JP2014132201A - 振動低減機構およびその諸元設定方法 - Google Patents

振動低減機構およびその諸元設定方法 Download PDF

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Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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Abstract

【課題】回転慣性質量を利用して小質量で充分な応力低減効果が得られる振動低減機構と、その諸元設定方法を提供する。
【解決手段】構造体4とそれを支持する支持体1との間に設けられた付加バネ5と、回転体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパー10とを直列に介装し、付加バネまたは回転慣性質量ダンパーに対して並列に付加減衰6が設けられるとともに、付加バネおよび回転慣性質量ダンパーの少なくともいずれか一方に、過大な力が作用するのを防止するリミッター機構が設けられ、回転慣性質量と付加バネとにより定まる振動系の固有振動数を構造体の固有振動数に同調させる。
【選択図】図1

Description

本発明は構造体の振動を低減させるための振動低減機構、およびその諸元設定方法に関する。
免震建物や機器設置架台を対象としてその振動を低減するための機構として、たとえば特許文献1に示されているような所謂チューンド・マス・ダンパー(Tuned Mass Damper:TMD)が知られている。
これは、図10にその概要を振動モデルとして示すように、支持体1(地盤や床など)に対してバネ2および減衰3を介して相対振動を生じるように支持されている構造体4(免震建物や機器設置架台など)に対し、付加バネ5および付加減衰6を介して付加質量7を設置し、その付加質量7と付加バネ5とからなる固有(角)振動数を構造体4の固有(角)振動数に同調させることによって構造体4の共振点近傍における応答を低減させるものである。
これによれば、地震や交通振動のような支持体1から構造体4への加速度加振入力による振動のみならず、構造体4に風や機械振動等の加振力が作用することによる振動も有効に低減させることができる。
特開昭63−156171号公報
従来一般のTMDでは、大きな振動低減効果を得るためには付加質量7の質量mを大きくする必要があるが、構造体4に対してあまり大きな質量mを付加することは現実的ではないので、通常は構造体4の質量mの1〜2%程度に過ぎず、したがって振動低減効果にも自ずと限界がある。
上記事情に鑑み、本発明は原理的にはTMDと同様に機能するものの、従来一般のTMDのように過大な付加質量を必要とせずに充分な振動低減効果が得られる振動低減機構と、その諸元設定方法を提供することを目的としている。
本発明の振動低減機構は、構造体の振動を低減する機構であって、前記構造体とそれを支持する支持体との間に設けられた付加バネと、回転体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとを直列に介装し、前記付加バネまたは前記回転慣性質量ダンパーに対して並列に付加減衰が設けられるとともに、前記付加バネおよび前記回転慣性質量ダンパーの少なくともいずれか一方に、過大な力が作用するのを防止するリミッター機構が設けられ、前記回転慣性質量と前記付加バネとにより定まる振動系の固有振動数を前記構造体の固有振動数に同調させてなることを特徴とする。
本発明の振動低減機構の諸元設定方法は、構造体の振動を低減する機構の諸元設定方法であって、前記構造体とそれを支持する支持体との間に設けられた付加バネと、回転体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとを直列に介装し、前記付加バネまたは前記回転慣性質量ダンパーに対して並列に付加減衰が設けられるとともに、前記付加バネおよび前記回転慣性質量ダンパーの少なくともいずれか一方に、過大な力が作用するのを防止するリミッター機構が設けられ、前記回転慣性質量と前記付加バネとにより定まる振動系の固有振動数を前記構造体の固有振動数に同調させるように、前記回転慣性質量ダンパーと前記付加バネの諸元を設定することを特徴とする。
本発明によれば、従来一般のTMDにおける付加質量に代えて小質量の回転体を有する小形軽量の回転慣性質量ダンパーを構造体と支持体との間に設置することのみで、大きな付加質量を付加したことと等価となり、それにより大きな振動低減効果を得られる。特に、従来のTMDでは付加質量の大きさを構造体の質量の1〜2%程度とすることが限度であって振動低減効果も自ずと限界があったが、本発明によれば構造体の質量の10〜50%ないしそれ以上の回転慣性質量を支障なく容易に得ることができ、それにより従来一般のTMDによる場合に比べて格段に優れた振動低減効果を得ることができる。
本発明の実施形態である振動低減機構の概要を示すモデル図である。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 本発明の参考例である振動低減機構の概要を示すモデル図である。 同、解析モデルと解析結果を示すものである。 従来一般の振動低減機構であるTMDの概要を示す図である。
図1は本発明の実施形態である振動低減機構の概要を振動モデルとして示した図である。これは、図10に示した従来のTMDによる場合と原理的には同様に機能するものであるが、従来一般のTMDは構造体4に対して付加バネ5および付加減衰6を介して付加質量7を付加するものであるのに対し、本実施形態では構造体4とそれを支持している支持体1との間に付加バネ5と回転慣性質量ダンパー10とを直列に介装したことを主眼としている。
なお、上記の回転慣性質量ダンパー10は、後述する参考例においては第2の回転質量ダンパーとして機能するものである。
回転慣性質量ダンパー10は、支持体1に対して構造体4が相対振動した際に作動して小質量の回転体(回転慣性モーメントIθ)を回転させることにより大きな回転慣性質量Ψを発生するように構成されたものであって、本実施形態ではその回転慣性質量Ψを、従来一般のTMDの場合における付加質量7の質量mに代えて構造体4の振動を低減させるための制御力となるように利用するものである。
すなわち、本実施形態では、回転慣性質量ダンパー10による回転慣性質量Ψは、構造体4の振動により回転慣性質量ダンパー10が作動した際の振動方向の相対変位をx、その際の回転体の回転角をθとし、それらxとθとの間に
x=αθ
の関係があるときには、
Ψ=Iθ/α
として表され、振動低減効果を得るための制御力(変位方向負担力)Pは
Figure 2014132201
となる。
これは、一般的なバネが相対変位にバネ定数を乗じて負担力とするのと同様に、本実施形態では相対加速度に回転慣性質量を乗じて負担力とすることを意味しており、相対変位ではなく相対加速度を乗じる点で通常のバネによる場合と大きく異なるものである。
そして、この回転慣性質量Ψの大きさは回転体の実際の質量に対して10〜1000倍にもなるので、小質量の回転体を回転させることのみで極めて大きな回転慣性質量を得ることができ、したがって小質量の回転体であっても充分な振動低減効果が得られる。
勿論、回転慣性質量Ψの大きさは、回転体の質量とその径寸法および径方向の質量分布により決定されるものであり、回転体の質量が大きいほど、径寸法が大きいほど、質量が内周部よりも外周部に分布しているほど回転慣性質量は大きくなるから、それらを適正に設定することによって所望の回転慣性質量を得ることができる。
たとえば、半径rで質量mの円盤の回転慣性モーメントIθ
Figure 2014132201
である。
なお、回転慣性質量ダンパー10としてはたとえば特許第3250795号公報や特開2004−44748号公報に免震装置として使用されるものが公知であり、本実施形態においてはそれらに示されているようなボールネジ式の回転慣性質量ダンパーが好適に採用可能であるが、回転慣性質量ダンパーの構成は特に限定されるものではなく、所望の形式、特性のものを任意に採用すれば良い。
そして、本実施形態では回転慣性質量ダンパー10の他には従来のTMDと同様に付加バネ5と付加減衰6とを有するものであれば良く、一般には図1(b)に示すモデルのようにそれらを個々に設置すれば良いが、汎用の回転慣性質量ダンパー10には図1(a)に示すモデルに対応するものとして回転機構と減衰機構とを並列に組み込んだものもあるので、それを採用する場合には他に付加バネ5を設置することで足りる。
また、従来一般のTMDでは、付加質量7と付加バネ5からなる固有(角)振動数を構造体4の固有(角)振動数に同調させるのであるが、本実施形態においては回転慣性質量10と付加バネ5とにより定まる固有(角)振動数を構造体4の固有(角)振動数に同調させることとする。
すなわち、回転慣性質量Ψと付加バネkとにより定まる固有角振動数ω
Figure 2014132201
であるから、これを構造体4の固有角振動数ω
Figure 2014132201
に同調するように設定することとする。
また、構造体4と支持体1との間の付加減衰6は、図1(a)に示すように回転慣性質量ダンパー10に対して並列にするか、または(b)に示すように付加バネ6に対して並列にすれば良い。いずれにしても、後述の解析結果に示されるようにほぼ同等の効果が得られるが、両者では回転慣性質量Ψが同じ場合であっても最適な付加バネkの値はやや異なる。これは、減衰を付与した振動系での最適設計では厳密には ω≠ω となるが、一般的なΨがmよりかなり小さい範囲では ω≒ω となる。
本実施形態の振動低減機構によれば、従来一般のTMDにおける付加質量7に比べて小形軽量の回転慣性質量ダンパー10を設置することのみで、大きな付加質量(回転慣性質量Ψ)を付加したことと等価となり、それにより大きな振動低減効果を得られる。
たとえば、従来のTMDでは付加質量7の質量mを構造体4の質量mの1〜2%程度とすることが限度であり、したがってそれによる振動低減効果も自ずと限界があるが、本実施形態では必要であれば構造体4の質量mの10〜50%ないしそれ以上の回転慣性質量Ψが与えられ、それにより従来一般のTMDによる場合に比べて格段に優れた振動低減効果を得ることができる。
しかも、本実施形態の振動低減機構では応答低減効果は振幅に依存しないので微振動から大振幅振動まで幅広く対応でき、振動数の同調は付加バネ5のバネ定数kの値を調整することで容易に行うことができる。
勿論、従来のTMDと同様に、地震や交通振動のように地盤からの加速度加振入力による振動のみならず、風や機械振動等の加振力が作用することによる振動に対しても有効であるので、建物全体を免震支持するための機構としても、また、嫌振機器等を設置するための免震架台等に適用する鉛直あるいは水平振動低減機構としても有効なものである。但し、地震などによる加速度(変位)入力と、風などによる加振力入力とでは最適なバネや減衰量が異なるので、支配的な外力を対象として所望の減衰が得られるように設定する必要がある。
なお、本実施形態においては、回転慣性質量ダンパー10の負担力は従来のTMDにおける付加質量7の慣性力と同等であって、回転体の実質量が小さいといえども大きな慣性力となるから、回転慣性質量ダンパー10やその設置のための接合部材等の設計においてはそのことを配慮して充分な強度を見込む必要がある。
そのため、必要であれば回転慣性質量ダンパー10に過大な力が作用して破損するようなことを防止するために、付加バネ5の負担力にリミッターをかけることも考えられる。そのためのリミッター機構としては、たとえば付加バネ5が許容限度を超える負担力を受けた際には降伏するようにしたり、あるいは付加バネ5にすべり機構を直列に配置しておくことが考えられる。また、回転慣性質量ダンパー10に作用する相対加速度が許容限度を超えた場合には回転体が空回りして回転慣性質量が過大にならないようにしても同様のリミッター効果が得られる。
以下に、回転慣性質量ダンパーによる振動低減原理と、その解析手法および解析結果を示す。
(I)加速度加振入力される場合(地震、交通振動など)
(i)基本モデル(図2参照)
図2(a)は回転慣性ダンパーを設置していない構造体のみの振動モデルを示す。このモデルにおいて、固定端における変位加振入力x(t)を
x(t)=x・eiωt
と想定し、質点の静止座標系(絶対変位)の釣合式で表示すると、加振点変位xとして
Figure 2014132201
となる。
ここで、変位xが角振動数ωの正弦波振動であるとして
=xiωt (j=0,1)とし、構造体の固有角振動数をωとすると
ω =k/mであり、さらに減衰定数h
=c/(2mω
であるから、
Figure 2014132201
さらに、ξ=ω/ωとおくと
Figure 2014132201
となる。
この式で求まる|x/x|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率(変位、速度、加速度とも同じ)を示すものとなる。
図2(b)はこのモデルにおいて減衰定数h=0.02の場合の応答倍率を示すもので、これは加振振動数ωが構造体の固有振動数ωと一致する場合(ξ=ω/ω=1)に応答倍率が最大となる一般的な共振曲線を示すものである。この場合の応答倍率の最大値は1/(2h)=25となる。
(ii)回転慣性質量ダンパーを設置した場合(1)(図3参照)
図1(a)に対応するモデルとして図3(a)に示すモデルを想定する。これは、図2(a)の基本モデルに対し、回転慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に加え、付加減衰を回転慣性質量ダンパーに並列に加えたものである。
ここで、回転慣性モーメントをIθ、単位回転角に対するx方向変位量をαとすると、構造体変位をx、ダンパーと付加バネとの接合部での変位をxとし、質点の釣合式で表示すると、
Figure 2014132201
ω =k/m
=c/(2mω
Ψ=Iθ/α
ω =k/Ψ
=c/(2Ψω
ξ=ω/ω
η=ω/ω
とおくと、
Figure 2014132201
上式で求まる|x/x|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率(変位、速度、加速度とも同じ)を示す。
図3(b)は、回転慣性質量が構造体質量の0.01倍、つまりΨ/m=0.01であり、かつk/k=0.0102、h=0.07の場合における応答倍率を示すものであり、この場合には共振点近傍において最大応答を62%も低減できる。実際の回転体の質量は回転慣性質量の1/100以下であり、したがって構造体の質量に対しては1/10000以下であり、そのような僅かな回転体の質量で大きな振動低減効果が得られることがわかる。
図3(c)は、回転慣性質量が構造体質量の0.1倍、つまりΨ/m=0.1であり、かつk/k=0.12、h=0.2の場合における応答倍率を示すものであり、この場合には共振点近傍において最大応答を85%も低減できる。実際の回転体の質量が回転慣性質量の1/100以下であれば、構造体の質量に対しては1/1000以下の質量であり、この場合も大きな振動低減効果が得られることがわかる。
図3(d)は、回転慣性質量が構造体質量の半分、つまりΨ/m=0.5であり、かつk/k=2.5、h=1.0の場合における応答倍率を示すものであり、この場合にはもはや共振現象はなくなり、構造体の応答を94%も低減できるが、高振動数域では回転慣性質量のない場合より振幅がわずかに増加する。この場合でも、回転体の実際の質量は回転慣性質量の1/100以下(構造体の質量に対しては1/200以下)である。
(iii)回転慣性質量ダンパーを設置した場合(2)(図4参照)
図1(b)に対応するモデルとして図4(a)に示すモデルを想定する。これは、図2(a)の基本モデルに対し、回転慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に加え、付加減衰を付加バネに並列に加えたものである。
この場合、質点の釣合式は
Figure 2014132201
となり、応答倍率は
Figure 2014132201
となる。
上式で求まる|x/x|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率を示す。
図4(b)は、回転慣性質量が構造体質量の0.01倍、つまりΨ/m=0.01であり、かつk/k=0.0098、h=0.07の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を62%も低減できる。
図4(c)は、回転慣性質量が構造体質量の0.1倍、つまりΨ/m=0.1であり、かつk/k=0.085、h=0.2の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を84%も低減できる。
図4(d)は、回転慣性質量が構造体質量の半分、つまりΨ/m=0.5であり、かつk/k=0.25、h=0.3の場合における応答倍率を示すものであり、この場合にはもはや共振現象はなくなり、構造体の応答を92%も低減できる。また、図3と異なり高振動数域での応答が振動数の増加により漸減する。
(II)構造体に加振入力が作用する場合(風荷重など)
(i)基本モデル(図5参照)
図5は回転慣性質量ダンパーを設置していない構造体自体の振動モデルを示す。このモデルにおいて、加振入力f(t)を
f(t)=f・eiωt
と想定し、質点の静止座標系(絶対変位)の釣合式で表示すると、
Figure 2014132201
となる。ここで、変位xが角振動数ωの正弦波振動であるとして
=xiωtとし、構造体の固有角振動数をωとすると
ω =k/m
であり、さらに減衰定数h
=c/(2mω
であるから、
Figure 2014132201
さらに、ξ=ω/ωとおくと
Figure 2014132201
となる。
この式のf/kは加振力の絶対値をバネで除した静的変位を意味している。
この式で求まる|k/f|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率(加振入力が静的に作用したときの変位に対する比)を示すものとなる。
図5(b)はこのモデルにおいて減衰定数h=0.02の場合の応答倍率を示すもので、これは加振振動数ωが構造体の固有振動数ωと一致する場合(ξ=ω/ω=1)に応答倍率が最大となる一般的な共振曲線を示すものである。この場合の応答倍率の最大値は1/(2h)=25となる。
(ii)回転慣性質量ダンパーを設置した場合(1)(図6参照)
図1(a)に対応するモデルとして図6(a)に示すモデルを想定する。これは、図5(a)の基本モデルに対し、回転慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に加え、付加減衰を回転慣性質量ダンパーに並列に加えたものである。
ここで、回転慣性モーメントをIθ、単位回転角に対するx方向変位量をαとすると、構造体変位をx、ダンパーと付加バネとの接合部での変位をxとし、質点の釣合式で表示すると、
Figure 2014132201
ω =k/m
=c/(2mω
Ψ=Iθ/α
ω =k/Ψ
=c/(2Ψω
ξ=ω/ω
η=ω/ω
とおくと、
Figure 2014132201
上式で求まる|k/f|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率を示す。
図6(b)は、回転慣性質量が構造体質量の0.01倍、つまりΨ/m=0.01であり、かつk/k=0.0101、h=0.07の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を62%も低減できる。
図6(c)は、回転慣性質量が構造体質量の0.1倍、つまりΨ/m=0.1であり、かつk/k=0.11、h=0.2の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を85%も低減できる。
図6(d)は、回転慣性質量が構造体質量と等しい、つまりΨ/m=1.0であり、かつk/k=2.0、h=1.0の場合における応答倍率を示すものであり、この場合にはもはや共振現象はなくなり、構造体の応答を96%も低減できる。これは、全ての振動数領域において変位振幅が静的変位以下になることを意味する。この場合でも回転体の実質量は構造体の1/100以下である。
(iii)回転慣性質量ダンパーを設置した場合(2)(図7参照)
図1(b)に対応するモデルとして図7(a)に示すモデルを想定する。これは、図5(a)の基本モデルに対し、回転慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に加え、付加減衰を付加バネに並列に加えたものである。
この場合、質点の釣合式は
Figure 2014132201
となり、応答倍率は
Figure 2014132201
となる。
図7(b)は、回転慣性質量が構造体質量の0.01倍、つまりΨ/m=0.01であり、かつk/k=0.0097、h=0.07の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を62%も低減できる。
図7(c)は、回転慣性質量が構造体質量の0.1倍、つまりΨ/m=0.1であり、かつk/k=0.081、h=0.2の場合における応答倍率を示すものであり、共振点近傍において最大応答を84%も低減できる。
図7(d)は、回転慣性質量が構造体質量と等しい、つまりΨ/m=1.0であり、かつk/k=0.25、h=0.25の場合における応答倍率を示すものであり、この場合にはもはや共振現象はなくなり、構造体の応答を93%も低減できる。また、共振振動数以下で回転慣性質量なしの場合よりも応答が大きくならないという顕著な効果がある。
なお、図10に示した従来の一般的なTMDに加振入力が作用する場合、質点の釣り合い式は、
Figure 2014132201
であり、これはΨ=mとおくと上述した図7(a)に示したモデルの場合の釣り合い式([数17])と同じであり、このことから図7(a)に示す振動低減機構は振動理論上から従来のTMD機構と全く同じものといえる。すなわち、図10のm,k,cを図7のΨ,k,cとすれば同じ効果が得られるということで、従来のTMDのように重い質量を構造物上に載せなくても、軽量な回転慣性質量ダンパーを支持体と構造物との間に付加バネと直列に設置するだけで良い。
以上で本実施形態を説明したが、次に図8〜図9を参照して参考例を説明する。本参考例は、図1に示した本実施形態を基本として支持体1と構造体4との間に回転慣性質量ダンパー20を付加したものである。
なお、以下の説明においては、本参考例において付加した上記の回転慣性質量ダンパー20を「第1の回転慣性質量ダンパー」とし、本実施形態と同様に設置している回転慣性質量ダンパー10を「第2の回転慣性質量ダンパー」として区別する。
すなわち、本参考例においては、構造体4がバネ2と減衰3を介して支持体1により支持されている振動系に対して第1の回転慣性質量ダンパー20をバネ2と並列に付加することによってその振動系を長周期化したうえで、本実施形態と同様に第2の回転慣性質量ダンパー10と付加バネ5とを直列に設置している。そして、第2の回転慣性質量ダンパー10による回転慣性質量Ψと付加バネ5とにより定まる固有振動数を、第1の回転慣性質量ダンパー20を付加したことで長周期化した振動系の固有振動数に同調させるように各諸元を設定するものである。
なお、本参考例においても、付加減衰6は図8(a)に示すように第2の回転慣性質量ダンパー10と並列に設置するか、あるいは(b)に示すように付加バネ5と並列に設置すれば良い。
この場合、構造体4の質量mに対して第1の回転慣性質量ダンパー20により付加される回転慣性質量をΨとすると、それを付加することで振動系の固有振動数は
(m/(m+Ψ))1/2 倍に長周期化され、そのように長周期化された固有振動数の周辺領域において本実施形態と同様に優れた応答低減効果が得られることになる。
また、構造体4を支持しているバネ2と第1の回転慣性質量ダンパー20により定まる角振動数 ω=(k/Ψ1/2 で加振された場合には、応答が殆どゼロとなる(伝達関数がゼロ近くになる)という振動遮断効果も得られる。
図8(a)に対応するモデルとして図9(a)に示すモデルを想定し、構造体変位をx、ダンパーと付加バネとの接合部での変位をx、加振点変位xとし、質点の釣合式で表示すると、
Figure 2014132201
ω =k/m
=c/(2mω
ω =k/Ψ
=c/(2Ψω
ξ=ω/ω
η=ω/ω
とおくと、
Figure 2014132201
上式で求まる|x/x|(複素数の絶対値)が加振入力に対する構造体の応答倍率(変位、速度、加速度とも同じ)を示す。
図9(b)は、構造体質量mに対して回転慣性質量Ψを0.5倍(つまりΨ/m=0.5)、回転慣性質量Ψを0.1倍(つまりΨ/m=0.1)とし、かつ構造体の減衰定数h=0.02、付加バネ5は構造体バネ2の0.073倍の場合における応答倍率を示すものである。
この場合、第1の回転慣性質量ダンパー20を設置することのみでは、それを付加することにより長周期化した振動数において約20%程度しか振動低減効果が得られないが、さらに第2の回転慣性質量ダンパー10を設置して、付加バネ5と回転慣性質量Ψによる付加振動系の振動数を長周期化した固有振動数に対して同調させることにより、その固振動数領域における応答を大きく低減でき、最大応答値を87%も低減できることが分かる。
そして、この場合には図9(b)の縦軸を拡大表示した図9(c)に示されるように、応答低減できる振動数領域は充分に広いものであって、長周期化と相まって大幅な応答低減が図れるし、特にバネ2と第1の回転慣性質量ダンパー20により定まる上記の遮断振動数においては応答倍率がほぼゼロとなることが分かる。なお、応答が増大する領域もあるが、その範囲は狭く増大率も小さいので、実際上は問題にならない。
以上のように、本参考例の振動低減機構によれば、第1の回転慣性質量ダンパー20による長周期化による効果と、第2の回転慣性質量ダンパー10による振動低減効果が相乗的に得られ、特に応答低減可能な振動数領域が広く、その範囲における各振動数での応答・反力を大きく低減でき、しかも長周期化した共振域だけに効果的な機構であってそれ以外の振動数領域で応答が大きくなるようなこともなく、さらに応答低減効果は振幅に依存しないので微振動から大振幅まで幅広く対応可能である。
したがって地震のようなランダム振動入力や交通振動入力においても充分な応答低減効果が得られるし、免震建物に適用すれば長周期化しながら風揺れの低減効果も得られ、極めて有効である。
勿論、所望の共振点に同調させるための振動数同調作業は従来のTMDと同様に付加バネの値を調整することで容易にかつ広範に対応できるし、設置後の変更も自由にかつ容易に行うことができる。
1 支持体
2 バネ
3 減衰
4 構造体
5 付加バネ
6 付加減衰
10 回転慣性質量ダンパー(第2の回転慣性質量ダンパー)
20 回転慣性質量ダンパー(第1の回転慣性質量ダンパー)

Claims (2)

  1. 構造体の振動を低減する機構であって、
    前記構造体とそれを支持する支持体との間に設けられた付加バネと、回転体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとを直列に介装し、
    前記付加バネまたは前記回転慣性質量ダンパーに対して並列に付加減衰が設けられるとともに、
    前記付加バネおよび前記回転慣性質量ダンパーの少なくともいずれか一方に、過大な力が作用するのを防止するリミッター機構が設けられ、
    前記回転慣性質量と前記付加バネとにより定まる振動系の固有振動数を前記構造体の固有振動数に同調させてなることを特徴とする振動低減機構。
  2. 構造体の振動を低減する機構の諸元設定方法であって、
    前記構造体とそれを支持する支持体との間に設けられた付加バネと、回転体の回転により回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーとを直列に介装し、
    前記付加バネまたは前記回転慣性質量ダンパーに対して並列に付加減衰が設けられるとともに、
    前記付加バネおよび前記回転慣性質量ダンパーの少なくともいずれか一方に、過大な力が作用するのを防止するリミッター機構が設けられ、
    前記回転慣性質量と前記付加バネとにより定まる振動系の固有振動数を前記構造体の固有振動数に同調させるように、前記回転慣性質量ダンパーと前記付加バネの諸元を設定することを特徴とする振動低減機構の諸元設定方法。
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