JP2002175723A - 導電性樹脂組成物及び導電性射出成形品 - Google Patents

導電性樹脂組成物及び導電性射出成形品

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JP2002175723A JP2000370277A JP2000370277A JP2002175723A JP 2002175723 A JP2002175723 A JP 2002175723A JP 2000370277 A JP2000370277 A JP 2000370277A JP 2000370277 A JP2000370277 A JP 2000370277A JP 2002175723 A JP2002175723 A JP 2002175723A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度電子デバイスを搬送するトレイ等の成
形材料として好適な、射出成形などの溶融成形品とした
場合においても、良好な導電性を発現し、かつ成形品の
場所による表面抵抗値のばらつきが少ない導電性射出成
形品を得ることができる導電性樹脂組成物と、この導電
性樹脂組成物を射出成形してなる導電性射出成形品を提
供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂と繊維径200nm以下の
炭素フィブリルを含む主成分(A)100体積部に対し
て、ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニ
ウムウィスカ(B)を0.5〜30体積部添加してなる
導電性樹脂組成物。この導電性樹脂組成物を射出成形し
てなる導電性射出成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性樹脂組成物
及び導電性射出成形品に関するものであり、例えば電気
電子分野や、自動車分野などにおける各種導電性成形品
の成形材料として有用な導電性樹脂組成物、とりわけL
SI、液晶ディスプレイ、ハードディスクなどの高密度
電子デバイスの製造、搬送工程におけるトレイやケー
ス、パッケージなどの帯電防止性成形品の成形材料とし
て有効な導電性樹脂組成物と、この導電性樹脂組成物よ
りなる導電性射出成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂
に、微細な炭素フィブリルを導電性フィラーとして添加
混合した導電性樹脂組成物は、比較的少量の炭素フィブ
リル配合で優れた導電性を発現する成形品が得られる
(特表平8−508534号公報など)上に、成形品か
らの炭素フィブリルの脱落等による発塵の問題が少な
く、また不純物が少ないなどの利点を有する。特に、熱
可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いたもの
は、ポリカーボネート樹脂に由来する成形品の高い寸法
精度及び耐熱性と、強度のバランスに優れるなどの利点
を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭素フ
ィブリルは、特殊な製造プロセスを用いて製造されるた
め、これを用いた樹脂組成物はコストアップにつながり
易い。また、炭素フィブリルを配合した導電性樹脂組成
物を用いた成形品の表面抵抗値は、成形品の場所間での
ばらつきが大きいなどの問題もある。
【0004】即ち、樹脂に導電性物質を添加した導電性
樹脂組成物を射出成形することにより得られた成形品
は、射出成形時のゲート部分(金型内に樹脂を注入する
部分)の近辺では、他の部分と比較して電気抵抗値が高
くなり、ゲートから遠い部分は抵抗値が低下する傾向が
あるが、導電性物質として炭素フィリブルを用いたもの
は、特にこのばらつきが大きい。このような表面抵抗値
のばらつきは、特に成形品を、微弱な静電気でも簡単に
機能破壊を起こす高密度電子デバイスを搬送するトレイ
等の用途に用いる場合、トレイの表面に部分的に帯電が
発生したり、或いは放電が生じ易くなり、高密度電子デ
バイスの機能破壊を起こす原因となるため、問題であ
る。
【0005】本発明は高密度電子デバイスを搬送するト
レイ等の成形材料として好適な、射出成形などの溶融成
形品とした場合においても、良好な導電性を発現し、か
つ成形品の場所による表面抵抗値のばらつきが少ない導
電性射出成形品を得ることができる導電性樹脂組成物
と、この導電性樹脂組成物を射出成形してなる導電性射
出成形品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性樹脂組成
物は、熱可塑性樹脂と繊維径200nm以下の炭素フィ
ブリルを含む主成分(A)100体積部に対して、ホウ
酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニウムウィ
スカ(B)を0.5〜40体積部添加してなることを特
徴とする。
【0007】本発明において、ホウ酸アルミニウム粉末
及び/又はホウ酸アルミニウムウィスカを添加すること
による表面抵抗値の改善効果の作用機構の詳細は明らか
でないが、次のように推定される。
【0008】即ち、炭素フィブリルを含む導電性樹脂組
成物による導電性は、炭素フィブリルの適度な分散状態
により、導電性のネットワークが形成されて発現する
が、その炭素フィブリルの分散状態は、成形時の樹脂の
流動状態に大きく依存し、例えば、ゲート付近のように
流動の速い部分では剪断応力により導電性ネットワーク
の破壊が生じる。このため従来の成形品では、ゲート付
近では表面抵抗値が高くなり、ゲートから遠い部分ほど
表面抵抗値が低下する傾向となる。
【0009】これに対して、本発明では、ホウ酸アルミ
ニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニウムウィスカの存
在により、成形時の樹脂の流動性が改善され、上記剪断
力による炭素フィブリルのネットワークの破壊が抑制さ
れ、これにより表面抵抗値のばらつきのない成形品が得
られる。また、炭素フィブリルのネットワーク破壊の抑
制で、導電性も向上するため、高価な炭素フィブリルの
配合量を少なくした上で、良好な導電性を得ることがで
きる。
【0010】本発明において、熱可塑性樹脂としては、
ポリカーボネート樹脂が好ましく、また、主成分(A)
中の炭素フィブリルの含有量は0.5〜10重量%であ
ることが好ましい。
【0011】本発明の導電性射出成形品は、このような
本発明の導電性樹脂組成物を射出成形してなるものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0013】<熱可塑性樹脂>本発明で使用する熱可塑
性樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、
ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホ
ン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビ
ニル、フッ素樹脂、液晶性ポリエステル等の熱可塑性樹
脂の1種又は2種以上の混合物、或いは、このような熱
可塑性樹脂にその特性を損なわない範囲でフェノール、
エポキシイミド、ウレタン等の熱硬化性樹脂の1種又は
2種以上を混合したものが挙げられる。使用する樹脂の
種類や配合割合は、得られる成形品の使用目的に応じ
て、機械的強度、成形性等の特性から適宜決定される。
【0014】なお、本発明に用いる熱可塑性樹脂はクロ
ルイオン(Cl)溶出量の少ない樹脂が好適である。
これは、成形品とした際にクロルイオンが浸み出すと、
接触した半導体等の表面を腐食させる原因となり、高密
度電子デバイスを搬送するトレイ等の用途に用い得ない
からである。
【0015】熱可塑性樹脂のクロルイオンの溶出量は、
その樹脂ペレット50gを、純水500ml中で80℃
にて1hr攪拌後、この水をイオンクロマトグラフで分
析して測定した樹脂ペレット1g当たりのクロルイオン
溶出量(以下、この測定方法で測定したクロルイオン溶
出量を「50℃/1g樹脂ペレット−クロルイオン溶出
量」と称す。)で50ng/g以下、特に10ng/g
以下であることが好ましい。
【0016】熱可塑性樹脂としては、上述の熱可塑性樹
脂の中でもポリカーボネート樹脂が、成形品の寸法精
度、耐熱性、機械物性などのバランスが良好な点で望ま
しい。
【0017】ポリカーボネート樹脂としては、例えば界
面重合法、ピリジン法、クロロホーメート法などの溶液
法により、二価フェノール系化合物の主成分にホスゲン
を反応させることによって製造される一般的なものを使
用できる。
【0018】熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂
を用いる場合、最終的な成形品中のポリカーボネート樹
脂の重量平均分子量が、30,000〜45,000、
望ましくは35,000〜43,000となるように、
予め原料ポリカーボネートの分子量や、製造条件を選ぶ
ことが望ましい。分子量がこの範囲内であると、導電性
に優れ、かつ機械的強度を低下させない点で有利であ
る。
【0019】また、熱可塑性樹脂としてポリカーボネー
ト樹脂を使用する場合には、炭素フィブリルとホウ酸ア
ルミニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニウムウィスカ
等の添加剤を配合して射出成形する際に、配合物がより
良好な均一性で分散するために、280℃、2.16K
g荷重で測定したがメルトフローレートが、6〜20g
/10分のポリカーボネート樹脂を用いることが好まし
い。
【0020】<炭素フィブリル>本発明で使用される炭
素フィブリルとしては、平均繊維径が200nm以下の
炭素フィブリルが好ましく、例えば特表平8−5085
34号公報に記載されているものを使用することができ
る。
【0021】炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱
状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファ
イト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うね
うねと曲がりくねった管状の形態を有する。この、炭素
フィブリルの繊維径は製法に依存し、ほぼ均一なもので
あるが、ここで言う平均繊維径とは顕微鏡観察して5点
測定した平均値を指す。炭素フィブリルの平均繊維径が
200nmより大きいと、樹脂中でのフィブリル同士の
接触が不十分となり、導電性を発現させるための必要添
加量が多くなったり、また安定した導電性が得られなく
なる場合がある。従って、炭素フィブリルとしては平均
繊維径200nm以下、特に100nm以下、とりわけ
50nm以下のものが好ましい。
【0022】一方、炭素フィブリルの平均繊維径は、
0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ま
しい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難で
ある。
【0023】また、炭素フィブリルは、長さと径の比
(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のものが好
ましく、特に100以上、とりわけ1000以上の長さ
/径比を有するものが、導電性ネットワークを形成しや
すく、少量添加で優れた導電性を発現することができる
点で好ましい。なお、この炭素フィブリルの長さ/径比
は、透過型電子顕微鏡での観察において、10本の実測
値の平均値によって得られる。
【0024】また、微細な管状の形態を有する炭素フィ
ブリルの壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75
nm程度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径
の約0.1〜0.4倍に相当する。
【0025】炭素フィブリルはその少なくとも一部分が
凝集体の形態である場合、原料となる樹脂組成物中に、
面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有する
フィブリル凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径
を有するフィブリル凝集体を含有していないことが、所
望の導電性を発現させるための添加量が少なくてすみ、
機械物性を低下させない点で望ましい。
【0026】このような炭素フィブリルは、市販品を使
用することができ、例えば、米国ハイペリオンカタリシ
スインターナショナル社の「BN」が使用可能である。
【0027】本発明において、炭素フィブリルの配合量
は、ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニ
ウムウィスカを除いた樹脂組成物中の主成分(この主成
分中には、熱可塑性樹脂と炭素フィブリルと後述の第三
成分を含む。)(A)中に0.5〜10重量%、特に1
〜5重量%であることが好ましい。炭素フィブリルの配
合量が上記範囲より少ないと十分な導電性が発現せず、
多いと成形性が著しく低下したり、成形体強度が低下し
たりするため好ましくない。
【0028】<ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ
酸アルミニウムウィスカ>本発明で用いるホウ酸アルミ
ニウムは、9Al・2Bや2Al
の化学式を有するものであり、例えば特開昭6
3−319298号公報や、特開昭63−319299
号公報に開示されているように、酸化アルミニウム供給
成分と無水ホウ酸供給成分とをアルカリ金属塩の溶融剤
の存在下、所定温度に加熱して針状に成長させて製造さ
れたものを使用することができる。
【0029】ホウ酸アルミニウムの形状としては、粒子
状であっても、繊維状であっても良いが、平均繊維直径
5μm以下のウィスカを使用することが、発塵性を悪化
させない点で望ましい。
【0030】ホウ酸アルミニウムウィスカの長さと径の
比(長さ/径比、即ちアスペクト比)は5以上のものが
好ましく、より好ましくは10以上である。このような
長さ/径比を有するホウ酸アルミニウムウィスカは、炭
素フィブリルとの混合性に優れ、均一な分散状態が得ら
れるだけでなく、発塵性に優れる(即ち、発塵しない)
点で望ましい。なお、ホウ酸アルミニウムウィスカの長
さと径の比は、顕微鏡での観察において10本の実測値
の平均値により得られる。
【0031】ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸
アルミニウムウィスカの添加量は、熱可塑性樹脂と炭素
フィブリルを含む主成分(この主成分中には、後述の第
三成分を含む。)(A)100体積部に対して、0.5
〜40体積部、望ましくは0.5〜35体積部、さらに
望ましくは1〜30体積部である。
【0032】ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸
アルミニウムウィスカの添加量が上記範囲より少ない
と、得られる成形品のゲート付近の導電性が低下せず、
表面抵抗値が高くなり、逆にこの範囲よりも多いと、成
形性や成形品の物性を損なうだけでなく、発塵性が悪化
したり、抵抗値が増大するので望ましくない。
【0033】なお、ホウ酸アルミニウム粉末を用いる場
合、その平均粒径は0.1〜50μmであることが望ま
しい。
【0034】<製造方法>本発明の導電性樹脂組成物は
常法に従って製造することができる。
【0035】例えば、ポリカーボネート樹脂と炭素フィ
ブリルとホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸アル
ミニウムウィスカとを予め混合したのち、バンバリーミ
キサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、
二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練すること
によって本発明の導電性樹脂組成物を製造できる。
【0036】その後、得られた導電性樹脂組成物を各種
の溶融成形法を用いて成形することにより導電性成形品
を得ることができる。
【0037】この成形法としては、具体的にはプレス成
形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形な
どを挙げることができるが、これらの成形方法の中でも
特に射出成形が生産性が高い点で望ましい。
【0038】射出成形方法としては、一般的な射出成形
法のほかに、インサート射出成形法による金属部品、そ
の他の部品との一体成形や、二色射出成形法、コアバッ
ク射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクシ
ョンプレス成形法等の各種成形法を採用することができ
る。
【0039】なお、射出成形においては、樹脂温度、金
型温度、成形圧力によって得られる成形品の表面抵抗値
が変化するので、目的に応じて適切な条件が設定されな
ければならない。
【0040】本発明の導電性樹脂組成物を射出成形する
場合、金型のキャビティより樹脂を注入する際のゲート
(注入口)としては、サイドゲート、フィルムゲート、
サブマリンゲート、ピンゲートなどを使用することがで
きる。これらのゲートの断面積は、0.2mm以上で
あることが望ましい。
【0041】ゲートとしては、上記のものの中でも、成
形後にゲート処理が不要なピンゲートが生産性の点で望
ましいが、その場合には、ピンゲートの直径は0.5〜
3mm、特に1.0〜2.5mmであることが好まし
い。
【0042】ピンゲートのゲート直径は、樹脂が金型内
に十分に充填できる範囲内であれば小さい方が望まし
く、一般的に0.2〜0.5mmである。しかしなが
ら、ゲート直径(断面積)が小さいと、ゲート部分を樹
脂が流れる際に過度の剪断を受けるため、前述の炭素フ
ィブリルによる導電性ネットワークの破壊が起こりやす
い。このため、ゲート直径は好ましくは0.5mm以
上、より好ましくは1.0mm以上とする。
【0043】しかし、ゲート直径が大きすぎると、成形
品のゲート部の切れが悪化して仕上がりが悪くなること
から、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5m
m以下とする。
【0044】また、熱可塑性樹脂としてポリカーボネー
ト樹脂を使用する場合、成形条件としては、射出成形に
よる分子量の低下が2%以上、特に2〜5%となるよう
に成形条件を設定すると、金型内での樹脂の流動が適正
な状態となり、炭素フィブリルの導電性ネットワークの
破壊が生じにくいものとなり、その結果、成形品の導電
性が良好となる点で望ましい。
【0045】<第三成分>本発明の導電性樹脂組成物に
は必要に応じて、上記の性能を損なわない範囲で第三成
分を配合することができる。
【0046】このような第三成分としては、例えば、ア
ラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機
繊維状強化材、フッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン
等の固体潤滑剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防
止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑
剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリッ
プ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった
各種添加剤を挙げることができる。
【0047】さらに本発明の導電性樹脂組成物は、その
効果を損なわない範囲内で、炭素フィブリル以外の導電
性フィラーを付加成分として添加してもよい。添加し得
る導電性フィラーとしては、例えば、アルミニウム、
銀、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレス、真鍮、チタンな
どの金属フィラー、黒鉛(人工黒鉛、天然黒鉛)、ガラ
ス状カーボン粒子、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム
等の金属酸化物系充填材などの導電性充填材が挙げられ
る。
【0048】なお、金属酸化物系フィラーのなかでも格
子欠陥の存在により余剰電子が生成して導電性を示すも
のの場合には、ドーパントを添加して導電性を増加させ
たものを用いてもよい。例えば、酸化亜鉛にはアルミニ
ウム、酸化スズにはアンチモン、酸化インジウムにはス
ズ等がそれぞれドーパントとして用いられる。また炭素
繊維などに金属をコーティングしたり、チタン酸カリウ
ムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカの表面に導電
性酸化スズ又は導電性カーボンをコーティングした複合
系導電性フィラーを使用することもできる。
【0049】いずれの場合であっても、最終的な導電性
樹脂成形品を60℃の純水中に1hr攪拌した後、この
水をイオンクロマトグラフで分析して測定した成形品1
g当たりのクロルイオン溶出量(以下、この測定方法で
測定したクロルイオン溶出量を「60℃/1g樹脂成形
品−クロルイオン溶出量」と称す。)が5ng/g以下
であることが、半導体等を載置して運搬、移送するに用
いるトレイ等を製造した際に半導体の腐食等の弊害を防
止するために好適である。
【0050】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。
【0051】実施例1〜5、比較例1〜7 ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチ
ック(株)社製「ユーピロンS3000」(商品名))
と、炭素フィブリル(ハイペリオンカタリシスインター
ナショナル社製「ハイペリオン「BN」タイプ」(商品
名);繊維直径10nm、長さ/径比50以上)の混合
物(炭素フィブリル含有量3.3重量%)を製造し、こ
のものに、表1に示すホウ酸アルミニウム粉末、ホウ酸
アルミニウムウィスカ又はその他の添加成分を、表3に
示す配合比で配合した。
【0052】
【表1】
【0053】なお、炭素フィブリルの配合には、予めポ
リカーボネート樹脂に炭素フィブリル15重量%を配合
混練したマスターバッチを使用した。
【0054】また、使用したポリカーボネート樹脂の5
0℃/1g樹脂ペレット−クロルイオン溶出量は5ng
/g以下であった。また、280℃、2.16Kg荷重
での測定におけるメルトフローレートは13.2g/1
0分であった。
【0055】次にこの配合物を2軸押出機(池貝鉄鋼社
製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、
D;スクリュー径))を用いて、混練温度280℃、ス
クリュー回転数160rpmにて溶融混練して樹脂組成
物のペレットを得た。
【0056】なお、実施例1〜5の樹脂ペレットを用い
て、樹脂組成物のクロロホルム溶液(2mg/ml)を
調整し、これを0.2μmフィルターで濾過して炭素フ
ィブリルとホウ酸アルミニウム粉末又はウィスカとを分
離してポリカーボネート溶液を得た。次に、このポリカ
ーボネート溶液を用いて、GPCにて重量平均分子量
(Mw)を以下の条件で測定し、結果を表2に示した。 検出器:Waters UV490(254nm) カラム:Shodex GPC AD−806MS カラム温度:30℃ 流量:1ml/min 内標:トルエン 注入量:0.05ml
【0057】各樹脂組成物のペレットを用いて、75ト
ン(型締め圧)射出成形機(ゲート直径1.8mm)に
より、図1(a),(b)に示すサンプル1を評価に必
要な個数成形した。成形は、金型温度90℃で、表2に
示す成形温度にて、注入速度35〜40cc/secで
行った。なお、図1(b)において、2はゲート跡を示
す。
【0058】実施例2、3、4、5の成形品について表
面を研磨し、それぞれの研磨面を走査型電子顕微鏡(S
EM)にて観察した結果、ホウ酸アルミニウムウィスカ
の長さ/径比は10以上であった。
【0059】また、実施例1〜5の成形品よりサンプリ
ングして、前述の樹脂ペレットと同様の方法で重量平均
分子量(Mw)を測定し、結果を表2に示した。
【0060】
【表2】
【0061】表2より、実施例1〜5では、射出成形に
よるポリカーボネート樹脂の分子量の低下が2〜5%の
範囲であることがわかる。
【0062】得られた成形品について、下記の測定方法
で表面抵抗値、発塵性(パーティクル)、及びクロルイ
オン溶出量を調べ、結果を表3に示した。 (1)表面抵抗値測定 図1のサンプルについて、ダイヤインスツルメント社製
ハイレスタUPを使用して、UAプローブ(2探針プロ
ーブ、探針間距離20mm)にて印加電圧は10Vで図
1(b)のA、B部の表面抵抗値を測定した。 (2)発塵性 純水500mlに図1のサンプル1枚を浸漬し、超音波
(40KHz、0.5W/cm)を60秒間印加し
た。その後、純水を取り替えて同様の処理を行い、2度
目に抽出した純水を液中パーティクルカウンター(セイ
シン企業社製「PAC150」(商品名))にて、粉塵
粒子径1μm以上2μm未満の数量を測定した。測定値
をサンプルの表面積(280cm)で割って、1cm
当たりの発塵量を算出した。なお、容器はPP製容器
を使用した。 (3)クロルイオン溶出量 純水500mlに図1のサンプル1枚をPP容器中で浸
漬し、60℃ウォーターバス中で60分攪拌した。その
後、イオンを抽出した純水中のクロルイオンをイオンク
ロマトグラフ法にて分析し、サンプル1g当たりの溶出
量を算出して、60℃/1g樹脂成形品−クロルイオン
溶出量を求めた。
【0063】
【表3】
【0064】表3より、本発明の導電性樹脂組成物は表
面抵抗値が低く(即ち、導電性が良好で)表面抵抗値の
ばらつきが少なく、しかも発塵も少なく、また、クロル
イオンによる腐食の問題もないことがわかる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の導電性樹脂
組成物によれば、ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホ
ウ酸アルミニウムウィスカを添加することによって、表
面抵抗値を低下させ、導電性を向上させると共に、成形
品の抵抗値のばらつきを著しく低減することができる。
【0066】本発明によれば、導電性に優れ、かつ成形
品の表面抵抗値のばらつきが少なく、しかも発塵やイオ
ンによるコンタミネーションの少ない導電性射出成形品
が提供され、このような導電性射出成形品は、特に、高
密度電子デバイスを搬送するトレイ等の用途に工業的に
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は実施例及び比較例において成形し
たサンプルを示す斜視図であり、図1(b)は同平面図
である。
【符号の説明】
1 サンプル 2 ゲート跡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 69/00 C08L 69/00 101/00 101/00 Fターム(参考) 4F071 AA50 AB03 AB27 AE15 AF37 AH12 BA01 BB05 4J002 AA011 CG011 DA016 DK007 FA046 FA067 GQ00 5G301 DA20 DA32 DA42 DD08 DD10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と繊維径200nm以下の
    炭素フィブリルを含む主成分(A)100体積部に対し
    て、ホウ酸アルミニウム粉末及び/又はホウ酸アルミニ
    ウムウィスカ(B)を0.5〜40体積部添加してなる
    導電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、熱可塑性樹脂が、ポ
    リカーボネート樹脂である導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、主成分(A)
    中の炭素フィブリルの含有量が0.5〜10重量%であ
    る導電性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項の導電
    性樹脂組成物を射出成形してなる導電性射出成形品。
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