
によるサイクル特性を調べた。その結果、バインダーと
してスチレン−ブタジエンゴムを用いた場合でも、ジブ
チルジチオカルバミン酸ニッケルを加えた方がサイクル
経過に伴う容量の低下が小さいことがわかった。
ルホン化ポリエチレンのディスパージョンの代わりにポ
リエチレン粉末(平均粒径:2μm)の水分散ディスパ
ージョン(固形分比:40質量%)を用いて、上記実施
例および比較例と同様に正極板を作製し、さらにアルカ
リ蓄電池を作製した。そして、サイクル試験を行ってジ
ブチルジチオカルバミン酸ニッケルの有無によるサイク
ル特性を調べた。その結果、バインダーとしてポリエチ
レンを用いた場合でも、ジブチルジチオカルバミン酸ニ
ッケルを加えた方がサイクル経過に伴う容量の低下が小
さいことがわかった。
げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定され
ず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用する
ことができる。
蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法によ
れば、充放電サイクル特性が良好なアルカリ蓄電池を製
造できるアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極が得ら
れる。
充放電サイクル特性が良好なアルカリ蓄電池が得られ
る。
蓄電池とについて充放電サイクルの経過に伴う容量の変
化を示すグラフである。
Claims (10)
- 【請求項1】 導電性の支持体と前記支持体の表面に配
置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結
式ニッケル正極であって、 前記活物質含有層が、水酸化ニッケルを含む活物質粉末
と、バインダーと、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケ
ルとを含み、 前記バインダーが、酸素の存在によって酸化反応を起こ
す高分子からなることを特徴とするアルカリ蓄電池用非
焼結式ニッケル正極。 - 【請求項2】 前記高分子が不飽和結合を有する請求項
1に記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。 - 【請求項3】 前記バインダーが、ポリエチレン、ポリ
エチレン誘導体、およびスチレン−ブタジエンゴムから
選ばれる少なくとも1つを含む請求項1に記載のアルカ
リ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。 - 【請求項4】 前記活物質含有層が、前記活物質粉末と
前記バインダーと前記ジブチルジチオカルバミン酸ニッ
ケルとを、前記活物質粉末:前記バインダー:前記ジブ
チルジチオカルバミン酸ニッケル=100:X:Y(た
だし、0.5≦X≦5.0、0.01≦Y≦0.5)の
質量比で含む請求項1ないし3のいずれかに記載のアル
カリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。 - 【請求項5】 導電性の支持体と前記支持体の表面に配
置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結
式ニッケル正極の製造方法であって、 水酸化ニッケルを含む活物質粉末と、酸素の存在によっ
て酸化反応を起こす高分子からなるバインダーと、ジブ
チルジチオカルバミン酸ニッケルとを含むペーストを作
製する第1の工程と、 前記支持体の表面に前記ペーストを塗着して乾燥および
圧延を行い前記活物質含有層を形成する第2の工程とを
含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
ル正極の製造方法。 - 【請求項6】 前記第1の工程は、前記バインダーと前
記ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルとを混合して混
合物を作製したのち、前記混合物と前記活物質粉末とを
混合する工程を含む請求項5に記載のアルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル正極の製造方法。 - 【請求項7】 前記バインダーが、ポリエチレン、ポリ
エチレン誘導体、およびスチレン−ブタジエンゴムから
選ばれる少なくとも1つを含む請求項5または6に記載
のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。 - 【請求項8】 前記ペーストが、前記活物質粉末と前記
バインダーと前記ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル
とを、前記活物質粉末:前記バインダー:前記ジブチル
ジチオカルバミン酸ニッケル=100:X:Y(ただ
し、0.5≦X≦5.0、0.01≦Y≦0.5)の質
量比で含む請求項5ないし7のいずれかに記載のアルカ
リ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。 - 【請求項9】 前記第1の工程において、水に分散され
た平均粒径が0.1μm〜1.0μmの範囲内のジブチ
ルジチオカルバミン酸ニッケル粉末を用いる請求項5な
いし8のいずれかに記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル正極の製造方法。 - 【請求項10】 水酸化ニッケルを含む正極を備えるア
ルカリ蓄電池であって、 前記正極が、請求項1ないし4のいずれかに記載のアル
カリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極であることを特徴と
するアルカリ蓄電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000374927A JP3897527B2 (ja) | 2000-12-08 | 2000-12-08 | アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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