JP3041071B2 - 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物 - Google Patents

静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物

Info

Publication number
JP3041071B2
JP3041071B2 JP3073137A JP7313791A JP3041071B2 JP 3041071 B2 JP3041071 B2 JP 3041071B2 JP 3073137 A JP3073137 A JP 3073137A JP 7313791 A JP7313791 A JP 7313791A JP 3041071 B2 JP3041071 B2 JP 3041071B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin composition
composition according
zinc oxide
crystalline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3073137A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05247351A (ja
Inventor
直 今井
光正 奥
浩一郎 村澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP3073137A priority Critical patent/JP3041071B2/ja
Publication of JPH05247351A publication Critical patent/JPH05247351A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3041071B2 publication Critical patent/JP3041071B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電気拡散性摺動部材用
樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンター、ワープロ、複写機、
コンピュータ等のOA機器や、オーディオカセットデッ
キやVTR等の音響映像機器の発達が目覚ましく、その
摺動部の精密部品に、金属ではなくプラスチックが多用
されはじめている。プラスチックは、一般に優れた電気
絶縁材料であるが故に、摺動部材として用いられると自
ずと静電気が蓄積して帯電するようになる。このような
プラスチック部材に対する静電気の帯電現象は、最近の
精密なOA機器や音響映像機器においては、例えば静電
気に脆弱なICやトランジスタ等を破壊したり、紙やプ
ラスチックテープの走行障害をもたらすなど極めて重大
な障害をもたらす原因となっていた。
【0003】そのため、これらの摺動用プラスチック部
材を導電化する試みが成されてきた。その一つが、カー
ボンブラックやカーボン繊維などのカーボン系導電材を
樹脂に配合するものであり、他の一つは、特開昭62−
241966号公報に開示されている如く、樹脂に導電
性チタン酸カリウムウィスカと摺動性改良剤を配合する
ものである。
【0004】又、一方、特開平1−225663号公報
には、樹脂に酸化亜鉛ウィスカのみを配合した導電性樹
脂組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、非絶縁性樹脂
材料は通電の度合いにより、静電気防止性(表面抵抗
率:109 〜1014Ω/□)と、静電気拡散性(105
〜109 Ω/□)、それに導電性(105 Ω/□未満)
の3レベルに分類されてきた。
【0006】これらの3レベルの中で、静電気を常に確
実にかつ安全に除去するのは2番目の静電気拡散性の材
料とされている。
【0007】しかるに、従来提案されてきた上記樹脂材
料は基本的に導電性(105 Ω/□未満)があり、静電
気の拡散には最適なものではなかった。
【0008】即ち、樹脂にカーボン系の導電材を練り込
んだ材料の抵抗値は一般的に102〜104 Ω/□程度
と低く、それ以上の抵抗値を設計すると導電性が不安定
になる欠点を有していた。その原因は導電材であるカー
ボンの抵抗値が極めて低い(例えば100 Ω・cm以下)
ため、樹脂複合物の抵抗値の安定点も当然低くなるもの
である。従って、この材料は所謂「導電性」の材料とな
り、低抵抗過ぎて本来の意味の静電気の拡散には不向き
な材料であった。その上、この材料は、黒色とならざる
を得ず、最近のOA機器や音響映像機器のファッショナ
ブルなカラー化の趨勢に適応できないものであった。
又、摺動性に関しては、例えば導電性カーボンブラック
を使用した場合には、樹脂複合物の機械的強度が落ち、
摩耗が大きく潤滑性能が著しく損なわれるという欠点が
あった。又、カーボン繊維を使用した場合は、樹脂複合
物の表面粗度が大きく、摺動する相手材を摩耗し易い
上、潤滑性能に劣る欠点があった。
【0009】次に、導電性チタン酸カリウムウィスカを
導電材として用いた場合も、基本的にこの導電材の固有
抵抗値が低い(例えば、10-1〜104 Ω・cm)ため、
カーボン系の場合と同様に、樹脂複合物の抵抗値の安定
点(導電材を最大限に近く充填した時の状態)が低く、
これも所謂「導電性」レベルの材料であり、静電気拡散
性レベル(105 〜109 Ω/□)の材料を設計しよう
としてもバラツキが大きくなり、安定した静電気拡散性
樹脂が得られない欠点があった。
【0010】さらに、樹脂に酸化亜鉛ウィスカのみを配
合した導電性樹脂組成物は、摺動性においても幾多の優
れた点を保持していたが、高性能な摺動物材としてはさ
らに小さな動摩擦係数、高い限界PV値、少ない摩耗量
が求められ、それらの点を改善することが大きな課題で
あった。
【0011】本発明はこのような問題点に鑑み、摺動部
材として常に確実にかつ安全に静電気を除去でき、かつ
高性能の摺動特性が得られる静電気拡散性摺動部材用樹
脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記課題に
対して鋭意研究を重ねた結果、樹脂に適量の酸化亜鉛ウ
ィスカと特定の添加剤を配合することによって、安定な
静電気拡散性と優れた摺動摩耗特性を兼ね備えた樹脂組
成物を得られ、本発明に至ったものである。
【0013】即ち、本発明は、樹脂に、樹脂組成物全体
に対し10〜80重量%の酸化亜鉛ウィスカと、加えて
粉末状HDPE、粉末状PTFE、MoS2の添加剤の
内少なくとも1種類が配合されており、かつ酸化亜鉛ウ
ィスカの針状結晶部の基部から先端までの長さが3〜2
00μmである静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物を提
供するものである。
【0014】添加剤の配合量は樹脂組成物全体に対し2
〜30重量%が好ましい。
【0015】さらに、好適には酸化亜鉛ウィスカとし
て、核部とこの核部から異なる4軸方向に伸びた針状結
晶部からなるテトラポット形状のものが用いられる。
【0016】
【作用】本発明で用いられる酸化亜鉛ウィスカは、電気
的あるいは摺動特性の観点から幾多の特異な特長を具備
している。
【0017】即ち、本発明で使われる酸化亜鉛ウィスカ
には次の特長がある。
【0018】イ)ウィスカは特異な3次元テトラポット
形状であり、均一に分散させることができる。
【0019】ロ)単結晶表面の高い平滑性を持ち、滑り
性が良好である。
【0020】ハ)ウィスカの長さ軸(C軸)方向に対し
て直角なへき開性が良い。
【0021】ニ)モース硬度が4で軟らかい。
【0022】ホ)ウィスカの中でも特に良好な熱伝導性
を有する。
【0023】ヘ)半導体性、バリスタ性、2重ショット
キーバリア性が良好である。
【0024】このような酸化亜鉛ウィスカを配合した樹
脂は、上記イ)、ロ)、ハ)、ホ)の理由で高い摺動特
性を示し、ニ)の理由で相手材の摩耗を抑制することが
できる。
【0025】その上、本発明で用いる添加剤はいずれ
も、上記酸化亜鉛ウィスカとの摺動特性上での相性が極
めて良く、両者を併用することにより驚くべき摺動特性
の向上が発現する。即ち、動摩擦係数の低下、限界PV
値の向上、それに摩耗量減少効果が顕著に現れる。
【0026】その理由は未だ十分には明らかでないが、
添加剤による潤滑性の向上だけでなく、添加剤とマトリ
ックス樹脂を酸化亜鉛ウィスカ(特に、3次元テトラポ
ット形状ウィスカ)でミクロ的に補強した上に、その酸
化亜鉛ウィスカの熱伝導性が極めて良好(高い熱伝導率
と形状効果等による)なために、摩擦熱を効果的に放散
させることによる。すなわち、摺動特性の向上は樹脂に
特定の添加剤と酸化亜鉛ウィスカの両方を配合すること
による相乗効果によるものである。
【0027】次に、酸化亜鉛ウィスカは、その単結晶体
の本来の固有抵抗値は相当に低いものと考えられるが、
本発明の組成では樹脂組成物の抵抗値の安定点は、図1
に示すように丁度静電気拡散性レベルに収束する。
【0028】その理由も未だ充分に明らかでないが、ま
ず酸化亜鉛ウィスカと添加剤の併用による複合効果が考
えられる。即ち、酸化亜鉛ウィスカ同士の接触界面に添
加剤が作用して高抵抗値を促す効果が考えられる。いま
一つは、酸化亜鉛ウィスカ同士の接触には、2重ショッ
トキーバリア効果とバリスター効果が伴うため、結果的
に酸化亜鉛ウィスカ同士の界面に異常に大きな接触抵抗
が発生してくる効果があり、これら2つの効果が相乗的
に作用して静電気拡散レベルに収束するものと考えられ
る。
【0029】この酸化亜鉛ウィスカは、生成した状態で
導電性があり、しかも白色である。
【0030】そのため、従来の白色導電性ウィスカの如
く「白色導電化工程」が不要なため、資源的、エネルギ
ー的、コスト的観点から極めて有利な白色導電ウィスカ
であり、着色剤の添加で電気拡散性摺動部材のカラー化
も極めて容易である。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0032】本発明では、酸化亜鉛ウィスカとして、テ
トラポット形状(その電子顕微鏡写真を図2に示す)の
ものを用いることによって好ましい結果を得ることがで
きる。このテトラポット形状の酸化亜鉛ウィスカは、表
面に酸化膜を有する金属亜鉛粉末を酸素を含む雰囲気下
で加熱処理して生成させることができる。得られた酸化
亜鉛ウィスカは、みかけの嵩比重0.02〜0.1で、
70wt%以上の高収率で極めて量産性に富んでいる。
【0033】この酸化亜鉛ウィスカのX線回折図をとる
と、通常すべて酸化亜鉛のピークを示し、一方電子線回
折の結果も、転移、格子欠陥の少ない単結晶性を示し
た。又、不純物含有量も少なく、原子吸光分析の結果、
酸化亜鉛が99.98%であることが判明した。
【0034】ところで、酸化亜鉛ウィスカの大きさは、
針状結晶部の基部から先端までの長さが3〜200μm
の範囲のものが適用でき、特に5〜50μmのものが好
ましい。3μmより小さいとテトラポット形状の効果が
現れず、粒状品との差が無くなるので好ましくない。
又、200μmより大きくなると、針状結晶やテトラポ
ット形状が分解し易くなり、導電性を付与し難くなるの
と、酸化亜鉛ウィスカの量産性が低下するので好ましく
ない。基部の径は0.1〜10μmの範囲が好ましく、
特に0.3〜3μmが望ましい。アスペクト比(=長さ
/基部の径)は、3〜1000の範囲であり、特に5〜
50が好ましい。形状においては、テトラポット形状及
び単純針状形状のどちらとも使用可能であるが、量産
性、複合材料特性(例えば、導電性、熱伝導性、均一分
散性など)の面でテトラポット形状の酸化亜鉛ウィスカ
が望ましい。但し、複合材料の樹脂の種類、製造方法に
もよるが、複合材料内部ではテトラポット形状が折損し
て3軸、あるいは2軸、さらには単純針状に変化する場
合が多いことが確認されている。
【0035】更に、本発明においては、カップリング剤
等で表面処理した酸化亜鉛ウィスカを用いることによ
り、分散性を向上させ、導電特性や機械特性を向上させ
るとともに、樹脂成分の分解を抑制して特性を改善する
こともできる。
【0036】本発明で用いるカップリング剤としては、
シラン系あるいはクロム系あるいはチタン系カップリン
グ剤、それにシリルパーオキサイド系、有機リン酸系、
さらには各種界面活性剤(例えば、ステアリン酸カルシ
ウムやオレイン酸カルシウム等の高級脂肪酸の金属石鹸
などで、分散剤や界面活性剤として用いられるものが使
用できる)が使用できるが、主にシランカップリング剤
が特に有効な場合が多い。
【0037】シランカップリング剤としては、γ−グリ
シドオキシプロピルトリメトキシシラン(A−18
7)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトオキシシ
ラン(A−174)、ビニル−トリス(ベータメトキシ
エトキシ)シラン(A−172)、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン(A−1100)、ビニルトリエト
キシシラン、ベータ,3,4エポキシシクロヘキシルエ
チルトリメトキシシラン、ガンマメルカプトプロピルト
リメトキシシランなどが用いられ、特にA−187系が
有効である。
【0038】クロム系カップリング剤としては、メタク
リレートクロミッククロライド(MCC:Volan ;Du P
ont 社製品名)、Valchrome5015 (Valchem社製品名)等
が用いられる。
【0039】チタン系カップリング剤としては、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テ
トラステアリルチタネート、イソプロポキシチタニウム
ステアレート、チタニウムラクテートなどが使用でき
る。
【0040】次に、シリルパーオキサイド系カップリン
グ剤としては、 (CH3 4-n Si(OO t-butyl)n や、
【0041】
【化1】
【0042】や、
【0043】
【化2】
【0044】や、
【0045】
【化3】
【0046】などが使用できる。
【0047】また、有機リン酸系カップリング剤として
は、
【0048】
【化4】
【0049】や、
【0050】
【化5】
【0051】や、
【0052】
【化6】
【0053】などが使用できる。
【0054】また、カップリング剤による表面処理の仕
方は、一般的な粉体の表面処理方法が適用できる。
【0055】例えば、シランカップリング剤を例にとる
と、 シランカップリング剤を水(少量のHClを含
む)か溶剤(少量の酢酸を含む)に溶解する。
【0056】 100℃以下に加熱する。(カップリ
ング剤分子が加水分解する)。
【0057】 この溶液中に処理しようとする酸化亜
鉛ウィスカを入れ、よく分散したスラリーを作る(粉体
表面にカップリング剤分子の反応層が形成される)。
【0058】 酸化亜鉛ウィスカを処理液から分離、
乾燥後、150℃以下に加熱処理する。
【0059】以上の工程により表面処理が完了する。
【0060】この他、酸化亜鉛ウィスカを攪拌しなが
ら、表面処理剤を含んだ溶液をスプレーして表面処理す
る方法などであってもよい。
【0061】カップリング剤を酸化亜鉛ウィスカに対し
て、0.005wt%〜10wt%処理することにより効果
が現れるが、特に0.01wt%〜5wt%の範囲において
効果が大きい。
【0062】一方、本発明で用いられる酸化亜鉛ウィス
カの抵抗値範囲は、一般に102 〜1011Ω−cmのもの
を使用できるが、特に106 〜1010Ω−cmのウィスカ
が好ましく、さらには107 〜109 Ω−cmのウィスカ
が好ましい。
【0063】本発明で用いる酸化亜鉛ウィスカの抵抗値
の測定法は次の通りである。まず、酸化亜鉛ウィスカを
0.5g採取し、直径20mmの一対の平板電極で均等に
はさみ、5kg/cm2の圧力を試料に均一にかける。次に、
この一対の平板電極間の抵抗を超絶縁抵抗計(HP社
製、High Resistance Meter 4329A)を用いて測定
し、電圧25Vで読み取る。次に、酸化亜鉛ウィスカの
圧粉試料を取り出し、ノギスで試料厚さを測定し、この
試料厚さと、試料面積(3.14cm2 )と、先に求めた
抵抗値より次の計算式で計算して体積抵抗値Pを求め
る。
【0064】P(Ω−cm)=R・S/t ここで、R(Ω) :抵抗値 S(cm2 ):試料面積 t(cm) :試料厚さ 次に、本発明で用いる特定の添加剤について説明する。
特定の添加剤としては粉末状HDPE、粉末状PTF
E、MoS2が適するが、とりわけ粉末状HDPEと粉
末状PTFEが好適である。これらの中では、粉末状P
TFEが電気特性の安定性の面で際立って優れている。
【0065】次に、個々の特定の添加剤について説明す
る。粉末状HDPEの場合、エチレンを重合して得られ
る密度が0.94g/cm3 程度以上のものであるが、高
密度である限りエチレンに少量のプロピレン、ブテン、
ペンテン、スチレン等のエチレンと共重合が可能なα−
オレフィンを共重合させたものであってもよい。平均粒
子径が200μm以下、分子量が2万〜30万程度のも
のが好適である。平均粒子径が200μm以上であるH
DPEを使用すると成形品の表面が粗面になり、摺動特
性の向上があまり見られず、好ましくない。又、分子量
が上記範囲より小さい場合、樹脂混練時において粉末状
HDPEの粒子が変形薄層化し、好ましくない。また、
上記範囲より大きい場合、混練時にHDPEの分散性が
不十分となる傾向にある。従って、いずれの場合も摺動
特性が充分に向上された樹脂組成物が得られ難くなるの
で好ましくない。
【0066】本発明の樹脂組成物中に配合すべきHDP
Eの量としては、特に制限はなく広い範囲から適宜選択
してよいが、通常2〜30wt%程度とするのが良い。H
DPEの配合量が2wt%以下では、充分な特性を付与し
難くなり、一方30wt%以上では成形品の機械的強度、
耐熱性等が低下するため、好ましくない。
【0067】粉末状PTFE、MoS2においても配合
量においては同様に考えられる。
【0068】また、特定の添加剤のトータル配合量が上
記範囲内であれば、2種類以上併用しても一向かまわな
い。
【0069】又、酸化亜鉛ウィスカの混入量に関して
は、求められる導電性レベル、樹脂の種類にもよるが、
樹脂組成物中に10〜80wt%が好ましい。10wt%よ
り少ないと導電性が不安定であり、一方80wt%より多
いと、著しい導電性向上をもたらすものではなく、同時
に機械的特性の低下とコスト高をもたらすため好ましく
ない。より電気特性を安定させるには、30wt%を越え
て80wt%以下が好ましく、さらに望ましくは40wt%
〜70wt%が好ましい。
【0070】次に、樹脂と酸化亜鉛ウィスカ、それに添
加剤の混合混練には、従来よりこの種の複合材料の混練
に用いられてきた各種装置が用いられる。即ち、単軸式
や多軸式の押出機の使用が良好な結果を与え、またリボ
ンブレンダーやスーパーミキサー(ヘンシェルミキサ
ー)などのスクリュー回転翼式容器固定型、あるいは水
平円筒型や傾斜円筒型、又はV型のタンブルミキサー等
の容器回転型混合機等が用いられる。
【0071】次に、本発明の樹脂組成物は、各種成形物
あるいはシート、フィルム等の形態で利用される。成形
物の場合には熱可塑性樹脂の成形に適用される成形加工
法をすべて適用できる。即ち、射出成形、押出成形、圧
縮成形、真空成形、吹込成形などであるが、特に各種射
出成形や押出成形あるいは真空成形が適している。ま
た、本発明の樹脂組成物は、ペレットや粉、あるいは塗
料やペースト等の状態で提供することができる。
【0072】本発明は、各種樹脂に適用される。即ち、
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれにも適用できる
が、特に熱可塑性樹脂が有効である。
【0073】熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、メラ
ミン−ユリア樹脂、フェノール樹脂等が好適である。
【0074】次に、熱可塑性樹脂では、各種樹脂(結晶
性樹脂及び非結晶性樹脂)が適用可能であるが、特に結
晶性樹脂と耐熱性樹脂が好適である。
【0075】使用する熱可塑性樹脂としては、限定する
ものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密
度及び低密度)、塩素化ポリエチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリメチルメ
タアクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−テトラフロロエチレン
共重合体、芳香族ポリエステル、ポリ弗化ビニル、ポリ
弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、”テフロン”
(デュポン社製フッ素樹脂)、ポリ塩化ビニル、グラフ
ト化ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、ポリ
スチレン、芳香族ポリアミド、液晶ポリマー(全芳香族
ポリエステル樹脂や半芳香族ポリエステル樹脂)等の単
独樹脂又は複数樹脂の各種アロイや混合物が適用され
る。
【0076】本発明では、結晶性熱可塑性樹脂が好適で
あるが、より好ましい結果を与える結晶性の熱可塑性樹
脂は、ポリアセタール、ポリアミド(例えば、PA−
6、PA−66、PA−610、PA−11、PA−1
2、PA−46、MXD6ナイロンなど)、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
プロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテ
ルエーテルケトン、液晶ポリマー等である。
【0077】次に、本発明では常用使用温度が170°
C以上の耐熱性熱可塑性樹脂が好適であるが、より好ま
しい結果を与える耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、
液晶ポリマー、ポリエーテルケトンなどの結晶性樹脂が
最も好ましいが、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル
イミドなどの非結晶性樹脂も適用できる。ここで、常用
使用温度とは、40000時間で物性が1/2になる最
高温度のことである。
【0078】更に、成形品の機械的強度向上、寸法精度
の向上等の必要に応じてガラス繊維、ガラスフレーク、
タルク、マイカ等の充填剤や顔料、酸化防止剤、紫外線
劣化防止剤、熱安定剤、難燃剤などを配合することは可
能である。又、他の導電材、例えばカーボンブラック、
カーボン繊維、金属粉、金属繊維、有機系導電材、導電
性チタン酸カリウムウィスカ、SiCウィスカ等を併用
しても一向にかまわない。
【0079】(実施例1〜16並びに比較例1〜4) 表1に、一般ポリアセタール樹脂(BASFエンジニア
リングプラスチック(株)製、製品名:N2320)に
酸化亜鉛ウィスカと粉末状HDPEを混入複合した実施
例1〜4の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物の各種物
性を示す。
【0080】樹脂組成物の製造方法であるが、まずテト
ラポット形状の酸化亜鉛ウィスカを準備した。この酸化
亜鉛ウィスカの針状結晶部の基部から先端までの長さは
5〜50μmで基部の径は0.3〜3μmに分布してい
る。又、アスペクト比は5〜50に分布している。次に
粉末状HDPEを準備した。ポリアセタール樹脂と酸化
亜鉛ウィスカと粉末状HDPEを所定重量採取し、回転
混合機で混合した後、異方向二軸押出機で樹脂温190
°Cで溶融混練押し出しを行うことによってペレットを
作製した。次に、100°C、6時間乾燥後、射出成形
機によりシリンダ温度190°C、金型温度50°Cで
試験片を成形し、この試験片を用いて各種物性を測定し
た。
【0081】各種物性は次に示す方法により求めた。
【0082】 表面固有抵抗値 ASTMD257による方法で測定する。
【0083】 帯電圧 JIS L1094により10KV帯電した時の1分後の帯 電圧を測定する。
【0084】 曲げ強度 ASTMD790による方法で測定する。
【0085】 曲げ弾性率 ASTMD790による方法で測定する。
【0086】 HDT ASTMD648による方法で測定する。
【0087】 動摩擦係数 JIS K7218による方法に準じて鈴木式摩耗試験機を 使用し、相手材としてS45Cを用い、全て無潤滑の状態で 摩擦速度50cm/sec、荷重10kg/cm2で連続で運転して摺動 長30kmに達した時の摩擦係数を求めた。
【0088】 比摩擦量 動摩擦係数の測定と同様の方法により単位距離当たりの摩耗 量を求めた。
【0089】 相手表面状態 相手材表面が変化していない時は○ 異常が発生している時は×とする。
【0090】
【表1】
【0091】表2にMXD6ナイロン(三菱瓦斯化学
(株)製、品番:6002)に酸化亜鉛ウィスカと粉末
状PTFEを混入複合した実施例5〜8の静電気拡散性
摺動部材用樹脂組成物の各種物性を示す。なお、混練、
成形温度は290°Cで行った。
【0092】
【表2】
【0093】なお、実施例5で用いた試験片の破断面を
電子顕微鏡で観察すると、殆どのウィスカがテトラポッ
ト形状から単純針状に折損して変化していた。
【0094】表3にPPS(出光石油化学(株)製、非
強化グレード)に酸化亜鉛ウィスカと粉末状PTFEお
よびMoS2 を混入複合した実施例9〜12の静電気拡
散性摺動部材用樹脂組成物の各種物性を示す。
【0095】
【表3】
【0096】表4にポリテトラフルオロエチレン(三井
・デュポンフロロケミカル(株)製、非強化グレード)
に酸化亜鉛ウィスカとMoS2 を混入複合した実施例1
3〜16の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物の各種物
性を示す。
【0097】
【表4】
【0098】表5に比較例(各樹脂)1〜4を示す。
【0099】
【表5】
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、以上のように針状結晶
部の基部から先端までの長さが3〜200μmの酸化亜
鉛ウィスカと粉末状HDPE等の添加剤を1種類以上配
合することにより、静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物
として要求される諸性質を具備した樹脂組成物を得るこ
とができる。即ち、本発明の樹脂組成物は、機械的強
度、剛性等の機械的性質、耐熱性、成形品の形状、寸法
精度等に優れていることは勿論のこと、優れた静電気拡
散性能を有しており、また動摩擦係数が小さく、摩耗量
が少なくしかも相手材を傷めない摩擦摩耗特性を有して
いる。
【0101】従って、本発明の樹脂組成物は、静電気拡
散性摺動部材の製造に好適に使用し得る。つまり、各種
電子機器の各種ブッシング、ベアリング、スリーブ、カ
ム、ギア、軸受、スイッチ部品、キャリッジ、ガイドレ
ール等に使用することにより製品の特性、信頼性を向上
する効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電気拡散性樹脂組成物の表面固有抵
抗値の特性図である。
【図2】酸化亜鉛ウィスカの電子顕微鏡写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 59/00 C08L 59/00 77/00 77/00 81/04 81/04 (56)参考文献 特開 平4−202475(JP,A) 特開 平1−225663(JP,A) 特開 平2−168698(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂に、樹脂組成物全体に対し10〜8
    0重量%の酸化亜鉛ウィスカと、加えて粉末状HDP
    E、粉末状PTFE、Mo 2 の添加剤の内少なくとも
    1種類が配合されており、かつ酸化亜鉛ウィスカの針状
    結晶部の基部から先端までの長さが3〜200μmであ
    ることを特徴とする静電気拡散性摺動部材用樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 添加剤の配合量が樹脂組成物全体に対し
    2〜30重量%である請求項1記載の静電気拡散性摺動
    部材用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 酸化亜鉛ウィスカの形状が、核部とこの
    核部から異なる4軸方向に伸びた針状結晶部からなるテ
    トラポット形状である請求項1記載の静電気拡散性摺動
    部材用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 樹脂が、熱可塑性樹脂である請求項1記
    載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂が、結晶性樹脂である請求
    項4記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂が、耐熱性樹脂である請求
    項4記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 結晶性樹脂が、ポリアセタール樹脂であ
    る請求項5記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 結晶性樹脂が、ポリアミド樹脂である請
    求項5記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 結晶性樹脂が、ポリフェニレンサルファ
    イド樹脂である請求項5記載の静電気拡散性摺動部材用
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 結晶性樹脂が、液晶ポリマー、あるい
    は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、あるいは、ポリ
    エチレンテレフタレート樹脂、あるいは、ポリエーテル
    エーテルケトン樹脂、あるいは、ポリプロピレン樹脂で
    ある請求項5記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 ポリアミド樹脂が、MXD6ナイロン
    である請求項8記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成
    物。
  12. 【請求項12】 耐熱性樹脂が、ポリエーテルスルホン
    樹脂、又は、ポリエーテルイミド樹脂である請求項6記
    載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン
    である請求項1記載の静電気拡散性摺動部材用樹脂組成
    物。
JP3073137A 1991-04-05 1991-04-05 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3041071B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3073137A JP3041071B2 (ja) 1991-04-05 1991-04-05 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3073137A JP3041071B2 (ja) 1991-04-05 1991-04-05 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05247351A JPH05247351A (ja) 1993-09-24
JP3041071B2 true JP3041071B2 (ja) 2000-05-15

Family

ID=13509518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3073137A Expired - Fee Related JP3041071B2 (ja) 1991-04-05 1991-04-05 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3041071B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2979045B2 (ja) * 1991-11-21 1999-11-15 出光石油化学 株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JP3132969B2 (ja) * 1995-01-13 2001-02-05 ポリプラスチックス株式会社 テープ摺動部材用成形品
AU3984997A (en) * 1996-08-19 1998-03-06 E.I. Du Pont De Nemours And Company Thermoplastic compositions including zinc oxide and tetrafluoroethylene homo or copolymers and shaped articles prepared therefrom
JP4386633B2 (ja) 2002-12-27 2009-12-16 三井・デュポンフロロケミカル株式会社 フッソ樹脂組成物
JP5405104B2 (ja) 2006-03-30 2014-02-05 旭化成ケミカルズ株式会社 樹脂組成物およびその成形品
JP5649210B2 (ja) * 2009-07-10 2015-01-07 旭化成イーマテリアルズ株式会社 ポリオレフィン微多孔膜
US8840740B2 (en) * 2011-06-24 2014-09-23 The Boeing Company Apparatus for preventing spark propagation
EP3526289A1 (en) * 2016-10-11 2019-08-21 Celanese Sales Germany GmbH Wear resistant polymer composition having improved surface appearance
CN109535552B (zh) * 2018-11-07 2021-06-08 盘锦海兴科技股份有限公司 一种耐磨抗冲击聚丙烯复合材料及其制备方法
CN109735105A (zh) * 2018-12-27 2019-05-10 张家港大塚化学有限公司 高强度抗静电抗菌耐磨聚醚酰亚胺复合材及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05247351A (ja) 1993-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1369452B1 (en) Synthetic resin composition
EP1735376B1 (en) Method of producing a conductive resin composition
CA1149148A (en) Conductive polymer processable as a thermoplastic
CA2159208C (en) High strength conductive polymers
US7863365B2 (en) Robust magnetizable elastomeric thermoplastic blends
JP3041071B2 (ja) 静電気拡散性摺動部材用樹脂組成物
CN109722025B (zh) 一种聚芳醚砜复合材料及其应用
JPS58160346A (ja) 樹脂組成物
JP2005226031A (ja) 機械加工用素材及びその製造方法
JP2003156902A (ja) 画像形成装置用ベルト、スリーブ又はチューブ
JP2004210839A (ja) フッソ樹脂組成物
US20080075953A1 (en) Electrically Conductive Composites with Resin and Vgcf, Production Process, and Use Thereof
EP3990547B1 (en) Poly(aliphatic ester)-polycarbonate filled compositions
JP3450897B2 (ja) 導電性樹脂マスターバッチペレット及び導電性熱可塑性樹脂製品
JP4548922B2 (ja) 半導電性樹脂組成物
JP2005264134A (ja) 導電性ポリマー、その製造方法及びその用途
JP4456916B2 (ja) 低汚染性の射出成形体
JPS61185566A (ja) 摺動部材用樹脂組成物
JPH05255520A (ja) 摺動部材の製造方法
JP2021091220A (ja) 樹脂成形体及び静電気対策部品
JP2979045B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JP3303692B2 (ja) 寸法精度に優れた摺動部材用樹脂組成物
JP2006097005A (ja) 導電性樹脂組成物及びその製造方法
JP4765163B2 (ja) 導電性樹脂組成物及び導電性射出成形品
JP2001310994A (ja) 導電性ポリカーボネート成形体

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees