JP2015090182A - 制震装置 - Google Patents

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【課題】壊れ難い新規な制震装置を提案する。【解決手段】ここで提案される制震装置100は、第1支持体101と、第2支持体102と、回転慣性質量ダンパー120と、粘弾性ゴム141、142と、第3支持体103とを備えている。ここで、第2支持体102は、第1支持体101に対して相対的に変位可能に配置されている。回転慣性質量ダンパー120は、第1支持体101と第2支持体102とに取り付けられ、当該一対の支持体101、102の相対変位に応じて錘121を回転させる機構122を有している。粘弾性ゴム141、142は、平板状であり、第2支持体102に片面が取り付けられている。第3支持体103は、当該第2支持体102に対向するように配置され、粘弾性ゴム141、142の反対側の面に取り付けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、制震装置に関し、特に建物の構造体に組み込まれるのに適した建物用制震装置に関する。
建物用制震装置としては、一般には、いわゆるチューンド・マス・ダンパー(Tuned Mass Damper:TMD)が知られている。これは、構造物に付加バネを介して付加質量を接続し、それらの付加バネと付加質量によって定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させることによって、構造物の共振点近傍における応答を低減するものである。
かかるTMDについて、特開2008−101769号公報には、大きな負荷重量が必要である点、および、大きな負荷重量を備えたTMDを設置するスペースが必要である点が課題として挙げられている。同公報では、錘の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーと直列に付加バネを設置し、回転慣性質量と付加バネとによって定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させる構成が提案されている。また、付加バネは、回転慣性質量とによって定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させるべく特別に調整された付加バネが用いられている。また、特開2008−133947号公報では、多層構造物の振動を低減する気候に適用することが開示されている。
また、特開2011−141026号公報では、かかる慣性質量ダンパーを用いたTMDについて、慣性質量を単に大きくするだけでは、地震時に過大な入力が作用して付加振動系のダンパーや本体接合部に過大な応力が生じてしまうことが想定されている。そして、付加振動系の負担力がダンパーや接合部の耐力を上回ってそれらが破損を生じる懸念もあるとされている。同公報では、さらに付加バネの耐力が設定されており、地震時における慣性質量ダンパーへの過大な入力が制限されるようになっている。ここで、具体的には、付加バネは、地震時に降伏し塑性変形するか、所定の摩擦力で滑りを生じる構成が提案されている。
特開2008−101769号公報 特開2008−133947号公報 特開2011−141026号公報
ところで、上記で提案されている制震装置は、回転慣性質量によって定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させるべく特別に調整された付加バネが、回転慣性質量ダンパーに直列に接続されている。この場合、特開2011−141026号公報でも言及されているように、地震時に大きい加速度が入力された場合には、回転慣性質量ダンパーがロックされ、ダンパーの接合部に過大な応力が生じてしまう。これに対して、特開2011−141026号公報では、付加バネは、地震時に降伏し塑性変形するか、所定の摩擦力で滑りを生じる構成が提案されているが、TMD本来の機能を喪失する可能性があるとともに、地震時に降伏し塑性変形する構成では、付加バネ自体が壊れてしまう。
また、他方で、上述した先行技術では、回転慣性質量ダンパーに付加バネを組み合わせる場合でも、回転慣性質量によって定まる固有振動数を構造物の固有振動数に同調させるべく付加バネを特別に調整しておくことが前提となっている。しかし、本発明者の検討では、地震時に、回転慣性質量ダンパーが上手く機能すれば、回転慣性質量による抵抗によって大きな減衰効果が得られる。これに対する問題は、地震時に大きい加速度が入力された場合には、回転慣性質量ダンパーがロックされ、ダンパーの接合部に過大な応力が生じてしまうことであるが、ここでは、さらにこの問題を解決し、かつ、より壊れ難い新たな構造を提案する。
ここで提案される制震装置は、第1支持体と、第1支持体に対して相対的に変位可能に配置された第2支持体と、第1支持体と第2支持体とに取り付けられ、第1支持体と第2支持体との相対変位に応じて錘を回転させる機構を有する回転慣性質量ダンパーと、第2支持体に片面が取り付けられた平板状の粘弾性ゴムと、第2支持体に対向するように配置され、粘弾性ゴムの反対側の面に取り付けられた第3支持体とを備えている。
この制震装置によれば、第1支持体と第3支持体に作用する荷重に対して、回転慣性質量ダンパーと粘弾性ゴムとの協働によって適切に反力が生じる。したがって、かかる荷重を吸収することができる。このため、例えば、第1支持体と第3支持体との距離を広くする方向または狭くする方向に変位を伴う振動を受ける場合には、制震装置は、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。
ここで、錘を回転させる機構は、例えば、第1支持体と前記第2支持体とのうち一方の支持体に取り付けられたラックギアと、他方の支持体に取り付けられ、ラックギアに噛み合ったピニオンギアとを備えていてもよい。この場合、錘は、ピニオンギアの回転に応じて回転するように、ピニオンギアに組み付けられているとよい。
また、例えば、錘は平板状の錘である場合には、当該錘の回転軸は、粘弾性ゴムが配置される仮想平面に対して直交する方向に配置されているとよい。これにより、省スペース化が図られる。また、第1支持体と、第2支持体と、第3支持体とは、1つの軸方向に沿って相対的に変位するように取り付けられているとよい。
また、建物用制震装置としては、上述した制震装置は、例えば、上側伝達部材と、下側伝達部材を備えているとよい。ここで、上側伝達部材は、例えば、第1支持体と第3支持体とのうち一方の支持体を、建物の上下に対向する一対の梁のうち、上側の梁に取り付けられるとよい。また、下側伝達部材は、他方の支持体を下側の梁に取り付けられるとよい。この場合、上側伝達部材と下側伝達部材は、一対の梁と一対の柱で囲まれた架構面に向きを揃えて粘弾性ゴムが配置されているとよい。
また、建物用制震装置の他の形態として、上側伝達部材は、第1支持体と第3支持体とのうち一方の支持体を、それぞれ建物のフロア間における上階の構造体に取り付ける部材であるとよい。また、下側伝達部材は、他方の支持体を、当該フロア間における下階の構造体に取り付ける部材であるとよい。この場合、上側伝達部材と下側伝達部材は、下階の天井部材と上階の床部材との間において、当該天井部材または当該床部材と平行になるように、粘弾性ゴムが配置されているとよい。
また、建物用制震装置の他の形態として、第1支持体と第3支持体とのうち一方の支持体を、それぞれ建物の1階の床部材に取り付ける上側伝達部材と、他方の支持体を、当該建物の土台に取り付ける下側伝達部材とを備えていてもよい。また、ここで、上側伝達部材と下側伝達部材とは、1階の床部材と土台との間において、1階の床部材または土台と平行になるように、粘弾性ゴムが配置されているとよい。
また、かかる建物用制震装置は、第1支持体と第2支持体と第3支持体とが相対的に変位する1つの軸方向が、建物の水平方向に沿って配置されてもよいし、建物の上下方向に沿って配置されてもよい。
図1は、一実施形態に係る制震装置の正面図である。 図2は、一実施形態に係る制震装置の平面図である。 図3は、制震装置の両端の支持体の距離が広くなった状態を示す平面図である。 図4は、制震装置の両端の支持体の距離が狭くなった状態を示す平面図である。 図5は、高減衰ゴムの成形体の履歴ループを示す図である。 図6(A)〜(D)は、それぞれ履歴特性を測定する装置を説明する図である。 図7は、制震装置が組み込まれた建物の構造例を示す正面図である。 図8は、制震装置が組み込まれた建物の他の構造例を示す正面図である。 図9は、制震装置が組み込まれた建物の他の構造例を示す正面図である。
以下、ここで提案される制震装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、同じ作用を奏する部材または部位には、適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
図1は、一実施形態に係る制震装置の正面図であり、図2は平面図である。ここで提案される制震装置100は、図1および図2に示すように、3つの支持体101〜103と、回転慣性質量ダンパー120と、制震ゴムダンパー140とを備えている。
《回転慣性質量ダンパー120》
回転慣性質量ダンパー120は、3つの支持体101〜103のうち第1支持体101と第2支持体102とに取り付けられている。ここで、第2支持体102は、第1支持体101に対して相対的に変位可能に配置されている。回転慣性質量ダンパー120は、錘121と、当該一対の支持体101、102の相対変位に応じて錘121を回転させる機構122とを備えている。
〈錘121を回転させる機構122〉
図1および図2に示す実施形態では、錘121を回転させる機構122は、ラックギア123と、ピニオンギア124とを備えている。図1に示す例では、ラックギア123は、第1支持体101に取り付けられている。ピニオンギア124の回転軸124aは、第2支持体102に回転可能に支持されている。
〈第1支持体101、ラックギア123〉
この実施形態では、ラックギア123を支持する第1支持体101は、棒状の部材であり、棒状の第1支持体101の一側面にラックギア123が取り付けられている。ラックギア123は、棒状の第1支持体101の一端部において、当該第1支持体101の一側に歯面123aが露出し、かつ、第1支持体101の軸方向に沿って歯が並ぶように取り付けられている。より具体的には、第1支持体101は、断面が方形の棒状の角材であり、一端の上側が軸方向にラックギア123を取り付けるための切り欠き101aが設けられている。ラックギア123は、上方に歯面123aを向けて当該切り欠き101aの上面に装着されている。
〈第2支持体102、ピニオンギア124〉
第2支持体102は、ピニオンギア124の回転軸124aを支持している。この実施形態では、第2支持体102は、一対の板材102a1、102a2と、ガイド102b1、102b2と、カバーフランジ102c1、102c2とを備えている。
〈板材102a1、102a2〉
一対の板材102a1、102a2は、ラックギア123が取り付けられた第1支持体101の一端を、第1支持体101の両側から挟むように対向している。当該一対の板材102a1、102a2の間には、第1支持体101に取り付けられたラックギア123に噛み合うように、ピニオンギア124が配置されている。ピニオンギア124の回転軸124aの両端は、それぞれ一対の板材102a1、102a2に回転自在に支持されている。この実施形態では、一対の板材102a1、102a2には、軸受け(図示省略)が装着されており、当該軸受けによってピニオンギア124の回転軸124aの両端がそれぞれ回転自在に支持されている。
〈ガイド102b1、102b2〉
ガイド102b1、102b2は、第1支持体101を案内する部材である。この実施形態では、ガイド102b1、102b2は、ローラ軸である。このガイド102b1、102b2は、第1支持体101の下側の面を支持し、かつ、棒状の第1支持体101の軸方向に沿って転がるように、第2支持体102の一対の板材102a1、102a2の間に配置されている。このようにガイド102b1、102b2は、第2支持体102に対して、第1支持体101の軸方向に対して第1支持体101を相対的に変位可能に案内する。なお、ガイド102b1、102b2は、第2支持体102(ここでは、具体的には、板材102a1、102a2)に対して第1支持体101が相対的に移動するのを許容し、かつ、第1支持体101を支持する部材である。ここでは、ガイド102b1、102b2としてローラ軸を例示した。ガイド102b1、102b2は、これに限定されない。例えば、ガイド102b1、102b2は、第2支持体102に対して第1支持体101を滑り支持するスライダで構成してもよい。
〈カバーフランジ102c1、102c2〉
また、第2支持体102には制震ゴムダンパー140の粘弾性ゴム141、142が取り付けられている。この実施形態では、第2支持体102には、図2に示すように、粘弾性ゴム141、142を取り付けるためのカバーフランジ102c1、102c2が設けられている。カバーフランジ102c1、102c2は、板状の部材であり、第2支持体102の対向する一対の板材102a1、102a2の外側の側面にそれぞれ取り付けられている。この実施形態では、第2支持体102の一対の板材102a1、102a2の間に棒状の第1支持体101が配置されている。当該棒状の第1支持体101は、その軸方向において、一対の板材102a1、102a2から一の方向に延び出ている。カバーフランジ102c1、102c2は、当該第1支持体101が延び出た方向とは反対の方向に延びるように、一対の板材102a1、102a2に取り付けられている。
〈錘121〉
錘121は、ピニオンギア124の回転に応じて回転するように、ピニオンギア124に組み付けられている。この実施形態では、錘121は、平板状であり、より具体的には略円板状の部材であり、錘121の中心には、回転軸121aが設けられている(図2参照)。錘121の回転軸121aは、ピニオンギア124の回転軸124aに取り付けられている。なお、錘121は、径方向の外側の質量を大きくすればするほど、大きい慣性力が回転時に得られる。このため、錘121は、径方向の外側ほど質量が大きくなるように質量を分布させてもよい。また、錘121の径方向の外側の部位に、錘121の質量を調整する調整用の錘が取り付けられるようにしてもよい。
《制震ゴムダンパー140》
次に、制震ゴムダンパー140は、粘弾性ゴム141、142を備えている。この実施形態では、粘弾性ゴム141、142は、平板状のゴムであり、回転慣性質量ダンパー120の支持体102に片面が取り付けられている。この実施形態では、粘弾性ゴム141、142の片面は、第2支持体102のうち対向するカバーフランジ102c1、102c2の内側面にそれぞれ取り付けられている。
また、粘弾性ゴム141、142の反対側の面は、第2支持体102に対向するように配置された第3支持体103に取り付けられている。この実施形態では、第3支持体103は、棒状の金属製の板材である。また、粘弾性ゴム141、142の片面は、第3支持体103の両側面において、第3支持体103を挟むように取り付けられている。粘弾性ゴム141、142の反対側の面は、金属製のプレート141a、142aが取り付けられている。つまり、この実施形態では、粘弾性ゴム141、142は、それぞれ第3支持体103と、第3支持体103の両側にそれぞれ対向したプレート141a、142aとの間に挟まれている。そして、粘弾性ゴム141、142は、かかる第3支持体103とプレート141a、142aとにそれぞれに加硫接着している。
この実施形態では、粘弾性ゴム141、142は、高減衰性を有する高減衰ゴムを用いることができる。かかる高減衰ゴムには、例えば、天然ゴム,スチレンブタジエンゴム(SBR),ニトリルブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム素材(BR),イソプレンゴム(IR),ブチルゴム(IIR),ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR),または,クロロプレンゴム(CR)のゴム素材に、高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴム組成物を用いることができる。高減衰性を発揮する添加剤としては、例えば、カーボンブラックなど、種々の添加剤が知られている。ここでは、好ましくは、ゴム素材を選択し、あるいは、組み合わせるとともに、添加剤を調整し、上述した等価粘性減衰定数heq、等価せん断弾性係数Geqの条件を満足する高減衰性ゴム組成物を得るとよい。
ここで、制震ゴムダンパー140の粘弾性ゴム141、142は、せん断変形が生じると、その距離と反力に応じて、図5に示すようなヒステリシスループを描く。ここで、図5は、粘弾性ゴム141、142(高減衰ゴムの成形体)の履歴ループを示す図である。
粘弾性ゴム141、142は、せん断変位と、せん断荷重との関係から図5に示すようなヒステリシスループ(実測ヒステリシス曲線)が描かれる。例えば、粘弾性ゴム141、142は、せん断変形を伴う振動を受けると、一周期毎に、当該ヒステリシスループで囲まれた面積に相当するエネルギを吸収し得る。
ここで、粘弾性ゴム141、142に用いられる高減衰ゴムには、所要の性能を有するゴムが用いられる。例えば、粘弾性ゴム141、142には、制震装置に種々採用されている、公知の高減衰ゴムを採用することができる。かかる高減衰ゴムは、例えば、せん断歪γが0.1≦γ≦2.0の領域において等価粘性減衰定数heqがheq≧0.15であるとよい。さらに、測定振動数0.1Hzにおいて、前記せん断歪γがγ≦2であり、かつ、等価せん断弾性係数GeqがGeq≧0.1(N/mm)であるとよい。
〈等価粘性減衰定数heq〉
ここで、等価粘性減衰定数heqは、粘弾性ゴム141、142(高減衰ゴム)について下記方法で履歴特性の測定を行い、得られた履歴ループL(図5)から水平特性値を得て算出している。
ここで、履歴特性の測定は、図6(A)に示すように、粘弾性ゴム141、142と同じ素材の試験片となる円板状の高減衰ゴム210の両側に、金属板211,212を接着した試験体213を用意する。そして、図6(B)および(C)に示すように、2つの試験体213の一方の金属板212を対向させ、その間に中央固定治具214を挟む。さらに、2つの試験体213の両側の金属板211に固定治具215を配置する。2つの試験体213の金属板211、212と、これと隣接する中央固定治具214および固定治具215をそれぞれ固定する。
そして、図6(D)に示すように、2個の試験体213を固定した中央固定治具214および固定治具215のうち、両側の固定治具215を一軸せん断試験機の下部222に連結する。他方、中央固定治具214を当該一軸せん断試験機の上部221にジョイント216を介して連結する。そして、かかるせん断試験機の上部221を固定し、せん断試験機の下部222を上下方向に変位させることによって、試験体213の高減衰ゴム210にせん断変形を生じさせことができる。図6(D)のΔdは、せん断試験機の下部222の変位量を示している。
ここでは、せん断試験機の下部222に上下方向にせん断変形を生じさせる繰り返し載荷(正弦波加振)を4回行い、3波目の履歴特性を測定している。かかる履歴特性の測定によって得られた図5の履歴ループLから下記の特性値(W,ΔW,Keq)を得る。
W:ひずみエネルギ(図5の斜線部にて示される1つの三角形の面積。単位はN・mm);
ΔW:吸収エネルギの合計(図5において示される履歴ループLで囲まれた面積。単位はN・mm);
Keq:等価剛性(変位最大点における履歴ループLの傾き。単位はN/mm);
ここで、「等価粘性減衰定数heq」は、上記の特性値から下記の式(数1)で計算される数値である。
heq=(1/4π)・(ΔW/W) (数1);
ここで、等価粘性減衰定数heqは、一般的には値が大きい程減衰性能に優れることを示す。
いわゆる「等価せん断弾性係数(Geq)」は、下記の式(数2)で計算される数値である。
Geq=Keq×(d/S) (数2);
d:試験体213の高減衰ゴム210の高さ(厚さ)(mm)
S:試験体213の高減衰ゴム210の断面積(mm2)
せん断歪γは、上述したせん断試験機の下部222の変位量ΔLと、試験体213の高減衰ゴム210の高さd(厚さ)を基に、せん断歪γ(=ΔL/d)を定める。ここでは、せん断歪γが0.1≦γ≦2.0の領域において等価粘性減衰定数heqを評価するとよい。また、測定振動数0.1Hz、せん断歪γがγ≦2である領域において、等価せん断弾性係数Geqは、例えば、0.1(N/mm)≦Geq≦10(N/mm)にするとよい。
《回転慣性質量ダンパー120と制震ゴムダンパー140の組み付け》
この制震装置100では、上述したように回転慣性質量ダンパー120と、粘弾性ゴム141、142とが、第1支持体101、第2支持体102および第3支持体103とによって直列に連結されている。換言すれば、回転慣性質量ダンパー120と、粘弾性ゴム141、142(制震ゴムダンパー140)が第2支持体102を共通させて直列に連結されている。
《制震装置100の機能》
制震装置100の両端の支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)や狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に荷重を受けると、制震装置100はそれに応じて機能する。図3、図4は、制震装置100の両端の支持体101、103が、第1支持体101が延びた方向に沿って相対的に変位した状態を示している。ここで、図3は、制震装置100の両端の支持体101、103の距離が、広くなった状態を示している。図4は、制震装置100の両端の支持体101、103の距離が、狭くなった状態を示している。
図3では、第1支持体101と第3支持体103とが、それぞれ矢印Aの方向(図1参照)に相対的に変位し、制震装置100の両端の距離が広くなっている。この場合、回転慣性質量ダンパー120のピニオンギア124がラックギア123の上を矢印Aの方向に転がり、錘121が同方向に回転する(図1参照)。また、制震ゴムダンパー140の粘弾性ゴム141、142は矢印Aの方向に引っ張られてせん断変形する。
また、図4では、第1支持体101と第3支持体103とが、それぞれ矢印Bの方向(図1参照)に相対的に変位し、制震装置100の両端の距離が狭くなっている。この場合、回転慣性質量ダンパー120のピニオンギア124がラックギア123の上を矢印Bの方向に転がり、錘121が同方向に回転する(図1参照)。また、制震ゴムダンパー140の粘弾性ゴム141、142は、矢印Bの方向に引っ張られてせん断変形する。
〈回転慣性質量ダンパー120に生じる変化〉
図3および図4に示すように、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に荷重を受けると、回転慣性質量ダンパー120は、第1支持体101と第2支持体102とから引っ張り力または圧縮力を受ける。かかる引っ張り力または圧縮力に応じて回転慣性質量ダンパー120の錘121は回転する。この際、錘121の慣性力が第1支持体101と第2支持体102に反力を生じさせる。この場合、錘121が回転を始める際または錘121が回転する方向を変えるときに、大きな慣性力が作用し、第1支持体101と第2支持体102に生じさせる反力が大きくなる。かかる反力は、第1支持体101と第2支持体102とから受ける引っ張り力と圧縮力に対する抵抗になる。
〈粘弾性ゴム141、142に生じる変形〉
また、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に荷重を受けると、粘弾性ゴム141、142は、第2支持体102と第3支持体103とからせん断力を受ける。せん断力を受けると粘弾性ゴム141、142はせん断変形する。粘弾性ゴム141、142はせん断変形に応じた反力を第2支持体102と第3支持体103に生じさせる。かかる反力は、第2支持体102と第3支持体103とから受けるせん断力に対する抵抗になる。
〈制震装置100の挙動〉
この制震装置100は、両端の支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)や狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に荷重を受けた場合に、当該荷重に対して適当な反力を生じさせる。このため、両端の支持体101、103に当該相対的な変位を伴う振動を受けた場合には、制震装置100は、かかる振動を小さくし、かつ、早期に減衰させる。また、両端の支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)や狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に、大きい荷重が急激に作用する場合と、大きい荷重がゆっくり作用する場合とで、この制震装置100の挙動は異なる。
〈制震装置100に大きい荷重が急激に作用する場合の挙動〉
制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とに大きい荷重が急激に作用する場合、当該荷重を受けて回転慣性質量ダンパー120の錘121に回転方向に力が作用する。錘121は、加速度に応じて慣性力が大きくなるので、大きい荷重が急激に作用する場合には、錘121の慣性力が大きくなる。かかる錘121の慣性力は、第1支持体101と第2支持体102に反力として作用する。これに対して、粘弾性ゴム141、142は、第2支持体102と第3支持体103からせん断力を受けてせん断変形する。このため、制震装置100に大きい荷重が急激に作用する場合、初動において粘弾性ゴム141、142がせん断変形する。
次に、粘弾性ゴム141、142は、せん断変形が大きくなるにつれて、第2支持体102は粘弾性ゴム141、142から受ける反力が大きくなる。粘弾性ゴム141、142から第2支持体102に作用する反力が大きくなるにつれて、第1支持体101と第2支持体102とから回転慣性質量ダンパー120に作用する力が大きくなる。第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力がある程度大きくなると、回転慣性質量ダンパー120の錘121が回転を始める。
このように、本発明者の知見では、制震装置100に大きい荷重が急激に作用する場合、粘弾性ゴム141、142が先行してせん断変形を始める。そして、粘弾性ゴム141、142のせん断変形が大きくなると、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力が大きくなる。そして、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力がある程度大きくなったときに、回転慣性質量ダンパー120の錘121が回転を始める。また、この際、粘弾性ゴム141、142のせん断変形がある程度大きくなったところで凡そ止まる。
また、制震装置100の両端の支持体101、103に作用する力の向きが反対方向に変わると、回転慣性質量ダンパー120では、錘121を逆向きに回転させることになるので、錘121の慣性力が大きくなる。この場合も、まず、粘弾性ゴム141、142が反対方向にせん断変形する。そして、粘弾性ゴム141、142の当該反対方向のせん断変形が大きくなると、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力が大きくなる。そして、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力がある程度大きくなったときに、回転慣性質量ダンパー120の錘121が反対方向に回転を始める。また、この際、粘弾性ゴム141、142のせん断変形がある程度大きくなったところで凡そ止まる。
〈制震装置100に大きい荷重がゆっくり作用する場合の挙動〉
制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とに大きい荷重がゆっくり作用する場合、当該荷重を受けて回転慣性質量ダンパー120の錘121に回転方向に力が作用する。錘121は、加速度に応じて慣性力が大きくなるので、大きい荷重がゆっくり作用する場合には、錘121の慣性力はそれほど大きくならない。かかる錘121の慣性力は、第1支持体101と第2支持体102に反力として作用するが、この際、第2支持体102に作用する反力はそれほど大きくならない。粘弾性ゴム141、142は、第2支持体102と第3支持体103からせん断力に応じてせん断変形する。このため、制震装置100に大きい荷重がゆっくり作用する場合、初動において粘弾性ゴム141、142のせん断変形は小さく、回転慣性質量ダンパー120の変位が大きくなる。
次に、制震装置100の両端の支持体101、103に作用する力の向きが反対方向に変わると、回転慣性質量ダンパー120では、錘121を逆向きに回転させることになるので、錘121の慣性力が大きくなる。このため、粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力が大きくなり、粘弾性ゴム141、142が反対方向にせん断変形する。そして、粘弾性ゴム141、142の当該反対方向のせん断変形が大きくなると、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力が大きくなる。そして、第2支持体102が粘弾性ゴム141、142から受ける反力がある程度大きくなったときに、回転慣性質量ダンパー120の錘121が反対方向に回転を始める。また、この際、粘弾性ゴム141、142のせん断変形がある程度大きくなったところで凡そ止まる。
このように、この制震装置100は、大きい荷重が急激に作用する場合と、大きい荷重がゆっくり作用する場合とで、初動時の挙動が異なる。また、制震装置100に作用する荷重に対して、回転慣性質量ダンパー120の錘121の慣性力と粘弾性ゴム141、142のせん断力とによって適切に反力が生じる。
このため、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動を受ける場合には、制震装置100は、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。また、第2支持体102を介して、粘弾性ゴム141、142から受ける反力と、錘121の慣性力が釣り合っている。このため、制震装置100の両端の支持体101、103に大きな力が急激に作用する場合には、初動において粘弾性ゴム141、142がせん断変形する。そして、粘弾性ゴム141、142のせん断変形がある程度大きくなり、粘弾性ゴム141、142から第2支持体102が受ける反力がある程度大きくなった段階で、回転慣性質量ダンパー120の錘121が回転を始める。
この際、粘弾性ゴム141、142にある程度以上の大きなせん断力が作用すると、錘121が回転するので、粘弾性ゴム141、142には、ある程度以上の大きなせん断力は作用し難く、大きなせん断変形が生じ難い。さらに、回転慣性質量ダンパー120および粘弾性ゴム141、142から、第1支持体101、第2支持体102および第3支持体103に作用する反力はそれぞれ釣り合う。回転慣性質量ダンパー120および粘弾性ゴム141、142から第1支持体101、第2支持体102および第3支持体103に作用する反力は、粘弾性ゴム141、142のせん断力で規定される。粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力は、ある程度以上に大きくなると、錘121が回転する。このため、粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力は、ある程度以上に大きくならない。制震装置100の両端の支持体101、103に荷重を付与する部材に生じる反力はある程度の大きさまでで抑えられる。
《制震装置100の作用》
このように、ここで提案される制震装置100は、第1支持体101と、第2支持体102と、回転慣性質量ダンパー120と、粘弾性ゴム141、142と、第3支持体103とを備えている。ここで、第2支持体102は、第1支持体101に対して相対的に変位可能に配置されている。回転慣性質量ダンパー120は、第1支持体101と第2支持体102とに取り付けられ、当該一対の支持体101、102の相対変位に応じて錘121を回転させる機構122を有している。粘弾性ゴム141、142は、平板状であり、第2支持体102に片面が取り付けられている。第3支持体103は、当該第2支持体102に対向するように配置され、粘弾性ゴム141、142の反対側の面に取り付けられている。
かかる制震装置100によれば、上述したように、両端の支持体101、103に作用する荷重に対して、回転慣性質量ダンパー120と粘弾性ゴム141、142との協働によって適切に反力が生じる。したがって、かかる荷重を吸収することができる。このため、例えば、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動を受ける場合には、制震装置100は、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。
また、粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力は、ある程度以上に大きくならないので、所要の耐力がある粘弾性ゴム141、142を採用することによって、粘弾性ゴム141、142の損傷が防止される。また、制震装置100の両端の支持体101、103に荷重を付与する部材に生じる反力はある程度の大きさまでに抑えられる。このため、制震装置100の両端の支持体101、103に荷重を付与する部材が所要の機械強度を備えていれば、当該部材の損傷が防止される。
上述した実施形態では、回転慣性質量ダンパー120において、第1支持体101と第2支持体102の相対変位に応じて錘121を回転させる機構122は、図1に示すように、ラックギア123とピニオンギア124とを備えている。ここでラックギア123は、回転慣性質量ダンパー120を支持する第1支持体101と第2支持体102のうち、一方の支持体(この実施形態では、第1支持体101)に取り付けられている。そして、ピニオンギア124は、他方の支持体102に取り付けられており、ラックギア123に噛み合っている。ここで、錘121は、ピニオンギア124の回転に応じて回転するように、ピニオンギア124に組み付けられている。これにより、第1支持体101と第2支持体102の相対変位に応じて錘121が確実に回転する。
なお、上述した実施形態では、ピニオンギア124の回転軸124aと、錘121の回転軸121aを同軸に組みつけられているが、ピニオンギア124の回転軸124aと、錘121の回転軸121aとは、同軸でなくてもよい。例えば、傘歯車やベルト機構などの動力伝達機構を、ピニオンギア124の回転軸124aと錘121の回転軸121aとの間に装備してもよい。これにより、錘121の配置を変更できる。また、例えば、変速機構を介在させることによって、ピニオンギア124の回転数に対する錘121の回転数を変えることもできる。この場合、例えば、ピニオンギア124の回転数に対する錘121の回転数が早くなる変速機構を用いることによって、より小さい質量の錘121で大きな慣性力を得ることができる。
なお、この実施形態では、回転慣性質量ダンパー120と粘弾性ゴム141、142とを連結する第2支持体102にピニオンギア124が取り付けられ、他方、第1支持体101にラックギア123が取り付けられている。ここで提案される機構122の構造は、これに限定されず、第2支持体102にラックギア123を取り付け、第1支持体101にピニオンギア124を取り付けてもよい。また、例えば、図1に示す実施形態では、ガイド102b1、102b2によって、ピニオンギア124とラックギア123が確実に噛み合うように構成されている。ここで、ガイド102b1、102b2は、スライダでもよい。また、第1支持体101と第2支持体102の相対変位に応じて錘121を回転させる機構122の他の形態としては、例えば、直線運動から回転運動を取り出す機構が適宜適用されうる。かかる機構122には、例えば、ボールネジが利用されうる。
また、錘121は平板状の錘であり、当該錘121の回転軸121aは、図2に示すように、粘弾性ゴム141、142が配置される仮想平面に対して直交する方向に配置されている。換言すれば、平板状の錘121の法線方向と、平板状の粘弾性ゴム141、142の法線方向とが平行であるとよい。この場合、当該錘121の回転軸方向において制震装置100の幅を小さくでき、当該方向において制震装置100を省スペースに配置することができる。
また、図1に示す実施形態では、第1支持体101と、第2支持体102と、第3支持体103とが、1つの軸方向(ここでは、棒状の第1支持体101の軸方向)に沿って相対的に変位する。この場合、第1支持体101と、第2支持体102と、第3支持体103とによって直列に連結された、回転慣性質量ダンパー120と粘弾性ゴム141、142とに作用する力の方向が凡そ1つの軸方向に揃う。このため、効率よく機能する制震装置100が得られる。
《構造物への制震装置100の取り付け》
この制震装置100は、上述したように、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動を受ける場合に、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。このため、地震のような振動が生じた際に構造物の相対的に変位する2つの部材に取り付けられることによって、構造体の振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。この場合、制震装置100は、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動が生じるように、構造物の相対的に変位する2つの部材に取り付けるとよい。具体的には、制震装置100は、建物用制震装置として用いられる。ここで、図7は、制震装置100が組み込まれた建物10の構造例を示している。
《建物10》
図7は、建物10の壁の構造に、制震装置100が取り付けられた形態を示している。ここで、建物10は木造住宅である。制震装置100(建物用制震装置)は、図7に示すように、建物10の下梁11と柱12、13と上梁14とで囲まれた矩形の枠組み(架構面20)内に取り付けられている。なお、ここで、建物用制震装置100が取り付けられる上梁14と下梁11は、互いに上下に対向する梁(ここで、梁には土台が含まれる。)である。この実施形態では、建物用制震装置100は、建物10の1階に取り付けられている。ここでは、下梁11は、具体的には、アンカーボルトによってコンクリート基礎30に取り付けられた土台であり、以下、適宜に土台11と称する。また、上梁14は、具体的には、下梁としての土台11に立てられた一対の柱12、13に架け渡された2階床梁あるいは胴差しであり、以下、ここでは、適宜に2階床梁14と称する。
また、この実施形態では、柱12、13は、凡そ100mm×100mmの角材であり、土台11と、一対の柱12、13と、2階床梁14(上梁)とで囲まれた矩形の枠組み20の厚さは凡そ100mmである。
また、この実施形態では、柱12、13には、ホールダウン金物15、16が取り付けられている。柱12、13は、ホールダウン金物15、16をコンクリート基礎30に埋め込まれたホールダウンボルト31、32に取り付けて固定されている。また、コンクリート基礎30と土台11との間には、厚さ2cm程度の基礎パッキン34が取り付けられており、コンクリート基礎30内の通気が確保されている。
《建物用制震装置100》
建物用制震装置100は、図7に示すように、建物10の土台11(下梁)と、土台11に立てられた一対の柱12、13と、一対の柱12、13に架け渡された2階床梁14(上梁)とで囲まれた矩形の枠組み20内に配置されている。ここで、建物用制震装置100は、上側伝達部材40と、下側伝達部材50とを備えている。
《上側伝達部材40》
上側伝達部材40は、建物10の2階床梁14(上梁)に固定される上梁側固定部41と、制震装置100に固定される制震装置側固定部(ここでは、頂部42)とを備えている。図7に図示された例では、上側伝達部材40は、建物10の土台11と柱12、13と2階床梁14とで囲まれた矩形の枠組み20内において、左側の柱12と2階床梁14とが交わった角部に沿って取り付けられる直角三角形状のトラスで構成されている。
ここでは、上側伝達部材40を構成するトラスは、例えば、40mm×40mmで、肉厚が3.2mm程度の角パイプで構築するとよい。なお、トラスを構成する角パイプのサイズは、これに限定されない。また、トラスを構成する材料として、ここでは角パイプを例示したが、トラスを構成する材料は角パイプに限定されない。
ここで、上側伝達部材40を構成する直角三角形状のトラスは、横材40aと、縦材40bと、斜め材40cと、横架材40dとを備えている。このうち、横材40aは、矩形の枠組み20の2階床梁14に沿って配置されている。図7では、縦材40bは横材40aの左側端部に接続され、当該左側端部から矩形の枠組み20の左側の柱12に沿って矩形の枠組み20の中間部まで延びている。斜め材40cは、横材40aの他方の端部(図7では、右側の端部)と縦材40bの先端(図7では、下端)との間に架け渡されている。横架材40dは、縦材40bと斜め材40cの中間部に架け渡されている。横材40aと、縦材40bと、斜め材40cと、横架材40dとは、それぞれ接合ピンによって接合されている。
《下側伝達部材50》
下側伝達部材50は、建物10の土台11(下梁)に固定される下梁側固定部51と、制震装置100に固定される制震装置側固定部(ここでは、頂部52)とを備えている。ここで、図7に図示された例では、下側伝達部材50は、矩形の枠組み20内において、右側の柱13と土台11とが交わった角部に沿って取り付けられる直角三角形状のトラスで構成されている。ここでは、下側伝達部材50を構成するトラスは、上側伝達部材40を構成するトラストと同様に構成することができる。
ここで、下側伝達部材50を構成する直角三角形状のトラスは、横材50aと、縦材50bと、斜め材50cと、横架材50dとを備えている。このうち、横材50aは、矩形の枠組み20の土台11に沿って配置されている。図7では、縦材50bは横材50aの右側端部に接続され、当該右側端部から矩形の枠組み20の右側の柱13に沿って矩形の枠組み20の中間部まで延びている。斜め材50cは、横材50aの他方の端部(図7では、左側の端部)と縦材50bの先端(図7では、上端)との間に架け渡されている。横架材50dは、縦材50bと斜め材50cの中間部に架け渡されている。横材50aと、縦材50bと、斜め材50cと、横架材50dとは、それぞれ接合ピンによって接合されている。
この建物10は、図7に示すように、2階床梁14に取り付けられた上側伝達部材40の頂部42と、土台11に取り付けられた下側伝達部材50の頂部52とは、互いに対向している。なお、上側伝達部材40と下側伝達部材50は、例えば、ラグスクリューなどの締結部材で、2階床梁14と土台11とに固定するとよい。図7に示す例では、上側伝達部材40は矩形の枠組み20の左上の角部に設けられ、下側伝達部材50は矩形の枠組み20の右下の角部に設けられている。上側伝達部材40と下側伝達部材50の配置は、これに限らない。
《上側伝達部材40と下側伝達部材50の動作》
大きな地震時に土台11が揺れるのに伴い、慣性力を受けて、建物10全体が揺れる。この際、土台11に対して2階床梁14が凡そ水平方向に相対的に振れ動く。土台11に対して2階床梁14が凡そ水平方向に相対的に振れ動くと、土台11と柱12、13と2階床梁14とで囲まれた矩形の枠組み20はせん断変形する。矩形の枠組み20がせん断変形すると、2階床梁14に取り付けられた上側伝達部材40と、土台11に取り付けられた下側伝達部材50とが相対的に変位する。そして、上側伝達部材40の頂部42と、下側伝達部材50の頂部52との距離が、広くなったり狭くなったりする。
《制震装置100の建物10への組み付け》
制震装置100は、上述したように、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動を受ける場合に、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。このため、制震装置100は、図7に示すように、地震時に相対的に変位する上側伝達部材40の頂部42と下側伝達部材50の頂部52とに、支持体101、103を取り付けるとよい。図7に示す例では、制震装置100の第1支持体101は、下側伝達部材50の頂部52に取り付けられている。制震装置100の第3支持体103は、上側伝達部材40の頂部42に取り付けている。
上側伝達部材40の頂部42と、下側伝達部材50の頂部52とは、建物10の2階床梁14と、土台11の相対的な変位に応じて変位する。制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とは、上側伝達部材40の頂部42と下側伝達部材50の頂部52と同様に変位する。
ここで、建物10の2階床梁14と土台11が図7中の矢印Aの方向に相対的に変位した場合には、制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とは、それぞれ矢印Aの方向に変位する。そして、制震装置100の回転慣性質量ダンパー120の錘121は矢印Aの方向に回転する。また、建物10の2階床梁14と土台11が図7中の矢印Bの方向に相対的に変位した場合には、制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とは、それぞれ矢印Bの方向に変位する。そして、制震装置100の回転慣性質量ダンパー120の錘121は矢印Bの方向に回転する。
《大きな加速度を伴う振動に対する制震装置100の作用》
この制震装置100の両端の支持体101、103が、構造体の相対変位する2部材間に取り付けられる。これによって、かかる2部材の相対変位を伴う振動が小さく抑えられ、かつ、当該振動を早期に減衰させることができる。大きな地震が生じると、加速度を伴う振動が生じ、建物10の2階床梁14に大きな慣性力が作用する。この慣性力に応じた力が、2階床梁14に取り付けられた上側伝達部材40と、土台11に取り付けられた下側伝達部材50とを通じて、制震装置100の第1支持体101と第3支持体103とに作用する。
このように大きな加速度を伴う振動が生じると、上側伝達部材40と下側伝達部材50を通じて、制震装置100の両端に配置された第1支持体101と第3支持体103を引っ張ったり圧縮したりする方向に大きな力が急激に作用する。
制震装置100は、上述したように、両端の支持体101、103に作用する荷重に対して、回転慣性質量ダンパー120と粘弾性ゴム141、142との協働によって適切に反力が生じる。したがって、かかる荷重を吸収することができる。このため、例えば、支持体101、103の距離を広くする方向(図1中の矢印Aの方向)または狭くする方向(図1中の矢印Bの方向)に変位を伴う振動を受ける場合には、制震装置100は、かかる振動を小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。
また、上述したように、粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力は、ある程度以上に大きくならないので、所要の耐力がある粘弾性ゴム141、142を採用することによって、粘弾性ゴム141、142の損傷が防止される。また、制震装置100の両端の支持体101、103に荷重を付与する上側伝達部材40と下側伝達部材50に作用する反力はある程度の大きさで抑えられる。このため、上側伝達部材40と下側伝達部材50が、かかる反力に対して所要の機械強度を備えていれば、これらの部材の損傷が防止される。上側伝達部材40と下側伝達部材50が損傷しなければ、地震時に制震装置100が確実に機能する。また、上側伝達部材40と下側伝達部材50に作用する反力がそれほど大きくならないので、これらの部材が取り付けられる建物10の構造体に作用する反力も大きくならない。このため、制震装置100から受ける反力によって建物10の構造体が損傷するのを防止できる。
このように、この制震装置100は、回転慣性質量ダンパー120と粘弾性ゴム141、142とが協働し、大きな加速度を伴う激しい振動やゆっくりとした大きい変位を伴う振動などの種々の振動を小さく抑え、かつ、早期に振動を減衰させることができる。また、これらの振動に対して、制震装置100から作用する反力がそれほど大きくならないので、制震装置100から受ける反力によって建物10の構造体が損傷するのを防止できる。また、回転慣性質量ダンパー120や粘弾性ゴム141、142が破損し難く、振動に対する制震装置100の耐久性が高い。
以上の通り、ここで提案される制震装置100は、両端の支持体101、103を、構造体の相対変位する2部材間に設けることによって、かかる構造体の相対変位を伴う振動を小さく抑えたり、当該振動を早期に減衰させたりすることができる。また、特に、両端の支持体101、103に大きな力が作用した場合に、粘弾性ゴム141、142がせん断変形するが、粘弾性ゴム141、142に作用するせん断力はある程度の大きさで抑えられる。このため、両端の支持体101、103に大きな力を作用させる部材が受ける反力はある程度の大きさまでに抑えられる。このため、建物10の構造体の損傷を防止し得る。
《建物10の構造体への組み込み》
この制震装置100は、図7に示すように、建物10の構造体に組み込まれ、建物10に生じる振動を小さく抑えるとともに、早期に減衰させる。ここで、建物用制震装置100は、図7に示すように、上側伝達部材40と、下側伝達部材50とを備えているとよい。ここで、上側伝達部材40は、図7に示すように、第1支持体101と第3支持体103とのうち一方の支持体(図7では、第3支持体103)を、建物10の上下に対向する一対の梁14、11のうち上側の梁14に取り付けている。下側伝達部材50は、他方の支持体(図7では、第1支持体101)を下側の梁11に取り付けている。これに対して、上側伝達部材40に第1支持体101を取り付け、下側伝達部材50に第3支持体103を取り付けてもよい。
また、図7に示すように、上側伝達部材40と下側伝達部材50は、一対の梁11、14と一対の柱12、13で囲まれた架構面20と、平板状の粘弾性ゴム141、142とを向きを揃えて配置している。さらに、この実施形態では、回転慣性質量ダンパー120の錘121も平板状である。かかる錘121についても、一対の梁11、14と一対の柱12、13で囲まれた架構面20に向きを揃えて配置している。かかる構成によって、架構面20の厚さ方向(架構面20の法線方向)において、制震装置100が取り付けられるためのスペースの省スペース化を図ることができる。これにより、制震装置100を、例えば、壁内に納めることができる。
《建物用制震装置の他の形態》
また、図8は、建物用制震装置の他の形態を示している。ここでは、第1支持体101と第3支持体103とのうち一方の支持体101は、それぞれ建物10のフロア間における上階の構造体10Aに取り付けられている。他方の支持体103は、当該フロア間における下階の構造体10Bに取り付けられている。例えば、図8の形態では、建物用制震装置100A、建物用制震装置100Bは、上階の構造体10Aと、下階の構造体10Bとに繋がれたホールダウンボルト62、64の中間に組み込まれている。
ここで、ホールダウンボルト62、64は、それぞれ上側のボルト62a、64aと下側のボルト62b、64bとを備えている。ここで、上側のボルト62a、64aは、上階の構造体10Aの柱12A、13Aの下部にホールダウン金物62a1、64a1を介して取り付けられている。下側のボルト62b、64bは、下階の構造体10Bの柱12B、13Bの上部にホールダウン金物62b1、64b1を介して取り付けられている。上側のボルト62a、64aは、上側伝達部材として機能し、建物用制震装置100A,100Bのそれぞれの一方の支持体101を上階の構造体に取り付けている。下側のボルト62b、64bは、下側伝達部材として機能し、建物用制震装置100A,100Bのそれぞれの他方の支持体103を下階の構造体に取り付けている。図8の形態では、上階の床部材11Aと、下階の天井部材14Bとの間の上下方向の相対変位に応じて、建物用制震装置100A、100Bに変位が入力される。なお、図8中の符号14Aは、上階の天井部材を示している。
このように、建物用制震装置100は、第1支持体101と第2支持体102と第3支持体103とが相対的に変位する1つの軸方向が、建物10の上下方向に沿って配置されてもよい。これにより、建物用制震装置100は、建物10の上下方向の振動を吸収することができる。なお、ここでは、上階の床部材11Aと、下階の天井部材14Bとの間の上下方向の相対変位に応じて、建物用制震装置100A、100Bに変位が入力されるように配置した構成例を例示している。この制震装置100は、かかる建物10に限らず、相対的に変位する2部材に取り付けられ、その引っ張り方向の変位、圧縮方向の変位を伴う振動に対して、振動を小さくし、かつ、早期に減衰させうる。
また、図9は、制震装置100を、建物のフロア間に配置した、他の構造例を示している。ここで、建物用制震装置100は、図9に示すように、上側伝達部材40と下側伝達部材50とを備えている。ここで、上側伝達部材40は、第1支持体101と第3支持体103とのうち一方の支持体(ここでは、第3支持体103)を、建物10のフロア間における上階の構造体10Aの床部材11Aに取り付けている。そして、下側伝達部材50は、他方の支持体(ここでは、第1支持体101)を、当該フロア間における下階の構造体10Bの天井部材14Bに取り付けている。このように、建物用制震装置100は、第1支持体101と第2支持体102と第3支持体103とが相対的に変位する1つの軸方向が、建物10の水平方向に沿って配置されているとよい。この場合、制震装置100は、上階の構造体10Aの床部材11Aと、下階の構造体10Bの天井部材14Bとの水平方向の相対変位(図9中の矢印A,B)を吸収し得る。
さらに、図9に示す例では、上側伝達部材40と下側伝達部材50は、下階の天井部材14Bと上階の床部材11Aとの間において、当該天井部材14Bまたは当該床部材11Aと平行になるように、粘弾性ゴム141、142を配置している。つまり、平板状の粘弾性ゴム141、142の法線方向と、当該天井部材14Bまたは当該床部材11Aの法線方向とが、平行になるように、制震装置100が配置されている。さらに、この実施形態では、回転慣性質量ダンパー120の錘121が平板状であり、当該平板状の錘121の法線方向(回転軸)と、当該天井部材14Bまたは当該床部材11Aの法線方向とが、平行になるように、制震装置100が配置されている。これらの構成によれば、上階の構造体10Aと、下階の構造体10Bとのフロア間において、制震装置100が取り付けられるためのスペースの省スペース化を図ることができる。制震装置100の厚さを薄くすることによって、より狭いフロア間の隙間に、制震装置100を納めることができる。
また、図9では、上階の構造体10Aと下階の構造体10Bとのフロア間に制震装置100を配置した例を例示したが、制震装置100は1階の床部材と土台とのフロア間に配置してもよい。ここでは、図9を参照しつつ1階の床部材と土台とのフロア間に制震装置100を配置した形態を説明する。ここで、図9中の上階の床部材11Aが1階の床部材に相当する。また、図9中の下階の天井部材14Bが土台に相当する。上側伝達部材40は、図9に示すように、第1支持体101と第3支持体103とのうち一方の支持体(図9に示す例では、第3支持体103)を、それぞれ建物10の1階の床部材11Aに取り付けている。また、下側伝達部材50は、他方の支持体(図9に示す例では、第1支持体101)を、当該建物10の土台14Bに取り付けている。これにより、建物用制震装置100は、1階の床部材11Aと土台14Bとの水平方向の変位を伴う振動を小さくし、かつ、早期に減衰しうる。
また、この場合、上側伝達部材40と下側伝達部材50は、1階の床部材11Aと土台14Bとの間において、1階の床部材11Aまたは土台14Bと平行になるように、粘弾性ゴム141、142を配置するとよい。また、図9に示す例では、回転慣性質量ダンパー120の錘121が円板状であり、当該円板状の錘121についても、1階の床部材11Aまたは土台14Bと平行になるように配置されている。これらの構成によって、建物用制震装置100が取り付けられる、1階の床部材11Aと土台14Bとの間のスペースの省スペース化が図られる。
《ここで提案される建物》
また、ここで提案される建物10は、例えば、図7〜図9に示すように、上述した制震装置100または建物用制震装置100が構造体に組み込まれているとよい。かかる建物としては、木造住宅が例示されるが、制震装置100は、上述したように、フロア間のスペースや1階の床部材と土台との間のスペースなどにも配置されうる。このため、木造住宅以外の建物にも広く適用することができる。
以上の通り、ここで提案される制震装置100および建物用制震装置100、さらに建物10について、種々の実施の形態を例示したが、ここで提案される制震装置100および建物用制震装置100は、上述した実施の形態に限定されない。
10 建物
10A 上階の構造体
10B 下階の構造体
11 下梁(土台)
11A 上階の床部材、1階の床部材
12、12A、12B 柱
13、13A、13B 柱
14A 上階の天井部材
14B 下階の天井部材、土台
15、16 ホールダウン金物
20 架構面
30 コンクリート基礎
31、32 ホールダウンボルト
34 基礎パッキン
40 上側伝達部材
41 上梁側固定部
42 上側伝達部材40の頂部
50 下側伝達部材
51 下梁側固定部
52 下側伝達部材50の頂部
62、64 ホールダウンボルト
100 制震装置、建物用制震装置
101 第1支持体
102 第2支持体
103 第3支持体
120 回転慣性質量ダンパー
121 回転軸
121 錘
122 錘121を回転させる機構
123 ラックギア
123a ラックギアの歯面
124 ピニオンギア
140 制震ゴムダンパー
141、142 粘弾性ゴム

Claims (13)

  1. 第1支持体と、
    前記第1支持体に対して相対的に変位可能に配置された第2支持体と、
    前記第1支持体と前記第2支持体とに取り付けられ、前記第1支持体と前記第2支持体との相対変位に応じて錘を回転させる機構を有する回転慣性質量ダンパーと、
    前記第2支持体に片面が取り付けられた平板状の粘弾性ゴムと、
    前記第2支持体に対向するように配置され、前記粘弾性ゴムの反対側の面に取り付けられた第3支持体と
    を備えた制震装置。
  2. 前記錘を回転させる機構は、
    前記第1支持体と前記第2支持体とのうち一方の支持体に取り付けられたラックギアと、
    他方の支持体に取り付けられ、前記ラックギアに噛み合ったピニオンギアと
    を備え、
    前記錘は、前記ピニオンギアの回転に応じて回転するように、前記ピニオンギアに組み付けられている、請求項1に記載された制震装置。
  3. 前記錘は平板状の錘であり、当該錘の回転軸は、前記粘弾性ゴムが配置される仮想平面に対して直交する方向に配置されている、請求項1または2に記載された制震装置。
  4. 前記第1支持体と、前記第2支持体と、前記第3支持体とが、1つの軸方向に沿って相対的に変位する、請求項1から3までの何れか一項に記載された制震装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された制震装置であって、
    前記第1支持体と前記第3支持体とのうち一方の支持体を、建物の上下に対向する一対の梁のうち、上側の梁に取り付ける上側伝達部材と、
    他方の支持体を下側の梁に取り付ける下側伝達部材と
    を備えた、建物用制震装置。
  6. 前記上側伝達部材と前記下側伝達部材は、前記一対の梁と一対の柱で囲まれた架構面に向きを揃えて前記粘弾性ゴムを配置する、請求項5に記載された建物用制震装置。
  7. 請求項1から4までの何れか一項に記載された制震装置であって、
    前記第1支持体と前記第3支持体とのうち一方の支持体を、それぞれ建物のフロア間における上階の構造体に取り付ける上側伝達部材と、
    他方の支持体を、当該フロア間における下階の構造体に取り付ける下側伝達部材と
    を備えた、建物用制震装置。
  8. 前記上側伝達部材と前記下側伝達部材は、前記下階の天井部材と前記上階の床部材との間において、当該天井部材または当該床部材と平行になるように、前記粘弾性ゴムを配置する、請求項7に記載された建物用制震装置。
  9. 請求項1から4までの何れか一項に記載された制震装置であって、
    前記第1支持体と前記第3支持体とのうち一方の支持体を、それぞれ建物の1階の床部材に取り付ける上側伝達部材と、
    他方の支持体を、当該建物の土台に取り付ける下側伝達部材と
    を備えた、建物用制震装置。
  10. 前記上側伝達部材と前記下側伝達部材は、前記1階の床部材と前記土台との間において、前記1階の床部材または前記土台と平行になるように、前記粘弾性ゴムを配置する、請求項9に記載された建物用制震装置。
  11. 請求項7から10までの何れか一項に記載された建物用制震装置であって、
    前記第1支持体と前記第2支持体と前記第3支持体とが相対的に変位する前記1つの軸方向が、建物の水平方向に沿って配置される、建物用制震装置。
  12. 請求項7に記載された建物用制震装置であって、
    前記第1支持体と前記第2支持体と前記第3支持体とが相対的に変位する前記1つの軸方向が、建物の上下方向に沿って配置される、建物用制震装置。
  13. 請求項1から4までの何れか一項に記載された制震装置または請求項5から12までの何れか一項に記載された建物用制震装置が、構造体に組み込まれた建物。
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