JP6067513B2 - 免制震構造物 - Google Patents

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本発明は構造物の上部構造全体を平面上の中央部に位置する架構とその外周部に位置する架構とに分割し、地震時等に各架構を独立して挙動させることにより両架構間の相対変位を利用して振動を低減させる免制震構造物に関するものである。
下部構造から区画される上部構造全体を例えば剛性の異なる複数の架構(構造体)に分割し、地震時等に各架構を互いに独立して挙動(振動)させることにより隣接する架構間の相対変位を利用して振動を低減させる構造物があるが、分離した架構の独立した挙動を生じさせ易くする方法として、各架構の脚部を下部構造に種類の異なる支承を介して支持させる等、各架構の下部構造への支持状態を相違させる方法がある(特許文献1〜3参照)。
特許文献1では上部構造の内、平面上の中央部に位置するコア部を下部構造に一体化させる一方、コア部の周囲に位置する一般部を下部構造に免震装置を介して支持させ、コア部と一般部間にダンパーを介在させているが(段落0015、図11)、コア部が下部構造に一体化しているため、一般部との間の相対変位量は一般部と下部構造との間に生じる相対変位量程度に留まる。
特許文献2では上部構造(構造物)を平面上、嫌振エリアと他のエリアとに区分し、一方の支持躯体を滑り支承を介して下部構造に支持させ、他方の支持躯体を積層ゴム支承を介して下部構造に支持させている(段落0031、0036、図1)。ここでは各エリアの上部の支持躯体は互いに分離しているものの、両エリアの下部の支持躯体が連続しているため(段落0040)、平面上、区分された嫌振エリアと他のエリアとの間の相対変位を利用して振動を低減する形態になっていない。この例では各エリアの支持躯体と下部構造(基礎)との間の相対変位を利用して振動を低減させるため(段落0039、図6)、機能的には通常の免震構造と変わりがない。
特許文献3では上部構造を平面上の中央部に位置する耐震壁とその周囲を包囲するフレームとに分割し、耐震壁を下部構造に対して浮き上がり自在で、回転変形自在に支持させると共に、耐震壁とフレームを回転変形自在に接続しながら、両者間にダンパーを跨設している(請求項1、段落0011、0012)。この例では耐震壁に積極的に下部構造からの浮き上がりと回転変形を生じさせることで、隣接するフレームとの間の相対的な回転変形量を稼ぐことができるため、上部構造の分割された構造体間の相対変位を利用して振動を低減するための有効な方法になり得ると考えられる。
特許文献3のように上部構造を複数の耐震要素に分割し、一部の耐震要素を基礎(下部構造)から浮き上がり自在に基礎に支持させる例は他にもある(特許文献4参照)。
特開平11−241524号公報(請求項1、段落0015〜0020、図1、図11) 特開2006−2559号公報(段落0030〜0041、図1、図2、図4) 特開平10−252307号公報(請求項1、段落0010〜0017、図1、図2) 特開2013−40460号公報(請求項1、段落0022〜0024、図4〜図7)
特許文献3のフレームは下部構造に接合(剛接合)され、下部構造から分離していないため(段落0014、図1)、フレーム自体に下部構造に対する水平変位が生じることがない。従ってフレーム(柱)が曲げ変形する範囲で耐震壁が下部構造に対して回転変形し、浮き上がることができるに留まる。フレームは下部構造に接合されていることで、耐震壁に対しては耐震壁の浮き上がりに伴う下部構造に対する回転変形を阻害するように働くため、特許文献3では耐震壁の浮き上がりを自由に生じさせる状態にない。
特許文献4では基礎(下部構造)から浮き上がり自在に基礎に支持させた、平面上の外周側に位置する耐震要素に隣接する内周側の耐震要素をも基礎から浮き上がり自在に基礎に支持させ、両耐震要素間に、外周側の耐震要素の浮き上がりを発生し易くするための空隙を形成している(請求項1、段落0015)。しかしながら、内周側の耐震要素の水平力作用方向(回転方向)両側の下端部は基礎にはピン接合により回転自在に接続されているため(図4〜図7)、特許文献3との対比では内周側の耐震要素が外周側の耐震要素の浮き上がりを阻害しない程度の働きをする利点を得るに過ぎない。
本発明は上記背景より、特許文献3のフレームに相当する外周架構を下部構造に対して水平移動自在に支持させることにより特許文献3の耐震壁に相当する連層耐震架構の浮き上がりをより発生させ易くする免制震構造物を提案するものである。
請求項1に記載の発明の免制震構造物は、下部構造から分離した上部構造が平面上の中央部に位置し、連層の耐震要素からなる連層耐震架構と、この連層耐震架構の周囲に位置し、前記連層耐震架構との間で相対的に回転変形可能な状態に、前記連層耐震架構に直接、もしくは間接的に接続される外周架構を備え、
前記連層耐震架構が前記下部構造に、前記下部構造からの浮き上がりが自由な状態に滑り支承に支持され、前記外周架構がその平面上の外周部において前記下部構造上の積層ゴム支承に支持されていることを構成要件とする。
「下部構造から分離した上部構造」とは、上部構造が下部構造に直接、接合されず、下部構造との間で水平力が伝達されない(絶縁された)状態に下部構造に支持されていることを言い、上部構造が下部構造上に設置された何らかの免震支承に支持されていることを言う。「外周架構が連層耐震架構に直接、もしくは間接的に接続される」とは、外周架構が直接、連層耐震架構に回転変形自在に接続(連結)される場合と、連層耐震架構と外周架構との間の相対的な回転変形時に減衰力を発生するダンパ等を介して接続される場合(請求項2)があることを言う。連層耐震架構と外周架構は例えばそれぞれの架構を構成する水平材(梁、スラブ等)、もしくは鉛直材(柱、壁等)等において互いに接続される。ダンパは連層耐震架構と外周架構との間の少なくとも水平軸回りの相対回転変形に追従しながら、減衰力を発生する(請求項2)。
連層耐震架構は連層の耐震要素からなることで、低層の場合には耐震要素の構面内方向には下部構造からの浮き上がり時に全体として剛体のように下部構造に対して回転変形しようとするが、高層化する程、曲げ変形を伴う。連層耐震架構が浮き上がりを生じようとするとき、連層耐震架構は滑り支承に支持されていることで、図3−(b)に示すように下部構造に対して滑り(水平変位し)ながら、回転変形する。連層耐震架構は回転方向前方(下流)側の下端を回転中心として回転し、回転方向後方(上流)側の下端が滑り支承から浮き上がる。
連層耐震架構が下部構造の滑り支承から浮き上がりを生じるときには、滑り支承に接地している側に作用する鉛直荷重が増大するが、回転方向両側の下端が交互に滑り支承から浮き上がることで、連層耐震架構に入力する振動エネルギが位置エネルギ、あるいは運動エネルギとして消費されるため、連層耐震架構に生じる振動エネルギによる損傷と揺れ(振幅)が低減される。連層耐震架構の揺れが浮き上がりにより低減されることで、連層耐震架構に接続される外周架構の変形量も連層耐震架構の浮き上がりに伴い、低減される。
一方、外周架構は積層ゴム支承に支持されていることで、下部構造に対しては積層ゴム支承が変形できる範囲で水平方向に相対移動しながら、連層耐震架構の浮き上がり時の変形に追従して外周架構全体が曲げ変形等し、連層耐震架構との接続部に相対的な回転変形が生ずる。連層耐震架構の回転方向(水平力作用方向)前方(下流)側に隣接する外周架構と連層耐震架構との間の接続点(節点)には、図3−(b)に示すように連層耐震架構31の水平材31aから外周架構32の水平材32aまでに取った角度θ1が(a)に示す平常時より小さくなる回転変形が生じ、連層耐震架構31の回転方向後方(上流)側に隣接する外周架構32と連層耐震架構31との間の接続点(節点)には、外周架構32の水平材32aから連層耐震架構31の水平材31aまでに取った角度θ2が平常時より大きくなる回転変形が生ずる。水平材31a、水平材32aは前記のように梁、スラブ等である。
連層耐震架構31が浮き上がりを生じない場合、図3−(c)に示すように水平力作用方向両側の下端が下部構造2に接合されていることで、各下端と下部構造2との間には回転が生じないため、外周架構32との間にも相対的な回転変形が生じない。これに対し、本発明では図3−(b)に示すように連層耐震架構31の水平力作用方向後方側の下端に浮き上がりが生じ、水平力作用方向前方側の下端に回転が生ずることで、水平力作用方向(回転方向)両側の下端と外周架構32との間に相対的な回転変形が生ずる。
連層耐震架構31に浮き上がりが生じない場合の連層耐震架構31と両側の外周架構32、32の変形時の様子を示す図3−(c)と(b)との対比から、連層耐震架構31の水平材31aと回転方向前方側の外周架構32の水平材32aとのなす角度θ1は連層耐震架構31に浮き上がりが生じない場合の回転変形角θ3より小さくなることが分かる。また連層耐震架構31の水平材31aと回転方向後方側の外周架構32の水平材32aとのなす角度θ2は連層耐震架構31に浮き上がりが生じない場合の回転変形角θ4より大きい。角度θ1は劣角であり、角度θ2は優角であるから、θ1<θ3、θ2>θ4であることはθ1の節点とθ2の節点が共に、θ3、θ4の節点より図3−(a)に示す平常時から大きく回転することを意味する。すなわち、θ1とθ2の節点に設置(内蔵)されたダンパ6によるエネルギ吸収量が、それぞれθ3とθ4に設置されたダンパ6によるエネルギ吸収量より大きくなることを意味している。
連層耐震架構31と各外周架構32との間に生じる回転変形量が、連層耐震架構31に浮き上がりがない場合より大きくなることで、接続点(節点)に回転変形時に減衰力を発生するダンパ6が介在する場合(請求項2)に、ダンパ6が発生する減衰力が浮き上がりがない場合より増大することが言える。
連層耐震架構31の水平力作用方向一方側の下端が浮き上がりを生じ、他方側の下端を支点として連層耐震架構31が回転しようとするとき、連層耐震架構31に隣接する外周架構32は下部構造2上の積層ゴム支承5に支持されていることで、連層耐震架構31の回転に伴う水平変形に追従するように下部構造2に対し、連層耐震架構31が滑りを生ずる側へ水平移動することができるため、連層耐震架構31の回転を阻害することはなく、回転を自由に生じさせることができる。従って外周架構32が下部構造2に接合(定着)されている場合(特許文献3)との対比では、浮き上がりを阻害しない分、連層耐震架構31自体が浮き上がることによる振動エネルギの消費と、連層耐震架構31と外周架構32との間の相対回転変形を大きく獲得することが可能になる。
また外周架構32が平面上の外周部において下部構造2上の積層ゴム支承5に支持されていることで、連層耐震架構31を挟んだ両側に位置する外周架構32、32の、連層耐震架構31から遠い側の下端の下に積層ゴム支承5が配置されるため、連層耐震架構31のある構面内方向の水平力の作用時には連層耐震架構31の構面内方向両側に位置する積層ゴム支承5、5の内、水平力作用方向前方側の積層ゴム支承5が沈み込み(収縮し)、後方側の積層ゴム支承5が浮き上がろう(伸長しよう)とする。この結果、連層耐震架構31の構面内方向両側に位置する外周架構32、32は積層ゴム支承5の水平変形に伴って水平移動しながら、僅かに回転しようとするため、外周架構32が外周部において積層ゴム支承5に支持されることには、水平変形することによる連層耐震架構31の回転変形を誘導する効果を持つことに加え、軸方向に僅かに伸縮することによる連層耐震架構31の回転(浮き上がり)をより発生させ易くする意味がある。
水平力の作用時に連層耐震架構31の回転が発生し易いことで、連層耐震架構31は比較的小さいレベルの地震動の発生時から浮き上がりが生じ易い状態にある。
特許文献3では耐震壁が基礎(下部構造)に接合されたフレームに接続され、フレームに回転変形を拘束された状態にあることで、耐震壁が基礎から浮き上がりを生ずるには耐震壁を浮き上がらせながら、フレームに曲げ変形を生じさせるだけの水平力が作用しなければならず、地震動は一定規模以上のレベルである必要がある。これに対し、本発明では外周架構32が地震時等に下部構造2に対して水平移動できる状態にあることで、連層耐震架構31には接続されながらも、連層耐震架構31の回転変形を拘束する状態にはないため、特許文献3との対比では小さいレベルの地震動時から連層耐震架構31を回転変形させ、浮き上がりを生じさせることが可能になっている。
特許文献3では耐震壁の水平力作用方向(回転方向)両側に、下部構造に接合されたフレームが接続されていることで、耐震壁に浮き上がりが生じたときにフレームが回転変形を拘束するように作用するため、浮き上がりから転倒に至る可能性は低下している。本発明では外周架構32が連層耐震架構31の浮き上がりを拘束しないにも拘わらず、外周架構32の水平移動量を決める積層ゴム支承5自体の特性として水平変形量が制限されているため、連層耐震架構31の浮き上がり量には制限が掛かるため、連層耐震架構31が浮き上がりから転倒に至る事態は回避され、転倒に対する安全性は確保されている。
また連層耐震架構31と外周架構32は相対的な回転変形が可能な状態に接続されていることで、連層耐震架構31と外周架構32との接続点(節点)に外周架構32との相対的な回転変形に伴って曲げモーメントや捩りモーメント等の過大な力を負担することが回避される。特に連層耐震架構31と外周架構32が相対的な回転変形時に減衰力を発生するダンパ6を介して接続される場合(請求項2)には、回転変形時に減衰力を発生するため、連層耐震架構31と外周架構32との接続点の負担は一層、低減される。
連層耐震架構31の下端は滑り支承4上を滑動するため、滑動時に滑り支承4との間では減衰(エネルギ消費)を期待することができないが、その分の減衰は外周架構32との間に設置されるダンパ6から得られる。
回転変形時に減衰力を発生するダンパ6としては、例えば一端において連層耐震架構31と外周架構32のそれぞれに接合される2本の接合材61、62が、他端において連層耐震架構31と外周架構32の相対的な回転変形時の回転中心(軸)となるピンやボルト63等によって互いに直接、もしくは間接的に接触した状態で接合された形態であれば、使用可能である。例として特許第2773649号公報等のダンパが挙げられるが、特公平7−11205号公報のダンパも使用可能である。図4は特許第2773649号公報のダンパを利用したダンパ6の例を示す。連層耐震架構31と外周架構32の相対的な回転変形は「少なくとも水平軸回り」の回転変形である。「少なくとも」とは、鉛直軸回りにも回転自在に接続されることがある意味である。
ダンパ6の両接合材61、62の接触面間には両接合材61、62の相対的な回転変形時に減衰力を発生する摩擦材や粘弾性体等が介在することもある。摩擦材は接合材61、62同士の相対的な回転変形時に摩擦力を発生し、粘弾性体は捩り変形(せん断変形)し、共に熱エネルギに変換することにより振動エネルギを吸収する。
図1、図2−(a)、図3−(a)、(b)に円で示す連層耐震架構31と外周架構32との接続点(節点)には原則として両架構31、32の変形前と変形後とで水平方向等には相対変位は生じないため、ダンパ6の両接合材61、62は図4−(a)に示すようにそれぞれ連層耐震架構31と外周架構32に剛に、または少なくとも水平軸回りに回転自在に接合される。
図4は互いにピン接合された接合材61、62の先端部側に形成された複数個の挿通孔6aを連層耐震架構31と外周架構32にボルト7等により接合することにより接合材61、62を連層耐震架構31と外周架構32に剛に接合した様子を示している。
但し、図5−(b)に示すように連層耐震架構31と外周架構32との接続点に水平方向、または鉛直方向の相対変位δが生じ得る場合、あるいは相対変位δが想定される場合には、接合材61、62の両端間距離が自由に変化できる必要があるから、図5−(c)に示すように接合材61、、62の一端が互いに回転自在に連結されながら、それぞれの他端が連層耐震架構31と外周架構32に回転自在に連結される形態のダンパ6の使用が適する。図5−(a)は連層耐震架構31と外周架構32との間に相対変位が生じていない平常時の状態を示し、(c)は(b)に示す状態にあるときのダンパの形状を示している。
この場合のダンパ6は図5−(c)に示すように基本的に、一端において連層耐震架構31に少なくとも水平軸回りに回転自在に接続(連結)される一方の接合材61と、一端において外周架構32に少なくとも水平軸回りに回転自在に接続(連結)され、他端において一方の接合材61の他端に少なくとも水平軸回りに回転自在に接続(連結)される他方の接合材62から構成される。
連層耐震架構に隣接する外周架構が下部構造上の積層ゴム支承に支持されていることで、連層耐震架構の水平力作用方向一方側の下端が浮き上がりを生じ、他方側の下端を支点として連層耐震架構が回転しようとするときに、外周架構が連層耐震架構の回転に伴う水平変形に追従するように下部構造に対して水平移動することができるため、連層耐震架構の回転を阻害することはなく、回転を自由に生じさせることができる。この結果、外周架構が下部構造に接合されている場合との対比では、連層耐震架構自体が浮き上がることによる振動エネルギの消費と、連層耐震架構と外周架構との間の相対回転変形を大きく獲得することが可能になる。
また外周架構が平面上の外周部において下部構造上の積層ゴム支承に支持されていることで、連層耐震架構の構面内方向の水平力の作用時には連層耐震架構の構面内方向両側に位置する積層ゴム支承の内、水平力作用方向前方側の積層ゴム支承が沈み込み、後方側の積層ゴム支承が浮き上がろうとし、連層耐震架構の構面内方向両側に位置する外周架構が積層ゴム支承の水平変形に伴って水平移動しながら、僅かに回転しようとするため、連層耐震架構の回転(浮き上がり)を発生させ易い。
連層耐震架構と外周架構からなる免制震構造物の構成例を示した立面図である。 (a)は図1のx−x線(基準階)の平面図、(b)は図1のy−y線(上部構造と下部構造の境界面)の平面図である。 (a)は図1に示す免制震構造物を簡略化して示した立面図、(b)は(a)に示す本発明の免制震構造物の連層耐震架構が外周架構との間で回転変形しながら、浮き上がりを生じたときの連層耐震架構と外周架構の接続点の回転変形の様子を示した概要図、(c)は連層耐震架構に浮き上がりが生じない場合の連層耐震架構と外周架構と接続点の回転変形の様子を示した概要図である。 (a)は連層耐震架構が外周架構との間に設置されるダンパの具体例を示した立面図、(b)は(a)のx−x線の断面図である。 (a)は連層耐震架構と外周架構に接続されたダンパが図3−(a)に示す状態にあるときの様子を模式的に示した立面図、(b)は連層耐震架構と外周架構の変形時に両者間に相対変位が生した場合の様子を模式的に示した立面図、(c)は(b)に示す状況に対応可能なダンパの例を示した立面図である。
図1は下部構造2から分離した上部構造3が平面上の中央部に位置し、連層の耐震要素からなる連層耐震架構31と、図2に示すように連層耐震架構31の周囲に位置し、連層耐震架構31との間で相対的に回転変形可能な状態に、連層耐震架構31に直接、もしくは間接的に接続される外周架構32を備えた免制震構造物1の構成例を示す。図1のx−x線の断面を図2−(a)に、y−y線の断面を図2−(b)に示す。
連層耐震架構31は連層の耐震壁から、またはブレースが架設された連層の柱・梁のフレーム等から構成される。耐震壁の周囲には外周架構32との接続のためのフレームが付帯することもあり、その場合、外周架構32とはフレームの梁等の水平材31a、または鉛直材において接続される。フレームがない場合には、耐震壁の周囲に外周架構32が接続される。連層耐震架構31の平面形状は問われないが、地震時等の水平力を受けて任意の水平方向に変形し得るよう、図2に示すように水平2方向に同等の平面形状等をする等、水平のいずれかの方向とそれに直交する方向とで極端な形状の偏りがない平面形状に形成される。
連層耐震架構31は下部構造2に、下部構造2からの浮き上がりが自由な状態に滑り支承4に支持され、外周架構32は図2−(b)に示すようにその平面上の外周部において下部構造2上の積層ゴム支承5に支持される。連層耐震架構31の下端は連層耐震架構31が水平力を受けて滑りを生じる方向を向く直線、もしくはその直線を含む平面で滑り支承4に接触し、浮き上がりを生じるときは水平力作用方向(回転方向)前方側の下端が連層耐震架構31の回転変形時の回転中心になり、連層耐震架構31はこの下端において滑り支承4に支持された状態になる。連層耐震架構31が平常時に平面で滑り支承4に接触している場合、水平力作用方向前方側の下端は直線になる。滑り支承4には四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の低摩擦材を利用した面材、またはローラや球体等の回転体を利用した支承の他、弾性滑り支承が使用される。積層ゴム支承5には高減衰ゴムを使用した積層ゴムや鉛入り積層ゴムが含まれる。
連層耐震架構31の滑り支承4上の水平移動量は連層耐震架構31に接続されている外周架構32を支持する積層ゴム支承5に生じる水平変形量と同等程度であり、滑り支承4には図1、図2−(b)に示すように連層耐震架構31の水平移動方向の両側に連層耐震架構31の水平変形量を見込んだ長さが与えられる。連層耐震架構31は滑り支承4上を水平2方向に移動し得るため、滑り支承4は図2−(b)に示すように水平2方向に同等の長さを持つ。結局、滑り支承4は連層耐震架構31の平面形状の外周に、連層耐震架構31の水平移動量分の幅を持つ帯状の領域を加えた程度の平面積を持つ。
外周架構32は図2−(a)に示すように連層耐震架構31の外周面に接続される、連層耐震架構31の下部構造2に対する相対移動方向を向く梁、またはそれに直交する方向を向く梁等の水平材32aと、上部構造3の外周側に配置され、水平材32aに接続される外周柱32bを基本の構成要素として備える。積層ゴム支承5は図2−(a)、(b)に示すように外周柱32bの下方に配置される。
外周柱32bは外周架構32の周方向に間隔を置いて配列するが、連層耐震架構31の下部構造2に対する相対移動方向を向く水平材32aはその水平材32aの端部と交わる外周柱32bと接続されるため、必ずしも全外周柱32bに水平材32aが接続されるとは限らない。連層耐震架構31の下部構造2に対する相対移動方向を向く、隣接する水平材32a、32a間にはスラブ32cが配置されることもあり、その場合、スラブ32cが連層耐震架構31の外周面に接続されることもある。
水平材32aは外周柱32bから連層耐震架構31側へ片持ち梁式に張り出すことで、外周柱32bに対して曲げ変形可能であるため、水平材32aが外周柱32bにピン接合されるか、剛接合されるかは問われない。外周架構32の水平材32aの端部は連層耐震架構31の外周面のフレームを構成する水平材31a等に直接、もしくは間接的に水平軸回りに、または水平軸と鉛直軸回りに回転自在に接続(連結)される。
連層耐震架構31が図3−(b)に示すように水平力を受けて滑り支承4上を滑りながら、回転変形(浮き上がり)を生じようとするとき、連層耐震架構31の外周に位置する外周架構32の内、回転変形方向の両側に位置する領域が連層耐震架構31との間で回転変形角θ1、θ2を生じながら、連層耐震架構31の回転に追従して連層耐震架構31と同様の回転変形を生じる。連層耐震架構31の回転変形の方向に直交する方向に位置する領域は連層耐震架構31の回転と連層耐震架構31の回転変形方向の両側に位置する領域に追従して回転変形する。
連層耐震架構31の回転変形方向の両側に位置する領域は図2−(a)に示す連層耐震架構31と外周架構32との間の平面上の境界線で、または境界線とその延長線で区画される。例えば図2−(a)では連層耐震架構31の上下の境界線の延長線で区画される右側と左側に位置する領域が連層耐震架構31の回転変形方向両側に位置する領域になる場合と、その領域の上下の少なくとも一方に位置する領域が連層耐震架構31の回転変形方向両側に位置する領域になる場合がある。
水平材32aが連層耐震架構31の外周面に間接的に接続される場合は、連層耐震架構31と水平材32aは連層耐震架構31と外周架構32との間の相対回転変形に追従しながら、その相対回転変形時に減衰力を発生するダンパ6を介して接続される。ダンパ6は図4−(a)に示すように連層耐震架構31の水平材31a、もしくは鉛直材31bと、外周架構32の水平材32a、もしくは鉛直材にボルト7等により接合される。
ダンパ6は例えば図4−(a)、(b)に示すように連層耐震架構31の水平材31aや鉛直材31bに接合される一方の接合材61と、外周架構32の水平材32aや鉛直材に接合され、一方の接合材61に水平軸回りに回転自在に接続される他方の接合材62からなる。この形態のダンパ6は図4−(a)に示すように基本的には接合材61において水平材31a等に剛接合、もしくはピン接合され、水平材62において水平材32a等に剛接合、もしくはピン接合される。
図4に示すダンパ6の両接合材61、62は互いに接続される側の端部において厚さ方向に互い違いに重ね合わせられ、この重ねられた両接合材61、62の端部を厚さ方向に水平軸となるボルト63やピンが挿通することにより両接合材61、62がボルト63等の回りに自由に回転する。両接合材61、62は互いに直接、もしくは摩擦材や粘弾性材等を介して間接的に接続される。一方の接合材61は連層耐震架構31の水平材31a、もしくは鉛直材31bに水平軸回りに、または水平軸と鉛直軸回りに回転自在に接続され、他方の接合材62は水平材32a、もしくは鉛直材に水平軸回りに、または水平軸と鉛直軸回りに回転自在に接続される。
図4に示すダンパ6は両接合材61、62の接触面、または接触面間に介在する摩擦材が回転時に摩擦力(熱エネルギ)を発生することにより振動エネルギを消費する。両接合材61、62の接触面間に粘弾性体が介在する場合には、粘弾性体が捩り変形(せん断変形)することにより振動エネルギを熱エネルギとして消費する。
図5−(b)に示すように連層耐震架構31が滑り支承4上を滑りながら、図3−(b)に示すような曲げ変形を伴う回転変形を生ずるときに、外周架構32との間に水平方向等に相対変位δが生じる場合には、連層耐震架構31と外周架構32との間にはこの相対変位δに追従できる形態のダンパ6の使用が適する。
相対変位δに追従できる形態のダンパ6としては、例えば図5−(c)に示すように図4に示すダンパ6の両接合材61、62が軸方向に長さを持ち、軸方向の先端部に、連層耐震架構31と外周架構32に少なくとも水平軸回りに回転自在に接続(連結)されるための、挿通孔6aが形成された接続部を有する形態が考えられる。連層耐震架構31と外周架構32との間の相対変位δにダンパ6を追従させることは、両接合材61、62の少なくともいずれか一方が軸方向に伸縮自在な形態を有する場合にも可能である。またダンパ6自体が必ずしも相対変位δに追従できる必要はなく、相対変位δに追従可能な部材がダンパ6に組み合わせられる場合も考えられる。
図4に示すダンパ6の変形例を示す図5−(c)では便宜的に両接合材61、62の中心線(軸線)がなす角度が大きく、両接合材61、62が開放した状態を示しているが、図5−(c)に示すダンパ6は連層耐震架構31と外周架構32間に架設された状態では両接合材61、62が完全に重なり、閉じた状態にあるか、または図5−(a)に示すように連層耐震架構31と外周架構32との接続点側の端部が互いに幅方向に接触した状態にある。
図5−(c)に示すダンパ6は連層耐震架構31が回転変形していない平常時には図5−(a)に示すように両接合材61、62が閉じた状態にあり、(b)に示すように連層耐震架構31が回転変形し、外周架構32との間に相対変位δが生じたときに、(c)に示すように開放する。図5−(c)に示すダンパ6の両接合材61、62は各中心線が同一直線上に配列した状態が最も開いた状態になる。
1……免制震構造物、
2……下部構造、
3……上部構造、31……連層耐震架構、31a……水平材、31b……鉛直材、32……外周架構、32a……水平材、32b……外周柱、32c……スラブ、
4……滑り支承、5……積層ゴム支承、
6……ダンパ、61……一方の接合材、62……他方の接合材、63……ボルト、6a……挿通孔、7……ボルト。

Claims (2)

  1. 下部構造から分離した上部構造が平面上の中央部に位置し、連層の耐震要素からなる連層耐震架構と、この連層耐震架構の周囲に位置し、前記連層耐震架構との間で相対的に回転変形可能な状態に、前記連層耐震架構に直接、もしくは間接的に接続される外周架構を備え、
    前記連層耐震架構は前記下部構造に、前記下部構造からの浮き上がりが自由な状態に滑り支承に支持され、前記外周架構はその平面上の外周部において前記下部構造上の積層ゴム支承に支持されていることを特徴とする免制震構造物。
  2. 前記連層耐震架構と前記外周架構は前記連層耐震架構と前記外周架構との間の少なくとも水平軸回りの相対回転変形を許容しながら、その相対回転変形時に減衰力を発生するダンパを介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の免制震構造物。
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