JP7095539B2 - ニッケル水素蓄電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル水素蓄電池の製造方法に関する。
ニッケル水素蓄電池は、ニッケル化合物を含む正極、水素吸蔵合金を含む負極、セパレータ及び電解液を有し、以下の式(1)及び式(2)の電極反応により、充放電を行うように構成されている。なお、Mは水素吸蔵合金を示す。いずれの反応式も右方向への反応が充電反応であって、左方向への反応が放電反応である。
正極:Ni(OH)+OH⇔NiOOH+HO+e (1)
負極:M+HO+e⇔MH+OH (2)
また、充電末期には、正極において上記式(1)と競合して、酸素ガスの生成を伴う以下の式(3)の反応が起こる。
正極:2OH→1/2O+HO+2e (3)
これに対して、負極容量を正極容量よりも大きくすることにより負極に充電リザーブを設けて、充電状態(SOC)100%のときに負極に未充電部分が存在するようにしている。当該負極の充電リザーブにより、正極で生じた酸素ガスは、以下の式(4)の反応によって負極に吸収されて、過充電時の電池内圧の上昇が抑制されている。
負極:2MH+1/2O→2M+HO (4)
一方、初期充電時には、下記の式(5)に示すように、正極が有する導電助剤やバインダ等の酸化などによる不可逆的な副反応が生じる。
(副反応物)+OH→(生成物)+e (5)
式(5)に示す副反応では正極において電解液中の水酸化イオンを消費して生じた電子は放電リザーブとして負極に潜在的に蓄えられることとなる。当該放電リザーブはSOC0%のときに負極に残存している容量を示す。かかる放電リザーブにより、過放電時に負極で酸素ガスが発生することを防止している。
そして、かかるニッケル水素蓄電池では、電池内圧の上昇を防止するために、充電リザーブと放電リザーブとにより充電状態が正極容量によって規制されるように、正極と負極の容量バランスが設計されている。例えば、特許文献1には、充電リザーブ量と放電リザーブ量とが所定範囲の割合となるようにした正極規制型のニッケル水素蓄電池が開示されている。
特開2004-273295号公報
しかしながら、負極の放電リザーブは、使用に伴って生じるバインダやセパレータなどの有機物の酸化などによって新たに形成されて増加する。そして、負極の放電リザーブの増加に伴って負極の充電リザーブが減少する。また、負極の劣化によっても負極の充電リザーブは減少する。充電リザーブが過度に減少すると、充電末期に負極における酸素ガスの吸収がスムーズに進行せず、さらに、負極の水素吸蔵合金から水素ガスが発生しやすくなり、電池内圧の上昇を招く。そして、電池内圧が上昇するとガス排出弁が開放されてガスが外部に放出され、これとともに電解液も外部に漏出するドライアウトが発生して電池寿命が短くなるという問題が生じる。かかる問題に対して、負極容量を大きくして充電リザーブを一層大きくすることが考えられるが、限られた電池内空間において負極容量を大きくすれば正極容量を小さくせざるを得ないとともに、充電リザーブは実質的な充放電反応に寄与しないため、電池全体として体積エネルギ密度の低下を招くこととなる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、充電リザーブが十分に確保されたニッケル水素蓄電池の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、複数の正極及び負極が積層された電極積層体と、上記電極積層体を収容するケースとを有するニッケル水素蓄電池の製造方法であって、
上記ケース内に電解液が注入される電解液注入工程と、
上記ケース内に酸素含有ガスが注入されるガス注入工程と、
上記ケースが封止されて電池組立体が形成される封止工程と、
上記電池組立体が初期充電される活性化工程とを含み、
上記ガス注入工程では、上記正極の電気容量1Ah当たり、0.4665×10 -2 ~4.665×10 -2 molの酸素が注入される、ニッケル水素蓄電池の製造方法にある。
上記ニッケル水素蓄電池の製造方法においては、ケースを封止する前にケース内に酸素含有ガスが注入される。これにより、活性化工程で発生する副反応は予めケース内に注入された酸素を消費して、電解液中の水酸化イオンの消費が抑制されるため、負極に放電リザーブが形成されることが抑制される。その結果、負極容量を大きくすることなく、活性化後の充電リザーブを十分に確保することができる。さらに、酸素含有ガスの注入はケースを封止する前に行うため、酸素含有ガスの注入のために封止後のケースを開放する必要がなく、ケースを封止状態に維持できる。これにより、電解液のドライアウトを防止することができる。
以上のように、本発明によれば、充電リザーブを確保することができるニッケル水素蓄電池の製造方法を提供することができる。
実施例1における、ニッケル水素蓄電池の製造方法を説明するフロー図。 実施例1における、ニッケル水素蓄電池の構成を示す断面概念図。 実施例1における、ニッケル水素蓄電池の活性化状態を説明するための概念図。 比較例における、ニッケル水素蓄電池の活性化状態を説明するための概念図。 実施例1における、コバルト粉末量と放電リザーブ量との関係を示す図。 実施例1における、SBRと放電リザーブ量との関係を示す図。
上記ガス注入工程では、上記正極の電気容量1Ah当たり、0.4665×10-2~4.665×10-2molの酸素が注入されることが好ましい。この場合には、活性化により生じる放電リザーブを、正極容量の5~50%に相当する容量減少させることができるため、充電リザーブを十分確保することができる。なお、上記ガス注入工程では、酸素ガスとその他のガスとの混合ガスとして注入してもよいし、酸素ガスを単独で注入してもよい。
上記ニッケル水素蓄電池において、上記電極積層体は、金属箔の第1の面に正極活物質層が設けられることで上記正極を構成するとともに、上記金属箔の第2の面に上記負極活物質層が設けられることで上記負極を構成する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層されることで構成されることが好ましい。この場合は、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体を有するニッケル水素蓄電池ではセルの厚さを低減できるため密配設することができ、電池全体として体積エネルギ密度を向上できる。その一方で、両電極が金属箔上に形成されているため、セル間でのガス透過性が低く、充電リザーブが減少しやすい傾向がある。しかしながら、本願では、封止工程の前に予め酸素含有ガスをケースに注入して放電リザーブの発生を抑制しているため充電リザーブが十分確保され、ガス発生を低減できる。
上記正極は、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含むことが好ましい。この場合は、SBRは耐薬性及び強度に優れるとともに環境負荷が小さいというメリットを有するが、一方で耐酸化性に劣るという性質を有する。そのため、使用に伴うSBRの酸化によって放電リザーブが増加しやすい傾向がある。しかしながら、本願では、封止工程の前に予め酸素ガスをケースに注入して予め放電リザーブの発生を抑制しているため、SBRの酸化による放電リザーブの増加の影響を小さくして、電池寿命を延ばすことができる。
上記負極は負極活物質として、平均粒径が0.1~20μmの範囲内の水素吸蔵合金粒子を含むことが好ましい。水素吸蔵合金粒子の粒径が比較的小さいことから体積当たりの表面積が大きくなるため、水素の吸収及び放出のエネルギが比較的小さくて済み、内部抵抗を低下させることができるが、その一方で劣化が促進されて充電リザーブが減少しやすい傾向がある。しかしながら、本願は、上述の通り、初期充電時の放電リザーブが低減されており、初期の充電リザーブを多く確保することできるため、充電リザーブの減少傾向の影響を抑制することができる。
(実施例1)
上記ニッケル水素蓄電池の製造方法の実施例について、図1~図6を用いて説明する。
本実施例1は、正極活物質としてニッケル化合物を含む正極活物質層3と、負極活物質として水素吸蔵合金を含む負極活物質層4とを有するニッケル水素蓄電池1の製造方法100であって、図1に示すように、電解液注入工程S2、ガス注入工程S3、封止工程S4、活性化工程S5を含む。
電解液注入工程S2では、複数のバイポーラ電極10がセパレータ13を介して積層された電極積層体15が収容されたケース5内に図示しない電解液を注入する。
ガス注入工程S3では、ケース5内に図示しない酸素含有ガスを注入する。
封止工程S4では、ケース5を封止して電池組立体1aを形成する。
活性化工程S5では、電池組立体1aを初期充電して活性化する。
以下、本実施例のニッケル水素蓄電池1の製造方法100について詳述する。
図1に示すように、本実施例におけるニッケル水素蓄電池1の製造方法100では、まず、組付け工程S1を行う。組付け工程S1では、集電体2、正極活物質層3、負極活物質層4及びセパレータ13を含む電極積層体15を作成し、電極積層体15をケース5に収容する。
正極活物質層3は正極活物質、バインダ、導電助剤、その他正極を形成するのに必要な公知の材料で構成される。正極活物質は水酸化ニッケル(Ni(OH))からなる。正極活物質層3のバインダとしては、ニッケル水素蓄電池用として公知のものを使用することができ、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド及びポリアミドイミドなどのイミド系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー単位として含有する(メタ)アクリル系樹脂を使用することができる。本例では、スチレンブタジエンゴム(SBR)を採用している。SBRは、正極活物質及び集電体に対する結着性に優れる。正極活物質層3の導電助剤としては、化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、酸化コバルト、水酸化コバルトなどのコバルト化合物を含む各種金属粒子や、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維等が例示される。本例では、正極活物質層3の導電助剤として酸化コバルト粉末を採用している。
負極活物質層4は負極活物質、バインダ、導電助剤、その他負極を形成するのに必要な公知の材料で構成される。負極活物質は水素吸蔵合金からなる。水素吸蔵合金の組成としては公知のものを採用することができ、例えば、A型、AB型などの組成を採用することができる。本例では負極活物質としてA型の水素吸蔵合金を採用している。水素吸蔵合金として、平均粒径が0.1~20μmの範囲内のものを採用することができ、好ましくは平均粒径が0.1~15μmの範囲内、更に好ましくは0.1~10μmの範囲内のものを採用することが好ましい。水素吸蔵合金粒子の粒径が比較的小さいことから体積当たりの表面積が大きくなるため、水素の吸収及び放出のエネルギが比較的小さくて済み、内部抵抗を低下させることができる。負極活物質層4のバインダ及び導電助剤としては、正極活物質層3の場合と同様のものを採用することができる。
また、セパレータ13も公知の材料を採用することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドなどの合成樹脂から構成された不織布又は織布や、セラミックスなどの電気絶縁性材料から構成された多孔体を採用することができる。本例では、セパレータ13として、ポリオレフィン繊維製不織布を採用している。
本例では、図2に示すように、集電体2、正極活物質層3及び負極活物質層4はバイポーラ電極10を構成している。バイポーラ電極10において、集電体2としての金属箔の第1の面21に正極活物質層3が形成されることにより正極が構成され、集電体2としての金属箔の第2の面22に負極活物質層4が形成されることにより負極が構成されている。集電体2は充放電の際に各電極に電流を流し続けることが可能な化学的に不活性な電子伝導体である。集電体2としての金属箔の組成は、特に限定されず、ニッケル箔、ニッケルめっき銅箔、ニッケルめっきステンレス銅箔などの公知のものを採用することができる。そして、複数のバイポーラ電極10がセパレータ13を介して積層されて電極積層体15が形成される。電極積層体15は、積層方向の両端にそれぞれ終端電極11、12を有している。
集電体2の周縁部は、正極活物質層3および負極活物質層4が塗工されない未塗工領域である。集電体2の未塗工領域をケース5の内壁に埋没させた状態でケース5は、正極活物質層3と負極活物質層4とをセパレータ13を介して対向するように保持している。ケース5の内壁と隣り合う2つの集電体2とが協働することによって空間を形成している。上記空間内に電解液が封入されている。本例では、図2に示すように、ケース5は、筒状のケース本体51とその両開口端を覆うケースプレート52、53とを有する。ケース本体51は絶縁性を有する樹脂製であり、ケースプレート52、53は金属製である。本例では、ケース本体51が複数のバイポーラ電極10を有する電極積層体15の側周面を覆い、ケースプレート52、53が電極積層体15の積層方向の両開口端を覆うことにより、ケース5内に電極積層体15が収容されている。ケース本体51には、電極積層体15においてセパレータ13を挟む一の集電体2の正極活物質層3、一の集電体2と隣り合う集電体2の負極活物質層4により構成される電池セルごとに、電解液を注入するための注液孔55が貫通形成されている。そして、注液孔55は樹脂部材56により封止される。
本例では、組付け工程S1は以下のように行った。まず、正極活物質としての水酸化ニッケル粉末を96質量部、導電助剤として酸化コバルト粉末を3質量部、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)を固形分として1質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを作製した。集電体2として厚み50μmのニッケル箔を準備した。この集電体2の一方の表面に、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された集電体2を乾燥して水を除去した後、プレスを行い、集電体2上に正極容量が5Ahとなるように正極活物質層3を形成した。
その後、負極活物質として平均粒径10μmのA型水素吸蔵合金を99質量部、バインダとしてアクリル系樹脂エマルション及びカルボキシメチルセルロースを固形分として合計1質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを作製した。上記の正極活物質層3が形成された集電体2の他方の表面に、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された集電体2を乾燥して水を除去し、その後、プレスを行い、集電体2上に負極の容量が10Ahとなるように負極活物質層4を製造した。これにより、集電体2としてのニッケル箔の一方の面に正極活物質層3を有し、他方の面に負極活物質層4を有するバイポーラ電極10を作製した。
そして、セパレータ13としてスルホン化処理が施された厚さ200μmのポリオレフィン繊維製不織布を用意し、セパレータ13を介してバイポーラ電極10を順次積層して電極積層体15を作成した。その後、図2に示すように、電極積層体15をケース5内に収容した。
その後、図1に示すように、電解液注入工程S2を行う。電解液注入工程S2では、電解液をケース5内に注入する。電解液としては、公知のものを採用することができる。本例では、電解液として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムの合計の濃度が5mol/Lである水溶液を準備した。そして、当該電解液を、電極積層体15を収容するケース5の注液孔55から各電池セルに注液した。
図1に示すように、電解液注入工程S2の後、ガス注入工程S3を行う。ガス注入工程S3では、注液孔55からケース5内に酸素含有ガスを注入する。本例では、ガス注入工程S3において、ケース5内全体として注入酸素量が0.01molとなる量の酸素含有ガスを注液孔55から注入した。
図1に示すように、ガス注入工程S3の後、封止工程S4を行う。封止工程S4では、ケース5を封止して電池組立体1aが形成される。本例では、封止工程S4において、図2に示すように、各注液孔55が樹脂部材56により封止されて、電池組立体1aが形成された。
図1に示すように、封止工程S4の後、活性化工程S5を行う。活性化工程S5では、電池組立体1aを初期充電して活性化する。本例では、活性化工程S5として、25℃の条件下で、電極端子531、521を介して、レート0.5CでSOC100%まで充電した後、0.5Cで電池電圧1Vまで放電することを1サイクルして、これを20サイクル行って活性化処理を行った。なお、各サイクルの放電後には、休止時間を1時間設けた後、電池電圧1Vまでの放電をレート0.1Cで行った。これにより、ニッケル水素蓄電池1を完成させた。
本例では、正極活物質層3において、導電助剤として酸化コバルト粉末を用いている。そのため、活性化工程S5では、正極活物質層3において上記式(1)に示す充放電反応に加えて、副反応として、以下の式(6)に示す不可逆性の酸化反応が生じる。
正極:Co+4H→CoOOH+2HO+4e (6)
導電助剤は、まず、活性化前にアルカリ水溶液である電解液中で一旦溶解してコバルト錯イオンを形成した後、正極を構成する水酸化ニッケル粒子の表面に均一に分散して水酸化コバルトとして再析出する。その後、活性化工程S5における初期充電により、水酸化コバルトがオキシ水酸化コバルトに酸化される。オキシ水酸化コバルトは正極活物質層3において水酸化ニッケル間及び集電体2を電気的接続する導電性ネットワークを形成する。これにより、水酸化ニッケルの利用率が向上されて正極活物質が活性化されることとなる。
さらに、本例では、正極活物質層3において、バインダとしてSBRを用いている。そのため、正極活物質層3において、副反応として上記式(6)に示す導電助剤の酸化に加えて、SBRの酸化反応が生じる。SBRの酸化反応ではSBRにおけるポリブタジエン内の二重結合の酸化が行われる。
電池組立体1aにおける正極容量及び負極容量は、図3(a)に示す活性化前の状態から、活性化によって図3(b)に示すように正極の一部が不可逆的な副反応によって酸化される。当該副反応の一部は、ガス注入工程S3で添加された酸素により行われる。その結果、図3(c)に示すように、正極の副反応に相当する容量のなかで添加された酸素によるものを除いた容量に相当する負極容量が、活性化後のニッケル水素蓄電池1における放電リザーブとなる。
なお、本例における導電助剤及びバインダと放電リザーブの量的関係は以下の通りである。図5に示すように、正極活物質層3における導電助剤(コバルト粉末)の重量比率(wt%)と、放電リザーブの容量変化率(%)との関係について、導電助剤が1wt%増加するごとに、放電リザーブの容量が1%増加した。また、図6に示すように、正極活物質層3におけるバインダ(SBR)の重量比率(wt%)と、放電リザーブの容量変化率(%)との関係について、バインダが1wt%増加するごとに、放電リザーブの容量が11.5%増加した。
図3(c)に示すように、活性化後の放電リザーブの容量は、ガス注入工程S3における酸素含有ガスにより低減される。そして、ガス注入工程S3における酸素含有ガス注入量は以下のように設定することが好ましい。まず、放電リザーブの容量を1Ah低下させるには、1molの電子eが有するクーロン量は96500Cであって、1Ahは3600Cであるため、3600/96500=0.3731molの電子が反応できるだけの酸素を注入すればよい。そして、その酸素の量は、4H+O+4e→HOの反応式から、0.3731/4=0.00933molである。
そして、放電リザーブの容量低減量は、正極容量の5~50%とすることが好ましい。従って、正極容量をXとしたとき、ガス注入工程S3において注入する酸素量は、0.00933X×(0.05~0.5)mol、すなわち、0.4665X×10-2~4.665×10-2molとすることが好ましい。本例では、ガス注入工程S3において、ケース5内全体として注入酸素量が0.01molとなる量の酸素含有ガスを注液孔55から注入した。これにより、放電リザーブの容量低減量は計算上1Ahとなり、これは、正極容量5Ahの約21.4%に相当する。
そして、ガス注入工程S3を実施しない場合を比較例として本例と比較すると、比較例では、図4(a)~図4(c)に示すように、正極の副反応の全部に相当する負極容量が放電リザーブとなり、当該比較例の放電リザーブは2.5Ahであった。そして、上述の通り本例の放電リザーブの容量低減量は計算上1Ahであるため、本例では、図4(c)に示す比較例の場合に比べて、放電リザーブが40%低減されることが見込まれる。
本例のニッケル水素蓄電池1の製造方法100の作用効果について詳述する。
本例のニッケル水素蓄電池1の製造方法100によれば、ケース5を封止する前にケース5内に酸素含有ガスが注入される。これにより、活性化工程S5で発生する副反応は予めケース5内に注入された酸素を消費して、電解液中の水酸化イオンの消費が抑制されるため、活性化工程S5において負極活物質層4に放電リザーブが形成されることが抑制される。その結果、負極容量を大きくすることなく、活性化後の充電リザーブを十分に確保することができる。さらに、酸素含有ガスの注入はケース5を封止する前に行うため、酸素含有ガスの注入のために封止後のケース5を開放する必要がなく、ケース5を封止状態に維持できる。これにより、電解液のドライアウトを防止することができる。
また、本例では、ガス注入工程S3では、正極の電気容量1Ah当たり、0.4665×10-2~4.665×10-2molの酸素が注入される。これにより、活性化により生じる放電リザーブを、正極の電気容量の5~50%に相当する容量を減少させることができるため、充電リザーブを十分確保することができる。
また、本例では、ニッケル水素蓄電池1において、集電体2としての金属箔の第1の面に正極活物質層3が設けられるとともに、集電体2としての金属箔の第2の面に負極活物質層4が設けられてバイポーラ電極10を形成しており、複数のバイポーラ電極10は、セパレータ13を介して積層されて電極積層体15を形成している。バイポーラ電極10により構成される電極積層体15を有するニッケル水素蓄電池1では、電池セル間でのガス透過性が低く、充電リザーブが減少しやすい傾向があるが、本例では上記構成により、封止工程S4の前に予め酸素含有ガスをケース5に注入して放電リザーブの発生を抑制しているため充電リザーブが十分確保される。そのため、バイポーラ構造により電池セルの厚さを低減して密に配設しつつ、充電リザーブを十分確保して、電池寿命を延ばすことができる。
また、本例では、正極活物質層3は、スチレンブタジエンゴム(SBR)を有するバインダを含む。SBRは耐酸化性に劣るため放電リザーブが増加しやすい傾向があるが、本例では上記構成により、封止工程S4の前に予め酸素含有ガスをケース5に注入して放電リザーブの発生を抑制しているため、SBRの酸化による放電リザーブの増加の影響を小さくして、電池寿命を延ばすことができる。
また、負極活物質層4は負極活物質として平均粒径が0.1~20μmの範囲内の水素吸蔵合金粒子を有する。水素吸蔵合金粒子の粒径が比較的小さいことから体積当たりの表面積が大きくなるため、水素の吸収及び放出のエネルギが比較的小さくて済み、内部抵抗を低下させることができるが、その一方で劣化が促進されて充電リザーブが減少しやすい傾向がある。しかしながら、本願は、上述の通り、活性化工程S5において生じる放電リザーブが低減されており、初期の充電リザーブを多く確保することできるため、充電リザーブの減少傾向の影響を抑制することができる。
以上のように、本例によれば、充電リザーブを確保することができるニッケル水素蓄電池1の製造方法100を提供することができる。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施例に適用することが可能である。
1 ニッケル水素蓄電池
1a 電池組立体
2 集電体
3 正極活物質層
4 負極活物質層
5 ケース
10 バイポーラ電極
13 セパレータ
15 電極積層体
51 ケース本体
55 注液孔

Claims (4)

  1. 複数の正極及び負極が積層された電極積層体と、上記電極積層体を収容するケースとを有するニッケル水素蓄電池の製造方法であって、
    上記ケース内に電解液が注入される電解液注入工程と、
    上記ケース内に酸素含有ガスが注入されるガス注入工程と、
    上記ケースが封止されて電池組立体が形成される封止工程と、
    上記電池組立体が初期充電される活性化工程とを含み、
    上記ガス注入工程では、上記正極の電気容量1Ah当たり、0.4665×10 -2 ~4.665×10 -2 molの酸素が注入される、ニッケル水素蓄電池の製造方法。
  2. 上記電極積層体は、金属箔の第1の面に正極活物質層が設けられることで上記正極を構成するとともに、上記金属箔の第2の面に負極活物質層が設けられることで上記負極を構成する複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層されることで構成される請求項に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。
  3. 上記正極は、スチレンブタジエンゴムを含む、請求項1又は2に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。
  4. 上記負極は負極活物質として、平均粒径が0.1~20μmの水素吸蔵合金粒子を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。
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