JP2558587B2 - ニッケル−水素二次電池用の負極 - Google Patents

ニッケル−水素二次電池用の負極

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JP2558587B2
JP2558587B2 JP5014532A JP1453293A JP2558587B2 JP 2558587 B2 JP2558587 B2 JP 2558587B2 JP 5014532 A JP5014532 A JP 5014532A JP 1453293 A JP1453293 A JP 1453293A JP 2558587 B2 JP2558587 B2 JP 2558587B2
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nickel
sheet
negative electrode
battery
hydrogen
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淳 古川
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニッケル−水素二次電池
用の負極に関し、更に詳しくは、電池を長寿命にし、し
かも電池内圧の上昇を防止することができるニッケル−
水素二次電池用の負極に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の電気・電子機器の小型軽量化、コ
ードレス化の進展に伴い、それらの電源として用いられ
る電池には、小型化・軽量化・高容量化への要求が高ま
っている。この要請に応える高容量電池として、最近、
ニッケル−水素二次電池が注目を集めている。
【0003】このニッケル−水素二次電池は、水素を負
極活物質として作動するものであり、導電基材に可逆的
に水素を吸蔵・放出することができる水素吸蔵合金を担
持させて成る負極と、通常、正極活物質として動作する
ニッケル水酸化物を導電基材に担持して成る正極とをア
ルカリ電解液中に配置して構成される。このニッケル−
水素二次電池には、円筒タイプと角型タイプのものが知
られているが、一般に、密閉型円筒電池の研究が進めら
れている。
【0004】この密閉型円筒電池は概ね次のようにして
製造されている。すなわち、まず、多孔質の導電シート
に水酸化ニッケルを主体としてペーストを充填して成る
正極シートと、電気絶縁性で多孔質の樹脂シート(セパ
レータ)と、水素吸蔵合金粉末を結着剤と一緒に混合し
たものを成形してシートにしたものや、導電性の多孔シ
ートの表面に水素吸蔵合金を層状に担持させて成るシー
トのような負極シートとをこの順序で重ね合わせたの
ち、全体を渦巻状に巻回して発電要素にする。ついで、
この発電要素を、負極端子も兼ねる円筒容器の中に収容
して発電要素の群裕度(筒内に収容したときにおける発
電要素が占める見掛け上の体積の割合)を所望の値に設
定したのち、所定のアルカリ電解液を注液し、全体を正
極端子も兼ねるふたで密封する。
【0005】このとき、アルカリ電解液がイオン伝導媒
体として機能できるためには、正極シート,セパレー
タ,負極シートはいずれも通液性を備えていることが必
要であるが、従来のニッケル−水素二次電池の場合、正
極シートは気孔率30%以上,セパレータの気孔率は6
0〜70%,負極シートは20〜30%程度のものが用
いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ニッケル−
水素二次電池もまた、ニッケル−カドミウム二次電池の
ような他の二次電池の場合と同じように、充放電を反復
するとその電池容量が漸減して使用寿命が尽きる。例え
ば、ニッケル−カドミウム二次電池に関するJIS規格
によれば、容量が定格容量の60%以下になった時点で
電池寿命は尽きたものと判定され、その間、500回以
上の充放電サイクルを反復できることが必要条件とされ
ている。
【0007】従来から知られているニッケル−水素二次
電池の場合、500回の充放電サイクル後における電池
容量は、概ね、定格の50〜70%程度である。逆にい
えば、容量が定格の50〜70%になるまでには、充放
電サイクル500回の使用寿命である。このようなこと
から、更に長い使用寿命を備えたニッケル−水素二次電
池の開発が求められている。
【0008】また、ニッケル−水素二次電池において
は、水素吸蔵合金の充電反応が起こる電位は水の電解電
位に近接した値であるため、充電終期に水素ガス圧の加
算に基づく電池内圧の上昇が起こる。この内圧上昇を抑
制するためには、負極の容量を大きくすればある程度緩
和することは可能であるが、しかしそのような処置は、
負極容積を大きくすることであり、電池の高エネルギー
密度化という点で好ましくない。
【0009】本発明は、従来のニッケル−水素二次電池
における上記した問題を解決することができ、使用寿命
が長く、また充電時の電池内圧の上昇が抑制されている
ニッケル−水素二次電池の負極として有用なニッケル−
水素二次電池用負極の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、少なくとも表面がニッケル
から成る導電性多孔シートと、前記導電性多孔シートの
表面を被覆し、5〜15%の気孔率を有する水素吸蔵合
金層とから成ることを特徴とするニッケル−水素二次電
池用の負極が提供される。
【0011】本発明の負極における導電基材として用い
られる多孔シートとしては、例えば、発泡ニッケルのシ
ート,ニッケルネット,パンチングニッケルシートなど
をあげることができる。これらのうち、パンチングニッ
ケルシートは、可撓性が良好であるため、例えば円筒電
池の発電要素を製造するときに巻回しやすいとともに、
後述する水素吸蔵合金層を強固に担持することができる
ので好適である。
【0012】このパンチングニッケルシートとしては、
例えば、所定厚みのニッケルシートに所定径の小孔を全
体の開孔率が30〜40%となるように複数個穿設した
ものや、また、所定径の小孔が所望の開孔率で複数個穿
設されている例えば樹脂多孔シートにニッケルをめっき
または蒸着したものなどをあげることができる。この多
孔シートの表面を被覆して水素吸蔵合金層が形成され
る。形成される水素吸蔵合金層の気孔率は、後述する方
法によって、5〜15%に設定される。
【0013】この気孔率が5%より小さくなると、容量
が定格の80%にまで低下するまでの充放電サイクル回
数が減少しはじめるとともに、過充電時の電池内圧が急
激に上昇しはじめる。また、気孔率が15%よりも大き
くなると、容量が定格の80%に達するまでの充放電サ
イクル回数は500回より少なくなるとともに、電池内
圧の上昇がはじまるからである。
【0014】この負極は次のようにして製造することが
できる。それをパンチングニッケルシートの場合につい
て説明する。まず、所定粒径の水素吸蔵合金粉末の所定
量を、例えばイオン交換水にメチルセルロース,カルボ
キシメチルセルロース,ポリエチレンオキシド,ポリビ
ニルアルコールのような増粘剤の1種または2種以上を
溶解して成る溶液に分散させてスラリーを調製する。
【0015】ついで、このスラリーにパンチングニッケ
ルシートを浸漬して、当該シートを所定の速度で引き上
げて、表面にスラリーを付着させる。この引き上げ時
に、シートを所定の間隔で対向する2枚のドクターブレ
ードの間に通し、付着したスラリーを所望の厚みの層に
する。得られたシートの付着スラリー層を乾燥し、その
後、全体に圧延処理を施してこの水素吸蔵合金層をパン
チングニッケルシートに保持させる。
【0016】ここで、付着スラリー層の厚みと、圧延時
におけるその圧下量とを調整することにより、得られる
水素吸蔵合金層の気孔率を所定の値に設定することがで
きる。例えば、厚みが一定の水素吸蔵合金層を形成する
場合、上記した工程において、付着スラリー層の厚みを
厚くして圧延すれば、その付着スラリー層の圧下量は大
きくなるので、小さい気孔率の水素吸蔵合金層を得るこ
とができる。逆に、付着スラリー層の厚みを薄くして圧
延すれば、圧下量は小さくなるので、大きい気孔率の水
素吸蔵合金層を形成することができる。
【0017】
【発明の実施例】まず、アーク溶解法で、組成:MmN
3.3 Co1.0 Mn0.4 Al0.3 (ただし、Mmはミッ
シュメタルを表す)で示される水素吸蔵合金を製造した
のち、これを粉砕して150メッシュ(タイラー篩)下
の合金粉末にした。一方、イオン交換水100重量部に
対し、カルボキシメチルセルロース1重量部を溶解して
分散液を調製した。
【0018】この分散液100重量部に対し、上記合金
粉末400重量部,ポリフッ化ビニリデン12重量部,
Ni粉60重量部を投入して分散させ、スラリーを調製
した。このスラリーに、直径1.5mmの小孔が開孔率38
%で千鳥模様に穿設され、厚み70μm,幅150mmの
パンチングニッケルシートを浸漬したのち、このシート
を上方に連続的に引き上げた。
【0019】ドクターブレー間の間隔を変えて、この
シートの両面に厚みが異なる付着スラリー層を形成した
のち、それぞれを100℃で15分間加熱し、更に圧延
することにより、全てのシートについて厚みは0.4mmと
一定であるが、気孔率はそれぞれ異なっている水素吸蔵
合金層を形成した。各シートを170℃で30分間焼成
し、全体の厚みは0.4mmと一定であるが、気孔率が異な
る水素吸蔵合金層を担持する各種の負極シートにした。
ここで、例えば、気孔率が5%の水素吸蔵合金層を得る
場合、圧延前のシートの全体の厚みは1mmとし、当該1
mmのシートを0.4mmまで圧延した。また、気孔率が15
%の水素吸蔵合金層を得る場合、圧延前のシートの全体
の厚みは0.8mmとし、当該0.8mmのシートを0.4mmまで
圧延した。
【0020】一方、スポンジ状ニッケルシートに水酸化
ニッケルペーストを2.6g/ml充填して成り、気孔率
は30%で、厚み0.6mmの正極シートを製造し、また、
厚み0.18mmで気孔率65%のナイロンシートをセパレ
ータとして用意した。各負極シートとセパレータと正極
シートをこの順序で重ね合わせて巻回して発電要素を製
造したのち、これを円筒容器に収容し、7Nの水酸カリ
ウム電解液を注液し、全体をふたで密封した。この密封
型円筒電池において、群裕度はいずれも94%,電解液
が占有する空間体積は95%になっている。
【0021】これら各電池につき、下記の仕様で充放電
サイクル試験を行い、定格の80%になるまでのサイク
ル数を計測した。 充電 1C −△V制御 放電 1C 1.0Vまで 温度 25℃ また、下記の仕様で過充電内圧試験を行い、電池内圧を
測定した。
【0022】 充電 1C 4.5hr 温度 20℃ 以上の結果を、水素吸蔵合金層の気孔率との関係として
図1に示した。図中、−○−印は充放電サイクル回数を
表し、−●−印は電池内圧を表す。
【0023】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
負極を組込んだ電池は、定格の80%までの充放電サイ
クル回数が多く長寿命であり、また電池内圧も抑制され
ている。これは、負極の気孔率を5〜15%と規制した
ことがもたらす効果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】負極の気孔率と電池特性との関係を示すグラフ
である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面がニッケルから成る導電
    性多孔シートと、前記導電性多孔シートの表面を被覆
    し、5〜15%の気孔率を有する水素吸蔵合金層とから
    成ることを特徴とするニッケル−水素二次電池用の負
    極。
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