JP5218805B2 - 振動低減機構およびその諸元設定方法 - Google Patents

振動低減機構およびその諸元設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、たとえば高層建物等の構造物の躯体である梁を対象としてその振動を低減させるための振動低減機構、およびその諸元設定方法に関する。
梁の振動を低減するための機構として、たとえば特許文献1に示されているような所謂チューンド・マス・ダンパー(Tunned Mass Danper:TMD)を利用することが考えられる。TMDは構造物に付加バネを介して付加質量を接続し、それら付加バネと付加質量により定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させることによって共振点近傍における応答を低減するものであって、これを梁のスパン中央部に設置することで梁の振動を低減する装置が実用化されている。
特開昭63−156171号公報
しかし、従来一般のTMDを梁を対象とする振動減衰機構として利用する場合、充分な振動低減効果を得るためには付加質量を充分に大きくする必要があり、必然的に大型大重量でコスト高とならざるを得ない。また、振動低減を目的とするとはいえ梁にあまり大きな質量を付加することは応力が増加することから基本的に好ましいことではないし、TMDが大型大重量になるほど設置位置や設置スペースに関しての制約も大きくなるので、通常は付加質量を梁の質量の1〜3%程度とすることが現実的であり、したがって振動低減効果にも自ずと限界がある。
上記事情に鑑み、本発明は梁を対象とする振動低減機構として、従来一般のTMDを採用する場合のように大きな付加質量を必要とせずに充分な振動低減効果が得られる、有効な振動低減機構とその諸元設定方法を提供することを目的としている。
本発明の振動低減機構およびその諸元設定方法は、上下方向の曲げ振動を低減させるべき振動低減対象の本体梁に添わせて、もしくは交差させて付加バネとして機能する付加梁を設置し、それら本体梁と付加梁との間に、本体梁の上下方向の振動によって作動して錘の回転による回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装するとともに、該回転慣性質量ダンパーによる回転慣性質量と該回転慣性質量ダンパーに対して直列に設置されて付加バネとして機能する前記付加梁のバネ定数とにより定まる上下方向の固有振動数を本体梁の上下方向の固有振動数に同調させるようにしたものである。
本発明によれば、従来一般のTMDにおける付加質量に代えて小質量の錘を回転させる構成の回転慣性質量ダンパーを用い、それを本体梁と付加梁との間に介装することにより、付加梁自体が小さな付加バネとして回転慣性質量ダンパーと直列に設置され、それにより錘の実際の質量の10〜1000倍もの大きな付加質量を本体梁に付加したことと等価となって大きな振動低減効果が得られる。特に、従来のTMDでは付加質量の大きさを梁の質量の1〜3%程度とすることが限度であって振動低減効果も自ずと限界があったが、本発明によれば梁の質量の10〜50%ないしそれ以上の回転慣性質量を支障なく容易に得ることができ、それにより従来一般のTMDによる場合に比べて格段に優れた振動低減効果を得ることができる。
また、回転慣性質量ダンパーは小質量の錘を回転させる構成であるので充分なる小形軽量化を実現できるし、付加梁自体が付加バネとして機能するので他には格別の付加バネを設置する必要がなく、したがって従来一般のTMDによる場合に比べて設置位置や設置スペースについての制約が少なく、コスト的にも有利である。
特に、付加梁を本体梁の側方に添わせて配置し、本体梁に接合した小梁の端部と付加梁との間に回転慣性質量ダンパーを介装すれば、付加梁および回転慣性質量ダンパーを本体梁の梁成の範囲内に設置できるので格別の設置スペースを必要とせず、建築計画上の支障となることなく納まり良く設置することができる。
本発明の振動低減機構の基本原理は、従来一般のTMDを用いる場合と同様に、振動低減対象の梁に対して付加バネを介して付加質量を設置し、それら付加バネと付加質量とにより定まる固有振動数を梁の固有振動数に同調させて振動低減効果を得るというものであるが、本発明においては従来一般のTMDにおける単なる付加質量に代えて錘の回転により生じる回転慣性質量を利用し、かつ付加バネとしては付加梁それ自体を利用することを主眼とするものである。
本発明の振動低減機構の基本的な実施形態を図1〜図2に示す。図1に示すように、本実施形態の振動低減機構は、振動低減対象の本体梁1に対して付加梁2を添わせた状態で(図では下方に並設した状態を示している)設置し、双方のスパン中央部相互間に回転慣性質量ダンパー3と付加減衰4とを介装した構成とされているものである。
付加梁2は本体梁1よりも断面性能が小さくされ、この振動系ではその付加梁2自体が回転慣性質量ダンパー3と直列に設置された付加バネとして機能するものである。なお、付加梁2のバネ定数kは、付加梁2の中央部に加力Pを載荷したときに鉛直変位δが生じたとすると、k=P/δ として求められるものである。
付加減衰4は回転慣性質量ダンパー3と並列に設置されるものであるが、付加梁2自体にダンパーを組み込むなどして減衰性能をもたせれば他には格別の付加減衰を必要とせず、その場合には省略しても良い。
回転慣性質量ダンパー3は、図2に概略構成を示すように、本体梁1が上下方向の加振力を受けて振動した際に作動して小質量の錘5が回転する構成とされている。
すなわち、図2に示す本実施形態の回転慣性質量ダンパー3はボールネジ機構を利用したものであって、ボールネジ機構を構成しているネジ軸6を、ボールナット7および回転自在ピン7aを介して本体梁1および付加梁2に対してそれぞれ回転自在に連結し、ネジ軸6には円盤状のフライホイールとして機能する錘5を一体に回転するように固定したものである。
この回転慣性質量ダンパー3は、本体梁1が振動して付加梁2との間でそれらが離接するような上下方向の相対変位が生じると、ネジ軸6がボールナット7に対して軸方向(上下方向)に相対変位しつつ自転して錘5を回転(自転)させ、その錘5の回転慣性モーメントと回転角加速度とによって錘5に生じる回転運動の変化を慣性力として利用し、振動低減効果を得るものである。
すなわち、回転慣性質量ダンパー3に生じる加振方向(本例では上下方向)の相対変位をx、その際の錘5の回転角をθとし、それらxとθとの間に
x=αθ
の関係があるとき、摩擦等による回転ロスを無視すると、この回転慣性質量ダンパー3の上下方向の慣性力(制御力)Pは次式で表される。
Figure 0005218805
上式は、一般的なバネが相対変位にバネ定数を乗じて負担力とするのと同様に、相対加速度に回転慣性質量を乗じたものを負担力とすることを意味しており、相対変位ではなく相対加速度を乗じる点で通常のバネによる場合と大きく異なるものである。
上記のような回転慣性質量ダンパー3が発生する回転慣性質量Ψの大きさは、回転する錘5の実際の質量に対して10〜1000倍にもなるので、小質量の錘5を回転させることのみで極めて大きな慣性回転質量Ψを得ることができ、したがって錘5が小質量であっても充分な制御力、つまりは充分な振動低減効果が得られる。換言すれば、従来一般のTMDにおける大型大重量の付加質量のわずか1/10〜1/1000程度の小質量の錘5を用いることのみで同等の振動低減効果が得られることになる。
勿論、回転慣性質量Ψの大きさは、錘5の質量とその径寸法および径方向の質量分布により決定されるものであり、錘5の質量が大きいほど、径寸法が大きいほど、質量が内周部よりも外周部に分布しているほど回転慣性質量Ψは大きくなるから、それらを適正に設定することによって回転慣性質量Ψを所望の大きさに設定することができ、所望の振動低減効果を得られる。
そのため、たとえば図3に示すように、錘5の上面や下面の外周部に対して適宜のサブウエイト8を装着可能としておけば、それらサブウエイト8の増減や質量ならびに中心からの距離の調整によって最適な回転慣性質量Ψを容易にかつより幅広く設定することができる。
なお、この種の回転慣性質量ダンパーとしては、たとえば特許第3250795号公報や特開2004−44748号公報に開示されているように免震装置として使用されるものが公知であり、本実施形態においてはそれらにも示されているようなボールネジ式の回転慣性質量ダンパーが好適に採用可能であるが、本発明においては回転慣性質量ダンパーの構成は特に限定されるものではなく、所望の形式、特性のものを任意に採用すれば良い(他の形式のものについては後述する)。
そして、本実施形態においては上記の回転慣性質量ダンパー3と付加梁2とにより定まる上下方向の固有角振動数ωを、本体梁1の上下方向の固有1次角振動数ωに同調させるようにそれらの諸元を適正に設定することにより、本体梁1の1次モードの上下方向の振動に対する応答を大きく低減させることができるものである。
すなわち、一般に質量mとバネkによる振動系における固有角振動数ωは
ω=k/m
なる関係で定まるのと同様に、本実施形態のような回転慣性質量ダンパー3と付加バネとしての付加梁2とによる振動系においては、その固有角振動数ωは回転慣性質量Ψおよび付加梁2のバネ定数kとの関係により
ω =k/Ψなる関係で定まる。したがって、その固有角振動数ωを本体梁1の固有1次角振動数ωに一致させれば、つまり
ω =k/Ψ=ω の関係が成り立つように回転慣性質量Ψおよびバネ定数kの値を設定すれば、従来のTMDを設置した場合と同様に本体梁1の1次モードでの振動を大きく低減させることができる。
あるいは、本体梁1に機械振動のような特定の振動数の加振力が上下方向に作用する場合には、回転慣性質量ダンパー3と付加梁2とにより定まる上下方向の固有角振動数ωを特定の振動数に同調させることにより、機械振動との共振による本体梁1の上下方向の応答増大を有効に防止することができる。
勿論、本体梁1に対して交通振動や機械振動等の加振力が直接作用する場合のみならず、本体梁1がその固定端から加速度加振される場合にも回転慣性質量ダンパー3は有効に機能するから、地震等による本体梁1の上下方向の振動に対しても優れた低減効果を発揮する。
以上で本発明の基本的な実施形態を説明したが、以下に他の実施形態を列挙する。
図1に示した実施形態では本体梁1の両端と付加梁2の両端をそれぞれ独立に支持するものとしたが、図4に示すように付加梁2の両端部を本体梁1の両端部に対して接合したり、逆に、本体梁1の両端部を付加梁2の両端部に対して接合して、双方を構造的に一体化しても良い。
また、図1に示した実施形態では本体梁1の下方に付加梁2を添わせて並設したが、図5に示すように付加梁2を本体梁1の直交方向に架設して双方の中央部どうしを交差させ、その交差部に回転慣性質量ダンパー3を設置することでも良い。
なお、いずれにしても、回転慣性質量ダンパー3は本体梁1と付加梁2のスパン中央部に設置することが好ましいが、厳密に中央部とすることはなく中央部からずれた位置に設置することでも良いし、あるいは複数の回転慣性質量ダンパー3を梁軸方向に分散配置することでも良い。
また、図1、図4、図5に示したように付加梁2は本体梁1の下方に設置することが現実的であるが、必要であれば、また可能であれば、付加梁2を本体梁1の上方に配置することも妨げるものではない。しかし、付加梁2の具体的な設置形態としては、本体梁1の下方や上方に配置するよりも、図6に示す実施形態のように本体梁1の側方に並設することがより好ましく、最も現実的である。
すなわち、付加梁2は本体梁1よりも断面性能が小さいことから通常はその梁成寸法は本体梁1の梁成寸法よりも自ずと小さくなるから、図6に示す実施形態のように付加梁2を本体梁1の下方に突出させないようにしてその側方に並設し、本体梁1の側部に接合される小梁10の下面と付加梁2の上面との間に回転慣性質量ダンパー3を設置すると良い。
これによれば、本体梁1の振動が小梁10を介して回転慣性質量ダンパー3に伝達されて回転慣性質量ダンパー3が支障なく機能することはもとより、本体梁1の梁成の範囲内に付加梁2を納めることが可能であるので、上記各実施形態のように本体梁1の下方や上方に付加梁2の設置スペースを確保する必要はないし、有効階高が実質的に小さくなってしまうようなこともなく、付加梁2および回転慣性質量ダンパー3を設置するうえでの建築計画上あるいは構造計画上の制約が少ない。
なお、その場合、本体梁1の振動を回転慣性質量ダンパー3に確実に伝達するためには小梁10を本体梁1に対して剛接合する必要があるが、小梁10全体を本体梁1に単に剛接合した場合には小梁10の剛性によって回転慣性質量ダンパー3の作動が拘束されることも想定されるから、そのような場合には小梁10を端部10aと本体部10bとにより構成して本体部10bを端部10aに対してピン接合することが好ましく、そのためにはたとえば図示例のように端部10aと本体部10bとをウェブどうしをボルト締結するに留めて実質的に相対回転が可能なピン接合とし、それによって回転慣性質量ダンパー3の作動が小梁10によって拘束されない構造とすることが好ましい。
また、小梁10が不要な場合や、小梁10を設置できない場合には、本体梁1の振動を回転慣性質量ダンパー3に対して伝達するための適宜の部材(たとえば上記の小梁10における端部10aに相当する部材)のみを設置すれば良い。
また、既に述べたように回転慣性質量ダンパーとしてはボールネジ式のものが好適に採用可能であるが、それに限るものではなく、たとえば図7に示すようないわば天秤式のものも好適に採用可能である。
図7は、図6に示した実施形態の場合と同様に付加梁2を本体梁1の側部に設置して、付加梁2と小梁10との間に回転慣性質量ダンパー13を設置するものであるが、その回転慣性質量ダンパー13は両端部に錘14を装着した棒体15の中央部を2点で支持して、梃子の原理を利用して棒体15を天秤のように揺動させる構成のものとされている。
すなわち、その回転慣性質量ダンパー13は、付加梁2の上面および小梁10の下面にそれぞれガセットプレート16,17が固定されて、それらガセットプレート16,17が付加梁2の長さ方向に若干の間隔(たとえば100mm程度)をおいて上下から対向配置されており、それらガセットプレート16,17の双方に同軸状態で形成した貫通孔に棒体15の中心部を挿通させた構成とされている。なお、棒体15はガセットプレート16,17に対して揺動可能な状態で緩挿するが、軸方向の位置ずれを拘束し、かつ貫通孔に対してがたつきが生じないようにしておく。
これによれば、本体梁1の振動により小梁10と付加梁2とが上下方向に相対変位を生じた際には棒体15が鉛直面内において揺動してその両端部に取り付けた錘14が上下方向に振られて鉛直面内において回転(揺動)し、それによりボールネジ式のものと同様に錘14の回転による回転慣性質量Ψが生じて振動低減効果が得られる。
以上で本発明の振動低減機構の実施形態を説明したが、以下に具体的な実施例(設計例)とその効果について図8〜図10を参照して説明する。
図1(a)に示した振動低減機構は図8(a)に示すような振動モデルとして表されるので、振動低減対象の本体梁1としての構造体への変位加振入力f(t)を
f(t)=f・eiωt
として想定する。
本体梁のスパン(全長)をLとし、その本体梁の中央部が負担する質量mを梁負担分の1/2とし、本体梁(本体バネ)のバネ定数をk、本体梁の固有角振動数をω、付加梁(付加バネ)のバネ定数をk、回転慣性質量ダンパーによる回転慣性質量をΨとし、回転慣性質量Ψと付加バネkとにより定まる固有角振動数ωを本体梁の固有角振動数ωと同調させるべく
ω =k/Ψ=ω (=k/m
となるように諸元を設定する。
本外梁の曲げ剛性をEIとし、付加梁の曲げ剛性をEIとすると、回転慣性質量Ψは Ψ=m・EI/EI である。付加減衰hは h=c/(2Ψω) である。
いま、本体梁のスパンL=18m、本体梁中央部で負担する構造体質量m=40ton、本体梁の断面H−900×300×16×28とし、I=4.04×10cmとすると、梁中央に作用する荷重と撓みの関係からk=48EI/L=68kN/cm、ω=13.0rad/sとなる。
付加梁の断面H−350×350×12×19、I=3.98×10cm、k=48EI/L=6.8kN/cmとする。
回転慣性質量ダンパーとしてボールネジ式の市販製品を用い、そのネジ軸の外径40mm、リード20mm、定格荷重59.7kN、錘としての円盤状のフライホイールをPL−19×220φ、質量5.7kg、Iθ=0.343ton・cm、Ψ=3.38tonとする。
付加減衰cはc=0.2×2Ψω=18ton/sec=0.18kN/kineとする。
上記の場合において、本体梁の構造減衰h=0.02の場合、およびh=0.01の場合における変位応答倍率(加振力による静的変位に対する変位応答の比)および反力倍率(加振力に対する反力の比)を図8(b)〜(e)に示す。
これらの図に示されるように、本実施形態の振動低減機構を設置することにより、本体梁の固有角振動数ω近傍における応答倍率が85〜90%も低減し、しかもダンパー反力は加振力よりも小さいことがわかる。
したがって、本実施形態の振動低減機構によれば、梁有効質量m=40tonの10%以下の回転慣性質量Ψ=3.38tonを付加するのみで既往の手法では得られない優れた振動低減効果が得られ、しかもそのためには実際に回転させる錘の質量はわずか5.7kgであって回転慣性質量Ψのさらに1/600程度であり、かつ、構造体に作用する加振力よりダンパー負担力が小さいことからダンパー耐力を容易に設定できるものであり、以上のことから梁を対象とする振動低減機構として極めて有効なものである。
また、回転慣性質量ダンパーとして図7に示したような天秤式のものを用いる場合における具体的な設計例として、棒体15の全長(両端に取り付ける錘14の中心間距離)を1900mm、ガセットプレート16,17による両支点間の距離を100mm、各錘14の質量を18.8kgとすれば、回転慣性質量Ψ=3.39tonとなって上記のボールネジ式の場合と同等になり、同等の振動低減効果が得られるものとなる。
このように、天秤式の回転慣性質量ダンパーは、ボールネジ式の市販製品と比べた場合、同等の性能を得るための錘の所要質量はやや大きくなるが、構成が簡単であるし、現場での組立も容易であるので、コストを大幅に軽減できる利点がある。
図9は、図8(d)に示した本実施形態の振動低減効果と、既往の一般的な他の振動低減手法による効果とを比較して示すものである。他の手法とは、通常のTMDにより単なる付加質量1tonを設置した場合、および本体梁を高剛性化するべくその断面を2倍程度(H−900×400×25×50、I=8.3×10cm)に拡大した場合である。
通常のTMDによる場合には、1tonもの付加質量を設置したにも拘わらず、図9(a)に示すように回転慣性質量ダンパーを用いる場合に比べて応答倍率の低減効果で劣るばかりでなく、図9(b)に示すように付加質量の変位応答倍率が格段に大きくなるという欠点があり、しかも所要コストは本実施形態に比べて大きいものとなる。
また、梁断面を単に拡大することでは、図9(a)に示すように梁全体の高剛性化により固有振動数が短周期化するだけで応答倍率は半減する程度に過ぎない。しかもそのための所要コストは、本実施形態のように小断面の付加梁と簡易な回転慣性質量ダンパーを設置する場合と同等程度であり、このことから既往の手法はいずれも費用対効果の点で本発明に比ぶべくもないものである。
本発明の実施形態である振動低減機構の概要図である。 同、回転慣性質量ダンパーの一例を示す概要図である。 同、回転慣性質量ダンパーの他の例を示す概要図である。 本発明の他の実施形態である振動低減機構の概要図である。 本発明のさらに他の実施形態である振動低減機構の概要図である。 本発明のさらに他の実施形態である振動低減機構の概要図である。 本発明のさらに他の実施形態である振動低減機構の概要図である。 本発明の効果を示す図である。 本発明の効果を既往の手法と比較して示す図である。
符号の説明
1 本体梁
2 付加梁
3 回転慣性質量ダンパー
4 付加減衰
5 錘
6 ネジ軸
7 ボールナット
8 サブウエイト
10 小梁
13 回転慣性質量ダンパー
14 錘
15 棒体
16,17 ガセットプレート

Claims (3)

  1. 構造物の梁を対象としてその上下方向の曲げ振動を低減させるための振動低減機構であって、
    振動低減対象の本体梁に添わせてもしくは交差させて該本体梁に対する相対変位を生じて付加バネとして機能する付加梁を設置し、それら本体梁と付加梁との間に、本体梁の上下方向の曲げ振動によって作動して錘の回転による回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装するとともに、該回転慣性質量ダンパーによる回転慣性質量と該回転慣性質量ダンパーに対して直列に設置されて付加バネとして機能する前記付加梁のバネ定数とにより定まる上下方向の固有振動数を本体梁の上下方向の固有振動数に同調させてなることを特徴とする振動低減機構。
  2. 請求項1記載の振動低減機構であって、
    本体梁に添わせて設置する付加バネとしての付加梁を本体梁の側方に並設するとともに、本体梁から側方に向けて突出する小梁を設けて、該小梁の端部と付加梁との間に回転慣性質量ダンパーを設置することにより、本体梁と付加梁との間に介装する回転慣性質量ダンパーをそれら本体梁と付加梁との間に前記小梁を介して設置してなることを特徴とする振動低減機構。
  3. 構造物の梁を対象としてその上下方向の曲げ振動を低減させるための振動低減機構の諸元設定方法であって、
    振動低減対象の本体梁に添わせてもしくは交差させて該本体梁に対する相対変位を生じて付加バネとして機能する付加梁を設置し、それら本体梁と付加梁との間に、本体梁の上下方向の曲げ振動によって作動して錘の回転による回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを介装するとともに、該回転慣性質量ダンパーによる回転慣性質量と該回転慣性質量ダンパーに対して直列に設置されて付加バネとして機能する前記付加梁のバネ定数とにより定まる上下方向の固有振動数を本体梁の上下方向の固有振動数に同調させるように回転慣性質量ダンパーと付加梁の諸元を設定することを特徴とする振動低減機構の諸元設定方法。
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