JP2005011699A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコン粉末またはシリコン合金粉末を使用した負極を有するリチウム二次電池の高容量化を図ると共にサイクル寿命の改善を図る。
【解決手段】リチウム二次電池に用いる負極(104)について、その活物質層の密度を0.8g/cm乃至1.4g/cmの範囲に規定し、水平方向の電池断面の隙間(102、106等)の断面積を前記負極活物質層の断面積の0.6乃至1.8倍にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池の高容量化及びサイクル特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
正極に主たる活物質としてコバルト酸リチウムを使用し、負極に主たる活物質としてカーボンを使用し、電解質として有機電解液を用いた所謂リチウムイオン二次電池が、1990年代当初より市場に提供されている。このリチウムイオン二次電池は、従来の、ニッケル・水素二次電池等と比べて、高容量であり、サイクル特性も充分であり、市場のニーズに対応できるものであることから、その後、急激に市場に浸透している。同時に、このリチウムイオン二次電池の改良も行なわれ、より高容量の電池の開発が精力的に行なわれてきた。その結果、例えば、直径が18mmであり高さが65mmである、一般に18650サイズと呼称される円筒形リチウムイオン二次電池の容量が、1990年代当初では、約1000mAhであったものが、最近では、最高で、2200mAhまで、改善されている。これは、活物質として用いるコバルト酸リチウム、カーボン等の材料面および、設計面等、多岐にわたる改良の結果である。
【0003】
正極の高容量化については、活物質であるコバルト酸リチウムをできるだけ有効に使用すること、コバルト酸リチウム以外に用いているバインダと導電材をできるだけ少なくすること、集電体をできるだけ薄くすること、及び活物質層の圧密化によって行なわれてきた。コバルト酸リチウムについては、理論容量である272mAh/gに対して、できるだけこの値に近いレベルで、充放電が行なえるようにすることと、1サイクル目の不可逆容量をできるだけ少なくする改良が行なわれてきている。バインダと導電材の使用量の低減については、バインダの結着力をアップさせることによりバインダ量の低減を図ることや、使用するバインダの種類を変更すること等が行なわれ、また、カーボン量については、カーボンの種類、特に粒径の最適化により低減することが可能になった。圧密化については、コバルト酸リチウムの粒径およびその分布等の制御により行なわれてきた。
【0004】
負極の高容量化については、正極と同様、活物質であるカーボンをできるだけ有効に使用すること、バインダの使用量を低減することが挙げられる。カーボンについては、理論容量である372mAh/gに対して、できるだけこの値に近いレベルで、充放電が行なえるようにすることと、1サイクル目の不可逆容量をできるだけ少なくする改良が行なわれてきている。バインダについては、バインダの結着強度をアップさせることによるバインダ量の低減や、カーボンの形状を制御することにより、より少ないバインダ量でも、集電体からのカーボンの剥離を抑制する方法が検討されてきた。また、集電体である銅箔は、圧延銅箔から電解銅箔にすることによって、カーボン層との密着がよくなり、また、より薄くすることができた。これは、圧延銅箔に比べて、表面に凹凸があるためである。
セパレータについても微孔の大きさや比率、作製方法を検討することにより、薄形化が図られてきた。
【0005】
以上述べたように、正極及び負極の高容量化やセパレータの薄形化により、リチウムイオン二次電池の高容量化が図られてきた。同時に、設計面や生産技術面から、正極と負極を電池缶の中にできるだけ多く詰め込むために、電極幅を可能な限り大きくしたり、正極の面積に対する負極の対向面積をできるだけ小さくする等の工夫がなされてきた。
しかし、このように高容量化の検討がなされてきたが、現在、主に用いられているコバルト酸リチウムとカーボンを主成分として構成されるリチウムイオン二次電池の高容量化はほぼ限界に近いと考えられる。このため、正極や負極の新しい活物質の開発が行なわれている。
【0006】
特に、負極活物質は、カーボンに代わるものとして、リチウムと合金化する金属或いは合金を用いることが検討されている。カーボンの充放電可能な理論容量が372mAh/gであるのに対し、シリコンの場合4199mAh/g、Snの場合994mAh/gでカーボンの約3〜10倍という大きな値である。
しかし、これらの金属をそのまま負極として用いたのでは、充放電による金属の微細化や、膨張、集電体からの剥離、それらに伴う導電性の低下等の課題が残されていた。
こうした課題の解決策として、リチウムと合金化しない金属や合金の箔を集電体とし、その箔の片面若しくは両面にリチウムと合金化する金属あるいは合金を配置した負極が提案されている。しかし、単にこのように構成しただけでは、ある程度の改善は可能であるが、このレベルでは、実用化には至らない。
【0007】
そこで、活物質と集電体の密着をよくする方法として、銅箔にシリコン或いはその合金を蒸着やプラズマスパッタをすることにより、負極とする方法が特開2002―83594号公報に記載されている。当該公報には、この方法により得られる負極は、条件の最適化により、ほぼシリコンの理論容量に近いおよそ4000mAh/gの放電容量が得られ、充放電効率も100%である旨記載されている。しかしながら、この負極は、蒸着やスパッタによる方法により得られるものであるため、通常の負極に比べて制約が多い。その一つは、シリコン層をあまり厚くすることができないため、単位面積当たりの負極の容量を大きくすることができないことである。また、この手法で得られるシリコン層は、緻密であり、その層中に隙間が少ない。これが故に、充電時にリチウムが挿入される際、活物質層が非常に膨張する。このため、実際の正極と組み合わせ、有効スペースの限られた電池では、その非常に大きい膨張による負極の厚さの変化が大きな問題となる。このように、シリコンを蒸着或いはスパッタすることにより得られた負極は、高容量ではあるものの、充放電サイクル等の実用性を考慮した場合は、解決を要する問題が残されている。
【0008】
特開2000―223085号公報には、充放電時に電池素子の膨張、収縮による厚みの変化を吸収する方法として、電池素子収容部の空隙高さを電池素子の全厚の101から120%にする技術が開示されている。当該公報には、正極材に通常のリチウムと遷移金属の化合物を用い、負極材には炭素物質の他に、金属酸化物、金属リチウム、リチウム合金、シリコン等も使用できる旨記載されているが、シリコンやシリコン合金粉末を用いた負極の密度や最適な隙間に関しては全く言及されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、高容量な金属あるいは合金を用いた負極活物質の組成や構成材料、その負極の製造方法については、提案されているが、殆どが単極に係るものである。こうした負極は、実際には、正極と組み合わせて電池缶の中に納められて、電池として本来の機能を果たす。このためには、これら合金粉末を主体とする負極をいかに電池缶の中で、有効に機能させ、高容量でサイクル特性の優れた電池を設計する必要がある。ところで、一般的に負極材料は充放電に伴って膨張―収縮を起こす。上述の特開2000―223085号公報には、負極材料の充放電に伴う膨張―収縮に係る問題点の一般的な解決策が示唆されている。しかし、この解決策は、とりわけ、高容量ではあるものの膨張―収縮の程度が大きいシリコン負極の場合の充放電に伴う膨張―収縮に係る問題点の解決には有効であるとは云い難いものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リチウム二次電池の高容量化及びサイクル特性の改善に係る技術を提供する。具体的には、シリコン粉末またはシリコン合金粉末を用いた負極活物質層を有する負極について、充放電に伴う膨張に対する隙間を電池容器内部の負極の断面方向に設ける。即ち、前記隙間がセパレータと正極、セパレータと負極、セパレータと電池容器、セパレータとセパレータの間に存在するようにする。この点を図1を用いて説明する。図1は、円筒形二次電池の水平方向の断面(左側のみ)を模式的に示す。正極105と負極104をセパレータ103を介して渦巻き状に捲回した電極積層体が電池缶101の中に納められている。該電極積層体の最外周のセパレータ103と電池缶101の間には隙間102が存在する。また該電極積層体の中央部には捲回時に用いた軸芯がかつて存在したところの隙間106がある。そのまわりは3層のセパレータ103がある。図1に示された隙間は、一見したところ電池缶と電極積層体の間の隙間102と電極積層体の中央部には捲回時に用いた軸芯があったところの隙間106の2か所であるが、実際には、正極105とセパレータ103の間、負極104とセパレータ103の間、セパレータ103同士の間(捲回部分の中央部)にも、僅かではあるが隙間が存在する。
【0011】
本発明者らは、鋭意研究の結果、負極のシリコン若しくはシリコン合金粉末を用いた負極活物質層密度と最適な隙間との関係を見出した。具体的には、図1に示すようなリチウム二次電池において、負極の密度と電池缶断面の隙間の面積を規定する、即ち、負極活物質層の密度が0.8乃至1.4g/cmの負極において、上記の隙間の断面の合計を、負極の活物質層の断面の0.6倍乃至1.8の範囲にすることにより、高容量で長寿命なリチウム二次電池を達成できることが判った。ここで、負極活物質層の密度が0.8乃至1.4g/cmであるのは、負極活物質層の内部に適度に隙間を持たせることにより、充電により該負極活物質層が膨張しても、その負極活物質層内部の隙間が減少し、膨張が少なくて済む。
【0012】
充放電が負極の膨張に及ぼす影響を調べるため、対極に金属リチウムを用い、負極にほとんど加圧がかからないようにして、充放電を行なった。その結果、次のことが判明した。即ち、対極の金属リチウムに対して0Vまで充電した場合には、1サイクル目で、約2.1倍に膨張し、100サイクルの充放電を繰り返した場合には、約3.0倍まで膨張し、放電状態の膨張は、充電状態に比べて、約20%小さい。しかし、電池缶の中で充放電を繰り返した場合には、負極に加圧がかかるため、上記の場合と異なる。実際に、充放電を繰り返し、放電状態で電池を解体して負極の厚さを測定すると、5サイクル目では、組み立て時の負極の厚さの約1.3倍であった。100サイクル目では、約1.4倍であった。充電状態での解体は、ショートにより異常発熱することが予想され、危険であるため行なわなかったが、放電状態の厚さから推測すると、この値より約20%大きいと思われる。しかし、ほとんど負極に圧力がかからない状態に比べると、その膨張は、小さい。リチウムがシリコンの中に入る場合の、その膨張率は必然的に決まっている。合金の場合には、シリコンと相手の金属の種類によって、多少異なるものの、膨張することにかわりはない。にもかかわらず、負極の外部に加圧する要因があると、ほとんど加圧がかからない状態にくらべてその膨張が少ないのは、適度な隙間が負極の活物質層内にあるためである。
【0013】
負極活物質の密度が0.8g/cm未満の場合、シリコン粉末若しくはシリコン合金粉末同士の接触が悪く、充放電電気量や、充放電効率が急激に低下する。一方、1.4g/cmより大きい場合、活物質層内の隙間が少なくなって、前述したような効果が得られない。同時に、電池缶の中の隙間の断面積の合計が、負極活物質層の断面の0.6倍以上1.8倍以下にするのは、負極の充電時の膨張に対し、適度な加圧をかけるためである。これにより、負極活物質層の密度が0.8g/cm乃至1.4g/cmの負極では、充放電の繰り返しによる膨張を最小限に抑制することができる。ここで、電池缶の中の隙間の断面積の合計とは、電池缶の内径の断面積から、正極と負極及びその未塗工部および端子、仕様によっては端子へ絶縁のために貼ったテープ、セパレータ、仕様によっては外周を捲いたテープを含む断面積を引いた値を示す。一般には捲回軸芯は取り払われるため、この断面は隙間として算出される。しかし、この軸芯が取り払われない場合には、当然、隙間としては算出されない。軸芯が取り払われた隙間は、負極が膨張した時に、有効に隙間として作用する。
【0014】
電池缶の中の隙間の断面積の合計が負極活物質層の断面の0.6倍以上であるのは、前述したように充放電よる負極の膨張が100サイクル後で組み立て時の1.4倍(放電状態)であり、充電状態での値は明確ではないが、少なくとも、この値よりは大きい。このため、隙間の合計の断面積としては、少なくとも、0.6倍以上は必要である。
一方、1.8倍以下であるのは、実質的に負極の活物質層が膨張した時に、これより大きいとほとんど加圧がかからないためである。負極に加圧がかからない状態で、100サイクル充放電を繰り返した時の充電状態の膨張が約3.0倍であるからである。より好ましくは5サイクルの充放電を繰り返した時の充電状態での膨張の値である約2.1倍程度以下にすることが望ましい。このようにしないと、電池の体積あたりの容量が低いものとなってしまう。
【0015】
適正な範囲の負極の活物質層の充放電容量は、シリコン或いはシリコン合金粉末の種類や量、導電助剤の種類や量、バインダーの種類や量などによって異なってくるが、高容量なリチウム二次電池を作製する観点から、1000mAh/g以上であることが望ましい。逆に、活物質層が2700mAh/g以上では、負極の膨張が大きくなりすぎてしまい、上記のような負極活物質層の密度を規制し、隙間の断面積を規制しても、その効果は限定的である。こうした負極に対向する正極としては、充放電時の膨張が少ない方がよく、多くても10%以内のものが適している。
【0016】
断面に隙間を形成する方法としては、正極と負極をセパレータを介して捲回する時の捲回圧力をコントロールする方法がある。また、捲回軸の軸芯の太さを替えることによってもこの隙間をコントロールすることができる。この方法は、円筒形リチウム二次電池ばかりではなく、捲回式の角形リチウム二次電池、扁平形リチウム二次電池にも適用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施態様例を図を用いて説明する。図2は、本発明を密閉形リチウム二次電池(円筒形リチウム二次電池)に適用した場合の概念図である。図2では、負極214と正極215を隔離体(セパレータ)213を介して対向させて渦状に捲回して形成した電極積層体が電池ケース204内に納められている。不示図の電解液は、電池ケース204と電極積層体の隙間に満たされている。負極214は負極端子216と電気的に接続し、負極端子216は電池ケース204と電気的に接続している。また、正極215は正極端子209と電気的に接続し、正極端子209は上蓋のケース206に溶接により電気的に接続されている。上蓋のケース206は電流遮断リード210を介して圧力を感知して反転する圧力感知板208に電気的に接続されている。圧力感知板208は、PTC(正温度抵抗素子)203を介してトップキャップ201に電気的に接続されている。
上蓋のケース206は、積層された圧力感知板208、PTC203、トップキャップ201と電気的に絶縁可能なパッキン207で隔てられている。また、上蓋のケース206は電池ケース204とパッキン205を介して電気的に絶縁されている。
【0018】
正極215は、一般に正極集電体とその両側に配置された正極活物質層で構成される。正極活物質層は、リチウムの挿入―脱離が可能な正極活物質粉末、導電材、及びその他の添加材を結着材を介して正極集電体上に保持させて形成される。正極活物質としては、電解液に対して安定であって、リチウムの挿入―脱離が可能であればよく、例えば、LiCoO 、LiNiO 、LiMnO、LiMn のようなリチウム一遷移金属複合酸化物或いはこれらの混合物が用いられる。前記結着材としては、電気化学的、化学的に安定で、結着力があればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース、或いはポリビニルアルコールが用いられる。前記導電材としては、電気化学的、化学的に安定で、できるだけ導電性が高いものが望ましい。そうした導電材の好ましい具体例として、カーボン粉末、特に黒鉛化した粉末、アルミニウム粉末、チタン粉末等を挙げることができる。
【0019】
正極集電体は、電気化学的、化学的に安定で、導電性が高いことが要求され、例えば、アルミニウム或いはチタンで構成される。正極集電体の形状は、シート状、網状、エキスパンド状、穿孔板状、或いはスポンジ状であることができる。正極端子209は、正極集電体と同様、アルミニウム或いはチタンで構成することができる。正極215の集電体と正極端子209を電気的に接続する方法として、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接等があり、材質により適宜使い分けられる。
【0020】
負極214は、一般に負極集電体とその両側に配置された負極活物質層で構成される。負極活物質層はリチウムの挿入―脱離が可能なシリコンを主成分とする負極活物質粉末、導電材、及びその他の添加材を結着材を介して負極集電体上に保持させて形成される。負極活物質としては、電解液に対して安定であって、リチウムの挿入―脱離が可能なシリコンを主成分とする合金粉末が好ましい。このシリコンを主成分とする合金粉末の組成は、シリコンがおおむね50重量%以上で構成されることが重要である。それ以外の構成元素としては、リチウムと合金化する金属、例えばスズ、アルミニウム、亜鉛、ゲルマニウム、等を挙げることができる。こうしたリチウムと合金化する金属リチウムと合金化しない金属の他に、銅、ニッケル、コバルト、鉄等のリチウムと合金化する金属としない金属を含んでもよい。前記合金粉末の結晶構造は、非晶質であることがより好ましい。また前記合金粉末は、平均粒子径が0.5μm乃至0.05μmの範囲であるのが好ましい。
【0021】
前記結着材としては、電気化学的、化学的に安定で、結着力があればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース、或いはポリビニルアルコールが用いられる。特に、カルボキシメチルセルロースとポリビニルアルコールとの組み合わせは好適である。これは、前記合金粉末はカーボン粉末に比べて充電時の膨張が大きいため、より結着力が必要であるからである。前記導電材としては、電気化学的、化学的に安定で、できるだけ電導度が高いものが望ましい。そうした導電材の好ましい具体例として、カーボン粉末、特に黒鉛化した粉末、アセチレンブラック、ファーネスブラック、銅粉末、アルミニウム粉末、チタン粉末等を挙げることができる。
【0022】
負極活物質層の密度は、該活物質層に用いるシリコン或いはシリコン合金粉末、導電材、及び結着材の種類や量によって多少異なる。また、こうした負極活物質層の形成材料を塗工した後、プレスすることによっても密度を上げることができる。しかし、負極活物質層の密度は充電時の膨張との兼ね合いから0.8g/cm乃至1.4g/cmの範囲である必要がある。
【0023】
負極集電体は、電気化学的、化学的に安定で、導電性が高く且つリチウムと合金化しないことが要求される。こうしたことから、負極集電体は、銅、ニッケル、ステンレス、或いはチタンで構成されるのが好ましい。負極集電体の形状は、シート状、網状、エキスパンド状、穿孔板状、或いはスポンジ状であることができる。負極端子216は、負極214の集電体と同様、銅、ニッケル、或いはステンレスで構成することができる。負極214の集電体と負極端子216を電気的に接続する方法として、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接等があり、材質により適宜使い分けられる。
【0024】
以上述べたような高容量が得られる負極を正極と組み合わせて、充分に機能を発揮させるためには、組み立て時において、電池ケース断面の隙間の面積を負極活物質層の断面積の0.6倍以上1.8倍以下にする。
【0025】
セパレータ213としては、微細孔を有したポリプロピレンの薄膜、ポリエチレンの薄膜或いはこれら2種類を積層した厚さ数10μmの薄膜、或いは不織布を用いることができる。
上記電解液(不示図)は、溶媒と電解質からなる。前記溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチルラクトン等の溶媒を適宜混合した混合溶媒を用いることができる。前記電解質としては、六フッ化リン酸リチウム、4フッ化リン酸リチウム、或いは4フッ化硼酸リチウムを使用することができる。但しこれらに限定されるものではではない。
【0026】
電解液の量は、負極の膨張がカーボン系に比べて大きいため、これを考慮し、決定する必要がある。電池の内部で電解液を保持できる場所は、正極及び負極の活物質層の細孔内部、セパレータの微細孔内部、正極及び負極とセパレータの間の隙間、電極積層体の中心部のセパレータのみを捲いてある部分のセパレータとセパレータの隙間、捲回した時の捲回軸芯の隙間、缶の内側の部分と捲回群の間の隙間、及び電極積層体の上側と下側の隙間である。これらの隙間の全てに電解液を入れるのは、電池を作製する上でも現実的ではないし、また、1サイクル目の充電時に若干の電解液が分解しガスが発生して電池の内部圧力を上昇させたり、負極の膨張により電池の内部圧力を上昇させることになる。この内部上昇の程度が大きいと、一般的に安全機能として用いられているリチウムニ次電池の電流遮断スイッチが作動し、充放電ができなくなる。
【0027】
電池ケース204は、ステンレス、ニッケル、ニッケルメッキを施した鉄、或いは銅等で構成してもよい。また、軽さが要求される場合には、アルミニウムで構成することもできる。電池ケース204の構成材用がステンレス、ニッケル、ニッケルメッキを施した鉄、或いは銅である場合には、負極端子216と電気的に接続されている。従って、単に接触のみでも、電気的な接続は可能であるが、信頼性を高めるためには、抵抗溶接、レーザー溶接、超音波溶接を施すのがよい。パッキン205及び207は、電気的に絶縁性であることが不可欠であり、他に化学的、電気化学的な安定性、気密性等が要求される。従ってパッキン205及び207は、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、或いはポリプロピレンで構成するのが好ましい。
【0028】
トップキャップ201は、使用環境下で、錆びなければ問題なく、ニッケルメッキした鉄、ニッケル、ステンレス等で構成される。トップキャップ201は、電池内の内圧が急激に上昇した場合、その圧力を電池外へ開放する為の開放孔202を有している。PTC203は、カーボンブラックをポリオレフィン系のバインダで混練したものをニッケル箔でサンドイッチしたものであり、温度の上昇と共に抵抗が急激に増加する素子である。電池に組み込まれたPTCは、大電流が流れると、その温度が上がり、抵抗が増大し、流れる電流を抑制する働きをする。図2では、PTC203はトップキャップ201と圧力感知板208の間に配置されているが、上記のような機能を必要としないならば、このPTC203は、必ずしも必要ではない。
【0029】
圧力感知板208が、トップキャップ201及びPTC203と共に積層されている部分は、平滑で強度があるが、電池の内部圧力を検知して、反転する部分は、薄くなっている。反転する圧力は、電池の仕様や、設計思想により異なるが、一般には、0.5MPa〜2MPa程度である。圧力感知板208には、電解液やその蒸気が接する可能性があり、また正極の電位がかかることから、その構成材料は電気化学的に安定でなければならない。こうしたことから圧力感知板208の材質は、正極215の集電体や正極端子209と同じようなアルミニウムを主成分とする材質のものが適している。また、圧力感知板208には反転する部分の周囲に沿って切り込み211が設けられている。これは、圧力感知板208が電池内の圧力が急激に上がった場合、反転するばかりではなく、電池内の圧力を電池外に開放するようにするものである。
【0030】
電流遮断リード210は、電解液やその蒸気が接する可能性があり、また正極215の電位がかかることから、電気化学的に安定でなければならない。従って電流遮断リード210の材質は、正極215の集電体や正極端子209と同じようなアルミニウムを主成分とする材質のものが適している。電流遮断リード210と圧力感知板208の溶接部である圧力感知板が反転することにより切断する溶接部212は、レーザー溶接、超音波溶接、抵抗溶接等により行なうことができるが、両者の材質がアルミニウムを主成分とする場合は、レーザー溶接や超音波溶接が適している。この圧力感知板が反転することにより、切断する溶接部212は圧力感知板208が反転することにより、破断しなければならず、かつ、通常は何ら問題なく通電できなければならない。
【0031】
上蓋のケース206も電解液やその蒸気が接する可能性があり、また正極215の電位がかかることから、電気化学的に安定でなければならない。従って上蓋のケース206の材質は、正極215の集電体や正極端子209と同じようなアルミニウムを主成分とする材質のものが適している。上蓋のケース206と正極端子209の溶接は、単に、強固に電気的に導通していれば良い。
【0032】
本発明の別の好ましい実施態様例を図3に徴して説明する。図3は、正極305と負極304を隔離体(セパレータ)303を介して積層した電極積層体を電池ケース301に挿入して、リチウム二次電池を組み立てた時の積層方向の断面を示している。正極305、負極304、隔離体303、電池ケース301、不示図の電解液に関しては、図2に示す円筒形のリチウム二次電池の場合と同一なものを用いることができる。蓋や安全機構部品に関しては、形状の違いから同一ではないが、該円筒形の場合に準じたものを用いることができる。
【0033】
図3に示す組立て時の積層形二次電池において、電極積層体の積層方向の隙間302は電池ケース301の内側と電極群最外部の隔離体303の間に存在する。図3では、隙間302は図の上部にのみ示されているが、必ずしも、上部ばかりとは限らない。前記円筒形二次電池と同じように、隙間は、正極305と隔離体303の間及び負極304と隔離体303の間にも存在する。また隔離体303が複数枚重なっている場合には、その隔離体303と隔離体303の間、また、図3には示されていないが、図の下部の電池ケース301と隔離体303の間にも隙間は存在する。負極活物質層の密度は、先に述べた円筒形二次電池の場合と同じで、0.8g/cm乃至1.4g/cmの範囲であり、積層方向の断面の隙間の総面積を、負極断面の総面積の0.6倍乃至1.8倍の範囲にすることによって、高容量でサイクル寿命の優れた積層形二次電池とすることができる。
【0034】
図2に示すような円筒形二次電池では、断面方向の隙間の多くは、電極積層体の中央部の隙間と、電池ケースと電極積層体の間の隙間に分かれて存在する。しかし、図3に示すような積層形二次電池では、円筒形二次電池におけるような電極積層体の中央部(捲回時に用いた軸芯がかって存在ところの隙間)に相当するものはなく、電極積層体と電池ケースの間の隙間が多くを占める。このような状態で、積層形二次電池を作製した場合、電極積層体が固定されていないため、不安定であり、取扱いには注意を要する。しかし、1回でも充電を行なえば、負極が適度に膨張し、該電極積層体は固定されるところとなる。
図3に示すような積層形電池の場合、電池組み立て時の電極積層体が固定されていないことによる不安定さを少なくするためには、隔離体の面積をできるだけ大きくし、その隔離体を電池ケースの壁面に接するようにして電極積層体を押え、化学的また電気化学的に安定な弾性体を、隙間の一部に入れる方法がある。そうした弾性体としては、ポリプロピレンやポリエチレンを主体とする不織布やスポンジ或いは金属のばね板等がある。この場合、不織布やスポンジ、ばね板等の加圧後の断面積は、隙間とはしない。
【0035】
【実施例】
以下に示す実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、これらの実施例は例示的なものであり、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0036】
【実施例1】
本実施例では、図2の示すような構成の円筒形リチウム二次電池を、以下に述べるようにして作製した。
1.負極の作製
負極の活物質として、組成がシリコン65wt%、錫30wt%、及び銅5wt%で平均粒径が約0.2μmである合金粉末ものを用いた。負極は、この合金粉末に、導電材としての天然黒鉛粉末、バインダーとしての12wt%のポリビニルアルコール水溶液及び2wt%のカルボキシメチルセルロース水溶液を加え、混練し、ペーストを調製した。このペーストの固形分の組成比は、前記合金粉末が66.5wt%、天然黒鉛20.0wt%、ポリビニルアルコールが10.5wt%、カルボキシメチルセルロースが3wt%である。このペーストを厚さ15μmの電解銅箔の両面に塗工した。この時、端子の溶接部を幅20mm未塗工部とするために間欠塗工した。乾燥温度は、80℃とした。塗膜層の単位面積当たりの重量は、3.0mg/cmとした。得られた負極の厚さは、片側の塗膜層の厚さが30μmであり、集電体の銅箔と、両側の塗工膜の厚さを合わせると、75μmであった。この結果、負極活物質層の密度は、1.0g/cmとなった。この負極を幅56.5mm、長さ680mm(端子溶接するための未塗工部含む、塗工部は660mm)に切断して、負極とした。この負極に厚さ50μm、幅3mmのニッケル箔を超音波溶接器で溶接した。
【0037】
2.正極の作製
正極活物質としての市販のコバルト酸リチウム、導電材としての天然黒鉛粉末、及びバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液を混合し、混練してペーストを調製した。このペーストの固形分の組成比は、コバルト酸リチウムが90wt%、天然黒鉛粉末が5wt%、ポリフッ化ビニリデンが5wt%である。このペーストを厚さ20μmの圧延アルミニウム箔の両面に塗工した。この時、端子の溶接部を幅20mm未塗工部とするために間欠塗工した。乾燥温度は、120℃とした。塗膜層の単位面積当たりの重量は、31mg/cmとした。得られた正極の厚さは、片側の塗膜層の厚さが120μmであり、集電体のアルミニウム箔と両側の塗工膜の厚さを合わせると、260μmであった。この正極を圧延機でプレスし、厚さをアルミニウム箔込みで、200μmとした。この結果、正極活物質層の密度は、3.4g/cmとなった。この正極を幅54.5mm、長さ655mm(端子溶接するための未塗工部含む、塗工部は635mm)に切断して、正極とした。この正極に、厚さ100μm、幅3mmのアルミニウム箔を超音波溶接器で溶接した。
3.セパレータ
セパレータとして、厚さ25μm、幅61mmの微孔性のポリプロピレンセパレータを用意した。
【0038】
4.電池の作製
太さ4mmの捲回軸を有する捲回機を用い、上記3で用意したセパレータを介して上記2で作製した正極と上記1で作製した負極を捲回して電極積層体を作製した。セパレータの長さは、捲回軸芯に空捲きし、最外周を覆うため、1420mmとした。正極の端子の位置は捲き始め部に、負極の端子の位置は捲き終わり部になるようにした。捲き終わり部は、熱溶着により、セパレータ同士を溶着した。得られた電極積層体の直径は、最大径が17.35mm、最小径が17.25mmであった。この電極積層体を内径17.50mmの18650形の円筒形の鉄にニッケルメッキを施した電池缶の容器内に挿入した。
この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.27cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.396cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.099cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.355cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、2.1965cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計2.1965cmを引いた値は0.2076cmである。この隙間の値0.2076cmが、負極が膨張した時に増加分として許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.396cmで割った値が69%であった。
【0039】
上記電池缶にネッキングを施し、上記電極積層体を固定させると共に、電池内部を密閉するための上蓋をセットする部分を設けた。この上蓋をセットする部分には、カシメ時に密閉化が完全にできるように、シール剤を塗布したポリプロピレン製のガスケットをセットした。
負極に溶接したニッケル箔を電池缶に抵抗溶接し、また、正極に溶接したアルミニウム箔に上蓋を溶接した。この上蓋には、電池内圧が上昇した時に、電流を遮断することが可能な電流遮断機構と外部短絡しても大電流が流れないような正温度抵抗素子、及び電池の内部圧力が異常に高くなった場合に、内部の圧力を電池外部に逃がすための圧力開放弁を備えている。
このようにして作製した電池を80℃で、20時間、真空乾燥した。次いで、5.2gの電解液(エチレンカーボネート30vol%とジエチルカーボネート70vol%からなる混合溶媒に1モルの六フッ化リン酸リチウムを溶解させた電解液)を上記電池容器内に導入した。この時、電池缶全体をほぼ真空状態にしておき、そこへ、電解液を導入する手法を採った。この後、上蓋で蓋をし、カシメを行ってリチウム二次電池を完成させた。
得られたリチウム二次電池を、1000mAの電流、上限制御電圧4.2Vで4時間充電し、充電後の休止を60分間とし、放電を1000mAで2.5Vまで行ない、活性化した。
【0040】
【実施例2】
実施例1で使用したのと同じ正極、負極及びセパレータを用い、負極の塗工部の長さを620mmに変え、正極の塗工部の長さを595mmに変えた以外は実施例1と同様にして18650形リチウム二次電池を作製した。
捲回時のセパレータの長さは1340mmであった。この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.19cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.372cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.093cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.335cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、2.0015cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計2.0015cmを引いた値は0.4026cmである。この隙間の値0.4026cmが、負極が膨張した時に許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.372cmで割った値が108%であった。
本実施例で得られたリチウム二次電池は、実施例1におけると同様にして活性化した。
【0041】
【実施例3】
実施例1で使用したのと同じ正極、負極及びセパレータを用い、負極の塗工部の長さを600mmに変え、正極の塗工部の長さを575mmに変えた以外は実施例1と同様にして18650形リチウム二次電池を作製した。
捲回時のセパレータの長さは、1300mmであった。この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.15cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.36cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.090cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.325cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、1.9365cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計1.9365cmを引いた値は0.4676cmである。この隙間の値0.4676cmが、負極が膨張した時に許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.36cmで割った値が130%であった。
本実施例で得られたリチウム二次電池は、実施例1におけると同様にして活性化した。
【0042】
【実施例4】
実施例1で使用したのと同じ正極、負極及びセパレータを用い、負極の塗工部の長さを570mmに変え、正極の塗工部の長さを54.5mmに変えた塗工部の長さを変えた以外は実施例1と同様にして18650形リチウム二次電池を作製した。
捲回時のセパレータの長さは、1240mmであった。この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.09cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.342cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.0855cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.31cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、1.839cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計1.839cmを引いた値は0.5651cmである。この隙間の値0.5651cmが、負極が膨張した時に許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.342cmで割った値が165%であった。
本実施例で得られたリチウム二次電池は、実施例1におけると同様にして活性化した。
【0043】
【比較例1】
実施例1で使用したのと同じ正極、負極及びセパレータを用い、負極の塗工部の長さを680mmに変え、正極の塗工部の長さを655mmに変えた以外は実施例1と同様にして18650形リチウム二次電池を作製した。
捲回時のセパレータの長さは、1240mmであった。この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.31cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.408cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.102cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.365cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、2.1965cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計2.1965cmを引いた値は0.5651cmである。この隙間の値0.2076cmが、負極が膨張した時に許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.408cmで割った値が51%であった。
本比較例で得られたリチウム二次電池は、実施例1におけると同様にして活性化した。
【0044】
【比較例2】
実施例1で使用したのと同じ正極、負極及びセパレータを用い、負極の塗工部の長さを540mmに変え、正極の塗工部の長さを515mmに変えた以外は実施例1と同様にして18650形リチウム二次電池を作製した。
捲回時のセパレータの長さは、1180mmであった。この電池の断面に占めるそれぞれの部材の面積は、正極活物質層とそれに対応する芯材の合計の断面積が1.03cm、正極の端子および未塗工部の断面積が0.007cm、負極活物質層のみの断面積が0.324cm、負極活物質層に対向する負極の芯材の断面積が0.081cm、負極の端子および未塗工部の断面積が0.0045cm、セパレータの断面積が0.295cmである。捲き芯は、電池の組み立て時には、電池缶の中には存在しない。したがって、電池缶の中に存在する部材の断面積の合計は、1.7415cmとなる。
一方、電池缶の内径の断面積は2.4041cmであり、この電池缶の断面積から部材の断面積の合計1.7415cmを引いた値は0.6626cmである。この隙間の値0.6626cmが、負極が膨張した時に許容される最大の断面積である。この隙間の断面積の値を、負極活物質層の断面積0.324cmで割った値が204%であった。
本比較例で得られたリチウム二次電池は、実施例1におけると同様にして活性化した。
【0045】
【充放電試験】
実施例1乃至4及び比較例1及び2で得られたリチウム二次電池のそれぞれについて初期容量を測定した。充放電条件は実施例1で述べた活性化条件と同じで、1000mAの電流、上限制御電圧4.2Vで4時間充電し、充電後の休止を60分間、放電を1000mA、終止電圧2.5Vとした。この条件で、200サイクルまで充放電を繰り返した。温度は、23℃から25℃の範囲である。得られた結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2005011699
【0047】
表1に示す結果から、次のことが理解される。即ち、実施例1、実施例2、実施例3、及び実施例4は、充放電回数が200サイクル後でも、2100mAh以上の容量を維持する。一方、比較例1では、100サイクル後ですでに初期容量の半分以下になってしまったので、試験を中止した。比較例2は比較例1ほどではないが、やはり、200サイクル後には容量が初期の半分以下になってしまった。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は顕著な作用効果を奏する。即ち、シリコン粉末若しくはシリコン合金粉末を用いた負極を有するリチウム二次電池では、充電時にこのシリコンやシリコン合金粉末にリチウムが挿入されることによって膨張する。しかし、本発明によれば、負極の活物質層の密度と断面の隙間を一定の範囲にコントロールすることにより、膨張をできるだけ小さく抑えることができ、膨張による悪影響を低減し、高容量でサイクル寿命の優れたリチウム二次電池を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】組み立て時のリチウム二次電池の断面を示す。
【図2】本発明を適用できるリチウム二次電池の一例(円筒形)を示す。
【図3】本発明を適用できるリチウム二次電池の他の一例(積層形)を示す。
【符号の説明】
101 電池缶
102 セパレータと電池缶の間の隙間
103 セパレータ
104 負極
105 正極
106 捲回軸芯があったところの隙間
201 トップキャップ
202 開放孔
203 PTC
204 電池ケース
205 パッキン
206 上蓋のケース
207 パッキン
208 圧力感知板
209 正極端子
210 電流遮断リード
211 切り込み
212 圧力感知板が反転することにより、切断する溶接部
213 隔離体
214 負極
215 正極
216 負極端子
217 捲回軸芯を取り除いたあとの隙間
301 電池ケース
302 電池ケースと隔離体の間の隙間
303 隔離体
304 負極
305 正極

Claims (6)

  1. 正極とシリコン粉末またはシリコン合金粉末を用いた負極活物質層を有する負極をセパレータを介して捲回した電極積層体を有するリチウム二次電池において、前記電池の組み立て時の前記負極活物質層の密度が0.8乃至1.4g/cmの範囲であり、前記電池の組み立て時の電極面に対して、垂直方向の切断面における隙間部分の総面積が、前記負極活物質層の総面積の0.6倍乃至1.8倍の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 正極とシリコン粉末またはシリコン合金粉末を用いた負極活物質層を有する負極をセパレータを介して積層した電極積層体を有するリチウム二次電池において、前記電池の組み立て時の前記負極活物質層の密度が0.8乃至1.4g/cmの範囲であり、前記電池の組み立て時の積層方向の切断面における隙間部分の総面積が、前記負極活物質層の総面積の0.6倍乃至1.8倍の範囲であることを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 前記負極の放電量が1000〜2700mAh/gである請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記正極の充放電時の膨張が10%以内である請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記電極積層体は電池容器に収納されていて、前記隙間が実質的に前記セパレータと前記正極の間、前記セパレータと前記負極の間、前記セパレータと前記電池容器の間、及び積層された前記セパレータ同士間にある請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記隙間は、電極を捲回する方法においては、捲回時の圧力を制御することにより形成されるものであり、電極を積層する方法においては、積層時の圧力を制御することにより形成されるものである請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
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