JP2002174291A - 免震構造用制振装置 - Google Patents

免震構造用制振装置

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JP2002174291A
JP2002174291A JP2000371733A JP2000371733A JP2002174291A JP 2002174291 A JP2002174291 A JP 2002174291A JP 2000371733 A JP2000371733 A JP 2000371733A JP 2000371733 A JP2000371733 A JP 2000371733A JP 2002174291 A JP2002174291 A JP 2002174291A
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force
braking
braking unit
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Toshifumi Maehara
利史 前原
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な構成で、装置の小型化及び低コスト化
に適し、更に、性能の長期維持も可能な免震構造用制振
装置を得る。 【解決手段】 ドラム5に押圧されるブレーキシュー2
3,24を有してドラム5との相対回転時に前記ドラム
5に対するブレーキシュー23,24の摺動摩擦によっ
て制動力を発生する制動ユニット7と、外部加振力によ
る引張力又は圧縮力をドラム5及び制動ユニット7の相
対回転運動に変換する第1及び第2の連結部材11とを
備え、第1及び第2の連結部材11の先端を第1及び第
2の構造物に連結することで、第1又は第2の構造物に
加わる外部加振力を、前記ドラム5と前記制動ユニット
7との相対回転時の制動作用によって吸収・減衰させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、地震等の
外部加振力によって構造物が被害を受けることを防止す
るために使用される免震構造用制振装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】地震による建築物の被害を防止又は軽減
する方法としては、建築物自体を耐震構造にする方法
と、建築物に地震による振動が加わらないように、例え
ば、基礎構造物上の建築物と基礎構造物との間に振動を
吸収・減衰させる制振装置を装備する免震構造による方
法とがある。
【0003】耐震構造による方法は、建築物に使用する
構造材料自体の強度をアップさせたり、あるいは構造物
相互の接合部の強度をアップさせることで、耐震性を向
上させるため、構造材料の使用量や構造材料相互の接合
箇所が増加する大型構造物や大規模住宅の場合は、耐震
設計等にかかる負担が非常に大きく、しかも、耐震設計
の大半は、建築物毎に固有の設計となり、一つの建築物
の設計結果を別の建築物の設計に単純に流用することは
ほとんどできない。
【0004】これに対して、免震構造による方法の場
合、振動を吸収・減衰させる制振装置自体は、想定した
加振力や、支持する建築物の重量及び寸法等の限られた
データから設計することができ、開発した制振装置は多
種の建築物に流用することができ、汎用性が高い。そし
て、高い耐震性能を得ることも容易なため、最近では、
一般住宅用の免震構造用制振装置も各種開発されてい
る。
【0005】ところで、従来の免震構造用制振装置とし
ては、例えば、次の(1)〜(4)に示す構造のものが
知られている。 (1)特開平2−286936号公報に開示のように、
構造物間を連結するトグル機構等の変位を許容するリン
ク機構の節点間に振動減衰用のダンパを装備した構成の
もの。 (2)特開2000−234647号公報に開示のよう
に、基礎構造物に連結される複数枚の基礎側プレートと
建築物側に連結される複数枚の建物側プレートとの2種
のプレートをそれぞれ面方向に移動自在に交互に積層す
ると共に、プレート相互を油圧アクチュエータ等で押圧
して、プレート相互間に働く摩擦力で振動減衰を図る構
成のもの。 (3)構造物相互の平行移動用のベアリングユニット
と、構造物相互の相対変位を減衰させるためのばね及び
ダンパを組み合わせた構造のもの。 (4)ゴムと鋼鈑とを積層した構造で、ゴムの弾性変形
によって変位の許容と、変位の減衰を行う構成のもの。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の
(1)〜(3)に示した従来装置の場合は、大きな加振
力に対応させようとすると、構成部材の寸法の増大が不
可欠で、装置の大型化という問題が生じ易く、また、振
動減衰用のダンパや油圧アクチュエータの大型化のため
に、高額化という問題も生じた。また、(4)に示した
従来装置の場合は、安価に製造することができるが、大
きな加振力に対応させることが難しく、また、ゴム材料
の劣化等のために、性能の長期維持が難しいという問題
が指摘されていた。
【0007】本発明は上記事情に鑑みて成されたもの
で、単純な構成であると同時に、構成部材の寸法の増大
を図らずとも、外部加振力に対する吸収・減衰性能を増
大することが可能であるため、装置の小型化及び低コス
ト化に適し、更に、劣化し易いゴム材料等を用いないた
め、性能の長期維持も可能な免震構造用制振装置を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る免震構造用制振装置は、略円筒状をなす
ドラムと、このドラムの中心軸回りに回転自在に支承さ
れる制動ユニットと、基端が前記中心軸から適宜距離離
間した位置で前記ドラムに回転自在に連結すると共に先
端が第1の構造物に連結し、第1の構造物に作用する引
張力又は圧縮力によって前記ドラムを中心軸を中心に回
動させる第1の連結部材と、基端が前記中心軸から適宜
距離離間した位置で前記制動ユニットに回転自在に連結
すると共に先端が第2の構造物に連結し、第2の構造物
に作用する引張力又は圧縮力によって前記制動ユニット
を中心軸回りで前記ドラムとは逆方向に回動させる第2
の連結部材とを備え、前記制動ユニットは、前記中心軸
回りに回転自在のバッキングプレートと、前記バッキン
グプレート上に対向配置され前記ドラムとの摺動摩擦で
制動力を発生する一対のブレーキシューと、これら一対
のブレーキシューを入力レバーの作動入力によってドラ
ムに押圧するシュー駆動機構と、前記入力レバーを作用
させる入力発生手段とを備え、前記ドラムと前記制動ユ
ニットとの相対回転による変位吸収作用と、前記ドラム
及び制動ユニットの相対回転時の前記一対のブレーキシ
ューの摺動摩擦によるエネルギー消費作用とで、第1の
構造物又は第2の構造物に加わる外部加振力を吸収・減
衰させて、前記第1及び第2の構造物間の変位伝達を抑
止することを特徴とする。
【0009】そして、上記構成によれば、第1の構造物
又は第2の構造物に作用する地震等の外部加振力によっ
て第1又は第2の連結部材に伝達された引張力や圧縮力
による直線変位は、ドラムと制動ユニットとの相対回転
変位に変換されて吸収される。そして、吸収可能な最大
変位量は、第1の連結部材とドラムとの連結位置の中心
軸からの離間距離L1、及び第2の連結部材と制動ユニ
ットとの連結位置の中心軸からの離間距離L2に比例す
る。従って、第1の連結部材とドラムとの連結位置や第
2の連結部材と制動ユニットとの連結位置をこれらのデ
ィスクやパッドの外周寄りの位置設定して、これらの離
間距離L1,L2を大きくすれば、ドラムや制動ユニッ
トの外径寸法はそのままでも、吸収可能な最大変位量の
増大を図ることができる。
【0010】また、ドラムと制動ユニットとの相対回転
時には、制動ユニットのブレーキシューとドラムの周壁
との間の摺動摩擦によって変位エネルギーの吸収・減衰
がなされるが、その際の制動ユニットとドラムとの間の
摺動摩擦の形態は、所謂、ドラムブレーキ装置における
ドラムと該ドラムに押圧されたブレーキシューとの制動
動作である。従って、ドラムブレーキ装置において制動
性能を向上させる場合と同様に、制動ユニットにおいて
入力発生手段を強化することでブレーキシューのドラム
への押圧力を高めたり、あるいは、ブレーキシューの制
動方式をブレーキの効きが高いデュオサーボ式にするこ
とで、ドラムや各連結部の外形寸法の増大等を図らずと
も、変位エネルギーに対する吸収・減衰性能を大幅に増
大させることができる。
【0011】即ち、本発明の免震構造用制振装置は、概
略的には、例えば従来の油圧アクチュエータやダンパを
用いた免震構造用制振装置と比較すると、構成自体がド
ラムブレーキ装置に似た単純な構成で、構成部材の外形
寸法の増大を図らずとも、許容する変位量の増加が容易
で、しかも、ブレーキシューのドラムへの押圧力の増加
や、ブレーキシューの制動方式をデュオサーボ式にする
ことによって、外部加振力に対する吸収・減衰性能を増
大することも容易である。
【0012】また、ドラム上の摺動面と制動ユニットの
ブレーキシューとの接触圧は、シュー駆動機構の入力レ
バーに作動入力を作用させる入力発生手段によって確保
する構成としていて、前記入力発生手段として、金属製
のばねを採用することで、劣化し易いゴム材料等の使用
を回避することができる。
【0013】なお、好ましくは、上記の免震構造用制振
装置において、前記第1の連結部材の揺動挙動と第2の
連結部材の揺動挙動が略同一平面上の動作となるよう
に、前記ドラム及び制動ユニットに対する各連結部材の
連結構造を設定した構成とするとよい。このようにする
と、各構造物から各連結部材に伝達される引張力や圧縮
力が、ドラムや制動ユニットに対して中心軸回りの回転
モーメントとして作用し、中心軸方向の分力がドラムや
制動ユニットに作用することを防止することができる。
従って、各連結部材を介してドラムや制動ユニットに伝
達される引張力や圧縮力で、ドラムや制動ユニットに中
心軸線方向の曲げ応力による拗れが発生することがな
く、円滑に、ドラムと制動ユニットの相対回転運動に変
換される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る免震構造用制
振装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明
する。図1乃至図7は本発明に係る免震構造用制振装置
の一実施の形態を示したもので、図1は免震構造用制振
装置の分解側面図、図2は図1に示した制動ユニットの
II矢視図、図3は図2に示した制動ユニットのシュー駆
動機構の構成の詳細図、図4は図2のIV−IV線に沿う断
面図、図5は図4のV矢視図、図6は図5のVI矢視図、
図7は図6のVII 矢視図である。
【0015】この実施の形態の免震構造用制振装置1
は、例えば、基礎構造物とその上の建築物との間の連結
に使用することで、建築物の地震等による被害を防止す
るためのもので、図1及び図6及び図7に示すように、
略円筒状をなし中心に中心軸3を一体的に構成したドラ
ム5と、この中心軸3回りに回転自在に支承される制動
ユニット7と、制動ユニット7に組み付けられるガイド
カバー8と、ドラム5を例えば建築物を構成している第
1の構造物に連結する第1の連結部材9と、制動ユニッ
ト7を例えば建築物を支える基礎構造物を構成している
第2の構造物に連結する第2の連結部材11とを備えた
構成である。
【0016】ドラム5は、図1に示すように、有底円筒
状を呈したドラム本体5aの円筒の中心に、中心軸3が
一体化されている。
【0017】制動ユニット7は、車両用のブレーキ装置
として普及しているデュオサーボ式のドラムブレーキ装
置の制動ユニットとほぼ同等の構成をなすもので、図2
に示すように、中心軸3回りに回転自在のバッキングプ
レート21と、ドラム5の周壁に向かって進退可能にバ
ッキングプレート21上に対向配置されてドラム5との
摺動摩擦によって制動力を発生する一対のブレーキシュ
ー23,24と、これらの一対のブレーキシュー23,
24の一方の対向端間に配置されて入力レバー31に作
用する作動入力によって一対のブレーキシュー23,2
4をドラム5に押圧するシュー駆動機構26と、一対の
ブレーキシュー23,24の他方の対向端間に装備され
るストラット27と、入力レバー31を作用させる入力
発生手段28とを備えた構成である。以上の制動ユニッ
ト7は、バッキングプレート21上に、一対のブレーキ
シュー23,24、シュー駆動機構26、ストラット2
7、入力発生手段28を組み付けた組立品とした上で、
ドラム5やガイドカバー8に組み付けられる。
【0018】バッキングプレート21上で、一対のブレ
ーキシュー23,24の一方の対向端側には、アンカピ
ン30が装備されている。一対のブレーキシュー23,
24の一端側は、それぞれシューリターンスプリング4
1,42によって、互いに接近する方向に付勢されてい
る。また、一対のブレーキシュー23,24の他端側
は、シュートゥシュースプリング44の付勢力で、互い
に接近する方向に付勢されて、ストラット27の両端に
当接している。
【0019】ストラット27は、車両用のドラムブレー
キ装置において使用されるアジャスタユニットの代わり
に装備されたもので、例えば、制動時に第1のブレーキ
シュー23の出力が第2のブレーキシュー24の入力と
なるように、ブレーキシュー23,24の他端同士を連
結するリンクである。車両用のドラムブレーキ装置の場
合は、制動動作の繰り返しによって各ブレーキシューの
ライニングが徐々に摩耗するため、ライニングの摩耗の
進行に応じてこれらのブレーキシュー23,24の端部
間の間隔を調整するアジャスタユニットを使用するが、
本発明のように加振力の吸収に使用する場合は、車両用
などと比較してライニングの摩耗が少ないため、間隔調
整機能を省略した単純な連節部材であるストラット27
を使用している。
【0020】シュー駆動機構26は、複数個のレバーや
連節部材によって構成されるリンク機構で、図3に示す
ように、バッキングプレート21に立設されたアンカピ
ン30に回動可能に嵌合装着される上下一対の基板3
2,33と、一方のブレーキシュー24の移動方向に沿
う一定範囲内を移動可能であって、後述する第1の制動
形態時にアンカピン30からドラム5の周方向に離間し
た位置でブレーキシュー24からブレーキ力(制動トル
クで、アンカ反力とも呼ぶ)を受けるセカンダリアンカ
ピン34と、基板32,33上のアンカピン30からド
ラムの径方向内側に離間した位置で基板32,33に係
止されるレバー支持ピン35と、他方のブレーキシュー
23の移動方向に沿う一定範囲内を移動可能であって、
後述する第2の制動形態時にアンカピン30とレバー支
持ピン35との中間の位置でブレーキシュー23からブ
レーキ力を受けるプライマリアンカピン36と、これら
のアンカピン34,36やレバー支持ピン35と共に揺
動可能に隣接配備されるスイッチレバー37及び入力レ
バー31とを備えている。
【0021】上記の第1の制動形態時とは、図2でドラ
ム5が矢印(イ)方向に回転すると共に、制動ユニット
7が矢印(ロ)方向に回転する状況で、各ブレーキシュ
ー23,24がドラム5の周壁を摺動する制動形態を意
味する。また、第2の制動形態時とは、図2でドラム5
が矢印(ロ)方向に回転すると共に、制動ユニット7が
矢印(イ)方向に回転する状況で、各ブレーキシュー2
3,24がドラム5の周壁を摺動する制動形態を意味す
る。
【0022】上記の一対の基板32,33は、略同形状
の板材で、スイッチレバー37及び入力レバー31を挟
んで対向した状態に、プライマリアンカピン36及びセ
カンダリアンカピン34及びレバー支持ピン35により
結合される。
【0023】スイッチレバー37は、図3に示すよう
に、基端がレバー支持ピン35に回動自在に支持される
と共に、先端部にはプライマリアンカピン36に当接す
るピン当接部37bが設けられている。
【0024】入力レバー31は、図3に示すように、一
端に入力発生手段28からシュー操作力を受ける入力受
け部31bを有すると共に、他端にはブレーキシュー2
4の一端に当接するシュー当接部31cとを有し、且
つ、中間部にはスイッチレバー37のブレーキシュー2
4側の中間部側縁に揺動可能に点接触で係合する入力伝
達部31aを有して、入力発生手段28から入力したシ
ュー操作力F1をスイッチレバー37及びブレーキシュ
ー24に伝達する。
【0025】以上のシュー駆動機構26は、基板32,
33に、アンカピン34,36、レバー支持ピン35、
スイッチレバー37、入力レバー31を組み付けて、1
つのユニットに組み立てた上で、このユニットをアンカ
ピン30に嵌合装着することで、バッキングプレート2
1へ組み付けられる。
【0026】入力発生手段28は、シュー駆動機構26
の入力レバー31に、常時シュー操作力F1を作用させ
るものである。入力レバー31にシュー操作力F1を受
けたシュー駆動機構26は、入力レバー31がシュー当
接部31c又は入力伝達部31aを回転支点とする図3
で時計方向への揺動を開始して、入力伝達部31aによ
ってスイッチレバー37の中間部を押圧すると共に、シ
ュー当接部31cによってブレーキシュー24をドラム
の内周面に向かって拡開する。
【0027】そして、入力レバー31の揺動挙動によっ
て入力レバー31からスイッチレバー37の中間部に作
用する押圧力は、スイッチレバー37にレバー支持ピン
35を回転支点としたブレーキシュー23側への揺動を
生じさせ、ピン当接部37bによりプライマリアンカピ
ン36を押圧して、最終的には、レバー支持ピン35に
作用する力で一対の基板32,33をアンカピン30を
中心に回動させ、ブレーキシュー23をドラムの内周面
に押圧する。また、一対の基板32,33のアンカピン
30を回転中心とした回転モーメントによる回動挙動
は、同時に、入力レバー31のシュー当接部31cでブ
レーキシュー24をドラムの内周面に押圧する。このよ
うに、入力発生手段28からのシュー操作力F1が入力
レバー31に入力したシュー駆動機構26は、一対の基
板32,33のシュー操作力F1によるアンカピン30
回りの回動によって、各ブレーキシュー23,24がド
ラム内周面に押圧した状態を維持する。
【0028】従って、後述する第1及び第2の連結部材
9,11を介した直線変位によって制動ユニット7及び
ドラム5が相対回転するときは、制動ユニット7の各ブ
レーキシュー23,24がドラム5の内周面を摺動し
て、制動力を発生し、制動ユニット7及びドラム5の回
転運動エネルギーを吸収・減衰させる。
【0029】なお、制動ユニット7及びドラム5が相対
回転するとき、上記の第1の制動形態であれば、ブレー
キシュー24のブレーキ力がセカンダリアンカピン34
に作用することになり、また、上記の第2の制動形態で
あれば、ブレーキシュー23のブレーキ力がピン当接部
37bを介してスイッチレバー37に作用することにな
る。そして、いずれの制動形態の場合も、本実施の形態
のシュー駆動機構26では、ブレーキシューからシュー
駆動機構26に作用するブレーキ力がシュー操作力F1
に対して所定倍率に達すると、ブレーキシューからシュ
ー駆動機構26に作用するブレーキ力によって、シュー
操作力F1の作用を減ずる方向の制動制限力が入力レバ
ー31に働き、ブレーキ力が所定倍率を超えて制動動作
が不安定になることを防止し、円滑で安定した制動動
作、即ち、振動エネルギーの吸収・減衰動作を維持す
る。
【0030】ガイドカバー8は、図1及び図5及び図6
に示すように、有底筒状のカバーで、その周壁の端面
が、バッキングプレート21の外周部に形成した取付穴
へのねじ91によって締結されることで、バッキングプ
レート21に一体化される。このガイドカバー8は、ド
ラム5を覆って、バッキングプレート21に取り付けら
れるもので、図6及び図7に示すように、ドラム5に連
結される第1の連結部材9との干渉を避けるための切り
欠き8aが設けられている。また、前述したバッキング
プレート21やガイドカバー8の中心には、ドラム5の
中心軸3を回転自在に支持する軸受51,52が装備さ
れている。
【0031】入力発生手段28は、バッキングプレート
21の裏面側に圧縮状態で装備される入力ばね61と、
バッキングプレート21のレバー挿通孔21aを挿通し
て装備されると共にバッキングプレート21の裏面側に
突出した端部に入力ばね61の付勢力を受けて支持ピン
71を回転中心とする図中矢印(ハ)方向に回動付勢さ
れた第1のばね力伝達レバー62と、バッキングプレー
ト21の表面にピン63を介して揺動自在に支持される
と共に一端部が第1のばね力伝達レバー62の他端部に
係合して図中矢印(ニ)方向に回動付勢された第2のば
ね力伝達レバー64と、この第2のばね力伝達レバー6
4の他端部とシュー駆動機構26の入力レバー31の入
力受け部31bとの間に介在して第2のばね力伝達レバ
ー64に伝達された回動力をシュー操作力F1として入
力受け部31bに伝達するレバー端リンク65とを備え
た構成で、入力ばね61の付勢力をシュー操作力F1と
して常時入力レバー31に作用させる。
【0032】入力ばね61は、第1のばね力伝達レバー
62の端部にピン72により連結されたばね受け座73
と、バッキングプレート21の裏面に固定されたばね支
持ブラケット75のばね長調整ねじ76の先端のばね受
け座77との間に圧縮状態で装備されている。入力ばね
61は、ばね長調整ねじ76のねじ込み量を調節するこ
とで、圧縮量を調整することができ、圧縮量の調整によ
って入力レバー31に付与するシュー操作力F1を所望
の値に調整可能である。
【0033】前述の第1の連結部材9は、図5乃至図7
に示すように、基端がドラム5上の中心軸3から適宜距
離L1だけ離間した位置に連結ピン81,84を介して
回転自在に連結されるフォーク状部材82と、基端がこ
のフォーク状部材82の先端に固定されるロッド部材8
3とを備えた構成で、このロッド部材83の先端が不図
示の第1の構造物に連結されて、第1の構造物に作用す
る引張力又は圧縮力によってドラム5を中心軸3回りに
回動させる。フォーク状部材82は、図6に示すよう
に、基端側が、中心軸3の軸線方向に離間した一対のア
ーム部82a,82bに分岐した構造で、これらのアー
ム部82a,82bの基端部がドラム5の両側に回転自
在に連結される。ドラム5の底壁に沿うアーム部82a
の基端部は、図7に示すように、連結ピン84によって
直接ドラム5の底壁に回転自在に連結されている。これ
に対し、反対側のアーム部82bの基端部は、図5に示
すように、中心軸3に固定された板片86にピン81に
よって、回転自在に連結されている。
【0034】前述の第2の連結部材11は、図5乃至図
7に示すように、基端が制動ユニット7及びガイドカバ
ー8上の中心軸3から適宜距離L2だけ離間した位置に
連結ピン92,93を介して回転自在に連結されるフォ
ーク状部材94と、基端がこのフォーク状部材94の先
端に固定されるロッド部材95とを備えた構成で、この
ロッド部材95の先端が不図示の第2の構造物に連結さ
れて、第2の構造物に作用する引張力又は圧縮力によっ
て制動ユニット7及びガイドカバー8を中心軸3回りに
回動させる。フォーク状部材94は、図6に示すよう
に、基端側が、中心軸3の軸線方向に離間した一対のア
ーム部94a,94bに分岐した構造で、これらのアー
ム部94a,94bの基端部が制動ユニット7及びガイ
ドカバー8に回転自在に連結される。
【0035】また、本実施の形態の場合、第1の連結部
材9の揺動挙動と第2の連結部材11の揺動挙動が、図
6に示す同一平面K上の動作となるように、ドラム5及
び制動ユニット7に対する各連結部材におけるフォーク
状部材やロッド部材の各部寸法を設定している。
【0036】以上の免震構造用制振装置1は、ドラム5
と制動ユニット7との相対回転による変位吸収作用と、
ドラム5及び制動ユニット7の相対回転時の一対のブレ
ーキシュー23,24の摺動摩擦によるエネルギー消費
作用とで、第1の構造物又は第2の構造物に加わる外部
加振力を吸収・減衰させて、前記第1及び第2の構造物
間の変位伝達を抑止する。
【0037】以上に説明した免震構造用制振装置1で
は、第1の構造物又は第2の構造物に作用する地震等の
外部加振力によって第1又は第2の連結部材11に伝達
された引張力や圧縮力による直線変位は、ドラム5と制
動ユニット7との相対回転変位に変換されて吸収され
る。そして、吸収可能な最大変位量は、第1の連結部材
9とドラム5との連結位置の中心軸3からの離間距離L
1、及び、第2の連結部材11と制動ユニット7との連
結位置の中心軸3からの離間距離L2に比例する。従っ
て、第1の連結部材9とドラム5との連結位置や第2の
連結部材11と制動ユニット7との連結位置をこれらの
ディスクやパッドの外周寄りに位置設定して、離間距離
L1,L2を大きくすれば、ドラム5や制動ユニット7
の外径寸法はそのままでも、吸収可能な最大変位量の増
大を図ることができる。
【0038】また、ドラム5と制動ユニット7との相対
回転時には、制動ユニット7のブレーキシュー23,2
4とドラム5の周壁との間の摺動摩擦によって変位エネ
ルギーの吸収・減衰がなされるが、その際の制動ユニッ
ト7とドラム5との間の摺動摩擦の形態は、所謂、ドラ
ムブレーキ装置におけるドラム5と該ドラム5に押圧さ
れたブレーキシュー23,24との制動動作である。従
って、ドラムブレーキ装置において制動性能を向上させ
る場合と同様に、制動ユニット7において入力発生手段
28を強化することでブレーキシュー23,24のドラ
ム5への押圧力を高めたり、あるいは、ブレーキシュー
23,24の制動方式をブレーキの効きが高いデュオサ
ーボ式にすることで、ドラム5や各連結部の外形寸法の
増大等を図らずとも、変位エネルギーに対する吸収・減
衰性能を大幅に増大させることができる。
【0039】即ち、本発明の免震構造用制振装置1は、
概略的には、例えば従来の油圧アクチュエータやダンパ
を用いた免震構造用制振装置1と比較すると、構成自体
がドラムブレーキ装置に似た単純な構成で、構成部材の
外形寸法の増大を図らずとも、許容する変位量の増加が
容易で、しかも、ブレーキシュー23,24のドラム5
への押圧力の増加や、ブレーキシュー23,24の制動
方式をデュオサーボ式にすることによって、外部加振力
に対する吸収・減衰性能を増大することも容易である。
【0040】従って、小型住宅等への応用にも適した小
型且つ低コストで、高い耐震性能の免震構造用制振装置
1の提供が可能になり、小型住宅等への免震構造の普及
を促進することができる。
【0041】また、ドラム5上の摺動面と制動ユニット
7のブレーキシュー23,24との接触圧は、シュー駆
動機構26の入力レバー31に作動入力を作用させる入
力発生手段28によって確保する構成としていて、入力
発生手段28として、金属製のばねを採用することで、
劣化し易いゴム材料等の使用を回避することができ、性
能の長期維持を実現することができる。
【0042】更に、本実施の形態では、第1の連結部材
9及び第2の連結部材11の変位動作が、図6に示した
ように同一平面状の動作となるように、各連結部材の構
造や寸法を工夫しているため、各構造物から各連結部材
に伝達される引張力や圧縮力が、ドラム5や制動ユニッ
ト7に対して中心軸3回りの回転モーメントとして作用
し、中心軸3方向の分力がドラム5や制動ユニット7に
作用することを防止することができる。従って、各連結
部材を介してドラム5や制動ユニット7に伝達される引
張力や圧縮力で、ドラム5や制動ユニット7に中心軸3
線方向の曲げ応力による拗れが発生することがなく、円
滑に、ドラム5と制動ユニット7の相対回転運動に変換
され、効果的に加振力を減衰させることが可能になる。
【0043】なお、本発明の免震構造用制振装置11の
用途は、建築物と基礎構造物との間の振動伝達を防止す
る場合に限らない。例えば、建築物内の構造材相互の接
続部に適宜配置して、部屋間の振動伝達の防止や、階層
間の振動伝達の防止等にも利用可能である。また、住宅
用構造物に限らず、大型の機械設備の構造部における振
動伝達の防止等にも利用することが可能である。
【0044】また、本発明の制動ユニットにおけるブレ
ーキシューの装備形態は、前述の実施の形態に示したデ
ュオサーボ式に限らない。リーディング・トレーリング
式や、ツーリーディング式などのドラムブレーキ機構の
採用可能である。
【0045】また、一対のブレーキシューを拡開操作す
るシュー駆動機構は、ドラムと制動ユニットとの相対回
転時に安定した振動減衰性能を得るためには、前述した
ように、アンカピンに作用するブレーキ力が入力の所定
倍率に達すると、各ブレーキシューのドラムの押圧力が
それ以上にならないように各ブレーキシューの押圧力を
制御する機能を有したものが好ましい。
【0046】
【発明の効果】本発明の免震構造用制振装置によれば、
概略的には、ドラムブレーキ装置に似た単純な構成で、
構成部材の寸法の増大を図らずとも、ドラム及び第1の
連結部材の連結位置と中心軸との離間距離L1や、制動
ユニット及び第2の連結部材の連結位置と中心軸との離
間距離L2を大きく設定するだけで、容易に許容する変
位量を増加させることができ、しかも、入力発生手段の
強化等によって制動ユニットのブレーキシューのドラム
への押圧力を増加させたり、制動ユニットにおけるブレ
ーキシューの制動方式を制動効率の高いデュオサーボ式
等に工夫することで、外部加振力に対する吸収・減衰性
能を増大することも容易である。従って、小型住宅等へ
の応用にも適した小型、且つ低コストで、高い耐震性能
の免震構造用制振装置の提供が可能になり、小型住宅等
への免震構造の普及を促進することができる。また、ド
ラムに制動ユニットを押圧するばね機構として金属製の
ばねを採用することで、劣化し易いゴム材料等の使用を
回避することができ、性能の長期維持を実現することが
できる。
【0047】また、請求項2に記載の構成にすると、各
構造物から各連結部材に伝達される引張力や圧縮力が、
ドラムや制動ユニットに対して中心軸回りの回転モーメ
ントとして作用し、中心軸方向の分力がドラムや制動ユ
ニットに作用することを防止することができる。従っ
て、各連結部材を介してドラムや制動ユニットに伝達さ
れる引張力や圧縮力で、ドラムや制動ユニットに中心軸
線方向の曲げ応力による拗れが発生することがなく、円
滑に、ドラムと制動ユニットの相対回転運動に変換さ
れ、効果的に加振力を減衰させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る免震構造用制振装置の一実施の形
態の分解側面図である。
【図2】図1に示した制動ユニットのII矢視図である。
【図3】図2に示した制動ユニットのシュー駆動機構の
構成の詳細図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図4のV矢視図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図6のVII 矢視図である。
【符号の説明】
1 免震構造用制振装置 3 中心軸 5 ドラム 7 制動ユニット 8 ガイドカバー 9 第1の連結部材 11 第2の連結部材 21 バッキングプレート 23,24 ブレーキシュー 26 シュー駆動機構 28 入力発生手段 31 入力レバー 32,33 基板 34 セカンダリアンカピン 36 プライマリアンカピン 37 スイッチレバー 51,52 軸受 82 フォーク状部材 83 ロッド部材 94 フォーク状部材 95 ロッド部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円筒状をなすドラムと、このドラムの
    中心軸3回りに回転自在に支承される制動ユニットと、
    基端が前記中心軸から適宜距離離間した位置で前記ドラ
    ムに回転自在に連結すると共に先端が第1の構造物に連
    結し、第1の構造物に作用する引張力又は圧縮力によっ
    て前記ドラムを中心軸を中心に回動させる第1の連結部
    材と、基端が前記中心軸から適宜距離離間した位置で前
    記制動ユニットに回転自在に連結すると共に先端が第2
    の構造物に連結し、第2の構造物に作用する引張力又は
    圧縮力によって前記制動ユニットを中心軸回りで前記ド
    ラムとは逆方向に回動させる第2の連結部材とを備え、 前記制動ユニットは、前記中心軸回りに回転自在のバッ
    キングプレートと、前記バッキングプレート上に対向配
    置され前記ドラムとの摺動摩擦で制動力を発生する一対
    のブレーキシューと、これら一対のブレーキシューを入
    力レバーの作動入力によってドラムに押圧するシュー駆
    動機構と、前記入力レバーを作用させる入力発生手段と
    を備え、 前記ドラムと前記制動ユニットとの相対回転による変位
    吸収作用と、前記ドラム及び制動ユニットの相対回転時
    の前記一対のブレーキシューの摺動摩擦によるエネルギ
    ー消費作用とで、第1の構造物又は第2の構造物に加わ
    る外部加振力を吸収・減衰させて、前記第1及び第2の
    構造物間の変位伝達を抑止することを特徴とする免震構
    造用制振装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の連結部材の揺動挙動と第2の
    連結部材の揺動挙動が略同一平面上の動作となるよう
    に、前記ドラム及び制動ユニットに対する各連結部材の
    連結構造を設定したことを特徴とする請求項1に記載の
    免震構造用制振装置。
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