JP2010275800A - ピン部材、連結構造、及び連結構造を有する構造物 - Google Patents

ピン部材、連結構造、及び連結構造を有する構造物 Download PDF

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淳道 櫛部
Takatoshi Ogawa
孝寿 小川
Harumi Yoneda
春美 米田
Mitsuru Takeuchi
満 竹内
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Abstract

【課題】切欠き部の疲労破壊を抑制することを目的とする。
【解決手段】筒体60を円筒形状に形成し、この筒体60の内周壁に切欠き部64を設けている。即ち、筒体60を円筒形状に形成したことにより、従来の胴体68よりも筒体60の断面係数を飛躍的に大きくし、筒体60の所定断面に生じる曲げ応力度(最大曲げ応力度)を小さく抑えている。更に、筒体60の内周面に切欠き部64を形成することで、切欠き部64に生じる曲げ応力度を小さく抑えている。これにより、単純な構成で切欠き部64の疲労破壊を抑制することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、構造物において用いられるピン部材、連結構造、及びこの連結構造を有する構造物に関する。
建物において、相対変位する部材同士を連結する手段としては、せん断ピン、いわゆるシアピン等のピン部材が知られている。このピン部材は、部材同士の相対変位を規制する一方で、所定の外力を受けたときに破断して、部材同士の相対変位を可能にする。このピン部材は、構造体同士や、構造体とダンパー等の機械装置との連結に用いられており、例えば、特許文献1の免震構造物では、基礎と、この基礎の上に構築された上部構造物とをピン部材で連結している。
特許文献1の免震構造物では、ピン部材によって、基礎と上部構造物との相対変位を規制することにより、強風による上部構造物の横揺れを防止している。一方、ピン部材の外周面には溝状の切欠き(括れ部)が形成されており、上部構造物に所定の地震力が加わると、ピン部材が括れ部で破断する。これにより、基礎に対して上部構造物が相対変位し、基礎と上部構造物との間に設置された免震装置が作動するように構成されている。
しかしながら、ピン部材には、風による振動や交通振動等に起因する繰り返し荷重が作用し、ピン部材がせん断変形や曲げ変形を繰り返す。この際、ピン部材の切欠きに、せん断力、曲げモーメントが集中するため、当該切欠きが疲労破壊する恐れがある。
特開2001−90382号公報
本発明は、上記事実を考慮し、切欠き部の疲労破壊を抑制することを目的とする。
請求項1に記載のピン部材は、相対変位する第1部材と第2部材とを連結する中空体と、前記中空体の内壁に設けられた切欠き部と、を備えている。
上記の構成によれば、第1部材と第2部材とを中空体で連結することにより、第1部材と第2部材との所定方向の相対変位が規制される。一方、中空体の内壁には切欠き部が設けられており、中空体の破断耐力が部分的に小さくされている。この破断耐力を超える外力が中空体に作用すると、中空体が切欠き部で破断する。これにより、第1部材と第2部材との相対変位の規制が解除され、第1部材と第2部材とが所定方向へ相対変位可能となる。
ここで、中空体と中実体の断面積が同じ場合、中空体の断面係数は、中実体の断面係数よりも大きくなる。従って、中実体と比較して、ピン部材を中空体としたことにより、中空体に作用する曲げ応力度を小さくすることができる。
更に、中空体の内壁に切欠き部を設けたことにより、当該切欠き部における曲げ応力度を低減することができる。即ち、中空体の曲げ応力度は、中空体の中心(中立軸)から中空体の外壁へ向かって大きくなるところ、本発明では、中空体の内壁に切欠き部を設けている。従って、曲げ応力度が最大となる中空体の外壁に切欠き部を設ける場合と比較して、切欠き部における曲げ応力度を小さくすることができる。よって、第1部材と第2部材との微小な繰り返し相対変位による切欠き部の疲労破壊を抑制することができる。
また、中空体であれば、熱処理を施す際に、中空体の外壁のみならず、中空体の中空部(内部)からも熱が加えられ、均一な熱処理効果(強度向上)を図ることができる。
請求項2に記載の連結構造は、第1部材と、前記第1部材と相対変位する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを連結すると共に、前記第1部材と前記第2部材との間に前記切欠き部が配置される請求項1に記載のピン部材と、を備えている。
上記の構成によれば、第1部材と第2部材とがピン部材によって連結される。ピン部材の内壁には切欠き部が設けられている。この切欠き部は、第1部材と第2部材との間に配置される。従って、第1部材と第2部材とが所定方向に相対変位しようとすると、切欠き部にせん断力、及び第1部材と第2部材との間の距離に応じた曲げモーメントが作用する。これらのせん断力及び曲げモーメントの組み合わせ応力が、切欠き部の破断耐力を超えると、ピン部材が切欠き部で破断する。これにより、第1部材と第2部材との相対変位の規制が解除され、第1部材と第2部材とが所定方向へ相対変位可能となる。
請求項3に記載の連結構造は、請求項2に記載の連結構造において、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方に、前記ピン部材が挿入される取付穴が設けられ、前記取付穴と前記ピン部材との間に隙間が設けられている。
上記の構成によれば、第1部材及び第2部材の少なくとも一方に、ピン部材が挿入される取付穴が設けられている。この取付穴とピン部材との間には隙間が設けられており、即ち、取付穴に対してピン部材が相対変位可能となっている。そのため、ピン部材に作用する繰り返し荷重が低減される。従って、切欠き部の疲労破壊を抑制することができる。
請求項4に記載のピン部材は、請求項1に記載のピン部材において、前記中空体が、鉄系形状記憶合金からなる。
上記の構成によれば、中空体が鉄系形状記憶合金とされている。鉄系形状記憶合金は、疲労特性に優れているため、切欠き部の疲労破壊を更に抑制することができる。
また、鉄系形状記憶合金は、相変態挙動や双晶変形時の内部摩擦よるエネルギー吸収性能を有するため、振動を低減することができる。
請求項5に記載の構造物は、請求項2又は請求項3に記載の連結構造を有し、前記ピン部材によって連結された前記第1部材及び前記第2部材を有している。
上記の構成によれば、構造物は、相対変位する第1部材と第2部材とを備えている。これらの第1部材と第2部材とは、ピン部材によって連結されており、所定方向の相対変位が規制されている。
一方、中空体の内壁には切欠き部が設けられており、中空体の破断耐力が部分的に小さくされている。この破断耐力を超える外力が中空体に作用すると、中空体が切欠き部で破断する。これにより、第1部材と第2部材との相対変位の規制が解除され、第1部材と第2部材とが所定方向へ相対変位可能となる。
ここで、中空体の内壁に切欠き部を設けたことにより、切欠き部に作用する曲げ応力度を小さくすることができる。従って、例えば、風、交通振動等に起因する切欠き部の疲労破壊を抑制することができる。
本発明は、上記の構成としたので、切欠き部の疲労破壊を抑制することができる。
第1実施形態に係る連結構造が適用された構造物を示す、立面図である。 第1実施形態に係る連結構造を示す、図1の拡大立面図である。 図2の2−2線断面図である。 (A)は図2の拡大立面図であり、(B)は図4(A)の4−4線断面図である。 (A)は第1実施形態に係るシアピンの変形状態を示す模式図であり、(B)は、図5(A)の5−5線断面図であり、当該断面に生じる曲げ応力度分布を示している。 (A)及び(B)は、従来のシアピンを示す縦断面図及び切欠き部の断面図であり、(C)は、第1実施形態に係るシアピンの縦断面図及び切欠き部の横断面図である。 (A)は第1実施形態の変形例を示す図2の拡大立面図に相当する図であり、(B)は図7の7−7線断面図である。 第2実施形態に係る連結構造が適用された制振装置を示す立面図である。 図8の8−8線断面図である。 第2実施形態に係る連結構造の変形例が適用された制振装置を示す立面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。図1には、連結構造が適用された構造物12が示されている。
構造物12は、基礎16と、基礎16の上に構築された建物本体14とを備えている。基礎16と建物本体14との間に形成された免震層Gには、積層ゴム支承、滑り支承、又は転がり支承等からなる免震装置18が複数配置されている。これらの免震装置18によって、建物本体14が基礎16に対して相対変位可能に支持されている。一方、基礎16及び建物本体14には、連結部20、22がそれぞれ設けられている。これらの連結部20、22はシアピン24(図2参照)によって連結されており、シアピン24が破断するまで基礎16に対する建物本体14の相対変位が規制されている。
図2〜図4に示されるように、基礎16に設けられた連結部20は、基礎16の上面に設けられた基台26と、基台26の上面に固定されたハウジング28と、を備えている。このハウジング28は、所定長さの角形鋼管からなる本体30と、この本体30の材軸方向両端部に接合された鋼製のフランジ32A、32Bと、を備えている。
フランジ32A、32Bは平面視形状が本体30よりも大きくされており、各々の外周部が本体30から突出している。これらの外周部の間には複数のリブ34が立設されている。これらのリブ34はフランジ32A、32Bと本体30とにまたがって溶接等で固定されており、これにより本体30とフランジ32A、32Bとが補強されている。このように構成されたハウジング28は、フランジ32Bの外周部を貫通するアンカーボルト36(図3参照)によって、基台26に固定されている。
フランジ32Aの中央部には、本体30の内部に通じる貫通孔38(図4参照)が形成されている。貫通孔38には、固定部材40が嵌め込まれており、図示せぬボルト、ビス等によってフランジ32Aに固定されている。この固定部材40は、後述する筒体60と同等若しく同等以上の強度を有する鋼材でリング状に形成されており、その内部に形成された取付穴40Aに筒体60が貫通可能とされている。取付穴40Aの直径は、筒体60の外径よりも僅かに大きくされており、固定部材40の内周壁と筒体60との間に隙間(遊び)ができないように構成されている。なお、筒体60は、打ち込み等によって固定部材40に圧入することも可能である。
また、固定部材40はフランジ32Aに対して着脱自在とされており、筒体60から受ける支圧力等によって固定部材40が破損、損傷した場合に、交換できるようになっている。なお、本体30の外周壁には、本体30の内部に配置されたシアピン24、及び固定部材40を交換するための開口42が形成されている。
一方、建物本体14に設けられた連結部22は、建物本体14の底壁に設けられた基台44と、この基台44の下面に固定されたハウジング46と、を備えている。このハウジング46は、所定長さの角形鋼管からなる本体48と、この本体48の材軸方向両端部に溶接等によって固定された鋼製のフランジ50A、50Bと、を備えており、複数のリブ52によって適宜補強されている。なお、ハウジング46の構成は、前述したハウジング28とほぼ同一であるため、適宜省略して説明する。
フランジ50A(第2部材)は、ハウジング28のフランジ32A(第1部材)と対向して配置されると共に、地震時等にフランジ32Aに対して水平方向(図4(A)において、矢印A方向)へ相対変位する。このフランジ50Aの中央部には、本体48の内部に通じる貫通孔54(図4参照)が形成されている。この貫通孔54には、固定部材56が着脱自在に固定されている。この固定部材56は、固定部材40と同様の構成とされており、筒体60と同等若しく同等以上の強度を有する鋼材でリング状に形成され、その内部に形成された取付穴56Aに筒体60が貫通可能とされている。なお、本体48の外周壁には、本体48の内部に配置されたシアピン24、及び固定部材56を交換するための開口58が形成されている。
次に、シアピン24の構成について説明する。
図4に示されるように、シアピン24(ピン部材)は、固定部材40、56の取付穴40A、56Aに貫通される筒体60(中空体)と、筒体60の端部に設けられた端部プレート62と、を備えている。筒体60は円筒形状に形成されており、内部が空洞の中空体とされている。また、筒体60の上端部には端部プレート62が溶接等で接合されており、当該端部プレート62が固定部材56の表面(上面)に係止されることにより、筒体60が取付穴40A、56Aから抜け落ちないようになっている。
筒体60の内周壁60Aには、切欠き部64が形成されている。切欠き部64は、筒体60の内周壁60Aに形成された切欠きであり、筒体60の周方向に沿って環状に形成されている。この切欠き部64によって筒体60の断面積(筒体60の材軸と直交する断面積)が部分的に小さくされており、即ち、筒体60の破断耐力が部分的に小さくされている。この切欠き部64の形状、大きさ(深さ)は、筒体60に求められる破断耐力に応じて適宜設計される。
また、シアピン24は、求められる破断耐力に応じて、鉄、鋼、非鉄金属、合金等の種々の材料で形成することができる。例えば、高張力鋼(例えば、SNCM439、SCM440等)は、筒体60の破断耐力を増大させることができる。また、疲労破壊の観点からすれば、疲労寿命特性に優れた鉄系形状記憶合金又は超微細結晶粒を有する鋼が好ましい。
鉄系形状記憶合金としては、Fe−Mn−Si基系、Mn−Si−Al基系などが適している。これらの鉄系形状記憶合金は、加熱することにより元の形状に復元する形状記憶効果を有しており、大変形後の残留応力を容易に取り除くことができ、また、擬弾性を有するため、ひずみ振動、ひずみ変形に対してひずみ硬化することがない。これらの鉄系形状記憶合金は、一般的な低降伏点鋼の5〜10倍程度の疲労寿命特性を有しており、特に低サイクル応力に対する疲労寿命特性に優れている。更に、鉄系形状記憶合金は、可逆的なマルテンサイト変態によってエネルギー吸収性能を有すると共に、前述した擬弾性変形時においても、相変態挙動や双晶変形による内部摩擦によってエネルギー吸収性能を有している。従って、切欠き部64の疲労破壊を抑制することができると共に、微振動を低減することができる。
また、Fe−Mn−Si基鉄系形状記憶合金に所定量のNbCを添加することにより、強度を増加することができると共に、加工硬化を更に抑制することができる。一例として、NbCが添加されたFe−Mn−Si基形状記憶合金の組成を示すと、Mn:15〜40質量%、Si:3〜15質量%、Cr:0〜20質量%、Ni:0〜20質量%、Nb:0.1〜1.5質量%、C:0.01〜0.2質量%である。
上記のように構成されたシアピン24の筒体60は、固定部材40、56の取付穴40A、56Aのそれぞれに挿入される。これにより、基礎16と建物本体14とが連結され、これらの相対変位が規制される。また、シアピン24は、筒体60に形成された切欠き部64が、固定部材40と固定部材56との間に位置するように保持されると共に、その材軸がフランジ32Aとフランジ50Aとの相対変位方向(矢印A方向)と直交又は交差するように配置されている。これにより、筒体60が切欠き部64で破断するようになっている。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
シアピン24によって、連結部20のフランジ32Aと、連結部20のフランジ32Aと、が連結されている。これにより、基礎16と建物本体14との相対変位が規制され、免震装置18が作動しないようになっている。また、シアピン24の筒体60には切欠き部64が形成されており、筒体60の破断耐力が部分的に小さくされている。この破断耐力を超える外力が筒体60に作用すると、筒体60が切欠き部64で破断する。これにより、基礎16に対して建物本体14が相対変位可能となり、免震装置18が作動する。
ここで、免震装置18の作動タイミングは、筒体60の破断耐力を増減することにより調整することができる。従って、例えば、風や交通振動等のように、頻繁に構造物12に作用する外力に対して、免震装置18が作動しないよう調整することで、構造物12の居住性を向上することができる。また、免震装置18の疲労破壊を抑制し、免震装置18の長寿命化を図ることができる。
一方、風や交通振動等の外力が構造物12に作用し、フランジ32Aとフランジ50Aとが水平方向へ相対変位しようとすると、シアピン24の筒体60に繰り返し荷重が作用する。この繰り返し荷重によって、筒体60にせん断力Qが作用すると共に、固定部材40と固定部材56との間の距離L(図4参照)に比例した曲げモーメントMが筒体60に作用する。これらの応力は切欠き部64に集中するため、切欠き部64の疲労破壊が問題となる。
ここで、本実施形態に係るシアピン24を図6(C)に示し、比較例として従来のシアピン66、72を図5(A)、図5(B)、図6(A)、及び図6(B)に示す。シアピン66の胴体68は円柱形状に形成されており、その内部が空洞でない中実体となっている。また、胴体68の外周面には切欠き部70が形成されている。一方、図6(B)に示すシアピン72の筒体74は円筒形状に形成されており、その外周壁に切欠き部76が形成されている。なお、比較を容易にするために、胴体68及び筒体74の断面積は、本実施形態に係る筒体60の断面積と同じものとし、また、せん断力Qによる影響は省略して説明する。
前述した切欠き部64の疲労破壊を抑制するために、本実施形態では、筒体60を円筒形状に形成し、この筒体60の内周壁に切欠き部64を設けている。即ち、筒体60を円筒形状に形成したことにより、従来の胴体68よりも筒体60の断面係数を飛躍的に大きくし(直径D<直径D)、筒体60の所定断面に生じる曲げ応力度(最大曲げ応力度)を小さく抑えている。
更に、筒体60の内壁に切欠き部64を形成することにより、切欠き部64における曲げ応力度を小さく抑えている。従来のように、中実体とされた胴体68の所定断面に生じる曲げ応力度分布(図5(B)参照)は、胴体68の中心(中立軸)から外側へ向かって大きくなり、胴体68の表面(外周面)で最大となる。これと同様に、筒体60の所定断面に生じる曲げ応力度分布は、筒体60の中心(中立軸)から筒体60の表面(外周面)へ向かって大きくなり、筒体60の表面(外周面)で最大となる。
従って、筒体60の内周面に切欠き部64を形成することで、従来のシアピン72(図6(B)参照)のように筒体74の外周面に切欠き部76を形成する場合と比較して、切欠き部64における曲げ応力度を小さくすることができる(D<Dであり切欠き部76が筒体60の中心に近い)。このように本実施形態では、筒体60の形状、及び切欠き部64を設ける位置により、曲げモーメントMに対する切欠き部64の強度を増大させ、作用する応力度を低減することにより、単純な構成で切欠き部64の疲労破壊を抑制することができる。
また、筒体60であれば、熱処理を施す際に、筒体60の外周面のみならず、筒体60の内周面からも熱が加えられ、均一な熱処理効果(強度向上)を図ることができる。
また、筒体60の材料として、疲労寿命特性に優れた鉄系形状記憶合金、特に、Fe−Mn−Si基系、Mn−Si−Al基系鉄系形状記憶合金を用いることにより、切欠き部64の疲労破壊を更に抑制することができる。また、鉄系形状記憶合金は、マルテンサイト変態や、相変態挙動や双晶変形時の内部摩擦によるエネルギー吸収性能を有するため、振動を低減することができる。
なお、せん断力Qの影響を省略して説明したが、切欠き部64にはせん断力Qと曲げモーメントMの組み合わせ応力(VonMises応力)が作用する。従って、従来の胴体68の直径(断面積)を大きくするなどして、切欠き部70におけるせん断応力度を小さくし、切欠き部70の疲労破壊を抑制することができる。しかしながら、胴体68の断面積の増加に伴って胴体68の破断耐力が増加するため、免震装置18の作動タイミングの調整が煩雑となる。また、胴体68の材料コストが増加するため、不経済となる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
本変形例では、固定部材40の取付穴40Aと筒体60との間に隙間H(合計2H)を設けている。具体的には、取付穴40Aの直径は、シアピン24の外径よりも大きくされており、取付穴40Aの内周壁とシアピン24との間に隙間Hが形成されるように構成されている。この隙間Hによって、当該取付穴40A内で筒体60が相対変位可能となっている。この隙間Hは、免震装置18を作動させるタイミングを考慮して適宜設計される。
次に、第1実施形態の変形例の作用について説明する。
取付穴40Aと筒体60との間に隙間Hを設けたことにより、取付穴40A内で筒体60が相対変位可能となっている。そのため、筒体60に作用する繰り返し荷重を低減することができる。即ち、風や交通振動等の微小振動のように、頻繁に構造物12に作用する外力によって、フランジ32Aとフランジ50Aとが微小な相対変位を繰り返しても、筒体60の下部が取付穴40Aに拘束されていないため、筒体60にせん断力及び曲げモーメントが作用しない。従って、応力が集中する切欠き部64の疲労破壊を抑制することができる。
一方、強風等によってフランジ32Aとフランジ50Aとの相対変位が大きくなると、筒体60が取付穴40Aの内周壁に接触し、フランジ32Aとフランジ50Aとの相対変位が規制される。即ち、基礎16に対する建物本体14の相対変位が規制され、建物本体14の振動が抑制される。従って、建物本体14の居住性能が向上する。
更に、地震等の大きな振動により、フランジ32Aとフランジ50Aとの相対変位が大きくなると、筒体60が破断してフランジ32Aとフランジ50Aとの拘束が解除される。これにより、免震装置18が作動し、建物本体14に発生する地震力が低減される。
なお、本変形例では、筒体60の下部と取付穴40Aとの間に隙間Hを設けたが、筒体60の上部と取付穴56Aとの間に隙間を設けても良い。即ち、筒体60と取付穴40Aとの間、及び筒体60と取付穴56Aと間の少なくとも一方に、隙間を設ければ良い。
また、免震装置18とは別にダンパーを設け、隙間Hによるフランジ32Aとフランジ50Aとの微小な相対変位を利用して当該ダンパーを作動させ、振動エネルギーを吸収することも可能である。このダンパーを設けることにより、更に、建物本体14の居住性能を向上させることができる。この際、ダンパーに、フランジ32Aとフランジ50Aとの相対変位量を増幅させる増幅機構を設け、エネルギー吸収効率を高めることが望ましい。
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図8には、第2実施形態が適用されたTMD(Tuned Mass Damper)80が示されている。TMD80は建物本体14の上層階(例えば、屋上等)に設置されており、門形状のフレーム82から吊り下げられたマス84と、マス84と建物本体14の床86とを連結する減衰手段としてのオイルダンパー88と、を備えている。
フレーム82は、鋼材(H形鋼)からなる柱82A及び梁82Bを溶接等で接合して構成されている。フレーム82内には、PC鋼材90によって梁82Bから吊り上げられた揺動体92が略水平方向に配置されている。PC鋼材90は梁82B及び揺動体92に回転可能に連結されており、揺動体92が振り子のように水平方向(矢印C方向)へ移動可能となっている。
揺動体92の上にはマス84が載置されている。ここで、前述したPC鋼材90の長さ(吊り長さ)を増減することにより、マス84及び揺動体92の固有振動数が、建物本体14の固有振動数と同じ又は近似した値に設定されており、マス84及び揺動体92と建物本体14とが地震時に同調するように構成されている。
揺動体92と床86との間には、オイルダンパー88が設置されている。オイルダンパー88は、揺動体92に設けられた固定部94(第1部材)と床86に設けられた固定部96(第2部材)との間に配置されている。各固定部94、96とオイルダンパー88とは、揺動体92の移動面と直交する方向を材軸方向としたシアピン98及び連結ピン100を回転軸として回転可能に連結され、揺動体92の揺れに応じてオイルダンパー88が伸縮自在に連結されている。なお、オイルダンパー88に替えて、粘弾性体ダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー等を用いることができる。
図9に示されるように、鋼材(H形鋼)からなる固定部94の側面には、対向する一対のフランジ102、104が設けられている。これらのフランジ102、104の間には、オイルダンパー88のロット106の先端部が配置されている。また、フランジ102、104、及びロット106の先端部には、取付穴102A、104A、106Aがそれぞれ形成されている。これらの取付穴102A、104A、106Aに貫通されるシアピン98の筒体108によって、フランジ102、104とロット106とが連結されている。
シアピン98(ピン部材)は、筒体108(中空体)と、筒体108の端部に設けられた端部プレート110と、を備えている。筒体108は円筒形状に形成されており、内部が空洞の中空体とされている。また、筒体108の内周壁108Aには、2つの切欠き部112A、112Bが形成されている。切欠き部112A、112Bは、筒体108の周方向に沿って環状に形成されている。この切欠き部112A、112Bによって、筒体108の破断耐力が部分的に小さくされている。
シアピン98は、フランジ102とロット106との間、及びフランジ104とロット106との間に、切欠き部112A、112Bが位置するように保持されると共に、その材軸がフランジ102、104とロット106との相対変位方向(矢印C方向)と直交又は交差するように配置される。これにより、筒体108が切欠き部112A、112Bで破断するようになっている。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
地震等によって構造物12(図1参照)に外力が作用すると、マス84及び揺動体92が振り子のように揺れ動く。これにより、マス84及び揺動体92の動吸効果によって建物本体14の揺れが低減される。また、マス84及び揺動体92の揺れに応じて、オイルダンパー88が伸縮し、これらのマス84及び揺動体92の運動エネルギーが吸収される。従って、建物本体14の揺れが低減される。特に、地震周期に建物本体14が共振したときに、動吸効果及びオイルダンパー88による運動エネルギー吸収効果が大きくなる。マス84及び揺動体92の固有振動が、建物本体14の固有振動と同じ又は近似した値に設定されているため、マス84及び揺動体92の揺れが増大するためである。
一方、想定以上の大地震等によって、マス84及び揺動体92の揺れが増大すると、シアピン98が切欠き部112A、112Bで破断し、固定部94とオイルダンパー88との連結が解除される。これにより、オイルダンパー88の破損、損傷が抑制される。
ここで、マス84及び揺動体92が揺れ動くことにより、即ち、フランジ102、104とロット106が相対変位しようとすることにより、シアピン98にせん断力、及び各フランジ102、104とロット106との間の距離に応じた曲げモーメントが作用する。これらのせん断力及び曲げモーメントは、切欠き部112A、112Bに集中するため、切欠き部112A、112Bの疲労破壊が問題となる。
この対策として、本実施形態では、筒体108を円筒形状とし、筒体108の断面係数を飛躍的に増大して筒体108の所定断面における曲げ応力度を小さく抑えている。また、筒体108の内周壁に切欠き部112A、112Bを設けることにより、切欠き部112A、112Bにおける曲げ応力度を低減している。従って、切欠き部112A、112Bの疲労破壊を抑制することができる。
なお、本実施形態では、オイルダンパー88の連結部にシアピン66を設け、想定以上の地震等によるオイルダンパー88の破損、損傷を防止したが、図10に示されるように、揺動体92に設けられた連結部114(第1部材)と、床86に設けられた連結部116(第2部材)とをシアピン24(図4参照)で連結し、所定以上の外力が作用したときに、シアピン24を破断させてTMD80を作動させても良い。即ち、シアピン24により、居住性が問題にならない程度の微小な風や交通振動等に起因するマス84及び揺動体92の揺れを規制する一方で、地震等の大きな外力に対してシアピン24を破断させることで、マス84及び揺動体92を揺らして動吸効果を発揮させることができる。従って、シアピン24の破断前にはPC鋼材90の連結部(回転部)の疲労破壊等を抑制することができ、シアピン24の破断後には構造物12の居住性を向上することができる。
なお、上記第1、第2実施形態では、シアピン24、98の筒体60、108を円筒形状に形成したがこれに限らない。シアピン24、98の所定断面の断面係数を増大でき、且つ内壁に切欠き部を形成できれば良い。例えば、楕円柱や多角柱の内部に空洞を設け、この中空体の内壁に切欠き部を形成しても良い。
また、上記の第1、第2実施形態に係るシアピン24、98は、種々の部材の連結構造に用いることができる。即ち、第1実施形態における基礎16と建物本体14とのように、構造体(構造部材を含む)同士を連結しても良いし、第2実施形態におけるオイルダンパー88等の機械装置の連結構造に用いて良い。また、図10に示される揺動体92と床86のように、TMD等の制振装置と構造部材とを連結しても良い。更に、上記の第1、第2実施形態は、建築構造物のみならず、土木構造物(例えば、橋梁、ダムなど)にも適用可能である。即ち、構造物とは、建築構造物、及び土木構造物を含む概念である。
また、上記第1、第2実施形態では、水平方向に相対変位する部材をシアピン24、98で連結したこれに限らず、上下方向(鉛直方向)や、斜め方向に相対変位する部材(例えば、ブレースと架構)をシアピン24、98で連結することができる。この際、シアピン24、98の材軸が、連結する部材の相対変位方向と交差するように、好ましくは直交するようにシアピン24、98を配置することにより、いわゆるシアピンとしての機能を発揮させることができる。
また、上記第1、第2実施形態では、切欠き部64、112A、112Bを筒体60、108の周方向に沿って環状に形成したが、必ずしも環状である必要はない。例えば、第1実施形態において、複数の切欠き部を筒体60の周方向に間隔を空けて複数形成しても良い。ここで、切欠き部64を環状に形成した場合、筒体60の肉厚が均一又は略均一になるため、破断耐力のばらつきが低減される。従って、建物本体14が水平二方向へ変位する場合、建物本体14の変位方向に関わらず、所定のタイミングで筒体60を破断させることができる。一方、環状ではなく、間隔を空けて複数の切欠き部を形成する場合、建物本体14が変位する方向によって筒体60が破断するタイミングを変えることができる。
以上、本発明の第1、第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1、第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
12 構造物
24 シアピン(ピン部材)
32A フランジ(第1部材)
40A 取付穴
50A フランジ(第2部材)
56A 取付穴
60 筒体(中空体)
64 切欠き部
94 固定部(第1部材)
96 固定部(第2部材)
98 シアピン(ピン部材)
108 筒体(中空体)
114 連結部(第1部材)
116 連結部(第2部材)

Claims (5)

  1. 相対変位する第1部材と第2部材とを連結する中空体と、
    前記中空体の内壁に設けられた切欠き部と、
    を備えるピン部材。
  2. 第1部材と、
    前記第1部材と相対変位する第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材とを連結すると共に、前記第1部材と前記第2部材との間に前記切欠き部が配置される請求項1に記載のピン部材と、
    を備える連結構造。
  3. 前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方に、前記ピン部材が挿入される取付穴が設けられ、
    前記取付穴と前記ピン部材との間に隙間が設けられている請求項2に記載の連結構造。
  4. 前記中空体が、鉄系形状記憶合金からなる請求項1に記載のピン部材。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の連結構造を有し、前記ピン部材によって連結された前記第1部材及び前記第2部材を有する構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016084874A (ja) * 2014-10-27 2016-05-19 大和ハウス工業株式会社 せん断ダンパ
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JP2020158992A (ja) * 2019-03-25 2020-10-01 株式会社テイエム技建 連結部材およびそれを用いた免震足場

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