JP2011094414A - 制振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】架構の最大変形時における制振装置の性能低下を低減することを目的とする。
【解決手段】制振装置10は、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の2つの特性を有するダンパーを備えている。粘性型ダンパー14は速度に依存するため、その振動低減力Fは、架構12の繰り返し水平変形速度が最大となる原点(層間変位量δ=0)で最大となり、架構12の水平変形方向が逆向きとなる静止点(層間変位量δ=±δ)でゼロとなる。一方、履歴型ダンパー16は、変形量に依存するため、その振動低減力Fは、原点(δ=0)で小さくなり、架構12の層間変位量が最大となる静止点(層間変位量δ=±δ)で最大となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、制振装置に関する。
特許文献1には、4つのリンク部材をひし形状にピン接合して構成された増幅機構を架構に設け、当該増幅機構にオイルダンパーを連結した制振構造部材が提案されている。また、特許文献2には、2つのリンク部材を所定の交差角度を持ってピン接合して構成された増幅機構を架構に設け、当該増幅機構にオイルダンパーを連結したトグル制振装置が提案されている。
これら特許文献1の制振構造部材及び特許文献2のトグル制振装置は、増幅機構によって架構の層間変位を増幅し、当該増幅機構に連結されたオイルダンパーの伸縮量を増大させることにより、オイルダンパーの減衰性能を向上させている。
しかしながら、オイルダンパー等の粘性型ダンパーの減衰性能(減衰力)は速度に依存するため、架構の層間変位が最大になったとき、即ち、繰り返し水平変形する架構の変形方向が逆向きになる静止点で振動低減力がゼロになり、十分な制振効果を得ることができない。
一方、特許文献3には、粘弾性ダンパーと鋼材ダンパーを直列に連結した複合型ダンパーが提案されている。この複合型ダンパーには、粘弾性ダンパーの変形量が所定値以上になったときに、粘弾性ダンパーの変形量を制限して鋼材ダンパーに外力を伝達するストッパが設けられている。従って、風や交通振動等の小振幅振動を粘弾性ダンパーで効率的に吸収できる一方で、大地震等の大振幅振動に対しては高剛性の鋼材ダンパーに外力を伝達することにより、架構の過大変形を抑制することができる。しかしながら、この複合型ダンパーは、架構の層間変位量を増幅する増幅機構を備えていない。
特開2004−19271号公報 特開2005−48393号公報 特開平10−280727号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、制振装置の制振性能を向上することを目的とする。
請求項1記載の制振装置は、柱と水平部材からなる架構に設けられ、該架構の振動を低減する粘性型ダンパーと、前記架構に設けられ、該架構の振動を低減する履歴型ダンパーと、前記架構に設けられ、該架構の層間変位を増幅して前記粘性型ダンパー及び前記履歴型ダンパーに伝達する増幅機構と、を備えている。
上記の構成によれば、風や地震によって架構に層間変位が生じると、増幅機構によって架構の層間変位が増幅されて粘性型ダンパー及び履歴型ダンパーに伝達される。従って、粘性型ダンパー及び履歴型ダンパーの振動低減効率が向上する。よって、増幅機構を備えない場合と比較して、制振装置の制振性能が向上する。
ここで、粘性型ダンパーとは、速度に依存する粘性体の粘性抵抗によって振動を低減するものである。しかしながら、架構の層間変形の速度は、架構の層間変位量が最大になったとき、即ち、繰り返し水平変形する架構の変形方向が逆向きになる静止点でゼロになる。従って、粘性型ダンパーを単独で用いた場合、架構の層間変位量が最大となったときに、振動低減力を得ることができない。
これに対して本発明の制振装置は、粘性型ダンパー及び履歴型ダンパーの2つの特性を有するダンパーを備えている。ここで、履歴型ダンパーとは、変形量(ひずみ)に依存した金属の履歴変形に伴うエネルギー消費によって振動を低減するものである。従って、架構の層間変位量が最大になったとき、即ち、粘性型ダンパーの振動低減力がゼロになったときに、履歴型ダンパーの振動低減力が最大となる。従って、粘性型ダンパーの振動低減力の低下が履歴型ダンパーの振動低減力によって補完される。よって、架構の最大変形時における制振装置の性能低下が低減される。
一方、繰り返し水平変形する架構が初期位置を通過するとき、即ち、架構の層間変位量がゼロになったときは、変形量に依存する履歴型ダンパーの振動低減力が低下し、速度に依存する粘性型ダンパーの振動低減力が最大となる。このように、本発明の制振装置では、粘性型ダンパーと履歴型ダンパーとが、各々の性能特性に応じた振動低減力の低下を相互に補完し合うため、制振装置の振動低減力の安定化を図ることができる。従って、制振装置の制振性能を向上することができる。
請求項2に記載の制振装置は、請求項1に記載の制振装置において、前記増幅機構が、前記架構に一端が回転可能に連結される第1リンク部材と、前記架構に一端が回転可能に連結される第2リンク部材と、前記第1リンク部材の他端と前記第2リンク部材の他端とを回転可能に連結してリンク機構を構成する連結部材と、を備え、前記粘性型ダンパー及び前記履歴型ダンパーが前記連結部材に連結されている。
上記の構成によれば、第1リンク部材、第2リンク部材、及び連結部材によってリンク機構が構成されている。このリンク機構によって、架構の層間変位が第1リンク部材及び第2リンク部材の回転変形に変換され、連結部材に連結された粘性型ダンパー及び履歴型ダンパーに増幅されて伝達される。従って、単純な構成で、制振装置の制振性能を向上することができる。
請求項3に記載の制振装置は、請求項2に記載の制振装置において、前記履歴型ダンパーは、鋼材ダンパーと、該鋼材ダンパーの端部に設けられた粘弾性ダンパーと、を有し、
前記粘弾性ダンパーが、相対変位可能に対向して配置された保持部材と、前記保持部材の間に設けられた粘弾性体と、前記増幅機構から伝達された前記架構の層間変位量に応じて生じる前記保持部材の相対変位量が所定値以上になったときに、該保持部材の相対変位を規制して該架構の層間変位を前記鋼材ダンパーに伝達するストッパ手段と、を備えている。
上記の構成によれば、履歴型ダンパーは、鋼材ダンパー及び粘弾性ダンパーを有している。増幅機構で増幅された架構の層間変位が履歴型ダンパーに伝達されると、粘弾性ダンパーの保持部材が相対変位し、これらの保持部材の間に設けられた粘弾性体が変形する。これにより、架構の振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、架構の振動が低減される。
ここで、保持部材の相対変位量が所定値以上になると、ストッパ手段によって保持部材の相対変位が規制される。これにより、架構の層間変位が鋼材ダンパーに伝達され、架構に層間変形を生じさせる外力に対して鋼材ダンパーが抵抗する。従って、風や交通振動の小振幅振動を粘弾性ダンパーで効率的に吸収できる一方で、大振幅振動に対しては、ストッパ手段により架構の層間変位を鋼材ダンパーに伝達することにより、架構の過大変形を抑制することができる。
請求項4に記載の制振装置は、請求項2又は請求項3に記載の制振装置において、前記架構には2つの前記増幅機構が設けられ、前記粘性型ダンパーが、相対変位する前記連結部材の間に設けられ、前記履歴型ダンパーが、相対変位する前記架構と前記連結部材の間に設けられる。
上記の構成によれば、架構に2つの増幅機構が設けられている。各増幅機構の連結部材の間には、粘性型ダンパーが設けられている。一方、架構と連結部材との間には、履歴型ダンパーが設けられている。
ここで、架構に2つの増幅機構を設けたことにより、架構の層間変位が更に増幅される。即ち、各増幅機構において、架構の層間変位が第1リンク部材及び第2リンク部材の回転変形に変換され、連結部材の変位として増幅されて出力される。この結果、連結部材の間に設けられた粘性型ダンパーの伸縮量が大きくなり、粘性型ダンパーの振動低減効率が向上する。従って、増幅機構が一つの場合と比較して、制振装置の制振性能が向上する。
本発明は、上記の構成としたので、制振装置の制振性能を向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る制振装置が設けられた架構を示す、立面図である。 (A)及び(B)は、第1実施形態に係る制振装置の変形状態を示す模式図である。 (A)は第1実施形態に係る粘性型ダンパーの性能特性の一例であり、(B)はは第1実施形態に係る履歴型ダンパーの性能特性の一例である。 (A)及び(B)は、第1実施形態に係る制振装置の変形例を示す、模式図である。 本発明の第2実施形態に係る制振装置が設けられた架構を示す、立面図である。 第2実施形態に係る制振装置の変形例を示す、立面図である。 本発明の第3実施形態に係る制振装置が設けられた架構を示す、立面図である。 (A)は第3実施形態に係る粘弾性ダンパーを示す斜視図であり、(B)は第3実施形態に係る粘弾性ダンパーを示す縦断面図である。 (A)は第3実施形態に係るストッパ手段の変形例を示す斜視図であり、(B)第3実施形態に係るストッパ手段の変形例を示す縦断面図である。 (A)は第3実施形態に係るストッパ手段の変形例を示す斜視図であり、(B)は第3実施形態に係るストッパ手段の変形例を示す縦断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。
図1には、第1実施形態に係る制振装置10が設けられた架構12が示されている。制振装置10は、粘性型ダンパー14と、粘性型ダンパー14と直列に連結される履歴型ダンパー16と、架構12の層間変位を増幅して粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に伝達する2つの増幅機構18A、18Bと、を備えている。各増幅機構18A、18Bは、第1リンク部材20と、第2リンク部材22と、第1リンク部材20と第2リンク部材22とを回転可能に連結する連結部材24A、24Bとを備えている。
制振装置10が設けられる架構12は、鉄筋コンクリート造の一対の柱26と、これらの柱26に架設された鉄筋コンクリート造の上下の梁(水平部材)28とから構成された、ラーメン架構とされている。
架構12の対角上にある柱26と梁28との仕口部には、2つのブラケット30、32がそれぞれ固定されており、他の対角上にある柱26と梁28との仕口部には1つのブラケット34が固定されている。ブラケット30、32には、2つの第1リンク部材20の一端がピン36で回転可能に取り付けられている。これら2つの第1リンク部材20同士は所定の交差角度を持って架構12の構面内に配置されている。また、ブラケット30と対角にあるブラケット32には、2つの第2リンク部材22の一端がピン38で回転可能に取り付けられている。これら2つの第2リンク部材22同士は所定の交差角度を持って架構12の構面内に配置されている。
増幅機構18Aを構成する第1リンク部材20の他端と第2リンク部材22の他端とは、連結部材24Aで回転可能に連結され、リンク機構が構成されている。また、増幅機構18Bを構成する第1リンク部材20の他端と第2リンク部材22の他端とは、連結部材24Bで回転可能に連結され、リンク機構が構成されている。即ち、2つの第1リンク部材20及び2つの第2リンク部材22がひし形形状に組み合わせられて連結され、いわゆるトグル機構が構成されている。
ここで、対角するピン36、38が離間する方向に架構12が層間変位すると、ピン36を回転軸として回転する2つの第1リンク部材20の交差角度が減少すると共に、ピン38を回転軸として回転する2つの第2リンク部材22の交差角度が減少し、対向する連結部材24A、24Bが接近する方向へ相対変位する。これに対して、対角するピン36、38が接近する方向に架構12が層間変位すると、ピン36を回転軸として回転する2つの第1リンク部材20の交差角度が増大すると共に、ピン38を回転軸として回転する2つの第2リンク部材22の交差角度が増大し、対向する連結部材24A、24Bが離間する方向へ相対変位する。即ち、架構12の層間変位が第1リンク部材20及び第2リンク部材22の回転変形に変換され、連結部材24A、24Bの相対変位として増幅されて出力される。
これらの連結部材24A、24Bの間には粘性型ダンパー14が設けられ、各連結部材24A、24Bに粘性型ダンパー14の端部がそれぞれ回転可能に取り付けられている。この粘性型ダンパー14には、増幅機構18A、18Bで増幅された架構12の層間変位が伝達される。粘性型ダンパー14としては、速度に依存する粘性体の粘性抵抗によって振動を低減するものであれば良く、例えば、各種の粘性体を利用した粘性ダンパーや、オイルダンパー、ビンガムダンパー、粘弾性体ダンパー等を用いることができる。なお、本実施形態では、粘性型ダンパー14として、オイルが収容されたシリンダ14Aと、当該シリンダ14Aに対して抜き差し可能に挿入されたロッド14Bを備えるオイルダンパーを用いている。
また、図3(A)には、一例として粘性型ダンパー14の性能特性が模式的に示されている。図3(A)から分かるように、粘性型ダンパー14は速度に依存するため、その振動低減力Fは、架構12の繰り返し水平変形速度が最大となる原点(層間変位量δ=0)で最大となり、架構12の水平変形方向が逆向きとなる静止点(層間変位量δ=±δ)でゼロとなる。即ち、架構12に粘性型ダンパー14のみを取り付けた場合、架構12の最大変形時に粘性型ダンパー14の振動低減力が低下することになる。なお、図3(A)に示す性能特性は、理解を容易にするための一例であって、これに限定されるものではない。
図1に示されるように、連結部材24Aとブラケット34との間には、履歴型ダンパー16が設けられている。この履歴型ダンパー16の一端は、連結部材24Aに回転可能に連結され、粘性型ダンパー14と力学的に直列に連結されている。一方、履歴型ダンパー16の他端は、ブラケット34にピン40で回転可能に取り付けられている。これにより、増幅機構18Aで増幅された架構12の層間変位が履歴型ダンパー16に伝達されるように構成されている。履歴型ダンパー16としては、変形量に依存した金属の履歴変形に伴うエネルギー消費によって振動を低減するものであれば良く、例えば、普通鋼、低降伏点鋼、非鉄金属等のダンパーを用いることができる。なお、本実施形態では、履歴型ダンパー16として、H型鋼からなる鋼材ダンパーを用いている。
また、図3(B)には、一例として履歴型ダンパー16の性能特性が模式的に示されている。図3(B)から分かるように、履歴型ダンパー16は変形量に依存するため、その振動低減力Fは、原点位置(δ=0)で小さくなり、架構12の層間変位量が最大となる静止点(層間変位量δ=±δ)で最大となる。即ち、架構12に履歴型ダンパー16のみを設けた場合、架構12の変形量がゼロとなる原点位置付近で、履歴型ダンパー16の振動低減力が低下することになる。なお、図3(B)に示す性能特性は、理解を容易にするための一例であって、これに限定されるものではない。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図2(A)及び図2(B)には、制振装置10の変形状態が模式的に示されている。図2(A)は架構12が矢印A方向へ層間変位した状態を示し、図2(B)は架構12が矢印B方向へ層間変位した状態を示している。
先ず、図2(A)に示されるように、架構12が矢印A方向へ層間変位すると、対角するピン36とピン38とが相対変位し、これらのピン36、38の間隔が広くなる。これにより、2つの第1リンク部材20がピン36を回転軸として互いに接近する方向へ回転すると共に、2つの第2リンク部材22がピン38を回転軸として互いに接近する方向へ回転する。この結果、2つの第1リンク部材20同士がなす交差角度が減少すると共に、2つの第2リンク部材22同士がなす交差角度が減少して、連結部材24Aと連結部材24Bの間隔が狭くなり、これらの連結部材24A、24Bの間に設けられた粘性型ダンパー14に圧縮力が作用する。これにより、シリンダ14Aに対してロッド14Bが挿入され、粘性型ダンパー14が振動低減力を発生する。
また、2つの第1リンク部材20及び2つの第2リンク部材22の回転に伴って、連結部材24Aとピン36との間隔が広くなり、履歴型ダンパー16に引張り力が作用する。この引張り力に対して、履歴型ダンパー16が伸張して抵抗することにより、連結部材24Aの変位が規制され、架構12の振動が低減される。また、履歴型ダンパー16が塑性化すると、履歴変形に伴うエネルギー消費により、架構12の振動が低減される。
逆に、図2(B)に示されるように、架構12が矢印B方向へ層間変位すると、対角するピン36とピン38とが相対変位し、これらのピン36、38の間隔が狭くなる。これにより、2つの第1リンク部材20同士がピン36を回転軸として互いに離間する方向へ回転すると共に、2つの第2リンク部材22同士がピン38を回転軸として互いに離間する方向へ回転する。この結果、2つの第1リンク部材20同士がなす交差角度が増大すると共に、2つの第2リンク部材22同士がなす交差角度が増大して、連結部材24Aと連結部材24Bの間隔が広くなり、これらの連結部材24A、24Bの間に設けられた粘性型ダンパー14に引張り力が作用する。これにより、シリンダ14Aからロッド14Bが引き抜かれ、粘性型ダンパー14が振動低減力を発生する。
また、2つの第1リンク部材20及び2つの第2リンク部材22の回転に伴って、連結部材24Aとピン36との間隔が狭くなり、履歴型ダンパー16に圧縮力が作用する。この圧縮力に対して、履歴型ダンパー16が圧縮して抵抗することにより、連結部材24Aの変位が規制され、架構12の振動が低減される。また、履歴型ダンパー16が塑性化すると、履歴変形に伴うエネルギー消費により、架構12の振動が低減される。
ここで、架構12の層間変位は、増幅機構18A、18Bによって第1リンク部材20及び第2リンク部材22の回転変形に変換され、増幅されて粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に伝達される。即ち、架構12の層間変位量が僅かであっても、その変位量が増幅機構18A、18Bのリンク機構によって増幅されるため、粘性型ダンパー14におけるロッド14Bの変位量が増大すると共に、履歴型ダンパー16の伸張量(引張りひずみ)又は圧縮量(圧縮ひずみ)が増大する。従って、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の振動低減効率が向上する。
なお、架構12の層間変位が粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に伝達されるとは、架構12に層間変位を生じさせる外力が、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に伝達されること意味し、本実施形態では、増幅機構18A、18Bによって架構12の層間変位を増幅することで、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の変形量を大きくしている。
また、制振装置10は、速度に依存する粘性型ダンパー14と、変形量に依存する履歴型ダンパー16の2つの特性を有するダンパーを備えている。前述したように粘性型ダンパー14は速度に依存するため、その振動低減力Fは、架構12の繰り返し水平変形速度が最大となる原点(層間変位量δ=0)で最大となり、架構12の水平変形方向が逆向きとなる静止点(層間変位量δ=±δ)でゼロとなる(図3(A)参照)。一方、履歴型ダンパー16は変形量に依存するため、その振動低減力Fは、原点(δ=0)で小さくなり、架構12の層間変位量が最大となる静止点(層間変位量δ=±δ)で最大となる(図3(B)参照)。
従って、繰り返し水平変形する架構の層間変位量が最大になったとき、即ち、粘性型ダンパー14の振動低減力がゼロになったときに、履歴型ダンパー16の振動低減力が最大となり、粘性型ダンパー14の振動低減力の低下が履歴型ダンパー16の振動低減力によって補完される。一方、繰り返し水平変形する架構の層間変位量がゼロになったとき、即ち、履歴型ダンパー16の振動低減力が小さくなったときに、粘性型ダンパー14の振動低減力が最大となり、履歴型ダンパー16の振動低減力の低下が粘性型ダンパー14の振動低減力によって補完される。
このように、本実施形態に係る制振装置10では、粘性型ダンパー14と履歴型ダンパー16とが、各々の性能特性に応じた振動低減力の低下を相互に補完し合うため、制振性能の安定化を図ることができ、粘性型ダンパー14又は履歴型ダンパー16を単独して用いた場合と比較して、飛躍的に制振装置10の制振性能を向上させることができる。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
第1実施形態では、架構12に一つの履歴型ダンパー16を設け、当該履歴型ダンパー16を増幅機構18Aに連結したが、これに限らない。例えば、架構12に2つの履歴型ダンパーを設け、増幅機構18A、18Bの各々に履歴型ダンパーを連結しても良い。具体的には、図4(A)に示される模式図のように、履歴型ダンパー42は、その一端が連結部材24Bに回転に取り付けられると共に、その他端がピン40と対角する柱26と梁28との仕口部に設けられたブラケット(不図示)にピン44で回転可能に取り付けられている。従って、増幅機構18Bで増幅された架構12の層間変位が履歴型ダンパー42に伝達され、履歴型ダンパー42が振動低減力を発生する。
また、連結部材24Aと連結部材24Bとの間に、力学的に直列に連結された粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16を設けても良い。具体的には、図4(B)に示される模式図のように、粘性型ダンパー14は、その一端が連結部材24Aに回転可能に連結されている。一方、履歴型ダンパー16は、その一端が連結部材24Bに回転可能に連結されている。粘性型ダンパー14の他端と履歴型ダンパー16の他端とは、剛接合(回転不自由)に連結されており、力学的に直列に連結されている。即ち、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16が圧縮力に対して屈曲せず、効率的に抵抗するように構成されている。
ここで、架構12の層間変位に伴って、連結部材24Aと連結部材24Bとの間隔が狭くなると、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に圧縮力が作用し、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の各々が振動低減力を発生する。他方、連結部材24Aと連結部材24Bとの間隔が広くなると、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に引張り力が作用し、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の各々が振動低減力を発生する。
また、架構12に複数の制振装置10を設けても良い。具体的には、図5に示されるように、架構12には2つの制振装置10が設けられている。なお、説明の便宜上、架構12の左側に設けられた制振装置10を制振装置10Aとし、架構12の右側に設けられた制振装置10を制振装置10Bとする。
架構12の上の梁28の材軸方向中央部には、ブラケット46が固定されている。このブラケット46には、各制振装置10A、10Bを構成する第2リンク部材22の一端がピン48で回転可能に取り付けられている。
制振装置10Aを構成する2つの第1リンク部材20の一端は、架構12の左下にある柱26と梁28との仕口部に設けられたブラケット30にピン36で回転可能に取り付けられている。一方、制振装置10Bを構成する2つの第1リンク部材20の一端は、架構の右下にある柱26と梁28との仕口部に設けられたブラケット50にピン52で回転可能に取りつけられている。
また、各制振装置10A、10Bの連結部材24Aには、履歴型ダンパー16の一端が回転可能に取り付けられており、粘性型ダンパー14と力学的に直列に連結されている。制振装置10Aの履歴型ダンパー16の他端は、架構12の左上にある柱26と梁28との仕口部に固定されたブラケット34にピン40で回転可能に取り付けられている。また、制振装置10Bの履歴型ダンパー16の他端は、架構の右上にある柱26と梁28との仕口部に固定されたブラケット56にピン54で回転可能に取り付けられている。
このように、2つの制振装置10A、10Bを架構12に設けることにより、第1リンク部材20、第2リンク部材22、及び履歴型ダンパー16等の座屈長を短くすることができるため、各部材の構造を単純化することができる。本変形例は、特に、梁28のスパンが長い場合に有効である。
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成ものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
第1実施形態では、2つの増幅機構18A、18Bを設けたが、増幅機構は少なくとも一つあれば良い。具体的には、図6に示されるように、架構12には、2つの制振装置60が、いわゆるマンサード型ブレース状に設けられている。なお、説明の便宜上、架構12の左側に設けられた制振装置60を制振装置60Aとし、架構12の右側に設けられた制振装置60を制振装置60Bとする。また、制振装置60Bの構成は制振装置60Aと同一であるため説明を適宜省略し、制振装置60Aの構成について以下詳説する。
制振装置60Aは、粘性型ダンパー14、履歴型ダンパー16、及び一つの増幅機構18Aを備えている。増幅機構18Aは、第1リンク部材20と、第2リンク部材22と、第1リンク部材20と第2リンク部材22とを連結する連結部材24Aと、を備えている。第1リンク部材20の一端は、ブラケット30にピン36で回転可能に取り付けられており、第2リンク部材22の一端は、ブラケット46にピン48で回転可に取り付けられている。これらの第1リンク部材20と第2リンク部材22とは所定の交差角度を持って架構12の構面内に配置され、他端同士が連結部材24Aで回転可能に連結されている。これにより、リンク機構が構成されている。従って、架構12の層間変位が、第1リンク部材20及び第2リンク部材22の回転変形に変換され、連結部材24Aの変位として増幅されて出力される。
連結部材24Aには、粘性型ダンパー14の一端が回転可能に取り付けられている。一方、架構の左上にあるブラケット34には、履歴型ダンパー16の一端がピン40で回転可能に取り付けられている。これらの粘性型ダンパー14の他端と履歴型ダンパー16の他端とは剛接合(回転不自由)されており、粘性型ダンパー14と履歴型ダンパー16とが力学的に直列に連結されている。即ち、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16が圧縮力に対して屈曲せず、効率的に抵抗するように構成されている。
次に、第2実施形態に作用について説明する。
架構12の層間変位に伴ってピン36とピン48とが相対変位し、これらのピン36、48の間隔が広くなると、第1リンク部材20及び第2リンク部材22がそれぞれピン36、48を回転軸として回転し、これらの第1リンク部材20及び第2リンク部材22がなす交差角度が増大する。この結果、ピン40と連結部材24Aとの間隔が広くなり、これらのピン40と連結部材24Aとの間に設けられた粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に引張り力が作用する。これにより、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16が振動低減力を発生する。
逆に、架構12の層間変位に伴ってピン36とピン48とが相対変位し、これらのピン36、48の間隔が狭くなると、第1リンク部材20及び第2リンク部材22がそれぞれピン36、48を回転軸として回転し、これらの第1リンク部材20及び第2リンク部材22がなす交差角度が減少する。この結果、ピン40と連結部材24Aとの間隔が狭くなり、これらのピン40と連結部材24Aとの間に設けられた粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に圧縮力が作用する。これにより、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16が振動低減力を発生する。
ここで、架構12の層間変位は、増幅機構18Aにおいて第1リンク部材20及び第2リンク部材22の回転変形に変換され、増幅されて粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16に伝達される。従って、粘性型ダンパー14及び履歴型ダンパー16の振動低減効率が向上する。また、粘性型ダンパー14と履歴型ダンパー16とが、各々の性能特性に応じた振動低減力の低下を相互に補完し合うため、各制振装置60A、60Bの制振性能の安定化を図ることができ、粘性型ダンパー14又は履歴型ダンパー16を単独して用いた場合と比較して、飛躍的に制振装置60A、60Bの制振性能を向上させることができる。
なお、図5に示す構成は、架構12に2つの増幅機構18A、18Bを設け、相対変位する連結部材24A、24Bの間に粘性型ダンパー14を設けているため、本実施形態に係る制振装置60Aと比較して粘性型ダンパー14の変形量が大きくなる点で有利である。一方、本実施形態に係る制振装置60では、増幅機構18B(図5参照)を省略したため、架構12の開口率が大きくなっている。従って、出入り口や、設備配線、配管等の設備開口を架構12に設け易い点で有利である。
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1、第2実施形態と同じ構成ものは同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
第1実施形態では、履歴型ダンパー16としてH形鋼からなる鋼材ダンパーを用いたが、第3実施形態に係る履歴型ダンパー76は、図7に示されるように、鋼材ダンパー78及び粘弾性ダンパー80を備えている。具体的には、H形鋼からなる鋼材ダンパー78の端部に、粘弾性ダンパー80が設けられている。
図8(A)及び図8(B)に示されるように、粘弾性ダンパー80は、鋼材ダンパー78のエンドプレート82に設けられた複数の保持プレート(保持部材)84と、T型フランジ86に設けられた複数の保持プレート(保持部材)88と、保持プレート84と保持プレート88との間に設けられた粘弾性体90と、を備えている。
保持プレート84と保持プレート88は交互に組み合わせられ、対向する保持プレート84と保持プレート88との間に粘弾性体90が設けられている。保持プレート84、88には貫通孔84A、88A(ストッパ手段)が形成され、また、粘弾性体90には貫通孔90Aが形成され、これらの貫通孔84A、88A、90Aに貫通されるボルト92(ストッパ手段)及びナット94によって保持プレート84と保持プレート88とが連結されている。各貫通孔84A、88Aは、その直径Dがボルト92のネジ部92Aの直径dよりも大きいルーズ孔とされており、各貫通孔84A、88A内でネジ部92Aが移動可能となっている。即ち、貫通孔84A、88Aが許容する範囲内で、保持プレート84と保持プレート88とが相対変位可能となっている。
なお、保持プレート84、88は必要に応じて設ければ良く、少なくとも各一つあれば良い。また、各貫通孔84A、88Aは、鋼材ダンパー78の材軸方向へ延びる長孔としても良い。更に、保持プレート84及び保持プレート88に形成された貫通孔84A、88Aの少なくとも一方が、ルーズ孔となっていれば良い。
保持プレート88の先端部は、鋼材ダンパー78のフランジ78A、78Bからそれぞれ延出された一対のガイドプレート96の間に配置され、保持プレート84に対する保持プレート88の回転変形が拘束されている。即ち、保持プレート84と保持プレート88とは鋼材ダンパー78の材軸方向(矢印C方向)へのみ相対変位可能になっている。これにより、鋼材ダンパー78及び粘弾性ダンパー80が圧縮力に対して屈曲せず、効率的に抵抗可能に構成されている。
粘弾性体90は板状に形成され、保持プレート84及び保持プレート88の対向面にそれぞれ加硫接着等で固定されており、保持プレート84と保持プレート88との相対変位に伴って、せん断変形するようになっている。
T型フランジ86には連結孔98が形成されており、この連結孔98を介して粘弾性ダンパー80が連結部材24A(図7参照)に連結されている。このT型フランジ86が、連結部材24Aの変位量に応じて変位することにより、保持プレート84と保持プレート88とが相対変位するように構成されている。
次に、第3実施形態の作用について説明する。
増幅機構18Aで増幅された架構12の相対変位が、T型フランジ86に伝達されると、保持プレート84と保持プレート88とが鋼材ダンパー78の材軸方向(矢印C方向)へ相対変位する。これにより、保持プレート84と保持プレート88との間に設けられた粘弾性体90がせん断変形し、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、架構12の振動が低減される。
ここで、保持プレート84と保持プレート88との相対変位量が所定値以上となり、貫通孔84A、88Aの内壁にボルト92のネジ部92Aが接触すると、保持プレート84と保持プレート88との相対変位が規制される。これにより、増幅機構18Aで増幅された架構12の層間変位が粘弾性ダンパー80から鋼材ダンパー78に伝達され、鋼材ダンパー78に引張り力又は圧縮力が作用する。これらの引張り力又は圧縮力に対して、鋼材ダンパー78が伸張又は圧縮して抵抗することにより、連結部材24Aの変位が規制され、架構12の振動が低減される。また、鋼材ダンパー78が塑性化すると、履歴変形に伴うエネルギー消費により、架構12の振動が低減される。
従って、風や交通振動の小振幅振動時には、保持プレート84と保持プレート88との相対変位に伴って粘弾性体90がせん断変形することにより、振動エネルギーが効率的に吸収される。一方、地震等の大振幅振動時には、貫通孔84A、88Aの内壁にボルト92のネジ部92Aが当たり、増幅機構18Aで増幅された架構12の層間変位が鋼材ダンパー78に伝達され、鋼材ダンパー78が振動低減力を発生することにより、架構12の過大変形が抑制される。
なお、本実施形態では、鋼材ダンパー78の連結部材24A側の端部に粘弾性ダンパー80を設けたが、鋼材ダンパー78のブラケット34側の端部に粘弾性ダンパー80を設けても良いし、鋼材ダンパー78の両端部にそれぞれ粘弾性ダンパー80を設けても良い。
次に、第3実施形態に係るストッパ手段の変形例について説明する。なお、以下に示す変形例は、鋼材ダンパー78と粘弾性ダンパー80とが接近する方向の保持プレート84、88の相対変位を規制する場合を例に説明し、鋼材ダンパー78と粘弾性ダンパー80とが離間する方向の保持プレート84、88の相対変位を規制する場合については説明を省略する。
第3実施形態では、保持プレート84、88に形成された貫通孔84A、88Aと、当該貫通孔84A、88Aに貫通されるボルト92とでストッパ手段を構成したが、図9(A)及び図9(B)に示されるように、鋼材ダンパー78のエンドプレート82にストッパ部材(ストッパ手段)100を設けても良い。
ストッパ部材100は、軸部100Aと、軸部100Aの端部に設けられた当接部100Bを備えている。軸部100Aにはネジが切られており、エンドプレート82に形成されたネジ孔82Bにねじ込まれている。また、ストッパ部材100は、当接部100Bと保持プレート88の端面との間に隙間Hができるようにエンドプレート82に取り付けられている。これにより、ストッパ部材100の当接部100Bに保持プレート88の端面が当たるまで、鋼材ダンパー78と粘弾性ダンパー80とが接近する方向(矢印E方向)へ保持プレート84、88が相対変位可能となっている。他方、ストッパ部材100の当接部100Bに保持プレート88の端面が当たると、鋼材ダンパー78に粘弾性ダンパー80が接近する方向の保持プレート84、88の相対変位が規制される。
従って、風や交通振動の小振幅振動時には、保持プレート84と保持プレート88との相対変位に伴って、粘弾性体90がせん断変形することにより、振動エネルギーが効率的に吸収される。一方、地震等の大振幅振動時には、ストッパ部材100の当接部100Bに保持プレート88の端面が当たり、増幅機構18Aで増幅された架構12の層間変位が鋼材ダンパー78に伝達され、当該鋼材ダンパー78が振動低減力を発生することにより、架構12の過大変形が抑制される。
なお、当接部100Bと保持プレート88との間の隙間Hは、軸部100Aのねじ込み量によって調整可能となっている。
また、図10(A)及び図10(B)に示されるように、鋼材ダンパー78に受け部材102を固定し、この受け部材102と対向するストッパ部材104を保持プレート88の上面に設けても良い。
受け部材102は、L型アングル102Aをリブ102Bで補強して構成され、鋼材ダンパー78に溶接等で固定されている。ストッパ部材104は、受け部材102と間(隙間H)を開けて保持プレート88の上面に配置されている。このストッパ部材104は、L型アングル104Aをリブ104Bで補強して構成されている。L型アングル104Aには貫通孔106が形成されており、この貫通孔106に貫通されるボルト108を、保持プレート84に形成されたネジ孔(不図示)にねじ込むことにより、ストッパ部材104が保持プレート88に固定されている。これにより、ストッパ部材104が受け部材102に当たるまで、鋼材ダンパー78と粘弾性ダンパー80とが接近する方向(矢印E方向)へ保持プレート84、88が相対変位可能となっている。他方、ストッパ部材104が受け部材102に当たると、鋼材ダンパー78に粘弾性ダンパー80が接近する方向の保持プレート84、88の相対変位が規制される。
従って、風や交通振動の小振幅振動時には、保持プレート84と保持プレート88との相対変位に伴って、粘弾性体90がせん断変形することにより、振動エネルギーが効率的に吸収される。一方、地震等の大振幅振動時には、ストッパ部材104が受け部材102に当たり、増幅機構18Aで増幅された架構12の層間変位が鋼材ダンパー78に伝達され、当該鋼材ダンパー78が振動低減力を発生することにより、架構12の過大変形が抑制される。
なお、貫通孔106は、鋼材ダンパー78の材軸方向へ延びる長孔とされており、貫通孔106が許容する範囲内で、ボルト108が移動可能となっている。従って、ボルト108を緩め、ストッパ部材104を鋼材ダンパー78の材軸方向へ移動することにより、受け部材102とストッパ部材104の隙間Hを調整することができる。
なお、上記第1〜第3実施形態では、柱と梁との仕口部に、制振装置を取り付けるブラケットを設けたがこれに限らず、仕口部からずれた柱又は梁にブラケットを設けても良い。また、制振装置と柱、梁との接合構造は、ブラケットに限らず、従来公知の種々の接合構造を採用することができる。
また、架構を構成する柱及び梁は、鉄筋コンクリート造に限らず、鉄骨鉄筋コンクリート造、プレストレスコンクリート造、鉄骨造(例えば、角型鋼管、H型鋼、T型鋼)、CFT造、更には現場打ち工法、プレキャスト工法等の種々の工法を用いることができる。また、梁に替えてコンクリートスラブ又は小梁等に制振装置を取り付けても良い。
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 制振装置
12 架構
14 粘性型ダンパー
16 履歴型ダンパー
18A 増幅機構
18B 増幅機構
20 第1リンク部材
22 第2リンク部材
26 柱
28 梁(水平部材)
42 履歴型ダンパー
60 制振装置
76 履歴型ダンパー
78 鋼材ダンパー
80 粘弾性ダンパー
84 保持プレート(保持部材)
84A 貫通孔(ストッパ手段)
88 保持プレート(保持部材)
88A 貫通孔(ストッパ手段)
90 粘弾性体
92 ボルト(ストッパ手段)
100 ストッパ部材(ストッパ手段)
102 受け部材(ストッパ手段)
104 ストッパ部材(ストッパ手段)

Claims (4)

  1. 柱と水平部材からなる架構に設けられ、該架構の振動を低減する粘性型ダンパーと、
    前記架構に設けられ、該架構の振動を低減する履歴型ダンパーと、
    前記架構に設けられ、該架構の層間変位を増幅して前記粘性型ダンパー及び前記履歴型ダンパーに伝達する増幅機構と、
    を備える制振装置。
  2. 前記増幅機構が、
    前記架構に一端が回転可能に連結される第1リンク部材と、
    前記架構に一端が回転可能に連結される第2リンク部材と、
    前記第1リンク部材の他端と前記第2リンク部材の他端とを回転可能に連結してリンク機構を構成する連結部材と、
    を備え、
    前記粘性型ダンパー及び前記履歴型ダンパーが前記連結部材に連結されている請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記履歴型ダンパーは、鋼材ダンパーと、該鋼材ダンパーの端部に設けられた粘弾性ダンパーと、を有し、
    前記粘弾性ダンパーが、
    相対変位可能に対向して配置された保持部材と、
    前記保持部材の間に設けられた粘弾性体と、
    前記増幅機構から伝達された前記架構の層間変位量に応じて生じる前記保持部材の相対変位量が所定値以上になったときに、該保持部材の相対変位を規制して該架構の層間変位を前記鋼材ダンパーに伝達するストッパ手段と、
    を備える請求項2に記載の制振装置。
  4. 前記架構には2つの前記増幅機構が設けられ、
    前記粘性型ダンパーが、相対変位する前記連結部材の間に設けられ、
    前記履歴型ダンパーが、相対変位する前記架構と前記連結部材の間に設けられる請求項2又は請求項3に記載の制振装置。
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