JP2011099520A - 回転変形型制震装置 - Google Patents

回転変形型制震装置 Download PDF

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Abstract

【課題】互いに対向し、外力を受けて相対変形を生ずる二つの構造部材間に跨って設置され、2種類の板とその間に介在する粘性体や粘弾性体等の減衰材を構成要素とする回転変形型制震装置において、2種類の板が単純に相対的な回転変形を生ずる場合より格段に高いエネルギ吸収効果を発揮させる。
【解決手段】二つの構造部材7、7が相対変形を生ずる方向に並列し、長さ方向両端部において各構造部材7の、対向する構造部材7側に直接、もしくは間接的に回転自在に連結される可動部材2と、並列する可動部材2、2に跨って配置され、各可動部材2に、その可動部材2に対して相対的に回転自在に連結される連結部材3と、可動部材2と連結部材3が互いに対向する面間に介在する減衰材4とから制震装置1を構成し、減衰材4が介在する面間の数を増やす。
【選択図】図1

Description

本発明は互いに対向し、外力を受けて相対変形を生ずる二つの構造部材間に跨って設置され、相対的な回転変形を生ずる2種類の板(部材)とその間に介在する粘性体や粘弾性体等の減衰材を構成要素とする回転変形型制震装置に関するものである。
互いに距離を隔てて対向し、地震時等の水平力の作用時に相対変形を生ずる二つの構造部材間に跨って設置され、構造部材間の相対変形時に相対的な回転変形を生ずる2種類の板と両板間に介在する粘性体や粘弾性体等の減衰材からなる制震装置は構造部材間の相対変形時に減衰材がせん断変形させられることにより機能を発揮する。
具体的には構造部材間の相対変形に伴い、2種類の板が互いに平行な状態を維持したまま相対移動することにより板状(面状)の減衰材がせん断変形させられ、粘性減衰力(熱エネルギ)を発生することによって構造物に入力する地震エネルギを吸収する(特許文献1、2参照)。
減衰材は面内方向にせん断変形させられるか、回転を伴う捩じり変形を受けることで、振動エネルギを熱エネルギに変換し、吸収する。減衰材の変形量は二つの構造部材間に生ずる相対変形量によって決まるが、実際にはこの相対変形の絶対量は小さいため、減衰材によるエネルギ吸収効果を期待する上では、何らかの形で相対変形を増幅させて減衰材を変形させることが適切である(特許文献3参照)。
特開2005−16163号公報(請求項1、図2〜図8) 特開2008−121284号公報(請求項1、段落0024、0033、図2〜図6) 特開2000−104419号公報(請求項1、段落0014〜0016、図1、図3、図4)
特許文献3では上下の梁に、互いに対向する状態で固定された固定板間に連結板を架設し、固定板と連結板間に減衰材(粘弾性体)を介在させて双方に接着すると共に、連結板の固定板への支持点位置を調整することで、上下の固定板間の相対変形に応じた回転角度(層間変形角)より連結板と固定板間の相対的な回転角度を増大させている(図3)。
しかしながら、連結板と固定板間の相対的な回転角度を増大させることができたとしても、元々、回転角度自体が微小であるから、量的な効果を期待することはできない。また梁等の構造部材に固定された固定板と、固定板に対して回転変形を生ずる連結板との間に減衰材を介在させる方法では、減衰材の設置場所が2種類の板間に限定されることから、減衰材の設置数にも限界があるため、有効なエネルギ吸収効果を期待することは難しい。
本発明は上記背景より、特許文献3より格段に高いエネルギ吸収効果を得ることが可能な回転変形型制震装置を提案するものである。
請求項1に記載の発明の回転変形型制震装置は、互いに対向し、外力を受けて相対変形を生ずる二つの構造部材間に跨って設置される制震装置において、
前記二つの構造部材が前記相対変形を生ずる方向に並列し、長さ方向両端部において前記各構造部材の、対向する構造部材側に直接、もしくは間接的に回転自在に連結される可動部材と、
並列する前記可動部材に跨って配置され、前記各可動部材に、その可動部材に対して相対的に回転自在に連結される連結部材と、
前記可動部材と前記連結部材が互いに対向する面間に介在する減衰材とを備えていることを構成要件とする。
回転変形型制震装置は主として建築、あるいは橋梁や鉄塔等の土木構造物に設置されるが、必ずしもこれらには限定されない。建築構造物で言えば、構造部材は柱、梁、壁、床、ブレース、基礎等であり、互いに距離を隔てるいずれかの構造部材間に制震装置が設置される。
構造部材が例えば梁のような水平材である場合には構造部材は鉛直方向に対向し、柱のような鉛直材である場合には水平方向に対向する。構造部材が壁である場合には、例えば垂れ壁と腰壁のように鉛直方向に対向する場合と、袖壁のように水平方向に対向する場合があり、床である場合には水平方向に対向する。二つの構造部材が対向する方向が鉛直方向であるか水平方向であるかは問われず、いずれかの方向に対して傾斜した方向であることもある。
減衰材は可動部材と連結部材が例えばそれぞれの厚さ方向に互いに対向する面間に介在し、可動部材と連結部材との間の相対的な回転変形に起因し、可動部材と連結部材が対向する方向に直交する方向に例えばせん断変形(捩り変形に伴うせん断変形)を受けることにより減衰力を発生する。減衰材にせん断変形を生じさせることによりエネルギを吸収させる場合、減衰材には主に粘弾性体や粘性体が使用される。
減衰材がせん断変形により減衰力を発生する形式の場合、減衰材は可動部材と連結部材との間の相対的な回転変形量に応じた減衰力を発揮することから、減衰材が例えば可動部材と連結部材を互いに連結する回転支点からの距離に応じて減衰力を変動させる場合には(請求項6)、減衰材の全体を均等に減衰力発生のために利用することにより、減衰材(制震装置)の限界性能を高めることができる。
減衰材の全体を均等に減衰力発生のために利用することは、減衰材のせん断変形能力を回転支点からの距離に応じて変化させ、例えば図7−(c)、(d)に示すように回転支点に近い部分(領域)から遠い部分(領域)にかけて減衰材の断面(厚さ)を次第に、あるいは段階的に増大させることによって可能になる。回転中心からの距離に比例して減衰材の断面(厚さ)を増大させれば、回転に伴うせん断歪みが減衰材の全体で等しくなるため、減衰材の全体で面積当たり、等しい減衰力を発生させることができ、エネルギ吸収効率が高まる。
減衰材の回転支点に近い部分の変形能力が小さく、回転支点から遠ざかる程、変形能力が大きくなることで、変形能力の大きい領域にその変形能力に応じたせん断変形を起こさせることができるため、効果的にエネルギ吸収能力を発揮させることが可能になる。仮にせん断変形能力が回転支点からの距離に関係なく一様であるとすれば、回転支点からの距離が大きい部分のせん断変形が大きくなることで、破断する可能性を秘めるが、せん断変形が大きくなる領域のせん断変形能力を高めておくことで、破断の可能性が低下するため、エネルギ吸収能力が向上することになる。
可動部材と連結部材との間の相対的な回転変形時には減衰材が可動部材と連結部材の双方に対して滑りを生ずることによっても減衰力を発生し得るから、減衰材には摩擦力による熱エネルギの発生によってエネルギを吸収(消費)する形態の例えば摩擦鋼板等も使用される。
いずれの場合も、減衰材は基本的には対向する構造部材から形成される構面内での構造部材間の相対変形時に機能する。よって構造部材が例えば梁や壁、または床である場合、減衰材は構造部材間の構面内での水平方向の相対変形時に機能し、構造部材が柱である場合には、減衰材は構造部材間の構面内での鉛直方向の相対変形時に機能する。
減衰材の素材、形態に関係なく、構造部材が相対変形を生ずる方向は可動部材の長さ方向に直交する方向であるから、可動部材の幅方向に相当する。但し、可動部材の長さ方向の距離は必ずしも幅方向の距離より大きいとは限らず、幅方向の距離が長さ方向の距離以上のこともある。
減衰材は上記のように面内方向のせん断力を負担するか、摩擦力を受けることで、減衰力を発生するから、原則として板状(面状)をする。板状の減衰材を面内変形させるか、減衰材に面内方向力を与える上では、減衰材を挟み込む二つの部材である可動部材と連結部材も基本的に板状の形状をすることが合理的であるが、必ずしもその必要はなく、棒状に形成されることもある。
可動部材は対向する二つの構造部材間に跨って配置され、双方に直接、もしくは間接的に回転自在に連結される。請求項1において「二つの構造部材が相対変形を生ずる方向に並列」とは、可動部材が構造部材の相対変形方向に並列することを言う。
「可動部材が構造部材に直接、もしくは間接的に連結される」とは、可動部材が構造部材に直接、連結される場合と、構造部材に突設された固定部材に可動部材が連結される(可動部材が構造部材に間接的に連結される)場合があることを言う。いずれの場合も、可動部材は構造部材に対し、対向する両構造部材が相対変形を生ずる方向(構面方向)に直交する方向の回転支点(回転軸)の回りに相対的に回転自在な状態に連結される。対向する構造部材が相対変形を生じ、可動部材が構造部材に追従するときには、可動部材が構造部材に対して回転するから、回転の中心となる回転軸(回転支点)は構造部材の相対変形を生ずる方向を含む構面に直交する方向(構面外方向)を向く。
可動部材が構造部材に直接、連結される場合、可動部材はそれと構造部材のいずれか一方に突設、あるいは形成された回転軸(回転支点)に他方が軸支されることにより構造部材に回転自在に連結される。構造部材に回転軸が突設される場合、その回転軸は可動部材に形成される孔(挿通孔)、もしくは溝(案内溝)を挿通し、可動部材に回転軸が突設される場合、その回転軸は構造部材に形成される孔、もしくは溝を挿通する。
可動部材が構造部材に間接的に連結される(可動部材が固定部材に連結される)場合、固定部材は各構造部材の対向する構造部材側に突設され、可動部材はそれと固定部材のいずれか一方に突設、あるいは形成された回転軸(回転支点)に他方が軸支されることで固定部材に回転自在に連結される。この場合も可動部材と固定部材のいずれか一方に回転軸(回転支点)が形成され、この回転軸は他方に形成される孔、もしくは溝を挿通する。
可動部材には連結部材が連結されるが、両者が連結された状態も基本的には可動部材と連結部材のいずれか一方に突設、あるいは形成された回転軸(回転支点)に他方が軸支されることで得られる。
「連結部材が可動部材に連結される」状態は、連結部材と可動部材が互いに相対的に回転自在な状態に連結されていればよく、いずれか一方が他方を支持する場合と、双方を構造部材、もしくは固定部材が直接、もしくは間接的に支持する場合がある。「いずれか一方が他方を支持する」とは、いずれか一方に回転軸(回転支点)が突設、あるいは形成され、この回転軸に他方が軸支されることにより他方が支持されることを言う。「連結部材と可動部材の双方が構造部材や固定部材に直接、もしくは間接的に支持される」場合の連結部材は可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を指す。
連結部材が可動部材の長さ方向中間部に位置する場合、その中間部の連結部材は長さ方向両端部に位置する連結部材と同様に構造部材の相対変形時に平行移動し、構造部材の相対変形前と同じ状態を維持する場合(図5)と、可動部材の傾斜とは逆向きに傾斜する場合(図6)がある。中間部の連結部材が平行移動するか傾斜するかは、回転軸(回転支点)の位置によって決まり、後述のように中間部の回転軸が両側の回転軸を結ぶ直線上に位置すれば、連結部材は平行移動し、両側の回転軸を結ぶ直線より隣接する可動部材寄りに位置すれば、連結部材は傾斜する。
構造部材の相対変形時に可動部材が傾斜するのに対し、少なくとも可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材が相対変形前と同じ状態(姿勢)を維持することで、可動部材と連結部材との間には相対的な回転変形(捩じり変形)が発生する。減衰材はこの回転変形量に応じたせん断変形(捩じり変形)を生ずるか、摩擦力を受けることにより減衰力を発生する。
特許文献3では対向する構造部材のそれぞれに突設した固定板間に連結板を架設し、連結板と固定板間に粘弾性体を介在させていることから、一対の固定板と連結板の組は独立しているため、粘弾性体は固定板と連結板との間にしか配置されない。
これに対し、本発明(請求項1)では制震装置の構成要素として、特許文献3の連結板に相当する可動部材が構造部材の相対変形方向に並列し、その並列する可動部材に跨って連結部材が配置されることで、相対変形を生ずる部材の組み合わせ数を増やすことができる。結果として、特許文献3の粘弾性体に相当する減衰材の配置数を増やすことが可能であり、配置数の調整により減衰材が発生する減衰力を制御することも可能になる。
例えば相対変形を生ずる各構造部材に特許文献3の固定板に相当する固定部材が固定され、この固定部材に可動部材が連結された場合には、減衰材の配置数は特許文献3と同じ数になるから、まず可動部材が2枚(2本)並列するだけで、一箇所(一個)の制震装置に付き、特許文献3の2倍の配置数を確保することが可能である。可動部材の並列数は3以上のこともあり、その場合、連結部材は全可動部材に同時に跨る(重なる)場合と、隣接する2枚の可動部材間に跨る(重なる)場合がある。
これに加え、構造部材が対向する方向(可動部材の長さ方向)に、並列する可動部材に跨る1枚(1本)の連結部材が可動部材に重なって配置されるだけで、可動部材の片面に関して2箇所、減衰材の配置箇所を付加することができるため、連結部材を可動部材の長さ方向に複数枚(複数本)配置すれば、2×複数倍の減衰材の配置数を確保することができる。例えば可動部材がその幅方向(構造部材が相対変形を生ずる方向)に2枚(本)配置され、可動部材の長さ方向に連結部材が3枚(本)配列した場合、減衰材の配置箇所は可動部材の片面に関して2×3枚で、6箇所になり、両面では12箇所になる。
減衰材には前記のように主として板状(面状)の粘弾性体、粘性体、摩擦鋼板等が使用される。粘弾性体等の減衰材は厚さ方向に互いに対向する可動部材と連結部材との間に介在させられ、双方に接着される。摩擦鋼板等の減衰材はいずれか一方に、他方に対して相対変形可能に固定(接合)される。粘弾性体等の場合、減衰材は前記のように可動部材と連結部材の相対的な回転変形時にせん断変形(捩じり変形)することにより減衰力を発生し、摩擦鋼板等の場合は摩擦力を発生することにより減衰力を発生する。
前記のように可動部材の長さ方向両端部(両側部)は構造部材、もしくは構造部材に突設された固定部材に構面外方向を向いた回転軸(回転支点)の回りに回転自在に連結されるが、構造部材間の相対変形(平行移動)に伴い、可動部材が支持されている両構造部材の回転軸間距離(回転支点間距離)は拡大する。従って可動部材が伸縮性を有しない場合に構造部材間の相対変形に自由に追従するには、構造部材と可動部材の内の、いずれか一方の回転軸が構造部材の相対変形に伴う回転軸間距離(回転支点間距離)の変化に追従可能である必要がある。
構造部材間の相対変形時、構造部材と可動部材のいずれか一方に形成されている回転軸(回転支点)は直線軌道上を移動しようとする。このとき、移動後の回転軸間距離は移動前の回転軸間距離より拡大するため、可動部材は回転軸間距離の変化に追従可能な伸縮性を有しているか、回転軸間距離の変化を許容する形態をしていることが必要である。
可動部材自体が有する伸縮性によって回転軸間距離の変化に追従することは、構造部材の微小な相対変形時にのみ有効である。よって可動部材自体の伸縮性に期待することなく、可動部材と構造部材側との連結部を回転軸間距離の変化に自由に追従させるには、「互いに回転自在に連結されている可動部材の長さ方向両端部とそれぞれの側の構造部材側との連結部の内、少なくともいずれか一方側の連結部における可動部材と構造部材側の内、いずれか一方が他方に対して可動部材の長さ方向に相対移動可能であること」の要件が必要となる(請求項5)。
「可動部材の長さ方向両端部とそれぞれの側の構造部材側との連結部」における「構造部材側」とは、可動部材が構造部材に直接、連結される場合の「構造部材」と、間接的に連結される場合の「構造部材に突設された固定部材」を含む趣旨である。すなわち、「可動部材が構造部材側に回転自在に連結」とは、可動部材が構造部材に直接、回転自在に連結される場合と、構造部材に突設された固定部材に回転自在に連結される場合があることを言う。
例えば回転支点(回転軸)が構造部材に形成された場合、可動部材には回転支点が挿通可能な案内溝(案内孔)が形成されるが、この案内溝は可動部材の長さ方向に長い長孔状に形成される。回転支点が可動部材に形成された場合には、構造部材に回転支点が挿通可能な、長孔状の案内溝が形成される。請求項5における「連結部」は互いに回転自在に連結される可動部材と構造部材との間の「回転支点(回転軸)」を指している。
請求項5では回転支点(回転軸)が挿通する案内溝が長孔状に形成されていることで、構造部材間の相対変形時に回転支点が案内溝に沿って自由に移動でき、可動部材と構造部材のいずれかが回転支点の移動を阻害することがないため、回転支点と案内溝に無理な力を発生させることなく、構造部材に対する可動部材の回転移動(傾斜)を起こさせることが可能である。
前記のように減衰材に減衰力を発生させる上では、連結部材は並列する可動部材間に少なくとも1枚(1本)、跨って配置されればよいが、連結部材は枚数(本数)に関係なく、可動部材の長さ方向両端部に配置される場合(請求項2)と、可動部材の長さ方向両端部以外(長さ方向中間部)に配置される場合(請求項3)がある。連結部材が可動部材の長さ方向両端部以外(長さ方向中間部)に配置される場合(請求項3)、連結部材は可動部材の長さ方向中間部に回転自在に連結されることになる。
連結部材が可動部材の長さ方向両端部に配置される場合(請求項2)、連結部材は図1−(a)、(b)に示すように可動部材と共に構造部材に直接、もしくは間接的に連結される。「直接」は連結部材が構造部材に直接、可動部材と共に連結されることを言い、「間接的に」とは、図1に示すように連結部材が構造部材に突設された固定部材に、可動部材と共に連結されることを言う。いずれの場合も、連結部材が可動部材と共に構造部材に連結されることで、連結部材を可動部材に連結するための回転支点(回転軸)が可動部材を構造部材に連結するための回転支点(回転軸)兼ねるため、回転支点数の節減が図られる利点がある。
可動部材の長さ方向両端部に配置される連結部材は可動部材と構造部材の双方に連結されることもあるが(請求項2)、可動部材の長さ方向両端部以外(長さ方向中間部)に配置される連結部材は可動部材と重なるだけであるから、可動部材にのみ連結される。ここで、連結部材の可動部材との連結位置(回転支点)が例えば、可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を支持する回転支点(回転軸)を結ぶ直線上にあれば、図5に示すように全連結部材が可動部材の傾斜に伴い、平行移動する。この場合、全連結部材の可動部材に対する回転角度が一定であるから、可動部材と連結部材との間に介在する全減衰材が一様に変形するか、一様に摩擦力を受ける。
これに対し、請求項3において、並列し、隣接する可動部材の長さ方向両端部以外(長さ方向中間部)に回転自在に連結されている連結部材の回転支点間距離が、可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を回転自在に連結している回転支点間距離より小さい場合には(請求項4)、前記の通り、その中間部の連結部材は図6に示すように可動部材の傾斜とは逆向きに傾斜する。可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を回転自在に連結している回転支点は構造部材に形成(突設)される場合と可動部材に形成(突設)される場合がある。
「並列し、隣接する可動部材」とは、請求項4の場合の連結部材は幅方向に並列する2枚以上の可動部材の内、隣接する2枚の可動部材間単位で跨ることを言う。例えば可動部材が3枚(本)以上、幅方向に並列している場合にも、連結部材は隣接する2枚の可動部材に跨ることになる。これは可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材が可動部材の傾斜(回転)時に逆向きに傾斜(回転)することによる。
図5、図6は構造部材が相対変形を生ずる方向に並列する2枚(本)の可動部材の長さ方向両端部(両側部)が上下(高さ方向両側)の構造部材のそれぞれに形成(突設)された水平軸(回転軸(回転支点))回りに回転自在に連結(支持)され、両可動部材間に跨る連結部材が高さ方向に3列、配列した場合の制震装置を示す。
図5では可動部材の長さ方向両端部(両側部)に位置する連結部材が構造部材の水平軸(回転軸(回転支点))に可動部材と共に回転自在に連結(支持)され、中間部に位置する連結部材が可動部材に形成(突設)された水平軸(回転軸(回転支点))回りに回転自在に連結(支持)されている。図6では特に可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材を支持する可動部材の水平軸(回転軸(回転支点))が、長さ方向両端部(両側部)に位置する連結部材を支持する水平軸(回転軸(回転支点))(の中心)を結ぶ直線より、両可動部材が接近する側(隣接する可動部材寄り)に位置している場合を示している。
図5、図6では可動部材の下端部に、下部の構造部材に形成(突設)された回転軸(回転支点)が挿通する孔を形成し、可動部材の上端部に、上側の構造部材に形成(突設)された回転軸(回転支点)が可動部材の長さ方向に移動可能に挿通する溝(案内溝)を形成しているが、逆に可動部材の上端部に孔を形成し、下端部に溝(案内溝)を形成することもある。
図5、図6の場合、上下の構造部材の相対変形に伴い、二点鎖線で示すように可動部材が構造部材に対して傾斜(回転)するときには、可動部材は下側の構造部材への回転軸(回転支点)の回りに回転し、上側の構造部材に突設されている回転軸は可動部材の案内溝に沿って可動部材に対して移動(上昇)する。上側の回転軸が可動部材に突設されている場合には、その回転軸は構造部材(固定部材)に形成されている案内溝に沿って移動(上昇)する。
図5に示すように可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材を支持する可動部材の回転軸(回転支点)が上下の構造部材の回転軸(回転支点)を通る直線上に位置している場合には、3列に配列した全連結部材が一様に平行移動し、可動部材に対しては単純に傾斜するだけである。
これに対し、図6の場合には可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材を支持する回転軸(回転支点)間距離が可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を支持する回転軸(回転支点)間距離より小さいことで、中間部に位置する連結部材は可動部材の傾斜の向きとは逆向きに傾斜する。
この場合、可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材を支持する回転軸(回転支点)が長さ方向両端部に位置する連結部材を支持する回転軸(回転支点)を結ぶ直線より、両可動部材の接近する側に位置することで、図6中、左側に位置する回転支点は可動部材の傾斜に伴い、元の位置より下に降下する。これに対し、右側に位置する回転支点は可動部材の傾斜に伴い、左側の回転支点より相対的に上昇する結果、可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材を支持する両可動部材の回転軸(回転支点)を結ぶ直線は可動部材の傾斜の向きとは逆向きに傾斜する。
従って図6の場合、可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材自体が可動部材の傾斜の向きとは逆向きに回転変形しようとするため、その連結部材と可動部材の互いに対向する面に接着されている減衰材は捩れを起こそうとし、図5の場合より逆向きに回転する角度分だけ、多く捩れ変形(せん断変形)を生じることになる。減衰材がより多く変形させられることで、減衰材が発生する捩れによる減衰力が大きくなるため、より効果的に減衰材によるエネルギ吸収効果を期待することができる。
減衰材が可動部材と連結部材のいずれか一方に固定(接合)されている摩擦鋼板等の場合には、減衰材は他方から単純に平行移動する場合以上に相対的に回転する分、図5の場合より大きい摩擦力を受けるため、より効果的にエネルギ吸収効果を発揮する。
対向する構造部材の相対変形時に構造部材に対して傾斜する可動部材を相対変形方向に並列させ、この並列する二つの可動部材に対して可動部材の長さ方向に複数列の連結部材を配置し、連結部材と可動部材間に減衰材を介在させるため、相対変形を生ずる部材の組み合わせ数を増やし、減衰材の配置数を増加させることができる。
減衰材の配置数を増加させることができることで、可動部材の長さ方向両端部に加え、長さ方向中間部にも連結部材を配置した場合には、減衰材の配置数を調整することもできるため、減衰材による減衰力を向上させることができる他、減衰力を自由に制御することもできる。
上下に対向する構造部材としての梁に本発明の制震装置を設置した様子を示した縦断面図であり、(a)は構造部材毎に固定部材を突設した場合、(b)は両構造部材に跨る固定部材を突設した場合である。 (a)は図1−(a)のx−x線矢視図、(b)は図1−(a)のy−y線矢視図である。 可動部材の上端部と構造部材との連結例を示した図1−(a)の縦断面図であり、(a)は回転軸(回転支点)を構造部材に突設した場合、(b)は回転軸(回転支点)を可動部材に突設した場合である。 (a)は可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を支持する回転支点間を結ぶ直線上に、中間部に位置する連結部材を支持する回転支点が位置する場合の可動部材と連結部材の変形状態を示した立面図、(b)は可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材を支持する回転支点間を結ぶ直線より隣接する可動部材寄りに、中間部に位置する連結部材を支持する回転支点が位置する場合の可動部材と連結部材の変形状態を示した立面図である。 図4−(a)の詳細例を示した立面図である。 図4−(b)の詳細例を示した立面図である。 (a)は円形状の減衰材部分を示した正面図、(b)は(a)に示す減衰材が半径方向に一様の断面(厚さ)を有する場合の可動部材及び連結部材との関係を示したx−x線の断面図、(c)は(a)に示す減衰材の断面(厚さ)が半径方向中心部から外周へかけて次第に増す場合の可動部材及び連結部材との関係を示したx−x線の断面図、(d)は(a)に示す減衰材の断面(厚さ)が半径方向中心部から外周へかけて段階的に増す場合の可動部材及び連結部材との関係を示したx−x線の断面図である。
図1は互いに対向し、外力を受けて相対変形を生ずる二つの構造部材7、7間に跨って設置される回転変形型制震装置(以下、制震装置)1の構成例を示す。図1−(a)、(b)は共に対向する構造部材7、7間に、制震装置1を受ける固定部材8が突設される場合の例を示すが、固定部材8は必ずしも必要ではない。図1−(a)は各構造部材7、7に接続する固定部材8、8が互いに分離している場合、(b)は両構造部材7、7に接続する固定部材8、8が連続している場合を示す。
制震装置1は主として建物等の建築構造物、もしくは橋梁等の土木構造物等の構造物内に組み込まれる形で設置される。制震装置1を設置するときの構造物が新設であるか、既設(既存)であるかは問われず、既存構造物を制震補強する目的で制震装置1が設置される場合と、当初から制震性能を保有させる目的で構造物内に制震装置1が設置される場合がある。
制震装置1は二つの構造部材7、7が相対変形を生ずる方向に並列し、長さ方向両端部(両側部)において各構造部材7、7間に跨り、対向する構造部材7、7側に直接、もしくは間接的に回転自在に連結される可動部材2、2と、並列する可動部材2、2間に跨り、各可動部材2に、その可動部材2に対して相対的に回転自在に連結される連結部材3と、可動部材2と連結部材3が互いに対向する面間に介在する減衰材4とを備える。構造部材7、7が相対変形を生ずる方向は原則として両構造部材7、7が構成する構面内方向を指す。構造部材7、7は構面外方向にも相対変形を生ずるが、制震装置1が主に機能する方向は構面内方向になる。
制震装置1の設置対象が建物である場合には、構造部材7、7は主に梁、柱、壁、床、ブレース等であるが、地震等による水平力を受けたときに相対変形を生じ、その相対変形を低減させるだけの反力を負担可能な部材同士であれば、構造部材7、7の部位は特定されない。
構造部材7、7が図1に示すような梁の場合には構造部材7、7は鉛直方向に対向し、水平方向(構造部材7の材軸方向)に相対変形を生ずるが、構造部材7、7の部位によっては鉛直方向に対向し、鉛直方向に相対変形を生ずる場合の他、水平方向に対向し、水平方向、もしくは鉛直方向に相対変形を生ずる場合もある。以下では構造部材7、7が梁で、各構造部材(梁)7、7の対向する構造部材7、7側に固定部材8としての壁が突設された場合の例に基づいて説明する。
図1−(a)、(b)は固定部材8としての壁が接続し、上下に対向した構造部材7、7としての梁間に制震装置1を設置した場合の例を示している。前記の通り、(a)は各構造部材7、7に接続した固定部材(壁)8、8が互いに(垂れ壁と腰壁に)分離している場合、(b)は固定部材8、8が一体化している(袖壁である)場合である。
図1−(a)、(b)のいずれにおいても固定部材8側に可動部材2が位置しているが、固定部材8側に連結部材3が位置していることもある。また(a)、(b)のいずれの場合も、制震装置1は固定部材8(壁)の鉛直方向の中心線に関して対称に配置されることもある。
前者(図1−(a))の場合、構造部材7、7間の相対変形時には上階の梁(構造部材7)に接続した垂れ壁(固定部材8)と、下階の梁(構造部材7)に接続した腰壁(固定部材8)との間に、水平方向(梁の材軸方向)に相対変形が生ずる。後者(図1−(b))の場合は袖壁(固定部材8)の高さに対する幅が小さいことで、上階の梁(構造部材7)と下階の梁(構造部材7)とが相対変形を生ずる方向のせん断剛性が小さいため、(a)と同じく梁の材軸方向にせん断変形を生ずる。(a)、(b)のいずれの場合も、構造部材7、7は固定部材8(壁)の厚さ方向にも相対変形を生じ得るが、制震装置1は壁(固定部材8)の面内方向の相対変形時に機能する状態に設置されている。
図2−(a)は図1−(a)のx−x線の矢視図であり、構造部材7、7の相対変形方向に並列する可動部材2、2を示す。可動部材2の長さ方向両端部(両側部)、すなわち図面の場合の上端部と下端部は構造部材7、7に対して相対的に回転自在に連結される。ここでは可動部材2がその幅方向に2枚、並列している様子を示しているが、可動部材2はその幅方向に3枚以上、並列して配置されることもある。可動部材2が3枚以上、並列する場合は、連結部材3はその長さ方向に3枚以上の可動部材2に跨って配置される場合と、隣接する2枚の可動部材2、2間に跨って配置される場合がある。
図2−(b)は図1−(a)のy−y線の矢視図であり、可動部材2の長さ方向に配列(並列)する連結部材3を示す。可動部材2の長さ方向両端部(上端部と下端部)に位置する連結部材3、3は可動部材2と共に構造部材7、または固定部材8に、可動部材2、2に対して相対的に回転自在に連結されるか、可動部材2の長さ方向両端部(上端部と下端部)に、可動部材2、2に対して相対的に回転自在に連結される。可動部材2の長さ方向中間部に位置する連結部材3は可動部材2の長さ方向中間部に、可動部材2、2に対して相対的に回転自在に連結される。
減衰材4は前記したように厚さ方向に直交する方向のせん断力、または摩擦力を受けることにより減衰力を発生することから、板状に形成される。可動部材2と連結部材3は対になって板状の減衰材4を挟み込み、減衰材4に面内方向のせん断力、あるいは捩じりモーメントを与えることから、基本的には共に、減衰材4の挟持に適する平板状、もしくはそれに近い曲面板状に形成され、板厚方向が構造部材7、7間の相対変形を生ずる方向に直交する方向を向いて、すなわち幅方向が相対変形を生ずる方向を向いて配置される。
図2−(a)、(b)中、破線の円は減衰材4の外形を示している。減衰材4は可動部材2と連結部材3との相対的な回転変形時に両部材2、3から後述の回転軸5、6を中心とする捩じりを受け、捩じり変形は回転軸5、6の中心を中心とする扇状に生ずる。このことから、減衰材4の全体が均等に変形を生じる上では、減衰材4は図2−(a)、(b)に示すように回転軸5、6の中心を中心とする円弧状の外形線を有することが合理的であるが、必ずしもその必要はなく、方形状、その他の外形線を有することもある。
可動部材2の長さ方向両端部(両側部)は構造部材7、または固定部材8に構造部材7に対して相対的に回転自在に連結され、可動部材2の長さ方向両端部(両側部)の内の少なくともいずれか一方は相対変形する構造部材7に対し、可動部材2の長さ方向に相対移動可能に連結される。
具体的には図3−(a)に示すように可動部材2の長さ方向両端部(上端部と下端部)は構造部材7、もしくは固定部材8に形成(突設)された回転軸5(回転支点)に軸支されるか、(b)に示すように可動部材2自身に形成(突設)された回転軸5(回転支点)において構造部材7、もしくは固定部材8に支持される。いずれの場合も、回転軸5は可動部材2の厚さ方向に形成(突設)される。
図3−(a)に示すように回転軸5が構造部材7、もしくは固定部材8に形成(突設)される場合には、可動部材2に回転軸5が挿通する挿通孔2aが形成され、(b)に示すように回転軸5が可動部材2に形成(突設)される場合には、構造部材7、もしくは固定部材8に回転軸5が挿通する挿通孔8aが形成される。
図1、図2に示すように可動部材2の長さ方向中間部に配置される連結部材3と可動部材2とが重複した領域の、いずれか一方には他方を軸支する回転軸6(回転支点)が形成(突設)される。回転軸6も可動部材2と連結部材3の厚さ方向に形成(突設)される。図1−(b)に示すように可動部材2の長さ方向中間部とその位置に配置される連結部材3が共に固定部材8に連結される場合には、図3−(a)、(b)と同様に回転軸6は固定部材8に形成(突設)される場合と、可動部材2に形成(突設)される場合がある。
図4は構造部材7、7が相対変形を生ずる方向(可動部材2の幅方向)に2枚の可動部材2が並列し、構造部材7、7が対向する方向(可動部材2の長さ方向)に連結部材3が3列、配列した場合の、2枚の可動部材2と3枚の連結部材3の配置関係と、構造部材7、7の相対変形後の様子を示している。図4はまた、可動部材2、2を構造部材7、7に回転自在に連結する回転軸5が構造部材7、または固定部材8に形成されている場合の例を示している。
図4−(a)は可動部材2の長さ方向両端部に位置する連結部材3、3を支持する回転軸5、5間を結ぶ直線上に、中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6が位置する場合を示し、(b)は可動部材2の長さ方向両端部に位置する連結部材3、3を支持する回転軸5、5間を結ぶ直線より隣接する可動部材2寄りに、中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6が位置する場合を示している。図4−(a)の具体例を図5に、図4−(b)の具体例を図6に示す。
図4−(a)、図5の場合、可動部材2の長さ方向上端部の挿通孔2aと下端部の挿通孔2bの中心を結ぶ直線上に、可動部材2の長さ方向中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6の中心が位置している。図4−(b)、図6の場合には、可動部材2の長さ方向上端部の挿通孔2aと下端部の挿通孔2bの中心を結ぶ直線上より隣接する可動部材2側に寄った位置に、可動部材2の長さ方向中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6の中心が位置している。
回転軸5が構造部材7、または固定部材8に形成されている場合、構造部材7、7間に相対変形が生じたとき、両構造部材7、7の、または両固定部材8、8の回転軸5、5間の相対移動後の距離は相対移動前の距離より大きくなる。この関係で、図5、図6に示すように両回転軸5、5間距離の変化に追従可能なように、回転軸5、5が挿通している可動部材2の挿通孔2a、2bの内、少なくともいずれか一方は案内溝として可動部材2の長さ方向に長い長孔状に形成される。図5、図6では両可動部材2の上端部側の挿通孔2aを共に長孔状に形成しているが、他方の挿通孔2bを長孔状に形成することもある。
可動部材2の上側の挿通孔2aを挿通する回転軸5は可動部材2の長さ方向(高さ方向)に配列する連結部材3の内、最上段に配置される連結部材3の長さ方向両端部(両側部)に形成された挿通孔3a、3aも挿通する。可動部材2の下側の挿通孔2bを挿通する回転軸5は最下段に配置される連結部材3の両端部(両側部)の挿通孔3aも挿通する。
図5、図6の場合、可動部材2の長さ方向中間部に配置される連結部材3は2枚の可動部材2、2間に跨って重なるだけであるから、中間部の連結部材3はその連結部材3と可動部材2、2のいずれか一方に形成(突設)された回転軸6が他方に形成された挿通孔3bを挿通する。図面では可動部材2の長さ方向中間部の、連結部材3との重複領域に回転軸6を形成(突設)し、この回転軸6を中間部に配置される連結部材3の挿通孔3bに挿通しているが、中間部の連結部材3に回転軸6を形成(突設)し、可動部材2に回転軸6が挿通する挿通孔を形成することもある。
図5の場合、すなわち可動部材2の長さ方向両端部に位置する連結部材3、3を支持する回転軸5、5間を結ぶ直線上に、中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6が位置する場合、二点鎖線で示すように構造部材7、7間に相対変形が生じ、上部の構造部材7が下部の構造部材7に対して右側へ相対移動した状況下では、下側の回転軸5の位置は変動せず、上側の回転軸5が一点鎖線で示す水平な直線上を右側へ移動する。
このとき、並列する可動部材2、2は下部の回転軸5の回りに回転(傾斜)するが、上側の回転軸5と可動部材2の長さ方向中間部の回転軸6は各可動部材2において同一線上に位置するから、並列する2枚の回転軸6、6を結ぶ直線(水平方向の直線)は相対変形前の状態(水平な状態)を維持したまま、平行移動する。従って可動部材2の長さ方向中間部に支持されている連結部材3自体も平行移動する。
図5の場合、可動部材2の長さ方向中間部に位置する連結部材3は上下に位置する連結部材3、3と常に平行な状態を維持したまま、可動部材2、2の回転(傾斜)に追従する。従って可動部材2の長さ方向に配列した3枚の連結部材3は可動部材2に対しては一様に(同一角度)相対的に回転変形するだけであり、減衰材4はその相対的な回転変形(回転角度)に応じたせん断変形を受けるか、摩擦力を受ける。
図6は前記の通り、可動部材2の長さ方向中間部に位置する連結部材3を支持する回転軸6の中心が、可動部材2の長さ方向上端部の挿通孔2aと下端部の挿通孔2bの中心を結ぶ直線上より、隣接する可動部材2側に寄った位置にある場合の、可動部材2と連結部材3の相対変形前の状態と相対変形後の様子を示す。
図6の場合、並列する可動部材2、2の長さ方向中間部に回転自在に連結されている連結部材3の回転支点(回転軸6、6)間距離は、可動部材2の長さ方向両端部に位置する連結部材3、3を回転自在に連結している回転支点(回転軸5、5)間距離より小さくなっている。二点鎖線で示すように構造部材7、7間に相対変形が生じ、上部の構造部材7が下部の構造部材7に対して右側へ相対移動した状況下では、下側の回転軸5の位置は図5の場合と同じく変動せず、上側の回転軸5が水平な直線上を右側へ移動する。
しかしながら、回転軸6、6間距離が回転軸5、5間距離より小さく、左側に位置する可動部材2の長さ方向中間部の回転軸6が上下の回転軸5、5を結ぶ直線より右側の可動部材2寄りに位置している関係で、その回転軸6は可動部材2の回転(傾斜)時には回転前の状態より降下する。これに対し、右側に位置する可動部材2の長さ方向中間部の回転軸6は左側に位置する可動部材2の回転軸6と同じようには降下しない。
この可動部材2、2が回転(傾斜)する前の状態から回転(傾斜)するまでの間、並列する各回転軸6、6間の距離は変動しない。すなわち、上下の回転軸5、5を結ぶ直線上にない回転軸6の、可動部材2上での位置は可動部材2の回転前から回転後までの間、両回転軸6、6間距離が変化しない位置にあることが条件になる。
可動部材2、2の回転(傾斜)に伴い、左側の可動部材2の回転軸6が降下するのに対し、右側の可動部材2の回転軸6が降下しないことで、両回転軸6、6の中心を結ぶ直線は可動部材2、2の回転前の状態に対し、可動部材2の回転(傾斜)の向きとは逆向きに傾斜する。
従って両回転軸6、6に支持されている可動部材2、2の長さ方向中間部に位置する連結部材3が図6に二点鎖線で示すように可動部材2、2の傾斜とは逆向きに傾斜するため、その中間部の連結部材3と可動部材2に挟まれている減衰材4は図5の場合より多く、回転変形(捩じり変形)させられるか、多くの摩擦力を受ける。この結果、図6の場合の減衰材4は図5の場合の減衰材4より高いエネルギ吸収能力を発揮することになる。
図7−(b)〜(d)は厚さ方向に直交する方向のせん断力を受けたときのせん断変形(捩じり変形)により減衰力を発生する減衰材4の形成例を示す。(a)は円形状の減衰材4を厚さ方向(軸方向)に見たときの外形を示す。(b)〜(d)は(a)のx−x線の断面図であるが、可動部材2と連結部材3は減衰材4を挟む部分のみを抽出して示している。
図7−(b)は半径方向に一定の厚さを有する減衰材4の断面を示している。厚さが一定の減衰材4を挟む可動部材2と連結部材3は減衰材4の半径方向に一定の厚さを有していればよい。(c)、(d)は半径方向に厚さが変化し、可動部材2と連結部材3を互いに連結する回転軸(回転支点)5、6からの距離に応じて減衰力を変動させる場合の内、回転軸5、6からの距離に比例して減衰材の変形能力を増大させる形式の減衰材4の断面例を示す。(c)は減衰材4の厚さが半径方向中心部から外周へかけて次第に増す場合、(d)は減衰材4の厚さが半径方向中心部から外周へかけて段階的に増す場合の例を示している。
図7−(c)、(d)では減衰材4を挟む可動部材2と連結部材3のいずれか一方に平坦な板を使用することができるよう、減衰材4の、可動部材2と連結部材3のいずれか一方側の面を平坦に形成しているが、厚さ方向(軸方向)の中心に関して対称形に減衰材4を形成することもある。
図7−(c)に示す例では減衰材4の、平坦面でない一方側の面に半径方向中心部から外周へかけ、厚さ方向の中心から表面側へ向かう傾斜が付き、その側の面がすり鉢状に形成されている。それに伴い、その側から減衰材4を挟み込む連結部材3、または可動部材2の、減衰材4側の面は逆に、減衰材4の半径方向中心部から外周へかけ、減衰材4側の面から連結部材3等の表面に向かう傾斜が付けられている。ここでは、連結部材3等の厚さが減衰材4の半径方向中心部から外周へかけて次第に減少しているが、必ずしもその必要はなく、連結部材3等はほぼ一定の厚さのまま、表面側に凹となる曲面を形成していることもある。
図7−(d)に示す例では減衰材4の半径方向に中心部側から外周へかけて厚さの相違する複数の環状の減衰材4、4を配置している。これに伴い、連結部材3、または可動部材2の、厚さの小さい減衰材4に重なる半径方向中心部寄りの厚さを大きくし、その周囲の厚さを小さくしているが、必ずしもその必要はなく、複数枚の板を重ねて図7−(d)に示す断面形状の連結部材3、または可動部材2に形成することもある。
1……回転変形型制震装置、
2……可動部材、2a……挿通孔(上端部)、2b……挿通孔(下端部)、
3……連結部材、3a……挿通孔(可動部材の長さ方向両端部に位置する連結部材の挿通孔)、3b……挿通孔(可動部材の長さ方向中間部に位置する連結部材の挿通孔)、
4……減衰材、
5……回転軸(可動部材の長さ方向両端部)、6……回転軸(可動部材の長さ方向中間部)、
7……構造部材、8……固定部材、8a……挿通孔。

Claims (6)

  1. 互いに対向し、外力を受けて相対変形を生ずる二つの構造部材間に跨って設置される制震装置であり、
    前記二つの構造部材が前記相対変形を生ずる方向に並列し、長さ方向両端部において前記各構造部材の、対向する構造部材側に直接、もしくは間接的に回転自在に連結される可動部材と、
    並列する前記可動部材に跨って配置され、前記各可動部材に、その可動部材に対して相対的に回転自在に連結される連結部材と、
    前記可動部材と前記連結部材が互いに対向する面間に介在する減衰材とを備えていることを特徴とする回転変形型制震装置。
  2. 前記可動部材の長さ方向両端部に配置される前記連結部材は前記可動部材と共に前記構造部材に直接、もしくは間接的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の回転変形型制震装置。
  3. 前記可動部材の長さ方向両端部以外に配置される前記連結部材は前記可動部材の長さ方向中間部に回転自在に連結されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の回転変形型制震装置。
  4. 並列し、隣接する前記可動部材の長さ方向両端部以外に回転自在に連結されている前記連結部材の回転支点間距離は、前記可動部材の長さ方向両端部に位置する前記連結部材を回転自在に連結している回転支点間距離以下であることを特徴とする請求項3に記載の回転変形型制震装置。
  5. 互いに回転自在に連結されている前記可動部材の長さ方向両端部とそれぞれの側の前記構造部材側との連結部の内、少なくともいずれか一方側の連結部における前記可動部材と前記構造部材側の内、いずれか一方は他方に対して前記可動部材の長さ方向に相対移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回転変形型制震装置。
  6. 前記減衰材は前記可動部材と前記連結部材を互いに連結する回転支点からの距離に応じて減衰力を変動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の回転変形型制震装置。
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